2024年9月25日水曜日

RATP(パリ交通公団)が掲げる9つの約束と知らなかったサービス

  


 「私たちは、お客様にさらに満足していただくために、一貫した、パーソナライズされた高品質のサービスを提供することに日々取り組んでいます」、「私たちは具体的な9つの取り組みを掲げて絶え間ない動員を続けています!」というRATP(パリ交通公団)の広告をチラッと見て、「こんなの絵にかいた餅になるんだろうな・・」と半ば、あんまり信用せずに読んで行ったら、けっこう知らなかったサービスもあったんだな・・と思ったので、ちょっとだけ書いておくことにしました。

 メトロや RER のプラットフォーム、またはバスやトラムの停留所での待ち時間を短縮する取り組みとして、待ち時間はメトロで3分、RER 中央区間で4分、支線で12分を目途に調整しているそうで、メトロ、バス、トラム、RERを年中無休、1日20時間利用できるようにし、ノクティリアンバスは一晩中、利用可能を実施。

 ここに関しては、待ち時間はともかく、忘れてはならないのは、ストライキ問題で、なんといってもRATPの一番の問題は何かあるたびに先頭を切ってストライキをお客様そっちのけで、高品質のサービスとはかけ離れたことをやるわけで、待ち時間とか、運行時間などの問題ではなく、この期間は運休だったり間引き運転だったり、大変な迷惑を被るので、この問題を一番に解決してほしいところです。

 また、27,000 人の従業員が、身体の不自由な方や障害のある方を歓迎し、サポートするための訓練を受けており、フランス語を話せない方、視覚障害者、聴覚障害のある旅行者を毎日案内しているそうです。

 これに関しては、一度、RATPの職員が視覚障害のある女性を案内して、メトロに乗せるために、駅のホームをエスコートしているのを見かけたことがあり、その女性が下りる駅では、その駅の職員が待機して案内するように手配してあるのでご心配なく・・と伝えているのを目撃したことがあり、ずいぶんと親切なんだな・・と感激したことがあります。

 フランス語を話せない方・・に対しては、最近は、オリンピック効果?なのか、駅によっては、オリンピックが終わった今でも英語で案内してくれる人が待機している駅もあります。

 また、「RATP」のサイト上(仏・英語)では、交通情報や物品を紛失した場合の問い合わせができると言っていますが、これはRATPの問題以前に、メトロなどの公共交通機関で失くしたものが出てくるかどうかは、また別問題です。失くさなくても盗られるのに、自ら紛失したものが出てくる可能性は、限りなく低いです。

 そして、これは知らなかったのですが、駅によっては、傘の貸し出しサービスをやっている駅もあるそうです。

 また、RATPには、カスタマーサービスがあり、年中無休、3424 (無料通話) で利用できるそうです。

 そして、これまたビックリしたのは、RATP ネットワーク全体 (車両とスペース) は毎日清掃および消毒されているのだそうで、そういえば、以前ほど、汚~い!というメトロは見かけなくなった気がします。

 また、さらにビックリするのが、「当社は、すべてのエスカレーターとエレベーターの 95% が正しく機能することを保証します」というところで、これは、正しく機能するために修理中・・というのは、カウントされるのだろうか?とちょっと、いじわるに思いますが、100%と言わないところがなかなかリアルです。

 また、セキュリティに関しては、セキュリティ専門の 1,000 人以上の職員と50,000 台を超えるカメラが駅や車両に配備され、24 時間年中無休で運用される指揮所を通じて操作されているそうで、ジェンダーに基づく暴力や性暴力との戦いのために、特別に職員を訓練しているそうです。

 また、85のRER駅と地下鉄駅にはWIFIを導入しているそうです。

 いずれにしても、RATPのクォリティはオリンピックを機に格段にアップしたのは、事実で、車両はずいぶん新車に切り替わったし、少なくとも期間中はほんとに清潔できれいになりました。

 「やれば、できるじゃん!」とも思いましたが、正直、これが維持できるかどうかは、あんまり期待はしていませんが、少しは、改善されていく方向なのかな?とは思います。

 現在、RATPの社長は、数期前の首相だったカステックス氏で、彼自身、時々なのかはわかりませんが、メトロを利用しているようで、私も一度、見かけて「お~~っ!」となりました。

 あまりにふつうに、一般の乗客に溶け込んで、乗っていらっしゃったので、びっくりしたのですが、こんな風に社長自ら、現状をご覧になっているのかもしれません。


RATPのサービス


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2024年9月24日火曜日

薬局で倒れたおじいさんを見守りながら、なにかあったら、薬局に駆け込もうと思いました・・

  


 体調を崩して、お医者さんに行き、処方箋を書いてくれたので、帰りに薬を出してもらいに薬局に寄ったときのことです。

 小さな人だかりができていて、???と思って覗くと、おじいさんが倒れていて、それをコマーシャルセンターの救助の人々と薬局の人が取り囲んでいました。

 おじいさんは、床に仰向けに転がっていて、苦しそうな顔をしています。でも、どうやら意識はあるようで、「何歳ですか?」とか、「左足をたてられますか?」、「右足をたてられますか?」、「私の手を強く握ってみてください」とか言われながら、指示に従って、そのとおりに身体を動かしていますが、目は閉じたままですが、時々、苦しそうに目を薄くあけています。

 ひとまずは、言っていることは理解しているようで、「はい、83歳です」とか、言われた通りに片足ずつをたてたり、救助の人の手を握ったりしています。

 それでも自分で起き上がることはできないようで、また、下手に動かしてはいけない様子で、まあ、とりあえずは、薬局で倒れたのは不幸中の幸いのようで、応急処置に必要な器具などが揃っていて、ひととおりの質問が済んだところで、救助の人が「救急車を呼びましょう」と判断し、通報していました。

 ものすごく優しく語りかけているにもかかわらず、緊迫感が伝わってくる感じです。

 ここで私が驚いたのは、その救助の人たちも薬局の人たちも、ものすごく優しくて、わりとよく知っている薬局で、いつもの彼女たちも知っているので、日常はどんな感じの人なのかわかっているだけに、いつもと全然違うのも、わかります。

 もちろん、日常だって、親切だし、感じよい人々なんだけど、ベタベタは決してせずに、ほどよいさっぱり感が私は、気に入っているのですが、ここぞという緊急時には、本当に親身になって、めちゃくちゃ優しいところに感心させられたのです。

 これは、多くのフランス人に共通するところで、いつもは、わりと我関せずな感じでさっぱりしているけれど、本当に困っている人、怪我人、病人などには、ものすごく優しいのです。

 いつだったか、わりと人通りが少ないと思われるちょっと郊外の通りを道がわからないので、GoogleMapを見ながら、歩いていたら、歩道と車道の段差でものすごく勢いよく、転んだら、どこで見ていたのか、若い男性2人がどこかからすっ飛んできてくれて、大丈夫?大丈夫?近くの会社で手当できるよ・・と助けてくれました。

 他に数人の女性も駆け寄ってきてくれました。

 その時は、かなり痛かったのですが、痛いよりも恥ずかしさが先にたち、もう早く立ち去りたい気持ちが強くて、「はい、大丈夫です。ありがとうございます!」と言って、早々に立ち去ったのですが、後から考えたら、「すごく優しい人たちだったな・・」と、ちょっと感動したのです。

 また、これが薬局ということで、対応もより的確で、お見事といっていいくらいの対処で、見直しました。

 私は、近所にかかりつけのお医者さんがいるので、いざとなったら、彼女のところに駆け込もうと思っているのですが、このお医者さんよりもさらに家から近く、開店時間も長い薬局の方がとりあえず、駆け込むのには、よいだろう・・などと、倒れたおじいさんを見守りながら、考えていたのです。

 最近、体調を崩しがちな一人暮らしのわが身からすれば、これは、なかなか心強いことです。


フランスの薬局


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2024年9月23日月曜日

逆さはいけない・・

  


 夫が急死したのは、日本にいる母が亡くなった約2年後のことで、母の死から、ようやく立ち直りつつあった私には、本当に辛いことで、「こんなに悲しく辛いことは、もうこれ以上、この世にはないだろう・・」と思いました。

 母が生きていてくれたら、おそらく何をおいてでもかけつけてくれただろうに、そんな母はもうおらず、(父は、そのような人ではない)、日本に行けば、とても優しく親しくしている叔父や叔母たちも、さすがに腰が引けたのか、すぐには、誰も来てくれませんでした。

 それでも、私にはまだ、当時10歳の娘がいたし、娘もそうそう学校を休むのもいけないし、私も仕事があったので、むしろ、夫がいなくなってしまった家に一日中ふさぎ込んでいるよりも、それぞれ、学校や職場に行った方が気が紛れて助かったのです。

 そのうえ、夫の死後にしなければならない公的手続きなどは、山積みで、夫の同僚の人が手伝ってくれたものの、私が直接、提出しなければならない書類などもけっこうあり、また、さすがのフランスのお役所・・その必要な書類をバラバラ、後から追加してきたりするので、(もう!一度に言ってよ!と思ったけど、その時はそんなことを言い返す元気もなく・・)、ひたすら、淡々とその日、やらなければならないことをこなしながら、時を過ごしていました。

 当初から、「でも、娘ちゃんがいてくれて、よかったね・・」となぐさめてくれる人もけっこういましたが、そんなことを思うのは、それからしばらく落ち着いてから言える話で、異国の地で、子どもを一人で育てていかなければならなくなったことは、正直、とても不安なことでもありました。

 しかし、当時は、これ以上悲しいことはもうないだろうと思ったけれど、これ以上悲しいことは、娘にもしものことがあった時ということがあったわけで、そんなことがあったら、今度こそ、本当に私は立ち直れないだろうな・・と思ってしまいます。

 ところが、その子どもに先立たれるということは、全くない話ではなくて、数年前に、「そういえば、彼女、どうしてるんだろう?」と、仕事関係で(あくまで仕事上でのつきあいだけでしたが、)けっこう親しくしていた人に連絡してみたら、なんと、数年前に息子さんを亡くされたそうで、しかも、自ら命を絶ってしまった・・ということで、それ以上は、あまり彼女も話したがらなかったし、深く聞くのも憚られたし、彼女もその時点では、もう受け入れられたからもういいの・・と言っていたので、あまり詳細は聞きませんでしたが、どんなに辛い思いをされただろうか?ということは想像に難くないところでした。

 彼女も私も一人ずつ子どもがいて、顔を合わせれば、息子さんはお元気?などと、お互い子どもの話をすることも多く、男の子を持つママにはありがちな感じで、もう夫よりも息子の方が恋人みたいな感じで、とても可愛がっていたという記憶があり、男の子の親と女の子の親っていうのも、微妙に違う感じなんだな・・と思っていました。私と娘は、どちらかといえば、恋人というより、友だちみたいな感じです。

 その話を聞いて、また数年が経ちましたが、つい最近、友人から、元同僚の一人が息子さんを亡くしたという話を聞いて、正直、驚きました。彼女とはそれほど親しかったわけではないので、直接、話を聞いたわけではないし、あまりここぞとばかりに、連絡を取るのも空々しい感じなので、詳しい事情はわかりませんが、お悔やみのメッセージだけ送りました。

 月並みだけど、「やっぱり逆さはいけないよな・・」と思い、最も痛ましいことの一つだと思いました。

 しかし、この話は別としても、「逆さはいけない・・」とか、「順番が違う・・」とか、言いますが、この高齢社会、親が90や100まで生きていても不思議ではない時代、その「逆さ」もさぞかし増えてることだろうな・・と妙なことも思いました。

 うちは、両親ともに、すでに他界しているので、もう私の実家においては、「逆さ」はあり得ないことですが、親が長生きすればするほど、それは、充分にあり得る話になってきます。

 今の私などの世代での「逆さ」であるならば、その子供の年齢もあまりにも若いことによる悲劇という要素もあると思いますが、親が90歳とか100歳の逆さの場合でも、やっぱり、そんな風に思うのだろうか?と、私は、そんなことにならないように、逆さにならないようにほどほどの年齢でお暇したいと思っています。


逆縁


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2024年9月22日日曜日

やっぱりフランス人の肥満は増加しているような気がする・・

  


 先日、ここ20年間でフランス人の肥満が急増している・・という記事を書いて、それでも、比較的パリはそうでもないかもしれない・・と書いたのですが、あれ以来、でかけるたびに、なんとなく周囲の人々の体型を今さらのように見ていると、やっぱり、肥満気味の人が増えたかも・・と思います。

 まあ、そういう私も人のことを言えるほど、体型をキープしているわけではないので、偉そうなことを言うのも気が引けるところもあるのですが、まあ、中高年以降は、ちょっとふくよかになりがちでも、仕方ない・・とも思うのです。

 しかし、気になったのは、子ども・・小学校高学年くらいから中高生くらいの子どもたちに、この年齢の子どもにしたら、肥満気味の子がけっこう多いことに、あらためて、ビックリしています。

 これまで、周囲の人々の体型など、逆にすごくスタイルがよかったり、素敵な女性などの場合には、「おっ!!カッコいい!!素敵!!」と思って注目したりすることもあるのですが、それ以外の人々の体型など、そんなに気にして見ていなかったので、あまり気が付いていなかったのです。

 加齢とともに代謝が悪くなり、運動量もなかなか心がけていないと、どんどん低下し、太りやすくなっていることは身をもって感じていますが、しかし、お節介おばさんとしては、子どもの頃から、あれだけ脂肪を蓄え始めてしまったら、やっぱり、ヤバいのではないか?と思ってしまいます。

 子どもの成長過程において、たしかに太りやすい時期というのもあるわけで、以前、娘が子どもの頃に、けっこう長い間、バレエをやっていたのですが、バレエというものは、レオタードを着てレッスンをするため、非常に体型の変化がわかりやすいのですが、小学校高学年から中学に入るくらいのタイミングでは、そのレオタード姿が夏の間に一気におばさんみたいになっている子たちがいて、「えっ?あの子たち、どうしちゃったの?」と驚いたことがありました。

 逆に、娘などは、長い間、バレエを続けていたことで(といっても週1回のレッスンだけですが・・)、常に自分の体型の変化に敏感になっていたかもしれません。そもそも娘は、ふつうの人より、運動量が多い・・といえば聞こえはいいですが、スポーツや動くことが好きなタイプで、そのうえ、好みの食べ物なども、フランスにいながら、フランス料理・乳製品が大嫌い・・好きなものはお豆腐や湯葉や高野豆腐やブロッコリーなど、肥満とは程遠い食の好み・・これはスタイルを気にして・・ということではなく、好物がたまたま健康食だったというラッキーなケースでしたが、私も気を付けて、間食などをするのであれば、できるだけ、彼女の好物で少しでも食事がわりになりそうなもの・・と、家の冷蔵庫には、必ず茹でた人参とブロッコリーを入れておき、学校から帰ってきて、お腹がすいたら、娘はこれを抱えて食べる・・と、私が家に帰った時には、もうブロッコリーや人参の入ったタッパーは空っぽになっていました。

 とはいえ、高野豆腐などは、パリでは貴重品、友人や職場の同僚などは、半分子どもが高野豆腐好き・・ということをおもしろがってくれて、日本に行く度に娘ちゃんにおみやげ・・といって、高野豆腐を買ってきてくれたりしました。

 話は逸れましたが、若干の肥満が気になったのは、この小学校から中学生にかけてと、あと、ローティーンの女の子です。ローティーン、ティーンエイジャーの女の子などは、一番体型を気にしそうなところだと思うのですが、これがこちらだとどうも、そうでもない・・。また、そういう子にかぎって、ケーキなどを食べながら歩いていたりする・・その年から、それでいいの??とまた、お節介おばさんは思うのであります。

 こちらは、けっこうおおらかで、おしゃれの仕方も自由なので、この体型でお腹出したファッションする?と思うこともあるくらいなので、それでも若いと健康的で可愛くもあるのですが、この年齢からこんなだったら、おばさんになったら、大変だろうな・・と思ったりもします。

 しかし、パリでは、明らかに、むしろ、30代から40代くらいの年齢の人々が明らかに気を付けて体型をキープしているんだろうな・・という人が多い気がします。

 明らかに美しさの概念が日本とは違うのは、どうやら明らかで、あまり華奢な人はいなくて、あまり魅力的とも感じられず、健康的な感じの方が美しく、また、若い女の子でも、よく公園などで、友だち同士集まって、日光浴していたりするのには、「ああ~~違うんだな~」と思います。

 しかし、基本的には、どう考えても日本と比べて、健康的な食生活のバランスはよくないフランス・・消化機能なども若干の違いがあるのかな?と思うこともありますが、やっぱり子どもの頃から健康的な食生活を身につけさせることも、教育の一つなのかな?と思うのです。そのあたりは日本の方が断然、意識が高いかもしれません。


子どもの肥満


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2024年9月21日土曜日

日本の新しいパスポートについて これまでに比べて最短でも3倍以上の時間がかかるってなんだよ!

  


 「偽造防止対策を強化した新しいパスポートが来年3月から発行されることになりました。これにあわせて、オンラインによる新規申請も可能にして、利便性を向上させるとしています」こんなふうに、日本のニュースには書いてありました。

 外務省によると、現在のパスポートでは、個人情報を登録したICチップが内蔵された厚いプラスチック製のページと顔写真が掲載されたページが別々になっているのを一体化し、特殊なレーザーで印字することで複写ができず、偽造されにくくなるということです。

 一見、というか、パスポートそのものは、精巧なものになるようですが、海外在住者にとっては、ちょっと信じ難い結果に閉口しています。

 というのも、この日本の新しいパスポートは、全て日本国内で作成されるようになるということで、これまで申請から約1週間で受け取れていたパスポートが最短でも3週間はかかるようになるということで、時代の変化に伴い、時短、便利になるところが、3倍以上の時間がかかるようになるという信じられない事態になります。

 こうなってくるとオンライン申請は必須で、さもないと、書類を一端、大使館に提出して、大使館から日本の外務省に送付、日本の外務省でパスポート作成ののち、また、こちらの大使館に送付・・と往復の時間がかかるわけで、相当な時間になりそうな予感がします。

 これと同じようなことをやっているのが、在外選挙登録で、この在外選挙登録をフランスの日本大使館に申請してから、日本の外務省に送られ、そこから、管轄の市区町村に送られるとかで、在外選挙人証を受け取るまでに、3ヶ月以上かかりました。

 来年の3月以降のことなので、具体的にどのくらい時間がかかるのかは、不明ですが、最短でも3週間というのをどの程度に見積もっていいのか?様子をうかがう必要があります。

 海外生活において、旅行でもしない限り、日常では、あまり必要ないパスポートではありますが、実のところは、日本人として、命綱でもあるパスポートです。フランスの日本大使館からは、来年3月からの申請には、交付までに時間がかかるようになるため、「残存有効期限が1年未満の場合には、早めのパスポート切替申請をご検討ください」とのことで、失効の1年前から検討せよ!とは、気が遠くなる気がしています。

 また、大使館には、いつまでもカード払いではなく現金払いが強いられてきましたが、さすがにオンライン申請でカード払いを登録すれば、オンライン上の支払が可能とのことですが、これまた領事館の場合は当面の間、現金のみとのことで、今どき、支払いにカードが使えない公館なんて、全く信じられない話です。

 まったく、なにもかもがスピーディーになり、便利で簡単になってきている現代社会で、この時代に逆行するような不便になる話。偽造しにくいパスポートにしても、もう少し、なんか別の方法はなかったものなのか?と本当にウンザリしています。


日本の新しいパスポート


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2024年9月20日金曜日

2025年1月 イル・ド・フランス鉄道網 均一料金価格導入と価格変更



 イル・ド・フランス・モビリテス(IDFM)は、2025年1月にイル・ド・フランス鉄道網全体で2.50ユーロの単一チケットを設定する予定であると発表しました。

 「このチケットを使用すると、目的地や距離に関係なく、地下鉄、RER、トランシリアンなどのあらゆる鉄道交通手段を同じ料金でご利用いただけます」と、なんだかお得感満載な感じで発表されているものの、パリ市内だけを移動する人にとっては、これまでの2.15ユーロから2.50ユーロへの値上げを意味しています。

 現在の運賃は、パリの地下鉄で 2.15 ユーロから、イル ド フランスの最終目的地に応じて最大 5 ユーロまで異なっていますが、これが移動距離に関係なく2.50ユーロとなるので、イル・ド・フランス内で比較的、長距離を移動する場合は、かなりお得で簡単になります。つまり、2.50 ユーロの最初のチケットは、パリの地下鉄、RER の線の端から端まで、およびすべてのゾーンの郊外電車の全移動に有効になるわけです。

 これにより、イル・ド・フランス・モビリテスは、駅の券売機の行列が大幅に解消されると見ています。

 また、これとは別にバスやトラムの利用に関しては、2ユーロ(移動距離に関係なく均一料金というシステムは同じ)チケットが導入されます。バスの場合、運転手から直接チケットを購入する場合の価格は、2.50ユーロのままの据え置き(できるだけ、この方法でチケットを購入することを避けてもらうためと言っている)になります。

 つまり、これまで、パリ市内ならば、メトロもバスも均一のチケットが利用できていたものが、メトロ用とバス用は、別々に購入しなければならないという意味ではないか?とも思います。このためなのか?これまで販売されていた10枚綴りのチケット(メトロ・バス用)は、廃止されるようです。

 どちらにしても、観光客などにとっては、どうやってチケットを買ったらいいのか?メトロとバスの価格の違いなど、なかなかわかりにくいのではないか?とも思います。今はネットもあるので、事前に調べてくることができるので、ネット情報ありきのことなのかもしりませんが、初めて来る人にとったら、けっこう面倒なことかもしれません。

 しかし、これを全体的に考えれば、パリ市内を移動する乗客が圧倒的に多いわけで、なんだかんだ理由をつけて、結局は値上げの増収ということではないか?と思わないでもありません。

 住民からしたら、だいたい Navigoを持ってしまっているので、細かなチケットの値段などをあまり考えもせず、毎年、必ずNavigoの値段が値上げされるときだけ、「え~~~??」と思うだけで、あとは、もうあまり考えないのが正直なところですが、郊外から時折、パリに来る人、また逆にパリから時折、郊外に行く人にとってはお得になります。

 しかし、イル・ド・フランス・モビリテスは、これらの新料金により交通機関の利用が約1~2%増加すると考えており、不正行為との戦いを強化していくと説明しています。

 この「不正行為との戦い」については、もう少し見直しもしてほしいところで、知らなかったでは済まされずに、容赦なく観光客に対してなども高額の罰金請求を行っているのも、はたから見ていても、少々納得いかない気分。もう少し、観光客にもわかりやすいように、しっかり説明して理解を広める努力もしてもらいたいものです。


イルドフランス鉄道網 均一料金システム


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2024年9月19日木曜日

マクロン大統領解任決議案提出

  


 今週、はじめに、国民議会事務局は、ラ・フランス・アンスミーズ(屈しないフランス)(左派政党)が提出したマクロン大統領解任決議案を受理しました。

 「フランス第5共和政の歴史において前例のない出来事」といわれる大統領解任決議案ですが、実際、長く複雑なステップが必用になりますが、これが成功する可能性はほとんどないと言われています。

 法務委員会のメンバーによって、この提案の議題について検討、採択されるかどうかが決定されます。

 仮に法務委員会を通過したとしても、決議案は「委員会の結論から遅くとも13日目までに議会の議題に組み込まれなければならず、採決は、遅くとも15日目までに行われなければならない」とされています。

 そこでは、国会議員はエマニュエル・マクロンの解任を決定するよう国民議会に招待されるのではなく、共和国大統領の解任を決定できる唯一の管轄権である高等法院での議会に召集されることになりますが、国会議員の3分の2の票を集めなければならないため、ほぼ不可能であると、あまり大々的には報じられていないほど、軽視されています。

 しかし、反政府勢力の間では、この一連の行為は非常に成功したと考えられています。

 これは、今回は失敗したとしても、国民議会事務局がこの議案を受領したことで、火種は灯され、このまま不安定な政権が続いたり、さらに大きな問題が勃発した場合は、この議案のステップが繰り返されることになり、一気に上院まで進む可能性もあり得るという意味でもあり、穏当に運べば、マクロン大統領の任期は2027年までですが、それまでは、マクロン政権は持たないのではないか?という見方をする人も出てきていることも事実です。

 実際に、欧州議会選挙以来の国民議会解散、総選挙以来、内閣が解散したまま首相も1ヶ月ほど決まらず、内閣に至っては、まだ発表されていません。

 このグダグダの間にその内閣組閣にあたって、交渉がスムーズに進んでいないのは明らかなうえに、首相が交渉にあたっている大臣候補の中から、首相が増税政策を告げられたと暴露され、この大臣候補は、「増税する政府に参加したり支持するのは問題外である」と断言。

 世間の目は、一気に増税か否かに注目が集まり、バルニエ首相が増税を望んでいるという噂が、特に大統領陣営で高まり、緊張が高まり、首相の側近が、これに対して、「増税に関する噂は単なる憶測であり、首相は予算状況を分析中であり、今日はいかなる選択肢も決定されていない」と釈明しています。

 現在は、首相が任命されたので、首相が矢面になっているし、実際に彼自身のはっきりとした方針が示されていないままに、このような暴露話までが露見してしまうという、ここ数年には、見たことがなかった惨状が繰り広げられています。

 欧州議会の思わぬ結果により、突如、誰もが驚愕した国民議会を解散して再選挙に臨んだマクロン大統領ですが、欧州議会は欧州議会として、国民議会はそのままにしておけば、こんなグダグダな状況には、ならなかったであろうに・・。

 こんなことを今から言っても仕方ありませんが、これまで、数々の国民の反発を乗り越えてきたマクロン大統領、これから先は、とりあえずは、まず政府陣営を上手く組めなければ、本当に足場が揺らぐことになるかもしれません。


マクロン大統領解任決議案提出


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