2023年8月1日火曜日

夏のバカンス期間にプールを閉めないでください・・

 


 最近、健康のため、できるだけ歩き、少なくとも週に1度は泳ぐようにしており、夏の暑い間は、外を歩くのもキツいので、その分、週1と言わずに、もう少し泳ぐつもりでいました。

 幸か不幸か、今のところ、今年のパリは異常気象か、夏とは思えないほどに、少々、寒いかなと思うくらい涼しくて、その代わりに天気の悪い日が多く、例年よりは湿度が高い気がします。

 私が普段、通っている近所の市営プールは以前は、夏のバカンス時にはバカンスでお休みという信じられないプールで、しかも、長い間、工事のために5年くらい閉まっていて、もう無期限に工事が続くのかと半ばあきらめていました。

 パンデミックを挟んで、もうプールのことなど忘れていた頃に、ようやくリニューアルされてオープンしたのが昨年の夏のことで、夏の間も営業していました。私は、ヤレヤレ・・どうやら、これだけの期間を経て、ようやく再スタートをきったので、さすがに、今どき、バカンス期間中だからといって、夏休みをとるプールという非常識なことはやめたんだなと思っていました。

 夏のバカンス期間中は、パリ市内は、バカンスに出る人が多く、なんとなく街中も空いてくるため、この期間は休業するお店やレストランなども少なくないのですが、さすがにプールは別です。本来は、プールは夏まっさかりの時に行くものです。

 しかも政府は格差による不公平を是正するとかいっているので、バカンスには行けない子供たちだってたくさんいるというのに、せめて、プールくらいは夏の間も閉めないという方向がふつうだと思うのですが・・。

 ところが、昨年、夏休まなくなったのは、オープンした直後だったためで、昨日、プールに行ってみるとなんとクローズ・・しかも、1ヶ月間。一応、工事のため・・と書いてはありましたが、まだリニューアルオープンして1年ほどのピカピカ状態ゆえ、1ヶ月間の工事が必要な状態だとは、全く信じられない話で、絶対ウソ!しかも、先週に行ったときには、全く一ヶ月間休業のアナウンスも張り紙も告知もなく、今もサイト上はオープンしていることになっています。

 おそらく、抗議の声があがることを避けるために、あまり前もってはアナウンスしなかったと思われます。きたないぞ!

 今年の夏は、頑張って泳いで、痩せるぞ~!と張り切って、50回分もチャージしていた私は、ガックリ・・。

 どうにもここのプールの運営体制は、古いフランスのしきたり?から抜け出せない人が関わっているようで、夏にバカンスをとるだけでなく、通常でも昼休みの時間は閉めて休んでしまうという何時代?というような体質。

 屋内プールゆえ、冬もやっているとはいえ、夏の暑いときに泳ぎたいと思う人は多いはず。(今年は今のところ、暑くないけど・・)

 昨年の夏は、猛暑の中、ストライキをするプールが続出したのにも、驚きましたが、ストライキどころか、工事ということにして、やっぱり夏休みをとってしまうプールには、もっとウンザリです。

 市営ゆえ、儲けようとしていないことはわかりますが、少しでも使いやすいようにとか、よりよいサービスを・・とか考えないのは、いかにもお役所仕事。昼休みだって、夏のバカンスだって、スタッフ全員が同じ時間や時期に休まなくても、少しずつずらしてとれば解決する問題。

 そういうところは、フランスも少しは変わってきたと思っていたのに、やっぱり相変わらずのところは、全くウンザリします。

 この1ヶ月間、私が太ったら、プールのせいです。


市営プール夏休業


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2023年7月31日月曜日

日本にいる親友からの訃報

  



 昨日、日本にいる親友から訃報が届きました。

 訃報というものは、それがある程度、予測できているものでさえも、やはり突然のように感じられるのは、人の命の重さゆえのことかもしれません。

 彼女のお母さまの具合が悪く、ガンが見つかった時には、大きな病院での手術と化学療法を勧められたものの、高齢ということもあり、かかりつけのお医者さんと相談のうえ、緩和療法の道を選択していました。積極的な治療はせずに、最期まで家で穏やかに過ごさせてあげたいと、かかりつけのお医者さん、訪問看護師さん、ケアマネージャーさんたちとチームを組んで、彼女は仕事のかなりの部分をリモートに切り替えてもらって、お母さまとの時間を過ごしていました。

 緩和ケアとひとくちに言っても、積極的な治療はせずに自宅で看取るという選択は、なかなかな覚悟が必要なことで、簡単に選択できることではありませんが、結局は、当事者であるお母さまも、娘である彼女もその道を選択して受け入れ、日に日に弱っていくお母さまとできるだけ、それまでの生活に近い生活を送っていました。

 人が最期に求めることは何なのか? 私は、若い頃にイギリスのホスピスで勉強させていただいていたことがあり、たくさんのホスピスの患者さんたちと話をさせていただいたりする中で、本当に大切なものは何なのか?をそこで、見せてもらった気がしています。

 最期の最期に人にとって、最も大切な存在は、愛する家族であることを私はそこで、痛感させられ、どんな患者さんも滔々と、愛する家族の話をしてくれて、たとえ、その家族がもう亡くなっていたとしてもそれがその人の支えであったりもしたのです。

 話は少し、逸れましたが、つい、数日前には、彼女から「明日は、弟夫婦が来てくれることになっているので、新鮮な枝豆と青唐辛子を手に入れたので、美味しいサラダを作ります。」などと、メールをもらっていました。もう、その時点では、ほとんど、お母さまは何も食べることができず、水分をとるのもやっとという感じだと言っていたので、お辛そうだ・・と思いましたが、家族が揃っての楽しいひとときは、何よりもチカラになるかもしれない・・と思っていました。

 しかし、お母さまは、弟さん夫婦が来てくれて家族で楽しい時間を過ごした翌日に旅立たれたそうです。

 ガンが発覚してから、数ヶ月でしたが、ご本人も彼女も緩和療法の道を受け入れ、2人で遺影用の写真を選んだりして、彼女と二人で写っているとてもやさしい笑顔の写真で、おひとりの分だけに切り取って、2人で「なんだか、すごく優しそうな人に見えるね・・」などと、言い合いながら、額装したりしていました。

 もしも、手術や化学療法の道を選んでいたら、もしかしたら、まだ寿命は少しは延ばされたかもしれませんが、それは辛い時間が延長されることで、ここ数ヶ月に二人が過ごしたような穏やかな濃密な時間ではなかったのではないか?と思い、いざというときに、そんな選択ができて、そのような時間をお母さまと過ごせたお母さまも彼女も本当にすごかったな、偉かったな・・と思います。

 彼女は結婚もしておらず、子供もおらず、生まれてから、ずっとお母さまと暮らしてきたので、その喪失感ははかりきれず、そんな悲しみを乗り越えるのは大変なことだと思いますが、もうこればかりは、時薬に頼るしかないかなと思います。こんなときに彼女と一緒に寄り添ってあげられないことをとても申し訳なく思いますが、少なくとも、きっと、いつかはやってくる親を看取るという一大事業に関しては、彼女は立派にやり遂げたので、きっと後悔はないのではないか?と思っています。

 私も彼女たちを見習って、自分にもしも、そのようなことが起こったら(両親も夫ももういないので、私が旅立つ際のことですが・・)、腹をくくって、後悔しない決断ができるように、いたいと思っています。


緩和ケア 看取り 在宅療法


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2023年7月30日日曜日

パリのおススメ ハンバーガーレストラン シュワルツ Schwartz's

 


 なんだか、最近、やけにハンバーガー屋さんが増えて、なんだかあちこちで見かけるようになったなぁ・・と思い始めてから、なんとなく、私のハンバーガー屋さん巡りが始まりました。

 マクドナルドやバーガーキングやクイックなどの大手ハンバーガーチェーンは、以前からも、安定の人気で、やはりパリといえどもファストフードの王道を行く感じで、パリ市内だけでも、比較的新参のファイブガイズ(Five Guys)なども含めて、これらのチェーン店は100店舗近くが存在しています。

 ところが、最近、やたらと目につくのは、これらのチェーン店とは別にハンバーガーのレストランがポツポツといつの間にか増えていて、クチコミなどをみれば、ずら~っと並ぶハンバーガー屋さんの多いこと多いこと・・。

 そんな中、いくつかのお店を廻って、今のところ、私が一番気に入っているのは、マレ地区にあるシュワルツ Schwartz'sというレストラン。マレ地区には、友人が住んでいることもあって、比較的よく行くのですが、若者にも人気の地域で、パリの歴史が刻まれている街であると同時にモードなどの新しい流行の発信地でもあります。

 そんなマレ地区にあるこのレストランは、一見、ハンバーガー屋さんとはわからないような店構えで昔、日本で床屋さんの前に飾ってあったようなぐるぐるの赤と青と白(そういえば、トリコロールのオブジェ?が飾られているのが目印です。


 店内すぐのところには、ワインの木箱とワインがお揉むろに積み上げられるように飾られており、店内奥にもワインセラーのようなワインの棚があり、ワインが並んでいます。店内は、ハンバーガー屋さんらしく?アメリカンな感じとフレンチの感じが混ざりあっていて、おしゃれな感じです。






 



 メニューには、ハンバーガーの他、サンドイッチやスープ、サラダ、肉料理などがありますが、メインはハンバーガーで、だいたいが15ユーロから20ユーロの間で、パリの外食としては、平均的なお値段です。

 ハンバーガーを注文すると、まずお肉の焼き加減を聞かれるので、自分の好みの焼き加減で焼いてくれます。サラダやフライドポテトもついてくるのですが、フライドポテトはなしで、サラダだけ・・とか、ポテトだけ、あるいは、両方で・・とか、注文できます。



 最近は、カフェのテラスなどでも、ご丁寧にナイフとフォークでハンバーガーを食べているフランス人をよく見かけるようになり、フランス人はハンバーガーでもナイフとフォークで食べるんだ・・いかにもおフランスな感じだな・・などと思っていましたが、これには理由があり、まず、このハンバーガーの中の肉のボリュームがなかなか(約125g)なもので、これでは、ナイフとフォークで食べたほうが食べやすいわけで、お肉の焼き加減まで聞かれて焼いてくれるくらい、これはもう立派な肉料理で、極端にいえば、肉にパンや野菜がついてくる料理のような気がします。



 また、しっとりと肉を焼き上げてくれるために肉汁がしっかりと感じられ、これは、ちょっと私はこれまでハンバーガーというものを侮っていたな・・と思わせられるのです。

 しかし、パンはパンでしっかり美味しく、どちらかというと、甘くはないブリオッシュに近い生地で、表面はツヤツヤで、中はふっくらとしていて、これはこれで、ハンバーガーにとてもあっていて、さすがにマクドナルドなどのファストフードのハンバーガーのパンとはわけが違います。

 なかなか、ものすごいボリュームなので、全部食べ切れないと思い、初めから、半分だけのつもりで残してしまって、残りはお持ち帰りを頼みました。

 お店の店員さんも、これがパリ?と思うくらい、ほんとうに感じの良い人々で、美味しく、気持ち良い時間を過ごすことができます。

 その日は、ハンバーガーだけで、もうそれ以上は食べられませんでしたが、日によっては、ローストビーフのサンドイッチ(これが、また、もうこれでもかというほどのピンク色に焼けたお肉がはさまっている)などもあって、これも絶対に食べる価値があります。

 とにかく、これまでは、わざわざレストランでハンバーガーなど食べなくても・・と思っていた私は、このお店によって、大いに考えを改めることになったのです。このハンバーガーは自分では作れない・・レストランで食べる価値のある、また、ナイフとフォークで食べるハンバーガーです。


パリのハンバーガー シュワルツ Schwartz's

🌟Schwart's  

 16 Rue des Ecouffes 75004 Paris


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2023年7月29日土曜日

エッフェル塔のふもとで27歳の女性が5人の男に強姦された事件 真夜中のエッフェル塔は危険

  


 エッフェル塔はパリを訪れる観光客にとっては、シンボル的な存在の場所の一つでもありますが、犯罪多発地域、特に観光客をターゲットにした犯罪が最も多い場所の一つでもあります。

 もう、何度も同じような事件が起こっているので、今さらのような気もするのですが、今回は、27歳の女性が5人の男に強姦されるという痛ましい事件が起こっています。

 この女性は、メキシコからの観光客で、午前1時頃、お酒に酔って一人で歩いているところを襲われています。酔っぱらって、夜中の1時に女性一人でふらふら歩く・・しかもエッフェル塔のふもとで・・となれば、言葉は悪いですが、これは、襲ってくださいとお願いしているのも同じというか、あまりに警戒心がなさすぎです。

 残念ながら、パリは女性が酔っぱらって夜中に一人でふらふら歩けるような場所ではないし、ことさら、エッフェル塔近辺などは、もう自殺行為に近いです。

 しかし、これは、このような犯行に及ぶ輩たちの手口でもあり、彼らはかよわい女性や言葉が上手く通じずに少し心細い思いをしていたりする女性観光客に近付き、アルコールの席に誘い、飲ませることから始めます。

 また、言葉が通じない観光客の場合、泣き寝入りしてしまい、訴え出ない可能性が高いことも彼らは計算しています。

 今回の事件に関しては、この被害者のメキシコ人女性は、5人から暴力的に強姦されたことを警察に訴え出て、すでに2人の男が逮捕・拘留されていますが、残りの3人は、まだ捕まっていません。

 たしか、ニュースになっただけでも今年の2月頃にも同じような強姦事件が起こっています。

 これらの多発する事件を受けて、一部の政治家(右派)は、夜中のシャン・ド・マルス公園を閉鎖することを求めています。

 かねてから、提案されてはきたものの、実現していないシャン・ド・マルス公園の夜間閉鎖問題に対して、これらの政治家は、「パリ市民とパリへの観光客の安全のために、これは早急に決定すべきこと!パリ市長がこの決定を下すまでに、いったい、どれだけの性的暴行や犯罪が発生し続けると思っているのか!」と息巻いています。

 あまり脅すようで恐縮ではありますが、エッフェル塔近辺は、強姦、暴力事件だけではなく、スリ、置き引き、ひったくり、強盗、詐欺、ぼったくりなどのありとあらゆる犯罪が報告されている場所でもあり、無法地帯、狂暴地帯であるという人もいます。

 来年のオリンピックを見据えて、この地域の治安を確保するために、昨年5月に移動警察署が配置されてはいますが、どうやらそれでは充分ではないようです。

 本来ならば、夜のエッフェル塔を眺めながら散歩・・など、ロマンチックで素敵な感じもしますが、とんでもない話。

 非常に残念なことではありますが、せっかくの旅行を台無しにしないためにも夜のエッフェル塔には近づかないのが賢明です。


エッフェル塔 集団レイプ


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2023年7月28日金曜日

頭蓋骨の一部除去の青年の登場で暴動後、再浮上する警察の暴力行為

  


 警察官の発砲事件による未成年が死亡した事件を機に起こった暴動は、瞬く間に全国に広まり、一時、手がつけられない状況で、全くどうなることかと思いましたが、その後、かなり時間がかかったものの、どうにか鎮静化して、落ち着きを取り戻しています。

 しかし、一方では、今回の暴動を沈静化するために動員されていた警察官による狂暴な行為が露見し始めており、マルセイユで警察官にLBD(Lanceur de balles de défense)(防御ボールランサー)発射隊による襲撃を受けて、重症を負った22歳の青年が脳に損傷を受けて襲撃から数回の手術を受けたのちに、頭蓋骨を一部除去された姿でマスコミの前に登場しました。

 頭の一部が歪な状態になった彼の姿は、衝撃的で、ショッキングでもあり、そのメッセージにもインパクトがあります。

 この事件であらためて注目されたLBDは、「電気パルスピストル」(PIE) や「包囲解除手榴弾」(GMD/DBD/DMP) と同様に、「中間兵器」(AFI) として定義されているものの一つで、暴力的または危険な人物を抑止または無力化するために合法的な武力行使が必要であることが判明した場合に、法律および規制に従い、危険な状況に応じた段階的かつ適切な対応として使われる警察や憲兵隊などが使用している武器と定義されているもので、LBD の使用は短距離に外傷性の影響を与える可能性があり、その重症度は不可逆的または致命的になる可能性のある重篤な損傷を引き起こす要注意の武器だと言われています。

 ところが、この犠牲者となった青年の話によると、彼は暴動には参加していなかったと言い、振り向きざまに急に頭に衝撃を受け、彼はそれが何なのかわからないままに、地面に倒れ込み、立ち上がろうとすると彼らに掴まれて、真っ暗な小路の隅に引きずられ、一人が馬乗りになって彼を抑えつけていたために、かれは動くことができない中、彼は拳や警棒で殴られ続け、彼はそのまま放置されたといいます。


 おそらく、最初に頭(こめかみ)に受けた衝撃がLBD砲であったのだと思われますが、たとえ、暴動の中の混乱状態であったにせよ、その後の警察官の行為は防御というよりもリンチのような暴力で、警察官の任務とはかけ離れています。

 この暴力行為にかかわった数名の警察官は逮捕・拘留されましたが、この警察官の拘留に対して、警察官の組合が猛烈に抗議の意を示し、ニースの警察署の前に100人以上が集結する大騒ぎになりました。

 警察官には、ストライキの権利が認められていないために、休暇を申し出たり、病気休暇を申請したりとただでさえ、不足している警察官の10%は仕事を休んでいる状態であると言われています。

 この大変な情勢の中での警察官の任務は激務であることは間違いないことで、警察官側にも大勢の負傷者が出ていることもたしかで、気持ちはわからないでもありませんが、こういったときの警察官同士の連帯というのもすさまじいもので、今回の暴動のきっかけとなった少年を射殺してしまい逮捕された警察官の家族には、クラウドファンディングで150万ユーロが集まるという(被害者ではなく加害者家族への募金)ちょっと、すんなり飲み込めないようなことも起こっています。

 まだ、暴動の火種がすっかり沈静化しきったかどうかはわからない状態で、さらなる警察官の暴力行為が表沙汰になり、警察官がそれを正当化するような動きを見せている現在の状況は、また暴動を再燃させる危険も孕んでおり、政府はその対応を図りかねている状態で、非常に不安定な状況でもあります。

 どっちもどっち・・というのは、大変、雑な言い方かもしれませんが、暴動行為にしても、それを抑えるはずの警察官の暴力行為も許されるものではなく、今回は特に狂暴であった暴動であったとしても、今回の警察官の暴力は、度を越えているうえに、お門違いであった疑いもあり、双方ともに、裁かれるものはきっちり裁かれなければなりません。

 しかし、政府としても、警察官を怒らせるわけにも行かずに、きっぱりした態度をとりかねているのが正直なところで、現在、ニューカレドニアに滞在中のマクロン大統領もこの件に関するきっぱりしたコメントは控えている状態です。

 フランス全体の治安が悪化していることは、もはや明白なのですが、警察官の増員だけでは片付く問題ではなく、国民の(特に底辺の)怒りがいつ、何をきっかけに爆発するかわからない状況には、すぐには、解決策がみつからないような気がしています。

 しかし、そもそもの今回の暴動のきっかけとなったのも警察官の発砲事件で、さらに今回の警察官のLBD発砲とリンチも警察官が起こしているもので、暴動を抑えるはずの警察がそのもととなり、また、さらなる騒動を引き起こしていることを考えれば、警察の在り方も見直す必要があるのかもしれません。


警察官の暴力 LBD


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2023年7月27日木曜日

アラン・ドロンの子供たちが同居している日本人女性に告訴状提出のゴタゴタ劇

  


 アラン・ドロンといえば、かつてはイケメンの代名詞のような存在で、映画にあまり詳しくない私でさえも、その名前は知っていたし、昔の映画の面影をなんとなく、記憶していました。

 私がフランスに来たばかりの頃なので、おそらく20年くらい前のことだと思いますが、そのころはあまりテレビを見ない生活ではありましたが、年末の番組にアラン・ドロンが出演していて、「えっ?アラン・ドロンってこんな風になっちゃったの??」と思った記憶がありました。

 美しさを全面にして、出ていた人ほど、ギャップは激しいし、また映画などでしか彼を見たことがなかった私にとっては、その番組がトーク番組だったために、なんだか余計にイメージが壊れた気がしたのかもしれません。

 そんなアラン・ドロンについて、今月の初旬頃だったか、彼の子供たちがアラン・ドロンと同居している女性に対して、告訴状を提出したという話が世間を賑わせていました。現在、彼が同居している女性は日本人の女性らしいという噂は聞いていましたが、数日にわたっての報道で、その女性について、いちいち「オリジン・ジャポネーズ」をつけるので、なんとなく、余計に気になる気がしていました。

 彼の子供たちの告訴状は、「モラルハラスメント」と「彼の飼っていた犬に対する虐待」というなんだか、抽象的なものではありますが、要は、彼女(アランドロンと同居していた女性)と子供たちの関係が上手くいっておらず、子供たち曰く、父を家族、親戚、友人たちから孤立させようとし、電話やメッセージ、郵便物などを彼女がコントロールし、彼らが会いにくるのを妨げようとしている。彼女の態度は、高圧的で脅迫的である・・」などと言うもので、なんだか、家族内のゴタゴタでそんなに世間が騒がなければいけないことかな?と思っていました。

 父親に会いたいならば、その旨を話し合って、その機会を作るようにすればよいものをその話し合いさえできないほど、子供たちとその女性の関係性が悪化しているということなのでしょうか?

 実際のところは、わかりませんが、どのようなことであるにせよ、アランドロン本人が一喝して、話し合えばいいことで、それができずにこんなことになるということは、彼自身がかなり、弱っているということに他ならないのだと思います。

 この女性は、彼のスタッフとしても長く働いてきた女性であり、長い間、友人関係にあったようですが、その関係性が徐々にパートナーのような形に変化していったものと言われており、また、彼が脳卒中で倒れた後は、彼の介護をして、支え続けてきたようで、特に脳卒中を患ったのちは、彼のメッセージやスケジュールを管理したりすることは、必然であったような気もします。

 実際に彼の世話をしてきたのは、彼女で、子供たちが何を口を挟むことがあるのか?二人の関係性に彼自身が不都合や不快さを感じているならば、同居関係を解消すればよい話なのに、子供たちが口を出すのも、おかしな話で、結果的に彼自身も子供たちの告訴状に名前を連ねることになっているのが、彼自身の弱さの表れでもあるのか?不可解でもあります。

 彼が最後に公の場に姿を現したのは、2019年のカンヌ国際映画祭での、長年の彼の功績をたたえた「名誉パルムドール」受賞の際で、この時の彼のスピーチなどは、かなり自分の人生の締めくくりを意識したものであったことは印象的でもありました。

 このアランドロンの子供たちからの告訴状を受け、この女性は弁護士を介して39ページにもわたる反論と説明を提出しており、「彼の子供たちとは複雑な関係にあったことは認めたうえで、子供たちは父親の恋愛関係の存在は決して受け入れなかった。子供たちの心配は、彼の財産に関わることであり、年老いた父親の世話を全くしてこなかった彼らとは異なる特別の立場で自分は存在している」と説明しています。

 また、彼女のこの訴えに対して、子供たちは、別の告訴状を準備中で、まさに金銭的な話で、「アランドロンの口座から数万ユーロが引き出されている件について」と言われており、話がまた複雑なことになっています。

 フランスでは、婚姻関係とは別の事実婚のような関係も認められているものの、この公的に曖昧な関係がどのように扱われるのか?財産や介護など、色々な問題も孕んでおり、泥沼化している感じではありますが、どちらにせよ、この子供たち、それぞれに独立していながら、どうして、そんなに親の生活に口を出すのか?父親の華麗な経歴を汚してしまうことを考えないのだろうか?と思ってしまいます。

 現在、87歳の彼がどのような状態でいるのかはわかりませんが、結局は、子供たちの告訴により、彼はより孤独な老後を送ることになりそうで、まさに映画になりそうな話です。しかし、最後の映画にしては、寂しい話でもあります。


アランドロン 告訴状


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2023年7月26日水曜日

いろいろなバカンスの過ごし方

  


 ある世論調査によると、今年はフランス人の60%はバカンスに行かないという話も聞こえてきたりして、これが、インフレの影響を受けてのものであるとか、年金改革問題で、各所、けっこうなボリュームでストライキをしていたために、結果的にその家庭の財政をひっ迫させ(ストライキをしている日数の分は、給料が支払われない)、バカンスの予算が削られる、または予算が取れないなどというケースもあるのだとかいう話が聞こえてきています。

 そのわりには、肌感として、やっぱりパリの人口は、バカンス期間中は減っているような感じがするのですが、その代わりに、いつもは見かけない組み合わせの家族連れをあちこちで、見かけます。

 今日、バス停でバスを待っていたら、小学生くらいの女の子から、小さい子は、まだバギーに乗せられている子まで含めた見事に女の子ばっかりの4人の孫を連れたパピーとマミー(おじいちゃんとおばあちゃん)がいて、どうやら、彼女たちを連れて、これから動物園にでかける様子。

 マミーの方は、カジュアルではあるけど、ストライプの襟付きシャツにソフトニットを合わせた、ちょっと、小洒落た格好をしていて、女の子たちもおそらく普段、学校に行く服装とは違う、いかにも年配の女性が好みそうな上品な服装をしていて、そういえば、実家の母もワンピースにエナメルの靴、髪型はルノワールの絵に出てくる女の子のような前髪だけを束ねてリボンをつける・・感じの服装をうちの娘にもさせたがっていたなぁ・・などと思い出しながら、どこか遠くにバカンスにでかけなくても、こういうパピーやマミーとのお出かけも、そんな服装も含めて、きっと良い思い出になるんだろうな・・と、なんだかあったかい気持ちで眺めていました。

 メトロの中でも家族連れと思われる人たちをけっこう見かけ、パリにバカンスに来ている家族というのもいるんだな・・と思ったり、ランチを食べに入れば、どこか、ちょっとよそよそしい感じの中高生くらいの娘2人とパパとか、お年頃のこのくらいの女の子はダイエットを気にしてか?フライドポテトは残すんだな・・と思ったり、息子と2人連れで、お昼から、ゆったりワインなんか飲んじゃってるパパとかの子連れとはいえ、どことなく、男同士の感じとか・・いつもは見かけない感じの組みあわせの人々を見かけて、やっぱり、みんな、いつもとはちょっと違うことしてるんだな・・と思います。



 かと思うと、パパもママも働いている人のためにある サントル・ドゥ・ロワジール(Centre de loisir(夏の間、日中、子供を預かってくれる機関)の子供たちが移動のためなのか、黄色いベストを着せられて街中を移動していて、娘もサントル・ドゥ・ロワジールに行かせてたことあったなぁ~と思ったり・・。

 バカンスに出かけた人の話だと、現在、ギリシャとか、南欧はうだるような暑さでものすごい人だとか・・。どういうわけか、5月から6月初旬にけっこう暑かったパリは7月はあんまり暑くなくて、今のところ楽勝の夏。

 昨夜などは、ちょっと肌寒い気がしたりもするくらいでしたが、これで夏が過ぎるわけはない・・といつくるかわからない猛暑に怯えつつも、やっぱり、どっか行きたい悔しい気持ちはちょっとよぎりますが、子供の学校のバカンス期間が関係なければ、バカンスは7月・8月は避けるべし・・などと、世間のバカンスの光景を眺めつつ、少し空いてきたパリを楽しんでいます。

 今年は5月から6月にかけてイタリアに行けたので、また、イタリアに行きたい病にかかり、人に会うごとに、「イタリア行くんだったら、どこがいい?」と聞き歩いていますが、皆、口を揃えて言うのは、イタリアは7月8月は避けた方が良いよ!・・と。

 ともあれ、この時期、スタンダードなバカンスではなくとも、いつもと違ったそれぞれのバカンスをみんなが過ごしているようなのも、それはそれで、よいバカンスなのではないのかな?と思えるのでした。


バカンスいろいろ


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