2021年4月19日月曜日

母親による8歳の少女の誘拐事件


Le procureur de la République d'Epinal Nicolas Heitz tient un portrait de Mia, une fillette de 8 ans enlevée  dans les Vosges, lors d'une conférence de presse le 14 avril 2021 à Epinal
母親に誘拐された少女 どこか小さい頃の娘に似ているのでドッキリ・・

   


 13日(火)フランス北東部のヴォージュで8歳の少女が3人の男に連れ去られる誘拐事件が発生したというニュースがフランス中を駆け巡りました。また、恐ろしい事件が起こってしまった・・と思っていましたが、報道ではすぐに、誘拐された少女の写真とともに、彼女との単独での面会を禁止されているという母親の写真を併せて報道していましたので、恐らくこの誘拐は、その少女の母親であると見られていることは、わかっていました。

 数日後には、この誘拐を手伝ったとされる5人の男性がイル・ド・フランスで逮捕され、すぐに事件は解決するものと思われていましたが、事件発生後5日が経過して、ようやく、その母娘がスイスで見つかりました。

 少女は健康な状態で、保護され、母親は逮捕されました。

 この母親は、子供を学校に行かせないように仕向けるなどの問題を指摘され、ASE(児童福祉)から子供を養育する権利を剥奪され、子供は、祖母に育てられていました。この児童福祉の措置を不満に思っていた母親が子供を取り戻そうと、今回の誘拐を計画、実行したという、ちょっと単なる誘拐事件とは、異なる事件でした。

 この子供の誘拐計画は、母親(28歳)が仲介者を介して募集した5人の男性とともに綿密に練られたもので、このASE(児童福祉)に反抗、抗議するというある種の使命感によって、連帯して集まったグループで行われたもので、先にイル・ド・フランスで逮捕された男の一人は、「私は、これまでの人生で、一番良いことをしたと思っている。」などと話していたことがわかっています。

 この誘拐計画は、彼らの中で、軍事作戦のように「リマ作戦」と名付けられ、犯行には3,000ユーロの資金が用意され、車の手配から、犯行に必要なトランシーバーや携帯電話、変装に使うためのヘアピースなどの細かいものまでもが揃えられ、子供を誘拐して、スイスに逃亡させるシナリオが綿密に練られ、シナリオに沿った職務が分担されていました。

 13日、祖母の家にいた8歳の少女を連れ出した3人の男と、母親と少女を会わせて、スイスに逃亡させた男、国境を渡ったのは、母娘ともに徒歩で渡ったとされていますが、その後、スイスでの逃亡先の手配をする者、スイスのホテルまでの輸送など、誘拐に関わったのは、5人だけではないと見られています。

 この誘拐事件の計画はSNSによって招集されたグループではありますが、「サバイバリスト運動」と呼ばれる活動に賛同している人々で、子供の養育権をASE(児童福祉)から剥奪された母親を助けるという使命感に基づいているだけに、複雑な問題でもあります。

 一方では、これは、国家権力に対する一種のテロ行為であると言う人もいます。

 しかし、この誘拐事件の捜索には、200人以上の憲兵隊が動員された大事件に発展し、子供の母親が子供を取り戻して、そのまま娘と生活することが可能だと考えていたのかと思うと疑問が残ります。

 この母親が娘の養育権を剥奪された細かい事情や本当のところは不明なのですが、母親を失い、祖母に育てられ、そして、その母親により誘拐されるという体験は、8歳の子供を深く傷つけてしまったに違いありません。

 この少女の父親が、この母親について証言したりしているので、父親がいないというわけでもないにも関わらず、母親と引き離されたこの少女を育てているのが祖母であるということからも、まだ8年しか生きていない少女の境遇の複雑さが感じられます。

 以前、娘の学校の送り迎えの際に、娘の学校はとても厳しくて、迎えに行く人をあらかじめ、学校側に届け出をしなければならなくて、「たとえ、親であっても、送り迎えと指定された人でなければ、子供を渡すことはできない」と言われており、「親なのにダメなの?」と驚いたことがありました。

 フランスは、離婚して、夫婦が別居していることも多く、親権をめぐって、「送り迎えの際に子供を誘拐」なる事件も起こるため・・と説明されていて、今回のケースは、また別ではありますが、そんな話をこの事件を通じて、思い出したのでした。

 また、知り合いの日本人の男性が、(妻は、フランス人)妻の病気を理由にASE(児童福祉)から目をつけられて、子供を児童福祉機関に取りあげられそうになり、(彼自身は、育児も積極的に行う極めてまともな人)あまりに執拗な彼らの攻撃に、弁護士に相談し、挙句の果てに治外法権である日本へ子供を連れて逃げ帰ったという話を聞いたりしていたので、この絶体的な権力を持ったASEという機関が、必ずしも正当に機動している場合ばかりではない実例を身近にしてしまったために、懐疑的な気持ちも私の中にはあるのです。

 いずれにしても、この渦中にいる8歳の少女がどれだけ辛い想いをして、傷ついているかと思うと、やるせない思いになります。


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2021年4月18日日曜日

コロナウィルスによる死亡者10万人突破と5月中旬にテラス・美術館再開を模索するフランス

 


 

 久しくご無沙汰していた日本にいらっしゃる元上司の方から、メッセージを頂きました。

 メッセージには、「フランスは、コロナウィルスによる死亡者数が10万人に達し、世界第4位と日本で報道されていますが、大変、心配しております。」とありました。

 このメッセージのとおり、フランスは、4月15日の時点で、とうとう新型コロナウィルスによる死亡者数が10万人を突破しています。世界第4位というのは、どういう換算の仕方かは、わかりませんが、数字だけを見れば、アメリカ、ブラジル、インド、イギリス、イタリア、ロシアに続いています。

 死亡者数が9万人を突破したのが3月12日ですから、約1ヶ月の間に1万人が亡くなっていることになります。大変な数字です。家族の一人が亡くなったとしても、大変なことなのに、それが10万人とは・・この数字にどうにも麻痺してきています。

 総感染者数で弾き出されている世界第4位という数字なのでしょうが、アメリカやインド、ブラジルなどは、人口も多いので、そのあたりを総合的に換算すると世界第4位くらいになるのかもしれません。

 いずれにしても、酷い状況であることに変わりはなく、ヨーロッパの中では、現在、ダントツの状況です。 

 フランスは、学校閉鎖等の規制を加えた3回目のロックダウンを開始してから、約2週間が経過し、これまで、かなりバラつきもあったので、定かではありませんが、この第3波では、一時は、1日の感染者数が6万人を超えた日もあったりしたのですが、ここ数日、38,045人、36,442人、35,861人と、もしかしたら、若干、感染者が減少し始めたかもしれない状況ではあります。

 しかし、集中治療室の占拠率は依然として、イル・ド・フランス155%超え、フランス全体でも116%超えと悲惨な状態は全く改善されていません。

 しかし、こんな最中に3回目のロックダウン(学校閉鎖)を発表した際にマクロン大統領が、同時に5月中旬には、文化施設やレストランのテラス席などを段階的に再開していくと発表していたことから、それが近づくに連れて、5月中旬の現在は、閉ざされている様々な施設の再開について、騒がしく語られるようになってきました。

 実際に近隣のヨーロッパ諸国、イギリスやイタリアなどが少しずつ、日常を取り戻し始めている中、指を加えて眺めているだけのフランスは政府も焦りを感じていることが伝わってきます。

 しかし、イギリスは、最悪の状態だった昨年末から1月の段階からのロックダウンを経て、また、飛躍的なワクチン接種の進め方で、劇的な改善に成功し、1日の新規感染者数も2,000人台にまで減少しています。

 フランスは、ワクチン接種も日曜、祝日もなしに毎日、続けるという政府の意気込みをよそに思うようには、なかなか進んでおらず、現在までにワクチン接種を1回でも受けた人は、全人口の18.38%にしか、及んでいません。

 5月半ばと言えば、5月に入って、恐らく、まず学校が再開して、ちょうど2週間後、大体、ロックダウンしても、ロックダウンを解除しても、その影響が現れるのは、2週間後のことで、再び、学校を再開した場合の影響が心配されます。

 とはいえ、フランスの学校は、長くても6月末までで、あと一ヶ月ほどで、今度は夏休みのバカンスに入りますから、このタイミングで学校を再開できないのは、かなりのダメージになります。だからと言って、バカンスの時期を先延ばしにして、学校の授業の遅れを取り戻すなどということは、フランスではあり得ないことです。

 文化施設の中でも、マスクをしたままで、しかも、静かにただ、眺めて歩く美術館などは、問題が少ないと思われますが、問題は、テラス席とはいえ、レストランの営業です。

 日本のような黙食などは、あり得ないフランスでは、これまでの鬱憤の蓄積もあり、せめてアルコールは禁止くらいにしないと、大変なことになりかねません。

 とはいえ、全ての鍵を握るのは、ワクチン接種です。ワクチン接種が進んで行けば、現在、高齢者に対しては、かなりワクチン接種が進んで、劇的に高齢者の感染が減少したことを鑑みれば、有効性はかなり高く、日常を取り戻せると思われます。

 ぐずぐずしていると、また新しい驚異的な変異種が登場して、(実際に、イギリス変異種に続いて、ブラジル変異種の驚異が迫り、フランスもブラジルからの入国制限を開始しています)、ワクチンが有効でない変異種が出てきて、(ファイザーのワクチンは3回しなければ、変異種には、有効ではないなどという声も聞こえてきています。)また、逆戻りなんてことにもなりかねません。

 どちらにしても、夏のバカンス時期には、絶対におとなしくしていないフランス人です。夏のバカンスを餌に、もう少し様子を見て、ワクチン接種の拡大を待って、慎重にテラス席の再開を見合わせる方が賢明なような気がしているのです。

 しかし、フランス人ってテラス席、好きなんだよな〜。気候の良い時期には気持ち良いのですがね・・。


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2021年4月17日土曜日

入院患者の3分の1は、退院後4ヶ月以内に病院に戻る 初回感染を乗り切っても安心はできないコロナウィルス

 


「新型コロナウィルスで入院した患者の3分の1が病院に戻る」という研究結果をBMJ(British Medical Journal)が発表し、症状が改善して、退院しても、決して安心できない状態であることを警告しています。

 新型コロナウィルスに感染した場合の複数の合併症が予後に影響を及ぼし、長期的に悲惨な結果をもたらす可能性があるのです。

 新型コロナウィルスは、単純なインフルエンザとは違います。2020年8月に退院した48,000人のコロナウィルス患者に関するイギリスの研究によると、彼らのほぼ3分の1(29.4%)が退院後140日以内に病院に戻り、同期間に10人に1人(12.3%)が死亡しています。

 これまでも新型コロナウィルスは、長期コロナ感染症(COVID LONG)として知られる持続的な症状を引き起こす可能性があることはすでに知られていました。これは、息切れから頭痛、全身倦怠感、うつ病、記憶障害、関節痛に至るまで、一連の症状を特徴としています。

 中国の研究発表によると、患者の75%は感染後6ヶ月でもまだ症状があることがわかっています。

 そして、このウィルスは、肺以外の臓器にも損傷を与えることも示されています。

 2020年の研究によると、「長期コロナ感染症(COVID LONG)」の患者の32%が心臓に、12%が腎臓に、10%が肝臓にダメージを受け、患者の25%が、複数の臓器に影響を受けています。

 この結果は、この感染症は、非常に悪性のものであり、これまで、心臓病、腎臓病、糖尿病はコロナウィルスに感染した場合のリスクの高い危険因子であると考えられてきましたが、コロナウィルスに関する合併症にもなり得るということが判明したとも言えます。

 そのため、本来は、感染患者の臓器の損傷をできるだけ早く検出するために、退院後の患者の状態を定期的に検査してチェックし続ける必要があります。

 2,000人のコロナウィルス患者を対象としたアメリカの研究では、コロナウィルス患者に最も頻繁に起こっているのは、敗血症、肺炎、心不全であり、退院後60日以内の死亡率が9.1%であることを発表しています。これは、同期間のBMJ(British Medical journal)の発表している研究結果(死亡率)とほぼ一致しています。

 そして、この結果は、これまで発表されてきた新型コロナウィルスに関連する死亡率が、実際は、遥かに高い可能性があるということも示しています。

 フランスでは、2020年3月2日から2021年4月1日までの間に414,931人が新型コロナウィルスのために入院しました。(この数字は、初めての入院のみが換算されています)そのうちの3分の1が再入院する可能性があると考えると、138,000人が再び病院に戻ってくることになるわけで、それを考慮すれば、病院の混雑の緩和は当分されそうにないことが推測できます。

 現在のフランスは、集中治療室は、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)は、155.5%、フランス全体でも116.9%の医療崩壊状態が続いています。コロナウィルス以外の病床は、どんどん縮小され、手術も延期されている状態。退院した患者の検査をする余裕などは、到底ありません。

 今後、感染者数が減少してきても、今度は、再入院の波が押し寄せることになります。

 コロナウィルス感染からは、生還しても、その後、コロナウィルスが引き起こした合併症により死亡する場合も多いという事実は、衝撃的です。そして、これらの人々は、コロナウィルスによる死亡としては換算されてはいないのです。

 知れば知るほど、恐ろしくて侮れない新型コロナウィルス。考えてみれば、これまでなかった病気のため、その病気の実態や、治療、ワクチンでさえも、全てまだ、はっきりわかっていない壮大な実験をしているような状態、そして、その実験結果はまだ出ていない状態なのです。


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2021年4月16日金曜日

フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!

  

フランスの大手チェーンのスーパーマーケットに堂々と並ぶ冷凍餃子


 フランスでは、ここ数年、大の日本食ブームで、このパンデミックの影響で、レストランの営業がままならないものの、今やお寿司は、フランスのどこのスーパーマーケットでも見られるようになり、日本食といえば、まずは、お寿司を思い浮かべるフランス人が多いと思います。

 パリには、だいたい、どこの街にも日本食レストランがあり、(とはいっても、その多くは中国人経営のなんちゃってお寿司をさらにフランス人の好みにアレンジしたようなものがメニューに並んでいますが・・)、お寿司の他に天ぷらや焼き鳥なども用意されています。

 そんな中国人経営のお寿司屋さんも生き残りが大変なのか?そのメニューのバリエーションが拡大し、当初は、お寿司だけだったお店のメニューには、焼き鳥などに混ざって餃子が登場するようになりました。 

中国人経営の日本食屋さんのメニュー 08が餃子

 以前から、フランス人でもパリにあるラーメン屋さん(昼食時などには、長蛇の列ができています)に行ったことがある人などは、「餃子大好き!」などという話を聞いたことがありましたが、餃子がフランスに広まり始めたのは、この中国人経営のお寿司屋さんが餃子を扱い始めたことによると私は、思っています。

 以前からも、日本食料品店、アジア食料品店などに行けば、味の素(AJINOMOTO)の冷凍餃子などは、買うことができましたが、ここのところ、ごくごく普通のカーフールなどのフランスの大手スーパーマーケットチェーンなどでも、どこへ行っても、冷凍餃子(味の素が多い)が置いてあるようになりました。

 そして、最近、日本食に力を入れているのが、ありありとわかるフランスの冷凍食品メーカー「PICARD(ピカール)」などにも自社製品の餃子が登場しています。(どこか妙な感じのするものではありますが・・)

 それにつれて、他のメーカー(おそらく日本のメーカーではない中国のメーカーなど)の冷凍餃子もスーパーマーケットで見かけられるようになり、先日、いつもはあまり行かない地域に他の用事で出かけた時に、たまには、違うスーパーマーケットも覗いて見ようと足を運んだところ、冷凍餃子のスペースの大きさにビックリしたのです。

 フランスのごくごく一般的なスーパーマーケットにこれほどのスペースを取るほど、冷凍餃子が売れているのだろうか?と・・。

 もともと餃子と言えば、中国発祥の食べ物、しかし、フランスでは、日本の焼き餃子は今や日本食の一つと言える地位を獲得しつつあります。5〜6年前は、中華のテイクアウトのようなお店には、日本の餃子と思われるもの(焼き餃子)が売られていましたが、それは、ラビオリ・シノワという名前でした。

 最近は、同じものが、ラビオリ・ジャポネになっています。

 そして、今やそのラビオリ・ジャポネは、本来のGYOZAという呼び名で浸透しつつあり、フランスのトップ シェフ(シェフが次々と登場して創作料理を披露するフランスの人気料理番組)などを見ていると、GYOZAという言葉は、SUSHIのように、かなりフランス語として、定着しつつあるな・・と感じます。

 フランスで売られている味の素の冷凍餃子などは、さすがにフランスで売るために、普通の餃子の他に「鶏肉餃子」や「野菜餃子」など宗教対応、ベジタリアン対応がされていて、たいていそれらが同時に売られています。

 しかし、この冷凍餃子を不器用なフランス人が上手に焼くことができるのだろうか?と多いに疑問でしたが、フランスのお料理サイト(日本のクックパッドのようなもの)を覗いてみると、「餃子を作った!」という写真がいくつも投稿されていて、「まあまあ、こんなもんかな・・?」と思うものから、「これ、わざわざ投稿する??」と思われるものまで、なかなか面白いです。

これ、わざわざ投稿する??と思った一枚

              

 とはいえ、フランスでの冷凍餃子のお値段は、8個入りで5ユーロ(約650円)程度とちょっと高め、たくさん食べたいと思うと自分で作ることになり・・となると、ニラや餃子の皮などは、やはり、どこでも買えるというものでもなく、我が家はニラをベランダで栽培しています。

 ニラは、一度、しっかり根付いてくれれば、5年くらいは、切っても切っても生えてくるので、ニラが育つと、我が家は餃子。皮を買いにアジア食料品店に行くのも面倒で、皮も自分で作ります。

 とはいえ、少々、高いことを除けば、いつでも餃子が食べられるようになったフランスの餃子勢力拡大とGYOZAの浸透は、在仏日本人としては、嬉しいことです。


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2021年4月15日木曜日

コビット・トラッカー Covid Tracker ワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイトを作ったのは、政府とは無関係の24歳の青年


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 今、コロナウィルス感染拡大が止まらないフランスで、唯一と言っていいほどの希望の星は、ワクチン接種ができるだけ、スムーズに迅速に進んでいくことに違いありません。

 そして、そのワクチン接種の予約がどれだけ取りにくい状態であるかは、私が個人的に聞いただけでも、「相当の人が、いくら電話をしても繋がらない・・」とか、「繋がっても予約が取れない・・」とか、「ワクチンが届かない・・」など、相当数の人がワクチン接種を待っている状態です。

 一方では、ワクチンは保存方法が容易ではなく、しかも、ワクチン自体が1本で10回分の接種分となっているため、キリよくワクチンを使い切ることが難しく、ワクチンを無駄にしないために、思いがけずに、優先順位とされている順番を遥かに飛び越えて、ワクチン接種が受けられたりするという、チグハグな状況が続いています。

 現在のフランスは、もう本当に切羽詰まった感染状況ゆえ、また、ワクチンが予定どおりに届かないという事情もあるため、一回分のワクチンも、無駄にできない状況です。

 そんな状況の中、ここのところ、大注目のワクチン予約の空き状況を確認して、瞬時にワクチンの予約ができるサイト「コビット・トラッカー」が大活躍しています。自分の住んでいる地域を選ぶだけで、瞬時に、今、その地域で予約できるワクチンの数と接種場所、時間が出てきて、すぐに予約をすることができます。

 試しに、私も自分の住んでいる地域を入力してみると、「現在、予約可能な数は、82、最短で5月17日の13時20分に○○のワクチン接種センターで予約ができます。」と情報が出てきて、その隣には、クリックすれば、予約がすぐに取れるようにできています。

 現在の段階で、5月17日とは、かなり先ではありますが、まるで先が見えずに不安な日々を過ごすよりは、少しでも早く、予約が取れることは、大きな安心でもあります。

 そして、このサイトを立ち上げたのは、政府とは無関係の若干24歳のギヨーム・ロジエというコンピューター工学学校に通う青年で、彼は、このサイトのきっかけになった状況を振り返って語っています。

 「昨年3月にイタリアで、感染拡大が認められた時に私たちは、それを遠くから見るだけでした。」そんな状況をもどかしく思った彼は、ジョンズホプキンス大学のデータを使用して、フランスとイタリアの症例数を示すグラフを作成しました。そして、フランスもイタリアと同じ傾向をたどっていましたが、約10日遅れていることに気付きました。 最初は、単に彼の好奇心から、コロナウィルスの感染状況を監視するサイトを立ち上げたのです。

 その後、彼は、そのデータグラフを家族、友人、同僚と共有し始め、周囲の人から、常にそれを更新するように頼まれ、彼の好奇心は、多くの人から期待を寄せられるようになり、彼はいつしか使命感を感じるようになり、ウェブページを作成。 

 そして、すべての予想に反して、数日でそのサイトには約20,000人の訪問者が訪れました。 需要は急激に拡大したため、彼は、実際のサイトを作成し、自分の名前よりも魅力的な名前とロゴを付け、コビット・トラッカー(CovidTracker)が誕生しました。

 そのデータは、フランスのみならず、世界の感染状況が簡単に確認できるようになっており、また、フランスの地域別の情報も得ることができ、現在のワクチン予約が可能なサイトにまで成長したのです。

 彼は、昨年の6月に一旦、感染がおさまりかけた段階で、サイトを閉じようとしましたが、多くのユーザーの要望で、このサイトは続行、さらにこのサイトを利用して、更なる有効性を試み続けた結果が現在のワクチン予約システムの導入です。

 この予約システムのサイト自体は、「Vite Ma Dose」という別のサイトではありますが、個ビット・トラッカーから簡単に飛べるようにできています。

 同様のサイトは、フランス政府でも世界の他の国でも多く作られていますが、現在、フランスでは、ワクチン接種の予約状況を確認し、簡単に予約できるサイトとして、大きく利用されています。

 現在は政府のサイトにさえ、このコビット・トラッカーは掲載されています。

 「感染がおさまらないのは、政府のせいだ!」というフランス人が多い中、政府にばかり頼らずに自らの手で必要なものを作ってしまう若者がいることに、混迷するフランスの現在に明るい光がさすような気持ちになるのでした。



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2021年4月14日水曜日

コロナ禍の娘のパリの国立病院の研究所でのスタージュ(インターンシップ)

 

  

 我が家の娘は、昨年、秋から日本の国立大学の大学院に留学する予定にしていましたが、ドタキャンになり、今年の春に延期したものの、結局、2度目のキャンセル、昨年の秋の段階では、本当に飛行機のチケットも買って、出発の目前でのドタキャンだったために、突然とぽっかりと空いてしまったその期間のフランスでのスタージュ(インターンシップ)を見つけるだけでも大変なことでした。

 2回目のキャンセルは、一度、痛い目に合っているために、煮え切らない返事しか戻って来ない日本の大学に早々にある程度は、見切りをつけ(こちらのグランドエコールと日本の大学の人が間に入っているため、直接、交渉ができないために余計に話が進まない)、また、前回のようなギリギリで違うスタージュを探す羽目にならないように、日本留学と同時進行で、彼女は、自宅から通えるパリでのスタージュも探していました。

 結局、最終的な返事はないまま、パリでのスタージュが決まって、4月から彼女は、パリの国立病院併設の研究所でスタージュを開始しました。このパンデミックの中、彼女は慎重にロックダウンになったとしても、リモートワークが可能な研究所を探し当てていたのですが、彼女が仕事を開始するその日から、パリは、3回目のロックダウンが強化になり、学校も閉鎖される絶妙なタイミング。

 彼女は、図らずも3回目のロックダウンが開始されたその日にパリに戻り、そして、今日から仕事という日にロックダウン強化という節目節目にピッタリ合わさるようになっているのが不思議です。

 学校だけではなく、仕事をしている人もできるだけリモートワークに切り替えてくださいという政府の方針から、「恐らく、リモートワークになるだろうけど、とにかく最初は、行かなくちゃいけないから・・」と出かけていったのですが、結局、彼女の仕事はリモートワークにはなりませんでした。

 仕事場が病院内ではないものの、病院に併設された研究所ということで、感染の危険もあるかも・・と、心配していたのですが、研究所内の人は、全てワクチン接種済み、彼女自身もワクチン接種を受ける権利をもらったのでした。

 ワクチン接種は、彼女が働いている病院ではやっていないため、別の病院にワクチン接種に行くのですが、今のところ、何度、電話を入れても予約が取れない状態で、すぐには、ワクチン接種はできそうもありません。

 しかし、今、フランスで、病院以外で全員がワクチン接種済みという職場もなかなかないことで、その上、年齢から行くと、(20代前半)ワクチン接種は、一番、後回しになりそうな彼女がスタージュのおかげでワクチン接種を受ける目処が立ったことは、思わぬ幸運なことでした。

 家にいても、救急車のサイレンが頻繁に聞こえてくるフランスなので、病院では、さぞかし、サイレンが1日中、鳴り続けていると思いきや、意外にもそうではないとのこと。それもそのはず、その病院には、もう空いている病床がないということなのです。(パリを含むイル・ド・フランスの集中治療室の占拠率は154.9%(4月13日現在))

 それはそれで、恐ろしいことです。

 彼女は、その研究所でその病院の医学部の教授の事務所で、研究の助手(データ管理など)をしています。彼女が進路について、考え始めた頃、彼女が理系の道に進もうと決意し始めた頃から訪れ始めた頃から彼女自身にも現れ始めた理系の人々独特の兆候の集団にどっぷりと浸かり始めた彼女の新しい生活が始まりました。

 ある日、夜7時になっても帰って来ない(夜間外出禁止で19時までに帰宅しなければならない)娘に「どうしたの?心配したよ!」と言ったら、「医者には、夜間外出禁止はないから、遅い時間になって、会議を始めたから・・」と。

 彼女(彼女自身は医者ではないので)が、「夜間外出禁止があるから、時間を考慮してください」と言って、初めて、夜間外出禁止に気が付くという浮世離れぶり、全然、悪気はないのですが、やっぱり、一般人とは、違うんだな・・と思わせられた彼女の新しい職場でした。

 悪気は全くないのに思わぬところで、とてもトンチンカンな理系の人にありがちなエピソードがこれからチョクチョク、聞けるかと思うと、私はちょっと楽しみです。しかし、彼女自身がすでにそのお仲間の一人・・彼女がその彼らの不思議な行動に気が付かない可能性もあります。

 とはいえ、前回のスタージュと違って、彼女の希望に近い職場が見つかって、その上、ワクチンまでできて、よかったな・・と少しホッとしていますが、彼女自身は、もう今年の秋からの次の学校への試験やスタージュ先を探す次から次へとなかなか忙しい娘です。

 しかし、フランス政府のコロナウィルスによる経済被害対策の一環として、加えられたスタージュ等の採用をすると、企業側が税金の控除を受けられるなどの対策のため、スターじゅの求人は、昨年よりも増えているようで、少しは余裕を持って探せる状態になっているようです。

 この時期、進路も色々と計画どおりには、ならなかったり、就職も大変だったりする人も多いと思いますが、諦めずに頑張っていって欲しいと思っています。


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2021年4月13日火曜日

パリ16区で起こった銃撃事件で1名死亡、1名重症の衝撃



 昨日、私が、パリ16区で起こった銃撃事件を最初に知ったのは、日本大使館からの一報でした。「報道によりますと、12日午後1時40分頃、パリ市16区アンリデュナン病院(ミケランジュ通り)の前で、銃撃事件が発生し、1人が死亡、1人が重症とのことです。犯人は、スクーターで逃走中とのことであり、邦人の皆様におかれましては、以上を念頭に外出は十分ご注意下さい」という内容のメールでした。

 このメールが届いたのは、この事件が起こった約2時間後の15時35分で、1日中ニュースを注意して見ているわけではない者にとっては、貴重なお知らせでした。

 パリ16区といえば、東京で言えば、田園調布のような高級住宅街で有名な場所、日頃、治安が決して悪くない場所で、銃撃事件が起こるということは、かなり衝撃的なことです。

 今年の3月にも、パリ16区の高校(Lycée Jean de la fontaine)前で、数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。

 この高校が公立高校でありながら、日本語セクションがあり、正課で日本語が学べる高校であることから、その存在を知っていただけに私にとっても、ショックはことさら大きなものでした。

 しかし、今回は、単なる暴力事件ではなく、銃が使われた犯罪で、その恐ろしさは、ひとしおです。

 目撃者の証言によると、犯人の男は、被害者の頭のかなり至近距離で数発の弾丸を発射して、かなり落ち着いた様子で、そのまま何事もなかったように去り、スクーターに乗って逃走したそうです。

 頭を至近距離で撃たれた男性は、死亡、そばにいた病院警備にあたっていた女性は、重症を負っていますが、この死亡した男性とは無関係の女性だそうです。

 この事件が発生した前の病院は私立で、赤十字が運営しており、予防接種センターとして機能している病院の前で起こったことから、ワクチン接種等へのテロ行為であることも疑われていましたが、パリ16区の市長は、この事件は、病院に対する反抗や無差別テロ行為ではないことを発表、被害者がこれまで何度も標的として狙われてきた経緯などから、犯人と見られる男は、1時間以内に以前から警察がマークしていた33歳の男であると特定、即時に指名手配されています。

 パリ検察庁は、これを組織的なプロのグループによる殺人事件、殺人未遂事件として、捜査を開始しています。

   

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 今年に入ってからも、パリでは1月に15区で14歳の少年に対する集団襲撃事件、2月に17区で日本人に対する塩酸襲撃事件」、3月に16区でグループによる乱闘事件など、パリの治安の悪化が叫ばれ続けてきました。

 今回は、再びパリ16区、よりによって16区で銃撃事件まで起こるとは、さらなる治安の悪化の象徴的な出来事である気がしてなりません。

 とはいえ、16区は、富裕層が多いこともあり、かつての日本大使の家族が路上で車に乗っていたところを強盗に襲われたなどという事件もあり、狙いうちされる危険は、少なくない場所でもあるのかもしれません。


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