2022年8月3日水曜日

警察署への火炎瓶、迫撃砲花火による襲撃事件連発 警察への報復

 


 パリ近郊のヴィトリ・シュル・セーヌ(ヴァル・ド・マルヌ県)警察署が、黒い服を着て、フードをかぶった約20人の男たちにより火炎瓶と迫撃砲花火で襲撃される・・「警察署が襲撃される」という事件が起こっています。

 これにより警察官二人が負傷しました。

 事件が起きたのは午前1時頃。警察署の建物と駐車場に4本の火炎瓶が投げ込まれ、そのうちのいくつかは囲いを守る投影防止ネットに刺さり、警察署の入り口に向かって花火が発射され、迫撃砲1発が目標に命中し、停車してあった警察車両のうちの1台の車の中で爆発し、車が炎上しました。

 この炎に包まれた攻撃は45分間も続き、警察官は催涙ガスで応戦し、警察署が他の警察署への増援を要請する事態となりました。

 警察官は暴漢の一団を逮捕しようとしましたが、別の暴漢に激しく襲われ、逮捕したのは1名だけ、実際の襲撃にあたった人数よりも、もっと大掛かりな集団での計画的な犯行と見られています。

 この警察署襲撃は、前日に逮捕された男の仲間が警察に報復するためのものと見られているようで、麻薬取引地域を車で巡回していた警察官が、職務質問した男性から攻撃を受け、侮辱されたことにより、彼らは車から降り、「侮辱」と「反抗」の罪で男を逮捕したことに由来していたものだと言われています。

 事件後、捜査が開始されると、いくつかの爆発用の機器が設置されていたため、計画的な犯行であると見られていますが、警察署に攻撃をしかけるとは、よほど警察に対する怒りを抱えているのか?反抗する態度を表明したいのか? 市民の安全を守るはずの警察が攻撃されるのは、深刻な事態です。

 警察側もパトロールの際などに過剰に反応して、暴挙に及ぶこともあるので、彼らを怒らせることがないとは言えないのですが、だからといって、警察署を攻撃するなどというのは、あり得ない話です。

 ヴァル・ド・マルヌ県では、つい3週間前にもシャンピニ・シュル・マルヌ警察署が50人ほどのグループに襲撃されるという同様の事件が起こっていたばかりで、今回の事件に関しても、「公権力者への暴力」「損害」「脅迫行為」の容疑で捜査が開始されましたが、なんとか食い止めなければ、このままでは、ヴァル・ド・マルヌ県は警察署が襲われることで有名になる・・と揶揄されています。

 それにしても、つい先日もリヨンでパトロール中の警察官が群衆に襲われ、リンチ状態にさらされる事件が起こりましたが、どうにも、アンチポリス、警察に反抗するどころか、警察官、警察署を攻撃するという人々が増加しているようです。

 襲撃された警察署に停車してあった車からは、花火用迫撃砲に相当する約60個の迫撃痕が発見され、「より深刻な結果を招きかねない事態である」と警戒を強め、警察官の増員を要請しています。

 しかし、それにしてもパリ、パリ近郊は現時点でさえも、警察官の数は異様に多く、今日も通りかかったパリ・リヨン駅構内には、長い銃を抱えた憲兵隊が何人も立っており(いつものことですが)、また、パリの街中でも結構な警察官のグループが待機しているのを見かけて、相変わらず警察官が多いところだなぁ・・物騒な感じだけど、警察官がいてくれるのは安心と思わなきゃいけないのかな?などと思いながら、パリの街を歩いていました。

 こんなに警察官や憲兵隊がいるのに、それでも警察官が足りないと言っているのですから、やっぱり、つくづくパリは物騒なのだ・・と暗澹たる気持ちです。


パリ近郊警察署襲撃事件


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2022年8月2日火曜日

フランスは保健衛生上の緊急事態期間が終了しました

 


 フランスでは、2020年3月から施行されていた保健衛生上の緊急事態は7月末で終了し、それとともにコロナウィルス感染対策のためにとられたすべての例外措置が終了し、今後、これまで行われてきたロックダウンや行動制限措置等が必要になれば、政府は国会と一つ一つ交渉して、対策を講じなければならない、いわば、通常モードに戻りました。

 科学評議会もまた、2年以上にわたる流行管理に関する勧告を終了しました。

 2020年からこれまでの間、屋内外でのマスク着用、ワクチンパスポート、外出禁止令やロックダウンなど、フランスは国で罰金付きの厳しい制限を行ってきました。パンデミックが発生した2020年3月以来、この保健衛生上の緊急事態期間は最初のロックダウン開始3日後から、これまで3回にわたり延長されてきましたが、今回は延長されることはありませんでした。

 自由とか、権利とかをとかく主張したがるフランス人に対して、これまでのような強制的な処置がとられてきたということは、なかなか歴史的にも特異な期間であったような気がします。パンデミックが始まった時にマクロン大統領は「我々は、今戦争状態にある」と宣言しましたが、戦争でもないのにロックダウンなどという耳慣れない言葉が普通に使われるようになって、確かに異常な期間でした。(まさか、その後、本当の戦争が地続きの国で起こるとは思ってもみませんでしたが・・)

 フランスは6月末から7月初旬にかけて、1日の新規感染者数が20万人を突破する第7波を迎えていましたが、その後、特に対策も講じずにいつの間にか感染者数は減少し始め、さすがに一時は、重症患者数も増加しましたが、壊滅的な被害に陥るほどにはならずに第7波を乗り越えてきました。

 今回の緊急事態期間の終了は、逆に言えば、コロナウィルスに関して、特別扱いをやめるということで、これ以上は、マスクをしようとしまいと、ワクチンをしようとしまいと個人の自由に委ねるということです。

 それでも、コロナウィルスか終息したわけでもなく、感染は依然として続いており、先週1週間の1日の平均感染者数は5万人前後です。しかし、重症化する人が激増しない以上、これ以上の制限を加え続けるべきではないと判断し、日常生活を完全復活させる道を選択したのです。要は、これ以上は多少の被害は止むを得ないと判断したということです。

 一方、31日(日)に官報に掲載された法令では、病院、医療・社会福祉施設、薬局、医学生物学研究所の責任者が、6年以上マスクを着用することを義務付けることができると明記されていまおり、パリ公立病院(AP-HP)、ボルドーやニースのCHUなど、マスク義務を維持することを選択した病院もあります。

 しかし、これは、医療施設での話で、もともとパンデミックでなくともマスクをしていた方が良さそうな場所で、あまり、問題ではなさそうです。

 フランスでは、5月の段階で、すでに公共交通機関でのマスク着用義務化が解除されて以来、ほぼ、全ての感染対策の義務が解除した形でしたが、それから波を一つ乗り越えて、今回の緊急事態期間の終了ということで、完全に日常生活復活宣言になりました。

 そんなことには、おかまいなしにバカンスシーズン真っ只中のフランスは皆がバカンスに出かけ、観光客も2019年(パンデミック以前)よりも10%増という状況に戻っており、いつまでも、ビクビクしてはいられない(実際、ほとんどの人が全くビクついていない)というところです。

 重症化のリスクの高い人はマスクをして、追加のワクチンをすれば、それでいいんじゃないかということです。

 私は、自分の判断で追加のワクチン接種をしましたが、それは全ての人がそうしなければならないとも思いません。

 多少、不安は残りますが、重症化する人が減少している現在、ただの風邪と変わらないとまでは言えませんが、いつまでも危ない危ないと言って、行動制限を続けるのは、なんとなくもう社会全体のバランスが保てなくなってきているのかもしれません。


フランス緊急事態期間終了


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2022年8月1日月曜日

フランス人の夫の元妻との離婚理由は宗教だった・・

 


 安倍元総理の襲撃事件をきっかけに、日本では盛んに統一教会の問題が騒がれているようですが、その宗教問題はもちろんのこと、それに関わる政治家との関わりや捜査に至らなかった経緯など、なんだか話を聞けば聞くほど、暗澹たる気持ちになってきます。

 この話に関連して、フランスには反セクト法があり、このような事態には至らないという話も話の端々に出てきていますが、たしかに、フランスにも新興宗教(セクトとかカルトとか呼んでいる)は存在しても、霊感商法などの話はあまり聞かないな・・などと思っていました。

 しかし、考えてみれば、我が家の場合は、ごくごく身近にそんな感じのことがあったのを思い出しました。

 それは、私の夫の元妻が新興宗教なのかどうかはわかりませんが、かなり宗教にどっぷり浸かっていたという話で、私は直接にはよく知らないのですが、プロテスタント系のキリスト教会に通っていて、その傾倒の仕方がかなり激しいもので、ほぼ生活のすべてが教会を中心に廻り始めて、日曜日の礼拝に通うくらいなら、まあまあ理解はできるのですが、そのうち、毎日になり、なんでも教会に寄付してしまうという事態に発展し始めたのだそうです。

 初期の頃は、夫も一緒に教会に通っていたらしいのですが、元妻の方ののめり込みが尋常ではなくなり、付き合いきれなくなり、子供に対しても教会通いは絶対的な強制事項で、テレビなども禁止、本なども制限されるというなかなかな厳しい状況になっていった中、夫が交通事故でかなりの重症を負った際に、教会の人々がここぞとばかりにおしかけてきて、その中の何人かから、「今回の事故はあなたの信仰が足りないせいだ・・」と言われたとかで、その時点で夫はブチ切れ、教会とは縁を切ったようです。

 その後、教会生活中心の元妻とはうまくいかなくなるのは当然の話で、仕事の都合で転勤も多かった夫とは、ますます関係は悪化していったようです。

 私が彼に出会ったのはそれから、ずっと後のことでしたが、彼の子供たち(元妻と生活していた)、特に一番下の男の子(当時は小学生だった)は、土日になると、よく家に泊まりにきていました。その子が我が家にきていたのには、パパに会いたいということもあったのでしょうが、パパのところに行けば、教会に行かなくても済む・・というのも大きな理由の一つでもあり、また、家では禁止されているテレビも見れるし、ママからは禁止されていたおばあさまに買ってもらったテレビゲームなどは自分の家においておくと、ママに取り上げられてしまうために我が家においてあり、ここぞとばかりにゲームをしたり好きな本を読んだりしていました。

 長男は、もう母親の洗脳?にどっぷり浸かり、かなり優秀で、高学歴で、一度はフランス大手の銀行に就職したのですが、結局、銀行での仕事に馴染むことができずに、今でも宗教の道を歩んでいます。結局のところ、もう誰に強制されるわけでもなく、自分で選択した道を信念を持って歩んでいるのだし、人に害を与えるわけでもないので、それはそれで良いのかもしれません。すごく純粋で優しい子なのです。

 家によくきていた一番下の男の子は、本人の希望と夫の配慮もあり、母親と教会から隔離する意味もあって、高校入学を機に、全寮制の学校に進んで、それ以来、母親とも教会ともほどほどの距離を保っているようです。

 その教会が新興宗教であったのかどうかはよくわかりませんが、それがたとえ、セクトではない普通の教会であったとしても、あまりに狂信的な信仰のために家庭が崩壊したことには違いありません。

 考えてみれば、コロナウィルスによるパンデミックがフランスで最初に広まったのは、地方で行われていたちょっと???と思われるキリスト教会の全国から信者が集まる集会のようなものでもありました。

 私は教会などに通ったことはないので、そういう世界の中のことはわかりませんが、やはり、ある程度、一般社会からの隔離のようなことを強いたりするのは、不自然でましてや子供までというのは、気の毒な気がします。

 とはいえ、信仰を持つ本人は、それが良いこと、正しいことと信じているのですから、子供に対しても、そのように教育しようとするのは当然とも思うのですが、統一教会の2世問題などを見るにつけ、以前、家に来ていた夫の子供などを思い起こすに、複雑な気持ちになります。


フランスの新興宗教 セクト カルト 


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2022年7月31日日曜日

森林火災の放火犯は消防士だった!しかも、数年にわたる常習犯だった!

  


 夏になると森林火災が発生するのは、フランスに来てから、毎年のことで、日本では、あまり森林火災の被害をあまり聞いたことがなかったので、こんなに毎年毎年、山火事が起こることが私にとっては、不思議でもありました。

 特にここ数年、地球温暖化による猛暑が続き、異常に森林が乾燥していることも手伝って、一度、燃え始めた森林の火は、瞬く間に広がり、何万ヘクタールも焼けてしまうとか、消火に何日もかかるほどの大規模な火災に発展し、今年の夏などは、テレビのニュースなどでは、いつもどこかの森が燃えている映像が流れ続けていました。

 こんなに度重なる森林火災も、まさに火のないところに煙は立たないわけで、自然に発生することはなく、キャンプの火の不始末や放火が原因であろうと言われていました。

 それが、今年、何件も発生している森林火災のうちの一つ、エロー県(オクシタニー地域圏・モンペリエの近く)で発生した森林火災の放火犯が逮捕され、それが、こともあろうに消防士であったという事実を聞いて、驚いています。

 森林火災後の捜査により、この付近での森林火災での複数の火事の発端で、彼の車が目撃されており、嫌疑がかけられた結果、この37歳の消防士が犯行を自供したということです。彼は20年間も森林消防隊員として勤務していた人です。火を消すはずの人が火をつけていたのですから、もう呆然です。

 彼は犯行の動機を、消火活動を引き起こし、人々から賞賛されたかった(社会的認知を得たかった)・・、抑圧的な家庭環境から逃れ、火災から誘発されるアドレナリン欲しさ、つまり、火が燃えるのを見て、興奮を味わい現実逃避したかったためだったと話しています。

 彼の犯行には、多くの同僚が彼に対する嫌悪感と裏切りを感じていると話しています。それはあたりまえです。命の危険を冒して仕事しているのに、自分達の仲間だと思っていた人が犯人だったなんて・・。

 驚くことに彼は、今年は、短い期間に2回も放火しており、過去3年間に何度も放火したことを認めています。つまり、常習犯だったわけです。

 火が燃える光景は、時に人の心を癒すなどともいわれ、人間の本能にも通ずるところがあり、YouTubeなどでも、「よく眠れる夜通し焚き火」などの映像があったりしますし、キャンプファイヤーなど、みんなで火を囲んで集ったりすることもあります。

 しかし、普通は人に迷惑をかけない範囲内でのことで、ましてや彼の仕事は消防士。当然、火が燃えている場面を目にする仕事ですが、それを故意に起こすことなど決してあってはならないことです。

 フランスでは、デモや暴動などが起こって、何かあるとすぐにゴミ箱が燃やされたり、車が燃やされたり、時には銀行などが燃やされたりすることもあり、火をつける、放火行為はそれほど珍しいことではありません。

 しかし、彼の場合はその火を消すという仕事の消防士、自分で火をつけて、その火を消して賞賛を受けようとする自作自演?は、普通の放火とはまた、別格の問題、極めて悪質です。

 今回の事件は、消防士の採用方法への問題も投げかけています。消防士の採用にあたっては、身体的・精神的な健康診断があり、採用後も年1回の健康診断の受診も義務付けられています。

 彼のように、賞賛を得たいため、火を見て興奮したいために火をつけるという状態は、常軌を逸していますが、彼のような精神状態を健康診断で見抜くことは非常に困難なことです。普通、消防士にそのような欲望があったとしても検査にはそんな欲望は隠して検査に臨みますから・・。

 全国消防連盟は採用時にすべての犯罪記録の閲覧を求めているとしていますが、彼が放火を始めたとしているのは、消防士になって、10年以上経過してからのことです。

 検察庁は、彼の身柄を拘束し、「人を身体的危害にさらす可能性の高い状況で、他人の所有する森林、湿原、低木林または植林地を破壊した」ことについて司法調査を開始しました。

 これらの行為は、15年の禁固刑と15万ユーロの罰金に処せられます。



森林火災放火犯 消防士


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2022年7月30日土曜日

パリ8区の高級レストラン人種差別問題で大炎上

  


 パリ8区のアヴェニューモンテーニュ(高級ブティックが並ぶ有名な通り)にある高級レストランで3人の若い女性が、予約していたにもかかわらず入店を拒否され、人種差別であると訴えて、その模様をTikTokに投稿したことから、この映像は、あっという間に65万回再生され、大炎上し、ついには、出身、民族、国籍に基づく差別で検察庁の捜査が入る大騒動に発展しました。

 この騒動は、ペルーのカクテルと料理のレストランで、レストランの警備員とパリを訪れたモントリオールからの客3人が口論になったことに端を発しています。そのうちの1人がTikTokに投稿した動画には、レストランの入り口で警備員と口論している様子が映っています。

 警備員は、彼女らの服装が「ソワレに適さない」といって、中に入れるのを拒否しています。若い女性3人は、ハイヒールを履いています。彼女らによると、警備員が肌の色を理由に入店を阻んだと訴えていて、ビデオには、服装に関係なく問題なく施設に入ることができた他の白人も映っており、別の黒人カップルはカナダ人の友人3人と同じ理由で入店を拒否されています。

 これが現実だ・・と映像の中で彼女らの一人が叫び、「これが私の初めての人種差別の経験だ」と付け加えています。

 彼女らのSNSでの訴えが異常な拡がりを見せたため、このレストラングループはInstagramとFacebookで謝罪。「私たちは、すべての人に平等、尊敬、寛容、博愛を持って接しております。このようなことが起こったことには、私たちもまた、ショックを受け、この応対をしたサービス会社に雇われた警備員によるこの行為を逆に非難。

「私たちが彼に依頼したのは、泥酔者や薬物を摂取した人の入店を拒否することだけだった」と逆に凶弾し、この応対にあたった警備員を解雇したことを発表しました。

 しかし、この謝罪のコメントには、再び否定的なコメントが殺到し、結局、削除せざるを得ない状況に陥りました。また、解雇された警備員もまた、黙ってはおらず、テレビの取材に答える形で、「自分は上司から、グループの方針に従って、多くのアフリカ人、多くの北アフリカ人を入れてはいけない」と指示されたと語っています。

 これに対してレストラン側も「そのような事実に関する注意喚起が行われたことは一度もなく、情報伝達の不備があった可能性があることをお断りしておきます。」と反論していますが、どちらにしても、映像としての証拠が記録されていることから、誰の判断による入店拒否にせよ、差別が存在することは事実なのです。

 このような騒ぎはこれが初めてのことでもなく、以前に、同じくパリ8区のレストランで、「アラブ系の名前」や「中東から来る観光客(対象国はカタール、アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビア)」の予約を拒否し、「アラブとベールの女性」を排除した差別的システムを構築していた」ことが告発されたことがありました。

 その度に、同じような問答が繰り返され、レストラン側はとかげのしっぽ切りをして、言い訳をして、人権擁護団体などが騒ぎ出すのですが、残念ながら、フランスの人種差別問題は根深く、止むことはないのです。

 それが、高級レストランであればあるほど、その傾向は著しいような気もします。

 日本人(アジア人)とて、決して差別されないわけでもなく、入店拒否とまではいかないまでも、末席に配置されがちだという話などもよく聞く話です。

 めげずに、あっちの席にしてほしい・・とか、率直に言えば、解消されることも多々あるので、黙って我慢せずにしっかり意思を伝えるか、予約の際に席の場所を指定などして、できるだけ嫌な思いをしないようにすることもできます。

 いずれにせよ、黙って我慢するということは、フランスではやるべきではないのです。


パリ8区高級レストラン人種差別問題


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2022年7月29日金曜日

ひまわりオイルの次はマスタードがない! フランスのマスタード不足

  


 

 ウクライナでの戦争が始まって、そろそろ半年近くなります。物価がどんどん上昇したり、スーパーマーケットの棚からひまわりオイルに始まって、あらゆる食用オイルが消えたり、出てきたと思ったら、値段が急上昇しているにもかかわらず、飛ぶように売れたりと、今まで見たことのなかった現象が起こっています。

 ここ数ヶ月の間、スーパーマーケットに買い物に行くと、マスタードの棚がガラガラになっていることがあって、最初は、「え??出し忘れてる??」(フランスの場合、そういうこともあり得る)と思ったものの、しばらくすると、また、置いてあるけれど、今度はスカスカで・・、次に行くと「えっ??また、ないの?」ということが続いて、ようやく、今、フランスではマスタードが不足していることに気がついたら、「マスタード不足」という報道が始まって、これからさらに買い占めが始まるのでは・・と案じています。

 フランスで美味しい食べ物といえば、バターやチーズ、生クリームなどの乳製品やパンやお菓子などを思い浮かべる人が多いと思いますが、私がフランスに来て以来、目覚めた食品の一つは、マスタードでもあります。

 色々なマスタードを試してみると、マスタードというものは、それぞれに香りといい、味わいといい、なかなか奥深く、美味しいマスタードに出会うとちょっとテンションがあがります。

 とはいえ、私自身は、普段、家で食事をしている限り、和食あるいは、日本の食卓に近い食事に偏りがちなこともあり、それほどマスタードを使うわけではないのですが、フランス人の夫などは、かなりマスタードを消費します。

 とにかくステーキなどにはもちろんのこと、茹で野菜などにマヨネーズの代わり?と思うくらいにつけて食べ、食後もいじましく、マスタードを舐めたりするのに最初はびっくりしたくらいでした。(なぜか、彼はマヨネーズを身体に悪い食品として、目の敵のように思っているので、マヨネーズも好きな私としては、ちょっとムッとするくらいでした)

 しかし、やはり、食べつけてみると、マスタードというものは、なかなか味わい深いものでもあり、習慣化すると、欠かせない食品でもあります。

 おそらく、フランス人にとって、マスタードは日本人にとってのお味噌とかお醤油のような存在で、普通にそのまま何かにつけて食べる以外にもサラダのドレッシングに使ったり、フランス料理のソースにも結構、使ったりするので、一般のフランス人家庭は相当量のマスタードを消費していると思われます。

 スーパーマーケットに行っても、マスタードの棚は種類がいっぱいで、どれだけフランス人がマスタードを使用しているかが垣間みることができます。考えてみれば、スーパーマーケットにおける場所の割き方をみれば、日本に比べてどれだけ違う食品群に場所を割いているのかで、フランス人の食べ物の傾向がわかります。

 このマスタードもそうなのですが、バター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品の多さにも驚きますが、チョコレートの多さもまた、驚くほどです。

 今回のマスタード不足の原因は、マスタードシードの不足によるもので、フランスのマスタードはフレンチマスタードといいながら、マスタードシードの9割はウクライナとカナダからの輸入品なのだそうで、ウクライナからのものが入らないばかりでなく、カナダからのマスタードシード(フランスのマスタードの8割がカナダ産のマスタードシードを使用)も昨年のカナダでの干ばつの影響で輸入がストップしてしまったことによるものなのだそうです。

 パリ・マドレーヌにあるフランスを代表するマスタード「アモラ・マイユ社」のメゾン・マイユでは、数量限定販売が始まっており、「1家族につき1瓶のみの販売とさせていただきます」と書かれており、日替わり銘柄はすぐに完売状態。無いとなると買っておきたくなる消費者心理も後押ししているのかもしれません。

 フランス国内では圧倒的に生産量が多いブルゴーニュ地方では、近年停滞していたマスタードシードの生産農家はこの作物を放棄し、より収益性の高い作物への切り替えを余儀なくされていたものの、一転して、このマスタードシードが金を生む産物に代わり、増産体制に切り替えています。

 輸入に頼ることができなくなった小麦やひまわりや菜種などの生産を増加させたのと同時に、また、マスタードシードもフランス国内での生産を増加させる方向に切り替わっています。

 フランスは食料自給率がかなり高い国だと聞いていましたが、それでも、こうやって、食料不足の問題は起こってくるのです。

 パンデミックや戦争などが起こって、流通がままならなくなり、頼るは自国生産、自分たちの食べるものは自分たちで作るということになるのは、どこの国も同じです。本来ならば、気候や得意分野に応じて、世界で協力し合えることが望ましいのでしょうが、この不安定な情勢では、自国自衛は食糧においても同じなのです。


フランスのマスタード不足


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2022年7月28日木曜日

パリ13区にサル痘専門ワクチンセンターオープン

  


 コロナウィルスも収束しないうちに「サル痘」なるあまり聞きなれない病気が騒がれ出したのは、今年5月のことでした。なぜだか、コロナウィルス同様、またヨーロッパを中心に感染が拡大し始めたというニュースに、なんでまたヨーロッパ??と正直、うんざりしていました。

 その後、コロナウィルスの感染が再び急上昇し始め、第7波はいつピークを迎えるのか?などと言っている間に、「サル痘」の方も着実に拡大していたようで、WHO(世界保健機構)は先週末、サル痘に対する警戒体制を最高レベルに引き上げるという発表をしています。

 元来はアフリカ大陸で流行している「サル痘」が5月初旬から報告されている症例はヨーロッパに集中しているのです。

 国際保健規則によると、最高レベルの警戒体制とは「疾病が国際的に広がる可能性があるため、他の国に対する公衆衛生上のリスクを構成すると判断され、かつ国際的な協調行動を必要とする可能性のある異常事態」とされている。WHOがこの警告レベルを使用するのは、今回で7回目です。

 パンデミックの前段階認定のような感じなのかもしれません。

 「サル痘」は、5月以降、で74カ国で16,836人以上の人の感染が報告されています。

 そのうちフランスでは、現在約1,745人のサル痘患者が確認されており、決してヨーロッパ内でも感染者が少ない国ではありません。またフランスのサル痘感染者1,745人のうち、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)は、その約半分の患者がいる最も感染の多い地域です。

 そんな背景もあってのことなのか、欧州医薬品庁(EMA)が先週末に、サル痘の蔓延に対抗するため、ヒトの天然痘に対応するワクチンの使用を承認した直後、今週になって、パリ市役所が運営する最初のサル痘専門ワクチンセンターが、パリ13区にオープンしました。

 HAS(高等保険機関)によると、サル痘の場合は、皮膚や粘膜の接触で感染すると言われており、感染のリスクが高いのは、患者と接触する医療関係者、「男性と性的関係を持つ」男性、「売春をしている人」などが挙げられています。

 パリには、この天然痘対応のワクチン接種ができる公立病院は他にもありますが、予約が取りにくいことから、サル痘専門のワクチンセンターを作り、早急にワクチン接種を拡大する方向に舵をとりはじめたようです。

 サル痘ワクチンに関しては、公立病院は完全に飽和状態で、10月まで待たされるとかで、この新しく設立されたサル痘専門のワクチンセンターだと比較的、スムーズに予約がとれるようです。そもそも、コロナウィルスやバカンス問題でそうでなくとも公立病院の人出不足が深刻なところ、どんどん課題?が増えるのですから、何もかも公立病院で賄おうとするより、専門のワクチンセンターを作った方がきっと、事が進むのが早いのです。

 ワクチン接種に関する処方箋は不要とされており、事前の問診の後、すぐにワクチン接種が受けられるようになっており、またワクチンセンターで直接予約することも可能です。もちろん、Doctolib(ドクトリブ・医療関係の予約システムのサイト)などのネットでの予約も可能です。

 しかし、パリ市議会は、さらにサル痘予防接種のための投与量と人員を増やすため、国に対して「緊急措置」を求めており、先週末に保健省が発表した3万回分のワクチンでは「まったく足りない」と主張しています。

 パリ地域のリスクのある人すべてにワクチンを接種するには、実際には、その10倍は必要だと言われています。正直、このサル痘の感染に関してはコロナウィルスのような不特定多数の感染ではなく、ワクチン接種とはいえ、かなり限られた人々が必要なワクチンだと思っていただけに、このある程度、限定された人々が30万人以上もいるのか?とちょっと別の驚きを覚えたのでした。(まあ、そうかもしれないな・・とも思うけど・・)

 また、ワクチンといえば、「ワクチン反対キャンペーン」を唱える人々もまた、出現する中、パリ市長は、このワクチン接種が必要な人々全てが9月までにワクチン接種を受けられる体制をとらなければならないと 「もっと真剣で迅速な採用システム」を導入するよう政府に求めています。


・Le centre Edison(Centre Vaccination contre Variole du singe) 

   44 rue Charles Moureu 75013 Paris

 月〜金 9時〜18時、土 午前中のみ

  

パリ サル痘専門ワクチンセンター 


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