2023年8月27日日曜日

海外在住者の老後 日日(日本人同士)カップルも帰国しない人が増えているらしい・・

  


 私は、そんなに日本人の知り合いが多いわけではないのですが、それでも四半世紀以上もパリに住んでいると、少しは日本人の友人(在仏)もいて、まあ、だいたい似通った年頃か、もしくは、私よりも年上の人が多いので、日本にいる親の介護の話とか、仕事を引退してからはどうするとか? そんな話題も少なくありません。

 どちらかというと、日本人以外のパートナーを持っている人が多く、また、こちらで、アパートや家を買ってしまっている人は、おそらく、老後もこのままフランスで過ごすつもりなのだと思いますし、もうすでに、引退した生活が始まっている人もいます。

 なかでも、独身を通してきた人などは、自分の住まいを縮小して、かなり整理したりして、自分にもしものことがあった場合、日本の家族(といっても、両親はすでにいないために、自分の兄弟やその子供たち)に後のことを頼み、遺言書まで用意して、また、必要な手続きをできるだけスムーズにできるように準備している人までいます。

 私の周囲では、珍しい日日(日本人同士)のカップルは、一応、こちらでアパートを購入し(まだローンが残っていると言っていたけど・・)、「将来は、2人で日本に帰るかもしれない・・」と、以前から話していたのですが、ここのところ、「う~ん・・どうも、あんまり日本には、帰りたくない気がしてきた・・」と言い出しています。

 どちらにしても、まだ、引退しているわけでもないし、決定事項ではないようなのですが、彼女の周囲には、他にも、日日カップルがいるらしく、彼らも、以前は「将来、老後は日本に帰ると言っていたのに、帰らないと言い出した・・」そうで、日本での老後の生活に不安要素が増えたというか、あまり、魅力を感じなくなってしまったというところでしょうか・・。

 日本とフランスの間には、相互の年金を合算して計算してもらうこともできるという協定があるらしく(具体的には、まだ調べていませんが・・)、フランスで働いた分の年金を日本で働いた分と合算して受け取ることもできるようなので、そもそも日本で生まれ育った日本人同士のカップルならば、老後、病気になったり、弱ったりしてきたら、食べ物だって、なんだって、日本人として、やっぱり日本の方が安心と思うのも当然のような気もするのです。

 日本は、どこも清潔で、治安もよくて(海外と比較しての話)、きちんとしていて、何より、生まれ育った我が国は安心だという気持ちは多々あります。

 しかし、長くフランスで生活してきた生活習慣や、また、現在のそれぞれの国のありようを比べて、日本への帰国に二の足を踏んでしまう気持ちもわからないではありません。

 フランスで生活していくために、自分をフランスでの生活に順応させていくうちに、自分自身の行動や、考え方なども変わってしまっているところもあります。

 フランスでは、外国人であるとはいえ、正当な権利をもって(ビザを持って)生活している以上、ほぼ、フランス人と同様の社会保障が受けられます。税金も高いですが、それなりの保障に還元されている気がします。特に、最も弱い立場に陥った場合には、優しい国だと思います。

 もはや、日本の事情の方に疎くなってしまっているところもあるのですが、日本には、それがあるのかどうかが、甚だ疑問でもあります。

 そもそも、歳をとってから、生活環境を変えるというのは、大変なことで、しかも、国をまたいで・・となれば、なおさらのことです。

 私自身もまだ、将来、どうするのかは決めてはいませんが、今のところは、どこに住むか、どこで死ぬかというより、とにかく少しずつ片付けるように心がける・・くらいしかしておらず、今のところは、国というよりも、とりあえずは、今、住んでいる家(アパート)(決して豪華でもないし、きれいなところでもないのですが・・)の自分の空間が心地よいので、今は、動くつもりはありません。

 「猫は、家につく」というように、私も今のところは、この家が気に入っているのでここにいたい・・そんな感じです。

 しかし、老後は日本に帰ると決めていた日本人たちが、こぞって、「日本には帰りたくなくなった・・」と言いだしたのは、ここ20~30年の日本の国の変わりようもあるのかもしれないと、なんとなく、「やっぱり・・」と、うなずける部分もある気がしているのです。


日本での老後生活


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2023年8月26日土曜日

超人気のセドリック グロレのクロワッサンを買うのは大変 Cédric Grolét Opéra

  


 ずっと気になっていたセドリックグロレ(Cédric Grolét Opéra)というパティスリーがあって、いつ通りかかっても(といっても、そんなに頻繁に通るわけでもないけど・・)、長蛇の列ができていて、なんだか、いかにもインスタ映えしそうな可愛らしい店構えのお店で、そのうち、ブームが過ぎて、空いてきたら行ってみようと思っていました。

 なにやら、ホテル・ムーリスの世界的に有名なスターシェフがやっているお店だとかで、クロワッサンにしても、ケーキにしても、美しく麗しいことこのうえないのですが、食べてみないことには、どんなふうに良いのかもわかりません。

 サイトを見ると、予約することもできるのですが、それはケーキだけで、クロワッサンやヴィエノワズリーは、予約はできません。

 知人からも、「やっぱり美味しいよ!あそこのクロワッサン!」などと聞いていたのも、私を突き動かすきっかけともなりました。

 もうそろそろ、夏のバカンスシーズンも終わりに近づいてきて、ふと、「バカンス期間中の今だったら、そんなに並んでいないかもしれない!」と急に思い立ち、行ってみることにしました。

 まだ、午前中だったし、我が家からもそんなに遠くもないし・・と思って出かけたのですが、私の思いつきは、全く甘い考えで、やっぱり結構な行列ができていました。私がお店に到着したのは、11時頃、行列を整理するために張られたロープの先には、「クロワッサン等のヴィエノワズリーは午前中、12時までです」と書かれていたので、私はそれを見て内心、「セーフ!やった~!」と思っていました。 

 それから行列に並ぶこと約40分、ようやく店内に入れましたが、すでにクロワッサンもパン・オ・ショコラも売り切れで、思いっきりガッカリし、「え~~!売り切れだとわかっていたら、並ばなかったのに~~!先に言ってよ~~!」と思いましたが、これだけ並んで手ぶらで帰るのも悔しく、まだ、かろうじて存在していたヴィエノワズリーの一つである、シナモンを使ったヴィエノワズリーを一つ買って(12ユーロ)、帰ってきました。もはやこの値段、ふつうのヴィエノワズリー一つの値段ではありません。(ちなみにここのケーキも小さい一人用の大きさのケーキ一つの値段の平均は17ユーロというビックリ価格です!)




 こうなってくると、普段、並んで何かを買い物をしたりすることは、まずない私も、ちょっと意地になってきて、是が非でもクロワッサンをゲットしたくなり、お店で明日の開店時間を確認して、次回は開店時間に行こう!とその日は、家に戻りました。

 買って帰ったシナモンのヴィエノワズリーは、想像以上にかなり美味しく、こうなってくると、余計に期待も高まります。

 翌日は、開店時間に行ったのですが、すでに、昨日同様の長蛇の列、このような行列に慣れていない私は全くもって、甘かったのです。行列ができるなら、開店時間の前から並ばなければいけないのです。

 お店を覗いてみれば、今日はしっかりウィンドーから見えるところに麗しいパン・オ・ショコラが並んでいます。しかし、行列は、昨日以上に凄まじく、私の手前に並んでいた人が行列を時々、整理しにくる男性に、「昨日は、さんざん並んでクロワッサン1個しか買えなかったんだけど、今日は大丈夫?」などと言って、結局、怒って帰ってしまったりしたので、「並んでいるからといって、必ずしも買えるとは限らないんだ・・」と思いながら、少しずつ行列の前に進んでいきながらも、ショーウィンドーに並んでいるクロワッサンを確認しつつ、「まだあるある・・」と思いながら、行列に並んでいる人の様子を眺めながら、ひたすら順番を待つこと約1時間半くらい・・ようやく中に入れて、無事、クロワッサン、パン・オ・ショコラ等、4種類のヴィエノワズリーをゲットしてきました。


この4つで31ユーロでした! 高いけど、それなりの感動が・・!


 我ながら、ちょっとバカらしいと思いつつも、一応、念願を果たし、まあ、キレイなお金がかかっていそうな包みと紙袋に包まれたパンを持って家に帰りました。

 せっかくだからと、クロワッサンとパン・オ・ショコラはちょっとだけオーブンで温めて食べましたが、苦労が報われる素晴らしい味で、ちょっと冷めてからは、むしろ、本来の味わいを深く感じたというのも、皮肉な感じでもありますが、クロワッサンにありがちな、バターの油が染み出してしまう感じがなく、思っていた以上にさっぱりとしていて、それでいて、口の中に入れたときに、鼻から感じる風味までが素晴らしく、思わず一人で「う~ん!納得!」と満足しました。

お見事すぎてパンオショコラには見えない


 また、どこのチョコレートを使っているのかはわかりませんが、パン・オ・ショコラのチョコレートの香りもすばらしく、あっという間にペロッといってしまいそうになりました。あんなにならんだのに、食べてしまうのは一瞬です。

 しかし、これだけ行列ができるからといって、クロワッサンだって、ヴィエノワズリーだって、一日中、売っていたってよさそうなところを無理はせず、品質は落とさず、逆に商品価値を上げてしまうあたり、なかなかな手腕、同じ通りの並びにあるPAULには、「クロワッサン3つ買ったら1つおまけ」の看板が立っていて、なんだかちょっとPAULが気の毒な気になったくらいです。

 また、紙袋もさることながら、お店のデコレーションもどこから撮っても映えるようにデザインされていて、買い物をする人はほぼ100%写真を撮っていました。

 また、このお客さん、どうやら、観光客もかなりの割合で、含まれているようで、数日しかパリにいない僅かな時間をこの行列に割くのか・・と、不思議な気もしましたが、パリに来て、ぜひ、行きたい場所がパティスリーというのも、楽しいことなのかもしれません。

 こうしてやってきたお客さんたちが、SNS等で拡散して宣伝してくれるのですから、バカンス中でパリの住民が少ないからといって、お客さんが全然、減らないわけです。

 この分だと、当分、この行列はバカンス期間関係なしに、当分、短くなることは、なさそうです。

 しかし、また、この行列に並んでまで買いたいかというと、それは御免被りたいところ、パリには、まだまだ、私が食べたことがない美味しいものがたくさんあるのです。

 でも、とりあえずは、話題の?大人気のクロワッサンを一度は食べられたことにとっても満足しています。これだけ感動できるクロワッサンもなかなかないかも・・。


⭐️ Cédric Grolét Opéra

     35 Avenue de l'Opéra 75002 Paris


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2023年8月25日金曜日

10年間で半数が退職してしまう公立病院の看護師不足

  


 公立病院の看護師としてのキャリアをスタートした人々の約半数は、10年後には退職しているという深刻な看護師不足が数字で表れている結果が発表されています。

 しかも、この数字には、コロナウィルスによるパンデミックのための退職者は含まれていないということなので、現状は、さらに酷いことになっているかもしれません。

 昔、まだ私が日本にいた頃に、3K(きつい、汚い、危険)などと言われる仕事の人出不足が叫ばれていた覚えがありますが、フランスでも、まさに看護師という仕事は、この3Kに当てはまるのではないかと思います。

 しかも、慢性的な人出不足のために、個々の仕事の負担が重くなることから、ますます、きつい仕事となり、志を持って資格まで取得して就いた仕事を続けられなくなってしまうという残念な悪循環が続いているようです。

 現在の日本の状況はよくわかりませんが、そもそも、フランス人は、というか、今の世代の人々は特に、退職や転職というものをあまり否定的にはとらえていない印象があり、その中でも、特別な資格を必要とする看護師のような職業ならば、本来ならば、退職者、転職者は他の仕事に比べて少なそうなイメージがないこともないのですが、それが、逆に他の職業よりも多いということは、やっぱり、それでもなお、耐えられない、やってられない・・と思うことが多いのかもしれません。

 そのうえ、大変な仕事のわりには、低賃金であるということが、さらに退職・転職増加に拍車をかけています。

 彼ら(彼女ら)は、同じ仕事でもフランスよりも高賃金のスイスやルクセンブルクに転職したり、医療検査機関や、高齢者施設などに転職するか?全く別の仕事に就くか、彼らにとっては、むしろ、一般の人よりも選択肢はたくさんあるのです。

 以前、医者不足のために、定年後も医者に働いてもらうためのシステムなどが、提案されていた話がありましたが、医療全般にわたって、医者も看護師も足りないという危機的状況のようです。

 この看護師不足の数字から算定すると、年間40,000人の新卒採用が必要と見られていますが、実際には、看護師を志しても、看護学生の20%は、仕事に就く前に断念しているのが現状だそうで、どうにも壁が高そうです。

 皮肉なことに、この看護師不足、学生の段階から看護師の道を断念してしまうのは、インターシップのシステムによる職業体験がひと役買っているようで、学生の立場からすれば、実際にどっぷりつかってしまう前に方向転換するならば、できるだけ早い段階の方がよいのかもしれませんが、実際の現場での職業体験で、将来の労働条件を如実に知ることになり、学業を放棄する学生の数は、10年間で3倍に増加したと言われています。

 私は、幸いなことに、自分自身は、これまでフランスの病院に入院したことはありませんが、夫や友人などが入院した際のことを思い出す限り、あまりよい印象はなく、出来ればお世話になりたくないとは思っていますが、こればかりは、もしもの時には、仕方ありません。

 しかし、一般の企業などから、考えれば、患者さん(お客さん)は溢れるほどいるのに、看護師に充分な賃金も払えず、その病院が上手く回らないというのは、やはりお金の回し方がおかしいということで、病院経営については、よくわかりませんが、単純に考えれば、こんなに次から次へとお客さんが来る仕事もないのに・・などと素人は考えてしまいます。


深刻なフランスの看護師不足


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2023年8月24日木曜日

人種差別問題はけっこう厄介

   


 人種差別というのは、非常にデリケートな話題でもあるし、色々な種類の人種差別があるので、ひとくちに語ることはできません。

 しかし、人種差別というのは、確実に存在するし、表面的には、差別などないようにふるまっている人々の中にも差別意識というのは、潜んでいる場合も多々あります。

 特にアフリカに住んでいた時などは、外地から転勤してきている人々は、ボーイさんやメイドさんなどを雇わなければならないので、自ずと現地の人との間に主従関係ができるわけですが、その現地の人々を雇用するにあたっての対応というか応対というか、その接し方があまりに露骨にかつての歴史を引きずっている感じで、我が夫も含めて、フランス人ってスゴい(あまり良い意味ではない)なぁ・・と最初はちょっと引いてしまう感じがしました。

 そこらへんは、日本人などは、妙なもんですが、ボーイさんたちにも名前にさん付けでよんでいたりする人もいたりして、これはこれで、逆に舐められ切っているのでは・・と感じないでもありませんでした。

 パリに来てからは、そこまで露骨な主従関係には、遭遇しないものの、今度は下手をすると、私とて、アジア人ということで、差別を受けかねないところもあり、まあ、私などの暮らす狭い世界では、ごくごく限られた人としか接することがないので、日本人(アジア人)だからと差別されたと感じたことはほとんどありません。

 むしろ、外国人が多すぎて、そもそも純粋なフランス人という方が少ないような気がするので、いちいち人種差別しているわけにもいかないのでしょうが、外国人として生きるには、日本にいる外国人の方が違和感にさらされているかもしれません。

 私は、ごくごく親しい人くらいしか、プライベートでは付き合いがなくて、例えば、職場などでも、仕事が終わるとすぐに子供を迎えに行って、休みの日は子供のお稽古事や買い物や家事、家族と過ごすでいっぱいいっぱいで、長い間、個人的な友達付き合いというものをする時間もなかったので、職場の同僚などとの付き合いもプライベートはほとんどしてきませんでした。

 なので、彼ら(彼女ら)とは、仕事上の付き合いのみで、分け隔てなく、どんな人種の人とも同じように接してきたつもりではありますが、その中に、ハイチ出身の女性がいて、普段、雑談をしていたりする時は、ふつうに接しているのに、何か注意されたりすると、すぐに「レイシストだ!人種差別だ!」と騒ぎだす女性がいました。

 単に正当な注意をしているだけなのに、そう言われてしまうと、「そういうことではないでしょ!単にあなたのしていることに対しての話をしているだけでしょ!」と言っても、もう彼女はかなり感情的になっていて、全く受けつけず、こちらの方が諦めるしかなく、むしろ、「なんでもそれで片付けようとする方がズルいではないか・・」などと思ったものでした。

 これだけ異様に反応するのも、これを便利な言い訳として使っているのでなければ、よほど差別に対する被害者意識が沁み込んでいるのか?と、半分は気の毒な気にもなります。

 ふだんは、彼女も一人でお嬢さんを育ててきたこともあって、一人で子育てをしていた私には、娘の話をしたり、写真を見せたりすると、娘の成長をとても喜んでくれていて、職場の人間関係としては良好な方だと思っていました。

 そうして、「レイシストだ!」などと、騒いだりしても、結局のところ、彼女もそれを引きずるわけではなく、しばらくすると、何事もなかったようにもと通りになるので、こちらも、いつの間にか忘れているのですが、たまに、彼女の口から出てくる「レイシストだ!」という言葉には、逆にモヤモヤする気持ちがするのでした。


人種差別 レイシスト


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2023年8月23日水曜日

ハードディスカウントショップ・激安店で思う子供のしつけ

  


 最近、我が家の近所のコマーシャルセンターにACTION(アクション)というハードディスカウントショップ・激安店ができて、想像以上に人気で、結構、繁盛しています。

 コマーシャルセンター自体が衰退の一途を辿っていて、どんどんテナントに入っていたお店が撤退して、どこにでもあるH&Mなどの洋服屋さんや、かなり大手のチェーン展開をしている美容院や、子供服のお店や、家電といえば、フランスでは、1強?と思われていたDARTYもなくなり、ついには、マクドナルドまでなくなり、どんどん空きスペースが増えて、「ここ、本当にどうなっちゃうんだろう?」と思っていました。

 いくら、家賃を下げてでも、スペースを空けておくよりはマシだろうとは思うのですが、チェーン展開のお店とて、店舗を開けておくことは、人件費もかかり、ストックも抱えるということで、この厳しいご時世、致し方ないことなのかもしれません。

 そんな中、このコマーシャルセンターに登場したACTION(アクション)は、ちょっと日本で初めて100均に行った時のような感動の安さで、このインフレのご時世には、ぴったり合ったお店なのかもしれません。

 このコマーシャルセンターにはカーフールも入っており、まあ、食料品やそこそこのものは、たいてい揃うので、このコマーシャルセンター=カーフール・・というような感じでもあったのですが、最近は、もしかしたら、ACTIONの方が人が入っているかも?と思うくらい人気で、ACTION目当てで、やってくる人も多い気がしています。

 この ACTION、徹底的に経費を抑えての経営でも有名で、商品は過剰在庫や倒産した会社の商品、売れ残り商品など、機会に応じた買収を優先する購買戦略や余分な店内装飾や人員も最低限に抑えていることでも有名なのですが、恐らく、この場所が選ばれたのも、そこそこの場所にこれだけ空きスペースを抱えているコマーシャルセンターの賃料も相当、値切り交渉が行われたのではないのか?と睨んでいます。

 この店舗のおかげで、結果的に集客は増えているので、また、別の空きスペースに店舗が入り始めているのも事実です。

 しかし、ハードディスカウントショップ・激安店だけに、集まってくる人の層が少々、これまでと違う客層も混ざっていることも事実で、けっこう、ヤバい感じの少年少女、小さい子供連れの親子でも、やたらと大きな声で子供を𠮟りつける光景なども、このお店の店内や周辺では見かけるようになりました。

 激安店ですから、いわゆる底辺層の人も集まってくるのは、当然の話ではありますが、彼らに共通するのは、子供にやたらと大声で急き立てたり、叱りつけたりすることで、まだ、パリに来る前に住んでいたパリ近郊の街にいた頃に娘が通っていた幼稚園には、そんな親がけっこういたことを思い出しました。

 やたらと大きな声で外で四六時中、子供を叱りつけているのが、こういう人たち(こういう人たちという言い方は失礼とは思うのですが・・)に共通するところで、子供たちが騒いで、はしゃぎまわっているとか、そういうことではないのですが、「早くしなさい!」とか、「静かにしなさい!」大したことではないことに、やたらと親が大声をあげるのです。

 はたから見ていると、「叱りつけている親の方がうるさいけど・・」などと思うのですが、そういった子供たちの反応を見る限り、もう怒鳴られても何とも思っていないようで、つまり、無限ループのようにそれが続いているようで、結局は子供たちもそれに慣れてしまっており、全くしつけになっていないのではないか?などと、思ってしまうのです。

 今の住まいに引っ越してから、娘を通わせていた学校では、とんと、この手の親子に遭遇してこなかったので、なんだか、久しぶりにこういう親子を見た気がしたのです。

 以前に、日本で水族館に行ったとき、子供が泣いたり、騒いだりしていても、親が放置していることに驚いたことがありましたが、だからといって、子供を大声で叱りつければいいというものでもないのにな・・などと、久しぶりに見かけるようになったこのような親子を見て、子育てって難しいもんだな・・この違いはどこから来るのだろうか?と思うのでした。


子供のしつけ


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2023年8月22日火曜日

パリのデパート 私はボン・マルシェを侮っていた・・

 


 私はそもそも、ショッピングというものが、あまり好きではなくて、ましてやデパートで買い物をするなどということは、まずないことで、パリでも滅多にデパートに行くことはありません。

 それでも、ごくごくたまにノエルのデコレーションを見がてらだったり、近くまで行った時にチラッと寄るのは、デパートでも食料品売り場くらいなものです。

 つまり、私がたまにふら~っと見て歩くのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館くらいなもので、本館の方は、グルメ館に行くまでの道すがら、外ではなく、本館の中を通り、名だたるブランド物のお店が並んでいる間を横目で眺めながら、相変わらず、ルイヴィトンはすごい行列だ・・とか、セリーヌは今年、こんな感じの新作を出しているのか・・とか思いながら、本当に通り過ぎるだけです。

 パリのデパートといえば、ギャラリーラファイエット、プランタン、そして、サマリテーヌ、ボンマルシェ・・くらいでしょうか?

 中でもやはり、知名度が高く、実際に店舗も多いのはギャラリーラファイエットやプランタンですが、その両巨頭でさえも、相変わらずの人出で賑わっているのは、パリのオスマン通りにある店舗くらいなもので、地方都市にある店舗は業績不振でパンデミック後にけっこうな店舗が閉店となり、縮小されています。

 そもそもGLFのグルメ館にしても、けっこう良い(値段も品物も)ものが集まっているので、効率よく買い物ができるし、また、これまで知らなかった美味しいものを新たに発見できる場所でもあり、たまに覗いてみようと思うのですが、それも、たまたま他のデパートよりも、場所的に我が家からは行き易いというだけの話です。

 先日、たまたまボンマルシェに行く機会があり、「まあ、たまにはいいか・・」くらいの気持ちで、やはりギャラリーラファイエットに行く時のように、グルメ館に行くまでの道をデパートの中を通った方が涼しいし・・くらいの気持ちで本館の方に入ったら、思いのほか、なんとなく、ギャラリーラファイエットよりも、多少、人出が少ないこともあるのか、店内もゆったりとしていて、見やすく、デパート自体のレイアウトやデコレーションを楽しむのであれば、若干、寂しい気もしないでもありませんが、ここはここなりの美しさがあり、なんか、あらためて、「ボンマルシェも悪くないな・・」という気になったのです。



 グルメ館の方へ行くと、なんだか、今や、珍しく感じるようになった日本人観光客と数回すれ違い、「あらら、ここには、日本人がいるんだ・・」と思ったと同時に、なんだか、スターのパティシエのお店が全面に出ているギャラリーラファイエットのグルメ館よりも、スペースも広いこともあるのか、品揃えが多く、また、よりお土産に良さそうなものが多くて、なるほど、日本に住んでいる日本人の方がよくパリを知っているんだな・・と感心した次第です。


 私が、ちょっと嬉しかったのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館からは、なぜか撤退して姿を消してしまったBellota Bellota(ベロータベロータ)の生ハムがこちらでは、まだまだ生き残って、イートインのスペースまであって存在していることでした。

 しかし、どちらにせよ、食料品とはいえ、高級品を中心に扱っているだけあって、なんだか、以前に来た時と比べると、値段の高騰がものすごい気がして、「え~?これって、こんなに高かったっけ?」とそれこそ目玉が飛び出る気がしたのでした。


オリジナルのエコバッグもけっこう可愛い


ちょっとおしゃれかも?と思ったキッチンペーパーホルダー


 それでも、食べることの大好きな私、山のような食料品を見て歩くのは、楽しいことで、見飽きることはなく、特に何を買おうというわけでもないのに、ぐるぐる歩き回り、お店を出た時には、身体が冷え切った気がしたくらいです。けっこうな時間、ぐるぐる歩いていたとはいえ、パリで身体が冷えるほどの冷房が効いている場所といのもそうそうあるわけではなく、夏の暑い間はここを散歩して歩くのも悪くないな・・などと、思ったくらいです。

 とはいえ、日常の食生活は、そんなに高級品を食べているわけでもなく、あまり縁がある場所とも思えないのではありますが、日本から友人が来ることがあったら、食料品関係のお土産を探すなら、ボンマルシェはいいかもよ・・とおススメしたい気持ちになりました。


パリのデパート ボンマルシェ


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2023年8月21日月曜日

数度にわたる殺害予告の末、逮捕・拘留も、釈放され、元パートナーを殺害した男

  


 今年の1月以来、殺害の脅迫を受けていた女性が予告どおりに殺害される痛ましい事件が起こっています。どうやら、この殺害の脅迫は、けんかや口論の末、「殺してやる!」などという軽口をたたいていたようなものではなく、本気の殺害の脅迫だったことは、脅迫を受け続けていた彼女が警察(憲兵隊)に届け出た際の証言や、彼女が周囲に助けを求めていた緊迫した状況などからも容易に想像することができます。

 彼女は5年前に配偶者とともに、パリからギャリアックス(オクシタニー地域圏)の小さな田舎町に転居していました。事件はそこで起こりました。

 今年の初めから続いていた元パートナーの殺害予告に6月半ばに彼女は警察に被害届を提出していました。捜査が進まず、なかなか対応がとられない状況に彼女は業を煮やして、再び、警察を訪れると、「事情聴取した人物がバカンス中」ということで「担当の者が戻ったら捜査を再開する」と言われます。

 このあたりは、フランスでは、さもありなんという気もします。

 その後、彼女は度重なる暴力や脅迫に怯えながら暮らしていましたが、彼が眠り込んでいる隙に、友人宅へ避難し、そこから、再び通報し、ついに彼の家は、憲兵隊によって包囲され、家からは、銃器4丁が押収され、彼は警察に拘留されました。

 この男、大変、粗暴なうえに、アルコール依存症で、精神病院に一度は強制入院させられたものの、彼は、彼女への殺害脅迫の事実を認め、11月の裁判の日程が決まると、精神科の医師の判断で、釈放されてしまいます。

 このあたりが恐ろしいところで、一旦、逮捕されても、事実を認め、裁判の日程が決まるとそれがたとえ、殺害を脅迫している人物であっても釈放されてしまうというのは、意味がわかりません。

 それからわずか、3日後、彼女は再び彼に殺害の脅迫を受けながら、彼から逃げようと足を引きずりながら走っているところを地域住民が目撃し、通報しましたが、この犯人の男は、隣人の助けを求めようとベルを鳴らしている彼女に車ごとぶつかっていき、車は一度彼女を家の門に叩きつけたのち、もう一度、車をバックさせてから、再度、彼女を押しつぶすという残酷な行為に至り、彼女を死に至らしました。

 その後、この男は、家と車に火を放ち、銃により自殺を図り、重症を負ったと言われています。しかし、皮肉なことに、この男は一命をとりとめています。

 まったく、映画やドラマにしても、これほど激しい結末は、なかなかないほどの狂暴さですが、これがひどく残念なことは、こんな結末は、対応如何によっては、避けることができたであろうことです。

 フランスの法律がよほどのことでない限り、逮捕後、長期にわたる拘留ができないのがふつうだということなのだと思いますが、それにしても、これだけ狂暴な男が、何よりも殺害の脅迫をしていた人間を解放してしまうというのは、全くもって解せない話です。

 フランスは、どうにも、釈放してはいけない人を釈放してしまい、事件に繋がる話が多い気がします。

 愛憎というのは、表裏一体と言いますが、愛情を持った相手に対しては、憎悪の気持ちも大きくなりがちなようで、どちらにしても、激しく感情が動くということです。ましてや、この男のように、精神に異常をきたしている場合は、型通りに釈放するというのは、あまりに無責任な話です。

 フランスでは、パートナー、あるいは、元パートナーによる暴力や殺人事件は、珍しくはない事件ですが、これらの事件に共通していることは、ちょっと想像を逸脱するほどの狂暴さで、執拗に追い回し続けることです。

 2022年には、フランスでは112人の女性が夫や元夫、パートナーにより殺されています。今年に入ってからは、彼女は76人目の被害者だそうです。

 彼女の家族は司法捜査の甘さを指摘しており、また、助けを求められていた友人も彼女が泣きながら、「彼は本気で私を殺そうとしている!」と訴えていた姿が忘れられないと語っており、周囲の人たちに遺恨を残しているのは、犯人の残酷な犯行だけではなく、警察の対応如何によってはこんなことにはならなかったという思いだと思うのです。


パートナーによる女性への暴力 殺人事件


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