8月18日の午後10時半頃、マルセイユのサンバルテルミー地区にあるルイヴィルクローゼ大通り付近で、武装した二人の男の発砲したカラシニコフによって、14歳の少年が銃殺され、一緒にいた8歳の少年も負傷という衝撃的なニュースに、マルセイユだけでなく、フランス中が驚愕しています。
この近辺は麻薬取引ポイントの一つであり、麻薬・ドラッグの密売組織の武装化が問題となっている中で起こった悲劇的な事件でした。
さらにショッキングだったのは、マルセイユ市長が、この事件に関して発表した声明が、「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる。この現実はなんとしても止めなけらばならない」というものだったことでした。
「パン・オ・ショコラを買うように・・」という表現は、いかにもフランスらしい言い方ではありますが、それだけ、どこでも、誰でも、容易に買うことができるということです。
この事件では、バイクに二人乗りした男のうち、後部座席に座っていた方の人がまるでシューティングゲームのように発砲して走り去っており、検察によると、彼らは麻薬の密売場所がある街の入り口の前にある展望台を標的にしたものと見られています。
この麻薬密売に関して、警察が手付かずに放置していたからではなく、むしろ、麻薬密売場場所(組織)の解体を進めていたからこそ起こった悲劇でもあり、麻薬取引ポイントを奪回する意味を込めての彼らの領土争いの一部であり、武力攻撃の理由の一つであったと考えられています。
本人が死亡しているため、真相は不明ですが、被害者の少年には、逮捕歴はなく、麻薬売買のためにその場に居合わせたわけではないと思われていますが、「14歳の少年が、夜の10時半になぜ?そのような場所にいたのか?彼は麻薬に関わっていたのではないか?」などとの報道も広がっており、彼の親族が、「いい加減な報道をして、被害者をさらに貶めるようなことは許せない! 彼はちゃんとした家庭に育った勤勉な少年で、35℃もある夏の夜、バカンス期間中でもあり、外にサンドイッチを食べに出ただけ!麻薬などには決して関わってはいなかった!」と涙ながらに訴えていました。
彼女の話が本当だとしても、危険な地域だと知りながら、14歳の子供を夜の10時半にサンドイッチを食べに外出させるのもどうかとも思いますが、被害者の少年については、詳しいことはわかっていません。
この事件が起こったのは、比較的貧しい地域ではあったものの、これだけ麻薬密売・武器密売が浸透、拡大する背景には、麻薬の消費者には、多くのブルジョワ階層が含まれていることも事実であり、社会的により高い階級の人々がこのトラフィックをサポートしているという現実があるためでもあります。
つまり、消費者がいなければ、商売は成り立たず、これだけ麻薬密売組織が勢力を広げ、武器密売組織までに発展するには、それだけの消費者がいるということです。フランスがヨーロッパ最大の麻薬消費国と言われるのも頷けます。
この事件の2日後には、同じマルセイユのショッピングセンター近くのパーキング付近で再び銃撃事件が起こり、少なくとも二人が負傷し、そのうちの一人は腹部を撃たれる重症という事件が再び起こっています。
銃撃事件の直後、コマーシャルセンター内にいた顧客は、しばらくコマーシャルセンター内にロックダウン状態になりました。
同地域で、3日間に2件の銃撃事件が起こるとは、まさに「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる」証のような気がしてしまいます。(ちなみに価格は1,500ユーロから2,000ユーロ(20万円〜26万円程度)だそうです。
麻薬・ドラッグの密売組織の武装化から広がった武器密売の問題は、地域の住民を脅かす規模にまで発展しつつあります。
内務大臣は、即刻、この卑劣な行為を非難し、これらの事実は、麻薬密売と武器密売はフランス国家が対応すべき最優先事項であると発表しています。
昨年の3月に最初にロックダウンになった時に、マクロン大統領は、「私たちは、戦争状態にある」と演説を始めましたが、このパンデミックによる戦争状態が終息していない中、今度は、ウィルスではなく、麻薬がらみの本物の武器が使われる戦争が始まっています。
マルセイユ14歳銃殺 カラシニコフ
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