2023年9月5日火曜日

パリの国立自然史博物館はレイアウトもライティングも含めて美しい・・

   パリの国立自然史博物館は、オーステルリッツの広大な植物園の中にあります。 国立自然史博物館 (MNHN) は、自然、生命科学、地球科学、人類学の教育、研究、普及を目的として1793年に設立された、この種の施設としては、世界最古の施設の一つでもあります。 かなり前に友人が子供を連れて、パリに遊びに来た時に、その博物館に恐竜を見に行きたいと言って、でかけたことがありましたが、不覚にも、その時の記憶は、友人とのおしゃべりに夢中で、ほぼ記憶がないのです。しかし、この間、近くに来て、なんとなく懐かしくなり、久ぶりに覗いてみたところ、はっきりした記憶はなかったとはいえ、明らかにきれいになっていて、展示品はもとより、照明を含めた全体のレイアウトも素晴らしい、映画「ナイトミュージアム」を彷彿とさせる光景でした。 この映画の撮影に使われたのは、ニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」のようですが、このパリの博物館もなかなか、悪くないぞ・・と、妙に対抗心を覚える私も奇妙なものです。 アメリカの自然史博物館は行ったことがありませんが、ロンドンにいた頃は、私は自然史博物館の真ん前に住んでいて、何回か行ったことがありました。ロンドンの自然史博物館に比べると(などと書いても、あまり意味がないと思うものの・・)若干、小規模ですが、一つの箱としたら、トータルの美しさを堪能できる芸術性の高い博物館だと思います。 私の夫はやたらと美術館・博物館の類が好きな人で、特に子供には、やたらと美術館や博物館に連れていきたがり、特に私が休日出勤の時などは、子供たちを連れて出かけるといえば、博物館の類で、娘などは、「え~~また?ミュゼ~~(博物館・美術館)?」などと言うほど、恐らくパリ中の博物館めぐりをしていたと思われます。 現在は、巨大なクジラの骨が正面入り口に展示され、地上階には、まるで大きな動物(マンモスやカバ、キリン、象などなど)が行進しているように置かれていて、天井は吹き抜けになっており、その四方を囲むように上階が広がっており、時間帯によって変化するライトが神秘的です。 昔の駅を思わせるような造りなのは、オルセー美術館などとも、共通する感じがあるのですが、やはり、自然史博物館ということで、動物が中心で、一つ一つの動物の解説などに、ビデオやゲームなどが取り付けられていて、小さな子供とともに家族で楽しみながら、動物の起源や習性、その生態などを楽しく学べるばかりでなく、大人がふらっと見て歩くのにも、美しく、デートコースとしても充分満足できそうな場所でもあり、実際にそんな感じのカップルもけっこういました。 ちょっと腰掛けることができるように置いてある皮張りの椅子なども、いちいち味わいの深いもので、歴史の余韻に浸ることができます。 現在は、常設展の他にネコ科の動物展を開催していて、猫好きの私としては、う~ん、勇ましいライオンもトラもネコみたいな動きやしぐさをする・・とか、逆に考えればうちの猫もライオンっぽいところがあるのかも?などと思いながら、楽しみました。 ネコ科の動物展の最後に展示されていたのは、まさかの大きな招き猫だったのも、日本人としては、見事なオチだったな・・と、ちょっと嬉しくなりました。 家族連れでも、デートでも、ちょっと行き場に困ったら、こんな博物館も楽しいかもしれません。🌟...

2023年9月4日月曜日

子供のお稽古事はどの程度、必要なのか?

   私が子供の頃、やっていたお稽古事は、ピアノくらいなもので、英語は習っていたというよりも、母が教えてくれていたので、お稽古事という感じではありませんでした。 まあ、時代も国も違うので、今の日本の子供たちがどんなお稽古事をしているのかはわかりませんが、お稽古事をさせる親の立場になってみると、フランスでは年度初めの9月に色々なスケジューの都合をつけて、申し込みをしたり。必要なものを揃えたりと忙しい時期でした。 なんといっても、私が娘にさせていた最優先にしていたお稽古事?は、日本語(公文)でした。パリの公文の教室は小学校のお休みに合わせて、水曜日と土曜日の午後、好きな時間に行って、みんながそれぞれの課題をやって、それぞれが学習している間を先生が見て下さり、帰りには宿題をもらって帰ってくるというものでした。 水曜日と土曜日の2日間を公文だけに時間を割いてしまうというのもキツいので、我が家は週1回だけ連れて行って、1週間分の宿題を頂いてくる感じでした。公文が大変だったのは、教室に連れていくことよりも、どちらかというと、その宿題を毎日やらせることで、私は仕事終わりに娘を迎えに行き、学校から帰ってくると私は食事の支度をしながら、公文の宿題を監督するという日々の繰り返しがなかなか根気がいることで、しかし、私は娘の日本語だけは、絶対にあきらめないと思っていたので、他のことは娘にうるさく言ったことはありませんでしたが、このルーティーンだけはけっこう頑なに守っていました。 フランスの小学校は、この学校以外のアクティビティーのためにということで、水曜日をお休みにしているのですが、実際にお稽古事などの他のアクティビティ・お稽古事などに時間を割いている子供の割合がどのくらいいるのだろうか?と疑問にも思います。 だいたい、小学生の場合は、どこへ行くにも送り迎えが必要で、送り迎えができない場合はお稽古事に行かせることもできないわけです。私は休日出勤したりした場合の代休は水曜日に充ててもらうようにしていましたが、さりとて、毎週毎週決まって水曜日に休めるわけでもなく、そうなると、水曜日に娘のお稽古事の予定を入れるわけにもいかなくて、どうしても、お稽古事は土曜日に集中することになり、土曜日には、もう一つやらせていたバレエと公文の教室のハシゴをしていました。 とにかく、平日の学校(月・火・木・金)は、16時半までで、その後は希望者にはエチュードという学校の宿題などを見てもらえる時間があり、それが18時まで、もう時間はいっぱいいっぱいで、他のお稽古事のための時間はありませんでしたし、それ以上、増やすつもりもありませんでした。 なので、私も水曜日が休める日は、多くの場合はプールに連れて行って、水泳は私が教えました。というと、聞こえはいい?のですが、娘はあっという間に泳げるようになったので、娘をプールに連れていくのは、私自身も泳ぎたかったことや、エネルギーがありあまっている娘をどうにかして、疲れさせることが目的でした。 バレエは私が小さい頃になんとなく憧れていたので、パリということもあり、また地域のバレエの教室の先生がなんとパリ・オペラ座のソロのダンサーだったというカッコいい先生で、こんな先生に教えてもらえるチャンスなんて、そうそうあることではない!と、娘が4歳くらいの時から通うことにしたのですが、娘はけっこう、気に入って、10年くらいはやっていたのではないでしょうか? 結局、お稽古事らしいことは、バレエと公文くらいのもので、それ以外は、学校で行った乗馬の合宿がきっかけで、春休みになると、乗馬の合宿に参加したりもしていましたが、これは、不定期なもので、挙句の果てには、もっと別のスポーツをやってみたいと、他のものに移行していきました。 夫が他界したこともあって、それ以降は、うんざりするほど多い学校のお休みは、とても私一人で面倒を見きれるものではなく、私がお休みをとれる1ヶ月程度を除いた彼女の学校のバカンスを、結局は、彼女がやりたいというスポーツの合宿で埋めることになり、結果的に後になってから考えれば、このおかげで彼女は乗馬、スキー、サーフィン、ダイビング、カヌー、ハイドロスピードなどなど、彼女の年齢にしたら考えられないほどたくさんの体験をすることができてきました。 お金もかかりましたが、それでも幸いなことにこれらの合宿に参加するための遺族補助金のようなものが国から出ていて、それでも、かなりの出費ではありましたが、私は娘に物を買い与える代わりにこれらの体験をさせることにお金を使いました。 具体的に何の役に立つというものでもありませんが、多すぎる学校のバカンス期間を休みがとり切れずに仕事に行っている母親を待って退屈しながら時間を過ごすのは、無駄だし、毒だと思っていたのです。 子供にしろ、大人にしろ、暇だったり、退屈したりしているとロクなことにはなりません。 娘のお稽古事に関して、一つだけちょっと残念に思うのは、私が小さいときから当たり前のように習っていたピアノを教え続けることができなかったことです。私自身が親からしてもらったことは、当然のように自分の子供にもしようと思って、私は彼女が小さいときにピアノを教え始めたのですが、どんなに走っても疲れない娘がピアノの練習となると、すぐに「手が痛くなってきちゃった・・」とか言い出すので、私は、この子は、そんなにピアノが好きではないんだろうな・・無理矢理やらせるのも労力の無駄・・と早々に辞めてしまったことです。 しかし、まあ思い返すに、私も仕事をしながらの子育てで、もうスケジュールはいっぱいいっぱいで、あれ以上はムリだったな・・とも思います。 子供の頃は、言語にしろ、スポーツにしろ、飲み込みが早くて、大人になってからやるよりも、ずっと効率もよいので、好き嫌い、向き不向きがわかるだけでもやってみるということは結構、大事で、どんなことにしても、子供の頃、若い頃に、ちょっとでもやったことがあるということは、その後、大人になってから、再開するにしても、ハードルが下がるものでもあります。 子供の個性によっても、様々な事情によっても、できること、できないことはありますが、色々なことを体験するという意味では、お稽古事は決して悪くはないかも・・と、思うのです。子供のお稽古事<関連記事>「子供のために使うお金 フランスのコロニー(子供の合宿・サマーキャンプ)」「パリ・オペラ座出身のバレエの先生 フランスの子供に人気のお稽古事」「お稽古事の向き不向きーピアノの鍵盤を数えて覚えようとした娘」「フランス人のパパの教育」「母の英語教育」「おたくのお嬢さんが刺されそうになりました!?・・バカンス中のサマーキャンプでの話」「柔道は意外とフランスに浸透しているスポーツ フランス人 女子柔道家 クラリス・アグベニェヌ金メダル...

2023年9月3日日曜日

世界が首をかしげる日本のマスコミ ジャニー喜多川性加害問題

   日本の大手マスコミの機能不全については、安倍元総理の銃撃事件の際の報道について、フランスでもかなり辛辣に取り上げ、目前に控えていた選挙が終わるまでは、犯人が元海上自衛隊員であったことを強調し、統一教会に恨みを持った人物であったことを公にせずに、日本の大手5大新聞が捜査当局が垂れ流した内容を真実性や臨場感がまるで感じられない全て同じ見出しの記事を一面トップで掲載したことに、これは、もはやマスコミとしての使命感やプライドを失っている状態で、「日本の主要メディアが卵の殻の上を歩いているようなものだ」と評していました。 この時も、すでに同時点で、統一教会の名前は、すでに初期の段階から、すでに地元のタブロイド紙や海外の新聞によって明らかにされていたにもかかわらず、これを大手新聞社、テレビ等のマスコミは選挙が終わるまでは報じずに、あたかも、取材やってます感をアピールさせるかのごとく、やたらとヘリコプターを飛ばしたり、全力で報道している姿勢を見せつつも、実際のところ、発表するのは、当局の発表どおりというていたらく。マスコミは機能不全に陥っているという見方です。 最近、公になりつつある「ジャニー喜多川の性加害問題」についても、過去に裁判で性加害が認められていたにもかかわらず、その後、ほぼ見て見ぬふりをし続けた同事務所はもちろんのこと、報道、追及しなかったマスコミ、警察も同罪で、この恐ろしい性加害は、裁判後も長く続くことになってしまいました。 今回の騒動に発展したのも、BBCが報道してくれたおかげで、それをきっかけに、性加害の犠牲者が顔出しで外国人記者クラブで記者会見したことで、しぶしぶ日本も報道を開始したようなもので、その後、国連までが動き出したことにより、とうとう報道しないわけにはいかなくなった感じで、日本国内での問題でも、海外に訴えなければ日本のマスコミは動かないということが露見したかたちになりました。 この事件がもし海外で起こったら、その企業に加担した企業はどうなるのか?どういう扱いを受けることになるのか? ...

2023年9月2日土曜日

日本のデパートの60年ぶりのストライキにフランス人もビックリ!

   私がフランスに来たばかりの頃、あまりのストライキの多さに私はあきれ返って、「気に入らないことがあるたびに、ストライキして、これでは駄々っ子みたいではないか!これがまかりとおるなんて・・」と憤懣としていました。 もちろん、誰もかれもがストライキができるわけではなく、公務員やそれに準ずる仕事に携わる人のストライキが多く、直接、一般市民が被害を被るのは公共交通機関や学校、病院くらいのもので(最近では、ゴミ収集やガソリンスタンドなんていうのもありましたが・・)、ストライキなんて、通用しないところだって、たくさんあるし、それこそ、そういう人こそ、やってられない・・と思っているのでしょう...

2023年9月1日金曜日

ダイアナ妃の命日 アルマ橋にある記念碑には、今もお花が絶えることはない

   8月31日という夏の終わりを告げるような日は、ダイアナ妃がパリでの悲劇的な事故で亡くなった日で、私もその日のことをぼんやりと覚えています。 なんとなく、ぼんやりと夏の終わりだった気がするものの、当時、私はアフリカに住んでいて、ほぼ一年中が夏のような暮らしだったのですが、8月ももう終わりという区切りのタイミングだったために、なんとなく、夏の終わりだったことを覚えているのです。 あの日は、家にいて、つけっぱなしになっていたテレビはたしか、CNNのニュースだったと思うのですが、何か別のことをしながら、見ていたというよりは、眺めていた感じだったので、突如、ダイアナ妃の映像に切り替わり、映像の下には、Diana...

2023年8月31日木曜日

夏のバカンスが終わると、続々と発表されるストライキの予告

  フランス人のデモやストライキの激しさは、今さら説明する必要もないくらい有名な話だと思われますが、バカンス(特に夏)を一年のメインイベントの一つとして捉えている(習慣づいている)フランス人にとっては、この時期のデモやストライキは、基本的には、お休みになります。 その年によって、よほどのムーブメントがあった場合(黄色いベスト運動の時やワクチンパスポート反対の時など)には、夏まで引きずったこともありましたが、例年は、わりときっぱり、あっさり、夏の間はみんながバカンスに散っていきます。 ワクチンパスポートの時は、感染拡大予防のために、ワクチン接種を早急に浸透させるために、バカンスを人質にとり、夏のバカンスシーズン直前に、ワクチンパスポートがないと、長距離移動の公共交通機関に乗車できないとかイベント会場に入場できない、外食できないなどの規制ができたために、発表当時は、大変な反対の声が上がり、大きなデモが起こりましたが、結果的には、「あれこれ言っていないで、さっさとワクチンでも何でも打って、バカンスに行きたい!」と思う人が多かったようで、いつの間にか、このデモも鎮まり、何より、ワクチン接種があっという間に進んだという経緯がありました。 ということは、やっぱり、何よりもバカンスファーストの国なわけです。 今年は、年初から、年金問題のデモやストライキ、そして、警察官の発砲事件による未成年者死亡事故をきっかけにしたデモから大きな暴動が起こり続けていましたが、そのどちらも夏まで引きずることはなく、夏のバカンスの期間は大きなデモやストライキはありませんでした。 何よりも、パリは特に、バカンス期間中は多くの住民が出払ってしまうので、あまりストライキをしても、そもそも人が少ないのですから、あまり影響はなく意味もないのです。 そんなわけで、夏のバカンス期間があけて、新年度が始まるとともに、学校や仕事も再開されると同時にストライキも再開されます。下手をすると、夏のバカンス前に9月のストライキの日時の予告をして、バカンスに突入する機関もあるくらいです。本当にちゃっかりしています。 現在、聞いているだけでも、9月7日にSAMU(救急隊)のデモ、8日のラグビーワールドカップ開幕戦(スタット・ド・フランス)の当日のRATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)のストライキなどが発表されており、今後も続々と出てくるのではないかと予想されます。 日本人からすれば、考えられないほどの長期間の夏のバカンスをとった後に、すっかりリフレッシュして、さあ仕事!と思いきや、ストライキですから、もうある意味、突き抜けているというか、極めているというか、もう見事なものです。 もちろん、こんなことができるのは、一部の企業や機関のことではありますが、夏のバカンスの後のストライキ、これもまた、ある意味、フランスの風物詩のような感もあるくらいです。 来年の夏は、パリでオリンピックが行われるために、確実にいつもと違う夏を迎えることになると思われるフランスですが、一体、どんなイレギュラーなことになるのか?不安なような、楽しみなような気持ちです。 まさか、オリンピックの最中にストライキ?なんてことはないと思いたいのですが、このオリンピックを妨害したい人々がボランティアに紛れ込んでいて、彼らが一斉にボランティアの仕事をボイコットする・・なんていう計画というか、噂もあるのです。 フランス人恐るべしです。バカンス後、9月はストライキ<関連記事>「メトロ6号線の死亡事故 運転手の過失致死起訴に同僚が抗議のデモとストライキ」「年金改革交付後...

2023年8月30日水曜日

福島の放射能汚染水と中国人に対する非難について

   日本が福島原発の処理水を海に放出することを発表した後に、中国がこれを強く非難し、その報復措置として、日本からの水産物全面禁輸を発表しました。日本政府は、この放射能汚染水は、安全性が保たれる希釈措置が取られているものであることを強調しているので、専門家が多くの資料や実験などで検討した結果であるだろうし、それを信頼する以外にありません。 この日本の放射能汚染水の処理について、フランスはどんなにか騒ぐだろうか?と思いきや、遠いこともあるのか、また、原子力発電を日本よりもよっぽど多く活用しているフランスは、他人様のことを言える立場でもないのかもしれないし、国際的な安全性の基準内(国際...