2024年8月31日土曜日

8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る・・を勝手に誤解した・・

  


 「8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る」という見出しを見て、勝手に「えっ?値下げ??」と勘違いしました。

 しかし、これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているという意味でした。がっかり・・。

 その後、記事を読み進めるとINSEE(国立統計経済研究所)は今週末、フランスの8月の消費者物価指数が1年間で1.9%上昇したと発表・・とあり、物価上昇率が2%を下回ったというだけで、依然として上昇を続けているというものでした。

 これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているというだけでした。

 国立統計経済研究所は、主な原因は「エネルギー価格の明らかな減速」にあると説明しており、エネルギーコストは、2023年8月1日から適用された規制電力価格の値上げにより、1年前には7%近く跳ね上がっていたのに対し、2024年8月には1年間でわずか0.5%しか上昇しなかったことによるもの」としています。

 いずれにしても、上昇率が緩やかになったというだけで上昇し続けていることは確か・・一度、上がった値段が下がるということはまずないのがふつうなのです・・まったく甘かった・・。

 以前、ある有名なフランスのブランドの時計部門の人が「スイスフランが上昇したために、値上げをします」と説明していたので(フランスのブランドでも時計はスイスで作っているため)、「それなら、スイスフランが下がったら、値下げするんですか?」と半分嫌みを込めて聞いてみたら、その人は苦笑しながら、「いや、値下げはしません」・・と。

 今回の「インフレ率、2%を下回る・・」のニュースを見て、そんな話を思い出しました。

 残念ながら、一端、上がった物価は戻らないのがふつうなのです。

 しかし、国立統計経済研究所によると、石油製品と工業製品の価格は下落しているそうで、エネルギー価格とかなり近い部門では、価格が下がっているようです。

 これに比べて、著しく上昇したのは、サービスの価格で、1 年間で 3.1%も上昇。これにはパリオリンピックが大きく関わっており、ホテルや交通機関の価格の一時的な値上げがかなり響いていると言われています。

 ホテルや交通機関の値上げならば、3.1%どころじゃなかろーが!と、思うのですが、全体的に、また、年間で平均をとるとこの程度になってしまうのかもしれません。

 これに対して、「一方、家計にとっては、このインフレの上昇率の低下は新鮮な空気の息吹となるはずです。2024年には、賃金上昇率がインフレ率を上回るでしょう!」という楽観的な見方をしている専門家もいないではありません。

 しかし、現在のフランスは、国会の解散と政府の不在によって引き起こされる政治的不確実性が加わり、まことに不透明な近未来にどう考えても、この状態よくないよな~と思うのです。

 普段は、経済問題について、真剣に考えることは、あまりない私でも、生活に直結し、またここ数年は特にめまぐるしく変化する状況は無視しきれない感じになっています。


3年ぶりのインフレ率低下


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2024年8月30日金曜日

フリージュの着ぐるみを着る俳優たち

  



 先日のパラリンピックの開会式では、舞台上にもあがり、そのパフォーマンスが思わぬ話題を呼んだりして(残念ながら、テレビでは放映されなかったため、余計におタカラ感が生まれたかも?)、注目された今回のオリンピック・パラリンピックのマスコットキャラクターのフリージュくんたち。

 私は開会式でダンスしているのを見て、「さぞかし暑くてしんどいだろ~な・・」と思って見ていました。

 マスコットキャラクターとして発表された当初は、一体、これのどこが可愛いいのか?と賛否両論だったこのキャラクターも一年の間にすっかり定着、浸透し、ぬいぐるみから、Tシャツや帽子からあらゆるオリンピックグッズに登場し、キャラクターとしては大人気で、街を歩いていても、Tシャツを着ている子どもたちや、グッズを持っている人々を想像以上に多くみかけるようになりました。

 私もなにか記念に一つくらいは欲しいかな?と思って、マグカップを一つだけ買いました。

 しかし、キャラクターグッズだけでなく、パリでは、もう登場すれば、スターなみの人気のこの着ぐるみを着た動くフリージュくんたちはオリンピックでは33体、パラリンピックでは、22体活躍しているそうです。

 私もオリンピックが始まる少しまえに、偶然、シャンゼリゼにいるこのフリージュくんたちに遭遇し、なんだか思いのほか興奮して、一生懸命、追いかけてしまいました。

 このフリージュの着ぐるみを着て活動しているのは、俳優さんたち(男女ともに)なのだそうで、常にマネージャーが同行し、装備やタイミングを管理し、相棒の着替えを指導し、群衆の中を移動し、写真を待つ列を管理しているのだそうです。

 このフリージュを演じていた一人の女優さんは、「当初は批判されましたが、今ではオリンピックの冒険において最も象徴的なキャラクターとなり、人々が遠くにフリージュを見つけると、幸福感に駆られ、誰もが私たちに向かって突進してくるようになりました!」と人々に歓喜を呼び起こしていることに喜びを感じています。

 また、このフリージュの目となり活躍しているマネージャーを務めた青年のミッションは、フリージュに寄り添い、どこにでも目を向け、周囲の観客の流れを管理し、子供を押しつぶさないように、観客の飲み物、食べ物、化粧品で衣装を汚さないように、あるいはフリージュ自身が落ちないように注意することで、大変な体力と緊張を要するものであったと語っています。

 また、彼自身は決して目立ってはいけないわけで、実際、私がフリージュに遭遇したときも、そのような人がそばにいたことは、気が付きませんでした。

 そして、実際の着ぐるみ?は、それほど重くないそうですが、視界と聴覚が低下、目や口を通してメッシュ効果があり、着装した感じはバックパックに似ており、体の周りで膨らませると、それでもかなり堂々としたものになるので、動き回るにはその体積を理解する必要があります。

 暑さに関しては、若い女性は、長時間、振りつけどおりに踊った後は、頻繁に汗をかくとしても、耐えられる程度のものだそうで、これは実際には小さな送風機のおかげで空気で膨らむフェルト生地が使用されているため、内部に大きなスペースが残っているのだそうです。とはいえ、その送風機をもってしても、ある程度は熱がこもるであろう着ぐるみを着るのは楽なことではなかろうに、思わぬ人気ぶりに暑さも厭わない・・そんな感じなのかもしれません。

 空港、駅、各競技大会の会場や、観光スポットなど、ありとあらゆるところに彼らは神出鬼没に登場し、多くの人々から写真撮影を求められています。



 小さな子どもたちは、もちろんのこと、大人の観光客も、皆が彼らと写真に写りたがり、その度にポーズをとって撮影に応じます。中でも、けっこう意外に写真撮影の希望が多かったのは、警察官など警備にあたっていた人々だそうで、「子どもや孫たちのために・・」と写真撮影を求められたそうです。

 このオリンピックを支えた警察官たちもバカンス期間中に働いた記念写真としては、絶好のものだったかもしれません。

 日本だったら、そんな記念写真を撮影していたら、警察官たるものが職務時間中に何ごとだ!などと言いだす人がいそうですが、このおおらかで緩い感じが私は好きです。

 日頃、事件などが起こったりして、警察官の個人情報!などと騒いで、警察官等の撮影は、絶対にいけない!などと言われているものの、意外にも、この警察官たちと写真撮影したがる観光客もいるようで、また、それに嬉しそうに彼らが応じているのも、なんか微笑ましい気もしました。

 この小さなフリジア帽にスポーツを通じてフランス革命の使命を伝えたかったというこのマスコット・・革命なのかはともかく、人気は上々なようです。

 

フリージュの着ぐるみ


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「パラリンピックの開会式は晴れ」

2024年8月29日木曜日

パラリンピックの開会式は晴れ

  


 恥ずかしながら、私はこれまでパラリンピックの開会式というものを見たことがありませんでした。どちらにせよ、見るといってもテレビで見るだけなのですが、それさえも、今回のパラリンピックの開会式は私にとって初めて目にするものでした。

 開会式直前の時間にテレビをつけると、これまでオリンピック仕様だったスポンサーのコマーシャルはあたりまえですが、全てパラリンピック仕様のコマーシャルに切り替わっていて、それぞれのスポンサーのコマーシャルも興味深く拝見しました。

 パラリンピックの開会式当日は、オリンピックの開会式と違って晴天に恵まれたものの、31℃というパリにしたら、けっこうな暑さで、その日にバスに乗って出かけたら、冷房もなくむんむんの暑さで、かなり厳しい暑さでした。

 当日、パラリンピックの開会式のパレードが行われたシャンゼリゼやコンコルド広場近辺には、近寄らなかったので、どの程度の警備であったのかは、わかりませんが、オリンピックの時に比べると、範囲も限られるので、そこまでのことではなかったと思います。

 今回、オリンピックにしてもパラリンピックにしても屋外での開会式にこだわり、セーヌ川上のパレードほどではありませんが、シャンゼリゼの上から下まで歩くというのも、パレードではなくともなかなか時間がかかるものです。

 全体的には、パリ祭の感じに近いので、オープニングにトリコロールの噴煙を撒きながら飛んでいく飛行機の様子がテレビで映ったので、あわてて、窓の外を覗くと、遠くに青、白、赤の噴煙が見えて、任務を終えた8機の飛行機が家の近くを通って帰って行ったので、手を振ってみるという子供じみたことまでしてしまいました。

 選手のパレードは20時から始まって、最後のフランスチームまでが出揃ったのは22時とすでにもう2時間。夜になってもけっこう気温が高いため、オリンピックのマスコットの着ぐるみを着て踊り続けている人などは、さぞかし地獄の暑さで大丈夫かい!とか一人で思いながら、見ていました。

 この選手入場が始まるときに、「アルファべティックフランセーズの順番で入場します」と解説が入ったので、「フランスのアルファベットってなに?」と思ったら、どうやら、国の名前がフランス語名のアルファベット順というこらしいです。

 日本はどちらにしても「J」なので、中盤くらい・・日本は白いコスチュームで品よく、選手たちの表情も穏やかでとても好印象でした。オリンピックの時は、ほぼほぼ一瞬しか映らなかったけど、今度はしっかり見れて良かったです。

 なにせ、パラリンピックの開会式など初めて見たので、パラリンピックも、ものすごくショーアップされている感じが、こういうものだったのか・・と新鮮な気持ちと、オリンピックの開会式のように、また何かやらかすのではないか?とちょっとドキドキしながら見ました。特にパリオリンピック・パラリンピック組織委員会会長が「アムールと革命の国へようこそ!」と挨拶したのですから、なおさらのことです。

 参加している選手をはじめ、周囲のボランティアなどの様子を見るに、オリンピック以上にお祭り感があって、ボランティアの人々も踊り続けながら選手を迎えていたのには、頭が下がる気がしました。

 22時15分くらいにようやくショーのオープニング、それからお偉いさんたち?の挨拶などが続き、それから本格的なショーが始まるのですから、とにかく長い長い・・。

 時間どおりには、いかないところは、むしろ、フランスの通常運転ですが、実際に開会式が終わったのは、予定をかなりオーバーした23時50分頃でした。

 しかし、やはりパリの中心、凱旋門からシャンゼリゼ、コンコルド広場、そしてエッフェル塔までがライトアップされて画角に入る景色は美しく、むしろ、セーヌ川の開会式よりも見やすく、わかりやすかったのではないか?とも思います。

 今回、セレモニーが行われたコンコルド広場のオベリスクがトリコロールをはじめ、様々なライトアップがなされて、こんな風にもなるのか?と新鮮な気がしました。

 式典の終わりにはチュイルリー公園が装飾の一部となり、水盤の照明が点灯し、聖火が点火され、気球が上がっていく様子は幻想的でとても美しかったです。これでようやく終わりかと思ったら、そこからは、コンコルド広場にはまるでディズニーランドの花火みたいな色合いの花火があがりました。

 オリンピックの成功により勢いづいて、パラリンピックチケットの販売は、250万枚のうち200万枚がすでに売れているという状況になっているとかで、このうち20万枚は、9月2日の新学期開始までの期間に学童に割り当てられるそうです。

 合計 165 のテレビ チャンネルがこのイベントを中継する予定になっており、これはパラリンピック史上の最高の記録だそうです。


パラリンピック開会式


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2024年8月28日水曜日

夏のバカンスが終わると・・フランス人は・・

  



 8月も残りわずかとなり、バカンスに出かけたパリジャンたちが戻ってくる・・つまり、メトロも混み始めるし、渋滞も戻ってくる・・と覚悟していたのですが、少しずつは戻ってはいるのでしょうが、まだ閉まっているお店も多いし、いつもほどには、メトロの混雑や道路の渋滞もまだまだ本格的には戻って来ておらず、どうやら、みんなギリギリまでバカンスを楽しむつもりなのだな・・と感じています。

 今年はオリンピックがあったり、まだまだこれからパラリンピックが控えていることもあり、パリジャンのバカンスのとり方もイレギュラーだったとは思いますが、とはいえ、学校が始まり、フランスでは9月からが新年度の開始なので、さすがに9月に入れば、多くの人がパリに戻ってくるのだと思います。

 もう一つ、今年の夏がイレギュラーだったのは、今年はオリンピックのために、観光客が増えるどころか、どうやら減ってしまった感じ(オリンピック関連以外)で、いつもは夏の間、パリジャンがいなくなっても観光客がけっこういる感じなのにもかかわらず、例年のようには、観光客が来なかったことです。

 オリンピックが終わっても、観光客はそれほど戻っておらず、メトロなどの交通機関の値上げもパラリンピックが終わるまでは据え置きで、その他、便乗値上げしているところも多いために嫌われたのだと思っています。

 しかし、オリンピックのときから比べると、異常な警戒状態は緩和され、露天商や路上生活者たちは、パリに戻ってきて、スリや置き引きなどの犯罪集団もパリジャンよりも一足先に戻ってきている感じです。

 夏のバカンスが終わると、皆、仕事に戻りますが、それと同時にまたデモが再開されます。まったく現金なもので、通常は、毎週のようにどこかで必ずデモをやっているのに、バカンス期間になると、デモもぴったりと止まり、デモもバカンスに入ります。

 バカンスの終わりを告げるのは、デモの再開でもあり、デモの予定がさっそく告知されたりして、ああ~もうバカンスも終わりだな~という気分になります。

 例外的にヘルスパスがないとどこへも行けないことになった2021年の夏はこのヘルスパス(ワクチンパスポート)反対のデモがバカンス中にも続いたことがありましたが、この年は例外で、通常はフランスのデモはバカンスで休みます。

 昨日、ニュースを見ていたら、燃料費が若干、値下げになるという話をしていて、ガソリンを入れながら、インタビューに答えていた若者が、ガソリン価格が下がることについて、どう思いますか?と聞かれていて、彼は開口一番、「もちろんうれしい!もうすぐノエルなので、少しでも予算ができて助かります!」などと言っているのを聞いて、「ああ~そうそう!フランス人は夏のバカンスが終わると、「もうすぐノエル」のマインドになるんだな・・」と苦笑してしまいました。

 彼らにとって一番大切なイベントは夏のバカンス、そして次はノエルなのですが、いみじくも、この青年は、まだ8月の最終週から、テレビのインタビューに答えて「もうすぐノエルだから・・」などと言っちゃうところが、なんか、素直で可愛いなぁ~と思ったのです。


夏のバカンスの終わり デモ ノエル


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2024年8月27日火曜日

テレグラム社長逮捕報道で疑問に思うこと

  


 このニュースを私が知ったのは、マクロン大統領のXのポストで、「テレグラム社長の逮捕は、進行中の法的捜査の一環として行われたものであって、これは決して政治的な決定によるものではありません」というもので、「えっ?テレグラム社長の逮捕ってなになに?」というか、「テレグラム社長って誰だれ?」とこの件に関しての報道を探し始めました。

 今回の主人公?テレグラム社長は、パーヴェル・ドゥーロフという若手の起業家で、テレグラムのメッセージングの創始者であるロシアの億万長者のようです。

 先週末にアシスタントとボディーガードとともにアゼルバイジャンへから帰国した39歳の起業家は、フランス憲兵隊に伴われて、フランス警察による取り調べのため、ル・ブルジェ空港で逮捕されたとのことです。

 世界中に視聴者を持つソーシャルネットワークの管理者の逮捕は、フランスでは初めてのことで、彼が逮捕されたのがテレグラム社の社長としてだったのか、個人として逮捕されたのかは明らかにされていないものの、しかし、フランス当局には、彼のプラットフォームで盛んに行われている違法行為に関連するいくつかの捜査で彼を尋問する理由があると言われています。

 テレグラムは新しい会社ですが、これまでにもフランスでは数々の話題に上がってきました。例えば、バタクラン攻撃の際、テロリストが攻撃の準備のためにテレグラムで通信していたことが発覚したときなどは、かなり話題になりました。

 新しい会社ながら、注目されるのは、その躍進の速さで、あっという間にこのプラットフォームには現在、世界中で約10億人のユーザーがいると言われており、ヨーロッパでは4,100万人がこのプラットフォームを利用しており、来年にはニューヨーク証券取引所でのIPOを計画しているそうです。

 彼はいわゆる自称リバタリアンであり、最大限主義的な意味での表現の自由の支持者であり、検閲に反対し、個人のプライバシーの権利を擁護し、読まれずにメッセージを交換する自由を保証することを目的としてこのテレグラムのメッセージングサービスを行っています。当然、これが麻薬密売、児童ポルノ画像、リベンジポルノ、フェイクニュース、武器販売、テロリズム、詐欺などのさまざまな違法行為にとって重要な通信手段にもなってしまい、国家間、特に戦時下にある現在、双方の通信手段としても利用されているようで、彼の逮捕が政治がらみのものではないか?という疑問が湧いたのもわからないではありません。

 しかし、彼の逮捕は未成年者保護局からの捜索令状の対象であるとも言われており、同組織はプラットフォーム上での児童ポルノコンテンツの拡散を懸念して、2023年から調整していた予備調査により組織犯罪、詐欺、テロリズムに対する謝罪、サイバーハラスメントなどのいくつかの犯罪に対する広範な司法調査が開始されることになったという話もあります。

 一方で、彼の逮捕で問題になっている一面というのが私は、気になっています。彼は、サンクトペテルブルク生まれのロシア人でありながら、彼は3年前にフランス国籍を取得しています。ここまでならば、そこまで不思議な話ではないのですが、彼のフランスでの国籍取得名は、ポール・デュ・ローヴという名前で、しかも不可解な条件のもとであると言われている点です。

 しかし、調べてみると、フランス国籍を申請する際に、正当な理由があれば、出生証明書に記載されている姓名の変更をも申請できることになっています。その正当な理由の中には、侮蔑的であると認識されているため、受け入れるのが難しい姓名である場合、また、メディアで有名になり、悪い評判を持っている場合・・というのもあります。

 しかしながら、彼のようなケースの場合、結局は、元の名前で出ているわけで、この名前を変えて国籍申請した意味がよくわかりません。

 いずれにせよ、今回の彼の逮捕は、たとえハイテク億万長者であっても、法を超越する者はいないという見せしめ的なものもあるのではないか?という声もあります。


テレグラム社長逮捕


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2024年8月26日月曜日

日本を褒めてくれるのは、いつでも嬉しい

  

 

 先日、買い物から帰ってきたら、家のエレベーターの入り口あたりで、アパートの住民の女性に呼び止められました。

 彼女は同じアパートの住民の女性で、顔見知りとはいえ、顔を顔を合わせれば、挨拶をする程度で、実際に彼女が何階に住んでいるのかも、どんな家族構成なのかもよく知らないような感じなので、特にアパートで何か問題があったりした場合(そんなことも、まずないけど・・)くらいしか話をすることは、ありません。

 一応、ああ同じアパートに住んでいる女性だな・・という認識はあるという程度です。

 私が現在、住んでいるアパートは、私たちが引っ越してきて以来、20年くらいの間に、考えてみれば、ずいぶん住民もいつの間にか入れ替わって、わりと親しくしていた隣人のおばさんも引っ越してしまったし、あとは、たまに会えば、少し話をするのは、娘と同じ幼稚園に通っていた男の子のママくらいなもので、最近では、同じアパートの住民の人とは顔を合わせれば、挨拶する程度になっています。

 なので、誰かに呼び止められることなど、滅多にあるものではないので、先日、ちょっと食い気味に彼女に呼び止められたときには、「えっ?なんかあったの?」とドッキリしたのです。

 なんか揉め事?と思った私に彼女は、「あなた日本人ですよね・・」と・・。「実は私の息子が今、日本に行っていて(旅行で)、とにかく日本が素晴らしい!って大感激しているのよ・・!」と。

 パンデミック前には、日本行きの飛行機に乗ると、その大半はフランス人だったくらい、日本に行く(観光で)人が多くて、その頃には、日本に行ってみた感想を述べてくれ、日本を大絶賛してくれる人にけっこう出会う機会もあったのですが、ここのところ、最近は、あまりそんな話を耳にすることも少なくなったので、なんか、この日本を褒めてくれる感じが久しぶりな気がしました。

 彼女の息子さんは夏休みのバカンスでアジアを旅行しているらしく、台湾に行った後に日本に行って、もう、とにかく、何もかもが近代的で、きれいで清潔だし、メトロはピカピカだしパリよりもずっときれいで、きちんとしていて、人は親切だし・・食べ物は美味しいし、安いし・・色々な種類のものがあって・・!」と、まるで自分が行ってきたみたいに興奮して、その日本の素晴らしさに触れて感激している様子を私に伝えてくれました。

 その彼女が私に伝えてくれる一つ一つの、人々が親切とか、清潔、近代的とかいうことに、一つ一つ、「そうだろそうだろ・・」と内心思いつつ、しかも、「パリよりも・・」、とつくところで、さらに大きく頷きたくなるのでした。

 彼女の息子さんは、今、東京にいて、この後、京都などもまわるということで、今さらのなから、フランス人にとって、日本は非常に近代的な面と歴史が共存するフランスとは全くの異文化を感じられる魅力的な国であったということを思い出させてくれた気がしました。

 おそらく多くの日本人がフランスを異文化と感じる以上に実際に日本に行ったフランス人が感じる日本のインパクトはすごいんだろうな・・と思います。

 最近は、オリンピックのおかげ?もあって、パリのメトロもずいぶんきれいな路線などもできましたが、そうでないところも、まだまだ多く残っていて、未だに手動ドアのメトロなんかもあって、それはそれでよいとは思いつつ、清潔さという面から言えば、清潔であったのは、オリンピックの一時だけで、その時でさえも、むしろ、あまりの清潔さにパリジャンがびっくりしていたくらいです。

 東京は、人の多さも桁違いで、にもかかわらずあの清潔さを保ち続け、また、どこでも人が親切に対応してくれる奇跡のような街なのです。それでも、東京で生まれ育ち、今でも定期的に日本に行っている私などからしたら、最近、なんかトゲトゲしている感じの人が増えたな・・などと思うこともあるのですが、それでも、パリと比べれば桁違いに皆、感じよくて親切で、清潔で安全できちんとしていて・・と、あらためて、フランス人から賛辞を受けて、なんかやっぱり、日本って良い国なんだな・・となんか、嬉しくなってしまったのでした。

 逆に考えれば、そんないつもみんなが無意識にあたりまえのことと意識していない、親切で感じよい日本の中で生活している日本の人々がパリに来たら、「フランス人ってほんと感じ悪い!」と思うのも当然といえば、当然かもしれません。

 何をきっかけに彼女の息子さんが日本に興味を持ったのかは聞くのを忘れましたが、日本語の勉強もしているそうで、もしかしたら?マンガやアニメ?がきっかけなのかな?と思ったりもしました。

 うちの娘も今、日本に住んでいるの・・と言いながら、なんとなく、彼女との距離が少しだけ縮まったような気がしたのでした。


 

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2024年8月25日日曜日

ラ・グラン・モットのシナゴーグでのテロ 深刻化する反ユダヤ主義

  


 ラ・グランド・モット(モンペリエとニームの間あたりの都市)のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の前で2台の車両が放火され、うち1台の車には、ガスボンベが入っていたため、車は爆発炎上するという惨事になりました。

 内務相は、フランスの全知事に対し、「ユダヤ教の礼拝所の前での警察の静的な駐留を直ちに強化する」よう要請し、国家対テロ検察局はテロ暗殺未遂事件の捜査を開始しました。

 ガブリエル・アタル氏(首相を辞任しているものの、次期首相が未だ定まらないために、任務を留任中)はこの事件を「反ユダヤ主義的攻撃」と表現し、「私たちは絶対的な悲劇を免れた」と宣言したものの、「この襲撃者からは決意が極めて強いことが感じられる」と語りました。

 「もし当時シナゴーグが礼拝者でいっぱいだったら、最初の数分で人々が建物から降りてきて、おそらく多くの犠牲者が出ていただろう」とも付け加えました。

 しかし、思うに、襲撃者はむしろ、人の集まっていない時間帯を選んで警告の意味で爆発を起こしたとも考えられ、絶対的な悲劇を免れたのではなく、襲撃者は、むしろ、そのように計画をしたのではないかという気がしないこともありません。

 車内のガスシリンダーが爆発した衝撃で突き飛ばされ、地面に投げ飛ばされた市の警察官1人が負傷し、モンペリエ大学病院の緊急治療室に搬送されていますが、生命に別条はなく、夕方には帰宅できたと言われていますが、近隣住民の証言によれば、建物が倒壊するのかと思ったほどの爆発と火災だったようで、犠牲者が出ていないとはいえ、衝撃の大きさは計り知れません。

 容疑者は指名手配されていますが、パレスチナ国旗を掲げている姿が監視カメラで撮影されており、明らかに反ユダヤ主義の抗議の意味を明確にした攻撃であることは、明白です。

 ここのところ、次期首相をはじめ、選挙後の内閣がなかなか組織されずに大統領と各党の間で不穏なムードが続いていますが、この反ユダヤ主義行為に対する非難は全会一致であり、左から右まで、政治家全員が列をなして、深くショックを受けたユダヤ人コミュニティに対する今回の攻撃を非難しています。

 このように、即刻の対応が必用な事件が次々と起こるのですから、一刻も早く、内閣はしっかり結束してほしいものです。

 それにしても、反ユダヤ主義の事件は明らかに増加しているようで、つい先日もパリのメトロの中で暴言を浴びた女性が危険を感じて、告訴状を提出したことから、大小併せて、反ユダヤ主義の事件がかなり増加していることが公になったばかり。

 今回の事件は、その中でもテロとして捜査が開始される規模の大きな事件が起こってしまったわけで、今から考えれば、オリンピックの時のここまでする?という警戒ぶりや、イスラエルの選手団だけは、24時間体制で警備がついていたという話などにも頷けてしまうような気がします。

 指名手配されている今回の事件の容疑者は、現在のところ逮捕されていませんが、たとえ、この人物が逮捕されたとしても、その反ユダヤ主義の裾野はかなり広いものと思わずにはいられません。


反ユダヤ主義テロ


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