日々、状況が深刻化しているウクライナ戦争に接し、フランスも国をあげての対応に追われています。
昨日は、ウクライナ情勢に特化した国防会議が開催され、ジャン・イヴ・ルドリアン欧州外務大臣とブルーノ・ル・メール経済・財政・復興大臣がその内容について報告しています。
キエフにいるフランス国民については、キエフの南から出る道は、完全に安全とはいえないものの、街を脱出するチャンスはまだあり、ロシア側はキエフ・ワシルキウ拘束道路経由でキエフを離れることができると示唆していることを伝えています。
また、キエフからリヴィウに向けて列車で出発する機会があること、在ウクライナ大使館は、縮小され、リヴィウに移転することになったことも外務大臣は付け加えています。
フランスは道中の支援を提供することはできませんし、旅の安全を完全に保証することもできませんが、陸路横断地点に関する定期的な情報を提供し、領事支援や国境の反対側での幅広い支援を受けることができます。
このように、なんとかウクライナにいる国民が退避できるような情報を発信しつづけてくれることは、国民に対する優しさが感じられ、今をもってしても、ウクライナからでさえも、「陰性証明書」をはじめとする様々な書類を要求する日本の非情さと、どうしても比べてしまいます。
ウクライナへの支援については、EUの市民保護メカニズムを通して、最初のパッケージがウクライナ国境に届けられ、現在ウクライナ当局によって宿泊施設と健康面の両方がケアされていることに留意し、人道支援に注力しています。
また、国内に残るウクライナ人への人道的支援をすべて再分配・調整し、現在数万人の難民を受け入れているすべての国での難民支援を調整できるよう、ポーランドを拠点とする人道的ハブを設けることに合意した欧州連合の国々との連携しています。
財務大臣からは、欧米パートナーとの合意により、ロシアの多くの銀行をSWIFT決済回路からの撤退させ、ロシア中央銀行の全資産が凍結された旨が報告され、「これは数百億ユーロという非常に大きな金額であり、ロシア中央銀行の外貨準備高とロシアの外貨建て貿易の資金調達能力を大きく低下させている」と説明しています。
ロシア中央銀行凍結の直接的な影響は、ルーブルの水準、金利、ロシアの金融市場など、すでにロシアで目に見える形で現れており、マクロン大統領の要請により、欧州制裁下にあるロシアの著名人が所有する金融資産、不動産、ヨット、高級車などの完全な目録作成を引き続き行い、また、ロシア当局に近いという理由で欧州の制裁リストに加えられる可能性のある人物をすべて特定し、これらの資産をすべて差し押さえるための法的手段を取ることを発表しました。
そして、このロシアに対する制裁が貿易や部品・重要金属の供給に与える影響を正確に把握することも継続して行っていくそうです。
また、マクロン大統領は、同日、ウクライナのゼレンスキー大統領と数回にわたる電話会談をしており、ウクライナの情勢把握とともに、ウクライナがロシアに攻撃されながらも果敢に応戦し続け、またその最中にロシアとの交渉に臨む、ウクライナ大統領の責任感の強さを称えたと伝えられています。
同時にマクロン大統領は、プーチン大統領とも電話会談を行い、即時停戦を要求。
1時間半にもわたる電話会談の結果、一般市民への攻撃停止、生活インフラの保全、幹線道路の安全確保の3点に関してはプーチン大統領も同意したと発表しています。
直接会談も含め、電話会談を続けてきたマクロン大統領、ウクライナ侵攻が始まってからは、2度目の電話会談となりました。
これまでもマクロン大統領との会談でプーチン大統領が同意したとされていたことも、裏切られ続けてきたために、今回のプーチン大統領が同意したとされる内容も遵守されるとは信じ難いものの、たとえそれが電話にせよ、対話を続けることができるということは、暴走を少しでも抑制できることに繋がるのではないか?と僅かな期待を抱きます。
二人は、今後も連絡を取り合うことで一致したと伝えられています。
フランスはウクライナ戦争のための対応に国全体で取り組んでいます。フランスにしたら、本来ならば、目前に控えた大統領選の話題で沸騰しているはずの時期。この戦争が世界中にどんなに多くの影響を与えているのかをまざまざと見せつけられています。
マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談 国防会議
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