2021年3月7日日曜日

フランスで生活していく術 トラブル満載の日常を生き抜くために・・

  


 ひとくちに文化の違いと言ってしまえば、それまでですが、フランスで生活していくには、忍耐と粘り強さと押しの強さが必要です。旅行ならばともかく、生活していくとなれば、生活に関わる色々なトラブルに遭遇します。

 生活していくために必要最低限のビザので続きや、銀行、保険、税金等の手続きから、ネット、電気・ガス料金、家賃、交通機関、日常の買い物や配送など生活のあらゆる場面において、あらゆる場面で、トラブルがつきまといます。

 この上、フランスで仕事をしていくとなれば、さらなるトラブルは、計り知れません。

 これまで、私が20年以上フランスで生活してきた中で、とりあえず、漏れなく、ひととおりの場面でのトラブルに、遭遇してきました。

 ビザの手続きがなかなか進まなかったり、電気料金が桁を間違えて引き落とされたり、その返金がなかなかなされなかったり、買い物をして値段が違っていたり、荷物が届かなかったり、届いた荷物が破損していたり、例をあげれば、キリがありません。

 そのトラブルの原因は、彼らがきっちりと働かないことから起こるミスが原因にもかかわらず、彼らは、決して謝らない、言い訳をする、責任転嫁する、終いには、これは私の仕事ではないなどと言い出します。その上、態度は、横柄で感じが悪く、常に上から目線です。

 フランスに来たばかりの頃は、それらの一つ一つに目くじらをたて、腹を立ててばかりいましたが、怒ってばかりでは解決するわけでもなく、これらの人々に余計な腹を立てないように、なんとか上手く説明したり、教えたり、忍耐強く事を進めていくしかないことを学びました。いちいち、これが日本だったらあり得ない・・などと比べて考えるのは、厳禁です。

 ましてや、一緒に仕事をしていく同僚ともなれば、この人はダメだな・・と思ったら、余計なこと、難しいことは頼まない・・その度に聞かされるスゴい圧での言い訳や責任逃れを聞くのもストレスになるからです。

 何より、全て、期待をしないこと、スムーズに行かないことを前提にして、こんなもんだ・・と思っていることで、かなり腹も立たなくなりました。つまり、トラブルをトラブルとして、とらえない=トラブルがあっても、これが普通だ・・と思うような、一種、諦めの境地です。

 しかし、同時に「言うべきことは、はっきり言わなければならない」と言うのも鉄則です。なんでも黙って我慢すると思われたらば、何も解決せず、生活していけません。

 「言わずとも察する」とか、「人の気持ちを慮る」とかいう、いわゆる日本人の美徳は通用しません。

 「謙遜する」より、「自画自賛」。よく言えば、おおらかですが、良いことも悪いことも、黙ってはいません。自分のミスを自己弁護するための言い訳や責任転嫁はもちろん、逆に、喜んだり、人を褒めるのも大げさとも見えるほどに表現します。

 彼らがはっきりと口に出して言わないことと言えば、「差別感情」かもしれません。

 しかし、なんといっても、私がフランスで生活するようになって以来の最大のトラブルは、今回のパンデミックです。日頃から、衛生的とはとても言い難いフランスで、この期に及んでも、彼らの衛生観念には、閉口することが多いし、また罰金のない規則はないも同然のモラルの低さでフランスの感染拡大はおさまることがありません。

 これまでのフランス政府の対応で、いくつもの場面で間違っていた場面はありましたが、政府も決して謝ることはなく、少しでも感染が減少すれば、たちまち「俺たちはよくやった!」と自画自賛。

 これに対して、感染回避対策を尊重せずとも、感染拡大は、政府のせいだと言う国民。

 そのどちらにも、また、トラブルにまつわる周囲の雑音も、いちいち全て真っ向から、受け止めていては、まったくやっていられないのも現実です。

 トラブルにあっても、忍耐強く、粘り強く立ち向かう常に戦闘態勢とともに、適当に流すことも必要なのです。

 しかし、この日頃、フランスでの生活モードから、たまに日本に帰った時に日本モードに切り替えるのも、なかなか厄介なことで、昔、「帰国子女は性格がキツいな・・」と感じた状態に自分もなっているのではないか?と、思ったりもするのです。


<関連>

「基本、信用しないことで成り立つフランスでの生活」

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「海外生活も長くなると性格がキツくなる!?」

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「「さすがフランス!」の意味が逆転する日 日本人は、なぜフランスを美化するのか?」

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「表示価格があてにならないフランスのスーパーマーケット」

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「銀行乗り換えで久々に遭遇した典型的な嫌なフランス人」

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「滞在許可証更新手続きのトラブル アクセス不能なフランスのお役所」

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2021年3月6日土曜日

フランスの深刻な医療従事者へのワクチン接種の遅れ

   


 「ロックダウン回避のためにできるあらゆることをする」「ロックダウンは、あくまでも最終手段」という姿勢を取り続けているフランス政府は、取り締まりを強化したり、人気ユーチューバーにソーシャルディスタンスを呼びかける動画作成を依頼したり、様々な試みをしていますが、これ以上の感染拡大を止めるためには、なんと言ってもワクチン接種です。

 ヨーロッパ各国では、昨年12月からワクチン接種が開始していますが、フランスは、第一波で最も多くの死亡者を出した「高齢者施設の住民」を最優先としたことで、スタートから、大きく、つまずき、年明けに周囲のヨーロッパ諸国からフランスが桁外れにワクチン接種で遅れをとっていることが発覚してからというもの、急激にワクチン接種の対象者を拡大し、躍起になってワクチン接種を進めてきました。

 アクセルがかかり始めてまもなく、今度は、ワクチン製造会社側の問題から、ワクチン供給が間に合わなくなり始め、再び、二の足を踏むことになりましたが、問題は、それだけではなく、ワクチンを接種するにあたっての予約の問題やワクチンの保管や輸送の問題、ワクチン接種場所の問題など、次から次へと問題が取り上げられてきました。

 それでも、2月に入って以来、少しずつワクチン接種は拡大していく気配が見え始め、昨日は、1日で25万人のワクチン接種を行い、ワクチン接種開始以来の最多接種数を記録しました。

 実に政府は、このワクチン接種が進んでいることをアピールすることにも必死なのです。

 そもそも、昨年、ワクチン接種が始まる段階で、マクロン大統領は、国民に対して「ワクチン接種は義務化はしない」と発表しており、フランスでは、ワクチン接種は義務ではありません。 フランスには、アンチワクチン論者も少なくないのです。

 それが、昨日のコロナウィルス感染対策に関するカステックス首相の会見の中で、「医療従事者(介護者も含めて)の3人に1人しかワクチン接種が行われていないこと」が明らかになり、この事実が波紋を呼んでいます。

 年明けからの2カ月間、医療従事者を優先にしてきたにも関わらず、その30%しか、ワクチン接種が行われていないことは、パンデミック以来、フランスで起こってきたコロナウィルスの院内感染が医療従事者が原因でもあることを見ても、見過ごせない事実です。

 これまでにフランスでは、院内感染は27,000人、院内感染による死亡者は186人、確認されています。

 これには、ワクチン供給の問題以前に、医療従事者の中に、単なる段取りの悪さだけではなく、一定数のアンチワクチン論者がいるということにも起因しています。

 首相がこの事実を発表したことから、マスコミもこの問題に注目し始めたのを機に、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、医療従事者向けに手紙を送っています。

「もし、あなたがまだワクチン接種を受けていないのならば、1日も早く医療従事者はワクチン接種を受けてほしい。私たちの集団安全保障が危機に瀕しているのです。感染の更なる拡大が懸念されている中、医療従事者のワクチン接種が進まないのでは、私たちはウィルスと効果的に戦うことができません。私たちの医療制度が持ち堪えるために、何よりも必要なことなのです。」

 この呼びかけでも効果がない場合に、「医療従事者に対するワクチン接種の義務化」も検討され始めています。

 実際に、医療従事者向けにストックされているワクチンが消費されずに、在庫として、残されているのです。

  現在のフランスのワクチン接種強化キャンペーンの中での医療従事者のワクチン接種率の低さは衝撃的です。一般(高齢者やリスクの高い人)向けへのワクチン接種は、加速しており、ワクチン接種センターでは、日曜日も休まず接種を行うように通達がなされています。

 フランス人に日曜日も休まずに・・という通達が出されるというだけでも、政府の必死さが伝わってきます。

 もう一度、原点に戻って肝に命じなければならないことは、感染するということは、周囲を感染させることに直結することなのです。

 現在のフランスの状況では、残念ながら、ワクチンによるリスクよりもコロナウィルスに感染するリスクの方が遥かに高いのです。

 しかしながら、ワクチン接種の速度が上がってきたことで、少しずつ明るい見通しのニュースも聞こえ始めました。

 昨年から、営業停止が続いているレストランやカフェなども夏前には、2段階に分けて、まずは昼の営業から再開できるのではないかとオリヴィエ・ヴェラン首相は発言しています。

 それもこれもワクチンの進捗状況にかかっており、恐らく彼の夏前には・・という発言は、夏前までには、ある程度のワクチン接種進行のスケジュールに基づいているのでしょう。

 ある程度、ウィルスが気候の影響も受けることが昨年の経過からわかっていますが、昨年、2ヶ月間のロックダウンをして、気温が上昇してもなお、ウィルスがなくなることはなく、終いには、変異種まで登場してしまったのですから、ワクチンだけに頼って安心することはできないかもしれませんが、少なくとも、現在、できることは、まず、ワクチン接種を拡大していくこと、そして、少なくとも医療従事者には、ワクチン接種をしてほしい・・と切に思います。

 ちなみに私のかかりつけのお医者さんは、とっくにワクチンは受けたそうで、「ワクチン接種しないで、こんなことやってられないわよ・・」と言っていました。

 普通、そうだよね・・。


<関連>

「フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由」

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「フランス・コロナウィルスワクチン接種開始」

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「フランスのワクチン接種が大幅に遅れをとっている理由」

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「ワクチン問題、さらに混乱状態のフランス」

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「今年のフランスのコロナウィルス対策は、ワクチン接種が最優先事項」

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2021年3月5日金曜日

変異種61%に拡大・感染悪化もまだまだ粘るフランス 週末ロックダウン1県追加・特別警戒地域23カ所に拡大 

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 もはや、ここ数週間、首相の定例会見になっている木曜日の夜、新たにフランスでは、パ・ド・カレー県(オー・ド・フランス地域圏)での週末ロックダウン(ニース、ダンケルクに続いて3県目)と、これまでの20地域に加えて3地域(エーヌ県、オーブ県、オー・ド・アルプ県)を特別警戒地域に追加することが発表されました。

 今回、週末ロックダウン地域に加えられたパ・ド・カレー県では、感染率はもちろん、集中治療室の占拠率が102%と医療崩壊を起こしています。

 国内の感染状況については、毎日のニュースで伝えられており、今週末には、パ・ド・カレー県と並んで、イル・ド・フランスも週末ロックダウンになるのではないかと言われていました。

 しかし、イル・ド・フランス(特にセーヌ・サン・ドニ県)では、感染率は、今回、週末ロックダウンに加えられたパ・ド・カレー県とほぼ同等の感染率ではあるものの、集中治療室の占拠率は75%とされているため、また、人口も多く、影響も甚大なイル・ド・フランスを週末ロックダウンにすることは敢えて回避したとも見られます。

 これに対して、セーヌ・サン・ドニ県(イル・ド・フランス)の医療従事者は、「75%の占拠率とは、コロナウィルスによる患者だけをカウントした数字で、他の患者も大勢いる中、この75%という数字は、現実的な数字ではなく、もうとっくに100%を超えている状態なのだ!週末だけでもロックダウンをして欲しい!」

と訴えています。

 しかし、フランス政府は、あくまでも、できる限り、ロックダウンは回避するという方針は頑として崩さず、カステックス首相は、「ロックダウンは不可能なことではないが、必然でもない」としています。

 しかしながら、フランスの感染状態が、悪化している状況は続いており、先週には、50%を超えてしまったと言っていたイギリス変異種の割合も、今週には、61%まで増加しています。

 変異種が確実に拡大している中、これまで2地域の週末ロックダウンが加わったのみで、他の地域は、取り締まりが厳しくなったというだけで、制限自体は強化されたわけでもなく、感染が減少する理由は一つもありません。

 ただ一つの朗報は、ここ2週間ほどで、全ての年齢層での感染が増加している中(平均14%増)、80歳以上の感染率だけが17%減少しており、これは、80代以上の人口の28%がワクチン接種が済んでいる結果として、ワクチン接種の効果が具体的な数字に現れ始めたとしています。

 ロックダウンをしない以上、頼みの綱はワクチン接種しかないわけで、ワクチン接種の拡大の一手段として、ワクチン接種の条件を満たしている人に対しては、3月15日から、薬局でのワクチン接種が可能になります。

 また数日前に政府報道官の一人であるガブリエル・アタルが、「4月中旬には、コロナ以前の日常に近い生活を取り戻すことができる」と発言したことから、この発言に対しての質問が上がりましたが、これは、4月中旬までには、ワクチン接種がかなり進むであろうことからの希望的観測で、現段階で、日程を指定しての予測は、不可能であるとしています。

 当然です。

 また、感染が悪化しているのにも関わらず、ロックダウンをしない、むしろ感染悪化の更なる悪化を待っているような状況について、厚生相オリヴィエ・ヴェランは、「周囲のヨーロッパの国々で厳しいロックダウンをして、もう2カ月間も学校も閉鎖し、お店も営業しないでいる国でも、感染は、一時、減少しても、また増加したりしている。ましてや、現段階で、ゼロコロナは不可能で、これだけ長期間に及ぶのであれば、何とかロックダウンせずにワクチン接種が進んでいくまで、乗り切るべきだ。」と説明しています。

 しかし、今年に入ってからのフランスのコロナウィルスによる死亡者は、23,203人。一ヶ月に1万人以上の命が失われています。パンデミック以来、フランスの死亡者総数は、87,835人(3月4日現在)。今年に入ってからの人数は、この全体の26%にも及んでいます。

 ワクチン接種の効果が見えてきたとはいえ、ワクチンの供給も接種も政府の理想どおりには、進んでいないフランスです。医療従事者に対してのワクチン接種も現段階では3人に1人しか済んでいません。一番危険な現場で働いてくれている医療現場での、このワクチン接種の現状は、深刻です。

 これまでに接種が進められているファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンに加えて、3月中旬には、1回の接種で済むと言われているジョンソンアンドジョンソンのワクチンが認可され、4月中旬には、このワクチンでの接種も開始される予定になっています。

 感染拡大のスピードとワクチン接種の拡大のスピード、このどちらが勝つかが、フランスの今後の鍵を握っています。

 しかし、私の印象では、一時、「ロックダウンをする用意はいつでもある」としながら、踏ん張ろうと揺れていた時期もありましたが、そのころに比べて感染は悪化しているにも関わらず、政府には、ロックダウン回避の方向で進むさらに強い意志が感じられます。

 この選択が良かったか悪かったかは、ずっと後にならなければわかりませんが、これまでもいくつもの場面で失敗しているはずのフランス、でも終わってみれば、「俺たちは、よくやった!」となるところもフランスなのです。

 


<関連>

「全く懲りないフランス人 ロックダウンを回避したい政府の気持ちは伝わらない」

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「このままロックダウンせずに乗り切ることは可能なのか?」

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「ロックダウンしないフランス政府の決断は正しかったか?」

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2021年3月4日木曜日

久々にメディアに堂々登場 カルロス・ゴーン テレビ生出演

                              

   Carlos Ghosn sur LCI : son évasion lui a rappelé "Midnight Express"


 カルロス・ゴーンがフランスのニュースチャンネルLCIの19時からのニュースのインタビューに答えるために生出演するというので、彼が今、何のために、何を話すのか? 注目していました。

 カルロス・ゴーンが日本から信じられない逃亡をしたのは、2019年の大晦日のこと、それから、すでに一年以上が経過しています。

 逃亡中の身でありながら、公共のテレビに出演するなど、なんと太々しいことかと思いますが、逃亡先のレバノンに到着の数日後には、全世界からメディアを集めて記者会見まで行ったのですから、今さら、中継とはいえ、フランスのニュース番組に生でインタビューを受けることなど彼にとっては、何のことはないことかもしれません。

 とはいえ、インタビューということもあったのでしょうが、いつもの饒舌な彼の印象とはちょっと違い、かなり気をつけて話している印象で、あまり、フランス語が流暢とも言えない彼の妻が話す場面も多かったのです。

 というのも、彼にとっては、これは、最近、彼が妻との共著という形で出版した、彼の逮捕から逃亡劇、その後の様子を綴った内容の本(「Ensemble Toujours」(いつも一緒に))の宣伝であり、インタビューもその本の内容に沿ったものであったためです。

 彼は、このインタビューの中で、すでに聞いたことのある逮捕時の話や、日産やルノーには失望したこと、調べれば、調べるほど自分の逮捕が計画的に図られた陰謀、裏切りであったこと、裁判を待ち続けて日本に滞在し続けることは、彼にとって「死」を意味することであり、当時、自分には、死ぬか生きるかの選択肢があり、生きることを選んだ。そのことに躊躇もなかったし、後悔もないと語りました。

 また、彼は、日本の司法制度に対して、「これは策略であり、自分のケースは多くのケースの一つでしかなく、私と同じ経験をしている人が何千人もいることを忘れないでください」と述べています。

 しかし、多くの人が興味を持っている逃亡劇の詳細については、その時の自分の心情、まるで大手術を受ける医者に身を任せる麻酔を打った患者のように恐る気持ちはなかったことや、映画「ミッドナイトエクスプレス」のようだと思ったことなどを語りましたが、具体的な方法について、また容疑にあげられているお金の流れについては、ルノーや日産とのそれぞれの会社の事情もあるために話せないとかわしました。

 日産やルノーに対しても、「失望した」とこの期に及んで、どこか、上から目線。さすがというか、「失望した」のは、どっちがどっちへ?という話です。

 また、彼の逃亡のために、すでに5人が逮捕されていることについても、自分が今、彼らに対して何かを語れる言葉を持ち合わせていないと述べたのみで、すぐに話をすり替えてしまいました。

 結局、都合の悪いことに関しては、話をすりかえて、はぐらかす、いつもの手法です。

 そして、フランス国籍も持っている彼に対して、フランスに戻ることは考えていないのか?という問に対して、日本の司法のやり方はわかっている、リスクは冒さないと答えました。

 彼の日本での逮捕後に彼の妻がエリゼ宮に大統領宛てに助けを求めて、手紙を送ったにも関わらず、全く返事もなく、対応がなされなかったことも話しています。当然ですが・・。

 そもそも、彼は、日本からだけでなく、フランスでも、ルノーでのお金の流れや、彼の資産に関して、税金逃れのための工作に目をつけられており、すでにフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえていると伝えられています。

 これは、彼が税法上の住居を2012年にオランダに移してたことが、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したことによるものです。

 彼は、日本の司法のために、フランスに入国するリスクは取らないとフランスに入国できないのは日本のせいのように語っていますが、実のところ、フランスでも、いくつもの容疑がかけられているためにフランスに容易に入国することはできないのです。

 彼は、「国や企業に太刀打ちができるものではない」としながらも、「自分は無実であり、あくまでも真実を回復する」と述べ、現在は、今までにない自由な時間の中で自分の人生を再構築するための生活を送っている」と説明しました。

 そのインタビューの3時間後に、彼はまた、別のニュースチャンネル(BFMTV)に、出演、これまでの彼の逮捕から、逃亡、逃亡後の記者会見、逃亡を手伝った人々の逮捕の様子までがまとめられたショートビデオが流された後に登場しました。

 同時にこの一連のビデオを彼自身も見ていたはずです。4分ほどにまとめられたこのビデオ、とてもわかりやすく上手くできていましたが、これを同時に見ていた彼が、何を考えていたのか? インタビューの内容以上に気になりました。

https://twitter.com/BFMTV/status/1367237699485261827



 彼が逃亡直後に行った記者会見から、一ヶ月ほどで、世界はコロナウィルスによるパンデミックに襲われ、衝撃的な彼の逃亡劇は、あっという間に影を潜めてしまいましたが、そんな期間にも着々と本まで出版するカルロス・ゴーン。

 レバノンを出国するリスクは冒さないと言っていますが、まさか、正直に○○へ行きますとは公言するわけもなく、また、別の計画を着々と練っているのではないか?と思ったりもするのです。

 いずれにせよ、まんまと逃げられて、一年以上、治外法権とはいえ、手が出せないのをいいことに、堂々と会見を行ったり、本を出版したり、その宣伝のためにテレビ出演したり、常人では理解できない精神構造と執念。

 しかし、フランスでも、彼が潔白であると思っている人はいません。


 <カルロス・ゴーンが最近出版した本>               


カルロスゴーン

<関連>

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

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「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」

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2021年3月3日水曜日

フランス・「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定

  


 フランスは、日本から「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定され、3月5日午前0時以降にフランスから日本に入国する場合は、到着後、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設)に3日間隔離、3日後に改めて検査を行い、陰性と判断された場合は、入国後14日間の残りの期間を公共交通機関の利用を避けて、自宅等、別の場所で待機することが求められることになりました。

 さすがに、これまでヨーロッパのようには感染が拡大していない日本だけあって、非常に厳しいです。

 これまでの14日間の隔離だけでも、充分にハードルは高かったのですが、ここまででは、「はいはい、もう帰りませんよ・・」と、ちょっと不貞腐れる気分ですが、日本の措置は賢明です。

 実は、私が知らなかっただけで、これまでも、すでに「新型コロナウィルス変異種流行国・地域」に指定されていたイギリス、南アフリカなどの変異種先進国?からの入国に関しては、すでにこの措置が取られていたようです。

 今回、フランスが仲間入りさせていただいたようですが、イタリア、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギーなど、ヨーロッパのほとんどの地域からの入国に対して、同じ措置が取られるようです。

 出発前72時間以内の検査証明書に加えて、入国時の検査、その上、3日間の完全隔離、プラス14日間の自宅(あるいはホテル)隔離とその間の健康状態のチェック(SNSや電話による追跡確認)までですから、もうこれ以上はできないだろうと思うくらいの徹底ぶりには、ただただ、脱帽です。

 これは、日本が島国であるため、可能であるとも言えるのですが、肝心の「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」本国であるフランスでは、未だ、充分な隔離対策はされていません。

 そもそも、特にこの「変異種流行国」の巣窟であるようなヨーロッパでは、陸続きのために、国境を超えて通勤している人も少なくなく、先日から出入国制限を儲けたドイツ⇄モゼル県(フランス北東部)の往来には、48時間以内の検査証明書が求められたことで、毎日通勤している人にとって、2日に一度の検査はやっていられないと悲鳴が上がっています。

 モゼル県(フランス北東部)では、2月に入って以来、南アフリカ変異種の感染拡大が深刻になっており、年末からロックダウンまでして、感染を抑えてきているドイツにとっては、充分に警戒すべき地域、ドイツの言い分は最もなところです。

 しかし、たとえ地続きの越境に関してのフランス入国に関しては、日本のような隔離は無理としても、空路による入国、空港でのチェックと隔離に関しては、不可能なことではありません。

 実のところ、フランスの感染対策は、ほぼ一年にわたるパンデミックにも関わらず、この隔離問題が実に甘く、海外からの入国に関しても、日本のような強制隔離はなく、日常の検査に関しても陽性者の隔離を徹底する動きもほとんど無いのです。

 一年近くも同じ問題に取り組みながら、ロックダウンや夜間外出禁止などを繰り返しながら、肝心な隔離問題は、一向に改善されず、検査で陽性になってもマスクさえすれば出かけて良いとか、まるで甘々な状況が続いているのです。

 せっかく検査を拡大しても、その効果は激減です。

 もっとも、フランスの場合、検査結果が陽性ならばともかく、検査の結果が陰性にも関わらず、「強制隔離」などと言えば、また、「人権問題だ!」とか言って、騒ぎ出す人もいそうです。

 どうにも、いつもフランスでは、何かにつけて、問題になったり、ことがスムーズに運ばなかったり、騒動になるのは、いつもこの「権利」と「自由」の問題で、だったら、まずちゃんとしてから言えよ!と思うのですが、とにかく「とりあえずは言うことは言う国民」。

 一先ず、この隔離問題に関しては、現在は、それよりも「ロックダウンか否か」ばかりが争点で、あまり話題にはなっていないのです。

 もっとも、感染拡大が深刻で、もはやロックダウン??に話題が集中するのも仕方ないかもしれません。ロックダウンになれば、全員否応なしに隔離状態ですから・・。

 昨日もフランスの新規感染者数は22,857人、集中治療室の患者数3,586人とヨーロッパの中でも堂々1位です。


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「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

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「コロナウィルスで日本が遠くなった」

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2021年3月2日火曜日

ゴミの捨て方に見るフランス人のモラル フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はない

  


   フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はありません。滅多に箱を潰して、ゴミを出している場面は見かけることはありません。

 商店などで、大量の段ボールを捨てる場合は、箱を潰している場面を見かけることもありますが、これは、上の写真のようなゴミ収集の箱一つあたりで、ゴミ収集の料金が設定されている場合があるためです。

 私の住んでいるアパートでは、地下にゴミの収集場所があり、ゴミは、ビン類、資源ごみ、燃えるゴミの3種類に分けられていますが、それぞれに違う大きなごみ収集箱が置かれているだけで、特にゴミの捨て方に対する指導はなく、住民は、その箱の中に一応、それなりにゴミを分別して捨てています。

 しかし、資源ごみに関しては、細かく分類されることもなく、ダンボールなどの箱も潰されることなく、そのままガッサリと捨てられています。ダンボールもアルミ缶もプラスチックボトルも一緒です。とてもざっくりとした分別です。

 「箱は崩して捨てましょう」という呼びかけや張り紙なども見たことはありません。

 それでも、資源ごみと燃えるゴミを分別しているだけ、また、ゴミをゴミ箱に捨てるだけ、まだマシなのかもしれませんが、地球環境についての厳しい対応を始め、「スーパーマーケットでは、プラスチックの袋を使わない」などの試みを始めた国が、このゴミ問題を放置しているのは、よくわかりません。

 多分、このゴミ処理については、あまり問題だとも思っておらず、疑問さえ抱かない人が多いのだと思います。

 以前、娘がシェアハウスに住んでいた時に、同じシェアハウス内の共有スペース(キッチンなど)での、周りの住民がゴミを分別しない!箱を崩して捨てない!など、ゴミの捨て方がなっていないと、彼女より年上の他の住民にゴミの分別や捨て方などを指導しなければならなかった・・とこぼしていて、あっという間に彼女はシェアハウスの寮長のようになっていて、苦笑してしまったことがありましたが、たしかに同じ生活空間で生活する場合は、結構、煩わしい話かもしれません。

 だいたい、箱を潰してゴミ箱がすぐにいっぱいにならないようにしようとか、他の人の迷惑にならないようにしようとか、そういう観念がフランス人には、ないのです。

 むしろ、ゴミ処理の仕事、分別の仕事をしている人がいるのだから、その人たちの仕事を奪ってはいけないなどと言い出しかねないのがフランス人です。

 一方、最近、私が日本へ行くと、まずチェックするのがゴミ出しの曜日の確認です。日本のゴミ出しは、非常に厳しく、複雑?で、燃えるゴミ、資源ごみ、ビン、缶、ペットボトル、ダンボール、新聞紙など、細かくて、日頃、フランスで大雑把なゴミ捨てに慣れている私にとっては、大変な注意が必要です。ダンボールや新聞紙など、きっちり縛られていなければ、持って行ってくれません。

 また、前の日にゴミを出しておくということもできないし、ゴミの種類によっては、やけに朝早く収集にやってくる場合もあるので、大変、気を使います。スーパーマーケットに行けば、きちんと洗われ、ラベルを外し、キャップをとったペットボトルや、食料品などに使われたトレイまでもがきれいに洗われて捨てられています。考えてみれば、こんなにきれいにゴミを捨てられる国もそうそうないと思います。

 ゴミ一つをとっても、こんなにレベルが違うのです。人の迷惑にならないように・・とか、周りの人が快適に過ごせるように・・とか、一人一人が少しずつ努力を積み重ねることで、環境問題に取り組もうとか、日頃から、そういう心くばりをしながら生活している日本は、コロナ対策に関しても同じく、人の迷惑をかけないように、周囲の人も感染が避けられるように対応できていて、それは、感染の被害の拡大の仕方にも現れているのだと思います。

 死亡者だけを比べても、フランスは日本の11倍、フランスの人口は日本の約半分なので、人口との比率を考えれば、22倍です。もはや、むしろ、2倍3倍、という方がピンとくるぐらい、10倍以上だと逆に響かないような非現実的な差です。

 フランスでの生活も長くなって、もはや、当たり前のように見過ごしていた山積みになっているゴミ箱を、「さすがに、これって、やっぱり酷いよな〜・・」と思って眺めながら、同時に「日本ってやっぱり、スゴイよな〜・・」とも思うのです。



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「フランスのシェアハウスでいつの間にか寮長のようになっていた娘」

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「フランスのシェアハウスで二年目を迎えた娘は、今年も寮長を続けているのか?」

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「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

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「枯れ葉舞うパリのゴミ」

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2021年3月1日月曜日

銀行乗り換えで久々に遭遇した典型的な嫌なフランス人

 


 これまでフランスで使っていた銀行の口座管理料があまりに高いことに気がついて(年間で200ユーロ以上(約25,000円)(クレジットカードの手数料等は別)、銀行の乗り換えをしようと手続きを始めたのが1月半ばのことでした。

 私が今まで使っていた銀行は、少々、特殊?な銀行だったため、近くに支店もなく、銀行を変えようかな?と思っていたにも関わらず、色々な引き落としや入金などの変更の手続きがスムーズに行かないだろうな・・と思うと、ついついあと伸ばしにしてきてしまったのです。

 しかし、昨年分の口座管理料の請求書を見て、これはいくら何でも高い!と決意して、私の滞在許可証が半年以上かかって、ようやく更新できたタイミングで、銀行の乗り換え手続きを始めたのです。

 最近は、ネットで申し込みできるので、そんなにややこしいことにならないと思いきや、ネットでの申し込みをしてから、しばらく何とも言って来ませんでした。しかし、私も特に急いでいたわけでもなかったので、何となく「遅いな〜」くらいに思っていたのです。

 少しすると、私が申し込んだ銀行(フランスでは誰でも知ってる大手の銀行)の近所の支店から、電話がかかってきて、「足りない書類を持って、一度、支店の方に来てください」と言われ、予約をとって、担当者のところに出向いたのが、1回目。

 私の方も色々、前の銀行からの普通預金や数種類の定期預金のお金の移動や新しい口座への振り分けや、引き落としや入金の変更など、しっかりとなされるのかという不安もあり、一度、直接、会って、ちゃんと確認しておきたいと思っていたので、1回くらいの面談はまだ良かったのです。

 その時に会った担当者は、比較的、若い女の子で、サバサバしていて、感じの良い人で、一通りのことを確認して、来週初めには、口座開設の確認の電話をするからということで、すんなりと済んだのでした。

 ところが、その確認の電話は週の初めには来ず、SMSで次回の面談の予約が入って、しかも、どういうわけか、担当者は別の人の名前に変わっていました。

 とにかく約束の時間に銀行へ行き、迎えてくれた女性の顔を見て、「あれ?この間の人と違う・・」と、ちょっと怪訝な顔をした私に気がついたその人は、「この間は、私が休みだったから、別の人が対応しただけで、本当はあなたの担当は私なのよ・・あなたのお嬢さんも私が担当してます」と言ったのです。

 前回、来たときに会った女性にうっかり、「うちの娘もここに口座を持っていて・・」と口を滑らしたら、彼女は、すぐに調べて、「ああ、お嬢さんは私の担当ではないわ・・」と言っていたので、明らかに私の担当は、変えられたようなのですが、ただ、なぜ彼女が、「前回は、私が休みだったから・・本当は、あなたの担当は私・・」などと、そんなつまらない嘘をつくのかな? と、ちょっと嫌な気がしたのです。

 担当者が変わったので、もう一度、確認のため、こちらのお願いしたい前の銀行からの送金や普通預金以外の定期預金の口座の開設について、話しました。前の銀行からの口座の移動に関しては、手紙を書いてくれて、これを送ればいいから・・と言ってくれました。

 しかし、銀行業務に関しての話は、早々に、彼女の話は、医療保険(ミューチュエルと言って、国民健康保険ではカバーしきれない医療費をカバーしてくれる保険)のことに切り替わり、現在、あなたが入っている保険よりもうちの保険の方が安くなるという見積もりを出してきて、その話題に終始したのです。

 私は、軽い気持ちで、まあ、条件次第では、変更してもいいかな?くらいに思っていたので、半ば、適当に話を聞いていたのですが、特別な割引は2月中にしかできないので、この見積もりを検討して、できるだけ早く返事してほしいと、私をせかし始めたのです。

 数日後に、また彼女に会う予約をとったものの、肝心の銀行の手続きは全く進まないままで、おまけにネットのサイト上の自分の口座に入るためのパスワードも郵送すると言っていたのに、ずっと送られてこないままで、私の方もイライラし始めたのです。

 私の目的は、保険の変更ではなく、銀行の口座の開設と前の銀行からのお金の移動なのです。肝心のことが、滞っているのに、もはや、保険の話しかしない彼女には、完全に不信感を抱き始めていました。

 前回の彼女との面談の数日後にとった次回の面談の予約は、キャンセルするメッセージを送ると、すぐに彼女から電話。彼女は、「早くしないと、割引ができなくなっちゃうわよ!」と保険の契約を急かすので、「口座のパスワードも送ってこないし、保険の方は二の次だから・・」と言いつつ、週末に約束を入れ直しました。その時点でもパスワードを送ってこない場合は、直に言おうと思って・・。

 結局、パスワードは、その約束の前日に送られてきて、さっそくサイトに入ろうとしたところが、エラー、翌日、ようやくサイトが見れて、前の銀行からの送金を確認できたのは、ギリギリのタイミングでした。

 約束の日に行くと、夕方、6時までに家に帰らなければならないというのに、延々、待たされ、しかも、待たせたことには、全くもってなんの挨拶もなく、開口一番、「見積もりをもう一つ出してみたんだけど・・」と彼女の頭の中には、保険のことしかない模様。

 私もスムーズに運ばない銀行の口座の移動に半ばイラついているところに保険の契約のことしか頭にない彼女にカチンときて、「私は、保険の契約ではなくて、銀行の口座のことで来てるのです。保険は、銀行の手続きが全て済んでからのこと!」と言ったら、まさかの逆ギレで、「この見積もりも週末の時間を割いて作ってきた!」とか、「前の銀行に出す手紙を作ってあげたでしょ!あんなこと、ほんとは自分ですることなのよ!」とか、「前の銀行が、顧客を取られて悔しいから、わざとグズグズしてるのよ!」とか、「だったら、高い保険を払い続ければいいでしょ!」などと興奮し始めました。

 私は、内心、久しぶりに会うな・・この手のフランス人・・と思いつつも、充分に気分が悪くなり、ここの保険には、決して入るまい!と決めたのでした。

 まず、やるべきことをきちんとやらないで、自分の要求だけをいかにも苦労して、人のためのようにやっているような言い方や、責任転嫁、終いには私の仕事ではないなどと主張するやり方はいかにもフランスにありがちな対応なのですが、少なくとも、こっちは、顧客。

 どんなに彼女が週末に見積もりを作ろうと(それも嘘っぽい)そんなことは、私の知ったことではありません。そもそも、保険の見積もりなど私が頼んだわけでもありません。

 結局、興奮する彼女に、こんなに面倒な人はごめんだと、「だったら、銀行の口座開設もやめるけど・・」と言ったら、大人しくなりました。

 しかし、久しぶりに気分の悪いことこの上ない人に会いました。

 フランスに来たばかりの頃は、こういう人に遭遇する機会がもっと頻繁だったのですが、それなりにこう言う人に対する交わし方も覚えたためか、ここのところ、あまりこういう人に会うことがなかったので、久々の気分の悪さでした。

 そういえば、こういう人・・女の人の方が多いかもしれません。

 その銀行の全ての人が彼女のようなわけではないと思うし、一旦、手続きが完了してしまえば、あとは、ネットで全て済むので彼女のお世話になることは、そうそうはないと思いますが、できれば、担当を変えてもらいたい! もしくは、まだ、開設できてない定期預金の口座は、他の銀行に変えようか?などと思い始めているのです。


<関連>

「実践よりも、まず、理論のフランスの教育」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_29.html

「フランスの銀行と日本の銀行」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/02/blog-post_7.html