2023年5月19日金曜日

14年間、存在を隠されていた14歳の少年

 


 14年間にわたり、14歳の少年がその存在を隠された状態でいたことが発覚し、世間を騒然とさせています。昨年の7月、体調を崩した少年を母親が病院に診察を受けに連れてきたことから発覚したこの事件、少年が14歳という年齢にもかかわらず、体重が25キロしかなく、知的発達に遅れがあったことから不審に思った病院が警察に警告を発し、この少年は14年間、かかりつけの医者というものももたずにきたでなく、一切、学校というものに行っておらず、社会とは隔絶された家の中で母親とともに生活していたことがわかりました。

 かかりつけの医者を持っていないという人は最近、増えているとは聞いていましたが、その存在すらも隠され、学校にも通わせずに社会生活から一切隔絶されているというのは、ちょっと尋常ではありません。

 最近、たまたま読んでいた小説が出生時に親が届けを一切、出さずにいて、戸籍がないままに育ってしまった少年の話だったので、「小説みたいな話!」と余計にびっくりしました。

 もしかしたら、出生届もでていない?と思いきや、この少年は国外で誕生しており、出生した国のフランス大使館に出生届は提出されていたとのことで、戸籍?がない状態ではありません。

 しかしながら、幼少期にフランスに戻ってきてからは、彼女の母親は息子の存在を隠し、外の世界とは遮断した状態で彼を育ててきたようです。体重が25キロしかなかった・・というので、虐待?とも思いきや、母親は自分の息子は自分で教育する・・という信念?のもとに彼を育ててきたと言っています。

 14年間、子供を家に閉じ込めたまま、その子供が体重25キロと聞けば、どう考えても毒親で残酷な鬼畜のようなイメージを持ってしまいますが、なんと彼女は堂々と顔を出して、これが私の教育方針だというようなことをテレビのインタビューで答えており、また、想像に反して、柔和な感じの印象の人なのも驚きでした。

 しかし、出生届まで出ているにもかかわらず、義務教育である学校にも行かせず、医者にもほとんどかかることなく、幼児期に必要な予防接種等も受けずに生活することが可能なのか? 市役所などからのチェックはなかったのか?と、とても疑問ではありますが、出生届が海外の大使館で出されて、その後、ずっと家から出ない、周囲の人とは接しない生活をしていれば、もしかしたら、そんなこともありえるかもしれません。

 以前に、娘が小さい頃、「あの家は、子供を学校にやっておらず、子供に教育を受けさせていない!」などと嫌がらせの通報をされたことがあり、そんなことは、学校へ行って調べてくれればすぐにわかること、学校どころか、公文やお稽古事と大変、忙しい思いをしているのに、とんでもない話だと憤慨したことがありました。

 ごくごく、普通にその存在が周囲に知られていれば、あの子は学校に行っていないようだ・・というようなことはわかり、誰かしらが通報したりすることもあるとも思うのですが、そもそも存在自体が知られていない場合、こんな状態で放置されていることもあり得るのかもしれません。

 しかし、数年に一度?くらいの割合で忘れたころに世帯調査のようなものが回ってくるので、それでチェックができそうな気もしますが、世帯調査の子供の欄に学校に行っているかどうか?を記載する箇所があったかどうかは記憶していません。

 ですから、嫌がらせにせよ何にせよ、存在が知られていれば、そんな風に通報する人はいるもので、14年間、学校にも行かせずに生きてきたとなると、よほど、家の外に出さなかったのではないかと思います。

 0歳からの14年間という時間、社会生活で学ぶべき時間を奪われた子供の時間は戻りません。とりかえしのつかないことです。

 この母親は、身柄を拘束、拘留され「子供の健康、安全、道徳や教育を損なう親の法的義務の回避行為、および15歳未満の未成年者の健康を損なう食事やケアの剥奪」の罪で起訴されました。

 今後、裁判が開かれることになりますが、彼女には、最高で懲役7年、罰金10万ユーロが課せられる可能性があります。



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2023年5月18日木曜日

これまで何回かあった日本に本帰国する機会

  


 海外に出て、もう四半世紀が過ぎようとしていますが、私はこれまで、一度たりとも、海外に永住しようと決意したことはありません。逆に常に、何かあったら、日本へ帰ろうと思っていました。

 しかし、結果として、これまでは、何かあっても、日本に帰りませんでした。もちろん、両親もいて、娘もまだ小さかった頃は毎年のように、バカンスで日本に一時帰国はしていましたが、本帰国となると、そんなに簡単ではありません。

 最初に日本に帰ろうか?という機会は、アフリカにいた頃の話で、妊娠して、「出産するのは日本の方がいいんじゃないの?」というタイミングでしたが、これは、どちらかというと私の方が子供の誕生と育児という一大事をスタートから夫とともに経験したいと考えていたため、夫の仕事の都合上、日本で生活するということは全く選択肢になく、日本には帰りませんでした。もっとも、もしも、この時に帰国したとしても、本帰国と言う話ではありませんでした。

 その後、夫の仕事の都合上、私たちはフランスに転居し、フランスでの生活がスタートし、1年弱かかって、ビザがおり、私もフランスで仕事を始め、娘はフランスの保育園、小学校・・とフランスで教育を受け始めました。

 次に日本への本帰国を考えたのは、夫が突然、亡くなってしまった時のことで、直後はもう私は本気で日本に帰ろうと思っていました。しかし、帰国するといっても、夫の死後の手続きはかなり煩雑で、しかも時間がかかり、その間、私は仕事を再開し、娘もそれまで通っていた私立の小学校に通っていました。

 その時、最も助けてくれたのは、夫の元同僚だった女性と娘の学校の先生やママ友たちでした。数日前に倒れた夫が集中治療室に入ってはいたものの、前日には面会もできて、話もできていたので、そんなに急なことになるとは思っていなかったので、夫が亡くなったその日も娘は学校に行っていました。

 私はしばらく、仕事に行けないので会社の鍵(私が毎朝、会社を開けていたので・・)鍵を渡しに行って、家に帰ると病院から電話で危篤だと電話があり、病院に駆けつけると、夫はもう息絶えていました。

 その後、私は娘を迎えに学校へ行ったのですが、学校に夫が亡くなったことを告げたのはその時、担任の先生に話しただけなのに、その後、学校の校長先生から電話があって、今後、お嬢さんの学費はカトリックの支援機関が負担するように手続きができましたから、落ち着いたら、学費のことは心配しないで、娘さんを学校に来させてくださいと伝えてくれました。

 また、あの時の周囲のママ友たちの団結力は、ちょっと驚くほどのもので、それまで私自身は、学校のことは夫にほぼ、任せて切っていたため、正確には、その時点では、彼女たちはパパのママ友たち(パパ友も・・)でしたが、彼女たちが、夫の葬儀のためにしばらく学校を休んでいる娘の学校の勉強を子供を連れて教えにきてくれたり、学校やお稽古事(バレエや水泳など)の送り迎えを手伝ってくれたり、皆が声をかけあって、助けてくれました。

 それまで、私はフランス人は利己的で冷たい・・などという勝手な印象を持っていたのですが、ここぞというときは、団結して助けてくれる暖かさと強い行動力を持った人々であったことを思い知らされました。

 彼女たちは、私が日本に帰国しようとしていることなど、そんなことは全くあり得ないことだと言い張り、「パパを亡くした○○ちゃんから、学校や友達、そして彼女からフランスと言う国を奪うつもりなの?大変なことはたくさんあるだろうけど、私たちが助けるから・・」と言ってくれました。

 言われてみれば、娘にとっては、パパを亡くして、そのうえ、友達もなくして、学校も変わって、国まで変わるということは、かなりな負担になることは間違いないことで、私もそれからしばらく考えました。

 それでも、もしも、すぐに帰国できる状況であったならば、この時ばかりは私も本当に日本に帰ってしまったかもしれないのですが、夫の死後の手続きにかなり時間がかかったこともあって、その間にママ友たちが言ってくれたことなども心に響き、私もフランスで仕事をしているし、娘のことを考えたら、やっぱりフランスに残った方がよいだろうと思い直して、結局、日本へ帰国するのはやめたのです。

 この時に最も印象的だったのは、ここぞという時のフランス人の優しさと団結力と愛国心で、中でも「娘からフランスと言う国を奪うつもりか!?」という言葉はちょっと日本人には出てきそうにない言葉だな・・と思いました。

 その後、日本にいる父がかなり弱ってきて、一人で生活するのが厳しくなり始めた頃、父は、私に日本に帰ってきてほしいと言い出しました。しかし、ちょうど娘の受験の時期と重なり、ここまで頑張ってきたのに、娘のフランスでの教育を実らせてあげたい、ここで台無しにするわけにはいかない・・と、ひとまず受験が終わるまでは、フランスに残りたいので、それまでは頑張って!と父に話しました。

 しかし、結局、父はその前に逝ってしまいました。親不孝なことです。

 結局、これまでに、何回かは日本に帰ろうと思ったこともあったのですが、結果的には、タイミングがよかったのか?悪かったのか?日本に帰ることにはなりませんでした。

 今、もしも、両親のどちらかでも生きていれば、私は今度こそ、本当に日本に帰っていたと思うのですが、今では帰ることができないわけでもないのですが、特に帰る理由もない感じになりました。

 最近、パリにいる日本人の友人には、「子供も巣立って、夫婦で日本に帰ろうか迷っている・・」と話している人もいれば、もうすっかり日本には帰るつもりはなく、しっかり終活をして、準備をしている人もいます。

 私は今のところは、結局、どちらにも決めきれず、まあ、もう少し考えようと、決断することを先延ばしにしています。私の理想はフランスと日本、半々の生活です。


日本への本帰国 永住


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2023年5月17日水曜日

パリのブックオフ BookOff は生き残っていた・・日本語の本、CD、DVDの買取

  


 留学ではなく、一応、期限なしに私が海外で生活することになった時、最初の国はコートジボアール(西アフリカ)だったので、一年中夏ということで、夏服しかいらず、もう家は家具などすべて揃っていたし、あまり物も必要ないと思って、スーツケース一つと大きなボストンバッグだけで日本を出国したのでした。

 今から考えると、全く考えられないことで、ほぼ日本の食べ物なども持たずにずいぶん身軽に出かけたものだと、最初はあんまり、海外生活が(しかもアフリカで)ピンと来ていなかったな・・と思います。

 ただ、その頃、仲良かった友人の一人が、海外で生活するには寂しいこともあるだろうから、自分の拠り所になり得るような自分のものをできるだけ持って行った方がいいよ・・と言ってくれたので、私は日本語の本を別送で段ボール4~5箱分くらい送ったのでした。

 私はとにかく本が好きで、本屋さんに入るとなんか安心する気がするほどで、自分の好きな作家の本などを大量に送ったのでした。アフリカですから、郵便事情もあまりよくなくて、送った段ボールのうち一つは紛失してしまいましたが、事前に送った本は私の到着後、数ヶ月たってから届き、私は大いに日本語の本に慰められたのでした。

 パリに来てからは、日本に帰るたびに、あらかじめ書き留めておいた自分が読みたい本を買い漁り、食料でいっぱいのスーツケースの中には、本にするか、食料にするかを泣く泣く悩みながら、いつしか、パリの家にも、かなりの本が溜まってきました。

 パリのオペラ座界隈にブックオフができたのは、もうかなり前のことで、一時はかなり人気だったと見えて、すぐ近くに2号店(日本語以外の本の扱い)もできるほどで、中古ながら割安な本を手に入れることができて、ずいぶんブックオフでも本を買っていました。

 しかし、そんなブックオフの隆盛も長くは続かず、今では縮小して2号店のみが残っており、その後はあまり頻繁にオペラ界隈には行かなくなったこともあって、パッタリ足が途絶えていたのです。

 それが、先日、たまたま近くを通ったので、懐かしくなって覗いてみたら、縮小されたものの、日本語の本も今でも扱っており、売るだけでなく買取もしてくれるということで、それならば・・と、断捨離中の私は、いよいよ家にたまりにたまった本を少しずつ処分していくことを決意しました。

 家にある日本語の本は、娘の絵本などを除けば、ほぼ全て私の本で、私が少なくとも一度は読んだ本で、どの本にも愛着があり、本当は本が並んでいるだけでも落ち着く感じがするものの、これでは、私がいなくなった後、娘がこれらの本を読むとは到底思えないし、中には、私だって、恐らく、もう二度と読まないであろう本もかなりあります。

 家の近くには、古本を置いておくと好きな人が持っていくスペースがあるのですが、さすがにそれはフランス語かせいぜい英語の本で、そこに私の日本語の小説などを置いたところで、誰も読むわけがありません。

 しかし、もう多分読まないとはいえ、「本を捨てる」ということは、私には、とても抵抗があって、買い取ってくれなくても、もしかしたら、再び誰かが読んでくれたら・・と思ってしまうのです。

 家のあちこちに収まっている本は想像以上にたくさんで、とりあえず、「これはもういいや・・」と思った本を袋に詰め始めると、あっという間に満杯で、車もなく、自分で運ぶことを考えて、持てる範囲でとりあえず一袋をまとめて持っていきました。

 これくらいなら、持てるだろうと減らしたにも関わらず、袋を持ってでかけてしばらくすると、腕が引きちぎれるかと思うほど重く、挙句の果てに駅についたら、「なんで今日に限って??」と駅のエスカレーターは止まっており、ブックオフに着いた時には、もう汗だくでした。

 店員さんが本をチェックして、状態のよい本しか買い取ってはもらえませんが、値段のつかない本に関しても引き取ってくれるところがあるとかで無駄になることはありません。

 本当にいくらにもなりませんが、本を捨てなくても済むというところが私にとってはとても大事。自分でも何でこんなに本に執着するのかわかりませんが、捨てられてしまう本というものが、とても切ないのです。

 それこそアフリカにいたころは、今のようにネットも繋がらず、送った日本語の本も全部読んでしまって、とにかく日本語の活字に飢えていて、意味不明な注意書きまで読んだりした記憶があるからかもしれません。

 最近は、日本の本は持って帰るのも思いし、始末が大変なので、もっぱら電子書籍を利用するようになり、これ以上、我が家には本は増えないであろうとは思いつつ、四半世紀を超える海外生活でたまりにたまった本の数は、半端ではなく、日本人の友人などが家に来ると、フランスにいるのに、こんなに日本の本持ってるの?と呆れられます。

 今日、少し持って行ったくらいでは、全く本が減った感じはなく、まだまだあと、何十回、通うかわかりませんが、これからしばらくは、オペラ界隈に行く度に少しずつ持っていこうと思います。

 最近は、時間が経つのが早くて、1日が24時間ではなく、20時間くらいになってしまったくらいの感覚で、なんだかんだと忙しく、以前に比べると圧倒的に読書量は減ったのですが、それでも本がないと寂しい私です。

 最初に海外に出る時に、自分が落ち着けるようなものを持って行った方がいいといってくれた友人の言葉はやっぱり正しかったなぁ・・と、本の山を見ながら思うのです。


☆BookOff Paris 11 Rue Monsigny, 75002 Paris


ブックオフ パリ BookOff Paris 日本語の本


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2023年5月16日火曜日

中産階級対象の減税措置の発表がまさかの大論争

  


 週明けにTF1(フランス国営放送TV)で放送された独占インタビューの中で、マクロン大統領がこの5年間で中産階級を対象に総額20億ユーロの減税を実施すると発表しました。

 「一生懸命働き、子供たちをしっかり育てたいと思っている人々、そして今日、生活費の上昇と賃金動向のために、家計をやりくりするのに苦労している中産階級を対象に対して、少しでも豊かな生活を送れるように減税政策を検討する」というものです。

 また、「人々の生活を少しでも楽にするために取る措置は、「減税」が賢明な方法であり、それは、購買力を促進するための価格の値下げやクーポンの配布ではない」という文言も付け加えています。

 これに伴い、月収1,500ユーロ~2,500ユーロの人々が減税対象になると見込まれていますが、本来ならば、喜ばしいニュースのはずが、かなり反発の声も上がっています。

 大反発を受けている年金改革を決定したマクロン大統領が一見、美味しそうな話で国民の機嫌を取ろうとしている・・これには、決して国に損にはならないトリックが隠れている・・おまえなんか、もう信用できない・・もう騙されてたまるか・・そんな声が溢れているです。

 たしかに、年金問題では、このままでは年金制度が破綻するから、2年余計に働けと言っておいて、減税など、ちょっとおかしな話のような気もします。

 これを聞いていて、たしかに減税はありがたい話ながら、これは所得税に対してのもので、消費税などが減税されるわけではありません。物価の上昇を止めずに商品の価格が上昇し続ければ、結果的には国が入る消費税などの収入は増加し続けることになります。

 また、この話は、中産階級対象と言っているのも、一見、困っている人々を対象に手を差し伸べているようにも見えますが、実際のところ、彼らは高額納税者ではなく、そもそも減税といっても、国にとっては、大きな痛手でもないのです。

 これは、なんだかスーパーマーケットで「アンチインフレ」などと、銘打って対象商品は半年間値上げしないなどと、値上げしない商品を選んでアピールしているやり方に似ているかもしれないと思うのです。

 アンチインフレ商品に選ばれているのは、もともと、値上がりしたところで大した金額にならない商品ばかりが選ばれていて、そりゃ~値上げしないでいてくれるのはありがたいけど、これらの商品が値上がりしたところで、大した金額にはならないのに、こんなもので恩着せがましくされるのもなんだかな~・・という感じがしたのです。

 消費税に関しては、その商品によって税率が違いますが、「購買力をあげるための価格の値下げはしない」と言っているのですから、減税された分は、言い方はちょっと悪いのですが、結局はまき上げられることになっているという見方が強いのです。

 普段、日用品などの買い物をしている時には、内税のために、あまり消費税に対してはピンときていないのですが、たとえば、ここのところ急上昇している電気代などでは、請求書にもともとの消費電力に基づいた電気料金プラスTVA(消費税)の内訳が記載されていて、税金は15%程度で、これを乗せられた金額が請求されています。

 価格が上昇している電気料金など、15%が上乗せされると、結構、インパクトがあり、逆に、こんなに税金払ってるんだ・・とちょっとウッときたりもします。考えてみれば、世の中には、消費税以外の税金はいくらでもあって、最近は、日本からの荷物の受け取りにまで税金を取られるようになりました。

 どちらにせよ、少しでも減税してくれることはありがたいことには違いないはずなのに、こんなにも懐疑的な声があがることの方がちょっと驚きで、国民へのご機嫌とりのつもりが、やはり、こんなに信用されてないんだ・・と思わせられた今回の減税措置の発表でした。

 また、この減税の発表をなぜ?総額20億ユーロ、中産階級対象というざっくりとした発表の仕方にしたのか? なぜ、インタビュー形式にしたのか?なんだか、最近、やることなすこと、全て裏目に出ている感じのマクロン大統領。

 現在の状況で彼の発言することが懐疑的に受け取られるのは必須にもかかわらず、せっかく減税するならば、もっと明確にどんなに人々の助けになるのかを示さなければ、逆効果になりかねないことを想像できなかったのは、やはり国民の気持ちを理解していない国民とはけはなれた存在の宇宙人のようだと言われてしまうのもわからないでもありません。


フランス中産階級減税


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2023年5月15日月曜日

シャンゼリゼ近くで48歳男性 射殺事件 パリに安全な場所はない

  


 ここ数年で、フランスではずっと銃による事件が増加したような気がします。何も、パリだけに限った話ではありませんが、以前は、こんな銃による殺人事件を今ほど頻繁には耳にしなかった気がします。

 しかも今回は、シャンゼリゼのほぼほぼ近くでおきた事件で、地図を見てみると、シャンゼリゼの George Ⅴ(ジョルジュ・サンク)の駅から数分の場所でシャンゼリゼとは目と鼻の先。フランス人が世界一美しい通りと誇るパリで最も有名な大通りの近くで射殺事件とは、ちょっと絶句してため息も出ない感じがします。

 事件が起こったのは先週の土曜日から日曜日にかけての午前0時すぎ、シャンゼリゼの近くのワシントンストリートを見下ろすギャラリーモールの中で起こりました。被害者は48歳のマリ出身の男性で被害者自身も警察にマークされていた人物であったようです。

 発砲は1発のみで、胸部に命中しており、被害者は即死の状態。犯人は銃声にどよめき騒ぎになって集まった群衆に乗じて逃走し、まだ逮捕されていないようです。

 しかし、初動捜査により、犯人はすでに特定されており、前夜にこの二人が口論になっていたことをわかっており、その前夜からの諍いの報復のための犯行と見られています。

 被害者の身体からは小口径の自動拳銃が発見されていますが、これが犯行に使われたものかどうかは、判明しておらず、両者ともが拳銃を所持していたとも考えられます。

 とにかく、最近は発砲事件と聞いても、そんなに驚かなくなった気もするのですが、今回は、場所が場所だっただけに、まさかシャンゼリゼのすぐ近く??ということが何よりも衝撃的でした。

 気候も良くなってきて、観光客もふえてきたパリで時間は午前零時すぎという時間ながら、この時間帯でさえも人通りがない場所でもなく、観光客が多い場所でもあります。観光客狙いのスリやひったくりなどの犯罪はあるという意味では治安が良い場所とは言えないかもしれませんが、一般的には、特に治安が悪いとされている地域ではありません。

 今回の犯行は、個人的というか、はっきりと被害者を狙って一発だけ発砲しているもので一般大衆に向けられたものではないにせよ、騒ぎになった犯行現場では怪我人も出ています。

 こんな場所でまで、射殺事件が起こるとは、やはりパリには、もう安全な地域と言える場所はないのかもしれないと思うと、あらためてウンザリします。

 すでに捜査が開始され、暗殺容疑でパリ第1司法警察に捜査が委託されていますが、犯人は依然として逃走中でまだ逮捕されていません。

 真夜中のシャンゼリゼの散歩など、ちょっとロマンチックで素敵な感じもしますが、命がけでするほどではありません。


シャンゼリゼ射殺事件 


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2023年5月14日日曜日

大所帯でやってくるパリのバスの検札 

  


 このあいだ、パリ市内のバスに乗っていて、ある停留所に着いたところで、降りていく乗客を待ち構えているRATP(パリ交通公団)の検札の一団がいて、ヤレヤレ、最近は降りようとしているところを待ち構える作戦に切り替えたんだな・・でも、検札やっている様子を見かけたら、切符やNavigo(定期券のようなもの)を持っていない人、つまりキセル乗車をしている人は、そのまま乗り過ごせば検札を避けられちゃうんだろうな・・と思っていたら、さすがにそれは甘い話で、その停留所で降りる人のチェックがすんだら、今度は、その一団がバスの中に乗り込んできて、検札を始めました。

 しかも、それが6人組くらいの一団で、一台のバスにしたら、かなりの大所帯、彼らが検札をしている間は、バスは停車状態で、平日の午後のそんなに乗客も多くない時間帯で、その時は結局は、私の乗っていたバスにはキセル乗車をしていたらしい人は全くおらず、バスの中を一回りするとRATP(パリ交通公団)の一団は降りていきましたが、ものすごい威圧感でした。

 バスやメトロの検札、いわゆるキセルチェックは時々、見かけることがありますが、バスの場合、終点の停留所で待ち構えていたかと思うと、今度は私服に近い二人組のやたらと感じのよい女性が乗り込んできて、これまた本物のRATPの職員?逆にお金をまき上げるための詐欺ではないか?と疑っでしまったりと、パリ交通公団も手を変え品を変えと言う感じでキセル対策を行っています。

 しかし、それにしても、バスのキセル乗車チェックのためにこんなに大所帯の職員いる??と思ってしまうのです。

 そもそもバスに乗る時には、通常は運転手のいる前の入口から乗るのが普通で、乗車時に切符を買うこともできるにはできますが、最近Navigo(ナビゴと呼ばれるチャージできる定期券のようなもの)がほとんどで、切符を使っている人は少なくなりました。

 Navigoの場合、機械にかざしてチーンと音がして終わりなので、人に紛れて乗車して、このチーンをやらなくても、また、切符を持たずに乗り込んでしまっても、その一人一人を運転手さんがチェックするのは、かなり難しい話で、また、注意をすれば乱暴したり、運転手に暴力をふるったりする人もいかねません。

 またフランスならではの分業制?、運転手の仕事は運転することでキセル乗車のチェックは運転手の仕事ではないなどとも言いだしそうでもあります。

 インフレの波は公共交通機関にも及んでいて、今年に入ってから、パリのNavigoは一年で10ユーロ近くも値上げし、ひと月あたり84.10ユーロ(約12,500円)になり、切符(バス・メトロ共通)は1枚2.1ユーロ(約310円)になっています。

 インフレにつれてスーパーマーケットでの万引きも増加し、キセル乗車も増えているのかもしれないので、検札を強化するのもわからないではありません。

 しかし、先日起こったメトロのホームで、コートが挟まったまま電車が発車したために起こった悲劇的な死亡事故などを考えると、バスのキセルチェックに大所帯を動員するなら、駅のホームに1人ぐらい駅員を配置してもいいんじゃないか?とも思うのです。

 結局、安全性よりも、お金をしっかり取り立てる方に注力しているような気がして、どうにもバランスが悪い気がしてしまうのです。しかし、要は駅のホームに安全チェックのための職員がいないことがおかしいとは思わない・・あれはたまたまの不幸な事故だったと片付けられている節があります。

 私は最近の日本の事情には疎いのですが、そもそも都内でバスに乗ってキセルチェックなどしているところを見たことがありません。

 要はパリは、運転手が乗車時にチェックしきれない、うっかり注意すれば運転手に危険が及びかねない治安の悪さに加えて、待ちきれない乗客は出口からでも平気でバスに乗ってしまったりもするので、収拾がつかないので、こんなキセルチェックが必要になったりもするのです。

 こういうところが民度の違いといってしまえばそれまでですが、バスのキセルチェックに6人もの大所帯がやってくるのを見るにつけ、どこか殺伐とした気分になるのでした。


パリのバス 検札 キセルチェック


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2023年5月13日土曜日

2023年パリ・バゲットコンクール グランプリ受賞のバゲット オー・ル・ヴァン・デ・ピレネー


 ここ30年間続いているパリ市が主催するバゲットコンクールですが、今年は30年目という節目の年を迎えて、今年2023年最高のバゲットが発表されました。

 バゲット(バゲットトラディショナル)といえば、昨年、ユネスコ無形文化遺産にも登録されたフランスの誇る食文化でもあり、フランスには数々の美味しい食べ物や料理があるものの、パン、バゲットは、結局、シンプルで手軽で、一番美味しいもののひとつであると私も思っています。

 正確に言えば、コンクールで競われるバゲットトラディショナルは、いわゆる一般的なバゲットとは区別されており、バゲットトラディショナルと称するためには、冷凍をせず、添加物を一切使わずにその場で調理するものに限られており、一般的なバゲットよりもお値段も若干高いのですが、ほんの少しの値段の違いで各段に味は違うので、せっかくならば、フランスでは、バゲットトラディショナルをお求めになることをお勧めいたします。

 今年のバゲットコンクールには、同時刻に176本のバゲットが出品され、その中から126本が選択基準にしたがって選ばれ、同じ条件のもとで審査されました。審査基準には、製品の外観、調理の質、パン粉の硬さ、重量、匂い、そしてもちろん味が含まれます。

 コンクールのグランプリ獲得者には、賞金4,000ユーロ(約60万円)と今後1年間エリゼ宮(大統領官邸)の公式サプライヤーを務めることになります。

 毎年行われているこのバゲットコンクールは、ここ数年の私の楽しみにもなっており、今年もさっそく、今年最高のバゲットを買いに行ってきました。

 グランプリ受賞直後ということで混雑が予想されたので、お昼時は避けて行ったにもかかわらず、お店の前には、行列ができていて、せっかく買いに来たのに、もしかして買えない?とちょっと焦りました。

 行列に並ぶ人々の中には「バゲットコンクールでグランプリ!」をとったのよ!と説明して歩く近所の住民ら式おばさんなどもいて、なんだかお客さんまでウキウキしている感じでした。

 ちょうど私のふたり前くらいでバゲットの入っていた籠が空になってしまったので、一瞬、呆然としたのですが、すぐに奥から焼き立てのバゲットを持ってきてくれて、おかげで正真正銘、焼き立てホヤホヤのバゲットをゲットすることができました。

 本当に手に持つのも熱いくらいホカホカの焼き立てのバゲットは家に帰るまで待っているのがもったいなくて、お店を出るとすぐに食べずにはいられませんでした。

 バゲットをちぎってみると、ほわ~んとした湯気があがるほどのホカホカぶりと、すぐに立ちのぼる香ばしい小麦の香りに大感激。

 すぐに口に運ぶと外はパリッとしていて、中はふわっとしながら、もっちりとした程よいねばりもあり、もう一人でバゲットをほおばりながらニッコニコしてしまいました。

 焼き立てというだけでもかなり、美味しさは倍増して感じられたとも思いますが、冷めてもなお、いや、冷めたら冷めたで余計に味わえる香ばしさと小麦そのものの味に大感激したのでした。

 


 食の好みは人それぞれなので、必ずしも、毎年選ばれるバゲットが最高に美味しい!と感じるわけではなく、「もしかして、去年のお店の方が美味しかったかも??」などと思ってしまうこともあるのですが、今年は文句なしに大満足したバゲットでした。

 今回、グランプリを受賞したのは、スリランカ出身のパン職人で2006年に来仏、その後、イタリアンレストランで仕事をしていたところ、彼の仕事ぶりやパンの味を見込まれてスカウトされてパン屋さんを任されたという人で、すでに2018年には、このグランプリの3位に入賞しており、今回の優勝は待ち焦がれていたもので、優勝の知らせを聞いて泣いてしまったとのこと。

 しかし、驚くことに彼は小麦アレルギーで医者から仕事を辞めるように言われたこともあると笑いながら語り、「とにかく、仕事、パンを焼くことが好きでたまらない!これが自分の趣味だ」という、とにかく真面目でよく働く、根っからの職人気質の人のようです。

 パリ20区は、普段、あまり行く地域ではないのですが、これならまた、バゲットを買うためだけにでも、私はまたきっと行くだろうな・・と思っているのです。美味しいものに出会えることは、本当に楽しいことです。


☆Au Levain des Pyrénées  44 rue des Pyrénées 75020 PARIS


2023年パリ・バゲットコンクール グランプリ オー・ル・ヴァン・デ・ピレネー

バゲットトラディショナル


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