2022年3月1日火曜日

現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談

  


 日々、状況が深刻化しているウクライナ戦争に接し、フランスも国をあげての対応に追われています。

 昨日は、ウクライナ情勢に特化した国防会議が開催され、ジャン・イヴ・ルドリアン欧州外務大臣とブルーノ・ル・メール経済・財政・復興大臣がその内容について報告しています。

 キエフにいるフランス国民については、キエフの南から出る道は、完全に安全とはいえないものの、街を脱出するチャンスはまだあり、ロシア側はキエフ・ワシルキウ拘束道路経由でキエフを離れることができると示唆していることを伝えています。

 また、キエフからリヴィウに向けて列車で出発する機会があること、在ウクライナ大使館は、縮小され、リヴィウに移転することになったことも外務大臣は付け加えています。

 フランスは道中の支援を提供することはできませんし、旅の安全を完全に保証することもできませんが、陸路横断地点に関する定期的な情報を提供し、領事支援や国境の反対側での幅広い支援を受けることができます。 

 このように、なんとかウクライナにいる国民が退避できるような情報を発信しつづけてくれることは、国民に対する優しさが感じられ、今をもってしても、ウクライナからでさえも、「陰性証明書」をはじめとする様々な書類を要求する日本の非情さと、どうしても比べてしまいます。

 ウクライナへの支援については、EUの市民保護メカニズムを通して、最初のパッケージがウクライナ国境に届けられ、現在ウクライナ当局によって宿泊施設と健康面の両方がケアされていることに留意し、人道支援に注力しています。

 また、国内に残るウクライナ人への人道的支援をすべて再分配・調整し、現在数万人の難民を受け入れているすべての国での難民支援を調整できるよう、ポーランドを拠点とする人道的ハブを設けることに合意した欧州連合の国々との連携しています。

 財務大臣からは、欧米パートナーとの合意により、ロシアの多くの銀行をSWIFT決済回路からの撤退させ、ロシア中央銀行の全資産が凍結された旨が報告され、「これは数百億ユーロという非常に大きな金額であり、ロシア中央銀行の外貨準備高とロシアの外貨建て貿易の資金調達能力を大きく低下させている」と説明しています。

 ロシア中央銀行凍結の直接的な影響は、ルーブルの水準、金利、ロシアの金融市場など、すでにロシアで目に見える形で現れており、マクロン大統領の要請により、欧州制裁下にあるロシアの著名人が所有する金融資産、不動産、ヨット、高級車などの完全な目録作成を引き続き行い、また、ロシア当局に近いという理由で欧州の制裁リストに加えられる可能性のある人物をすべて特定し、これらの資産をすべて差し押さえるための法的手段を取ることを発表しました。

 そして、このロシアに対する制裁が貿易や部品・重要金属の供給に与える影響を正確に把握することも継続して行っていくそうです。

 また、マクロン大統領は、同日、ウクライナのゼレンスキー大統領と数回にわたる電話会談をしており、ウクライナの情勢把握とともに、ウクライナがロシアに攻撃されながらも果敢に応戦し続け、またその最中にロシアとの交渉に臨む、ウクライナ大統領の責任感の強さを称えたと伝えられています。

 同時にマクロン大統領は、プーチン大統領とも電話会談を行い、即時停戦を要求。

 1時間半にもわたる電話会談の結果、一般市民への攻撃停止、生活インフラの保全、幹線道路の安全確保の3点に関してはプーチン大統領も同意したと発表しています。

 直接会談も含め、電話会談を続けてきたマクロン大統領、ウクライナ侵攻が始まってからは、2度目の電話会談となりました。

 これまでもマクロン大統領との会談でプーチン大統領が同意したとされていたことも、裏切られ続けてきたために、今回のプーチン大統領が同意したとされる内容も遵守されるとは信じ難いものの、たとえそれが電話にせよ、対話を続けることができるということは、暴走を少しでも抑制できることに繋がるのではないか?と僅かな期待を抱きます。

 二人は、今後も連絡を取り合うことで一致したと伝えられています。

 フランスはウクライナ戦争のための対応に国全体で取り組んでいます。フランスにしたら、本来ならば、目前に控えた大統領選の話題で沸騰しているはずの時期。この戦争が世界中にどんなに多くの影響を与えているのかをまざまざと見せつけられています。


マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談 国防会議


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2022年2月28日月曜日

国連(国際連合)は何のためにあるのか?

   

   

 基本的に普段、テレビはニュース番組くらいしか見ないのですが、そのニュースは、戦争のことばかりになってきて、ずっと戦争が日に日に緊迫状態になっていく様子を伝えています。

 かといって、現在、起こっていることを知らないのも不安なので、避けて通るわけにもいきませんが、あまりに悲惨な映像に心が疲弊していくのを感じます。

 映画やドラマは別として、以前にテレビから流れてくる映像を見て、涙を流してしまったのは東日本大震災の被害の映像で、とんでもない被害に遭っている被災地の人々が懸命に周囲の人々を思いやりながら、避難所での生活を送っている映像でした。

 あの時もフランスのテレビでも、延々と津波や震災の様子が流されていく映像や東北の人々が被災しながらも懸命に生きる姿が繰り返し報道されていました。

 パンデミックでロックダウンになった時は、1日中家に閉じ込められているものの、コロナウィルスのニュースばかりで、やはり精神的に参ってきてしまうので、テレビのニュースを見るのは、夜だけと決めていました。今もその習慣は続いています。

 そして、そのパンデミックも終わらないうちに、今度はまさかの戦争で、今回は、ウクライナで家が爆撃されて泣いている子供の映像を見て思わず涙し、パリに来て、はじめて、反戦デモ集会を覗きに行って、涙が止まらなくなって自分でも驚いてしまいました。

 ウクライナにいる人のことを考えれば、外から見ているだけで精神的疲弊してきた・・などと言っているのは申し訳ないのですが、どうしても回避できなかった戦争という事態に腹立たしさと悔しさとやるせなさを感じずにはいられないのです。

 現在、私が生きているこの世界の動向を知らずにはいられず、ひととおりニュースは目を通すようにしているのですが、そのニュースを見ながら、心を傷めているだけでなく、ちょっと思うこともあります。

 子供のようなことを言わせてもらえば、世界には、今回の戦争のきっかけともなったNATO(北大西洋条約機構)とか、国連(国際連合)とか、EU(欧州連合)とか、G7とか色々な組織があるにもかかわらず、戦争を防ぐことができないのは、なぜなのか?

 現在の国連(国際連合)は、第二次世界大戦を防ぐことができなかった国際連盟の反省を踏まえて発足されたものではなかったのか? NATOに至っては、戦争のきっかけにまでなっています。

 プーチン大統領が法外なことを起こしているのは、もちろんのこと、それを止められるはずの国際的な組織が機能していないのはおかしいのではないか?ということです。

 昔、日本で私が子供の頃に「こども電話相談室」というラジオ番組がありました。とてもシンプルで、時にはバカバカしいような質問に大人が真面目に答えてくれる番組でした。最近、こんな番組があったら、聞いてみたいな・・と思うことがあります。

 「人を殺してはいけないのに、戦争なら人を殺してもいいんですか?」と。

 先日、応戦しているウクライナの兵士が誇らしげに「今日は、これだけ、応戦できた!相手を倒した!」と取材に答えている様子を見て、国民を守るために戦っているのだから、当然といえば、当然なのですが、とても複雑な気持ちになりました。


国連、国際連合、NATO、EU、 G7


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2022年2月27日日曜日

3月からの日本への入国措置の緩和とウクライナからの日本帰国



 3月1日から日本の水際対策が緩和されるらしいという話は、以前から漠然とした形で伝わってきていましたが、正直、あまり期待していませんでした。

 海外からの入国をこれまでの1日あたり3,500人から5,000人に拡大すると漠然と言われても、それは、あまり具体的な話ではなかったからです。

 しかも、この数字には、日本人の帰国者も含まれており、依然として、外国人の訪日は、ほぼ不可能なまま、これが段階的な緩和の1ステップならば、一般的に外国人が日本に入国できる日は、まだまだ遠い話です。

 ちなみに2019年の訪日外国人数は3,188万人強、単純に日割り計算すると1日91万人が日本を訪れていたのですから、3,500人が5,000人になったところで、あまり変化がある感じは受けません。

 とりあえず、フランスから日本へ入国する日本人というカテゴリーの私の場合は、ワクチン接種が3回済んでいる場合には、強制隔離施設での隔離が撤廃され(ワクチン未接種の場合は、強制隔離施設3日間隔離+4日間自主隔離)、7日間隔離。到着から3日後に自主的に検査をして陰性の場合は、3日間で隔離終了。

 到着日に陰性の場合は24時間以内の移動に関しては、公共交通機関使用が可能ということになりました。日本到着後、24時間以内なら公共交通機関が使えるようになっただけでも、だいぶハードルが下がります。

 なお、ワクチン接種が不可能な年齢の子供に関しては、帯同する保護者のワクチン接種状況に準ずる措置が求められます。

 とはいえ、今となっては、フランスよりも感染者数も死亡者数も多くなってしまっている日本に入国するのに、検査して陰性となっている人の入国にここまでする意味がわかりません。

 日本入国後の隔離以前に、日本入国のために必要な様々な書類を揃えるのは、なかなかな作業ですが、これは、まあ仕方がないかもしれません。

 しかし、ふと、戦争が始まったウクライナにいる日本人は、どうするのだろうか?と思い、在ウクライナ日本大使館のサイトを見ると、「ウクライナに滞在中の方は直ちに安全な方法で退避してください」とあるにもかかわらず、「ウクライナから日本に帰国する際に取っていただく主な措置(日本の水際対策)」とあります。

「新型コロナウィルスの有効な検査証明書の提示」とあり、ウクライナ出国前72時間以内に受検し、所定のフォーマット(日本語版・英語版・ウクライナ語版)記入の検査証明書を受領し、携行してください」となっています。

 注意書きとして、ウクライナのワクチン接種証明書も一定の条件を満たしていれば有効としながらも(一定の条件の詳細はこちら)というサイトは「ファイルが削除されているか、存在しないサイトです」と表示されます。

 世界中が見守っている戦場と化した現在のウクライナで、情報も得られずに、検査を受け、このような書類が揃えられるとは思えません。

 だいたい、もし検査が受けられたとしても、陽性だった場合は、戦争している国にとどまれということなのでしょうか?

 現在のウクライナの戦渦にこのようなことを求める非情さ、もしも、この在ウクライナ日本大使館のサイトが間違いでないのなら、戦争が起こっている国にいる邦人を見捨てているも同然です。

 この非常時に、四角四面というか、融通が効かないというか、温かみがないというか、日本入国のための書類が揃うまででも、なんなら、ウクライナ在住邦人に関しては、大使館内に一先ず避難させてくれても良いのではないか?とも思うのです。

 戦争が1日も早く終わってくれることを祈るとともに、日本の対応も、もう少し柔軟であってほしいと願っています。


日本入国措置緩和 ウクライナから日本への入国


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「人生の勝ち負け、勝ち組、負け組  ー駐在員の妻の社会ー」

2022年2月26日土曜日

戦争づくめの報道とウクライナカラーになっているエッフェル塔

   

 


 ウクライナでの戦争が始まって、フランスのニュースは再び、戦争一色になりました。現実に今、ミサイルが飛んでいる様子や、泣き叫びながら避難する人々、別れ別れになってしまった家族を探す人々、破壊され燃え続ける建物、メトロの駅の構内に避難している人々・・テレビからも、見ているのも辛くなるような映像ばかりが流され続けています。

 ついこの前まで・・というより、現在進行形で、コロナウィルスのために失われようとする命をどの国も必死で救おうとしていた・・今もしているというのに、人間が人間を殺そうとしていることに底知れない恐ろしさを感じます。

 話し合うことによって解決する道を退け、戦争という暴力で押し切ろうとすることが、私はどうしても理解できません。

 戦争を始めたロシアでさえも、国民全員が戦争をしたいわけではなく、ロシア国内各地でも「戦争反対」のデモが起こっているというのに、モスクワ当局は、「新型コロナウィルスの感染拡大」を理由に、いかなる形式のデモも禁止し、24日夜までに53都市で1,667人の身柄を拘束したと伝えられています。

 ロシアは、これまでに既に、コロナウィルスによる犠牲者を35万人近くも出しているのです。このうえ、戦争とは、国民とて、賛成するわけがありません。

 フランスに来てからは、何かにつけては、すぐにデモが起こり、パンデミック禍中においても、最初の完全なロックダウン以降は、ずっと、なにかしらのデモは続いているフランスに「どうしようもない・・」と思うことも度々ありましたが、最近は、デモも時には必要なこともあると思うようになりました。

 時には、あまりに過激化するデモに警察ばかりでなく、憲兵隊や軍隊までが出動することもあるフランスですが、「いかなるデモも禁止する」などという状態がフランスにはあり得ないことが、現在のロシアの状態を見ると、あながち間違いではないのかもしれないとさえ思ってしまいます。

 ロシアのような国の状態がフランスに起こるとは考えづらい(起こってほしくない)ことではありますが、もしも、何か、フランス政府が非道な方向に進もうとすれば、戦争より先に、国内での暴動が大変なことになるはずです。

 それを「新型コロナウィルスの感染拡大」などと空々しい理由に、いかなる形式のデモも禁止するなど、感染拡大を理由にするなら、戦争は感染拡大にならないのか!と子供のようなことを言いたくなります。

 マクロン大統領がプーチン大統領と会談のためにモスクワを訪れた際にも「新型コロナウィルスの感染対策」を理由に、対面距離を遠ざけたプーチン大統領です。

 海外諸国の対話にもまともには応じず、国民の声にも耳を貸さず、あまりにも強行な戦争を一方的な理屈だけを推し通すロシアは、どこへ行こうとしているのでしょうか?

 ロシア国内で戦争反対の声が上げられない分も「なにがあっても、戦争はしてはならない、人を殺すことは許されない」「戦争反対」の声を世界中で上げ続けなければなりません。

 フランスは、ウクライナとの連帯の証として、3日間の予定でエッフェル塔のイルミネーションをウクライナカラーで点灯させています。


ウクライナ戦争 エッフェル塔ウクライナカラー


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2022年2月25日金曜日

フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République

   


 昨日、フランス時間の午前6時にロシアのウクライナへの襲撃が本格的に開始され、ウクライナはもちろんのこと、フランスでも大騒ぎになっています。

 日本にも首相動静という、8時27分、官邸。48分、国会。50分、参院第1委員会室。9時2分、参院予算委員会、11時58分、官邸・・など首相の動向を分刻みで追う報道がありますが、分刻みの報道ではありませんが、フランスにも、共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueというサイトがあり、その日、1日の大統領の主な動向が、要件によっては、その内容とともにエリゼ宮が発表しているサイトがあります。

 このところ、マクロン大統領は、2月7日のモスクワ訪問でのプーチン大統領との直接会談を前後して、常にウクライナ、ロシア、アメリカやヨーロッパのそれぞれの国との対話を続けてきました。

 2月に入ってからのマクロン大統領の日程を見ると、実に頻繁に、このウクライナ問題の主人公とも言える各国首脳と電話会談をしていることがわかります。

 マクロン大統領がプーチン大統領とバイデン大統領の会談を提案し、双方がこの会談に合意したと発表されていた数時間後、ロシアのプーチン大統領は、21日の夜、テレビで、ウクライナ東部のドンバスにある2つの分離主義者の領土を認めると発表しました。マクロン大統領はプーチン大統領に対する「失望感」をあらわにしています。

 マクロン大統領のアジャンダによると、

20日 11:00〜、 13:00〜 プーチン大統領と電話会談

    17:30 ドイツ ショルツ首相と電話会談

    20:30 ボリス・ジョンソンイギリス首相と電話会談

          21:45 ジョー・バイデン大統領と電話会談

          23:00 プーチン ロシア大統領と電話会談


21日 16:15 プーチン大統領と電話会談

          17:20 ゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談

          17:40 ドイツ ショルツ首相と電話会談

          18:00 シャルル・ミッシェル欧州理事会議長と電話会談

          18:20 ウルスラ・ヴォン・ダー・ライエン欧州委員会委員長と面会

          19:00 国防・国家安全保障会議 ウクライナ東部の分離主義地域を承認する決定を非難  

          21:00 ジョー・バイデン大統領アメリカ合衆国大統領と電話会談

       ドイツ ショルツ首相と電話会談

・・・そして、23日夜、21:30にゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談をしています。

 それからまもなく、翌朝6:00には、ロシアがウクライナへの攻撃を本格的に開始、8:00には、再び、ゼレンスキー大統領と電話会談、9:00には、ウクライナ情勢に関する国防会議を招集し、13:30 フランス国民に向けてメッセージを発信しています。



 そして、15:00 G7首脳によるビデオ会議

       20:00 ウクライナ情勢に関する欧州理事会臨時会合

 時々、ニュースに目を通すだけでも、一体、マクロン大統領の1日はどうなっているんだろうか? 一体、彼はいつ寝ているのだろうか? この目まぐるしいスケジュールの中、いつも健康でしゃんとして、眠れないとか・・そんなことはないのだろうか?などと下世話なことを思いながら、この大統領のアジャンダを覗いてみたのです。

 大統領選挙公示の締切(3月4日)が目前に迫る中、マクロン大統領は、正式に立候補を宣言する間もないのですが、彼の出馬は公然の事実。立候補を表明していなくても、今、大統領候補の中で最もヨーロッパをフランスを守ることができる人物であるという認識が広まりつつあります。

 実際に、ヨーロッパの各首脳とも、アメリカ大統領とも、ウクライナ大統領や、そしてプーチン大統領とも電話とはいえ、直接、話をすることができる人は、フランス大統領候補だけでなく、諸外国の中にも彼以外には、見当たらないのです。

 マクロン大統領は、国民に宛てたメッセージの中で「この戦争行為は、私たちの生活に深く、永続的な影響を及ぼす」「国連憲章にも欧州や世界の秩序の土台となる原理原則をも踏み躙るものである」と訴えています。

 なんだか、今回は、マクロン大統領のキャンペーンのようになってしまいましたが、あまりに忙しそうなマクロン大統領の1日って見てみたい・・と思って覗いてみたことがきっかけの野次馬根性からマクロン大統領の最近の動向を追ってみた次第です。


ウクライナ問題 マクロン大統領


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2022年2月24日木曜日

パリ16区での日本人が首を絞められる強盗事件発生

   


 在仏日本大使館から、「最近、在留邦人の方が、夜10時ごろ、パリ市内16区(メトロ10番線のミラボー駅付近)の路上(AVENUE DE VERSAILLES)を徒歩で移動中、近寄ってきた複数の男に首を絞められ、その間に所持品を奪われる強盗被害が発生し、被害者の方は、すぐに警察に被害届を提出するとともに、大使館の方にも連絡をいただきました」という注意喚起のメールが届きました。

 パリ16区といえば、パリの中でも高級住宅街として有名な地域。一見、治安は良さそうな気もしがちですが、お金を持っている人が多いということで、逆に狙われる地域でもあるという印象もあります。

 以前、パリ16区に住む知人が運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人がいました。運転中、不覚にもドアをロックしていなかったのです。

 今回の被害者は首を絞められて襲われたということで、金品を奪われた以上に、その恐怖はいかばかりのものであったかと恐ろしいばかりです。人生のうちで首を絞められる経験をしたことがある人など、そんなにいるものではありません。

 夜道、いきなり数名の男に囲まれたら、もう何も抵抗はできないし、むしろ、犯人がナイフなどの凶器を使わなかったことが救いであった気さえしてしまいます。

 私は16区に住んでいるわけではありませんが、日中、パリ市内のいつもは平和そのものの場所でいきなり男の人が近づいてきて、金のネックレスを引きちぎられたことがありました。大男が異様な目つきでいきなり近付いてきたその時の恐怖は今でも忘れることができません。

 暴力を振るわれたわけではなかったけれど、怖くて声を上げることもできませんでした。本当に恐怖にかられた時は、思わず、絶句してしまい、簡単に大声なんて出ないものです。恐ろしい目に遭った時、大声で叫ぶのは、訓練していないとできないかな?などと、へんなことを考えました。はっきり言えば、ネックレスを取られたのもショックではありましたが、それ以上に恐怖心が強く、それ以来、たとえ日中であっても、目立つネックレスをして出かけるのはやめています。

 ブランド物のバッグ等もまさにそれとわかるようなものは、決してパリでは持ち歩きません。

 また、私の同僚(若い中国人の女性)が、パリのメトロの駅付近で帰宅途中(夕方)、ボコボコに顔を殴られて、バッグを奪われたこともありました。また、別の知人は、バイクの二人乗りの男に後ろからつけられ、バッグをひったくられた者もいます。

 今回の首絞め強盗事件には、今のところ、フランスの一般のマスコミでは報道されていませんが、首を絞められるという手口は初めて聞いたことではあるものの、暴力によって金品を奪われる強盗事件は、特別にニュースとしてとりあげられるものではないほど、一般的なものであるのかもしれません。

 昨年、パリ17区で日本人が塩酸を顔にかけられるという傷害事件が発生し、それは、強盗事件ではなく、コロナ発生以来、エスカレートしていたアジア人をターゲットにした「アジア人狩り」とも言われる嫌がらせかもしれないとも言われていました。

 その時の事件は、フランスの新聞でも、一部、報道されたことから、17区の市長が「あれは、特別アジア人を攻撃したものではない。被害者本人が軽傷であるため、警察に訴えることを望んでいない。警察は捜査を続ける。」とコメントを発表したものの(犯人もつかまっていないのになぜ?そんなことがわかるのか?とおもったけど)、結局、被害者が被害届を提出しなかったことから、事件は風化してしまいました。

 今回の事件は被害者は警察に被害届を提出したようですが、強盗事件が日常茶飯事のように起こるパリで、警察が本格的に捜査にあたるとも考えづらく、はっきりしていることは、パリでは常に気を張って、目立たないように暮らさなければならないということです。

 フランス内務省の発表によれば、2021年第4半期(10月〜12月)の強盗件数は、10万件を超えているということで、先ほどのニュースでは、車の盗難事件の話をしており、フランスでは4分に1台の割合で車の盗難事件が起こっているそうです。


 パリで特に危険とされているのは、パリ北部の地域ですが、パリ16区は、昨年4月に死亡者も出る銃撃事件が起こっています。総じて言えば、パリに安全な地域はないということです。

 日々、起こる事件は時が経ち、風化していつの間にか忘れてしまいますが、こうして思い返してみると、身近なところでも色々な事件が両手にあまるほど起きてきて、今までよく無事でいられたものだ・・とも思うのです。

 これまで12月は犯罪が多いと思ってきましたし、実際、そうだとは思いますが、偶然にも、前回、日本人が塩酸を顔にかけられた事件が起こったのも2月、暴力的な事件は2月なのかもしれないと考えたりもしているのです。


パリ16区日本人首絞め強盗事件


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2022年2月23日水曜日

コマーシャルセンターの衰退

 

閉店のための在庫処分セール中のDARTY


 昨日、突然、湯沸かしポットが壊れてしまったので、近所にあるコマーシャルセンターにあるダーティー(DARTY)という家電製品のお店に行きました。我が家の電化製品のほとんどは、このDARTYで買ったもので、ある日、突然、故障して使い物にならなくなってしまう電化製品をすぐに急いで調達したいとなると、すぐに歩いて行ける近所のDARTYに駆け込んで買ってしまうことが多かったのです。

 そんなに頻繁に足を運ぶわけではないけれど、近くにあってくれれば、とりあえず安心できる・・そんなお店の一つでもありました。

 ところが、久しぶりに行ってみると、何やらお店の中の様子がいつもとは違い、何やら雑然とした様子。店内の一部にはつい立てがたてられ、商品の配置もごちゃごちゃしていて、最初は「改装中?」と思いましたが、お目当ての湯沸かしポットの姿はなく、たいていの電化製品ならひととおりはあるはずのお店でこれは一体どうしたことか?と思って、あらためて店内を見渡すと、積み上げられた商品のほとんどには、「在庫処分」の札が・・。

 フランスとて、どんどん変わる電化製品、詳しい商品の説明を聞きたくても、店員さんを捕まえるのがいつも大変なこのお店、(しかも捕まえたところで、まともに説明してくれる人にあたる確率も低い)、ようやくお店の人を捕まえて湯沸かしポットありますか?と聞くと、「もうありません」という回答。

 「このお店、改装中なの?」と聞くと、まさかの3月半ばに閉店とのこと。

 我が家の近所のコマーシャルセンターは、コマーシャルセンターとしては、中規模のもので、それでもワンフロアーに20店舗くらい入るスペースの3階建て(日本でいう4階建て)のもの。

 パンデミックの前から、雲行きはあやしい感じではありましたが、ロックダウンや感染対策の店舗の営業制限などから、いよいよ、一つ、また一つとテナントが減っていきました。

 私が今のアパートに引っ越してきた頃は、コマーシャルセンターはお店も満杯で、テナントに空きなどありませんでした。フランス人なら誰もが知っているような大手のファッションメーカーや子供服専用店などが何店舗も入り、メガネ屋さん2店舗、携帯などの通信機器の店舗、書籍、CD、DVD、文房具などを扱っているバージンメガストアーや、マクドナルドなどのファストフード、パン屋さんのPAULなどは2店舗もありました。

 それが大手チェーン展開をしている店舗はマクドナルドの閉店を皮切りにどんどん閉店していきました。かろうじて、スーパーマーケットのカーフールは存続していますが、それでさえも以前は2フロアにわたり、何から何まで揃っている感じであったものが1フロアに縮小されています。

 客足に翳りが見え始めて撤退する店舗が出始めることで、ますます客足が減少し、客足も減少していくから、さらに売上も減少し、次々と撤退する・・コマーシャルセンターの悪循環というのは、こういうものなのだということをまざまざと見せつけられている感じです。

 しかも、絶対に潰れはしないと思われる大手の店舗がこぞって撤退していくのには、ちょっと唖然とさせられます。しかし、大所帯を抱える大手のチェーン店舗だからこそ、不用な店舗は撤廃していくのは当然のこと。

 パンデミックによるロックダウン生活で、ますますネットショッピングは拡大し、店舗を構えること自体がリスキーなことになっているのかもしれません。

 明らかにこのコマーシャルセンターの衰退にアクセルをかけたのは、パンデミックによるロックダウン、営業停止によるもので、そうでなければ、ここまで急激に衰退することはなかったと思います。目に見えるパンデミックによる経済的な打撃は、私のごくごく身近なところにもあらわれています。

 「どんどんコマーシャルセンター内の店舗が減っていく・・」とショックを受けている私ではありますが、考えてみれば、利用しているのは、スーパーマーケット(カーフール)と薬局、それに、年に1回行くか行かないかのDARTY(電化製品)のみ。

 DARTYでさえも、すでにフナック(fnac)(同じく電化製品を中心に書籍や文化的な製品などの広範囲の製品を扱うチェーン展開のお店)に買収されており、店舗数は縮小されていく方向に向かうのは、当然のこと。集約できないコマーシャルセンターは致命的です。

 人の流れというのは、正直なもので、人が集まるところには、行列ができるようなお店もある中、どう考えても、このままではこのコマーシャルセンターは、たち行かなくなります。

 今、パリで行列のできているお店と言えば、すぐに思い浮かぶのは、人気のラーメン屋さんなどで、この際、ここが、和食屋さんやアジア食材を扱うフードコートのようなものになってくれないものか?などと、悔し紛れに思っているのです。


コマーシャルセンターの衰退


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