モンサンミッシェルの修道院が1000周年を迎えたそうで、週明けにマクロン大統領が夫人を伴い1000周年記念祝賀のために予告なしに訪問しています。
フランスでは、モンサンミッシェルはミッテラン大統領以来、歴代大統領、あるいは、大統領候補者が何らかの決意、メッセージを伝える場所として、この地を訪れるのがある種の習わしのようになっています。
年金改革問題を機に数ヶ月にわたる強い不信感を経て支持率が回復しつつある中、マクロン大統領が1000周年を迎えたモンサンミッシェルで何を語るのか?と思いましたが、1,000周年ということ以外に特別な意味はなかったみたいです。
彼は「私たちが風景が消えていくのを恐れるこの時代に、モン・サン・ミッシェルは不可能なことは何もないということを証明しています。 私たちの国には再び希望を抱く十分な理由があります。モンサンミッシェルに象徴されるように、回復力と抵抗力を兼ね備えているこの国を作り上げていきます」と、マクロン大統領の口から出てきたのは、具体的な話ではなく、強いてあげれば「遺産の修復を支援したい」といった程度の話でした。
モンサンミッシェルといえば、日本人にも人気のフランスの代表的な観光地の一つで、ユネスコの世界遺産にも登録されているフランスの文化遺産です。ノルマンディーの潮の干満の激しい地にそびえ立っていることから、満潮時には、海の上に浮かんでいるように見える自然と融合した神秘的な芸術であると言われています。
現在は、すでに工事が完了していますが、一時は、車や観光バスを通すことを目的とした道路が岩の周りの水の循環を妨げ、泥が堆積する恐れがあり、この災害を避けるために、1億8,400万ユーロを費やして、大規模な工事を行い、駐車場を押し戻し、道路を作り直しましたが、このために、モンサンミッシェルの修道院の岩山に到達するために2km歩くか、シャトルバスを使わなければならなくなることについての賛否が分かれ、ゴタついていた時期もありました。
私がモンサンミッシェルに行ったのは、そんな工事が行われる前だったので、モンサンミッシェルの中にいて、うっかり満潮になる時間にかかってしまい、靴をぬいで、足を海の水につかりながら、戻ってきた覚えがあります。
その時は、家族で何日かかけて、車でノルマンディー地方を旅行した時に立ち寄ったのですが、その時は、駐車場はそこまで遠くではなかったのですが、周囲約 960 メートル、標高 92 メートルのこの岩山の上にそびえ立つモンサンミッシェルの修道院に上って観光するのは、けっこうな脚力が必要で足がガクガクになった記憶があります。
一時は、日本人のフランスツアーなどには、必ずといっていいくらいモンサンミッシェル観光が組み込まれていて、そうでない場合は、日本の大手旅行会社がやっているオプショナルバスツアーが毎日のように出ており、しかも、その大半が1日の日帰り観光だというのに、フランス人は目を丸くしていました。
どうやら、ツアーに参加する人々は東京ー横浜くらいの気分で参加しているのではないか?と思いつつ、実際は、普通は車で日帰りするような場所ではなく、朝7時過ぎにパリを出発し、パリに戻ってくるのは、早くて夜9時過ぎで、モンサンミッシェル滞在時間よりもバスに乗っている時間の方がずっと長い耐久レースのようだ・・とフランス人からは嫌みがましく言われていました。
当時は、モンサンミッシェルに一番多いのは、日本人観光客だと言われるほどで、日本人は、ずいぶん、この地方の観光業界に貢献してきたのではないかと思います。
現在は、まだ、日本人観光客が以前ほどは戻ってきていないので、以前ほどは、モンサンミッシェルに日本人が多いとは思えませんが、とにかく観光客が多く訪れる場所であることは間違いなく、色々な言語が聞こえてきます。年間約300万人が訪れるというモンサンミッシェルは、周囲のホテルやレストラン、土産物店など、地域を潤し続けています。
話は少々、逸れてしまいましたが、そもそも何かの○○周年記念ということは数あれど、1,000周年などという機会はめったにあることではなく、歴代大統領ゆかりの地?であるモンサンミッシェル1,000周年の年に在位しているマクロン大統領というのも、「この男、持ってるな~」と妙な感心をするのでした。
モンサンミッシェル1,000周年
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