2023年1月6日金曜日

最近フランスに繁殖するハードディスカウントショップ アクション ACTION


 衰退の一途を辿っていると思っていた近所のコマーシャルセンターの一画に、長らく空き店舗になっていたスペースがしばらく工事中になっていて、今度は何のお店が入るんだろう?と思いつつ、けっこう長い期間、工事中だった気がしていましたが、クリスマスが明けたころに、ようやくお店がオープンしたと思ったら、ディスカウントショップでした。

 最近、パリでも2ユーロショップとか、normal(ノーマル)(チェーン展開の店舗名)などのディスカウントショップが急に増えている気がしていましたが、最初はそこそこ興味を引くものの、日本での100均などを見慣れている私にとっては、結局はそれほど魅力的であり続けるものでもなく、また置いてある商品や値段も、慣れてしまうと、そこまで感動するものでもありませんでした。

 しかし、今回のお店 ACTION(アクション)には、ちょっとワクワクした感じを味わいました。

 というのも、なにせ、安いのです。商品は装飾品や日用品、衛生用品などを中心に文房具、玩具、化粧品など種々雑多な商品が並んでいます。

ミッキーのバスソルト


 このチェーン店は、オランダ発のハードディスカウントショップ(単なるディスカウントショップではなくハードディスカウントショップというところがなかなか・・)で、とにかく低価格なことで知られており、約1000アイテムを1ユーロで販売し、2022年の商品の平均価格は1.70ユーロであったと言われています。

 しかも安いだけでなく、品物もしっかりしたものを置いていることで有名らしいです。

 

USBケーブル

 アクションは一部の固定商品を除いて、過剰在庫や倒産した会社の商品、売れ残り商品など、機会に応じた買収を優先する購買戦略の結果、品揃えは常に変化しています。


小物入れのパニエ


 
キッチン用品

 また、同社はテレビやラジオなどでのコマーシャルは避け、SNSやクチコミに頼ることで、宣伝コストを最小限に抑え、店舗の不必要な装飾や音楽などを使わず、コストを徹底的に抑えるモデルを確立し、同じ製品をすべての店舗で大量に購入し、創業以来、数年の間に単なる仕入れ業者から、コストコントロールのために数十のプライベートブランドを持つチェーンへと変貌を遂げました。

老眼鏡なども100均なみ


 3分の2の商品は常設ではなく、常に更新されているため、今買っておかなければならないと思わせる「フラストレーション戦略」と呼ばれ、衝動買いを誘発する戦略にもなっています。

ランチョンマットやキャンドルスタンドなど・・


 なるほど、言われてみれば、そのとおりで、このチェーンを全く知らなかった私は、お店の中に入らないと、何のお店だかわからなかったぐらい、お店の装飾は皆無に近く、また、少しずつ、商品を見ていくにしたがって、「えっ?これがこんなに安いの?」という安さでちょっと感動して、嬉しくなっていくのが自分でもわかり、「これは衝動買いのパターン・・」と思いながら、店内を見て歩いていたくらいです。


レンジでチンして使えるカイロ


 もちろん、衛生用品などの生活必需品も安いのですが、「あってもなくてもいいけど、あったらいいな・・と思うものが、激安価格で売っている・・」なかなか楽しいお店です。

 私の場合、この手のお店では、日本の100均でちょっと感激して、大量買いして、結局はほとんど使っていないものもある・・という経験を積んでいるため、途中でブレーキがかかりますが、まずは、手ぶらで帰る人はいない感じのお店ではあります。


飾り棚や小物用引き出し


 最近は、自分で衝動買いモードに入りそうなときは、「断捨離中」ということを思い起こすようにしていますが、現在、この店舗で私が一番気になったのは、プリンターのインクで、そもそも、なんであんなに高いのかが疑問でしかないプリンターのインクが見たこともない価格で売っていたことで、プリンターの機種を確認してから出直そうと思ったのですが、これは消耗品でもあり、確認してから、また買いに行く予定です。


プリンターのインク


 その際に、ついでに・・という余計な買い物をしないようにしようと思いますが、商品の3分の2は、常時入れ替わるという話を聞けば、この激安店では、一応、再度来店しても、ひととおり目を通そうとしてしまいそうです。

食料品はスナック類やお菓子類が多い


 しかし、ずっと日本の100均のようなお店がフランスにもできればいいのに・・と思っていましたが、値段は一律100円ではないものの、激安には変わりなく、このようなお店が増えてきたのは、フランスでは、ここ数年のことで、消費者にとっては嬉しいことです。

 現在、フランスには、このお店、約700店舗あるそうです。


ハードディスカウントショップ アクション Action


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2023年1月5日木曜日

WHOが中国にコロナウィルスに関するデータの再提出を要請

  


 中国でのゼロコロナ規制解除に直面して、多くの国が中国からの入国に関して、あらためて感染対策を取り始める中、WHO(世界保健機構)は同国の状況についての懸念を示し、「我々は中国に対し、入院と死亡に関するよりタイムリーで定期的かつ信頼できるデータの提供と、より完全でリアルタイムなウイルス配列の確認を引き続き求めている」と述べました。

 また、同時に入院、重症化、死亡から人々を守るためにブースター接種を含むワクチン接種の重要性を改めて強調し、これは、高齢者や基礎疾患を持つ人など重症化のリスクが高い人にとって特に重要なことであると付け加えています。

 2週間前、国連機関はすでに中国の科学者に、入院患者、死亡者、ワクチン接種についてより明確にするために、ウイルスの詳細な配列データを提出するよう求めていました。中国側は、世界の国々が中国からの入国に対して感染対策を取り始めたことを快くなく感じているようですが、特に現在、中国ではこれだけ感染の流通量が多く、完全なデータが報告されていないのだから、自国民を守ると考えて対策を講じる国があるのは理解できるとしています。

 この感染症が世界的なパンデミックとなってしまった以上、それぞれの国の感染状況を公開するのは、当然のこと、国連世界保健機関にとっては、WHOや世界にとって有用なデータであり、すべての国にその共有を促しています。

 WHOが定期的かつ迅速で確実なリスク評価を行い、それに応じてアドバイスやガイダンスを適応させるためには、このデータは引き続き不可欠であるとWHOは強調しています。

 中国における最近の流行は、主にオミクロンの亜型であるBA.5.2とBF.7によって引き起こされており、これらを合わせると、現地の全感染者の97%以上を占めているとWHOは述べています。このデータは、中国疾病予防管理センターが2,000以上のゲノムを解析した結果に基づいています。

 また、このデータは、他の国からグローバルデータベースに提出された中国からの旅行者のゲノムと一致しており、公開されている配列データには、新しい変異や重要性が知られている変異は指摘されていないとしています。この情報は、火曜日にWHOの技術諮問委員会に中国の科学者が行ったブリーフィングから得られたものです。

 中国は現在、12月初旬に「コビッドゼロ」政策を突然放棄し、過去最悪の感染者発生に直面し、 この前例のない感染の波にもかかわらず、患者数のカウント方法を変更したことで議論を呼んだコロナウィルス関連の死亡者数はほとんど報告されていません。

 しかし、SNSで流されている情報や映像から、中国が発表している現在の数字は、入院や集中治療室の患者数、特に死亡数など、実際の数字とは遥かにかけ離れているものであると見られています。

 感染が拡大すれば、新たな変異種の出現の可能性も高くなり、次なる被害が広がる可能性を孕んでいます。

 また、中国以外では、2022年10月に初めて検出されたオミクロン亜種の1つが、2つのBA.2亜種の組換えであるXBB.1.5であり、国連の世界保健機関によると、この亜型は「米国とヨーロッパで増加傾向にあり、現在、すでに25カ国以上で確認されているといいます。

 とはいえ、フランスなどでは、コロナウィルスは現在は小康状態と言ってもいいかわりに、インフルエンザや細気管支炎などとのトリプル感染症で周囲にもゴホゴホしている人がやたらと多い感じがします。

 とうとう3年経ってもコロナウィルスは収束を見せるどころか、一周回って、再び中国での感染拡大に戻っており、中国の病院の様子などの映像を見ると、また時が3年前に逆戻りしたかと思わせられるような状況です。

 これには、これまで中国がゼロコロナ対策をとってきたために、国民の間に集団免疫ができていないことや、中国製のワクチンの効力が低いことなどが挙げられていますが、現在の変異種に対しては有効な先進国のワクチン(ファイザーやモデルナなど)も、また新しい変異種が登場した場合は脅かされることも考えられないでもありません。

 私自身は2回のブースター接種を済ませていますが、ワクチンの有効性が6カ月程度しか持たないのであれば、またそろそろワクチンをしなければならないかもしれませんが、いい加減、そうそう2~3年の間に何回もワクチン接種をしてワクチン漬けになるのも、さすがに少々、ためらわれるところです。

 パンデミックという事態になってもなお、どうして、こうも協力して協調するということができないのか? ほんとうにウンザリします。


中国コロナウィルスデータ


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2023年1月4日水曜日

ガス・電気料金高騰で閉店に追い込まれるかもしれないパン屋さんの反乱

  


 エネルギーコストの高騰により、倒産の危機に瀕しているパン屋さんが激増していることが問題にあがり、大炎上しています。

 爆上がりしている電気代の請求書を受け取り、「この請求書を払えば、もう従業員の給料を支払うことも材料の仕入れもすることはできない」小規模のパン屋さんたちが悲鳴を上げ始め、製パン業界の代表者が財務相との会議に臨む事態にまで発展しています。

 昨年以来、高騰を続けているガス・電気料金の高騰により、エネルギー消費が多いパン屋さんは、もう待ったなしの状況まで追い込まれているのです。

 発酵過程から、オーブンを使う段階まで、そして、保存のための冷蔵庫や商品陳列のための照明まで・・パン屋さんの電力消費はかなりのもので、そもそも材料費などのコストは過去1年間で40%の高騰していることもあり、それに加えて、社会保障料金や、このエネルギーコストの高騰に見舞われては、小規模のパン屋さんにとっては、もう経営を続けることができずに、破産申告をする例が増えているのです。

 パンというのは、フランス人にとっての主食でもあり、ある意味、特別な位置づけでもあり、昨年、バゲットは無形文化遺産登録を成し遂げたばかり、このパン屋さんの現状はフランスの誇るバゲット業界にあるまじき現状なのです。

 政府は中小企業向けにエネルギー高騰への援助対策をすでに行っており、これらの業界へは特別電気料金が施行されることになっていますが、これが充分に徹底していないことや、雇用者が10人未満で、売上高が200万ユーロを超えず、電力消費量が36kVA(または33kW)以下、それに等しい非家庭用消費者は、これらの特別料金制度を利用することができない微妙なゾーンが生じてしまっていることも原因であると言われています。

 陳情を受けた財務相は、電力バッファ(電力の衝撃的な値上げを緩和するための政策)を、2023年1月1日から2023年12月31日まで適用することを再確認しました。この新しい制度は、電力料金の上昇に直面している企業や地方自治体を支援するためにすでに実施されている施策に追加されるものです。

 この制度は、プロフェッショナル契約を結んでいる消費者のうち、すでにタリフシールド(特別料金制度)の対象になっていない人が対象で、具体的には、電気料金が一定水準を超えると、国がその一部を負担するというものになっています。

 これはエネルギー供給会社が直接適用するもので、この制度が適切に機能すれば、つまり、けた違いの請求書を受け取ることはないということになります。

 また財務相は、これまでの特別料金制度に対しても、電力供給会社は適切に対応していないことを非難し、これはすでに昨年の10月に電力供給会社と取り決め、サインをしているはずのこと、すぐ実施しなければならなかった、この約束が尊重されていないのは、非常に残念なことであり、これに違反している電力供給会社の企業名を挙げて、「これに従わず、約束を尊重しないのであれば、追徴課税金を請求する」と脅しをかけました。

 これは、弱い立場の人を援助しようとする場合に、援助する立場である大企業が援助を必要としている人の痛みを知らずにグズグズして対応しないのか、悪く考えれば、援助金は政府に請求しながらも、それを公正に被援助者に反映しないで中抜きしたりしているか? 残念ながら、日本でもいろいろな場面で見られる現象でもあるのかもしれません。

 とにかく、今年一番の本丸と思われる年金改革問題が控えている今、その騒ぎをさらに大きくするような火種はできるだけ消しておきたいフランス政府ですが、すでに1月に入ってまだ数日しか経っていないというのに、すでに1月7日には、黄色いベスト運動再開の知らせを始め、次から次へとデモの予定が発表され、このパン屋問題についてもデモが予定されています。

 年明け早々、論争続きではありますが、騒ぐからこそ、政府もできるだけ正当に対応しようとしているのです。

 最近、めっきり、デモはやったほうがいい、ある程度、やるべき(ほどほどにですが)だと思うようになった私です。


電気料金高騰によるパン屋さんの危機


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2023年1月3日火曜日

クロアチアがユーロ圏になった 自国で通貨がかわる体験

  


 2023年1月1日からクロアチアが自国通貨としてユーロを採用し、ユーロ圏20番目の加盟国となりました。固定換算レートとして1ユーロ=7.53450kn(クーナ)に設定されています。

 フランスがフランスフランからユーロになってから、もうかなりの時間が経ちましたが、今でも、その時の混乱と動揺とインフレの様子を覚えています。

 海外旅行でもしない限り、通貨が変わるということは、滅多にないことで、海外旅行をしたときに、なんとなく金銭感覚が麻痺してしまうような感じで、自国?にいながら(同じ国にいながら)、通貨が変わることは、なかなか混乱することでもあり、今でも、その時の換算に使った 6.55957という数字は私の中に刻みこまれています。

 フランスフランからユーロになった時は、1FRF=0.152449 ユーロと設定されていたので、当然、それまでのフラン表示の数字よりもかなり少ない数字の金額になったため、なんとなく、高くなっても高くなっていないような感じがして、そのうえ、便乗値上げされるものもけっこうあり、そのたびに 6.55957をかけて計算していたので、今でもその妙な数字が記憶に残されているのです。

 わりと私がフランスに来て、そんなに経っていなかった頃なので、ようやくフランスフランになれたばかり、また通貨が変わるとなって、なんか、ここのところ、私は2年ごとに通貨が変わっている気がするな(その前はCFAセーファーフラン、その前は日本円、その前はポンド)・・などと思ったものでした。

 新しいユーロの通貨が出回ると、その新しいお札やコインも物珍しくて、新しいお札は何となく安っぽく感じられると同時にちょっとワクワクする感じもあったりで、今から思うと不思議な感覚でした。通貨が変わるタイミングには、偽札もずいぶん出回っていたような記憶があります。

 しばらくは、価格表示もフランスフランとユーロの両方を表示されるようになっていましたが、金銭感覚がつかめない、つかみにくいというのは、なかなか煩わしいことです。

 それでもユーロ通貨はしばらくして慣れましたが、結果的にユーロになったことで、後から考えるとあの時にずいぶん物価が上昇した気がします。

 しかし、旅行をするにも私などは、たいていヨーロッパ内か日本にしか行かないので、特に両替の必要がなく、直近(といってもずいぶん前になりますが)に旅行のために両替したのは、奇しくも、クロアチアに行った際のクローネで、旅行をするのに両替が必要な国はめんどくさいものだ・・と思った記憶があります。

 今となっては、フランスにいても、あまりユーロの現金は使わないので、今ならユーロ圏以外に旅行するにしても、きっとほぼ両替はしないと思いますが、やはりカードが使えない場合を考えて多少はしなければなりません。

 クロアチアがEUに加盟したのは2013年ですが、それ以来、できるだけ早く通貨をユーロに切り替えたいと言っていたにもかかわらず、結局10年が経過しています。

 しかし、フランスがフランスフランからユーロに変わるのとは、少々事情が違ったようで、クロアチアの多くの中小企業はEU加盟前にユーロ建ての負債を抱えており、クロアチア人はすでにほとんどの貯蓄と多くの日呼応式な取引にユーロを使用していたと言われており、不動産、自動車、宿泊施設の価格のほとんどがユーロ建てで表示されていたというので、すでにクロアチア人はすでにユーロでの金銭感覚を身につけているのかもしれません。

 通貨の感覚というのも不思議なもので、フランスにいれば、ユーロ建ての金額で同じ商品でも、なんとなく、これは安いとか、高いとか感じるし、日本に行けば行ったで、日本の商品を日本円建ての金額でこれは安いとか、高いとか感じてなんとか金銭感覚を保っているのですが、日本に行ったときは、特に外食をしたりするときは、ユーロに換算すると、恐ろしく安くて嬉しくなるのですが、逆にパリでラーメン屋さんに行ったりするのに日本円に換算するのはご法度です。

 ユーロ通貨は昨年20周年を迎え、紙幣を改革する意向で2024年には、新紙幣が発行される予定になっています。最初のユーロ通貨が導入されたときには、創設者たちは、国同士の争いやエゴを避けるために、架空の橋や存在しないゴシック様式の窓などの理論的なシンボルを使うことを選び、既存のモニュメントや著名人を避けたと言われています。

 来年には、新紙幣が発行されるのは、ちょっと楽しみでもありますが、実際には、現金自体をほとんど使わなくなっている今、そんなことやる必要あるのかな?とも思ってしまいます。

 

クロアチア ユーロ


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2023年1月2日月曜日

大晦日のシャンゼリゼの年越し花火に100万人

 


 シャンゼリゼのカウントダウンの花火は、2年ぶりということで、当初のパリ市の見込み50万人を大きく上回るどころか、倍の人出で公式発表100万人の人出となりました。

 おととしのシャンゼリゼは、イルミネーションはあったものの、後にも先にもこんなことはないくらいの静けさで、観光客というものがほぼいないパリで、しかもシャンゼリゼの沿道の飲食店などは、すべて営業停止状態で、これほど人のないシャンゼリゼのクリスマスはないだろうと思うとそれはそれで貴重な気分でシャンゼリゼを歩いた記憶があります。もちろん花火もなし。

 そして昨年は、少しずつパリに観光客が戻り始め、飲食店なども営業を始めたものの、オミクロン株による感染拡大で、クリスマスと大晦日の日を除いて、夜間外出の時間制限などもあったりで、感染防止のために花火は中止されていました。

 そんなわけで、今年のシャンゼリゼのカウントダウンの花火は2年ぶりということもあり、花火そのものよりも、その人出のすごさに驚かされるほどで、100万人と聞いて、私などは、シャンゼリゼは100万人収容?可能なのだろうか?などと思ったほどでした。

 多分、初めて凱旋門やシャンゼリゼを訪れた人は、想像以上の大きさに驚かれることと思いますが、その凱旋門の大きさとバランスのとれたシャンゼリゼの大通りも、歩道を含めてなかなかなダイナミックな道幅の広さで、凱旋門からコンコルド広場までの距離もけっこうあるので、100万人と言われれば、それも可能なのかな?とへんなところでひっかかったりしています。

 常日頃から、パリでのメトロやバスなどを見ていると、フランス人は、人と人との間隔を詰めるということが非常に下手で、特にバスなどは、外から見ていると、もうちょっと詰めてくれれば、まだ乗れるのに・・などと思ったりしますが、早々に「あ~ムリムリ!」と言って、後から乗る人のために詰めてくれるということはありません。

 今回のシャンゼリゼの人混みを見ていると、そんな日常を送っているフランス人からしたら、信じられないくらいのギューギュー詰めで、セキュリティーも相当厳しかったようですが、かなり、ギチギチの詰まり具合で、人が将棋倒しになったりする事故が起こらなかったことが不思議なくらいです。

 花火自体は、2023年を迎える10秒前のカウントダウン、つまり午前0時10秒前から始まりますが、早い人は、夕方17時頃から並んでいたという人もいて、6時間以上も待っていたことになります。そのガッツもすごいです。

 幸いにも、大晦日の夜のパリの気温は11℃という温かさ、真冬にしたら、かなり温かいこの気温も花火の人出をいっそう増やしたような気もします。

 シャンゼリゼのカウントダウンの花火には、海外からの観光客や地方から訪れる人も少なくなく、テレビのインタビューなどにもかなり興奮気味に答えていて、誰もが「世界一美しいシャンゼリゼ!」を臆面もなくというか、何のためらいもなく口にするのには、別に異論があるわけではありませんが、これだけ「世界一!」を皆が連発しているあたりもフランスらしいな・・とも思ったりするのでした。




 しかし、凱旋門を中心としたシャンゼリゼは美しくデザインされた街で、正直、花火自体は、日本などには、おそらくもっと素晴らしい花火がありそうだと思いながらも、その街全体の絵としたら、ちょっと反則的に美しさを引き立てています。

 ライトアップされた凱旋門にレーザー光線まで使い、街路樹のイルミネーションにシャンゼリゼを埋め尽くす人が携帯を掲げて撮影している光がまるでペンライトのように輝いて、彩りを添えています。




 「年忘れ」という言葉がありますが、この100万人に埋め尽くされたシャンゼリゼの光景を見ていると、パンデミックも戦争などという問題を抱えている現状を忘れそうになる感じもあります。

 しかし、こういう瞬間に皆で喜びを分かち合うということも、おそらく大切なことで、少なくとも、とりあえずは、不安要素が残りつつも、コロナウィルスに関してはある程度、落ち着きを見せている今、2年間の花火中止期間を経て、やっと花火を楽しめるときを迎えたということで、喜びもひとしおだったのではないか?と思っています。

 それにしても、この100万人、マスクは持ち込み禁止であったのでは?と思ってしまうくらいマスク率、限りなくゼロに近いです。

 

シャンゼリゼ年越し花火


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2023年1月1日日曜日

年末恒例の大統領の演説に2023年もデモ激化の予感

  


 もう今となっては、はるか昔の話になりますが、日本の大晦日の夜には家族で紅白歌合戦を見ながら、年越しそばを食べたりしていましたが、フランスでは、特にここ数年、私にとっては、大統領の演説を聞くのが大晦日の恒例行事?となりました。

 特にパンデミック以来、大統領が出てきて、うやうやしく、時にはやたらとエネルギッシュに演説を行う機会は増えた気がしますが、一年を振り返りながら、来年あるいは、それ以降への展望を語る大統領の演説は、他の機会とはまた趣を異にする感じもあります。

 今年のマクロン大統領の年末の演説は、なにかギラギラした感じがなく、執務室を背景にしているあたりも、演出感がありますが、落ち着いた雰囲気で比較的、淡々と語っている感じがしたあたり、その内容とのバランスを考えているのかもしれません。

 この撮影場所ひとつをとっても、通り一辺同ではなく、いつも演出が感じられるところは、フランスらしさを感じます。

 「この年末の演説をするのは、今回で6回目になります・・」と挨拶を始めた彼は、その後、「世界の様々な出来事から、わたしたちはいくつもの危機に脅かされていますが、私たち国家の団結と連帯によって、これらに立ち向かってきたと同時に、今後もこの団結と連帯、集団的能力をさらに強固にしていきたい」と話を始めました。

 また、行く年を振り返り、「このような状況の中でも、フランスは、2つのノーベル賞を受賞し、また、文化、スポーツにおいても素晴らしい場面をいくつも分かち合い、我が国にとって芸術、文化、スポーツに影響を与えた年であり、このフランスの自信と誇りを保ち続けましょう」と語るあたりは、少し前のサッカーのワールドカップでのマクロン大統領自身の熱狂ぶりや、また惜しくも決勝戦に敗れたチームを国民全体で讃えるようなコンコルド広場で選手を歓迎するために集まった驚異的な場面を思い浮かべます。

 そして、話題は、少しずつ具体的な課題に突入していきますが、エネルギー危機により叫ばれている電力供給の問題については、節電を続け、原子力発電所を再稼働させれば、停電は避けられると断言したのです。

 そもそものエネルギー危機もありますが、原子力発電所が充分に稼働していなかったことも今回の大きな問題のひとつで、原子力発電所の恒久的な整備は重大な課題でもあります。

 また、歴史的な水準に達しているエネルギー価格については、わが国では価格の上限を維持すると付け加え、明日から、エネルギー価格の高騰の影響をもろに受けている企業に対する追加の適応援助を約束しました。

 コロナウィルスに関しては、わが国の対応は概ね成功してきているとし、ワクチンの有効性が顕著に証明されてきており、必要な人々の追加接種への呼びかけを行いました。

 現在、問題視されている中国の感染急拡大についても、1月から中国からくる飛行機で来仏する人々に対して、検査や分析を行いながら、国境管理をしていくことを述べました。

 そして、最も物議を醸しそうな年金問題について、「今年はまさに、今後数年、数十年にわたって制度のバランスを確保することを目的とした年金改革の年になる」と述べました。

「キャリア延長は10年近くかけて段階的に、かつ公平に行う」とし、個別のケースを考慮することを約束しました。これによって、我が国の老後の資金調達のバランスを取り、最低年金を改善し、子供たちに公正で堅実な社会モデルを引き継ぐことができるとし、「困難な時代の新たな章」に立ち向かうのは、国の柱の多くを再建するという重荷を背負った私たち次第であると説明しています。

 国の財政問題の詳細はわかりませんが、マクロン大統領のいうことは、つくづく、ごもっともなことばかり、とはいえ年金問題に関しては、かなり強烈に反応するフランス人のこと。

 この年末のマクロン大統領の演説は、ともすると、他の部分はすっとばして、年金改革強行宣言ともとられかねない感じもあり、また、2023年もデモが絶え間なく続きそうな予感がしています。


マクロン大統領演説


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2022年12月31日土曜日

すべてを吹き飛ばしてやる! パリ・モンパルナス駅で爆破騒ぎ

  


 年末も押し迫ってきて、今年も残りわずか1日と迫った日、パリ・モンパルナス駅で、よもや爆破騒ぎ?と思われた騒動が起こりました。

 30日金曜日の朝、モンパルナス駅で2人のガスボンベを持った男たちが「すべてを吹き飛ばしてやる!」と騒ぎを起こし、駅構内を警備にあたっていた警察官により逮捕されました。

 この年末のモンパルナス駅は、新年を家族とともに過ごす人々やバカンスに出たり入ったりするパリの大きな窓口の一つになっている駅で、新年のストライキがどうにかおさまったと安堵していたパリジャンを震撼とさせるで事件でした。

 パリ警察によると、一人は51歳のフランス人、もう一人は29歳のリビア人のホームレスだということで、彼らはキャンプ用の9本のガスボンベを持っていたということでしたが、当然、身柄を拘束するまでは、何を所持しているかを確認することは不可能で、年末のモンパルナス駅には、パリ市警の中央研究所から地雷除去隊が派遣されるほどの大騒動になりました。

 パリでは、つい先日、クルド人文化センターを銃撃される事件が起こったばかりで、「すべてを破壊してやる!」と二人の男が駅で騒げば、よもや凶悪テロ?と緊迫状態になるのは、必須のこと。

 実際には、点火装置もなく、ガスボンベだけを持っていたということは、まるで無計画でと言えないところもありますが、点火装置もないのでは、計画的犯行としては、あまりにお粗末で、事件当時、彼らは酒に酔った状態で、精神的に脆弱している状態であったということで、組織的かつ計画的な犯行ではないものと見られていますが、身柄拘束後もこの年配の男は自爆の意思があったことをあらためて表明しているということです。

 この二人の男は警察もノーマークだった人物で、グループなどの組織的な犯行とは考え難いものの、この人の往来の激しいお祭り騒ぎの季節に楽しく浮かれている人が多いと同時にそんな雰囲気に反発を感じている人も一定数いることも事実。

 毎年のように年末のカウントダウンとともにフランスでは、必ず車が燃やされる事件が勃発しますが、その前によもや駅を爆破しようと考える人がいても不思議なことではありません。

 しかし、今回は、キャンプ用ガスボンベ9本という駅を爆破するにしては、お粗末な装備で、事なきを得ましたが、内務相は、このバカンス期間、パリ市内の大きな駅では、警備を強化するよう要請しています。 

 無事に年が越せますように。

 

モンパルナス駅


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