よく選挙前の公約違反などと言いますが、フランス政府は、今年、前半の国民議会選挙まえに、明らかに選挙対応という感じで、当時の財務相は、「2025年2月電気料金10%~15%値下げ」を発表していました。
あれから、政府が交代しているとはいえ、首相や財務相がかわったところで、同じマクロン政権下にあるフランス政府です。
ただ、首相が交代して以来、どうにもこうにも来年度予算の作成にあたっては、増税に次ぐ増税のお知らせばかり・・。今度は、電力に関わる2種類の税金・CRIM(限界賃貸料負担金)とTICFE(国内電力消費税)の引き上げを検討していると言われています。
このCRIM(限界賃貸料負担金)は、電気料金の高騰を受けて2022年に導入されたもので、卸売価格が一定の基準を超えた場合に発電事業者が生み出す超過収入の一部を回収することを目的としていました。 CRIM は当初、2022 年 7 月から 2023 年 12 月までの期間限定で実施されていましたが、2024 年末まで延長され、それが再度、延長が検討されるということのようです。
そして、TICFE(国内電力消費税)に関しては、2021年末のインフレ危機(エネルギー危機)の対応として、フランス政府がとった関税シールドの話を抜きにしては、語ることができません。
この関税シールドは、2021年以来のエネルギー危機により、グングン上昇していったエネルギー価格から国民を守るためとして施行されたもので、この値上げに政府が介入することで、国民のショックを和らげていると政府は再三、主張してきました。実際に、「他の欧州諸国の価格を見よ!フランスは政府が介入しているために、近隣の欧州諸国ほどには、値上がりはしていないはずだ!」とフランス政府は、声をあげていました。
しかし、政府が介入して、他の欧州諸国よりは値上がりを抑えてきたとはいえ、着実にエネルギー価格は上昇していたのですから、国民からすれば、それほど恩恵は感じにくかったと思います。
そして、この関税シールドは、段階的に元に戻していく方向で動いていましたが、ここへきて、一気にこのエネルギー危機の前の状態に戻し、税率を引き上げる方向で検討中ということらしいです。現在、若干、エネルギー価格が値下がりしてきたとはいえ、2021年末から比べれば、格段に上昇しているエネルギー価格に以前と同様、あるいは、それ以上の税金がのせられるということは、なかなかショッキングなことです。
また、それに併せて、電力生産者に向けての税率が上昇すれば、それは、結局のところ、そのまま、消費者への販売価格に転嫁される可能性が高く、消費者はダブルで被害?を被ることになります。
我が家の電気代の請求書は2ヶ月に1回やってきますが、もう電気代などは、もう否応なしに、言われた金額を支払うしかなく、あまり細かくは詳細は見ていないのですが、なんだか、細かく、どんなことに電気を使用しているか?とその割合などを記載してくれてたりもしています。
しかし、ある時、気付いたのは、実際の電気料金なら、そんなに高くないのに、税金が含まれたトータルの金額になると、こんなに違うの?と思うくらい違って驚いたことがあります。えっ?電力消費税ってこんなに高いの??と。
フランスの場合、一般的なお買い物等の消費税に関しては、内税になっているので、表示は税込みの価格なので、実際にあまり税金を支払っている実感がないままに支払っているのですが、電気料金の場合は、その内訳がわかりやすく表示されているだけに、なんとなくダメージが大きいです。
いずれにせよ、選挙前には、電気料金値下げを約束したものの、その値下げが開始される前(値下げは来年の2月からの予定)から、(値下げはするものの、・・)税金はあがると言われてみれば、なんだか騙されたような感じがしてしまうのも否めません。政府としたら、危機時にかなりの援助をしたにもかかわらず、今となっては、あまり感謝もされていなかったどころか、さらに、ここで増税では、実際以上に印象が悪くなった結果を生んでしまった気がします。
フランス電力税増税
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