2021年11月5日金曜日

ヨーロッパが再び感染の震源地になる 2月までにさらに50万人の犠牲者が出る恐れ

   


 WHO(世界保健機構)は、東ヨーロッパとドイツでの深刻な感染の拡大状況に象徴される、現在ヨーロッパ大陸で記録されているコロナウィルスの急激な感染率の上昇に、警鐘を鳴らし、ヨーロッパ地域の53カ国における現在の感染率は、大きな懸念事項であり、このままでは、この冬2月までに、ヨーロッパで、さらに50万人を超える犠牲者が出る可能性があると発表しています。

 WHOは、この状況のの緊急性について、さらに言及し、コロナウィルスの症例と死亡者総数は、世界で2ヶ月ぶりに増加している状況で、これは、世界の他の地域で記録されている減少を上回るヨーロッパで急激な増加によるものと説明しています。

 ヨーロッパでは、1日あたりの新規感染者数は、ほぼ6週間連続で増加しており、1日あたりの新規死亡者数は7週間強連続で増加。毎日、約25万人の新規感染者と3,600人ほどの死亡者を出しています。

 ヨーロッパでのこの増加は、主に東欧における被害の拡大によるもので、特にロシアでは、公式の統計によれば、10月20日以降、毎日平均1,000人以上がコロナウィルスにより死亡しています。(過去7日間で8,162人が死亡)

 しかも、この数は多分に過小評価されている可能性が大きく、公式発表と国家統計庁の数字が異なっています。

 重ねて、さらに憂慮されるのは、ドイツがパンデミックが始まって以来の最も深刻な感染拡大の局面を迎えていると言われ、先日のドイツの新規感染者数は35,000人を突破、2020年12月の過去最高値(33,777人)を上回りました。

 それにつれて、集中治療室の患者数も2,000人を超え、1日あたり180人前後の人が死亡しています。これまで、第一波の感染爆発が起こって以来、ヨーロッパの中でも常に優等生であり、医療崩壊を起こすこともなく、幾度となく、フランスもドイツに助けられてきた状況であったにもかかわらず、今回ばかりは感染者数も集中治療室の患者数も死亡者数もフランスを大きく上回っている状況です。

 現在のヨーロッパでの急激な感染悪化は、ワクチン未接種の人々が襲われている大規模な波となっています。

 そこでワクチン接種率をあらためて、見てみると、フランスは、86.9%と思っていたものが、これは少なくとも1回のワクチン接種が済んだ割合で、2回のワクチン接種率となると68.2%までに下がり、同様にドイツも66.8%、イギリス68.1%と、少なくとも30%以上の人々がワクチン接種が完全には終わっていない状況です。

 そこへ行くと、ワクチン接種の開始が遅れたはずだった日本は73.3%と、すでにヨーロッパのワクチン接種率を上回っているところは、さすが日本!と感心してしまいます。

 世界で最も早く、ワクチン接種を開始したイギリスでさえ、現在では日本を下回っているのです。

 フランスもそれからほんの少し遅れてワクチン接種を開始しましたが、それから今までの間、そろそろ1年が経とうとしているのに、未だワクチン接種をしていない人というのは、それは、もう頑としてワクチン接種は受けないと決めている人々であるということです。

 フランスはヘルスパスの制度を起用したりして、なんとか国民をワクチン接種に向かわせる政策をとりながら、やっとワクチン接種率もここまで上昇したのです。

 結局、オリンピックまで開催したにもかかわらず、日本は、決してヨーロッパのような悲惨な状況に陥ることなく、政府も強行な規制(フランスのような罰金付きの規則等)を取ることもなく、ワクチン接種もグングン進み、感染者数が拡大した時期もあったとはいえ、ヨーロッパとは比較にはならない数字です。

 これまで何度となく、書いてきましたが、やはり、日本人の衛生観念、真面目さ、モラルの高さ、周囲を思いやる気持ちは、世界的にも奇跡的とも言えるほどのレベルであり、やはりスゴいのだということを感じるのは、パンデミックが始まって以来、何度目でしょうか?

 今回もまた、「う〜ん!さすが日本だ!」と思い知らされました。

 以前、問題発言の多い日本の政治家の方が「オタクらとは民度が違うんだ!」と発言したことが話題になっていたこともありますが、まさに「民度が違う」のは事実なのです。

 フランスもドイツほどではないにせよ、1ヶ月ほど前までは、1日の新規感染者数は5,000人前後を保ってきたものが、ここ1〜2週間の間に6,000、7,000、そしてついには1万人を突破し、あれよあれよという間に感染者数は増加しています。

 そのうち、ワクチン2回接種した人々も、早くワクチン接種を開始した分だけ、早くにワクチンの効果が薄れていきます。

 今回のヨーロッパの感染拡大の震源地の一つとなっているロシアでは、ワクチン接種率は33.5%と異常な低さです。

 ロシアのワクチンの有効性は別として?自国でワクチンを開発しているにもかかわらず、このワクチン接種率の低さは不思議なことです。

 国境があるとはいえ、地続きであるヨーロッパの国々は、一度感染拡大が起これば、ウィルスには国境がなく、大変、恐ろしいところです。

 これから年末にかけて、寒さは厳しくなり、またひと騒動起こりそうなフランス人にとっての第2のメインイベント(第1はバカンス)の時期がやってきます。パンデミックから2年目にして、ヨーロッパは、再び不安な年末を迎えようとしています。


ヨーロッパ感染再拡大


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2021年11月4日木曜日

ラデュレのマカロンはフランス製ではなかった!

   


 一時、パリを訪れる多くの観光客は、薄いグリーンにゴールドがあしらわれた「Ladurée(ラデュレ)」の紙袋を持っていたな・・という記憶があるほど、ラデュレのマカロンは大人気で、この色とりどりの小さなお菓子は、その高級感といい、伝統と歴史のうえに築かれた格式さえ感じられるフランスのイメージアップに貢献してきたと言っても過言ではありません。

 事実、ラデュレは1862年創業の老舗で、現在、同じマカロンで急成長したピエール・エルメも、もともとは、ラデュレのパティシエとして、修行を積み、そのキャリアをスタートさせています。

 マカロンは今やフランスの代表的なお菓子の一つとして認知され、マカロンブームの先陣を切っていた「ラデュレ」は、1997年にパリに2店舗をオープンして以来、2006年のロンドン・ハロッズ内の店舗を始め、世界に進出して行きました。

 これだけ、販売の拠点を拡大すれば、全てのラデュレのマカロンがフランスで作られているとは思っていませんでしたが、なんと、フランスで販売されているマカロンでさえ、もはや、フランスでは作られていないことが発覚し、2020年以来、フランスで売られている全てのラデュレのマカロンはスイスにある工場(エニー)で一斉に生産されていることがわかり、フランスのマカロンがフランス製ではないことに衝撃が広がっています。

 ラデュレ側は、スイスの税制の柔軟性(スイスは雇用を創出する外国企業の一つとして、ラデュレに10年間の免税を認めている)を利用し、収益性を向上することをその理由として説明しています。

 パンデミックにより、甚大な被害を受けたラデュレは、2020年の後半には、フランス国内・エソンヌやモナコにあった生産ラインをスイスにある工場に一括統合したのです。

 ラデュレのマカロンの大きな秘密は、その原材料(主に卵白・砂糖・アーモンドパウダー)の品質とレシピ、製法にあることには、疑いの余地はありませんが、それに加えて、製造後に体型的に冷凍されることでもあり、この冷凍マカロンは何週間も保管することが可能であり、これにより世界中で簡単に入手できるようになっているのです。

 しかし、わざわざフランスに来た観光客などが、フランス製ではないマカロンを購入するというのは、なんとも興醒めな気がしてしまうことも否めません。

 フランスのお菓子の代表的な存在であるマカロンのルーツとも言われる「メイド・イン・フランス」のこのシンボル的なラデュレのマカロンが、「実はスイスで作られていた・・」というのは、やはり、ちょっと衝撃的なことでもあります。

 ラデュレは、2000年代から製品の多様化への投資を開始し、セフォラ(Sephora)と提携し、化粧品ラインを立ち上げたり、その他、いくつもの企業と提携し、コラボ商品を開発、フィギュアのコレクションや置物、ベビー服などにもその販路を拡大しましたが、依然としてマカロンの収益が同社の多くを占めている状態で、このマカロンでの収益性を改善することは、このパンデミックの危機において、必須事項であったに違いありません。

 ブランドが世界進出し、その規模を拡大する場合に国内だけで生産を賄うことは難しく、多くのブランドが国外に工場を持つことは珍しいことではありません。

 以前、買い物をしていた際に、近くにいた中国人のお客さんが、フランスのブランド物のバッグを購入しようとしていた際に、フランス製のものではなくては嫌だと言い張り、バッグに記載された生産地を一つ一つ確認していた場面に遭遇したことがありましたが、もはや、フランスで作られたものはほとんどなく、色やデザインなどによって、スペインやチュニジア、時には中国製のものもあったりして、「スペインなら、まだいいけど、中国製のものだけは絶対に嫌だ!」と言い張っているのに苦笑してしまったことがありましたが、そのブランドが大きくなればなるほど、その生産ラインも多様化されていくことも致し方ないことなのです。

 しかし、生菓子であるマカロンまで、そんなことになっていたとは・・なんだかちょっと寂しい気もしてしまうのでした。


ラデュレのマカロン スイス製


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2021年11月3日水曜日

16歳〜25歳の若者への就職サポート月額最大500ユーロの支援 「青年エンゲージメント契約」

  



 若者の失業、または就業できない問題についての緊急措置として、マクロン大統領は、16歳から25歳の若者向けに、 「青年エンゲージメント契約」を開始することを発表しました。

 これは、すでに昨年の段階での若者への就職支援から、かなりの手応えがあり、パンデミックの最盛期から始まったこのプロジェクトの前身の支援をさらに強固に、具体化したものになります。

 手応えがあったとはいえ、依然として若者の失業率は高く、それに伴う若年層の貧困も深刻な問題のままです。

 マクロン大統領は若者に向けてSNSを使って「現在、フランスは、エネルギー、電気自動車、航空機、宇宙、文化など明日の未来を築くことができる分野に多額の投資を行っています。これらの産業には、多くの技術や知識を持った人材を必要としています。

 この「青年エンゲージメント契約」は、これまで、これらの全ての仕事に携わるための教育を受けて来なかった人のために、パンデミックのために途中で進学を断念してしまった人のために、また、これまで、その機会を得られなかった人々のために、そのための教育、トレーニングを受ける機会と場所、それに伴う支援を行うものです。

 未来を描く人々の全てが仕事に就き、自分たちの生活を築くことは重要なことで、若者のそれぞれのプロジェクトを達成するために国家はある!」と、語りかけています。

 具体的には、2022年3月1日から16歳から25歳の全ての若者は、登録さえすれば、週に15〜20時間のサポートを受けて、職業を見つけ、そのためのトレーニングを受けることを条件に、月額500ユーロまでの支援金を受けることができます。

 この「青年エンゲージメント契約」は、若者が仕事の世界で、より良い訓練を受け、未来を築いていくための支援をこれまでのシステムを補完し、より簡素化したものになります。

 そして、具体的には、中退した学生を支援するために2万人の学生の雇用(週10時間の4ヶ月契約(12月から3月まで)が提供されます。

 また、経済的に非常に不安定な学生に対しては、CROUS(大学及び学校の地域センター)から宿泊施設と食事の緊急支援が行われます。

 フランスの失業保険に関しては、これまでも若者に限らず、失業後にさらに新しい就職の機会を得るために訓練を受けることを希望する場合は、失業保険の待遇が上乗せされる等のシステムが既に存在していますが、今回の「青年エンゲージメント契約」に関しては、この改良版と考えることもできます。

 将来のある若者の深刻な失業率を鑑み、16歳から25歳の若者に特化して、それまでに就業経験がなくとも、新しく仕事に就くために、その訓練と援助を受けることができるシステムを具体化したものです。

 現在のフランスには、仕事がないわけではありません。仕事を見つけることができない若者をどのように仕事に導くかを考慮して、フランス政府が手を差し伸べている政策の一つです。

 マクロン大統領は、これに続くさらなる若者支援策を来週にも追加で発表する予定であることを同時に予告しています。

 しかし、考えてみれば、そもそも16歳から25歳といえば、本来、高校から大学などの教育を受けている年齢、つまり、学校からもドロップアウトし、勉強もせず、仕事もせずに失業者と換算される人がどれだけ多いかという、これもまた格差社会の一面が表れている気がします。


16歳から25歳の若者支援


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2021年11月2日火曜日

若年層のCOVID LONG(長期コロナ感染症)の後遺症と脳の損傷との関連の可能性

  



 コロナウィルスによるパンデミックはワクチン接種により、かなりおさまってはきているものの、まだ終息の兆しは見えていません。

 これまでに世界中で2億4,700万人が感染したと言われていますが、このうち、一旦、回復しながらも、症状が長期にわたって潮の満ち引きのように繰り返されるCOVID LONG(長期コロナ感染症)がある一定の割合(フランスでは、10%〜15%と言われています)で認められることは、昨年の段階から明らかになっています。

 ワクチンが開発され、ある程度の予防や治療は可能になってきたものの、依然としてこの病気の未知の部分は多く、この病気の予後やその治療などが人体に与える影響に関しては、まだまだ解明されていません。

 ここに来て、マルセイユのティモーネ病院の医師らが第一波でコロナウィルスに感染し、このCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状に苦しみ続けている子供や若年層の追跡調査で、彼らが脳の特定の領域に問題を抱えていることを発見したと説明する研究を発表し、話題を呼んでいます。

 彼らは、第一波の間にコロナウィルスに感染した201人の子供・若年層を追跡し、このうちの約20%がCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状に苦しみ続けており、その一部に共通する脳の特定の領域に異常が認められることを発見しています。

 このCOVID LONG(長期コロナ感染症)に苦しむ子供たちは、感染後1年以上経っても17%は、激しい倦怠感、記憶の問題、集中力、激しい頭痛などの症状が消失していません。

 彼らを詳しく検査した結果、他の身体的な臓器の損傷は検出されなかった患者に対して、PETスキャンを介してさらに検査を行った結果、その画像から、共通して彼らの脳の一部に損傷が見られることがわかり、この代謝低下が特定の領域、嗅球、脳幹、小脳の領域である全てに存在することを発見しました。

  


 これらの領域が機能不全であり、うまく機能しないという事実は、彼らのCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状の原因である可能性が強いと説明しています。

 また、さらにこの症状の多くは若年層であり、同時にアレルギー性の疾患を持っている確率が高いことも述べています。

 若年層は、感染しても重症化し難いという一面もありながら、悪くすると、長期化する上に、脳に損傷を受けてしまうという可能性が判明された中、やはり子供も若者も感染対策は依然として重要であることを彼らは警告しています。

 酷いケースになると、コロナウィルス感染は陰性となった後も、学校に行くことも、起き上がることも、日常の活動をすることもできなくなるほどになり、治療を受け続けなくてはならない状況に陥ってしまうといいます。

 彼らは引き続き、若年層のこの二次災害ともいうべく症状をフォローし続けていく支援を呼びかけています。

 そして、彼らの症状の消失と「通常の生活」への復帰を促進するための支援には、医師、小児科医、理学療法士だけでなく、神経小児科医と心理学者の調整をとってのフォローアップが必要であると語っています。

 まだまだ侮れないコロナウィルス・・感染すれば、子供の将来にも影響を及ぼす危険があるとすれば、子供たちに対しても一層の注意が必要です。


長期コロナ感染症 COVID LONG

 

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2021年11月1日月曜日

拡張されていたカフェ・レストランのテラス席解体

 

パリ市内ど真ん中に拡張されて作られていたテラス席


 今年の5月の段階で、コロナウィルスのために、半年以上も営業が停止されていたカフェやレストランの営業再開に際して、最初は、テラス席の営業のみが許可されていたために、本来あったテラス席以上に歩道や自動車道にまでテラス席を拡張することが許可されていました。

 もはやパリ市内、どこの通りを通っても仮設のテラス席がない通りはないくらいにあっという間にどんどんテラス席は拡張し、多くの店舗が木製の踊り場のようなテラス席を作り、店内営業が許可されてからも、もともとテラス席が好きなフランス人には、盛況で、店内よりも、テラス席の方が賑わっているような状況で、怪我の功名とも言うべく、当初はコビット(COVID)テラスなどと呼ばれたテラス席により、これまで以上に集客できる絶好のステージになっていました。

 しかし、これらの拡張テラスには、10月31日までという期限があり、11月からは拡張されたテラスは撤廃することが義務付けられ、これに違反すると500ユーロから15,000ユーロの罰金が課せられることになります。

 お客さん側には好評であったテラス席の拡張ですが、必ずしも全ての人が諸手を挙げて賛成していたわけではなく、近隣住民からは、騒音問題や道路の封鎖、美しい石畳を覆い尽くしてしまい美観を損ねる・・などの苦情も上がっており、このサマータイムが終わり、冬が近づき、気温も一段と下がり始めるタイミングは、この拡張されたテラス席を撤廃する一区切りのタイミングでした。

 加えて、今年の冬からは、フランスでは、環境問題対策の一環として、テラス席の暖房は禁止されているため、コロナ前から既存していたテラス席でさえも、これまで以上に寒いテラス席となり、集客の低下が予測されます。

 しかし、近隣住民との摩擦やテラス席の暖房問題も考えると、一度、撤廃することは、必要であるのかもしれません。

 それでも、夏の間のこのテラス席の拡張の想像以上の成功に、2022年4月からは、今度は、有料での拡張テラスが検討されており、すでにパリ市には、7,000件以上のリクエストが届いています。

 拡張されて作られていたテラス席は、それぞれにセンスを競い合い、なかなかおしゃれにできていたので、それはそれで、パリの夏の風物詩のようで、季節ごとに趣向を凝らしてテラス席ができるのは、なかなか楽しみな気もします。

  


 夏になるとセーヌ川沿いにできるパリプラージュのように、春になり気候がよくなる時期には登場する拡張テラスも新しいパリの景色になっていくかもしれません。

 しかし、気になるのは、このタイミング、現在、フランスの感染状況は徐々に悪化し始めており、数ヶ月間、1日の新規感染者数は5,000人台に留まっていたと思っていたら、つい先日、6,000人を超えたと思ったら、あっという間に7,000人超え。

 カフェやレストランのテラス席が感染回避の手助けになっていたとしたら、今のタイミングで、これまでテラス席にいた人々が一気に店内に集うことは、なかなか危険が伴うことになることなのかもしれません。


テラス席拡張終了 パリ テラス席


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2021年10月31日日曜日

夏時刻・冬時刻はなぜ、なくならないのか?

  


 

 1970年代に起こったオイルショックから、主にエネルギー消費の節減のために導入されたサマータイムの制度はフランスでは1976年から採用されています。

 しかし、サマータイムの導入から時が経過し、実際のエネルギー消費の節約は、0.5%〜2.5%と、大した節約にはなっておらず、むしろ、健康や事故に対するリスクの方が高く、この年に2回の時刻の変更を失くすという方向で欧州連合では議論が進められ、毎年のように、「これが最後のサマータイム・・」などと言われ続け、本来ならば、欧州連合は2021年に夏時間と冬時間の終了を予定していました。

 2018年には、欧州連合はこの慣行を終わらせることに賛成し、各国は夏時間と冬時間のどちらかを選択する必要があり、翌年に行われた国会の協議により、フランス人は夏時間を選択しました。

 しかし、それ以来、時間の変更についての議論は滞ったままで、未だ夏時刻・冬時刻を1時間ずつ進めたり戻したりする奇妙な慣行は続いています。現在、公的には、パンデミックのせいということになっていますが、EU加盟国にとって、この夏時刻・冬時刻問題は、議論すべき優先事項にはなっていません。

 これは近隣する各国が冬時刻を選択するか、夏時刻を選択するかの相違により、輸送手段などにおける非互換性が生まれ、どちらがどの国に歩み寄るかで摩擦が生じることを恐れていることが原因の一つであると言われています。

 ヨーロッパは地続きのために、国境を越えて通勤している人も少なくはなく、例えば、夏時間を選択したフランスと冬時間を選択したドイツの間を通勤している人は1日2回時計を変更しなければならなくなります。

 ヨーロッパ内を移動する航空会社や鉄道などの輸送事業者が時間の変更に伴う新しいスケジュールを適応させて設定するのには少なくとも18ヶ月はかかると言われています。

 ということは、たとえ、それが今、正式に決定されたとしても1年半先のことになります。

 夏時間から冬時間になる時は、1時間余計に眠れる日ができるため、比較的、慣れやすい時間の変更ではありますが、日本との時差を考えた場合には、時差が7時間から8時間と長くなるために、日本との仕事はしにくくなることになります。

 欧州連合各国が夏時間・冬時間を自由に選択することなどせずに、単純にもともとあったサマータイムなしの時間に戻すということで統一すれば良いものを妙なところで、自由に選択できるなどという融通を効かせるために、この1年に2回の時間の変更はいつまでもなくならないのです。

 私は、この時間の変更が苦手で、たったの1時間の変更ながら、身体がそのリズムに慣れるまでに1週間近くかかります。

 この区切りをうっかり忘れていて、(日曜出勤をしたにもかかわらず・・、)(時間の変更は土曜日の夜から日曜日にかけて行われます)1時間早く出社してしまったこともありました。

 会社に着いた時点で何となくおかしいことに気付いてハッとして、近くのバス停で本を読みながら、1時間待ったという苦い経験があります。まあ、これは単なる自分の不注意であったのですが・・。

 時間の変化が健康と体調不良、そしてそれがもたらす交通事故などへの悪影響にもかかわらず、この主題はEUにとって優先事項ではありません。

 現在のフランスでは、この年2回の時間の変更が交通事故の増加や高齢者、子供の睡眠障害を引き起こし、この時間の変更から生じる時差ボケは、不安定な気分を引き起こし、人々の健康に重要な影響を及ぼしていることが問題視されており、特に冬時間への変更は、日照時間の減少と、気温が低下する時期に重なるため、健康管理はさらに複雑になり、ことにパンデミックを背景に、すでにうつ病や不安の症例が増加している現在では、問題は深刻です。

 欧州連合という連合ではありながら、違う国の集まる連合は、やはり一つの国でのような決定事項のように簡単には行かず、とりあえず、この時間変更の問題では連合できていないのです。

 1時間とはいえ、同じ国内で1年に2度の時差ボケを引き起こすこのサマータイムの制度、もういいかげんやめてくれないかな・・とず〜っと思っています。


サマータイム サマータイム廃止


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2021年10月30日土曜日

医療介護者・看護士不足のための病床閉鎖の増加

   


 科学技術評議会によれば、現在、フランスの公立病院の病床は医療介護者・看護士の不足から、その20%あまりが閉鎖状態に追い込まれていると言われ、このことに対する早急な対応が求められています。

 これは、もちろん今回のパンデミックにより極端に労働条件が悪化したことが引き金を引いてはいますが、そもそもこの問題はコロナ以前からの長期にわたる問題であったことが問題を根深くしています。

 そもそも、医療介護士・看護士の仕事は、「きつい」「汚い」「危険」の3Kと言われる職業でもあり、敬遠されがちな上に、フランスの医療介護士(看護士)の給与は他のヨーロッパ諸国と比較してもかなり低水準。

   

EU・OECD加盟国の看護士給与比較

 その上、介護士・看護士という仕事は、30年後もキャリアアップが望みにくい職業であることも将来を見据えた時に、理想と現実とはかけ離れていき、厳しい労働環境下での精神的、肉体的なストレス、疲労が蓄積されていくと、離職、転職に繋がっていってしまうことが少なくないのです。

 2020年10月の時点で全国看護士団は、看護士の10人に4人が、5年後、この職業に止まっているかどうかわからないと述べたことを明らかにしています。実際に今年に入ってからは、1,300人の看護師の辞職が確認されています。

 それに加えて、介護士・看護師を目指す学生の中途退学もこのパンデミック下に急増し、フランスが医療崩壊を起こした時点で看護学生が大量に動員されたことから、実際の職務につく以前に、あまりに厳しい病院の現場を目の当たりにしてトラウマ化してしまったことも大きく影響していると言われています。

 パンデミック以前からすでに人員不足だった医療現場において、大きな志を持って看護の勉強をしていた学生にとって、最初の現場があまりにショッキングなものであったことは間違いありません。

 人を救いたいという高い志を持ち、社会に不可欠な大切な仕事をしている、しようとしている人々が安い賃金と劣悪な労働環境で耐えられなくなり、報われない状態が長く続いていれば、バーンアウトしていくのも当然です。

 昨年の今頃は、感染者が急増して、再度、夜間外出制限や外出距離の制限のロックダウンが行われていた時期です。

 あの頃に比べれば、感染状況はかなり改善してはいるものの、それでも辞職する人が後を経たないのは、問題がパンデミックだけに起因しているわけではないということです。

 フランスでは、医者を志して医学部に進学したものの、医学部途中で医者になることを断念した人が看護士になっているケースも少なくないため、看護師になって、実際の現場での仕事に臨んで余計に焦燥感を感じてしまうという事態にも陥りがちになります。ツイッターなどのSNSでも看護士が辞職を告げているメッセージが広く伝えられています。

 転職ということがあまりマイナスにとらわれていないこともこの状態をさらに悪化させています。

 この医療介護者・看護士不足への中期的な解決策として、「とにかく学生の数を増やすこと、より多くのトレーニングを行う必要がある」と語っている人もいますが、仕事同様にプライベートを大事にする人々が、この現在の介護者や看護師が耐えきれずに辞職していく現状を踏まえて、そのような職業に着くための学校を選択するとは考えづらく、学生の数を増やすためには、現場の労働環境・待遇の改善が先なのではないかと思います。

 昨年から比べると改善しているコロナの感染状況ではありますが、ここ1週間ほどで、コロナウィルスによる入院患者は14%ほど上昇しています。

 マルセイユの病院では、市内にある2,700床の病床のうち、16%の448床が閉鎖されており、感染が再び増加し始めている現在から冬にかけて、どうやって過ごすのかわからない、絶望の危機に瀕していると語っています。

 コロナウィルスのピーク時には、集中治療室の占拠率が〇〇%などということがしきりに報道されていましたが、現在では閉鎖されている病床が〇〇%などと言われるようになり、また、別の意味での不安材料が生じてきました。

 労働者の権利の主張が激しいフランスで、なぜ、このセクターはいつまでも改善されないのか?

 医療現場という社会にとって、必要不可欠な場所で、一生懸命働いている人々が報われない・・そんな状況は改善してもらわなければ困ります。


医療介護者・看護士不足 病床閉鎖


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