2023年6月18日日曜日

妻を殺して3ヶ月間ウソをつき続けた男 逮捕拘留の末、自白

  


 今年の3月27日以来、行方不明になり、目撃者を募っていた女性について、ここひと月ほど、かなり頻繁に報道されていました。彼女が失踪?する直前まで一緒にいたという彼女の夫は、彼女の失踪時の様子などをテレビのインタビューに答えて説明していました。

 彼女の夫は、彼女が自発的に失踪したであろうという見解を述べ、自身のFacebookなどに、「私たちは、あなたのことをとても心配しています!安否だけでも知らせてください!」という妻宛てのメッセージ投稿したり、テレビに向かって呼び掛けたりもしていました。

 また、彼女がいなくなった時の状況について、彼女が消えた当日、彼らは一緒にいて、猫を追いかけるために、2人で庭に出たが、その数分後に、突然、彼女は消えてしまったと説明しており、その後に家の中のものを確認すると、彼女の歯ブラシや電子タバコ、リブレ・ド・ファミーユ(家族証明書のようなもの)に加えて、金庫に保管されていた4万ユーロ相当の現金などがなくなっていたと話していました。

 また、彼が「妻が自発的に失踪したことは間違いない」とする理由として、失踪の数日後に彼女の携帯から末娘の携帯に2枚のピラ砂丘の写真とともに、海外に行くつもりだというメッセージが届いていると説明していました。

 夫は「あまりに突然、彼女が消えたのは、タクシーかウーバーを利用する以外にあり得ないことだ!」と話していましたが、捜査線上にそのようなタクシーもウーバーも浮かんでこずに、事件は当初、「誘拐・強制監禁」の疑いで捜査が開始されました。

 しかし、彼女をよく知る人は彼女が子供の誕生日が近いのに、失踪するような人ではないと証言し、また、誘拐された痕跡や目撃者等が現れないことから、疑惑は夫に向けられるようになりました。

 この事件の証言者には、彼女の姉妹や元夫、夫の元妻などが出てきて、なかなかフランスらしい複雑な家族関係が垣間見れると思っていたのですが、そのうちに、この夫と失踪したとされる妻は4年来の家庭内別居状態で、金銭的な事情により、同居していただけで、不仲であったことが浮き彫りになってきました。

 彼女の失踪届けは実際に彼女が失踪してから、約1週間後に提出されており、また、彼女の携帯電話は、それからさらに1週間後に自宅から数メートルの場所で発見されました。

 しかし、携帯にはSIMカードは入っておらず、また、満タンに充電され、汚れもなく、放置されて時間があまり経っていないことを示していました。そのうえ、末娘に送られたピラ砂丘の写真はネットからダウンロードされたものであったことも発覚しました。

 世間の疑惑は夫に集中し、彼に対する誹謗中傷などがネット上で湧き上がり、ついに夫は容疑を否認するまま、逮捕されました。

 1日目の拘留では否認を続けていたものの、拘留が延長になり、2日目になると、彼はついには、突然、泣き出して、「銃の手入れをしていたところ、間違って発砲してしまい、妻を殺してしまった」と自白しました。

 3ヶ月近くにわたって、警察に対しても、マスコミに対しても、ウソをつき続けていた男は、彼の弁護士によれば、「精神的にも体力的にも大変、弱っている・・」とのことですが、自業自得。彼の「あくまでも事故だった・・」という話は、さんざんウソをつき続けてきたこともあり、また、銃に消音装置がつけられていたことなどからも、もはやあまり、信用されていません。

 彼女の遺体は彼の自白どおりの場所、自宅からそう遠くない森の中に土もかけられず、(埋葬されず)捨てられるような状態で放置されていたのが発見され、凶器となった銃もそこから遠くない場所で発見されました。

 気の毒なのは、彼らの子供たちで、彼女は全夫との間の子供を合わせると、5人の子供の母親でしたが、特に現夫との間の長女などは、インタビューに答えて、「父親が有罪の証拠は何もない、全ては父の犯行ではないことを示している!」と訴えていました。

 父親の無実を必死に訴えていた娘は、母親とともに父親も失ってしまったのです。

 このような失踪事件?(結果的には殺人事件だった)の場合、必ず、誰かが言い出すのは、「誰にも失踪する権利はある・・」というものにも、それを聞くたびに、閉口しますが、「女性の失踪届けが提出された場合、結局は夫に殺されていた・・」というシナリオは少なくない気もします。

 それにしても、失踪時に関する彼の証言、庭で猫をおいかけたとか、金庫から4万ユーロや歯ブラシや電子タバコがなくなっているとか、偽装のために末娘の携帯にメッセージを送るとかの全てのシナリオは彼が作ったものであり、彼の犯行を隠すための偽装工作であったのは、もはや明白ですが、そのわりには、遺体を埋めもせずに放置するというのは、なんだかちぐはぐな感じもします。

 それにしても、フランスは、女性が殺人事件の被害に遭う場合はそのパートナーによって殺される場合が多いのには、ちょっと驚愕の事実でもあります。


妻殺し 嘘つき


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2023年6月17日土曜日

暑い日はプールへ フランスのプール事情

  

 

 最近?旅行をするたびに、体力の衰えを著しく感じて、日頃から鍛えていなければ、いつまでも旅行を楽しむことができなくなる・・という危機感を感じるようになりました。年齢を重ねるごとに哀しいかな、何もしないでいると、みるみる体力は衰えて、現在の状況を維持するだけでも、なにか定期的な運動をしなければ維持できません。

 日頃から、ロクに動かずにゴロゴロしている我が家の猫などは、こんなに動かずにいても、時たま、ものすごい脚力や瞬発力を見せたりするので、身体能力すごいな・・などと、猫に嫉妬したりもします。

 しかし、私の場合、努力しないと衰える一方なので、こころして、歩ける区間はできるだけ歩き、せめて週1回は泳ぎに行くと決めています。

 以前は、スポーツクラブに入っていたので、快適に運動ができていた・・といっても、結局、時間に追われて仕事帰りにジムに寄っても、結局はサウナかハマムに入るだけというお風呂屋さんのような使い方が多かったけど、たまには、トレーナーさんが組み立ててくれた最低限のマシンを使っての一通りのメニューをこなして、たまにはプールで泳ぐといったことができていました。

 施設もきれいで、おしゃれな空間で、子供がいない大人だけの空間が心地よく感じたりもして、とても気に入っていました。

 しかし、パンデミックを機に、ぱったりと行かなくなって、また再開しようと思った時には、パンデミックの煽りを受けて、そのクラブは潰れてしまっていました。

 他に探せば、ジムはいくらでもあるのですが、やはり定期的に通うとなったら、通いやすい場所にあってほしいもので、もろもろを考えるとジムは断念し、最近、改装された市民プールに週1で通っています。

 手軽にできる縄跳びをしたりしていたこともあったのですが、別にひねったとか、くじいたとかいう覚えはないのに、いつの間にか骨折したりしたこともあって、痛い思いをしたためにこれは断念。

 何だか知らないけど、ちょっとうっかり運動すると、転んだり、怪我したりもするので、私にとっては泳ぐことが一番、安全でもあるのです。

 それでも、週1回泳ぐだけでは、充分ではなく、(私の場合は食べることを諦めたくないため)とにかく、とりあえずは、できるだけ歩くことにはしていたのですが、ここのところ、パリはちょっとヨレヨレしてしまうくらい暑くて、ふつうに歩くだけでもしんどいような気候になってきました。

 これなら、週1と定めずに暑いならばプールに行けばよいと、ここのところ、時間があけば、プールに通っています。

 しかし、市営プールは、近隣の小学校の生徒が使用する時間帯が決まっており、バカンス時期でなければ、小学生が使わない時間が一般公開になっているので、いつでも行けるというわけではないのです。

 どんな学校にもあたりまえのようにプールがある日本と違って、フランスの学校には、公立、私立ともにプールがないのがふつうで(最初は驚きました)、一年を通して(屋内プールであるため)近隣の学校に割り当てられていて、水泳の授業の時間は、生徒たちが市営プールに出むくのです。

 なので、一時は娘の学校の水泳の授業は真冬の寒い時期に割り当てられたりしていた時もあって、真冬で極寒なのにもかかわらず、「水泳の授業の日はタイツを履かせて来ないでください(脱いだり着たりするのに時間がかかるため)!」などという先生がいて、「風邪ひいちゃうでしょ!ふつう、逆じゃないの?」と憤慨したりしたこともありました。

 そのために、我が家の近所の市営プールが一般公開される時間帯は限られていて、早朝7時から8時半までか、昼休みの時間帯12時から13時半までか、夕方17時から20時までとか限られた時間、あるいは小学校が休みの水曜日の午後か土曜日になるのです。

 先日、あまりに暑くて昼休みの時間に泳ぎに行ったら、限られた時間だというのに、えらい混んでいて、こんなにアグレッシブに運動しようとしている人が沢山いるのかと驚かされました。まあ、暑いので、ちょっと水浴びがわりという私のような人もいるのかもしれませんが、ちょっとびっくりした次第です。

 日本はフランスとは逆のようで、この間、娘が来た時に聞いたら、実家近くの区立の中学校のプールが夜、一般公開されていると聞いて、昔はそんなサービスはなかったのに、日本も変わったのだなぁ・・フランスとは、全く逆なんだな・・と思いました。

 あたりまえのように、どんな学校にもプールがある日本は、そういう意味ではずいぶん恵まれていて、それをより多くの人が使えるようになっていることは、スゴいことだな・・とちょっと感心しました。

 数少ない市営プールを市民と学校でシェアしているフランスとは絶対的にプールの数が違います。

 今の小学校はどうなっているのかわかりませんが、大昔、私が小学生だったころは、夏休みでさえも、学校のプールに通っていた記憶があり、ということは、先生がその期間も働いているということで、これはフランスの学校だったら、「バカンスを侵害する!」とストライキでもおこりそうな、あり得ないことではありますが、そんな日本の学校のプールのおかげで、私は、泳げるようになりました。

 「日本の学校は・・日本の教育は・・」と嘆く話をよく聞く気がしますが、とりあえず、水泳に関しては、日本の学校はすごいな・・と思うのです。


フランスのプール


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2023年6月16日金曜日

パリのメトロ4号線トンネル内ブロックでパニック状態の大混乱

  


 パリのメトロはよく止まるので、それがたとえ、トンネル内であろうと、そんなに驚きはしません。たいていは、しばらく止まっても、少したてば動き出すし、その時の情報はあまりあてにならないのもわかっているので、たとえ、「プロブレムテクニックでしばらく停車します!」などとアナウンスがあっても、その直後にいきなりドアが閉まって動きだすこともあるので、運よく駅に止まっていても、とりあえずは、そのまま、しばらく我慢して、様子をうかがってみます。

 朝の通勤時間帯だったりすると、皆が遅刻を知らせる電話をしたり、メッセージを送ったりし始めるので、しばらくは、「まあ、みんな慣れたものだな・・」と大して怒りもせずに、淡々とやることを済ませていく様子をなんとなく観察しています。

 時には、駅ではなく、トンネル内で止まってしまうこともあるため、そんな時は止むを得ずに、車内に留まりますが、それとて、ふつうはそんなに長い間のことではありません。

 それが、先日、パリのメトロ4号線で、多くの乗客の帰宅時間帯に電車が止まってしまい、ちょっとパニック状態に陥りました。普段、たびたび止まるパリのメトロにも、日常の彼らの感情的な爆発のさせ方を思うと、比較的、怒っている人が少ない印象を受けるのですが、今回ばかりはちょっと違ったようです。

 それもそのはず、当日のパリは午後の気温が31℃まで上昇する熱波の中、数百人の乗客が2時間近く、オーブンの中のような電車の中に閉じ込められることになり、暑さが怒りに火をつけるかたちになり、パニック状態になりました。

 今回のメトロのブロックは、複数の問題が重なったもので、結果的に最悪の状況を引き起こした模様です。最初は午後6時頃に、信号機の故障により、部分的に自動化されている4号線の南部で最初に交通が減速していきました。

 その後、ポルト・ド。オルレアンとモンパルナス間のネットワーク全体が混乱し、列車の損傷が起こり、シテ駅で乗客がバッグをドアに挟み込み、警報が鳴り響き、これらのいくつかの事故が重なって、ついには、トンネル内で列車5本がストップしてしまいました。

 ブロックしてしまったメトロの車内では、詳しい説明もあまりなく、この暑さは乗客の不安と怒りを煽りたて、メトロの中は赤ちゃんが泣き出したり、1時間を過ぎたころから、子供だけでなく大人たちも怒りはじめ、全てを壊してやる!と警察に通報する者まで現れ始め、カオス状態になりました。

 立往生している車内には冷房もなく、暑さの中、水もなく、何よりも、いつ、復興するかわからない状態に人々の不安と怒りは増すばかりで、そのうち、メトロのドアをこじあけて、脱出し始める人が現れました。


 こうなると、メトロを動かすことは不可能で、警察も出動して、どうにか怒りまくりながら、線路を伝って避難する人々を落ち着かせようとしましたが、パニック状態になった乗客の怒りは鎮まりません。

 フランス人は、日本人のように我慢強くはないのです。

 もしも、自分がこんな長時間メトロに閉じ込められたら、どうするだろうか?と考えますが、私だったら、多分、周囲の人の様子をうかがって、やっぱり、同じように線路を伝って歩くだろうな・・と思います。

 場所にもよりますが、パリのメトロは比較的、一区間が短いところが多いので、次の駅まで歩ける距離であることも多いのです。

 一度、12号線が止まって、線路の上を歩いたことがありましたが、その時は、無理やりというより、運転手さんが乗客が線路におりるためのハシゴをかけにきたので、どちらかといえば、誘導された感じでした。

 いずれにしても、そんなに珍しくないパリのメトロの不通にしても、この暑さの中、2時間という長時間にわたり止まってしまうとは、困りもの・・拷問です。

 この日は、13号線にも事故があり、全線不通となったとかで、年々、着々と値上げしながら、なにかといえば、ストライキのRATP(パリ交通公団)、まずは、トラブルを軽減する努力はもちろんのこと、トラブルが起こった際のマニュアルくらいは用意してもらいたいものです。

 RATPは、今回は「異例の事件」であり、内部調査を始めると説明しています。

 過去には、2018年夏に、やはり自動運転化されている1号線で故障が発生し、過熱状態で数千人の乗客が通行できなくなったという記録が残っています。

 パリのメトロは夏に弱いのかも?


パリ4号線トンネル内2時間足止め


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2023年6月15日木曜日

3ヶ月待たされた医者の予約から、またさらに2ヶ月待ちの検査

  


 そもそも、今回の私の一連の医者・検査通いは、主治医に「あなた、しばらく心臓専門医にかかっていないから、そろそろ、またチェックしてもらった方がいいわよ・・」と言われて、そのために、まず血液検査をしたことから始まりました。

 私には、特にどこか体調が悪いといった自覚症状などはなく、まあ、ざっくりした定期健診のような気持ちでした。

 ところが、血液検査をしてから、心臓専門医に予約を入れようとしたところ、3ヶ月待ちということがわかり、血液検査の結果を持って、とりあえずは主治医のところに行ったのです。すると、肝臓の数値が悪いということで、心臓専門医にかかる前に別の検査をすることになり、今回の予約は、待たされることを覚悟してすぐに予約。

 しかし、こちらのエコーの検査も結局、1ヶ月ほど待たされましたが、検査の結果、多少、問題はあるものの、取り立てて深刻な状態ではなく、次の心臓専門医の診察を待っていました。

 そして、先日、ようやく心臓専門医の診察の日を迎え、予約の時間どおりに行くと、けっこう待たされたのちに、ようやく診察室へ。待合室は、心臓専門ということもあるのか、極度の肥満体型の人や、鼻から酸素の管を通していて、機械を引きずりながらやってきている人などもいて、ちょっとなかなか、普通のお医者さんの待合室とは違う感じでした。

 実は、これまでかかっていた(といっても2~3回かかっただけなのですが、)お医者さんが、あんまり好きではなくて、医者とも相性というものがあるかな?と、今回は、別の医者を紹介してもらったために、彼女とは初めての診察でした。

 血液検査の結果を見せながら、最初は問診から始まりましたが、彼女は、音声入力をしているらしく、どうにも要領がいいんだか悪いんだか・・と思っていたところ、「上半身だけ脱いで、そこに横になってください」と、言ってから、「ちょっと息子の学校のレターを見なくちゃいけないから、ちょっと待ってくれる?」とまた、この医者もまたハズレの気配・・。

 「それ、診察中にどうしてもやらなきゃいけないこと?」とちょっとムッとしつつ、こちらには、選択の余地がありません。数分後に診察が始まったのですが、結局は、まあ、今、飲んでいる薬の処方は変える必要はないけど、ちょっと別の検査もした方がいいでしょう・・?と。

 内心、「え~~?また、検査?」と思いつつ、検査をした方がいいと言われて、それを無視するほどの度胸もなく、結局、また別の検査の予約を取ることに。

 しかも、先生のご提示になられた検査はどこでもやっている検査ではないらしく、パリ市内のいくつかの検査機関を紹介してもらいました。さっそく、予約の電話を入れると、その検査は、ちょっと複雑だから、予約には、ここに来てもらわないと・・と言われて、もう一気に済ませてしまいたい私は、電話を切るとすぐに直行。

 そして、予約がとれたのは、またさらに2ヶ月後の8月のこと。しかも、その前にまた、「血液検査をして、薬局で検査に必要な薬剤?を調達して、持ってきてください・・」と。

 こういうのは、フランスではめずらしくないことで、コロナウィルスの時などは、ちょっと例外的でしたが、必要なものは自分で調達して医者に持参するというのは、よくあることで、特に、あまり一般的ではない検査やワクチン接種などの場合は、医者が在庫をかかえることもなく、合理的といえば、合理的でもあります。

 しかし、日本のようなシステムの中で生活してきた者としては、なにからなにまで自分で用意して、しかも、あちこち違う場所に検査に行って、その結果を持って、また別の医者に行くというのも医者の側からしたら、合理的ではあっても、個人的にはけっこうな時間と労力がかかります。

 そのうえ、予約がいちいち数ヶ月待ちともなれば、なんのためにやっているのか?だんだん、検査といっても緊張感がなくなってきました。

 どこでもやっている検査ではないと聞いた時から、覚悟はしていて、驚きはしなかったものの、またさらに2ヶ月待ちとは・・。一体、いつになったら、スッキリできるんだろうか?と、もうゲンナリ・・。

 私一人でさえも、一度、足を突っ込んだばかりに、こんなに、あちこち行くハメになるのだから、どこの検査機関に行っても、医者に行っても、長い長い予約待ちと大勢の人がいるのも頷けるような気がしてきました。

 もうこれで、約半年間、検査や医者通いが断続的な状態で続いています。もう、こうなったら、年内に片が付いてくれれば・・と全然、期待しないように、さらにこれ以上の最悪のケースをも想定することが、精神衛生上よいかと思い始めています。

 とりあえずは、そんなに急がないということは、そこまで深刻な状態ではないんだと思いたいです。


検査予約 


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2023年6月14日水曜日

パリが暑くて・・今後、パリはスペイン南部のセビリアのような夏になる?

  


 今年のパリは、5月の半ば頃まで、けっこう肌寒い日もあったりで、今一つ、お天気もよくなくて、たまに晴天の日があったりすると、この出不精の私でさえも、せっかくお天気がいいんだから、どこかにでかけなくちゃ損!みたいな気がして、無理やりに何かにかこつけて出かけたりしていたほどでした。

 それが、個人的には、ちょうど娘が日本からやってきた頃から、お天気も良くなり始めて、「ちょっと前までお天気も悪くて、肌寒いくらいだったのに、ついてるね・・」なんてことを言ったりしていました。

 そして、なんやかやとバタバタしている間にあっという間にパリは「お天気がいい・・」を通り越して、夏のようになり、こうなってくると、もう陽ざしが夏・・というか、真夏のようで、もうヘロヘロしながら日陰を探して歩くようになっています。

 特にここ数日は、30℃を超える日が続いていて、早くもちょっと夏バテ気味です。

 以前は、7~8月の真夏がこんな感じだったな・・と思いつつ、今はまだ6月。今からこれでは、全く、先が思いやられます。なにせ、年々、体力が衰えているうえ、今年はイタリアに行って食べすぎた分を歩いたり、運動したりして、なんとか回復しなければならないのに、この暑さでは、せっかくの志が萎えてしまいそうです。

 それでも、湿度は比較的低いので、日陰に入れば、なんとか凌げないほどではないのですが、なんといっても、メトロやバスなどの公共交通機関は冷房車に当たる可能性が低く、運よく冷房車にあたることもあれば、今日などは、一度も冷房車には遭遇しませんでした。

 この暑さで密閉空間になるメトロやバスは、そもそも気温が高くなっているうえに、乗車している人々の体温がさらに熱気を煽り、冷房なしだとかなりキツいです。

 昨年は、5月に記録的な熱波とかで、5月の段階ですでに30℃近い気温になっていましたが、今年は、その期間は、むしろ寒いくらいだったので、逆にその落差が身体にはキツいです。

 以前は、一年で苦しいほど暑いのは、せいぜい真夏の1週間くらいのことで、それさえ乗り越えれば、夏は楽勝だったパリも暑い時期が長期化して、夏も辛くなりました。

 とはいえ、日本のように湿度が高くはないので、その面ではまだ少しはマシな気もするのですが、ここ数日は連日30℃超えで、これがまだ、しばらく続き、少なくとも夏至までは、気温は下がらないというので、なかなか、ウンザリしています。

 本来ならば、6月はジューンブライドと言われるくらい、最も気候の良い時期だったにもかかわらず、これでは、結婚式には、あまりふさわしくない汗だくの季節になってしまいました。

 この熱波は、高気圧異常の結果であり、地球温暖化に伴い、熱波は今後さらに増加することが予想されており、 パリでは、今後数年間の気温がスペイン南部のセビリアに似てくる可能性があると言われています。

 このため、パリ市の一部の商店などでは、お水の提供をするサービスなどを始めたりもしています。夏の異常な暑さは年々、エスカレートするばかり、まだまだ、パリでの夏の異常な熱波への対応は追いついていない気がしますが、最近はルート検索アプリなどでも、冷房車をチェックできる機能が追加されているものなどもあって、涼しい電車やバスを選んで移動することも可能になっています。

 日本だったら、ほぼ全てが冷房車なので、こんなアプリもいらないですね・・。

 来年のパリオリンピックを控えて、この暑さ対策は益々、急務になっていると思われますが、まったく、一年を通して、最もスポーツには適さないような真夏の暑い時期にオリンピックをやるのか? オリンピックは誰のためにやるのか?と、最近、よく言われているようなことを考えてしまいます。


パリ猛暑 異常気象


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2023年6月13日火曜日

フランスードイツ鉄道パス 18 ~ 27 歳の若者向けの無料鉄道チケット6万枚

  


 エリゼ条約およびフランスとドイツの和解 60 周年を記念して、フランスとドイツの若者・居住者(フランスもしくはドイツに居住する1996 年 7 月 1 日から 2005 年 12 月 31 日生まれ)に両国の鉄道を無料で利用できるパス 60,000 枚が提供されます。

 「えっ??ほんと?」と一瞬、図々しくも思いましたが、私は18歳~27歳でもなく、また、このチケットは発表から数時間で完売?(無料なのだから完売というのもおかしいが・・)してしまったようです。

 エリゼ条約とは、1963年フランスのシャルル・ド・ゴール大統領とドイツ連邦共和国 (FRG) のコンラート・アデナウアー首相の間で結ばれたドイツとフランスの間の協力条約で、この条約は、特に防衛、教育、青少年の分野における両国間の協力を強化するものだそうで、仏独協力条約とも呼ばれています。

 6万枚のチケットの内訳はフランス3万枚、ドイツ3万枚で、さらにフランスの3万枚のチケットのうち、半分の1万5千枚は、奨学生 10,000 人、職業訓練中の若者 4,000 人、機会の少ない若者 1,000 人 (JAMO) に割り当てられ、一般公募には1万5千枚というさらに狭まった枠だったようです。

 このチケットでは、1ヶ月以内の自分の好きな7日間、ICE 高速鉄道を含む、ドイツのすべての鉄道にアクセスが無料になり、この間、一度は隣国にも無制限に旅行できますが、TGV を利用する場合は、追加料金 20 ~ 30 ユーロが必要となります。

 とはいえ、TGVを使ったとしても20~30ユーロの追加料金のみで旅行できるなど、このバカンスシーズンに魅力的なチケットに違いありません。

 しかし、これは、単純に先着順ということであったため、アクセスが殺到し、サイトにはなかなか通じずに、やっと通じたと思ったら、もう締め切りになっていたという人が大多数だったようで、そんなに上手い話には、なかなかありつけないのが普通なのかもしれません。

 この発表は、フランスとドイツ間の鉄道網の発展を背景にした一種のキャンペーン的なものでもあり、パリとベルリンを結ぶ夜行列車が2023年12月から再び運行され、2024年には新たな直通高速鉄道リンクが両首都を結ぶことになるにあたっての序章のようなキャンペーンです。

 パリとベルリンの間に TGV と夜行列車の 2 本の直通路線が開設されることにより、フランスとドイツ間の鉄道接続は改善される見込みで、どちらも 2023 年 12 月に予定されています。

 私は何かと言えば、すぐに飛行機での移動手段をまず考えてしまうため、鉄道での旅行はあまりしたことがなく、フランス国外への旅行で鉄道を使ったのは、ユーロスターでロンドンに行くか、TGVでベルギーに行った時くらいですが、たしかに鉄道での旅というのも、趣きがあって楽しいかもしれません。

 先日、イタリア国内で、一部、鉄道で移動しましたが、全くアナウンスがないうえに、急にプラットフォームが変わったりもするので、ちょっと慣れないとドキドキではありましたが・・。

 また、あまりに早く締め切りになってしまった人々のために、運輸省は、大金をかけずにドイツを旅行する別の方法も紹介しています。

 それは、2023 年 5 月に導入されたドイチュラント チケットというもので、月額 49 ユーロで国内のすべての鉄道と公共交通機関を無制限に利用できます (ICE 高速鉄道を除く)。 ただし、国境を越える場合には使用できないそうです。

 また、逆に考えれば、フランスには、少なくとも3万人の若者がドイツからやってくるということで、何もパリとは限りませんが、こんなカタチで若者が行き来する機会が増えるのも、良いことかもしれません。

 旅が若者の成長を促すことはよく知られていますし、 友情を育むと付け加えることもできます。 仏独関係を祝うため、両国政府は若者向けに無料チケットサービスを設定することで両国間での鉄道旅行を促進したいと考えています。

 こんなキャンペーン?もなかなか粋な計らいではありませんか? 日本でも、どこかの国との共同で、若者向けのこんなサービス、あってもいいんじゃない?と思いました。


フランスードイツ間 若者向け無料チケット6万枚


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2023年6月12日月曜日

15歳の少女をメッタ刺し、生きたまま火をつけた未成年の男子に懲役18年の判決は妥当か否か?

  


 フランスに死刑制度がないのは、知っているし、私は死刑制度がよいことだとも思っていません。しかし、今回の判決には、被害者を全く知らない私でさえも、どうにも納得がいきません。思わず、「日本なら死刑だろう・・」と思ってしまったほどです。

 事件が起こったのは、2019年10月クレイユ(オワーズ県)でのできこと。当時15歳だった少女は、彼女のボーイフレンドに刺され、生きたまま火をつけられ死亡しました。彼女は妊娠しており、事件の2年前の2017年に最初の性的暴行を受けた被害者でもあり、そのうえ、その時の映像がネット上で流され、「軽い女」という評判を植え付けられ、モノのように扱われ続けていたと遺族の弁護士は語っています。

 事件の2日後にクレイユのプラトー地区にある庭の小屋の中で少女の焼死体が発見されたことで捜査が開始されましたが、犯行現場付近の目撃者の証言により、彼女のボーイフレンドであった当時17歳であった男性が逮捕されました。

 逮捕、拘留後、「自分の売春婦であったガールフレンドを殺害した」と自白。事件の2日前に彼女が妊娠したことを告白したため、それを受け入れることができなかったと語ったと言われています。

 検死の結果、遺体には少なくとも8~14ヶ所の刺し傷が確認され、直接の死亡の原因は、生きたまま顔を中心にガソリンをかけられ、火をつけ、焼かれたことに起因することがわかっています。ちょっと想像するのもおぞましいほどの残酷な殺人事件です。

 この事件は、容疑者が当時17歳という未成年であったことから、裁判もオワーズ県の未成年向け裁定裁判所において、非公開で行われました。裁判が開始すると、容疑者である男性は、一転して無罪を主張したそうですが、過去の自白や周囲の証言、状況証拠、また、事件の際に負傷したと思われる足の火傷などから、彼には懲役18年の刑が言い渡されました。

 事件の凶悪性、残酷性から、検察側は被告に対して、未成年者のための減刑措置を却下するように求め、懲役30年を求刑していましたが、これは却下されています。通常、フランスでの未成年者への懲役は最大20年とされているそうで、判決が18年ということは、その最大拘留にも達していないことになります。

 裁判は、非公開で非常に緊迫した状況の中での激しい双方の弁論により5日間にわたって行われ、陪審員の4時間にわたる審議の結果、判決陳述には報道陣や一般の人々にも公開されました。

 裁判が始まって以来、被告は事実を否認しており、「自分は無実だ!これは間違っている!」と主張して、18年の判決を不服としているようです。

 しかし、被告以上に不服なのは、被害者の家族の方で、「この犯罪で18年!これがフランスの正義なのか?」と憤りを通り越して、被害者の兄弟である男性は、被告とのあまりに緊迫した話し合いの最中に倒れ、救急車で搬送されています。

 同氏はソーシャルネットワーク上で「フランスの司法を恥じている!」と表明し、未成年者は成人と同様に処罰されないという未成年という言い訳が解除されていないことに憤慨する意見を発信しています。

 そもそも未成年とはいえ、17歳というギリギリの年齢(18歳で成人)のうえ、犯罪自体は成人も真っ青になるくらいの凶悪さと狂暴さと残酷さ。未成年として裁かれるべきかどうかは、甚だ疑問でもあります。

 この判決には、様々な意見が上がっていますが、犯罪そのものは、充分に成人の犯した犯罪となんら変わることない(なんなら、一般的?な殺人事件以上にずっと狂暴)にもかかわらず、未成年扱いの求刑。

「司法は女性に対する暴力を甘く見ており、被告が未成年であるという言い訳を却下することを恐れたにせよ、最大20年にも及ばない判決は不当である」などと、否定的な意見も多く、また、被告がすでに3年半の公判前拘留中であり、今後の更生が認められるなどの恩恵を受ければ「8年以内に釈放されるだろう」という見方もされています。

 この見方が正しければ、現在、20歳の彼は28歳には、出所してくることになります。怖い怖い・・。

 公式統計によると、フランスでは3日ごとに女性が配偶者や元配偶者からの暴力で死亡していると言われており、「フランスはヨーロッパで一番、殺人事件が多い国」というのも、残念ながら納得してしまいます。

 

未成年の凶悪殺人事件に判決18年


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