年末、大晦日の日に大統領が国民に向けて、一年の総括や来年への展望などを語る模様が放送されるのは、フランスの伝統的な行事の一つのようなもので、なぜだか、私は、マクロン大統領以前のオランド大統領やサルコジ大統領を飛び越えて、シラク大統領の年末の演説が印象に残っています。 あくまでも、個人的な好みですが、私がフランスに来て以来のフランスの大統領の中で、シラク大統領が威厳もゆとりもオーラもあって、立ち振る舞いなども、どこか優雅でカッコよかったなぁと思っているのです。 個人的な好みは、全くの余談ですが、この4人の大統領の中で、最もたくさんの演説を聴いたのは、マクロン大統領にほかなりません。 なんといっても、もう2年近くも続くパンデミックのために、彼の演説は、おそらく、どの大統領よりも機会も多く、ロックダウンやロックダウン解除、ヘルスパスシステムの導入などなど、見逃せない内容でもありました。 また、パンデミック以前もテロや黄色いベスト運動などで、フランスは荒れていましたので、彼が大統領に就任して以来、まさに苦難続き、その度にマクロン大統領は、国民に向けて、話をする必要が多々あったわけです。 フランスの大統領選挙は2022年4月に行われますが、まだマクロン大統領は、立候補の声明を出していません。今回の演説でも、大統領選に出馬するということは、明言していませんが、「私は、今後もどんな立場にあっても、皆さんを支え続けることを約束します」と語っています。 今回の演説が彼の任期中の最後の演説とは思えませんが、一貫して、彼の演説は、いつもフランスを称え、自信に溢れ、自画自賛を混じえながら、かなり楽観的なのが特徴です。 今回も例に漏れない内容で、冒頭は、「現在、私たちは、再び感染拡大に直面し、今後、数週間は、非常に困難な状況が待っています。」と始まりましたが、これは、あたかも想定内のことであったと言わんばかりに、「しかし、昨年と違って、私たちには、ワクチンという武器がある」そして、「5300万人」のフランス人がワクチンを接種し、2400万人のブースターを注射したことを説明し、「この水準は、フランスを「世界のトップグループ」に位置づけるものである。」と語りました。 しかし、残念ながら、毎日記録を更新しつづけている感染者数や感染率もまた、世界のトップグループでもあるのです。 そして、2022年に向けて、自分は「楽観的」であると語り、エマニュエル・マクロンは、「2022年は流行が終わる年かもしれない、私はあなたとともにそれを信じたい」と述べました。 「私たちは、ワクチンのおかげでこの波を乗り越えることができる」と続け、「国の活動を維持するために可能な限りのことをする」「自由を圧迫するような制限を設けない」ことを約束しました。 また、「フランスは試練を乗り越え、2年前よりも強くなっている」とマクロン大統領は強調し、自身が着手したいくつかの改革を振り返りました。 「パンデミックの状況下では、すべてを先送りすることもできたが、私たちは決して諦めなかった。この数週間と今後数ヶ月の間だけでも、何十年も前から語られてきた決定がなされたし、これからもなされるだろう」と、「失業保険の改革」「購買力対策」「インフレ手当」「エネルギー券」「最も低所得であった公務員の給与の引き上げ」「環境対策」などを挙げて付け加えています。 さらに、パンデミックにより、ヨーロッパの繋がりが証明されたとし、フランスが1月には、EU議長国就任することにより、2022年を「ヨーロッパの転機の年」にすると約束しました。 彼のこの大統領として、フランスの一年を総括する演説とはいうものの、聞きようによっては、彼の業績を振り返り、印象付けるものであった演説であったとも思えるのです。相変わらず、自画自賛と楽観的な展望です。 案の定、大晦日のカウントダウンの瞬間には、花火も何もないのに、(花火中止を知らなかった人も多かったらしい)シャンゼリゼは物凄い人・人・人・・。花火は禁止されても、人の集まりは、あまり変わらなかったようです。 テレビでは、世界各国の年明けの花火の様子が繰り返し報道されていて、その時にジャーナリストの一人が、「色々な国に素晴らしい花火があるけど、やっぱり、僕が一番きれいだと思うのは・・」と話し出したので、当然、フランスが一番だと言うのだと思って、「うわっ!また出た!自画自賛!はいはい!パリの花火はきれいですよ・・」と鼻で笑ったら、「僕は日本の花火が一番きれいだと思うんです」と言ってくれたのには、ちょっとびっくりするやら、嬉しいやら・・。Les...
2022年1月1日土曜日
2021年12月31日金曜日
12月31日 大晦日年越しの規制
1日の新規感染者数が20万人を超えても、結局は、大晦日の年越しの夜もロックダウンや夜間外出制限は行われないまま迎えることになります。 しかし、その代わりに細かい禁止事項は、いくつかあり、当日は、10万人の警察官が動員されるそうです。1日20万人の感染者と、取り締まりのための10万人の警察官。どちらも数十万単位でダイナミックなことです。 今年は、すでにパリ、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)では、屋外でもマスク着用が義務化されているほか、公道でのダンス、飲酒、パーティーが禁止されており、レストラン・カフェ・バーなども1月1日午前2時には閉店が義務付けられています。Dispositifs...
2021年12月30日木曜日
フランス1日の新規感染者数20万人突破 連日新記録更新
一昨日の新規感染者数が10万人から一気に17万9,800人を超えたと聞いて、絶句しましたが、昨日は、とうとう20万人のしきい値も軽々飛び越えた(208,000人)のには、もはやもう、大した驚きではなく、もう諦めのような気分です。 10万人を超えたのが12月25日でしたから、たった4日間で、倍の20万を突破したのは、これまで、オミクロン株の感染の速度が異常に速く、2〜3日で倍に膨れ上がると言っていたとおりになっていますが、さすがに5人が10人になるのではなく、10万人が20万人になるということは、その衝撃は大きく、異様な気分です。 現在のフランスは、大人数での集会などの制限な...
2021年12月29日水曜日
感染者追跡アプリにアラート(注意)が来た! フランスの1日の新規感染者数17万9800人突破
慌てて検査に行ったところ、陰性でした・・ フランスで現在、使用されているヘルスパスのアプリは、「TousAntiCovid」(トゥースアンチコヴィット)と言って、もともとは、ワクチン接種が始まる前に出来上がっていた感染者追跡アプリでした。 感染者を追跡し、感染者との接触を回避する、また感染者と接触した場合に直ちに検査して、さらなる感染を回避するために作られたのですが、当初はあまり使用する人がおらずに、その効果は上がっていませんでした。 現在は、ヘルスパス(ワクチン接種証明書など)として使用されているために、かなりのフランス国民が自分の携帯にダウンロードしているものと思われます。ヘルスパス以外にも、全国(フランス)の感染状況、ワクチン接種状況などのオンタイムの情報もこのアプリで情報を得ることができます。 実際に、私も日常的には、ヘルスパスとして使用しているため、これが、感染者追跡アプリでもあったことを忘れていたくらいでした。 ところが、先日、夜になって、そのアプリに「アラート」(注意)!と連絡が入っていて、「あなたが、もしワクチン接種をしていなければ、感染のリスクが高いです。直ちに隔離して、検査を受けてください」というお知らせ。 そして、私が感染者と接触した可能性がある日付が記されていました。しかし、記されているのは日付だけで、一体、どこで感染者と接触したのか等は、記載されていません。もう、その日付から数日経ってのことなので、もしかしたら、アラートが来ているのに気付かずに数日経ってしまったのか?と思いながら、「明日、行けたら検査に行こうかな?」くらいにぼんやりと考えていました。 ところが、翌朝になって、またアプリを確認すると、すると昨日の日付に加えて、さらにその翌日の日付でのアラートが入っていました。「これは、私が見過ごしていたわけではなかった」ことを悟った私は、「これでは、私は毎日のようにどこかで感染者と接触しているのではないか!」と、慌てて薬局に検査に行きました。 実に私は、パンデミック以来、一度もこの検査を受けたことはなく、初めての経験でした。 日頃、あまり出歩かない私にさえ、アラートが来るのだから、これでは薬局も混雑しているだろうと思って覚悟していくと、予想どおりに薬局は、検査を受けに来る人で溢れかえっていました。 9月以来、ワクチン接種を拡大させるために、ワクチン未接種の人に対しての検査は有料になっていますが、ここでもワクチン証明書を提示すれば、検査は無料でやってくれます。 薬局の検査対応の人は、大変、忙しそうで、「以前よりもずっと陽性の人が多いのよ・・」と、嘆いていました。検査に来るということは、症状がある場合とも限らないものの、私のように感染者と接触し、感染している可能性のある人が来ているわけで、しかも、その中から陽性者が多く見つかるようになったということは、この薬局に来ること自体、感染者との接触に繋がらないことにもなりかねないという事実に空恐ろしいものを感じました。 一緒に生活している娘には、アラートは来ていなかったものの、数日前に会った友人から、「感染した」という知らせが入り、親子揃って検査にいくハメになりました。 私は、12月の初旬に3回目のブースター接種を済ませ、娘もその翌週に済ませていますが、リスクがある限り、検査はしなければ、安心はできません。できるだけ、外出は控えていた私ではありますが、アラートが来ていた日付には、ノエルの買い物に結構な時間、パリの街をあっちもこっちもと出歩いていた日、外食したわけでも個人的に誰かと会ったわけではありませんが、ずいぶん、人出が多いなぁなどと思いつつも、マルシェ・ド・ノエルを覗いたりもしていました。 しかし、その翌日のアラートが来ていた日は、家にアパートの管理人さんが来てくれたくらいで、外出はしていません。となると、彼女が感染していたのか?としか、考えられません。 とにかく、感染者追跡アプリのアラートといい、娘の周囲での感染状態といい、もはや、少しでも誰かと接触すれば、かなりの確率で感染のリスクがあるのか・・と思わずには、いられない、これが1日の感染者10万人のフランスの現状なんだ・・と実感していました。 幸い、親子ともども、検査の結果は陰性でしたが、娘の友人で、感染者と接触して、4日後に検査に行った時には、陰性で、そのさらに2日後に検査に行ったら、今度は陽性だった・・などという話も聞くので、感染者と接触しても、何日後に検査で陽性が出るのかもよくわからないため、現在、娘は念のため・・と家の中でもマスクをしてくれています。 私は、「もしも、あなたから感染して死んでも、悔いはないよ・・」と言ったのですが、「そんな寝覚めの悪い、どれだけ、後で自分を責めることになるかわからない?」と娘から反対に怒られてしまいました。 同じ家にいながら、半隔離状態のような生活・・あと、どれだけ娘と暮らせるのかもわからないのに、本当に悲しいことです。 ますます、生き辛くなってきたこの感染状況、明日の朝もまた、アラートがついているかもしれないと、しばらく、毎日、検査に行かなければならないか?と覚悟しています。 ここまで書いたところで昨日のフランスの1日の新規感染者数が17万人超え(ほぼ18万人)であったことがわかって、思わず絶句してしまいました。 今日の薬局での「陽性者がとにかく多くて・・」という話からも、ありえない話ではないかもしれないとは、思ったものの、それにしても10万人から17万人とは、あまりの急増・・1月には、25万人を突破するかもしれないという昨日のオリヴィエ・ヴェラン保健相の話も現実的になってきたのかもしれません。 このまま大した規制もなく、大晦日のカウントダウンを迎えるのでは、いくら、大統領選挙を前にして、マクロン大統領が国民に嫌われたくなくて、規制を控えているとしても、本当にこのままにするのかと思うと、彼の真意を逆に理解し難く感じてしまいます。フランス1日の新規感染者数18万人 新記録更新<関連記事>「クリスマス当日に新規感染者10万人突破 陽性者隔離による社会機能不全」「「STOP...
2021年12月28日火曜日
1月初旬には、1日の新規感染者は25万人を超える! 政府が発表した感染者急増への感染対策
ノエルとともに1日の新規感染者数が10万人のしきい値を超えたフランスは、これからさらに年末年始を迎えるタイミングで新たな感染対策を発表しました。 週明けに招集された国防会議の結果を発表すべく、カステックス首相とオリヴィエ・ヴェラン保健相は記者会見を行い、まず冒頭にカステックス首相が「フランスでもヨーロッパと同様に、状況は極めて緊迫しており、新しい波が大陸に押し寄せ、この積み重ねが、10万件というシンボル越えを実現し、発症率(10万人あたりの感染者数)は700を超え、パンデミック以来最高となった」と述べました。 この感染拡大をなんとか抑えるためには、ワクチン接種の加速が、なによりも重要で、フランス政府は、Haute...
2021年12月27日月曜日
クリスマス当日に新規感染者10万人突破 陽性者隔離による社会機能不全
フランスは、7月の時点でヘルスパスのシステムを起用して以来、ヘルスパスを持っている人に対しては、ほぼ規制のない日常が送れるような感染対策を続けてきました。 パンデミックが始まった当初の最初の厳格な、ほぼ、外に出られないようなロックダウンが約2ヶ月間続き、それからは、いくつかの感染の波を繰り返し、長い間、飲食店なども閉鎖され、それに夜間外出制限や長距離の移動制限などを繰り返してきました。 2021年が始まった当初は、今年はとにかく、「ワクチン・ワクチン・ワクチン!」と、ワクチン接種を拡大していくことを発表していました。ワクチン接種が始まった当初は、2回のワクチン接種をすれば、ある...
2021年12月26日日曜日
クリスマスプレゼントは即刻転売サイト行きが急増
フランス人にとってのノエルは一年のうちの一大イベントで、そのチカラの入れようは、なかなかなものです。むしろ、新年を祝うお正月よりも重んじられている感もあり、たいていは、ノエルは家族とともに、新年のカウントダウンは友達同士で・・という過ごし方をする人が多いです。 日常は、どちらかといえば倹約家のフランス人もノエルの食事やプレゼントには、惜しみなくお金を使います。 街を歩いていても、明らかにクリスマスプレゼントであろう包みを抱えた人を多勢見かけます。それも、家族全員分なので、結構な量でかなりの出費になります。 多くの商店は、一年の売り上げの大半をこの時期にあげると言われています。 我が家も娘が小さい頃は、クリスマスイブの日の夜に、クリスマスツリーの木の下に、家族全員の靴をならべ、なぜか、その靴にオレンジを添えて、サンタクロースを待つという不思議なことをしていました。 そして、娘が寝た後に、クリスマスツリーの下に事前にあちこちから届いているプレゼントをツリーの下に並べておいておくのが習慣でした。 翌朝、娘が起きてきて、一番にクリスマスツリーを確認しに行き、嬉しそうに一つ一つプレゼントを開けていく様子がかわいくて、私たちにとっては、娘が嬉しそうにプレゼントを開けていく、その場面を見ることこそが何よりのクリスマスプレゼントでした。 このノエルのプレゼントの習慣は、相変わらずフランス人にとっては、とても大きなイベントではありますが、ここ数年、それに異変が起きているのは、そのプレゼントが即刻、転売サイトに掲載され、売り出されてしまうケースが急増していることです。 私は、Vinted(ヴィンテッド)というフランス版メルカリサイトのようなもので、家にある不用品を処分しつつ、ちょっとしたおこづかい稼ぎをしているのですが、このサイトも11月から12月にかけてが一番、品物が売れるので、この時期に狙いを定めています。 実際にそれは、クリスマスプレゼント用のものとして購入され、ノエルを過ぎるとパッタリと売れなくなるので、これまでは、この時期で今年の営業は終わり・・という気分でいたのです。 ところが、最近は、結構、そのサイトをノエルが過ぎても覗いている人がいるのを不思議な現象だな・・と思っていたのです。 楽天バロメーターによると、この1年間でフランス人の2人に1人以上がノエルのプレゼントの転売を行っているか、またはそれを検討していると言います。現に、あるサイトでは、25日の15時までに、60万件近くの広告が再販サイトに掲載され、2020年と比較して15%以上の伸びを示しています。(1月上旬までに300万個のクリスマスプレゼントが転売される見込み) プレゼントの交換の時には、大袈裟とも思われるほどに喜びあっているのに、実のところは、そのプレゼントが即刻、転売に出されているところは、あれは芝居だったのか?と思ってしまいます。 無駄なものを持たずに、お金に変えてしまうあたり、さっぱりしているというか、がっちりしているというか、プレゼントを贈るときには、転売されないように、本人の希望を吟味する必要があるな・・と思います。 それでも、あまりにプレゼントが行き交うために、同じものをダブってもらってしまったりするケースやサイズ違いや好みではないものであったり、転売の理由はさまざまです。 実際に、子供などに対しても、これは、ちょっと物を与え過ぎではないか?と思うほど、ノエルには、甘々なフランスの親や祖父母なのです。 今年、最も転売サイトに掲載された物は、「レゴ・ハリー・ポッター」や「スター・ウォーズ」、ボードゲームの「スカイジョー」や「コードネーム」、そしてフランスのスター選手キリアン・エムバペが表紙を飾るビデオゲーム「FIFA...
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