2025年2月5日水曜日

約1年ぶりの日本行き そんなに混んでないのに、なんだかセキュリティーがけっこう厳しかった

   


 今回の日本行きは、なんかはずみで予約しちゃった!みたいな感じで、たまたま、ふらっとサイトをのぞいていたら、「えっ??」これ!かなり安くない??なら、行っちゃおうか!という感じで、私としては、こんなに早くに前もって予約を入れることは、とても珍しいことでした。

 ところが、あまりに早く(自分としては・・)予約したもので、油断してしまったというか、出発間近にインフルエンザにかかり、それがなかなか長引いて、焦ってお医者さんに行って抗生物質の薬まで飲み始めたというのに、いつまでたっても、よくならなくて、果たして14時間のフライトに耐えられるだろうか?と、実際に日本行きをキャンセルするのは、さすがにな・・と思いつつも、「え〜〜?どうしよう??」とちょっと焦っていました。

 しかし、どうにか、出発当日の朝は、なぜだか、やっとしゃっきりしてきて、空港に向かったのでした。それでも、焦らなくてもよいように、いつもより、早くに空港に到着し、また、幸いにも空港はわりと空いていて、スイスイとチェックインもできて、ゲートの方へと進んで行きました。

 ところが、なぜだか、パスポートコントロールでは、ほぼ全てのページをチェック(実際にちゃんと見ているのかは知らないけど)してから、スタンプを押してくれ、また、手荷物検査は、なんだかいつもよりずっと念入りで、コートから中に来ているベストまで脱ぐように言われて、パソコンも蓋をあけて、ブラシをかけ、そのブラシをさらに機械にかけてチェックするという、なにそれ?という感じでした。

 別に全員に対してというわけではないとはいえ、こんなチェックは初めてのこと。そこまで混んでいなかったからこそ可能だったレベルでのセキュリティチェックという気がしますが、それでも、公には発表されていないセキュリティーのランクアップが指示されている気がしました。

 別に私は何ら後ろめたいことがあるわけではないし、かなり私は、時間に余裕をもって、空港に出向いていたので、問題はありませんでしたが、これ、もし、時間がかなり迫っている人が重なっていた場合は、かなりヒヤヒヤものです。

 とはいえ、なんとか、飛行機も無事、ほぼオンタイムで離陸し、飛行自体は、多少揺れる箇所はあったものの、無事、羽田に到着しました。

 羽田空港は、といっても、せいぜい年に1〜2回しか来ていませんが、なんだか、来るたびに、違うターミナルに飛行機は寄せられ、新しいターミナルは、はっきりいって殺風景で、極端にいえば、病院かお役所みたいな気分。

 反面、パリ・シャルル・ド・ゴール空港は、いつも姿を変えながらも相変わらずキラキラすぎる感じもしないでもありません。なんだかキラキラな空港から、いたってシンプルな日本の空港(一部ではありますが・・)に、なんだかものすごくギャップ?を感じたのでした。



パリ発羽田行き


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2025年2月3日月曜日

フジテレビ問題 フランスでの報道 他への飛び火

  


 中居氏の性加害問題から始まったフジテレビ問題は、フランスでは、日本のテレビ各局が報道を控えていた頃、年始、わりと早々にフランスの報道局BFMなどが報じたと思ったら、仏大手 Le Figaro紙までが報じていたのには、驚かされました。

 フランスではSMAPや中居氏はそこまで有名でもないにもかかわらずです。この時、フランスの報道では、フジテレビの関与についても、多少触れてはいたものの、どちらかといえば、ジャニー喜多川、ジャニーズ問題と関連付けて書いている向きの方が強い感じでした。

 その後、日本でフジテレビが問題の中心となり、大炎上していますが、このことに、フランスの報道では、しばらく触れずに来ていましたが、先週、同社の社長、会長が辞任したことから、また続報が少しずつ出始め、つい数日前には、今度はル・モンド紙を始めとする数紙が再び、この件について、報道していました。

 この加害事件について、フジテレビが隠蔽しつつ、この司会者のテレビ出演を継続し続けてきたこと、実際には、同社の社員がこの事件に加担していた疑惑がかけられていることなどについてを説明したことに加えて、同社がこの件について、世間に公表するに至るには、同局の大株主であるアメリカのファンド会社「ダルトン・インベストメント」の力が必用だったと書いています。

 その後、トヨタやマクドナルドを始めとする多くの広告主が同局からの広告を撤退し、株価も落ち込んでいる(株価については、誤報だと思いますが・・)と伝えています。

 また、この問題に関連して、日本の MeToo運動についても説明し、仏数紙が2017年に元TBS記者(米支局長)にレイプされたと告発した日本人ジャーナリストの女性の話を詳しく説明し、彼女自身の闘いを描いた映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」が2025年のアカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされており、多くの国で公開され始めているにもかかわらず、「法的および倫理的(司法機関に提出することを目的として音声や映像が使用されているためとしている)」な理由で日本では公開されておらず、日本のメディアが権力者を巻き込む告発を報道したがらない現実を伝え、日本では、米国やその他の諸外国に比べて、MeToo運動があまり進んでいないと指摘しています。

 読んでいた私自身も、「えっ?こっちに行く?」と思う飛び火・・?ではありましたが、思わぬことから、中居氏のこの加害問題、フジテレビだけでなく、過去の女性ジャーナリストレイプ事件、この事件に関して、上からの圧力によって警察の逮捕状が停止された問題に飛び火するかもしれません。

 この「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」という映画、フランスでは3月に公開されるそうなので、ぜひ見に行こうと思っています。


フジテレビ問題 ブラックボックスダイアリーズ 


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2025年2月2日日曜日

死亡事故を起こしたスクールバスの運転手から薬物反応の衝撃

 


 先週、朝、7時40分、ウール・エ・ロワール県(サントル・ヴァル・ド・ロワール地域圏)で、生徒35人を乗せたスクールバスが事故を起こし、15歳の高校生1名が死亡、20名が負傷したと報道されていました。

 この地域がどのような場所であるか?詳しくはわかりませんが、保護者からすれば、便宜性とともに、安全に子どもを学校に送り迎えしてくれると考えての交通手段を選択していることを思えば、そのスクールバスが事故を起こすなどということは、ハプニング的な要素はあったとしても、やはり信じ難い出来事であったに違いありません。

 事故や事件が起こった場合、犠牲者が未成年だったり、その人数が多ければ多いほど、騒動は大きくなりますが、この事故の場合は、それに加えて、この事故を起こしたスクールバスの運転手の直後の唾液検査で「麻薬の陽性反応」が出たことから、この事故は、より深刻な側面をのぞかせ始めました。

 運転手自身は無傷で「分離線に近づきすぎた車両に遭遇し、それを避けようとして、溝に落ちてしまった」・・、つまり、第三者の車両が存在し、その車両の危険な運転のために、バスの軌道から外れ、バスの制御を失った・・と説明しています。

 しかし、事故当時、バスの後ろを走行していた車のオートレコーダーからは、このバスの誤運転の誘因になった車両は、確認されていないと言います。

 そのうえ、この運転手は、薬物反応が出た事実に対しては、「昨年12月以来、自分は麻薬を摂取しておらず、受動的に汚染?したものである。定期的に麻薬を摂取しているのは、彼のバートナーであり、自分は受動的に汚染しただけだ!」と語っています。

 ところが、その後の血液検査によると、彼の血液から0.5ナノグラム発見され、彼が事故前に大麻を摂取していたことが判明、この量は、いわゆる受動的に摂取できる量ではないと検察が説明しています。


 事故後の写真を見ると、なんということのない平坦な道にバスが突然、横転しているように見えるのですが、この曲がりくねった道路の危険性を強調する報告書が作成されていたとも言われています。

 スクールバスとしての安全性を考慮するルートの選定ももちろんのこととはいえ、このバスの運転手はもちろんのこと、運転手を管理するバス運行会社の管理体制も問題視されるべきものです。

 この事故を受けて、運輸大臣は、「さらなる危険を避けるために、運転手に対する麻薬の検査を強化する」と約束。「スクールバスの運行を再開するために、数ヶ月以内に薬物検査を実施する」と述べていますが、なぜ?数ヶ月以内?今、すぐやりなさい!と思います。

 この検査の実施に数ヶ月の準備期間が必用な理由として、「様々な種類の薬物を検出するのは、難しいため・・」と弁明をしており、それまでは、定期的かつ無作為な検査を実施すると述べています。

 それだけ、薬物が多く蔓延しているということだとも思いますが、それにしても、この運転手、自分が起こしてしまった事故に対して、まだウソをつき続けるとは、なんと不誠実なことか?と腹立たしく感じます。


スクールバス死亡事故


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2025年2月1日土曜日

チュイルリー公園の気球が夏には戻ってくる!

  


 2024年夏に行われたパリ・オリンピック・パラリンピックの際にチュイルリー公園にオリンピックの聖火台として設置された気球が夏には再び戻ってくることが発表されています。

 このヘリウム気球は、パリ・オリンピックでもかなり話題にのぼり、評判もよかったので、オリンピック・パラリンピック終了後も残してほしいという声が多く上がっていました。

 この気球のカムバックは、マクロン大統領が「あの気球が毎年、夏に戻ってくる!」「フェット・ド・ラ・ミュージック(音楽の日)6月23日から、オリンピック記念日(9月14日)までの間、そして、ロサンゼルスオリンピックまで!」とX(旧Twitter)上で発表しています。

 大統領側近によると、この気球の再設置に関しては、文化大臣とパリ市長と協力して提案したと語っています。

Elle reviendra chaque été.

De la fête de la musique à la fête du sport, jusqu’aux Jeux de Los Angeles. pic.twitter.com/ofNOevdu2w

— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) January 31, 2025 >


 私も昨年夏のオリンピック施設は、ずいぶん見て歩いたのですが、その中でもこの気球は、とても印象的で周囲の景色の中にも美しく溶け込み、とても良いな・・と思っていたので、とても嬉しいです。

 国際オリンピック委員会(IOC)の規定によれば、本来は、聖火はオリンピック大会期間外には、点灯できないことになっているものの、この聖火の色(黄色)を白に変えることで同意を得たと言われています。

 これを設計したEDF(フランス電力)は、これを100%電気の炎の輪であることをアピールしており、実際には、水の雲に投影された光の遊びであり、これは、1783年にチュイルリー公園で初めて行われた水素ガス気球による初の飛行に敬意を表したものであると説明しています。

 私は、このニュースで、気球の再来はもちろんのこと、9月14日がオリンピック記念日として、祝日になっていたことを初めて知りましたが、これもマクロン大統領の提案だったそうです。

 2024年のパリ・オリンピックのシンボルでもあった高さ30メートル、直径7メートルの気球は、連日、何万人もの観客を魅了したオリンピックのある意味スター的存在の一つでもあり、今後、夏の観光客招致にも寄与することになるかもしれません。

 このシステム復旧にかかる費用は250万ユーロと見積もられており、この資金の一部は、パリオリンピック大会組織委員会が生み出した予算の余剰金(そんなものあるのか?とも思う)によって賄われる予定と伝えられています。

 私も、当初、あまり期待せずに見に行ったこともあるのですが、実際に間近に見ると、ちょっと想像を超えていて、とても感激したので、夏の間にパリに来られる方がいたら、ぜひ、おススメしたいです。

 ただし、最近、少し捻た見方をしてしまうのですが、「なぜ?これをマクロン大統領が発表するのか?」、「これ?大統領案件?」とふっと思ってしまったのです。少し前に、「マクロン大統領は、何ごとにも自分を中心に置きたがる」という評を読んだことが影響していると思うのですが、この発表で、そういえば、そうかも・・などと、良いニュースながら、ちょっと訝しくも思ってしまったのでした。


チュイルリー公園 オリンピック気球 聖火台


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2025年1月31日金曜日

今年のインフルエンザは、例年よりも強力でたちが悪いことを実感している

  


 インフルエンザには、昨年末にかかり、「ワクチンしたのに~!」と恨みがましく思いつつ、結局はお医者さんにかかるハメになり、しばらくして、ようやく回復して、新年を迎えました。

 そして、1月に入り、なんやかやと忙しくしており、また気温も下がり、天気が悪い日も続きながら、先週半ば過ぎくらいに、「あれ?ちょっと調子悪いかも・・?」と思いつつ、週明けに、いつも3ヶ月おきに書いてもらう薬の処方箋を書いてもらうために、予約を入れていたので、その時に診てもらおうとそのまま、なんとなく普通に生活していました。

 週明けにお医者さんに行った時には、まだ少し具合が悪いな・・程度だったのですが、近々、旅行の予定も入れているために、そのことを話すと、「これ以上、悪くなるようだったら、すぐにでもまた、いらっしゃい・・こんなままで旅行に行ってはいけない!」と言われていました。

 なので、今から考えると、充分に兆候はあったのですが、その日は、薬局によって、いつも飲んでいる心臓の薬などもろもろを山のように(といっても、3ヶ月分なので、当然、大量になる)出してもらって、帰ってきました。

 それから、控え目に生活していたにもかかわらず、やっぱり体力が衰えているのか、みるみる具合が悪くなり、なんとしても、旅行に出る前までには、治しておかなければと焦る気持ちもあり、2日後、再び、診察に。

 しっかり、インフルエンザに感染し、気管支炎までおこしているとのことで、抗生物質に加えて、またさらに別の薬まで処方してくれました。また薬局に行って、薬を出してもらいながら、これでは私はこの薬局の大得意様だ・・と思いながら、家に帰って慌てて薬を飲んで、ほぼほぼ安静にして、祈るような気持ちで横になっています。

 そんな時に限って、しばらく連絡していなかった友人が連絡をくれたと思ったら、彼女も「滅多にインフルエンザなどかからないのに、今年はしっかり感染して、ダウンしてた・・ワクチン接種したのに・・」とのこと。やっぱり今年のインフルエンザには、あまりワクチンが効いていないのは私だけではないみたいです。

 今年のインフルエンザが強力なのは、たしかなことのようで、原因は、A(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B/ビクトリアの3つのインフルエンザウィルスが同時に流行しているためとのことで、そのパワーは、感染者数、死亡者数にも表れており、1月中盤以降の死亡者数がすでに549名に達しており、昨年同時期の166名の3倍になっているとのこと。

 私の体力が年齢とともに弱っていることもあると思いますが、私が今回、インフルエンザに感染したことで思いあたるのは、3ヶ月半待ちで検査に行って、2時間ちかくもかかった待合室で、すごい人だったうえに、ものすごい咳をしている人がいたことくらい。一応、マスクはしていたのですが・・。

 具合が悪いので、検査に行って、別の病気に感染してくるという最悪のパターンです。

 しかし、とりあえず、比較的強い抗生物質をもらっているので、それをしっかり飲んで、安静にしておく以外に道はありません。

 まだ、罹っていない方、くれぐれもご注意ください。けっこう、今回のはしんどいです。


3つのインフルエンザウィルス同時流行


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2025年1月30日木曜日

バスを突然、降ろされたけど・・

  


 先日、ちょっと買い物に行った帰りにバスに乗っていたら、あるバス停でバスが停まって、乗客が乗り降りし終わったのに、なかなか出発しないなぁ~と思っていたら、運転手さんが、乗客に向かって、「バスに問題が起こりましたので、皆さん、降りて、次に来るバスに乗ってください!次のバスは5分後くらいに来ますから・・」と言われて、バスを降ろされました。

 もう家まで、歩いて帰れないこともなかったけれど、天気も悪くて雨も降っているし、寒いし、調子悪いし、荷物はあるし・・と、私は、おとなしくバスを降りて、次のバスを待っていました。

 日中だったのですが、バスはほぼ満席で、ポツポツと立っている人がいるくらいの感じでけっこうな人が乗っていました。

 うんざりした気持ちでバスを降りて、ふと周囲を見渡すと、みな、おとなしく、怒ることもなく、当然のような顔で静かに次のバスを待っています。急にバスを降ろされても、特に理由を尋ねるでもなく、おとなしく、あたかも通常運転かのごとく、それをふつうに受け入れているところが、すっごくわかるような気もするし、これもフランス人のおもしろいところだな・・などと思いながら、次のバスを待っていました。

 外国から来た私にとっては、一般的には、「何ごとも黙って引き下がらないのがフランス人」みたいな印象もあるのですが、この手のトラブルに対しては、至極、寛容で文句も言わずに静かに受け入れます。

 嫌みな言い方をすれば、こういうトラブルが、そんなに珍しくもない日常茶飯事の一種であることもあると思いますが、こう皆が揃いも揃って、静かにしている光景が不思議な気もします。

 理由も説明せずに、急にバスを降ろされたら、「えっ??なんで??」とか、「なんだよ!」となってもおかしくなく、いわゆるキレる感じの人がいてもおかしくない・・というか、むしろ、一見、おとなしそうな日本の方が、文句を言い出す人がいそうな気もします。

 公共交通機関のストライキの時なども、(こちらの方は・・、)内心、腹立たしい思いをしている人もいるとは思いますが、他の案件(デモなどが起こるときなど)でのフランス人の怒り様を見ていると、こういったトラブルに際しては、仕方ないと抗わないのも不思議なところです。

 まあ、考えてみれば、これも一種の生活の知恵というか、身の処し方なのかもしれず、たびたび起こる自分ではどうすることもできない突然、バスを降ろされたりするトラブルにいちいち、腹を立ててはいられない。余計なことには、エネルギーを使わないというところでしょうか? 

 私自身でさえも、突然、「バスを降りてください」と言われて、「え~~?また?」と思ったものの、そんなフランス人に混ざって、そこまで不安も感じずに、おとなしくバスを待ちながら、周囲の人々があまりに静かに、当然のことのように受け入れていることを興味深く観察していたのでした。


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2025年1月29日水曜日

モナリザのお引越し ルーブル美術館の新ルネサンス

  


 昨年の来館者数は870万人を超えたというパリ・ルーブル美術館。いつでも行けると思うものの、あまりに巨大で一大決心をしないとなかなか行く気がしないのも現実です。

 実際に行ってみれば、「やっぱりいいな・・また、来よう!」と思うものの、とにかく、広くて、ものすごく歩くので、行った翌日には、ジムに行った後みたいにガックリと疲れが出て、その後はなかなか重い腰があがりません。

 それでも、これだけの来場者数が訪れるということは、パリの人気スポットの一つであることに違いはありませんが、この美術館は、常に混雑と老朽化の問題を抱えているようです。

 長いこと、美術館側は、この問題について、パリ市とともに、解決策を探っていたようですが、ついに先日、マクロン大統領が「ルーブル美術館の新ルネサンス」と題して、美術館の改修工事や料金改定などについての提案を行いました。

 中でも、注目されたのは、ルーブル美術館の中でも最も混雑すると言われる「モナリザ」の絵画の展示について、新しい入口を設け、モナリザを専用の「特別スペース」に移動させること、美術館の他のスペースとは独立してアクセスが可能となり、そのための専用入場券が設定される・・とのことです。

 この新しく設けられるモナリザ専用の「特別スペース」がどんなものなのかがわかりませんが、これは、従来のルーブル美術館の入場券と別料金になるのかどうかは、定かではありません。

 そして、最も聞き捨てならないのは、入場料を外国人(EU圏外からの観光客)には、高く設定するというもので、実際に価格は発表されていませんが、現在の入場料22ユーロよりも、高くなるのは、必須です。

 この美術館の入場料を高いと感じるか否かは、恐らく意見が分かれるところだと思うし、実際の作品数や歴史ある巨大な文化施設としたら、圧倒的に安いのかもしれませんが、外国人観光客には、高額を請求するというやり方はどうかとも思わないでもありません。

 実際にルーブル美術館の来訪者は23%がフランス人、77%が外国人と言われているため、外国人観光客が圧倒的に多いのです。

 この観光客への値上げに関しては、パリ市は、パリ・オリンピックの際の公共交通機関や宿泊施設、観光地といわれる様々な場所に関して、オリンピック期間限定の値上げを行い、その結果、一般観光客からは総スカンをくらい、逆にこの期間は例年よりも観光客数が減少するという失敗もしでかしています。

 まあ、全ての観光客がルーブル美術館へ行くわけでもありませんが、もはや、インフレのために、大変な物価高の中、外国人観光客だけに高い料金を課すというやり方がどのように観光客に受け取られるのかは、微妙なのではないか?それとも、これを機に、他の美術館などの施設等にも反映されてしまうのか? 行方を見守りたいです。とりあえず、この外国人観光客料金は2026年からということなので、もう少し猶予があります。

 しかし、いちいち仰々しく「ルーブル美術館の新ルネサンス!」のようなタイトルを掲げるのは、マクロン大統領らしいというか、政治家というものはそういうものなのかわかりませんが、「こんなことにまで大統領が出てくるの?」とどこにでも前面に登場してくるんだな・・と思わないでもありません。

 それにしても、またまたお金のかかる話。大規模な改修工事は10年間で約7~8億ユーロかかると見積もられており、文化省は、この予備調査に1,000万ユーロを投資すると言われています。


ルーブル美術館 モナリザ引っ越し


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