2021年5月12日水曜日

フランス人女性の美しさの基準と美容整形手術

 


 日本で生まれ育ってきた私がフランス人は日本とは違うな・・と思うことの一つには、女性の美しさについての基準の違いがあります。

 フランス人のある程度の年齢以上の女性にとっては(若い女性であっても)、「かわいい」ということよりも、「かっこいい」とか、「セクシー」であることの方が好まれるような気がします。

 いわゆる「ぶりっ子」(今も日本で使われている言葉かどうかわかりませんが・・)のような「可愛さ」は、どちらかというと幼稚か、ちょっとどこか足りないように受け取られかねません。

 そして、日本のような「美白崇拝」とは正反対で、皆、こぞって日焼けしたがります。これからの季節は特に、日焼けしていることは、リッチなバカンスを満喫しているという一種のステータスでもあるので、結構な年齢の女性も「日焼け後のお肌のお手入れは・・?」などと、私がこっそり思ったりしているのをよそに、実に自信満々に日焼けして、ガビガビになった肌を堂々とさらして誇らしげにしています。

 日本人のような、こまめなお肌のお手入れをしているとは思い難く、シャネルやディオール、ランコムなどの高級化粧品会社の本国であるはずのフランスでは、実際には、それほどお肌に気を使った生活をしているとは思い難い感じがします。

 しかし、だからと言って、彼女たちは、決して美を意識していないわけではなく、むしろ、彼女たちは、歳を重ねても、いつまでも女であることを捨てることはありません。単に、美しさに関する観念が違うだけなのです。その証拠に、フランス人には、美容整形手術をしている人が、少なくありません。

 実際には、「やったよ!やったよ!」とフレまわることでもないので、あまり、おおっぴらにはなりませんが、しかし、かといって、それをひた隠しにする感じでもありません。

 今は、コロナ禍で閉鎖されていますが、以前、私が通っていたスポーツクラブの更衣室やサウナ、ハマムなどで見かける、女性同士とはいえ、あまりにあっけらかんと脱ぎっぷりのよい彼女たち彼女たちの裸体には、明らかに豊胸手術の跡と思われる微かな傷が脇下などに見かけられることが多く、「あぁ〜この人もやってるんだ・・」と見てはいけないようなものを見てしまったような気がしていたのですが、もしも私が、「豊胸手術したの?」と聞いてみたら、案外、あっさりと、色々と話してくれそうな気もします。

 私がスポーツジムに行っていたのは、仕事が終わった後のせいぜい1時間程度の夕方の短い時間帯だったので、年齢層も割と限られていて、比較的経済的にも余裕のある子供にも手がかからなくなっている40代後半から50代くらいの女性が多かったので、年代は、偏りがあったかもしれません。

 今はむしろ、SNSフランスでの美容整形手術は、35歳未満の人の方が多いというのですから、それはそれで驚きです。しかも、現在は、傷跡が残らないヒアルロン酸などの方法も発達し、エイジングを遅らせる効果もあるなどと宣伝されているため、若い人の間で、ますます広まりつつあるようです。

 フランスで圧倒的に多いのは、豊胸手術や豊尻、唇などのボリュームアップや鼻の形を整える、脂肪吸引などですが、どちらかというと、セクシー系に変身したい願望が強いような感じを受けます。

 しかし、どうにも美容整形手術は、やり始めるとクセになる傾向にあることは、どこの国でも同じようで、しかも、むしろ、どこを直すの?と思うような美しい人にかぎって、整形したがるような気もします。

 以前の私の職場にいた女性で、この美容整形を繰り返している人がいて、彼女はフランス人でありながら、本当にバカンスにも滅多に行かず、仕事も決して休まない珍しい人でしたが、子供もいなくて、経済的にも余裕があるせいもあってなのか、洋服を買うのが趣味のおしゃれな人で、彼女が数回、会社を休んだのは、美容整形手術のためでした。

 別に彼女は、手術を隠す様子もなく、痛々しい傷跡を見せてくれたりもしていましたが、(彼女が行ったのは、顔のたるみを引っ張る手術でした)彼女自身は、私よりもかなり年長でしたが、スリムで綺麗な人でした。

 以前、仕事の関係で出会ったタイ人の女性などは、顔も身体も全身、いじっていると言っていた人がいました。そんなわけで綺麗な人で、スタイルも抜群でしたが、比較的小柄で、さすがに身長だけは、変えられないんだな・・などと、ちょっと意地悪く思ったりもしました。

 つい先日も、娘の彼氏のお母さんが痩せるために、胃の入り口を狭める手術をしたとかで、これは、脂肪吸引ともまた別で、美容整形とは少し違うかもしれませんが、ダイエットのために食べられる量を身体の内部から変えるという大胆な方法。

 私など、そうでなくとも年齢につれて、食欲と胃腸のバランスが追いつけなくなり、そうそう食べられなくなってきたのを悔しく思っているくらいで、食べ過ぎたと思ったら、少し気をつけて身体をできるだけ動かすようにするとか、できるだけ食べることを優先にしているくらいで、これ以上、身体が受け付けないように胃を小さくしてしまうなんて考えられないことです。

 昨年から1年以上も続いているパンデミックによるロックダウンやリモートワーク、マスク着用の義務化などで、あまり人に気付かれずに、ますます見えないところで、広まっていると思われるフランスの美容整形手術。

 ロックダウンが解除されて、みんながバカンスに出る頃には、さぞかし美しい人がビーチでこぞって、日焼けしているのではないかと思っています。


フランスの美容整形手術

<関連記事>

「フランス人は、女を捨てない! パリのジムでの大らかなパリジェンヌたち」

「フランス最大の化粧品会社ロレアル商品の美白表現撤廃 フランス人は美白がいいとは思っていない」

「フランス人にとっての夫婦の寝室」

「美しく歳を重ねる同じアパートのフランス人のマダム」

「フランス人の若い女の子は、前髪を切らない」


 

2021年5月11日火曜日

歯医者で見えるフランスでの優先順位 ここでも出てくるバカンスの優先度

 


 このコロナ禍に嫌だなぁ・・と思いつつ、必要にかられて、私は、昨年の10月の末頃から歯医者さんに通っています。歯医者さんでのコロナウィルスに対する衛生管理など、色々と気付くこともありましたが、一応は、きちんとしていて、抜歯した後にインプラントをすることにして、要は、その抜いた後がしっかり固まるのを見極めるために、抜歯以来、4〜5回、歯医者さんに通っています。

 前回の診察で、その周辺の歯の治療も含めて、どちらを先にするかとか、どのようにするか、いつやるか・・などを検討中でした。

 一応、6月の初旬にインプラントの手術をする予定になっていて、今回はまず、その隣の歯の仮の治療をすることになっていたのですが、行ってみると、歯医者さんも「さて、今日は、何だったっけ?」などと言い出すので、一瞬、ムッとして、「今日は、隣の歯の仮のかぶせものをするのでは?」と言ったら、「今日は、予約が詰まっているから、そんなことをしている時間はない・・」などと言い出すので、「じゃあ、今日は、何のためにあなたは、私の予約を入れたの? ずるずる先延ばしにするのは、いい加減にして! この間、言っていたことと違うじゃないの?」と、ちょっと怒ったら、次の予約をずらして、予定どおりの治療をしてくれました。

 「やっぱり、簡単に引き下がっては、事は進まないんだ・・フランスは・・」と思いながら、その日の予定の治療を済ませて、いよいよ、次のインプラントの予約を決めるにあたって、1ヶ月以上前のレントゲン写真を見て、「もう少し、時期は先にずらした方がいいと思う。6月半ば、もしくは7月以降、あるいは8月くらいの方がいいかもしれない・・」などと言い出しました。

 そういえば、6月には、2回目のワクチン接種がある!こと思い出して、その旨を伝えたら、「今は、ワクチン接種が最優先だから、ワクチンをしたら、10日くらいは、手術はずらさなければならないから、2回目のワクチン予約はいつ?」「まだ、取ってない・・」「それなら、まず、ワクチンの予約をとってからね。一応、前回にとった予約をキープして、ワクチン接種の予定がわかったら、電話して!それで日程は決めましょう!」ということで、一段落。

 7月、8月に入れば、フランス人にとって年間の一大イベントの夏のバカンスの時期です。「バカンスには行くの?」と不意に話がバカンスの話題になったいので、「まだ、決めてないけど、行ければ行きたいと思っている。パンデミック次第かな?」と答えると、さすがにフランス人。予定は、一気にワクチンの次にバカンス優先の方向のスケジュール調整に進みます。

「手術してから1ヶ月間は、すぐに私が見られるところにいた方がいいから、それなら、バカンス前にその1ヶ月間を取らなければならないから・・6月中にした方がいいわね・・」と話は、急展開に・・。

「歯の治療に関しても、自動的?に、バカンスを優先して考えてくれるんだ・・」何とか、先に延ばそうとしていた今後の歯の治療の予定を組むのにも、優先事項として登場するのは、バカンスなのです。

「今は、ワクチン接種が何より最優先だから!」と彼女は言っていましたが、それは事実であるとしても、こんな局面でも、ワクチンの次に優先順位が来るのは、やっぱりバカンスなんだ・・と、あらためてフランス人にとってのバカンスの優先順位の高さを思い知らされたのでした。

 しかし、実のところは、私自身は、まだバカンスに行くかどうかは決めてはおらず、「行けたら、行きたい・・それもパンデミックの様子次第・・」それでも、私がバカンスに行くことを前提にして、予定を組んでくれることに、(彼女は、バカンスには、当然、行くものと判断している)私としては、あっけに取られた気分でした。

 家に戻って、さっそく、ワクチン接種をしてもらう予定の、かかりつけのお医者さんに電話したら、あっさり6月5日に2回目のワクチン接種の予約が取れ、さらに歯医者さんに電話すると、結局、インプラントの手術は、6月21日に決まりました。

 手術の48時間前から抗生物質の薬を飲んで、朝はしっかり食べて来ること、また、手術に関しての質問表と同意書をポストに入れておいて!と言われて、あっさり予定は決まりました。

 決まったとはいえ、予定どおりに行かないのがフランス。しかし、もういい加減、歯の治療を始めて、半年以上。パンデミックという不可抗力があったとはいえ、あまりに長くかかるこの歯の治療に実際の手術の前から、私はもうすでに、かなりウンザリしています。

 思いがけずに、出かけるかどうかもまだわからない夏のバカンスのおかげで、どうにか、治療が進みそうなことを喜びつつも、まだまだ私は、フランスをわかっていなかった・・と、これからは、何か急ぐことがあったら、バカンス前の駆け込みで何かことを始めるという技を身につけるべきかな?などと考え始めているのです。


<関連記事>

「コロナ禍中のフランスの歯医者 ①」

「コロナ禍中のフランスの歯医者 ② インプラントと入れ歯」

「コロナ渦中のフランスの歯医者③ ミューチュエル(国民健康保険でカバーしない分をカバーする保険)乗り換え」

「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」

「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」







 

2021年5月10日月曜日

殺害された麻薬取締りの警察官の追悼式に全国から1万人近く集まるフランス人の温情と、ますます危険度が高まるフランスの警察官

 Image


 警察関係者のみならず、地元住民や元警察官など、全国から約1万人の人々が先週、麻薬取締り中に射殺された警察官の追悼式に参加するために、アヴィニヨンの警察署前に集結しました。

 ちょっとこのご時世にこれだけの人だかりには、ギョッとするところもありますが、さすがにこのようなところに参加する人々は、フランス人とて、マスク率が非常に高く、パーティー騒ぎで人だかりになっている場所とは、集まる層がちょっと違うんだな・・と感じます。

 先週、アヴィニヨンで白昼堂々、麻薬取締りのために駆けつけた36歳の警察官が突然、銃で撃たれて死亡した事件は、衝撃的な事件でしたが、その犠牲になった警察官のために、それを単なるニュースとして見過ごさず、これだけの人が追悼に訪れるところが、フランスらしいところなのです。

 花を手向ける人、メッセージを置いていく人、フランスがこのような危険な状態であり続けることは許されないと抗議の意味を込めて訪れる人、その理由は、それぞれ、さまざまではありますが、このような追悼式が一般市民も含めて大きく行われ、犠牲者となった警察官の死を悼み、それぞれの想いを分かち合いながら、マルセイエイズ(フランス国歌)を歌ったりするところは、私が好きなフランスの一面でもあります。

 一見、冷たい印象もあるフランス人の、その実、とても心暖かく、危機に直面している人を決して、見捨てない、寄り添ってくれる優しい一面がこのような場面に表れているような気がするのです。

 懸命な警察の捜査により、この事件の容疑者二人が逮捕されたようです。しかし、逮捕されたと言っても、彼らは大勢のうちのほんの一部、麻薬の売買の現場に銃を携帯している人は、今もたくさんいるはずなのです。

 こんな事件が起こった後でも麻薬の取り締りを続けなければならない警察官の恐怖は、計り知れません。


 そんな中、昨日は、フレジュス(プロヴァンス・アルプ・コート・ダ・ジュール地域圏)ガベル地区で、夜11時半頃に70人〜80人ほどが暴れ出し、15軒ほどのショーウィンドーが壊され、3台の車が燃やされるという事件が起こりました。


                 Image


 駆けつけた警察官に向けて、火炎砲が投げつけられ、少なくとも4人の警察官が負傷しています。

 この地域は、過激なイスラム主義と麻薬密売組織のある地域で、この日の夜中の暴挙は、そのどちらによるものかは、今のところ断定されてはいません。

 ここ数週間にわたり、この地域は、緊張状態が続いていましたが、2週間前にはこの近辺で8キロの大麻が押収されたことからも、麻薬密売の一つのポイントであることは間違いなさそうです。

 政府は、このフレジュスに翌日から70人の追加の警察官を動員しています。

 先週、アヴィニョンで警察官が殺害されたのも麻薬取引の現場で、麻薬・ドラッグの問題は、もはや、一部の地域だけにとどまらず、これも、フランスの多くの街で起こっているごくごく一部であるに過ぎません。

 コロナウィルスとの戦いもまだ済まない中、イスラム過激派によるテロに続いて、麻薬・ドラッグの密売組織と警察の戦いが、どんどん表面化しています。

 ウィルスとだけでなく、人間同士が戦わなければならないこの麻薬・ドラッグ問題。

 パンデミック・ロックダウン中に、コロナウィルスだけではなく、この麻薬密売組織の勢力がいつの間にか、拡大していた気がしてなりません。

 社会全体が弱っている時に蔓延る(はびこる)のは、妙な新興宗教や麻薬・ドラッグなど、さらに人を蝕むものであることが悲しいです。

 

<関連記事>

「いつからフランスは銃社会になったのか? アヴィニョン警察官射殺事件」

「シャルリー・エブド元本社前でのテロ事件でパリ11区、俄かロックダウン」

「年末から年を超えて引き続くフランスの犯罪」

「海外での新興宗教の勧誘」

「宗教の教育」








2021年5月9日日曜日

猫もコロナウィルスに感染する危険があるという説

                                        

   Selon l'étude, les propriétaires des chats ont développé des symptômes du Covid-19 avant que les félins ne tombent malades. | Mel Elías via Unsplash


 我が家に子猫がやってきてから、もう10年以上が経ちます。娘がその頃はやっていた映画から、名前をポニョとつけました。我が家はアパート住まいなので、猫が自由に家の外を出歩くことはなく、ポニョはほとんど、家の中だけで育ちました。

 以前は、ベランダからひょいっと隣人のアパートに勝手に出入りして、まるで自分の別荘のように、ちゃっかり隣の家に上がり込んで隣のおばさんに可愛がってもらったりしていたのですが、隣のおばさんが引退して、田舎に引っ越してしまって、違う人が引っ越してきてからは、ピタリと別荘にも行かなくなり、ベランダにもほとんど出なくなってしまいました。

 人の好き嫌いが激しいのは、飼い主にとてもよく似ているのですが、人間である私たちには、ある程度は、浮世の付き合いがあるので、ポニョのようにあからさまに顔に出すわけには行かないのですが、ポニョときたら、歳をとるとともに、年々、嫌いな人に対しては、気性が荒くなり、これまでは、嫌いな人だと、す〜っと家のどこかに隠れてしまって出て来なくなるくらいだったのに、最近は、嫌いな人が来ると「カ〜ッ!!」と唸るようにまでなってしまっているのです。

 数日前に、「人間はコロナウィルスを猫に感染させる可能性がある」というニュースを聞いて、ほとんど外に出ないポニョは、リスクは低いな・・とは思ったものの、ポニョに感染させるとしたら、家族である私たちからということになります。

 コロナウイルスが人間から動物に、またはその逆に感染する可能性についての科学的研究は、現在、かなり注目されているようで、グラスゴー大学(スコットランド)の研究チームは、猫が飼い主に感染したとされる2つのケースを特定したと発表しています。

 グラスゴー大学の獣医学部の獣医診断サービスと共同で実施された研究によると(医学雑誌VeterinaryRecordに掲載)、別々の家に住んでいる異なる品種の猫に軽度から重度の呼吸障害が発見されました。彼らの飼い主は、動物が病気になる前にコロナウィルスの症状を発症していました。

 最初のケースは生後4ヶ月のメスのラグドールの子猫でした。彼の主人は2020年3月末にウイルス感染に対応する症状を発症しましたが、検査されたことはありませんでした。呼吸困難に続いて、猫は獣医に連れて行かれましたが、残念ながら、猫の状態は悪化し、安楽死させなければなりませんでした。肺のサンプルは死後に採取され、ウイルス性肺炎によって引き起こされた可能性のある損傷と、コロナウィルス感染が明らかになりました。

 2匹目の猫は6歳のシャムの女性で、飼い主の1人がコロナウイルスの検査で陽性だった家庭で飼われていた猫でした。猫の症状は鼻水と結膜炎という軽度のままでしたが、 コロナウィルス感染は、2020年3月から7月の間に獣医診断サービスに提出された綿棒の検査で確認されました。

 当初は、動物には感染しないと言われていたコロナウィルスですが、現在、動物から人間へのウイルスの感染は公衆衛生へのリスクが比較的低いが、科学者はペットが「ウイルスの貯蔵庫」として機能し、感染につながる可能性があると述べています。

「人間の症例が減少するにつれて、動物から動物への感染の見通しは、コロナウィルスの人間への再導入の潜在的な源としてますます重要になります」と、この研究のリーダー・マーガレット・ホージー教授は警告しています。

 科学者たちは現在、動物用のワクチンを開発を進めており、ロシアではすでに最初の注射を開発し、3月31日に登録を済ませています。 

 ヨーロッパでは、コロナウィルスワクチン接種キャンペーンは実際に軌道に乗せるのに苦労していますが、ペットのための注射をすでに考えている人もいます。パンデミックが始まって以来、多くの専門家がコロナウイルスの動物への影響について懸念を表明しています。

 ペットといえども、大切な家族の一人。もはや、人間年齢に換算したら、家族の中では最年長のポニョです。私も娘も既に一回ずつのワクチン接種は済ませていますが、まだまだ安心はできない上にポニョにまで感染させたら、大変です。

 ポニョは、まだ小さい頃に一度だけ、病気になり、みるみるぐったりしてしまい、娘と二人で半べそをかきながら、夜中に獣医さんに連れていって、1日だけ、獣医さんに入院したことがあり、とても心配して眠れない夜を過ごし、翌日、面会に行ったら、点滴ですっかり回復し、唸りながら獣医さんに噛み付かんばかりの怒りようで、獣医さんの方から、「ポニョは、すごく怒っているから・・もう連れて帰って・・」と言われたほどの病院嫌いです。

 そんなことにならないように、私たちもポニョのためにも、まだまだ気をつけた生活を続けなければ・・と、このニュースを見て、あらためて思ったのでした。


<関連記事>

「人の気持ちがわかる猫 我が家に猫がやって来た」

「隣人のフランス人のおばさん」

「お留守番していた猫は、とても寂しかったらしい」

「娘の帰省」



2021年5月8日土曜日

ロックダウン解除第一段階で、もう夏には、屋外でのマスク義務化撤廃の話題

 


 フランスは、今週に入って、ロックダウン解除の第一段階が始まったばかり、中学生・高校生が学校に戻り、10㎞以内の移動制限も撤廃されました。

 ここ数日、新規感染者数も2万人台までに下がり、集中治療室の患者も一時は、6千人を突破していたものの、現在は、5,106人にまで減少し、全体的にも減少傾向にあります。

 そんなフランスは、早くもロックダウン解除モードに一気にアクセルがかかり、早くもバカンスに出かける人や、バカンスの予約をする人も急増し、日常モードに一直線に突き進んでいる感じがします。

 今週の初めにインタビューに臨んだオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「コロナウィルスの制御は慎重に加速していますが、油断してはいけません。この意味でも、制限解除のスケジュールは非常に良いスケジュールです」と述べています。

 そして、「ワクチン接種は深刻な状況から保護することは確実であり、ウイルスの拡散のリスクから十分に保護すると信じています。充分な数のフランス人がワクチン接種を受けた場合は、警戒を弱めることを検討できます」と続け、「この6月末までのロックダウン解除のシナリオの続きは、何ですか?」と尋ねられた彼は、「屋外でのマスク着用の義務化が夏には撤廃することができるようになることを望んでいます」と答えました。

 もともとマスクが大嫌いなフランス人(誰でも好きではないと思うけど・・)にとって、この保健相の「夏には、屋外のマスク義務化撤廃」の発言が、その他の様々な彼の発言をすっ飛ばして、広がる結果になり、次々と屋外でのマスクなしでの感染のリスクについて、語られ始めました。

 感染のリスクに関しては、ますます多くの専門家が屋外には存在しないことに発言し始めています。いくつかの研究では、外部の汚染はすべてのケースの0.5〜5%に相当するため、非常に低いことが示されています。したがって、一部のウイルス学者は、屋外でのマスク義務化を撤廃することを要求し始めています。

 しかし、保健相が言う、この次のステップ(屋外でのマスク義務化撤廃)は主にワクチン接種の進捗に依存していることは言うまでもありません。

 一方、パスツール研究所(Institut Pasteur)(パリにある生物学・医学研究を行う非営利民間研究機関)の生物学的緊急対応ユニットを担当するジャン・クロード・マヌゲラ氏は、感染のリスクが「屋外で低い場合でも、それはまだ存在している。外では、誰かがくしゃみをしてマスクを着用していなければ、充分に感染の危険はあります。従って、外部環境では、必然的に換気が良くなり、したがって非常に大きな希釈効果がある場合でも、エアロゾルによる感染が発生する可能性があります。」と警鐘を鳴らしています。

 フランスの公衆衛生局も屋外でのマスク義務化撤廃は、ワクチン接種が国民の60%以上に達しない限り危険であるとしています。

 屋内・屋外でもマスクを外せるようになるのは、ワクチン接種率90%以上に達した場合であるとパスツール研究所も発表しています。

 現在のフランスのワクチン接種は、25.62%(2回接種した人は11.68%)(5月6日現在)のみ、オリヴィエ・ヴェラン保健相が夏には、屋外でマスクを外せる時が来ることを望んでいると発言すると言うことは、夏までには、国民の60%までのワクチン接種が拡大することをひとまずの目標としているということです。

 現在、フランスでは、ワクチン接種拡大の大キャンペーン中。来週の火曜日の夜には、オリヴィエ・ヴェラン保健相自ら、白衣を着てワクチン接種に参加することを(彼はもともと神経内科医)発表しています。

 おそらく彼が言いたかったのは、「夏には、外ではマスクが外せるようになるから、それまでは、我慢して!」ということだったと思いますが、思いの外、注目されたのは、肝心な「だから今は我慢して!」ではなく、「夏には外でマスクを外せる!」の方であったことはいかにもフランスな結果です。

 昨年、屋外でマスクが義務化されたのが、感染が一時、減少したにもかかわらず、人々がバカンスで感染を撒き散らした結果が出始めた8月のことでした。

 今年は、ワクチンという強い味方がつきましたが、その進捗状況によっては、また同じ悲劇が起こらないとも限りません。

 どちらにしても変わらないのは、フランス人は、今年の夏も絶対にバカンスに出るということだけです。


<関連記事>

「とうとうパリ全域マスク着用義務化・新規感染者6000人超え」

「新規感染者が9000人に迫るフランス フランスにやってきたバカンスのツケ」

「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」

「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」

「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」

 

 

 

 





2021年5月7日金曜日

度を超えているフランスのDV 逮捕・投獄・釈放後に元妻を焼き殺す凶暴さ


Une femme est morte à Mérignac après avoir été blessée par arme à feu puis brûlée vive par son mari dont elle était séparée. (DAVID THIERRY / MAXPPP)


 フランスは、犯罪者が多すぎて・・というわけだけでもないのでしょうが、余程のことがないと逮捕されても、投獄されるまでにはなりません。だからというのも何なんですが、刑務所にまで入るということは相当な犯罪者です。

 以前、パリ市内の高級品を扱っている店が、夜中に地下道をつたって、店舗の地下部分に壁を破って押し入り、強盗を働こうとして、アラームが鳴って、慌てて逃げようとしたところが、地下から這い上がったと同時に駆けつけた警察に捕まり、逮捕されたという事件がありましたが、未遂に終わったこともあり、結局、投獄はされずに、そのまま野に放たれたという話を聞いて、強盗でも釈放??とびっくりしたことがありました。

 一昨日、ボルドー近郊のメリニャック(ジロンド県)で起こった凶暴な事件の犯人は、過去7回有罪になっている凶悪犯、昨年12月に刑務所を出所したばかりの男(44歳)は、猛烈なDVを続けた挙句に投獄、出所後も執拗に元妻を追いかけ回し、何度も家を訪ねており、犯行当日には、彼女に暴行を働いた上に、家に火をつけ、家から逃げ出した被害者の女性を銃撃し、道に倒れると、可燃性の液体を彼女に吹きかけ、火をつけて焼き殺したのです。

 生きているままに火炙りにあうという残酷な仕打ちをした犯人は、まるで戦争にでも行くような武装をしていて、明らかに計画的な犯行であったと思われます。

 ボルドー検察庁は、犯人は、約30分後、隣接するペサックの町で逮捕され、12口径のライフル、ガスピストル、カートリッジベルトを持っていたと発表しています。

 メリニャックといえば、以前、娘が通学のために一時、住んでいた地域でもあり、私も行ったことがありますが、ボルドーのすぐ近くの極めて平和そうな、私にとっては、車がやたらとゆっくり走る街という印象のおっとりとした街で、そんな凶悪な恐ろしい事件は想像もつかないごくごく普通の街です。

 被害者の女性(31歳)には、3人の子供(3歳、7歳、11歳)がおり、犯行時には、幸いにも子供は家に不在であったようですが、過去のDVの様子は目撃していたであろうし、父親に母親が、かくも残酷な方法で殺されたという事実は、深い傷に残り、結果的に両親共に失ってしまったのですから、この年齢にして、背負うものの大きさは計り知れません。

 犯人は、18ヶ月の禁固刑のところ、6ヶ月で出所になってしまっていたことが本当に悔やまれますし、なぜ、DV問題で禁固刑だった犯人が釈放になる際に、追跡用のブレスレットをつけられていなかったのか? しかも、被害者の女性は、彼の出所後の度重なる訪問(本来は禁止されていた)に被害を申し立てていたにもかかわらず起こってしまった事件でした。

 メリニャック市長のアラン・アンジアニ氏によると、住宅街で起こったこの悲劇的なシーンを目撃した人々のトラウマをケアする心理ユニットが設置されました。

 家庭内暴力の犠牲者を守るための協会によると、2021年1月以来、フランスでは、38人の女性が配偶者または元配偶者のDVを受けて死亡しています。メリニャックでのこの事件で、39人目の犠牲者が出てしまいました。

 遺体の解剖結果で、彼女の咽頭は、75%押しつぶされており、銃で撃たれる前、火炙りにされる前にも相当な暴力を受けていたことがわかっています。

 この犯人の残酷な犯行はもちろんのことですが、この犯人を野放しにした司法に対しても、「彼の釈放の際に犠牲者の危険は配慮されていなかったのか?」、「元妻への接近が禁止されているにもかかわらず、数度にわたり訪問していたことを被害者が通報していたにもかかわらず、なぜ放置されていたのか?」「危険人物につけられるはずのブレスレットはなぜつけられていなかったのか?」など、多くの疑問を「国家には責任がある」「正義の機能不全」として、訴える声が上がっています。

 フランスには、現在、危険人物につけて、行動を監視できるブレスレットは1,000個ありますが、使用されているのは、たった61個だけなのだそうです。

 フランスの格差社会の問題と片付けられる問題ではありませんが、本当にフランスは、クズ男は限りなくクズ、中でも暴力を振るうクズは、最悪です。

 これは、しっかり、国家に保護してもらいたい問題の大きな一つです。


<関連記事>

「フランスのクズ男は桁違い DV被害に遭っていた女性」

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」

「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」




2021年5月6日木曜日

いつからフランスは銃社会になったのか? アヴィニョン警察官射殺事件 


Un policier a été tué dans le centre-ville d'Avignon (Provence) le 5 mai 2021. (MAXPPP)


 一昨日、パリ19区を物々しく警戒する大勢の警察官の様子が報道されていて、何ごとかと思ったら、ここのところ、数日、麻薬・ドラッグの密売人と住民との衝突が立て続けに起こっていて、そのための警戒を行っている光景でした。

 このところ、特にパリを中心に「CRACK(クラック)」と呼ばれるコカインの一種とされるドラッグの拡大が深刻で、比較的、安価に手に入ることから「貧乏人の薬」と呼ばれて、広い範囲に急速に広まっているようです。

 このクラックを服用した人々が夜中に暴れて、街を破壊したりする行為が特にパリ環状線沿線に増加しており、この19区の警戒もこのクラック問題が絡んでいるようです。

 このパンデミックの一年ほどの間に、麻薬・ドラッグによる事件が急増している印象があります。

 また、公に上がってくる麻薬・ドラッグが関わっている事件には、銃が使われてることも多く、フランスは、アメリカのような銃社会ではなかったはずなのに・・と不安な気持ちになります。

 そして、また昨日、アヴィニョン(フランス南東部・ヴォクリューズ県)で、午後6時半頃に、麻薬・ドラッグ取引ポイントであると警戒されていたエリアに群衆が集まったために、部門介入グループの警察官3名が急遽、取締りに配置されたところ、そのうちの警察官一人が銃で胸と腹部を撃たれ、救急隊が駆けつけましたが、その場で死亡するという事件が起こりました。


 亡くなった36歳の警察官は、まだ幼い少女の父親で、彼の父親も警察官という警察一家に育った人物で、危険な職務であることを充分に承知していて、日頃から注意深く行動していたと言うのですが、何の前触れもなく、ある程度の距離から、急に銃で撃たれたのでは、ひとたまりもありません。

 アヴィニョンでは、4月中旬に麻薬密売組織の一団が逮捕されたばかりで、その際にも、約37の武器とさまざまな口径の多数の弾薬が押収されていました。

 犯人は、警察官に発砲した後、電動トロチネット(電動キックボード)で逃走し、未だ逮捕されていません。目撃証言も現在のところ、ごくごく僅かで、黒い服を着た若い男性だったという程度の証言のみです。

 ここのところの、傷害・殺人事件の逃走には、車ではなく、キックボードが使用されることが多いのも注目すべき点でもあります。

 車であると、車両ナンバーから、足がつきやすいこともあり、キックボードだと、目立ちにくく、車の入れない細い道を縫って逃走が可能です。

 ここのところ、フランスでは、環境問題やコロナ感染回避の方法として、自転車やキックボードを安易に借りることができるVelib(べリブ)(パリのレンタルサイクルシステム・キックボードバージョンもある)なども急激に増え、使用する人も急増したことから、こんな逃走手段が登場したのは、皮肉なことです。

 事件が起こったのは、市内中心部の一見、平和そうに見える地域のことで、住民にも大きな衝撃が走っています。

 しかし、なぜ?銃まで使用して、街中で警察官を銃殺しなければならなかったのか? 先月、逮捕された一団の仲間の報復であったのか? また、警察に対しての挑戦、威嚇の意味であったのか? 犯人逃走中では、わかりようもありません。

 つい先日もランブイエ(イル・ド・フランス イヴリーヌ県)警察署にテロリストが押し入り、警察官を殺害するという痛ましい事件が起こったばかりです。

 いずれにせよ、パリでも連日、麻薬・ドラッグの密売組織が暴れているし、彼らの恐怖は、薬だけではなく、銃を持っているということで、ますます治安の悪くなっているフランスを連日のように感じるのです。

 マクロン大統領は、最近、警察官をここ数年で増員していくことを発表していましたが、一体、どれだけ警察官がいれば、平和な社会になるのか?と、人数よりも別の方法が必要なのではないか?と思ってしまいます。


<関連記事>

「パリ16区で起こった銃撃事件で1名死亡、1名重症の衝撃」

「パリ近郊・平和で静かな街 ランブイエの警察を襲ったテロ事件 大胆にも警察に乗り込む手口」

「4夜連続、フランス・ディジョンでのチェチェンコミュニティの暴動」

「パリ17区で日本人が塩酸を顔にかけられる傷害事件発生」

「パリ17区での塩酸による日本人襲撃事件に対するフランスの扱い」