2022年3月26日土曜日

パリーロンドン経由日本行きの超長距離フライトの今

   



 海外生活もトータルで四半世紀を過ぎて、特にパリ⇄日本間は、これまで、何回、行ったり来たりしてきたことか・・。娘が小さい頃は、できるだけ日本という国に、日本語に触れさせたくて、学校の休みが長い夏のバカンス時に、年に1回のペースで連れて行っていました。途中、あまりに多いフランスの学校のバカンスの調整をつけるために、数年、日本には行けなかった時期もありましたが、その分、ヨーロッパ内はだいぶ旅行して歩きました。

 数年、行けなかった分を取り戻すがのごとく、母が入院した・・危篤・・父の病状が悪化した・・、葬儀、日本の税務署からフランスまで通知が来て、慌てて日本に行く羽目になったり、ここのところ、年に数回、行くことも少なくありませんでした。

 夏のバカンスシーズンはチケットも高く、航空運賃というものは、2歳以上は、ほぼ大人と同じ金額で、二人分の日本往復は、私の決して多くないお給料からしたら、大変な出費で、少しても安いチケットを探して、ルフトハンザやブリティッシュエアなどの経由便を使っていたこともありました。

 しかし、歳を重ねるにつれて、だんだんと長距離フライトは、体力的にもキツくなり、また、9.11のテロ以来、一層、手荷物検査などが厳しくなり、経由便の場合は出発地のチェックに加えて、乗り換えの際に再び手荷物検査に時間がかかり、前のフライトが遅れて、だだっ広い空港内を走って移動して、乗り換え便にようやく間に合った・・ということもありました。

 2020年3月以来のパンデミックのために、日本の水際対策はとても厳しく、ずっと日本行きは諦めていましたが、ここに来て、ようやくフランスからの入国については、ワクチン3回接種者に対しては隔離措置がなくなり、用事も重なって、日本行きを決断したのです。

 ところが、やれやれ・・と思ったところで、今度はまさかの戦争。予約していたパリから日本への直行便はキャンセルになり、日にちをずらしたものの、またキャンセル、結局、ロンドン経由の便を利用しての帰国となりました。

 しかし、それでさえも、いつキャンセルになるかドキドキで、こんなに寸前まで日本へいくためにハラハラさせられるのは初めてのことでした。しかも、日本での隔離期間が撤廃されたとはいえ、まだ出発72時間前のPCR検査の陰性結果を日本式のフォームへの記載を頼んだり、日本入国のために必要な書類を揃えたりと今までとは違うステップがいるわけで、寸前でもしも検査結果が陽性になれば、全てはまたふりだしに戻ることになってしまいます。

 それでもシャルル・ド・ゴール空港に向かった時には、久々の飛行機や空港が嬉しくて、ちょっとワクワクした気分になりました。必要な書類を揃えて空港に行くと、さすがにこれまでとは、比べものにならないくらい、空港にも人が少なくて、ちょっと寂しくも思いましたが、一方ではそのおかげで思っていたよりはスイスイとチェックインも書類のチェックも進みました。

 ロンドン行きの飛行機は、機内で30分ほど待たされはしましたが、そこは、別にコロナも戦争もなくとも、いつもよくある出発の遅延の範囲内。

 ロンドンのヒースロー空港は、乗り継ぎ便のターミナルひとつひとつは、とても心配りがされて、便利にできている一方で、ターミナル間の移動がとても長く、時にはターミナル間を滑走路の近辺を通るバスで移動しなければならず、大変時間がかかります。

 現在のパリからロンドン経由の羽田行きのフライトは、単なる経由便というだけではなく、ロシア上空を回避した迂回ルートになるために合計すると20時間近いフライトになるのです。

 大昔、日本からヨーロッパに行くのには、北回り、南回りやアンカレッジ経由なるものがあって、かなり時間がかかっていた時期も私は経験していたので、まあ、そんな大したことないな・・と高を括っていたのです。そこは、やはり、私もあの頃は若かったのです。

 実際に乗ってみると、果たしてこれはやっぱり長い・・しかも、この長時間、空港内での移動の時間を含めて、機内でももちろんずっとマスク着用、このマスク着用状態で20時間近く・・というのが、長距離フライトに追い討ちをかけるように、結構、シンドく影響するのです。

 飛行機は、787−9という比較的小ぶりの飛行機にもかかわらず、座席は5割弱程度の埋まり具合で、一人で2席分は使うことができたので、それでも少しはマシでしたが、それにしても、長い・・シンドいフライトです。

 機内での食事は長時間でも、いつもと同じ2回、長いフライトなのでと、どら焼きとブルーべリーマフィンが配られた他、「おっとっと」などのスナック菓子やクッキーやお煎餅などが置いてあり、長時間フライトのストレスから?四六時中、お煎餅やらスナック菓子を食べ続けてしまうという最悪の感じ。もう日本へ到着する前から増量気味。

 こう長いと映画を見るにもスクリーンの光が目に厳しくて、なぜかスクリーンには「早く着かないかな?」と期待をもちつつ、飛行機のルートを示すマップをセットしている人が気のせいか多い気がしました。

 唯一の楽しみ?としたら、いつものルートではない北極圏の近くをとぶために空から見える景色が違って、もしかしたら、オーロラが見られるかもしれないという微かな期待がありました。(しかし、見れなかった・・というか、見る気も失せてしまった・・)

 現実的には経由便なのに、いつもよりもずっと高額のうえに、さらに時間もかかるというこのフライト、正直、かなりしんどかったです。

 ようやく日本に到着すると、何重にもわたる書類やアプリのチェックと検査が待っています。ここでまさかの陽性になったら、隔離です・・。

 それでも羽田空港では、到着する人より、それをチェックする人の方が多いのではないかと思われる受け入れ体制。無事、陰性で、入国できました。

 私は、帰りのパリ行きのチケットは、直行便も経由便も同じ金額だったために、「その頃には、なんとか・・」という淡い期待を込めて、直行便を予約しているのですが、さて、どうなることでしょうか?

 日本からパリに戻る時には、大量の食料品とともに戻るために、荷物は常に満パンで、フライトは可能な限り直行便と願っているのですが・・。

 しかしながら、ともかくもいくつものハードルを超えて、約2年ぶりの日本帰国は、嬉しいことであるには、違いありません。


ロンドンー羽田迂回ルートでの長距離フライト


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2022年3月24日木曜日

ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

  


 日本の国会で演説を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は、同日、フランスの国会においても、演説を行いました。彼は3月1日の3月1日の欧州議会での演説以来、国際舞台での外交キャンペーンを精力的に続けています。

 アメリカ、ドイツ、スイス、イスラエル、イタリアの国会で連日演説を行った後、3月23日(水)は、日本に続いて、午後3時からフランスの国民議会と上院で演説を行いました。

 毎回、ウクライナからビデオ会議で、自国語(同時通訳)で、軍用カーキ服を着て自国の旗の前での彼の演説は、スタンディングオベーションを受けていました。

 すでに、彼の演説は、それぞれの国にあわせた歴史的な出来事や人物を組み込んでおり、言葉も語調もその聴衆にあわせて語られています。

 イギリスでは、ウィンストン・チャーチルやシェイクスピア、アメリカでは真珠湾攻撃や9•11のテロ事件、またドイツではベルリンの壁を引用したかなり強めな訴えと日本では、TSUNAMIという言葉を使ったり、震災における復興にあたった日本の力を讃えたりと、その内容は様々ですが、もともと俳優であった彼にとっては、人に訴えかけて話すことはかれの得意分野でもあります。 

 しかし、どの国においての演説でも共通することは、聴く人の感情に大きく訴えかけるものであり、今や世界中の誰よりも世界中で演説を行い、その聴衆を引き込んでいくチカラを持った大統領であるかもしれません。

 このコミュニケーションは、ウクライナの重要な武器の一つでもあります。真実が拡散するのを恐れて言論統制をしているプーチン大統領と真実を訴えかけるために自ら演説を続けるゼレンスキー大統領とは、まさに対照的です。

 フランス国会での演説では、まず、「我々はフランスの援助に感謝しています」と述べ、この戦争にあたって、真のリーダーシップを発揮してくれているマクロン大統領の努力を賞賛し、フランスとその指導者がウクライナの領土保全を維持することを期待している」と述べました。

 そして、マリウポルをベルダンになぞらえ、3月9日のマリウポリ産科病院への爆撃は「中世のような残酷な包囲攻撃」だと述べました。「怪我をした女性、足を切断した女性、赤ちゃんを亡くした女性、骨盤を骨折した女性・・医師は彼女を救おうとしたが、彼女は死なせてくれと言っていた。彼女はもう生きる理由がないと思って死んだんだ・・」語り、とフランスの過去の記憶に訴えました。

 「ロシアの侵攻から数週間が経ち、マリウポルをはじめとするウクライナの街は、誰もが見たことのある第一次世界大戦の写真のようなヴェルダン廃墟を思わせる」と説明し、「フランスがベルモンドに別れを告げることができたように、私たちも互いに別れを告げることができなければなりません」と述べました。

 また、すでに数百社のフランス企業がロシアから撤退したものの、一部は今もロシアで活動を続けていることに言及し、「誰が罪を犯しているか、砂に頭を隠してロシアで金を見つけようとしているかは、皆さんがよくわかっているだろう」とオーシャン(Auchan・スーパーマーケットチェーン)、ルロワメルラン(Leroy Merlin DIYショップチェーン)、Renault(ルノー)グループを引き合いに出して、「フランス企業はロシア市場から撤退せよ」と呼びかけました。これらの企業は「ロシアの戦争マシンのスポンサーであることをやめなければならない」とロシアからのフランス企業の撤退をかなり厳し目に訴えました。

 同日、ルノーは、このプレッシャーのため、ルノーのモスクワ工場の操業停止を発表しています。

 そして、ゼレンスキー大統領は、「フランスは、真実を大切にし、それを守り続けている国であることをウクライナはよく知っている」と述べ、フランスのモットーとされている「Liberté, égalité, fraternité'(自由、平等、友愛)」という言葉を用い、「ウクライナ人が自由のために戦ってから1ヶ月になる」「我々の軍隊は数の上で勝るロシアに英雄的に対抗している 」と堂々と語り、「自由が失われないために、我々は、十分に武装しなければならない」とさらなる援助と物資支援を求めました。

 また、将来の紛争を防ぐために、フランスが「主導的な役割」を果たすべき欧州の「新しい安全保障システム」を構築することを期待していると述べました。

 おそらくフランス人に一番、ストレートに響く「自由」「真実」という直球の言葉を使った彼の演説は、どれだけ、フランス人の気持ちに響いたでしょうか?

 また、この世界中での演説を巧みに進めていくゼレンスキー大統領の様子を見ながら、日本のトップは、このような説得力のある演説を世界に向けてできるだろうか?とも思ったのでした。


ゼレンスキー大統領演説 フランス国会


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2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!



 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。

 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。

 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。




 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。

 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。

 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。

 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。

 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。

 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。

 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。

 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。

 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。


WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加


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2022年3月22日火曜日

ロシアとオウム真理教 独裁者の暴走

   



 オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こって、3月20日で27年が経ったという報道を見て、オウムとロシアとはダブるような感じがする部分があることを最近、感じています。

 地下鉄サリン事件は、日本で起こった事件の中でも、いつまでも忘れられない事件であり、今でも時々、資料を読み返したりすることがあります。

 当時、私は、日本の通信社で働いていたこともあり、1日中、当時のニュースはかなり詳しく目にしており、また、犯行の中心となったオウム真理教の幹部と言われた人々は、私とも年齢が遠くない人々で、どこか人ごとではないような気がしていたこともあったからです。

 最近、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースで、今まであまり、関心のなかったロシアという国を見ていると、以前にオウム真理教がロシアに目をつけて、教団武装化のための武器を大量にロシアで調達したり、ロシアにも教団支部を作り、その勢力を拡大しようとしていた理由がなんとなく、今になってわかるような気がしています。

 オウム真理教の胡散臭さはもちろんのこと、ロシアにしても、あまり裕福とは思えない生活をしている人も少なくない印象の国が宇宙開発などに力を入れ、たびたび、ロケットを飛ばしてみたり、なんとなくアンバランスなおかしな国だと思っていました。

 オウム真理教というのは、一応、宗教的な側面があるものの、ケチな私にとって、執拗にお金を要求する時点で、信用しておらず、そもそもお金で幸福になれれば、宗教など必要はないと思うのです。

 ロシアに関しては、ある程度の水準以上の生活をしている地域の人もいるのでしょうが、以前、パリで見かけたロシア人の団体旅行の一部には、陸続きとはいえ、大型バスでロシアからパリにやってくる人々もいて、その団体の人々(大人たち)が手に握りしめているのは、旅行会社から配られていると思われるビニール袋に入ったパンやお菓子で、子供の遠足じゃあるまいし、パリへ旅行するのに、こんなのってあるの?と思ったこともありました。

 最近のプーチン大統領の嘘だらけの発信を見ていると、歴史的な背景や規模は違うものの、あの時のオウム真理教に共通するものがあるな・・と度々、思うことがあります。

 「ウクライナ政権を「ネオナチ」であり、そこからウクライナを救済する」という理由もめちゃくちゃで、ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、実際に家族もナチスの犠牲者であるという事実からもあり得ない話で、周囲を騙すにしても、もう少しマシな理由が考えられなかったものか?と思うと同時に、自国民でさえも兵士を騙して戦争に行かせたり、国民を欺き、事実を伝えず、外からの情報を遮断してしまうというのも、信者を現実社会から遮断し、反抗するもの、邪魔になる者は、抹殺し、ついには、あの前代未聞の地下鉄サリン事件という凶行に及んだオウムと重なるところがあるような気もするのです。

 また、自分たちがやろうとしていることを、他から自分たちが攻撃を受けようとしていることとして、言い訳しようとするところも共通していて、オウム真理教が、当初、サリンについても、自分たちがアメリカなどからのサリン攻撃にあっていると釈明していたこともあり、(アメリカを異常に敵視するという面も同じ)、今回、ロシアは、「ウクライナが生物・化学兵器を使おうとしている」などと言い出していることから、彼らが生物・化学兵器の使用を検討していると受け取ることもできます。

 そして、壮大な計画のわりには、妙にそのやり方が杜撰である部分も少なくないことも、結果的に国民の犠牲も信者の犠牲も厭わないことも共通しています。国民を騙しながら、ロシア軍兵士にも決して少なくない犠牲者を出していることも何とも思っていない感じです。

 結果的に、まさかそんなことをするわけはないということをやってしまうところも、何のためにこんなことをやっているのか、理解ができないところも、同じです。

 しかし、オウム真理教には警察が介入して、それ以上の被害は食い止めることができましたが、今回の戦争は、今のところ、誰も止めることができずに、バイデン大統領などが、「プーチンは戦争犯罪人」などと強い言葉で非難しながらも、その犯罪人を誰も捕まえることはできず、被害は拡大する一方です。

 警察の強制捜査を撹乱するために、追い詰められたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたように、ロシアが生物・化学兵器や、ついには、核兵器の使用に踏み切ってしまうことも考えられないことではありません。

 フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、昨日、「フランスは、原発事故や核攻撃から国民を守る十分なヨウ素剤の備えがある」と発表しています。そんなことを発表されても、「あ〜よかった・・これで安心!」と思えるわけではありません。

 なんとか、そんなものを使わなくても済むようにしてほしい・・と思いますが、こんな発表をすること自体、その危険性、可能性をフランス政府は十分に深刻に考えているということでもあります。

 現在、ロシアがウクライナに対して行っていることは、無差別な大量虐殺、もともとウクライナ政権がネオナチだと言い始めたことをまさに自身がやっているのです。

 テロ行為を起こす絶対敵な独裁者というものには、共通するものがあるものだと思うと同時に、独裁状態というものは、そもそもバランスがとれなくなり、その独裁者が暴走し始めた場合には、とんでもない事態を起こすのだということを地下鉄サリン事件から27年という3月20日を迎えて、あらためて、考えるのです。


独裁政権 オウム真理教 地下鉄サリン事件



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2022年3月21日月曜日

フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署

   


 ブルーノ・ル・メール経済・財務相は日曜日、フランスは国内にあるロシアのオリガルヒ(プーチン大統領と緊密な繋がりのある新興財閥)の資産(ヨット、アパート、銀行口座など)8億5000万ユーロ近く(約1,121億円)のオリガルヒの資産(ヨット、別荘、一戸建てアパート等の不動産物件、銀行口座)を凍結したと発表しました。

 資産の凍結とは、その所有者が「もはや使用、転売、収益化できない」ことを意味します。「しかしこれは、国が所有者となり、転売できるという意味での凍結ではなく、差し押さえるためには、刑事犯罪がなければならない」と説明しています。



 すでにロシアのウクライナ侵攻に対して、EU、アメリカ、カナダ、日本などの国々が経済制裁としてロシアの主要銀行をSWIFTからの排除を開始していますが、同時にプーチン大統領と共に巨大な富を成してきた彼の周辺のオリガルヒの海外資産の凍結の作業を躍起になって進めているといいます。

 フランス財務省は、オリガルヒとよばれるメンバーをリストアップしながら、生年月日等を照会しながら、その人の財産ファイルや税金ファイルを調査し、お金の流れを確認して、その個々人の銀行口座の数や保有する財産の推定値などの資産の評価をしています。

 「フランスにあるロシアの全資産について、正確な数字はほとんどなく、この調査によって、ロシアの権力とその権力に付随する関係性などを調べ上げる地道で大変な作業には、分権化されたサービスも含めて、数百人がこの仕事に携わっている」としています。

 しかし、多くの金融資産や財産が特に不透明なタックスヘイブンに保管されており、フランス行政の調査官の仕事を非常に複雑にしているため、国際的な情報交換と協力があってこそ成り立つものであり、フランスは、この財産の根拠を検証するための国際的なネットワークを持っていると発表しています。

 とりあえず、フランスが凍結したという8億5千万ユーロの資産がオリガルヒのメンバーにとって、どの程度の痛手を与えるものなのかは、わかりませんが、プーチン大統領の取り巻きの気持ちを挫き、彼に背を向ける力となってくれることを祈っています。

 最近は、フランスでは、税金の申告なども全てオンラインで済むようになっていますが、まだ、手書きの税金申告の書類が郵送で送られてきた頃から、税金の請求だけは漏れなくきっちりやってきて、その他の数々のお役所仕事がズルズルなことが多いフランスも、「税務署だけは、きっちり仕事をする・・・フランスでも税務署だけは、ちゃんと働く・・」と苦々しく思ったことがありましたが、私の税金などとは、まさに桁違いの次元の違う話ではありますが、世界の平和がかかっているこの局面、今回ばかりは、フランス財務省に本領を発揮してもらいたいと、思っているのです。


オリガルヒ資産凍結



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2022年3月20日日曜日

フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨

  



 フランスHAS(高等保健機構)は2回目のブースター接種、つまり4回目のワクチン接種を65歳以上の人々に推奨する(門戸を開く)ことを発表しました。

 これには、ちょっとびっくりで、4回目のワクチン接種に関しては、80歳以上の人々に対しての4回目のワクチン接種推奨が発表されたのが、3月14日、それから1週間もたたないうちに、この年齢の幅を急拡大するとは、ちょっと驚きでもあります。



 これまで、この4回目のワクチン接種に関してはかなり慎重な態度をとってきたフランスがここへきて、義務化ではないものの、この短期間で、年齢の幅を65歳以上にまで拡大することには、少々、疑問を感じています。

 現在のフランスの感染状況は、少しずつ上昇している軽いリバウンド状態にあり、気がついてみれば、1日の感染者数は再び、10万人を超える日が続いています。

 現在のところ、感染者数は増加しているものの、集中治療室の患者数は増加してはいませんが(コロナウィルスによる患者の占拠率34%)、3月10日現在、入院患者の80%を占めているのは、60歳以上であることが4回目のワクチン接種を推奨する理由の一つとして挙げられています。

 しかし、フランスは、同時にワクチンパスとマスク義務化を撤廃していることが、さらに解せないことで、「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」としながらも、その「有効性と安全性」について、未だはっきりとしたデータが確認しきれていないまま、どんどんその年齢も拡大され、この勢いで年齢層が拡大されていけば、じきに、私の番も回ってきそうで、義務化ではない分、自分で判断しなければならない場面が訪れます。

 結果的に3ヶ月ごとにワクチン接種を続けなければならなくなる前に、ワクチン以外で感染回避できる方法(マスク義務化やワクチンパス)を排除するのは、戦争による緊張状態やインフレへの反発や、間近に迫ってきた大統領選挙の人気取りのためだという声も上がっています。

 そもそも衛生観念や規律正しさを語りだせば、日本とは比べものにはならないフランスではありますが、あらためて、原点に戻れば、この基本的な衛生管理がきちんとしている日本では、感染状態が悪化した時期があったとしても、それは、世界からみれば、比較にならないほど感染者数や被害は少ないのであって、この日頃からの衛生的な環境がどれだけ、感染対策として有効なものであったかは、明白です。

 しかし、義務化されなければできないフランスで今、この縛りを解いてしまって、一気にまたさらにワクチンへと向かってしまうのには、どうにも腑に落ちない気がしてなりません。

 現段階では、65歳未満の人々は、4回目のワクチン接種は対象外としており、HAS(高等保健機構)は、対象外の人々(65歳未満)に対する4回目のワクチン接種は「適切ではない」としています。

 つまり、基本的には4回目のワクチン接種には、依然として懐疑的にもかかわらず、罹患した場合に重症化するリスクと4回目のワクチン接種によるリスクを天秤にかけた結果と考えることができます。

 私が3回目のワクチン接種をしたのは、昨年の12月、3ヶ月後には、有効性が減少しはじめるというならば、そろそろワクチン接種の有効性は下がり始めているはずです。

 マスク着用義務化が撤廃してから、そろそろ1週間、最初は思ったよりもマスクをしている人は多いな・・という印象でしたが、それもやはり、日に日に減少してきている印象で、本来ならば、公共交通機関の中では未だマスク着用が義務付けられているにもかかわらず、メトロやバスの中でもマスクをしていない人がちらほら目につき始めました。

 ウクライナでの戦争対応と選挙対応、コロナウィルス感染に対する対応に揺らぎが感じられる最近のフランスです。2月半ばに3月中旬にマスク着用義務化の撤廃に関して、一定の基準を設けた頃を境に、その後、ガラガラと感染対策のための規制が崩れ始めました。

 戦争があろうと、選挙があろうとウィルスは容赦してはくれないのです。


4回目ワクチン接種65歳以上


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2022年3月19日土曜日

ウクライナへの援助・寄付は、どこにすべきか?

  



 最近、スーパーマーケットに行っても、ウクライナに支援をしませんか? という張り紙がしてあったり、実際に買い物の支払いの際にカードで支払おうとすると、ウクライナに寄付しませんか? という画面が出てきて、ちょっと戸惑うこともあります。時には、募金箱のようなものが置かれていたり、私が口座を持っているフランスの銀行からも、「ウクライナ支援のための寄付をしませんか?」などというメールが送られてきたりもしています。

 ついには、先日、フランス版メルカリサイトVinted(ヴィンテッド)まで寄付しませんか?というメッセージを送ってきました。

 カードを使ったり、実際に口座を管理している銀行からのメールで、寄付はこちらから→(多分、そこをクリックすれば、)スムーズに寄付できるようになっていると思うのですが、素直にそれを信用すれば、簡単に寄付できるようになっていることは、悪くはないとも思うのですが、私などが寄付するにしても、そんなに大金ではないとはいえ、なんとなく、このお金がどんな風にどこに行き、どのように使われるのか? これは本当にウクライナの人にちゃんと届くんだろうか?懐疑的に感じてしまう部分もあります。

 調べてみれば、ウクライナへの寄付を募っている団体や組織は山ほどありますが、気をつけないと、これに乗じた詐欺などもあり、こんな時にとても残念なことではありますが、せっかく寄付をするならば、納得いくところを選ばなければ、おかしなところにお金が行ってしまう可能性もあるし、現実にうまくお金が運用されるかどうかもわかりません。

 この戦争とは関係はありませんが、以前、私がコートジボアールに住んでいた頃に、首都アビジャンからそう遠くない所に、日本政府がお金を出して設立した病院があるというので、見に行ったことがありましたが、行ってみると、そこには、「Japon × Cote d'Ivoire(コートジボアール)CO-OPERATION」と書かれた大きな看板が立っており、(内心、これって、CO-OPERATIONなのか?とも思いましたが・・)病院の外郭はできあがっているものの、工事は途中で頓挫し、廃墟のようになっていて、びっくりしたところ、聞いてみると、実際に病院を稼働するための人材がいないとのことで、一体、日本政府は、何のために少なくないお金をこの国に投入したのか?これも日本国民の税金だ・・と、うんざりしたことがありました。

 日本の国家予算からしたら、大した金額ではないのかもしれませんが、それにしても、国民の税金が、このような中途半端な使い方で無駄にされていることを私はたまたま目にしたのであって、ほとんどの国民は知らずにいるのです。

 こんな様子を目にしたこともあって、全てを信用しないわけではありませんが、名の知れた大きな団体ならば、寄付したお金が正当に使われるだろうとは限らないと、なんとなく私は思ってしまうのです。

 例えば、人道支援NGOケア・インターナショナルは、ウクライナの住民や難民への緊急支援を行うため、オンライン緊急募金フォームを提供しています。フランスのNGO「ACTED」は、ウクライナに人道的輸送隊を組織し、難民に食糧援助や生活必需品を配布していますが、以下のような説明もしています。

 ウクライナの人たちを支援するために、物資の収集に参加したいという声が多く寄せられていますが、各協会によると、ほとんどの場合、金銭的な寄付が最も効果的であるとしています。現地の協会が必要なものをその場で購入し、支援することができ、そのお金で現地調達が可能になり、地域経済が活性化するとしています。

 そして、それは、事実でもあるとも思います。

 現物支給には、誰もがすぐに具体的な形で連帯感を表すことができるなどの利点がありますがフランスでは、例えば、赤十字の支部が毎日食料や衣類を集めていますが、赤十字の緊急・救援活動責任者は「国際的には、さまざまな理由から現物支給は行っていない」と説明しています。

 寄付にもそれを管理するための体制が必要で、今回の戦争で国連があまり機能していないように、国際的な支援団体も必ずしもうまく機能しているかどうかにも少々、疑問を抱いてしまう部分もあります。

 もちろん、多くの団体が有効に寄付を何らかの援助のために使っているものとは思いますが、団体が大きければ大きいほど、それが現地に届くのに時間がかかるかもしれません。

 そんな時、たまたま上がってきたユーチューブで日本語も堪能なウクライナ人がウクライナについて語り、彼自身が寄付を募って、直接現地の人に物資を提供しているという動画を見ました。下に貼った動画は、少し長いものですが、他に収支報告の動画なども掲載しています。

 


「キエフ在住ボグダンさんのYouTube」

 

 日本でも生活していたことがあるという彼は、現在、戦渦の中、ウクライナで生活しながら、日本から寄付を募って、現地の人々を直接、援助する活動をしながら、現地の様子を発信し続けています。

 大きな支援団体と違って、大々的な内容ではありませんが、少なくとも確実に現地の人に寄付が伝わっている様子が伝わります。

 寄付に関しては、それぞれの自由で、様々な考え方があると思いますが、現地在住の人目線で、直に寄付が反映されている様子が伝わる彼のような人に寄付を託すのも悪くないかなとも思いました。


ウクライナ寄付金


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