2021年4月25日日曜日

思いがけずに娘もワクチン接種を受けることができました!

          

娘がワクチン接種をした病院内の様子


 私が思いがけず、新型コロナウィルスのワクチン接種の予約をしたのは、今年の2月26日のことでした。たまたま、いつも飲んでいる薬の処方箋をもらいに近所のかかりつけの医者に行った際に、「ワクチンの申し込みをしますか?」と言われて、(その時は、まさか私にワクチン接種を受ける権利があるとは思っていなかったので・・)「えっ??いいの?」と言いながらも、「あなたは、心臓疾患があるから申し込みできるわよ!」と言われて、「ラッキー!」と、すぐにその翌日に軽い問診を受けて、申し込みをしたのでした。

 申し込みをしてから、おそらく、セキュリテソーシャル(国民健康保険)からの承諾が降りるのに1ヶ月くらいは時間がかかるから(現在はそんなに時間はかからない)、3月半ば以降にまた連絡してみてと言われて、その頃に一度、連絡してみましたが、肝心のワクチンが届かないとのこと。

 それでも私が1回目のワクチン接種をしたのは、4月2日のことでした。

 そして、娘が4月に入ってから、パリ市内の病院に併設された研究所でスタージュ(インターンシップ)に通いはじめ、リモートワークかと思いきや、毎日、通勤とのこと。しかし、病院関係の施設での仕事ということで、病棟とは関係ない研究所内の事務所での仕事ではあるのですが、ワクチン接種の権利をもらえたのです。

 娘は、まだ20代前半で、コロナウィルスにかかった場合にリスクが高いとされる何の既往疾患もなく、本来ならば、ワクチン接種は、一番後回しになる世代です。それが、思わぬチャンスに恵まれたのです。

 「リモートワークのこと、ワクチンのこと、マスク配布についてなどなど、ちゃんと聞いてきなさいよ!」と言って、彼女を仕事に送り出した仕事開始初日が4月6日。

 どうやら、仕事はリモートワークではなく、毎日、通勤しなければならない代わりに、ワクチン接種が受けられることになったといって娘は帰ってきました。

 ワクチン接種は、彼女が働いている病院では行ってはおらず、別の病院に接種に行かなければならないとのことでしたが、娘も思いがけずにワクチン接種を受けられることになったのです。

 すでに職場の周囲の人は、全員、ワクチン接種済みで、彼女は、それから数回、予約を入れるために仕事の合間をぬって、電話をしていましたが、電話がなかなか繋がらなかったり、繋がっても、ワクチンがないと言われたり・・予約が取れたのは、電話を始めて一週間後のことでした。

 そして、先週末に彼女は、1回目のワクチン接種をしてきたのです。

 彼女が受けたのは、彼女の年齢(アストラゼネカは、若年者には、現在のところリスクがあるということで避けられています)から、ファイザー社のワクチンでした。

 病院の中のワクチン接種のスペースは、完全予約制ということで、全てスムーズに流れができていて、病院到着後、数分後に2分ほどの問診の後、ワクチン接種の部屋に入るとワクチン接種までにかかった時間は、1分以内、あっという間にワクチン接種は終わり、「15分ほど待合室で様子を見て、その後はすぐに帰って結構です」とのことで、帰りに用意されたワクチンの証明書をもらって、その場で、2回目の接種の予約を取ることができました。

 なんと、ファイザー社のワクチンは、1回目と2回目の接種の期間が短いということで、彼女の2回目のワクチン接種は、5月末になりました。20日以上前にワクチンを受けた私の2回目のワクチン接種は、6月4日以降となっていて、結果的には、彼女の方が2回目のワクチン接種が早く済んでしまうことになりました。

 しかし、どちらにしても、少しでも感染のリスクが減ったことは、現在のフランスの状況にいる限り、大変、ありがたいことです。

 当日、午前中にワクチン接種を受けた娘は、夜になって、「腕が痛くなってきた・・腕が上がらない・・」などと、痛み止めを飲んでいましたが、それも翌日には、痛みも薄れはじめ、「もう大丈夫!」と言っています。

 パンデミックの影響で、日本への留学が2度もキャンセルになり、結局、日本へは行けなくなってしまった娘ですが、スタージュ先を変えたことで、思わぬ早めのワクチン接種を受けられることができ、不幸中の幸いでした。


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2021年4月24日土曜日

パリ近郊・平和で静かな街 ランブイエの警察を襲ったテロ事件 大胆にも警察に乗り込む手口


Des policiers sécurisent le périmètre après l'attaque au couteau qui a coûté la vie à une fonctionnaire de police, le 23 avril 2021, à Rambouillet (Yvelines). (BERTRAND GUAY / AFP)


 パリ近郊(イル・ド・フランス イヴリーヌ県)の平和で静かな街 ランブイエの警察署で23日の午後2時20分頃、ナイフを持った男が警察署の入り口付近で、警察署勤務の女性の喉をナイフで掻き切るという衝撃的な事件が起こりました。

 犯人は、36歳のチュニジア国籍の男で、2009年に不法に入国して以来、不安定な状態でフランスに滞在し続けていましたが、2019年に例外的な従業員居住許可、2020年12月に居住許可が発給され、2021年末までの滞在許可証を持っていたという、警察筋からはノーマークの男で、昼休みから戻った被害者女性の喉元をナイフで2度刺して殺害、犯行時にこの男が「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたという周囲の証言から、検察は、この犯行をイスラム教関連テロ攻撃と判断して、捜査を開始しています。

 被害者の49歳の女性は、警察署勤務でありながら、警察官ではなく、内務省の行政官であったため、制服も着用しておらず、攻撃を受けた時に彼女自身は、何の武器も持っていない状態でした。

 彼女はランブイエ警察署で28年間、働いていた13歳と18歳の子供を持つ母親で、刺されてすぐに心肺停止状態に陥り、駆けつけた救急隊員の必死の蘇生術も虚しく、その場で息を引き取りました。

 犯人は、すぐに周囲にいた警察官に撃たれて死亡しています。

 警察署で起こった事件だけに、警察の対応も迅速で、その数時間後には、犯人の自宅が家宅捜索され、側近の人物3人が警察に拘留されました。

 迅速な対応は、警察だけにとどまらず、すぐにカステックス首相、ジェラルド・ダルマナン内務相が現場に駆けつけ、「この惨劇の犠牲者の遺族や同僚に対する追悼の意と、テロには、決して屈しない」というコメントを発表しています。

 犯人は、すでに射殺されていますが、2015年12月からのランブイエの住民で、周囲の目撃者から、彼は警察署付近で一定時間、待機して、被害者となった女性が車を降りてきたところで、狙いを定めて被害者を襲撃したと言われています。

 とはいえ、彼が個人的な恨みでこのような犯行に及んだとは考え難く、ある程度、攻撃しやすい相手に狙いを定めて、公権力を保持している人に対するテロと見られています。

 彼の自宅の捜索とともに、彼がランブイエに転居する前に居住していたヴァル・ド・マルヌ地域の、彼が頻繁に出入りしていた家も家宅捜索を受けています。

 この衝撃的なテロに対する悲しみと怒りが静かで平和だったはずの街を震撼とさせています。イスラム教徒によるテロに共通する刃物で首をかき切る、顔を傷つけるという犯行も残忍で衝撃的です。

 このようなテロでやるせないのは、国家に対する怒りが、居合わせた個人の命を奪うことで、健康で善良な一市民が、朝、いつもどおりに出勤したまま、もう二度と帰ってこない人になってしまうことです。

 今なら、家を出る時には、感染に気をつけて、彼女もマスクをつけて、出かけたはずです。

 私は、イスラム教徒のテロの意味を全く理解できませんが、そんなにフランス国家に恨みを持ちつつ、なぜ、外国からわざわざフランスに移住してきて生活しようとするのか? 宗教というものが恐ろしく感じられます。

 信仰を持つ、信じるもの(神)があるということ、信じることができるということは、無宗教の私にとっては、心の平安をもたらすものであって羨ましいと思うこともあるのですが、心の平安どころか、宗教がゆえに国家に対して恨みを抱き、人の命を奪ってしまうような行為にまで至ってしまうということには、救いがありません。

 今回も、犯人は、その場で射殺されてしまいましたが、その場で早急に、さらなる犠牲者を出さないためにという意は理解できますが、この犯行の背景にあるものの追求のために、なんとか、犯人を殺さずに話をさせ、事件の奥底にあるものを追求する機会を無くしてしまうことは残念でなりません。

 そして、この種のイスラム教徒によるテロが起こるたびに、善良なイスラム教徒(私の周りにもいます)がどれだけ心を痛めているかということも同時に思うのです。

 コロナウィルスの感染悪化で、テロもなりを潜めていた感があったフランスですが、学校再開、段階的なロックダウン解除の発表の翌日に、さっそく、このような惨劇が起こってしまうのですから、どちらにしても、フランスに穏やかな日が戻ってくるには、まだまだ長い道のりが待ち構えているようです。


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2021年4月23日金曜日

フランスは徐々にロックダウンを解除 来週から小学校再開 あまり感染減少してないのに・・

   


 3回目のロックダウンで開始された学校閉鎖が発表された時点での一応の期限を迎えようとしていることから、フランスでは、次のステップへの移行について、カステックス首相が、オリヴィエ・ヴェラン保健相、教育相、内務相を伴って会見を行いました。

 ここのところ、ごくごく僅かではありますが、フランスの感染状況は、若干、減少しているかもしれないといった状況です。しかし、昨年11月の2度目のロックダウンの時のような顕著な減少傾向は見られず、未だに1日の新規感染者数は、3万人超えの状態で、集中治療室の患者数は、6,000人に迫る勢いです。

 にも関わらず、カステックス首相は、「おそらくピークは過ぎた」と発表し、本来ならば、到底、規制を緩める段階には、達していないところですが、当初の予定どおり、来週から小学校は学校を再開する決定を下しました。

 もとより、社会的、教育的、心理的な見地からも、学校閉鎖は、できる限り避けたい方針のフランス政府は、学校の再開は、さらなる衛生管理を強化して、まず小学校以下の小さい子供から開始されます。

 翌週には、中学校、高校が生徒の半分ずつを一週間おきにオンライン授業と登校を交互に交代する形で再開されます。

 学校再開に際しては、オートテスト(簡易テスト)を一週間に40万回、5月中旬には、60万回まで拡大して使用することで早い時点での感染拡大防止策をとり、学校閉鎖前に取られていた体制(クラスに一人でも感染者がいたら、学級閉鎖、クラス全員7日間の隔離)に戻ります。

 5月3日からは、10㎞以上の外出制限も撤廃される予定です。

 大した感染減少が見られないままに、規制を緩和していくのは、誰もが経済的にも心理的にも、もう厳しい状況が耐えられない状況であるとともに、ワクチン接種の拡大の見込みが含まれています。

 5月中旬には、国民が待ち望んでいるレストラン(テラス席のみ)の再開を行う予定であるとしたものの、レストランは、感染のリスクが高いこともあり、慎重に時期は見極めて地域的(地域によって感染状況には、かなりバラつきがあります)、段階的に行うという発表のみで、具体的な日付は発表されませんでした。

 どちらにしてもパリ(イル・ド・フランス)は、フランス国内でも最悪の状況で、レストランの再開は、おそらく他の地域に比べて、遅くなるに違いありません。

 テラス席のみのオープンは、フランス人にとっては、全く問題のないことで、もともとレストランの室内よりもテラス席が好きな人々、昨年の1回目のロックダウン解除後のように、道路を拡張してのテラス席が用意されて、大勢の人で賑わうことでしょう。

 1年以上にわたる、このパンデミックで確認されたことは、フランス人には、どんな規制も規則もあってなきの如く、ワクチン接種の拡大以外は、フランスが救われる道はないということです。

 他のヨーロッパの国よりもなかなか進んではいないとはいえ、それでもフランスなりに頑張ってワクチン接種を進めている状態で、高齢者施設の住人に関しては、90%以上がワクチン接種が済み、それに続く高齢者にも急ピッチでワクチン接種が進んでいます。

 しかし、5月半ばか、6月にレストランやカフェが再開されたとしても、そこに押し寄せる大半は、まだワクチン接種を受けることができていない若年層です。

 ワクチン接種が済んでいる高齢者の感染が劇的に減少していることから、ワクチンの有効性は、明らかですが、ロックダウンが解除されて一番、動き回る世代には、ロックダウン解除のタイミングにワクチン接種はまだ、回って来ていないところが非常に心配されるところです。

 若年層は、重症化しないという当初の見解も、最近のイギリスを始めとする変異種には、該当せずに、現在、集中治療室にいる患者は、どんどん低年齢化しているのが実態です。

 とはいえ、この段階でロックダウンの規制を緩和し始めるということは、もう政府は国民をコントロールすることは不可能、なんとか、これ以上、医療崩壊状態が悪化しなければ、あとは、ワクチン接種に力を入れる以外には、手段がないというところが、正直なところだと思います。

 しかし、ゆるゆるとはいえ、現在のロックダウンの段階よりも、ロックダウンが解除され、学校が再開し、レストランのテラスがオープンした時に、再び、さらに大きな危険が待っているような気がしてなりません。

 現在、フランス国内に蔓延しているウィルスの大部分はもはや、そのほとんどがイギリス変異種に切り替わっており、イギリス変異種は、当初からの予想どおり、その感染力のスピードや重症化、長期化の威力が以前のウィルスとは比べものにないほど強力なことは、今回のロックダウンで、感染が以前のようにはすぐには、減少していかないことからも明らかです。

 しかし、ワクチンがある以上、ひたすら、ワクチン接種の拡大を待っていれば、お先真っ暗という状態ではありません。まだもう少し時間はかかるとは思いますが、ワクチンさえ拡大していけば、学校だって、レストランだって、感染の心配をしないで、行けるようになるのです。

 マクロン大統領は、今回の会見には登場せずに、ひたすら、「ワクチン!ワクチン!ワクチン!」とツイッターでも叫び続けていますが、現在の状況を見る限り、ワクチン接種の1日も早い拡大が鍵となっているのが、現実です。

 ワクチン接種が進むまでの間をなんとか乗り切れることを祈ってやみません。  


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2021年4月22日木曜日

フランスのスーパーマーケットからレシートが消える

 


 フランスのスーパーマーケットのエコ化が進んでいます。フランス大手スーパーマーケットチェーン・カーフールは、環境問題への取り組みとして、2年以内に同社、スーパーマーケットの買い物の際の印刷されたレシートを自動的に提供することを廃止することを発表しました。

 環境問題に関しては、スーパーマーケットでは、このところ、プラスチックの袋が廃止されたり、賞味期限の迫った商品を廃棄しないように、色違いのラベルをつけて大幅に値下げして売り切るとか、なかなかアクセルがかかっています。

 フランスでは、年間300億枚のレシートが印刷されています。これは、250万本の木が伐採されたことを表していると言います。

 顧客のレシートの長さは一回の買い物で、平均して約20cm、毎週一回買い物をするとして、一人当たり年間、10mの紙を使用しています。

 現在、自動的に渡されているレシートは、すぐに捨てられ、保管している人は稀であることから、レシートは、2年以内にデジタル化され、印刷しない形でのレシートを受け取ることになります。

 新しい形のレシートを表示するためには、アカウントを作成し、ポイントカードを持って、店舗の顧客ファイルに登録することが求められます。これにより得られたデータは、消費者個々にに特化した情報やささやかな贈り物をしたり、的を絞ったプロモーションを行ったりするために使用されます。

 すでに「システムU」というスーパーマーケットチェーンのパイロットストアでは、このレシートなしのシステムを導入しています。

 たしかに、フランスの銀行には、通帳が無いように、必要ないと言えば、レシートは必要のないものかもしれません。

 これは環境問題を考える上で小さな積み重ねの無駄を排除する意味では良いことではありますが、なんといっても、フランスのスーパーマーケットのレジは、間違い・ミスが多く、品物の数や金額が表示価格と違っていたりする場合が多く、不安も残ります。

 フランスでは、「とりあえず、信用しない」ことを信条としている私は、余程、買い物が多い時を除いては、全てセルフレジを使用しています。

 その場で、画面上で自分でしっかり確認ができるからです。

 それでさえ、間違いは非常に多く、プロモーションの商品だったりして、画面上で値段が間違っている場合などは、お店の人に言っても、最後の段階で割引されて計算されるからなどと言われ、確かに、最後の合計の段階で割引されていることもあるのですが、そうではない場合も多く、その際は、一度、支払ってから、受付にレシートと商品を持って返金してもらわなければなりません。

 そんな、みみっちいこともバカらしいとも思い、実際、時間がないときは、もういいや・・となるのですが、安くなっているから買おうと思ったのに、なんだか騙された嫌な気分になるのです。

 そして、また、返金は、慣れているせいもあるのか、やけに潔く、あっさり、返金してくれるのですが、その間、謝罪の言葉は、一言だってありません。日本だったら、ありえないことだと思いますが、もうそんなもんだと思っているので、腹を立てる気にもなりません。

 今のレジは、商品の値段を数字で打つわけではなく、全てバーコードで読み込むので、バーコードの商品の価格の設定の時点でのミスなのでしょうが、実際にシステム自体は、悪くないのに、現場でそれを使う人のレベルが追いつかないのがフランスらしいところです。

 今回のレシート排除のシステムも実際、悪くないアイディアとは、思うのですが、実際のところは、結局は、それを完全に使いこなすようになるまでには、時間がかかるであろうとともに、現場の人がレシートなしでも信頼に耐えうる仕事をしてくれなければなりません。

 こんなところにもフランスの格差社会?の一端が見えるような気もします。すごく優秀な人がいる一方で、新しいシステムを作っても、現場がそのレベルに見合わず、思うように回らない。せっかくの優れたテクノロジーが開発されても、それが、実際にはその力を発揮できないのです。

 TGVがいくら早く走れるように作られていても、常に時間遅れ、トラブルに見舞われて、あまりその速さが実感できないのと一緒です。

 いずれにしても、実際は、レシートなしになった場合は、その場で、自分の携帯で、チェックすることになるのでしょうが、ますます携帯なしには、生きていけなくなる時代になることも、同時にまた再確認させられたニュースでした。


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2021年4月21日水曜日

パンの国フランス・パリで大成功した日本のパン屋さん・ブーランジェリー AKI(アキ) Boulangerie AKI

 


 フランスは、言わずと知れたパンの国。「パン」という言葉の語源は、ポルトガル語という説が有名なようですが、パンは、フランス語でも「パン(pain)」です。

 フランス人にとって、パンは主食であり、その中でも一番、ポピュラーなのは、バゲットと呼ばれる、日本で言うフランスパンです。

 以前、私がイギリスに留学していた時に、友人から、「イギリス人は、毎日イギリスパンを食べているの?」(もう20年以上前のことです)と言う手紙をもらって、苦笑したことがありましたが、イギリスには、イギリスパンはないし、フランスには、バゲットはあっても、フランスパンという言葉はありません。

 フランスでは、圧倒的にバゲットが身近な存在で、レストランに行けば、パンは、たいてい水のように出されるもので、追加を頼めば、いくらでも出てきます。(とはいえ、そんなに追加を頼んでいる人もあまり、見かけませんが・・)

 とにかくパンが大好きで、以前、主人の友人で、「日本食レストランはあまり好きじゃないんだ・・」という人がいて、「どうして?」と聞いたら、「日本食レストランでは、パンが出てこないから・・」と言われて、苦笑してしまいました。

 そのパン好きの彼は、ピザを食べても、パンを食べるというパン好きで有名な人でした。

 フランスでのパンは、いわゆるバゲットやパン・ド・カンパーニュと呼ばれるハード系のパンがフランスでは「パン」と呼ばれるカテゴリーで、クロワッサンやパン・オ・ショコラやショッソン・オ・ポム(甘く煮たりんごがパイ生地に包まれて焼かれたもの)などは、ヴィエノワズリーと言って、別に分類されます。

 とはいえ、どちらもブーランジェリーと呼ばれるパン屋さんで売っているのですが、どこのブーランジェリーも同じようなラインナップで、慣れてくるうちに、もう少しバラエティがあっても・・などとも思ったりもするものです。

 そんな中、あのパン屋さんができて、もう10年近く経ったでしょうか? 

 最初、ラーメン屋さんや日本食レストランが多いオペラ座界隈のサンタンヌ通りに日本のパン屋さんができると聞いた時には、「へぇ〜〜?」と思ったものでした。

 今では、大成功をおさめた「ブーランジェリーAKI」ができる前のお店は、フランス人経営のちょっと寂れた感じのカフェだったか、パン屋さんだったか?今では、どんなお店だったのかがあまり記憶もないくらいに影の薄い存在の店舗でした。

 日本人が多い界隈でもあり、日本のパン、いわゆる日本の食パンやカレーパン、メロンパン、あんぱんなどのいわゆる菓子パン、惣菜パンなどなど、日本ならどこでもあるけど、実はフランスにはないパンを売るパン屋さんは、大成功をおさめています。

 1号店は、狭い店内にたくさんの売り子さんがカウンターに立ち、次から次へとお客さんの注文を捌いていく様子は、日本のような手際の良さです。

 パンに加えて、フランスには、ありそうでない日本でいうところのショートケーキやロールケーキ、また抹茶を使ったケーキなども置いています。



    ごまメロンパンに抹茶クリーム&生クリームメロンパン、さくらメロンパン


 そのうち、このお店は、おにぎりや日本のお弁当までを扱うようになり、みるみる大繁盛店に成長しました。



 日本円に換算すると明太子のおにぎり1個3.8ユーロ(約500円)とぶっ飛びだが、外食の高いパリでは、これでも充分、売れるのです 


 中でも、我が家で気に入っているのは、いわゆる日本の食パン(Pain de Mie Japonais)で、パンの暑さも6枚切、8枚切、サンドイッチ用と細かい配慮。

 フランスにもパン・ドゥ・ミ(Pain de Mie)と呼ばれる食パンに近いものはあるのですが、きめの細かさやふわふわして、トーストにした時のサクッとした感じがやっぱり違い、買い置きできる時には、まとめて買って、冷凍庫に保存してあるほどです。

 使っている小麦粉が違うのか? 単なる慣れなのかはわかりませんが、うちの娘は、日本に行って、美味しいと言われているパン屋さんの食パンを食べても、「AKIのパンの方が美味しい」などと言います。

 たしかに物珍しいだけで、これほど人気になるはずもなく、ちゃんと美味しいのです。しかし、お店の人気上昇とともにお値段も上昇中です。

 しかし、多分に保守的で、パンの王道を行くフランスで、この日本のパン屋さんがどの程度、ウケるのか?と思いきや、みるみるうちにAKIは大人気店に成長し、昼時などは、長蛇の列、土曜日などに行くと、もう食パンは売り切れで買えないと言う人気ぶりです。

 この食パンは意外にもフランス人の中でも人気になり、この日本の食パンを置く店がマレ地区などにも急増しています。フランス人が日本の食パンを真似して作っているというのも、なかなか奇妙な現象です。

 先日、久しぶりにこの辺りに行く用事があり、それなら、AKIの食パンが買いたい!とサンタンヌ通りに立ち寄ったら、ビックリ!同じ通り沿いにAKIの店舗が増えたこと!AKIカフェ、レストランAKI、Mochi Mochi AKI(お餅を使った商品を扱っている)などなど、どれだけ、AKIなんだ??と思うほど・・残念ながら、現在は、カフェやレストランは営業できずにテイクアウトだけの営業でしたが、ロックダウンが明けて、いつもの日常に戻ったら、AKIは、さらに拡大していくことでしょう。

 しかし、また意外なことにこのAKIのオーナーさんは、日本人ではないという話で、AKIという名前の店舗だけでなく、近辺のラーメン屋さんなど多くの店舗を持つ大のやり手だそうです。  

焼きたてのバゲットとエシレバター たしかにこれも美味しい

 たしかにフランスのパンは美味しいし、一番、簡単に食べられて、一番美味しいフランスのファストフードは、バゲットにエシレバターなどを塗って(というより挟んで)食べるのが一番!と思ったりもするのですが、たまには、食べたい日本のパン・・そんな日本のパンが(しかもかなりクォリティも高い)食べられるようになったことは、嬉しいことに違いありません。


パリの日本のパン屋さん Aki


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2021年4月20日火曜日

現在の日本への入国時の厳しい隔離体制と東京オリンピック開催

     


  

 現在、外国から日本へ入国するためには、大変、厳しい規制が敷かれています。

 入国前72時間以内のコロナウィルス検査証明書の提示、入国時の再検査、3日間の政府指定の隔離施設での隔離、それに加えて、さらに11日間の自主隔離、(合計2週間の隔離状態)とその期間の徹底した健康チェックと入国者の追跡と、この隔離を含む衛生管理に従う旨の誓約書の提示が求められています。

 誓約書の最後には、「また、誓約に違反した場合、関係当局により氏名(外国人の場合は、氏名及び国籍)や感染拡大の防止に資する情報が公表され得るとともに、外国人の場合は、出入国管理及び難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得ることを理解し、承諾します。」と、非常に厳しい文言が記されています。

 つまり、日本到着後も2週間は、特別に警戒される状態に置かれ、公共交通機関を利用することもできず、日程的にも、本来の日本での予定プラス2週間の長期間の日程を割かなければないわけで、まあ、現在のところは、余程のことがない限り、日本へ行くということは、かなりハードルが高く躊躇われる状況です。

 しかし、世界的な現在のパンデミック、感染拡大の状況を考えれば、このような厳しい措置をきっちりと取っている日本は、やっぱり凄いな・・フランスも、日本のこの入国時の制限を少しは、参考にしてくれないか?と、私は思っています。

 地続きでいくつもの国境があり、日々、国境を越えて通勤している人までいるヨーロッパでは、入国管理も難しいのはわかりますが、せめて、空路からの入国だけでも、もう少し、どうにかならないものかと思うのです。

 しかし、この厳しい入国制限を続けている日本では、オリンピック開催の意向は、崩していないことに、どうにもチグハグな感じを受けるのです。

 オリンピック開催予定まで100日を切ったという現在、海外からの観客はシャットアウトするとのことではありますが、それでも実際にオリンピック開催となれば、各国からの選手団、マスコミだけでも、相当の人数が外国から日本に入国します。

 この全てのオリンピック関係者に現在のような入国後の隔離制限を行うことも大変なことだと思いますし、全ての外国人がこの隔離状態の規制に従順に従うとも思えず、もともと衛生観念が日本人と全く違うレベルの外国人が日本に入国することを考えると、オリンピック後の日本の状況がとても心配でなりません。

 海外からのオリンピック関係者からしたら、オリンピック開催期間をクリアすれば良いことかもしれませんが、これで、感染が蔓延した場合のオリンピック後の日本は、悲惨な状況に陥ります。

 ましてや、もう現在のところ、感染が終息させる頼みの綱は、ワクチンしかないような状況が世界中で見えてきているというのに、日本は、ワクチン接種があまり進んでいないようです。

 むしろ、現在、日本よりも危険な状況にいるアメリカやヨーロッパの方がワクチンに関しては、進んでいるくらいですが、(あまりの感染の酷さに必要に迫られていた)、それでさえも、充分なワクチン接種が浸透しているわけではなく、どの国も高齢者、医療従事者を優先にしており、むしろ、オリンピックに参加できるような、若くて健康な人に対してのワクチン接種は、一番後回しになるはずであり、オリンピック選手に優先してワクチン接種を行うとしてはいないのです。

 しかし、100歩譲って、オリンピック選手に関しては、人一倍、健康管理に気を使われている人々であるとは思いますが、周囲のマスコミなどは、ごくごく一般的な外国人です。

 ましてや日本のような衛生習慣のない人々が日本国内を往来するのですから、この人たちを管理しきれるのかは、大いに疑問です。

 少なくともフランス人は、罰則のない規則は、規則だと思っていないところがあります。

 そして、何より、外国人の衛生習慣を舐めてはいけません。コロナ前までは、ロクに手を洗う習慣もなく、地べたに平気で座り込み、一度使ったティッシュを再びポケットにしまいこんで、再び、そのティッシュを使うような人々なのです。

 現在、日本が日本人でさえ、一時帰国を躊躇うような厳しい制限を敷きつつも、一方では、オリンピックは開催するということは、まことにチグハグな印象です。

 そして、オリンピックは、ワクチン接種があまり進んでいない日本国民を危険な状況に追い込む可能性があるということです。

 どうしてもオリンピックを開催するのであれば、オリンピック開催期間に入国する外国人への規制をかなり厳しく、しかも具体的に示すことが必要なのではないかと思っています。


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2021年4月19日月曜日

母親による8歳の少女の誘拐事件


Le procureur de la République d'Epinal Nicolas Heitz tient un portrait de Mia, une fillette de 8 ans enlevée  dans les Vosges, lors d'une conférence de presse le 14 avril 2021 à Epinal
母親に誘拐された少女 どこか小さい頃の娘に似ているのでドッキリ・・

   


 13日(火)フランス北東部のヴォージュで8歳の少女が3人の男に連れ去られる誘拐事件が発生したというニュースがフランス中を駆け巡りました。また、恐ろしい事件が起こってしまった・・と思っていましたが、報道ではすぐに、誘拐された少女の写真とともに、彼女との単独での面会を禁止されているという母親の写真を併せて報道していましたので、恐らくこの誘拐は、その少女の母親であると見られていることは、わかっていました。

 数日後には、この誘拐を手伝ったとされる5人の男性がイル・ド・フランスで逮捕され、すぐに事件は解決するものと思われていましたが、事件発生後5日が経過して、ようやく、その母娘がスイスで見つかりました。

 少女は健康な状態で、保護され、母親は逮捕されました。

 この母親は、子供を学校に行かせないように仕向けるなどの問題を指摘され、ASE(児童福祉)から子供を養育する権利を剥奪され、子供は、祖母に育てられていました。この児童福祉の措置を不満に思っていた母親が子供を取り戻そうと、今回の誘拐を計画、実行したという、ちょっと単なる誘拐事件とは、異なる事件でした。

 この子供の誘拐計画は、母親(28歳)が仲介者を介して募集した5人の男性とともに綿密に練られたもので、このASE(児童福祉)に反抗、抗議するというある種の使命感によって、連帯して集まったグループで行われたもので、先にイル・ド・フランスで逮捕された男の一人は、「私は、これまでの人生で、一番良いことをしたと思っている。」などと話していたことがわかっています。

 この誘拐計画は、彼らの中で、軍事作戦のように「リマ作戦」と名付けられ、犯行には3,000ユーロの資金が用意され、車の手配から、犯行に必要なトランシーバーや携帯電話、変装に使うためのヘアピースなどの細かいものまでもが揃えられ、子供を誘拐して、スイスに逃亡させるシナリオが綿密に練られ、シナリオに沿った職務が分担されていました。

 13日、祖母の家にいた8歳の少女を連れ出した3人の男と、母親と少女を会わせて、スイスに逃亡させた男、国境を渡ったのは、母娘ともに徒歩で渡ったとされていますが、その後、スイスでの逃亡先の手配をする者、スイスのホテルまでの輸送など、誘拐に関わったのは、5人だけではないと見られています。

 この誘拐事件の計画はSNSによって招集されたグループではありますが、「サバイバリスト運動」と呼ばれる活動に賛同している人々で、子供の養育権をASE(児童福祉)から剥奪された母親を助けるという使命感に基づいているだけに、複雑な問題でもあります。

 一方では、これは、国家権力に対する一種のテロ行為であると言う人もいます。

 しかし、この誘拐事件の捜索には、200人以上の憲兵隊が動員された大事件に発展し、子供の母親が子供を取り戻して、そのまま娘と生活することが可能だと考えていたのかと思うと疑問が残ります。

 この母親が娘の養育権を剥奪された細かい事情や本当のところは不明なのですが、母親を失い、祖母に育てられ、そして、その母親により誘拐されるという体験は、8歳の子供を深く傷つけてしまったに違いありません。

 この少女の父親が、この母親について証言したりしているので、父親がいないというわけでもないにも関わらず、母親と引き離されたこの少女を育てているのが祖母であるということからも、まだ8年しか生きていない少女の境遇の複雑さが感じられます。

 以前、娘の学校の送り迎えの際に、娘の学校はとても厳しくて、迎えに行く人をあらかじめ、学校側に届け出をしなければならなくて、「たとえ、親であっても、送り迎えと指定された人でなければ、子供を渡すことはできない」と言われており、「親なのにダメなの?」と驚いたことがありました。

 フランスは、離婚して、夫婦が別居していることも多く、親権をめぐって、「送り迎えの際に子供を誘拐」なる事件も起こるため・・と説明されていて、今回のケースは、また別ではありますが、そんな話をこの事件を通じて、思い出したのでした。

 また、知り合いの日本人の男性が、(妻は、フランス人)妻の病気を理由にASE(児童福祉)から目をつけられて、子供を児童福祉機関に取りあげられそうになり、(彼自身は、育児も積極的に行う極めてまともな人)あまりに執拗な彼らの攻撃に、弁護士に相談し、挙句の果てに治外法権である日本へ子供を連れて逃げ帰ったという話を聞いたりしていたので、この絶体的な権力を持ったASEという機関が、必ずしも正当に機動している場合ばかりではない実例を身近にしてしまったために、懐疑的な気持ちも私の中にはあるのです。

 いずれにしても、この渦中にいる8歳の少女がどれだけ辛い想いをして、傷ついているかと思うと、やるせない思いになります。


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