2025年3月9日日曜日

祖父がパリから送っていた絵葉書

  


 祖父が昔、フランスに留学、滞在していたことがあったことは、私が子どもの頃から聞いていた話で、その影響なのか?祖父はその年代の人には珍しく、フランス料理が好きで、一家が集まって食事をしたりするのには、フランス料理であることが多かったり、DONQ(ドンク)というパン屋さんのバゲットが好きで、なんだかバゲットにはこだわりがあるようだったり、そのバゲットをお皿に置かずにテーブルに直に置いてしまったりすることを祖母が嫌がっていたりしたことを覚えている程度で、私は祖父から直にフランスの話を聞いたことはありませんでした。

 そもそも祖父は家ではかなり寡黙な人で、祖父母の家に行っても、私が話をするのは、もっぱら祖母とばかりで、それをニコニコと聞いていて、食事をしたりしている際に「美味しいかい?」と聞かれて、「うん!」と答えるくらいで、そういえば、私は祖父と何を話したことがあったか?ほとんど記憶にないくらいです。

 祖父が亡くなって久しいですが、のちのち、私がフランスで生活することになることがわかっていたら、もっと祖父にフランスの話を聞いていただろうし、何よりフランス語を教われたのになぁ・・などと思うこともありました。

 祖父がフランスに留学していたのは、第二次世界大戦直前から戦争に突入した頃のことだったようで、(そういえば、空襲を逃れてどこかに逃げた話をきいたことがありました)まだまだ、日本人が渡航すること自体がかなり珍しい時期で、当時は船でかなりの時間を要し、フランスに渡った記録を当時のチケットとか、色々な切り抜きなどとともに書き残しているアルバムのようなものがあるのですが、「いつか、読もう!」と思いつつ、なかなか読めていませんでした。

 祖父は絵が好きで、休みの日には、ルーブルなどに通っていたようで、たくさんの絵について、子どもたち(当時はまだ母と叔父のふたり)宛に解説するような絵葉書を大量に送っていて、それも大量に残されていますが、いつか、その祖父が母宛に送った絵葉書の解説を見ながら、ルーブルに行ってみるのも素敵だな・・などと思いつつも、いつも私の日本からの帰りの荷物は大量の食料品が優先されて、未だフランスに持ってきていません。

 それが、今回、来仏直前に、叔母がそれとは別に祖父が祖母宛や両親(祖父の)宛に送っていた絵葉書を一束持たせてくれて、帰りの飛行機の中でゆっくり読む機会を持てました。

 絵葉書自体も時代もので、シャンゼリゼの街路樹もまだ今よりもずっと低かったりするものの、たいがいの絵葉書の写真を見れば、だいたいどこだかわかる・・ということは、基本的には絵葉書になるような場所はパリの街は変わっていないということで、なるほど・・と感心しました。

 絵葉書の消印を見ると、1938年から1939年のもので、実に祖父は達筆で筆まめで、その時の生活ぶりや、たまにフランス語の単語が混ざっていたりするのも、現在、「それじゃルー語(ルー大柴みたいに外国語が混ざる)じゃん!」などと娘と言いあったりする私には、なんかホッコリさせられたりします。

 しかし、私とは違って、大変、優秀であった祖父はフランスに留学といっても国からの留学生としてグランゼコールに行っていたようで、毎日、フランスの新聞数紙に目を通し、当時は、日本語の読み物などは手に入らなかった様子や娯楽も現地のものを楽しむしかなく、「文化人ぶって、美術館やコメディーフランセーズに演劇を見に行ったり、映画を見に行ったりしている」などと書いてあったり、戦争が始まると、どこの新聞にも同じようなことばかりが書いてあってと批判めいたことが書いてあったりしながらも、自分は無事であるから心配はしないでほしいなどと書いてあるのも、それが戦時中であることを考えれば、その心中は察してあまりあるものです。

 このようなハガキが今でも大切にとってあるということも凄いことだと思いますが、今のようなネットの時代とは違って、筆跡や数十年経ってもぬくもりの感じられる絵葉書のようなものも良い時代だったのだな・・と、思いながら、今度こそ、日本に行ったら、祖父が当時のフランスについてのアルバムや、子どもたちに残していたルーブルにある絵の解説ハガキを持って来て、ゆっくり読みたいと思いました。


祖父の絵葉書


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2025年3月8日土曜日

第2次世界大戦時の不発弾発見でパリ交通網大混乱

  


 木曜日から金曜日にかけてパリ北駅上流で行われていた夜間工事作業中に第2次世界大戦中の500㎏の不発弾が線路近くで発見されたことにより、パリ北駅を発着する列車(TGV、TER、ユーロスター、RERの運行が完全に遮断されるという事態が発生しました。

 爆弾は、サン・ドニ近郊の駅から2.5㎞離れた線路の真ん中で発見されたため、パリ警察署は、その地域を列車が通過することはできないと判断し、地域の交通遮断を要請、周辺を警備するために、300人以上の警察官が動員され、周辺の学校も避難させられ、また爆弾が発見された現場から500メートル以内に住むサン・ドニとサン・トゥアンの住民も屋内に留まるように勧告を受ける事態に発展しました。

 また、この爆弾が発見された地点は、パリ環状道路の北約200メートルの地点でもあり、パリ環状道路とA1高速道路の一部も閉鎖され、イル・ド・フランス地域の道路で200㎞の渋滞が発生しました。

 この第2次世界大戦時の不発弾は、200㎏の爆薬が入った500㎏の爆弾で、これを撤去するのは、容易なことではなかったといわれており、この撤去作業が終了したのは、金曜日の午後4時過ぎでした。

 運輸大臣は、この爆弾騒ぎのために、約500本の列車と60万人が影響を受けたと発表しています。

 これは、おそらくイギリスかアメリカの爆弾で、1944年春に連合軍がフランスの鉄道を空襲した際に投下されたものであると見られています。ノルマンディー上陸作戦の前に投下され、ノルマンディー海岸へのドイツ軍の増援の到着を遅らせるのが目的だったと見られています。

 また、英国の歴史家によると、この爆弾は、1944年4月18日から19日の夜、イギリス空軍が近くのラ・シャペル操車場を攻撃し、1,265トンの爆弾を投下した時に落ちた可能性があると言われています。

 この第2次世界大戦時の爆弾が発見されて(オー・ド・セーヌ県)、交通網が遮断されたことは2019年にもあったそうですが、世界がウクライナ・ロシアそして、アメリカの関係もあいまってさらに緊迫しつつある今、このタイミングでというのは、あまりにも恐ろしい気がします。

 つい昨日も、午後8時からのニュースで欧州が軍事力を強化するという話で、爆弾を製造する映像が流れていて、ギョッとしたばかりでしたが、その爆弾の具体的な大きさなどは、わかりませんでした。

 今回、発見された200㎏の爆薬の入った500㎏の爆弾というもの自体、想像するのが難しいのですが、それが今、このあわや第3次世界大戦にもなりかねないような世界的に緊迫したタイミングで発見されたことも、偶然としても、あまりに意味深で、嫌な感じでしかありません。


パリ北駅不発弾 交通網遮断


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2025年3月7日金曜日

2026年に行われるパリ大相撲を見に行こうかと思ったけどチケットが高すぎた

  


 2026年6月13日と14日にパリに大相撲がやってくるというので、軽い気持ちで、「お相撲なんて、日本でもテレビでしか見たことないし、またとない機会だし、行ってみようかな?」と思って、チケットの値段を調べてみたら、一番安いチケットで81ユーロ(約13,000円)で、その後、159ユーロ、229.50ユーロ、313.50ユーロ、519ユーロ、1036.50ユーロとあり、チケットの座席表を見ると、一番安いチケットだと、バルコニー席といえば、聞こえは良いけど、会場はオリンピック競技なども行われたアリーナで、ほぼほぼ米粒ほどしか見えないであろう土俵からは、遥か遠い席。最低でも313.50ユーロ(約5万円)から519ユーロ(約83,000円)の席ではないと、ほぼほぼロクに見えない感じ。

 いわゆる砂被り席などの間近で見える席など1036.50ユーロ(約165,800円)(1人あたりの値段)と狂気の値段です。

 それでも、行く人はいるだろうし、ご招待とか関係企業の人とかでいっぱいになるのでしょうが、お相撲が海外にやってくると、こんなに高くなるものとは知りませんでした。

 パリに大相撲がやってくるのは、1995年以来30年ぶりのことだそうで、1986年、1995年に次いで3回目になるのだそうです。

 日本文化を日本以上に評価してくれている気がするフランスで日本文化の象徴的な存在のひとつとも認識されている「SUMO」大相撲がパリで見られるとなれば、これだけの価格を支払ってでも、見たい人はかなりいるとは思われるものの、庶民が気軽に行ける金額ではありません。

 もっとも、私の勝手な印象ですが、パリで日本文化を愛でる人々の層は嫌な言い方をすれば、一定レベル以上(簡単に言えば、ハイソな感じ)の人々が多く、ある種のステイタスのように、浮世絵のようなものを飾ったり、日本の古いものを飾ってみたりするような感じがあります。

 なので、この程度のチケットの値段に私のようにビビらない人々なのかもしれませんが、とはいえ、私はお相撲のことは、あんまりというか、ほとんど知らず、今、どんな力士が活躍しているのかも知りません。

 逆に、パリでこんなに高いなら、今度、日本に行った時、お相撲に行ってみるのもいいかも・・などとも思っています。

 日本相撲協会の会長は、「日本の相撲の伝統文化と相撲の魅惑的な雰囲気をフランスの人々に伝えるイベントにしたい」と言っているそうです。日本の伝統文化とはお高いものです。


2026年パリ大相撲


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2025年3月6日木曜日

マクロン大統領の演説 明日の解決策は昨日の習慣であってはならない

 


 「フランス国民の不安に応えたい」と行われた夜20時からのマクロン大統領の演説は、15分弱のものでしたが、終始厳しいながらも落ち着いた様子で行われました。

 内容は、フランス・欧州の防衛に関する内容が中心ではありましたが、急激に変化する世界情勢の中、フランスがどのような姿勢で取り組んでいるか?また、今後、フランスはどうしていくのか?今後のフランスの外交路線を説明するものでした。

 この演説は、翌日にはブリュッセルで27ヵ国が集結し、今後のウクライナと欧州防衛への継続的な支援についての協議が行われる前日に行われています。

 この演説の中で、マクロン大統領は、「この危険な世界に直面して、傍観者でいることは狂気の沙汰である」と言明し、ロシアがもはやウクライナだけではなく、フランス、ヨーロッパの脅威となっていると説明。

 そして、「平和はウクライナの降伏や崩壊であってはならない」また、「平和は、いいかげんな停戦がもたらすものでもない」と、ロシアがミンスク合意を尊重していないことを指摘しながら、「今日、我々は、もはやロシアの言葉を信じることはできない」と、フランスが取ろうとしている姿勢を明確に説明しています。

 加えて、ウクライナへの支援の一時停止を発表した米国が我々の側に留まることを信じたいし、米国への説得も続けていくが、そうでない場合に備えて、欧州諸国は、自らの国を防衛するための万全な準備をしていかなければならないと語りました。

 これを裏付けるかのように、彼は欧州首脳会議での確認事項として、「欧州加盟国は、赤字に計上されることなく軍事費を増額することができ、最も革新的な軍需品、戦車、武器、武装品を欧州の地で購入し生産するために、大規模な共同資金調達が行なわれることになる」と説明、これは、欧州諸国が自国を防衛し保護する準備、自国で必要な装備を共同生産し、協力して世界の他の国々への依存を減らす準備がより整うことを意味しています。また同時に、「ヨーロッパの将来は、モスクワやワシントンが決めることではない」とも言っています。

 この防衛費のために新たな予算の選択と追加投資を増税することなしに行うことを宣言しました。この「増税することなしに・・」とハッキリ宣言することは、フランス国民にとっては、恐らくとても大きなことで、ともすると怒りの矛先が政府に向かいかねない、最悪、国内でまたデモや暴動・・などということにもなりかねない案件です。今、この世界情勢で、国内での大混乱などどうしてもあってはならないのです。

 彼はこの演説の中で、核抑止力についても語っていますが、この核抑止力は、フランスが核保有国として存在していることの責任と意味についての確認とも受け取れます。フランスは、その意味で核を持っているからこそ、これを抑止力として、主権的に欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を進めることができると説明しています。

 最近のマクロン大統領の演説の中では、久しぶりに頼もしい感じでした。この非常に緊迫した状況の中、外交の場に立つ我が国(フランス)の大統領が一体、何を考えて、どう進もうとしているのかを明確に国民に伝えることは、大切なことだったのでは・・と思いました。

 そして、彼は言っています。「明日の解決策は昨日の習慣であってはならない」と。


マクロン大統領の演説


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2025年3月5日水曜日

フランスにも広がり始めているアメリカ製品ボイコット運動

  



 « BOYCOTT USA : Achetez Français ! »(アメリカ製品をボイコットし、フランス製品を買おう!)そんな呼びかけがフランスで起こり始め、Facebookには、この類の文言を掲げるグループが立ち上がり、具体的にアメリカのメーカーや製品とそれに代替するフランス(あるいは欧州)の製品名を表示するサイトが立ち上がったりもしています。

 しかし、現実的には、アメリカの製品は驚くほど、フランスにも浸透しており、これらすべてをボイコットするとなると、スーパーマーケットに並んでいるドリンク類から衛生用品に至るまで、多くの商品が棚から消えることになります。

 例えば、ソフトドリンクに関して言えば、コカ・コーラとペプシコのブランドを取り除くと半分の棚が空になると言われており、また、菓子部門でフランスで、大きな位置を占めている「Lu」ブランドは、オレオやミルカのブランドも所有するアメリカの大手モンデリーズの傘下となっています。このアメリカのグループの傘下に属する製品を撤廃するとなると、この棚の3分の1が消えてしまいます。

 同様の現象は、衛生用品などでも同じことで、オールウェイズ、アリエール、パンパース、ヘッドアンドショルダーズ、プロクター&ギャンブルグループなど、誰もが知っているメーカーが全てアメリカに属するものです。

 これらの商品がこれほどまでに広まって存在しているということは、これまで、多くの人々がその商品を選んで消費してきたということで、巨大企業の彼らには、太刀打ちできない価格の問題等もあり、消費者側からすれば、これに代替する商品をボイコットし、他の商品を選ぶということは、より多くのお金を払うか生活習慣を見直さなければならないということになります。

 にもかかわらず、これらの商品をボイコットするということは、生活必需品以外のものは比較的可能なことかもしれませんが、そうそう容易いことではなさそうです。

 それでも、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の衝撃的なマスコミを前にしての交渉決裂から、その後に欧州全体に緊張状態が波及したことだけでなく、その他にも外交、軍事上の約束を撤回し、欧州連合(EU)に経済制裁をちらつかせるなどアクセルを踏み込んでいるトランプ大統領に対して、ただただ黙っているわけにはいかない・・少しでも何かアクションを起こしたいと思っている人は少なくないのも事実。

 そもそもフランスには、「アメリカからの自立というアイディアを実現する土壌がかなり肥沃である」と見ている人もいます。実際に、私の夫(フランス人)なども、アメリカを毛嫌いする世代の人で悉くアメリカのものを拒絶しようとする傾向がないでもありません。

 この問題がここまで深刻化する前から、トランプ政権に直接関係があるテスラのような企業に対しては風向きが強くなりはじめ、2月には、テスラの欧州での売り上げは3分の2減少したとも言われています。

 しかし、大きなところでは、GAFAと呼ばれる、Google、Apple、Facebook、Amazonなどに関しては、全くのお手上げ状態と言わざるを得ない感じ、そもそもこのアメリカ製品ボイコットグループの呼びかけが立ち上げられたのもFacebookで、なんだか、手のひらのうえで、踊らされている感がしないでもありません。


アメリカ製品ボイコット運動


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2025年3月4日火曜日

久しぶりのバスで・・

  


 長期間、家を留守にするため、家の中の冷蔵庫はほぼ空にしていったので、日本から、山のような食料品を持ち帰ったとはいえ、生鮮食料品はないので、近所にお買物にでかけました。いつもならば、歩く距離でも、時差ボケと旅の疲れにかまけて、バスに乗ってでかけました。

 これで、雨でも降っていたら、まだまだ外出はしなかったかもしれませんが、幸いにもお天気がよかったので、太陽の光を浴びることは、時差ボケ解消にもなるな・・とも思ったのです。

 バス停には、年配の女性二人がベンチに座っていて、そのうちの一人がなにやら、少々、興奮気味に話している様子で、ああ~フランスだわ・・と思いながら、その隣でなんとなく座って、その様子をぼんやりと眺めながら、バスを待っていました。

 すると、その一生懸命話している方の女性が、私に向かって、「ねえ、そうでしょ!」と同意を求めてきたので、まるっきり話を聞いていなかった私は、突然、話をふられるなどおもってもおらず、「えっ??」と一瞬、どう反応してよいやら、目を見開いていたら、その女性は、私の反応など、ほぼ気にせずに、そのまま話を続けようとしたところで、バスがやってきました。

 そうそう、フランス人が興奮して話をしているときには、相手が聞いていようがいまいが、あまり関係なく、ひたすら話し続けるんだった・・と思い出しながら、「あ~フランスに帰ってきたんだな~」と、なんとなくニッコリしたのでした。

 バスの運転手さんには、多くの人が「ボンジュール!」と挨拶をし、降りるときには、降車口から大きな声で「ありがとう!」と言っていく人もいて、しばらく?少し離れていただけなのに、久しぶりのバスに「あ~そうそう・・こんな感じだった・・」と、なんかホッとするような気持ちになりました。

 日本では、なんだか、知らない人に話しかけたり、挨拶したりすることがないことに、行った当初は、なんだか少し寂しいような気がしていたのに、あっという間にそんなことにも慣れて、こんなフランスでの日常を忘れていたんだな・・と思うけれど、きっと娘なら、私は、フランスでも知らない人に話しかけられることはないというだろうな・・などとも思うのです。

 ということは、私がフランスの人は話好きで・・などと思っているのは、フランスでもおばちゃん界隈の話なのかもしれない・・とも、あらためて思うのです。


フランスのバス停のおばちゃんたち


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2025年3月3日月曜日

久しぶりのフランスのテレビは・・

 


 日本滞在中はテレビは見ない生活を続けていました。実家(といっても現在は娘が生活している家)では、テレビは繋いでいないので見れないし、特に見たいとも思わなかったし、主なニュースは、SNSやYouTubeなどで時々見る程度でした。

 もっとも、フランスにいても、テレビは夜8時からニュースをせいぜい2時間程度見るだけなので、それほど大きな違いはありません。

 現在、絶賛、時差ボケ中で、日本から持ち帰った大量の荷物(ほぼ食糧)を少しずつ整理して片付けながら、長いこと留守して、なんとなく煤けた感じの家の中を掃除したりしながら、ゴロゴロ過ごし、ちょっと横になれば、いつの間にか眠ってしまいます。

 さすがに、忙しく旅行しまくり、東京に戻っても日々、お出かけの毎日の疲れもどっと出ている感じです。

 フランスのニュースは、現在、数日前のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の衝撃的な会談決裂の話題で沸騰しています。トランプ氏がアメリカの大統領に当選した時点で、このような流れは想像はついてはいたものの、それが、戦禍中とはいえ、いみじくも一国の大統領をカメラの前であのような感情的な様子で罵倒したことは、彼を支えようとしている欧州をさらに結束させることに繋がったようで、翌日にイギリスに渡ったゼレンスキー大統領が熱烈歓迎を受け、チャールズ国王と固く握手を交わす様子やイギリスに集まっている各国首脳たちと、次々と熱いハグを交わす映像が繰り返し流れています。

 ウクライナが突然とも言える攻撃を受けてから、もう3年が経ち、それ以来、常に表立ってウクライナ支援を進めてきた感じのマクロン大統領も、衝撃のゼレンスキー×トランプ会談の少しまえの対トランプ大統領との会見では、トランプ大統領がウクライナ支援をあくまでもビジネス的な融資のような扱いをしたことに対し、トランプ大統領の発言を制して、彼を手で押さえて、フランス(欧州)は、ウクライナ支援は、あくまでも支援であり、融資、貸付ではないとハッキリと主張したことは、今となれば、あの時点でハッキリさせておかなければならなかったことであったと、あの時点で彼の発言を寸時に訂正できたことは、賢明であったと思われます。

 今後は、一歩間違えば、深刻な事態に発展しかねない状況になっていますが、どちらにしても、アメリカ(トランプ大統領)との会談に関しては、ゼレンスキー大統領にしても、マクロン大統領にしても英語で話をしているわけで、いくら彼らが英語を流暢に話しているとはいえ、言語的にハンディがあることは見逃せないことでもあります。

 このことが、欧州連合といいながら、本来は別々の文化、歴史的背景を持ち、本当の意味での連合は難しいと思われていたヨーロッパの連帯を逆に強める結果になりつつあるという側面もあるようで、フランスのテレビでは、そんなことを喧々囂々と話し合っています。


 日本ではテレビを見なかったし、見る時間もなかったので、今、どんなテレビ番組をやっているのかはわかりませんが、きっと、まったく違う感じなんだろうな・・という気はしています。

 フランスに戻って、夜のテレビのニュースを見ていると、やっぱり、夜のニュースは、見逃せない気がしてくるのは事実。こんなニュースとともに、フランスに戻ってきた・・と実感させられるのでした。


フランスのテレビニュース


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