2024年11月18日月曜日

冷凍食品メーカー PICARD(ピカール)顧客情報漏洩問題

  


 フランスの冷凍食品メーカー「Picard(ピカール)」がロイヤリティプログラムの会員である約45,000人分のデータが漏洩したことを発表しています。

 Picard(ピカール)といえば、私も顧客の一人・・「えっ??ウソ??」と焦りましたが、この件が公に発表される前段階で、2024年11月12日付で同社より、関係者宛に案内メールにより、「Picardが実施した技術的手段により、第三者によるあなたのPicardアカウントへの不正アクセスを検出しました」というメッセージが送付されているとのことで、私のところには、このメッセージは届いていないので、まあ、大丈夫かな?大丈夫だと信じたい・・と思っています。

 Picard(ピカール)は、私の食生活には欠かせない・・とまではいかなくても、結構、気に入っているお店なので、当然、会員カードのようなものも持っています。その他、フランスでは、いくつかのスーパーマーケットなどのお店のカードを持っていますが、その中でも、わりと頻繁に割引商品のお知らせなどのメールがよく入るお店でもあります。

 しかし、まあまあ、チェックすべき?割引情報などもあるためにブロックはしていませんが、こんなことがあると、ギョッとしてしまいます。

 同社は、「情報システムへの侵入は検出されていないが、姓、名、生年月日、住所、電話番号などの機密データが海賊版にアクセス可能になってしまったが、銀行データは侵害されていない」と説明しています。

 こんな状況であるからなのでしょうが、自分自身の銀行口座へのアクセスは、年々、厳しく、面倒くさくなっている印象で、正直、ここまでやる?と思うこともありますが、やはり、こんなことを聞くと、やっぱり必要なことなんだな・・と納得させられます。

 「Picard」と聞いて、なんとなく、今回は、反応したのですが、実はここのところ、フランスでは、この手のハッキングが続いているようで、 Free、SFR、Cultura、Darty、Boulanger、さらには労働省などへのハッキングの被害が続いているようです。

 「そもそも、盗られるものも、そんなにないしな・・」と思いつつ、そんなにないからこそ、なけなしの口座を襲われたら、それこそ大変なことです。

 便利になっているんだか? 不便になっているんだか? わからない気がしないでもありません。


PICARD(ピカール)顧客情報漏洩


<関連記事>

「PICARD(ピカール) のお世話になってます・私のピカールのおススメ商品」

「PICARD(ピカール)の日本食メニュー開発の努力と微妙なズレ」

「冷凍ピザ死亡事故に見るフランスの食品衛生管理」

「フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!」

「日本製品で海外で是非、売ってほしいもの・・日本の薬」


2024年11月17日日曜日

フランスの出生率は2023年に急激に減少したが、2024年には、さらに減少する

  


 INSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、これまでも減少し続けていたフランスの出生率は、2023年にさらに大幅に減少し、前年と比較して6.6%減少し、第二次世界大戦以来の70万人(1年に生まれる赤ちゃんの数)を下回り、67万7,800人にまで落ち込み、戦後もっとも新生児の数が少なくない記録的な数字を打ち立てています。

 これは、出生数が最後にピークに達した年である2010年よりも、ほぼ20%減少している数字で、女性1人あたりの子どもの数は1.68人になりました。

 また、この低下は2024年の出生率においても、止まらないようで、最低記録はさらに更新されるようです。

 しかし、フランスは、それでも欧州連合諸国の平均(女性1人あたりの出産数1.46人)よりは高い出生率なのですが、出生率の減少率(ー6.6%)は、欧州平均(ー5.5%)を上回っています。ということは、フランスの出生率は他の欧州諸国に比べて少子化のスピードが上昇しているということになります。

 これまで、フランスについては、3人の子どもを持つ家族が多いことが特徴であったと言われており、事実、娘のクラスメイトたちの家族には、圧倒的に3人きょうだいが多かったのです。これは、少子化対策の一遍として、政府が行っている税制優遇措置のためで、子どもを持つ・・しかも、3人目からは特に税制優遇のステップがグッと上がるというもので、これが功を奏していた結果です。

 しかし、現在では、3人目に至る前の段階の問題で、いくら3人目からが特に税制優遇措置が大きくなっても、だいたい一人あたりの出産が1.68人では、この優遇を受けるまえの段階なわけで、これでは、違う的に対してボールを投げ続けているようなもので、税制的には、別の対応策を考えなければならないのかもしれません。

 もう長く続いている出生率の減少から、そもそもの出産適齢年齢の女性が減少していることも大きな原因のひとつです。

 この急激な減少には、近年のインフレや将来への不安が起因しているだけでなく、この年齢層の女性(男性も)の「願望の変化」ということも指摘されており、物質的に豊かな生活を送ることや、父親や母親になる以外に自己実現が可能になったということも要因のひとつとして、挙げられています。

 ちなみに少子化といえば、モデルケースとしてしばしば挙げられる日本については、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数(合計特殊出生率)は、1.20人ということで、やはり、かなり先を行っているようです。

 しかし、これまで知らなかったのですが、日本のさらに先に行くのは、韓国で0.81人となっているようです。

 近年、フランスでは、少子化対策として、二十歳前後の女性への不妊検査の無料化などの不妊症対策に加えて、卵子自己保存キャンペーンなどまで行っていますが、肝心なところは、若者の将来への不安を軽減するというもっと基本的なことなのではないか?とも思っています。


フランスの出生率激減


<関連記事>

「父親の育児休暇28日間に延長 ヨーロッパの中でも最長レベル」

「不妊治療対応のための二十歳前後の女性への不妊検査の無料化と卵子自己保存キャンペーン」

「フランスの出生率低下にフランス人が提言する言葉 人生は美しい「la vie est belle」」

「離婚率も高いが再婚率も高いフランス 子育て期間も長くなる」

「恐怖の家 子供の児童手当を食い物にして子供に虐待を続けてきた親 逮捕」




2024年11月16日土曜日

クルッキー、ブルッキーの次はSOOKIE スッキー?

  


 最近、私はブーランジェリーが気になって仕方がありません。あそこのあれが美味しいとかいう情報が入れば、すっ飛んでいく今まで訪れたことがないブーランジェリー、また、他の用事でいつもはいかない地域に行けば、少なくとも、その通りにあるブーランジェリーは、いちいち覗いて見ないではいられない・・そんな感じです。

 そもそも、パリには、幸か不幸かさすがにブーランジェリーは山ほどあって、食料品を扱うお店が多い通り・・いわゆる商店街のような通りだと、少なくとも2~3軒のブーランジェリーはあるもので、こんなに近くに何軒もあって、両方とも成り立つのかと思いきや、それぞれに、やっぱり、オリジナル感を出していて、工夫しているので、そのどちらも、なかなか魅力的なラインナップになっていて、楽しいです。

 もちろん、あれこれ食べてみたいものは、それぞれにたくさんあるのですが、全て試していたら、爆太りして大変なことになるので、これぞ!と思うものしか買いませんが、見て歩くだけでも楽しいです。

 そして、家のごくごく近所ではなくても、定期的に行く場所の近くのブーランジェリーだったりしても、ちょっと見ない間に新しいものが出ていたりするので、ひと昔だったら、考えられなかったことだな・・と思いながら、チェックを欠かせません。

 ここのところのパリのクッキー人気にクッキー専門店やクルッキー(クロワッサンとクッキーの合体バージョン)やブルッキー(ブラウニーとクッキーの合体バージョン)発祥のお店に行ったりしつつ、ブーランジェリーでもクッキーやらクルッキーはかならず、「ここにもあるある・・」などと在籍確認?をしていたら、ついに、このあいだ、SOOKIE(スッキー?と呼ぶか?スーキーと呼ぶかはわからないけど・・)なるもので、pain swiss(パン・スイス)とクッキーの合体バージョンが誕生していました。

 この「pain swiss パン スイス」というもの自体、あんまり日本ではメジャーな存在ではないかもしれませんが、フランスのブーランジェリーなら、たいていあるヴィエノワズリーのひとつで長方形のパイ生地に薄くクリームとチョコチップが層になって挟まっているパンです。

 そもそも、もうすでにこのパン スイス自体、なにかの合体バージョンっぽい感じでけっこう甘いので、これに、さらにクッキーを合体させるのは、なかなかパンチのあるコンビネーションだな・・と思います。

 私は、これだけブーランジェリーを覗いて歩いていても、一応、糖質とか、カロリーなどは、気にして、すごく罪悪感と闘っているのですが、このクルッキーにしても、ブルッキーにしてもスッキーにしても、どう考えてもカロリー爆弾で、こういうものが流行るなんて、フランス人は、身体のこととか、カロリーとか、あんまり気にしないのかな?と、ちょっと不思議な気持ちになります。

 フレンチパラドックス(高カロリーの食品を摂取しているのに、先進国の中では肥満が少ない)という言葉もそのうち死語になって(すでに死語かもしれないけど・・)しまうかもしれません。

 ここ20年間でフランス人の肥満が急増しているという話もブーランジェリーだけ見ていても、うなずけるような気がします。なんていいつつ、ブーランジェリー巡りばっかりしているのですが・・。


SOOKIE スッキー ソッキー


<関連記事>

「フレンチパラドックス 先進国で意外と肥満の少ないフランス」

「20年間で急増しているフランス人の肥満 揺らぐフレンチパラドックス」

「最近、パリでやたらとクッキーが目につくようになった・・」

「クルッキー(クロワッサン+クッキー) の元祖 Maison Louvard メゾン・ルヴァール」

「超人気のセドリック グロレのクロワッサンを買うのは大変 Cédric Grolét Opéra」

2024年11月15日金曜日

パリの病院にマスクが戻ってきた! イル・ドフランス 病院内でのマスク再び義務化

  


 AP-HP(パリ公立病院連合)は、SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)と細気管支炎の流行拡大のため、イル・ド・フランス地域圏(パリ及びパリ近郊)の病院内でのマスク着用義務を発表しています。

 この措置は、患者のみならず、病院職員はもちろんのこと、救急隊員やボランティア、患者の同伴者、また、患者の見舞客にも適用されるということですが、6歳以下の子どもは除外されています。

 パリでは、ここ1週間ほどで急激に気温が下がり、より感染が拡大しやすいコンディションになっており、実際に感染者の数も上昇しているため、急遽、この措置がとられたと見られています。

 パンデミック前には、フランス人には忌み嫌われる存在であったマスクですが、さすがに、必要であれば、マスクをする・・マスクで感染を予防するというアクションが取られるようになったことをあらためて、「フランス人も変わったな・・」としみじみ思います。

 ただし、これを遵守するかどうかは、個人差もあり、かなり緩い感じでもあり、逆に、私がかかりつけにしているお医者さんでは、パンデミック以来、ずっとマスクは着用義務になったままで、待合室には、マスクが山積みにされています。

 一方、近所の私立病院などは、同じ病院でありながら、マスク着用義務の記載は、ある意味、潔いくらい全くなしで、当然、マスクをしていない人もたくさんいて、なんだか統制が取れていない感じがするし、やっぱりフランスでは、罰金なしの規則は、ないも同然だ・・とあらためて、思うのでした。

 しかし、朗報といえば、朗報は、感染は拡大しているものの、新型コロナウィルスに関して、死亡に至るケースは、かなり減少しているということで、これは、ワクチン接種キャンペーンと、ワクチンへのアクセスがしやすくなっている成果ではないかと思われます。

 そういう私も、先週、インフルエンザのワクチンをしたばかり、今週は、コロナウィルスのワクチン接種をしてきました。私は、どちらもかかりつけのお医者さんにしてもらったのですが、かなりワクチン接種を受ける人は多いとのこと。

 コロナウィルスのワクチン接種に関しては、今回は、これから、インフルエンザと同じように、毎年1回定期的にやっていく必要があるから・・と、なんだか記録用だとは思いますが、ポイントカードみたいなカードをくれて、薬品の名前と接種した日付を記入してくれて、来年、接種する時に、また、持ってきてね・・とのことでした。

 パンデミックの際は、日本と比べても、かなり爆発的な感染拡大をして、もう2人に1人どころか、ほぼ、感染していない人はいないんじゃないかと思うような時期もあったフランスで、幸か不幸か私は、まだ一度もコロナウィルスに感染したことがありません。もっとも、初期、感染しているのに、気が付かなくて、軽症で済んでいた可能性もないではありませんが・・。

 日本では、今でもみんなマスクをしているのでしょうか?


パリ公立病院マスク着用義務化


<関連記事>

「ワクチン接種の季節」

「花粉症は治ったと思っていたら、どうやらマスクのおかげだったらしい・・」

「FFPマスクの義務化の是非とフランス人の義務と補償と権利」

「フランスで生活していく術 トラブル満載の日常を生き抜くために・・」

「テーマパークで12000人動員のスペクタクル フランス人は規則があっても罰則なければ守らない」

2024年11月14日木曜日

SNCF(フランス国鉄)・RATP(パリ交通公団)・航空業界・農家 フランスを襲うストライキの波

  


 今年の秋は、これまでは、比較的、デモやストライキが少ない印象がありました。例年ならば、夏のバカンスが終わって、新年度(9月)の始まりとともにデモやストライキが始まり、やっとバカンスが終わって、ようやく仕事・・ではなく、さっそくストライキ??と思うことも少なくありません。

 なんなら、夏休み前に、9月のストライキを予告してから、バカンスに入るようなところもあるのに、今年はパリ・オリンピックがあったり、また、それを前後して解散・総選挙が行われた挙句にいつまでも首相が決まらずに、政府の体制がはっきりしなかったこともあるのかもしれません。

 ようやく政府の体制が整い、政府はさっそく来年の予算案を少しずつ発表していったので、自ずと、それに反発する動きが後にズレたのかもしれません。

 それにしても、ここ1週間ほどで発表されたストライキの予定は、SNCF(フランス国鉄)、RATP(パリ交通公団)、航空業界(全国路線操縦士組合(SNPL))に加えて、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業者組合による大規模デモと、広範囲にわたっての混乱が予想されます。

 それぞれに理由は別々で、SNCFに関しては、かなり大雑把な言い方をすれば、国鉄民営化の一端であるフレットSNCF(主に貨物輸送)の解体と分社化→民営化に反対するもので、これ(フレットSNCF)が欧州委員会による不法公的援助訴訟の対象になったことも影響していると見て、欧州委員会にも非難の目が向かっています。

 SNCFは、これらの措置の一時停止を求めて、11月21日、そして、12月11日からの無期限ストライキに突入すると発表しています。

 RATP(パリ交通公団)は、11月11日から13日まで、労働条件やメトロやバスの料金体制変更によるバスへの競争解放を非難することを目的としています。

 また、航空業界に関しては、フランス発着の航空便に対する連帯税を3倍にする政府案に反対して、全国路線操縦士組合(SNPL)・パイロットが11月14日のストライキを呼び掛けています。

 これは、赤字財政を埋めるために政府が提案している増税案で、政府はこれにより10億ユーロの追加収入を見込んでいます。

 そして、最後(ではないかもしれないが・・)に、この波に加わるのは、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業組合が11月15日または19日からの大規模な動員計画を発表しています。

 今年の初め、国際農業見本市を一つのターゲットにした農民たちによる高速道路封鎖などの抗議活動ですが、この結果、政府からは、改善案やいくつかの約束をとりつけたものの、事態は一向に好転しないうえに、気候変動による水害などの被害も甚大で、国からの保証付き融資の拡大や、EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定は、フランスの農業にとっては、マイナスであると反対の意を訴えています。

 いずれにしても、このストライキの予定を見れば、11月は、11日から15日まで連日、なかでも、農民の抗議行動は、11月15日あるいは19日にスタートするということで、1日2日で終わる話ではありません。これはブラジルで行われるG20サミットを一つの照準にしていると言われています。

 また、SNCFに至っては、12月11日からは無期限ストライキという強硬な態度・・これが長引けば、今度はノエル時期の大移動の時期に重なる危険性もあり、大混乱が予想されます。

 ここ数日、急激に冷え込んできたパリですが、年末にかけては、熱気が高まりそうな気配です。


ストライキ フランス


<関連記事>

「農民たちの怒りが巻き起こす波紋」

「農民たちの怒りにマクロン大統領が再び火をつけた」

「サロン・ド・アグリカルチャー(国際農業見本市)の開催初日は大混乱 歴史的見本市」

「フランス政府 航空券にかかる連帯税(TSBA)の大幅な引き上げ検討」

「2025年1月 イル・ド・フランス鉄道網 均一料金価格導入と価格変更」

 

 

2024年11月13日水曜日

クロノポストからの詐欺メール

  


 先日、クロノポストから、「荷物の配達のために確認作業が必用です」という内容のメールが送られてきて、一瞬、「えっ?誰か何か?送ってくれたの?」と一瞬、ニッコリしたものの、いやいや・・誰か何か送ってくれたら、必ず先に、「送ったよ~~!」と連絡くれるはず・・。

 そして、落ち着いて、その画面を見直すと、クロノポストのマークがついていて、クロノポストの配達車の写真が載っていたりするものの、添付されている書類?など、なにかと、画面には、「ここをクリックしてください!(確認されない荷物は配達できません・・)」とか、荷物ナンバーとして、14ケタの数字が並んでいて、その横に「追跡」となっていて、やたらとクリックを促すようになっています。

 これは、もしかしたら、ヤバいやつなのかも・・?と思って、そのメールのリンクをそのままコピーしてググってみたら、なんと・・というか、やっぱり詐欺・・「Arnaque」と出てきました。

 危ういところで、「セーフ!」となったわけですが、これはよくある、パスワード、個人データ、銀行口座情報、オンライン アカウントへのアクセスを狙った上、さらに進めば金銭の支払いを要求される詐欺です。

 これを見分けるには、そのリンクをそのままコピーしてGoogleなどで検索するのが簡単で、かなりの確率でその前にメールを同じ類のメールを受け取った人が発したアラートにひっかるので、すぐに「詐欺(Arnaque)」と出てきます。

 考えてみれば、これからノエル、年末年始にかけて、一番、プレゼントの小包が行き交うこの時期には、このような詐欺が増えるかもしれません。

 そうでなくとも、これまで、特にクロノポストでの荷物がこちらから送ったものにしても、受け取るはずであったものが、どれだけ届かなかったことか! この時期の配送は、そうでなくとも避けるのが賢明です。

 それが今では、実際にはありもしない荷物を装った詐欺メールまでくるようになり、全く、閉口してしまいます。

 もっとも、母が存命中は、しょっちゅう送ってくれた荷物も母が他界してからは、叔母がしばらく送ってくれていたりしたものの、最近は、送る際にも受け取る際にも配送料とは別に税金を取られるようになったため、この税金を語る詐欺まであるそうで、どちらにしても、荷物は紛失・盗難に遭う可能性のうえに、この税金がバカにならない金額で、だったら、日本に行ったときに買ってくるからいい・・ということになり、まったく国際便の荷物の配送からは縁がなくなりました。

 もうあらゆる段階で気を揉むのに疲れました。

 とはいえ、こんなメールが届いてみれば、「えっ?小包?」と一瞬、嬉しくなって、危うく詐欺にひっかかるところだったので、気をつけなければ・・と思います。

 今回はクロノポストを装ったメールでしたが、オンライン詐欺のトピックは定期的に変わりますが、多くの場合、操作は同じままです。つまり、虚偽の情報を受け取り、存在しない状況を修正するためにリンクをクリックするよう求められるという基本的なパターンは変わりません。

 ファストフードの特別割引料金オファーとか、スーパーマーケットで○○の商品があたりました!とか、そんなものもありました・・。

 とにかく、第三者の見知らぬメールにはクリックしない・・、怪しいと思ったら、リンクを検索・・これは、トラブルを避けるために心得ておくべきこどだと思います。


詐欺メール


<関連記事>

「罰金135ユーロを督促する詐欺メッセージ」

「日本からの小包受け取りに課税されるモヤモヤ・・」

「日本の母からの小包」

「便利な生活がもたらすもの フランスへの修行ツアーのススメ」

「高い配送料金を取りながら、ちゃんと品物が届かないフランスの配送事情」

2024年11月12日火曜日

ミシュランのフランス国内2つの工場閉鎖計画が呼ぶ波紋

  


 フランスの多国籍タイヤ製造企業「ミシュラン」は、トラックとバン用のタイヤ販売の業績不振のため、フランス国内にある2ヶ所の工場での操業を2026年の初めまでに段階的に停止し、閉鎖することを発表しました。

 閉鎖される2ヶ所の工場は、ショーレ(メーヌ・エ・ロワール)とヴァンヌ(モルビアン)にある主にドイツ向けのタイヤ拠点で、50年以上、この地域に根付いていた工場の従業員1,254人の雇用が失われることを意味しています。

 これに対して、同工場の労働組合は、一斉に決起し、これを残忍かつ一方的な決定であると大反発、この工場の閉鎖が発表されて以来、デモやストライキを継続しています。

 このミシュランの工場閉鎖とそれに伴うデモやストライキの報道に、2020年にブリヂストンがやはりフランス国内の工場を閉鎖した際に起こった騒動を思い出しました。

 タイヤ製造業界は、アジア製品に押され、業績が低下しており、2020年のブリヂストンのべチューン工場閉鎖の時点で、すでにミシュランは、ブリヂストンに世界シェアトップの座を奪われ、業績不振はブリヂストンよりも先行しており、2,000年初頭以来、フランスにおけるミシュランの工場閉鎖は、5件目、6件目になると言われています。

 私は、その時は、ブリヂストンという日本の企業であったために注目し、一企業が工場を閉鎖するのに、フランス政府の大臣クラスの面々までが登場し、これに反発する様子に驚いたのですが、今回も、似たような反発が展開されています。

 被雇用者からすれば、死活問題で、「20億ユーロ以上の利益を上げている会社がなぜ?工場を閉鎖するのか?」とか、バルニエ首相などは、これまでミシュランに対して政府が与えてきた公的資金や5,500万ユーロに相当する研究税額控除はどのように利用してきたのか?」などと攻め立てています。

 それに加えて、社会党まで出てきて、従業員支持の姿勢を表明し、工場閉鎖の一時停止を要求するという騒ぎになっています。

 アジア製品の拡大が叫ばれるなか、その実態は、中国製品といっても、中国製のミシュランのタイヤになっている!これは、不正な資本主義だ!と指摘する人もいます。

 しかし、資本主義社会で利益を求める企業にとって利益率を上げることは、当然のこと。構造的な問題があるとされるこれらの工場に対する対応をとっていくのは必然。

 考えてみれば、これは、タイヤ業界だけでなく、ついこの間、問題になったラクタリス(乳製品業)のフランス国内での牛乳回収量削減計画やサノフィ(製薬会社)のドリプラン部門の子会社売却など、国内生産部門を撤収していく動きは、似たものを感じます。

 ミシュラン側は、今回の2工場閉鎖に関して、「この地域の従業員やその家族に対して、彼らに提供できる支援策を全力で提供していきます」と発表しています。

 フランスは、このような工場閉鎖などに伴う解雇の場合、少なくとも、法律で定められた補償金(勤続年齢に応じたもの)を会社側は従業員に対して払わなくてはならず、会社側とて、そうそう簡単な話ではありません。

 しかし、業界全体の不振が続くなか、早めに手を打っていかなければ、会社もろとも共倒れになる危険もないわけではありません。

 それを逆手にとって、さらにあざといことをして膨れ上がる企業が、結局は生き残っていく社会なのです。

 弱い工場労働者たちが路頭に迷うことで、大企業は利益率をあげ、生き残っていく・・これが格差社会の一面で、それがあちこちで起こり続けていることに、呆然とするのです。


ミシュラン2工場閉鎖


<関連記事>

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ②」

「乳製品業界世界市場トップに君臨する仏ラクタリスのフランスでの牛乳回収削減発表の波紋」

「サノフィ・ドリプラン等の一般消費者向け薬品部門売却に見る企業の収益性と国の関係」

「ネスレグループのミネラルウォーターは、違法精製水を販売していたという大スキャンダル」