2024年3月25日月曜日

従姉妹夫婦の食と旅に徹した羨ましい人生

  


 私には、6歳年上の従姉妹がいて、子供の頃はそれこそ隣に住んでいながら、あくまでも同い年の従姉妹のお姉ちゃんという少し離れた存在でした。もっとも考えてみれば、子供の頃の6歳の年の差は大きく、子供の私からみれば、彼女の存在は、実際の年齢以上に年の開きを感じていて、ずっと、すごく大人だと思っていました。

 私が小学生の頃には、彼女は中学生、高校生だったのですから、そのくらいの年頃の子供にとっては、やっぱり別世界です。

 彼女は、イギリスに留学していた時期もあり、わりと海外にも抵抗なしに出かける人なので、彼女と少しだけ、行き来をするようになったのは、私がフランスに来て10年以上経ってからのことです。

 彼女がお友達とパリに来たときに家に寄ってくれたり、私が日本に帰ったときには、美味しいものを届けてくれたり、家に呼んでごちそうしてくれたり・・現在は、日本の家はそんなに近くないのですが、ことさら食べ物に関して、何かにつけてお世話になることの多い従姉妹です。

 彼女は、結婚していますが、日本でDINKS(Double Income No Kids)という言葉が日本に出回り始めた頃のまさにDINKS夫婦。彼女は長年にわたり会社を経営しているし、ご主人は、歯医者さんで子供はいません。

 それなりの高収入ではあるとは思いますが、彼女たちのお金の使い方は、いわゆる銭ゲバ成金的なお金持ちのような生活をしているわけではなく、その収入の多くを「食と旅」に費やしている私からみれば、理想的な生活をしています。

 日本に住んでいながら、一食も無駄な食事をとらないという姿勢は尊敬すべきものであり、それなりにお金だけでなく手間暇もかかっていると思います。コンビニのお弁当やカップラーメンなどで食事をすませることはせず、毎日、美味しい食材で作ったお弁当を持参しています。

 少しまとまった休みがとれるタイミングには、かなり前もって旅行の予定が入っていて、その土地で美味しいものを見つけると、その土地の頑固なお肉屋さんやお魚屋さんと仲良くなるまで通い詰めて東京まで送ってもらったりもしています。

 私はその全てを把握しているわけではありませんが、食いしん坊の家系の中でも彼女夫婦はダントツで群を抜いた存在、その味覚に関しては、私も娘も絶対的な信頼を置いています。

 今回の私の九州旅行はそもそもが日本への一時帰国自体をかなり急に決めたものでもあり、その間の旅行については、もともとの用件が住みそうな頃合いを見計らって、娘と二人だけで決めたものでした。

 それが、日本に到着したあとに、私がこの日からはちょっと九州に行くんだ・・と話したら、なんと、その期間に少々、日にちはズレるものの、似たような地域を彼女たち夫婦が旅行する計画になっていて、じゃあ、この日に予定が合うようだったら、一緒に食事しようということになり、彼女たちおススメの美味しい鶏料理のお店で食事することになったのでした。

 これまで日本に帰国した際に親戚のおじさんや他の従姉妹たちも含めて一緒に旅行したことは何回かあったのですが、こんなに偶然に日本の他の都市で居合わせて食事をするなどということは、初めてのことで、なんだかとても新鮮でした。

 彼女は今回以外にも私がここに旅行するとかいうと、必ずその土地の美味しいものや美味しいお店を教えてくれて、それが絶対に間違いなく、とびきり美味しいのです。

 今回は彼女たち夫婦とのランチということで、そこで何を注文すべきかの指南を受けながら、食事ができるのですから、こんなに嬉しいことはありません。

 そこは、しゃもの専門店で、もともとそんなに豊富なメニューがあるというわけではないのですが、そのしゃもの美味しさを活かした、ただしゃもをシンプルにジンギスカンのような鍋で焼き、塩で食べるというものなのですが、これがまあ、同じ鶏肉と分類するのがおこがましいほどの絶品。



 それなりに人気店のようで、行列ができた時のためにお店の入り口には、名前を記入しておく台まで用意されていて、人気のほどがうかがえます。

 ただ、地元の人や知る人ぞ知るという感じのお店であろうことは、その立地条件からもわかります。まさにこんなところにこんな店が・・という感じです。

 また、彼女たちは、メニューには載っておらず、注文を取りに来た店員さんでさえも知らなかったようなモツを注文してくれたあたりはさすがの常連。う〜んとうなったり、ひゃ〜っ!美味しい!と感激したりして、美味しく楽しいひとときを過ごしたのでした。

 食後には、少し離れたところに美味しいソフトクリームのお店があるとデザートにジャージー牛乳の食べ応えのあるソフトクリームを食べながら、もう止まらないおしゃべりの時間を過ごしました。

 その間にも、話題の中心は食べ物のこと、こんなものが美味しいとか、これを買っていくといいとか・・そんな話です。こんな場所においても彼女はすでに買い集めている果物やお菓子などを持ってきてくれていました。

 子供の頃はずっと年上のお姉さんという感じだったのですが、考えてみれば、結局のところ、現在においても面倒見のいいお姉さんです。

 また、彼女のご主人も飄々としたよい人で、もう従姉妹の夫さんという本来ならば少しとっつきにくい関係でもありえるところ、まったく垣根が感じられず(一方的なことかもしれませんが)、とっても温かい人です。

 彼女たちのすごいところは、しっかりと自分の本業をこなしつつも、仕事オンリーではなく、自分達の楽しみを夫婦でしっかりと持っていて、それに専心して、もはや美味しいものに関してはプロなみの知識を蓄えつつ、楽しんで生活していることです。

 そろそろ引退を考えはじめてもよさそうな年齢ではあるとは思うのですが、この食と旅に徹した生活を送るためには、働かなくちゃ・・とか冗談のように話しています。

 私の場合は、もうずいぶん前に夫を亡くしてしまったので、夫婦でそのような生活を送ることはできませんが、そんな生活をずっとずっと続けている彼女たちを本当に理想的な夫婦だと見ています。

 ちょっと残念なのは、彼女たちには子供がいないことで、もしも彼女たちに子供がいたら、すごく良い子に育っていただろうに・・とも思います。彼女たちの食の信者と化している娘はなんなら養女にしてほしいくらい・・と冗談のように言っています。

 昨今、周囲を見ていると、夫婦の在り方や生き方、特に引退後の生活など色々と思うところはありますが、彼女たちを見ている限り、老後もとても楽しそうだ・・と思えるのです。




夫婦の余暇


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2024年3月24日日曜日

九州旅行2泊目の高級旅館がより魅力的に感じたポイント

  


 今回の九州旅行のための旅館の予約は、私もいくつかの希望は伝えていたものの、最終的には、娘に一任していました。最近の旅行の際の宿泊先の予約については、だいたいは、サイトを検索するか、YouTubeなどでの紹介を参考に決めています。

 おおよその予算と、全工程を上手く回れるための立地、今回は何よりも温泉なので、その温泉に関する施設、また、外せないのが提供されるお食事の感じで選んでいます。

 信頼のおける身近な人が実際に宿泊して、「ここ良かったよ〜!」などという情報がある場合は別として、多くの場合は、少々大げさな言い方をすれば、まあ一種の賭けというか、当てずっぽうでもあるため、実際に旅館に宿泊する際には、ドキドキします。

 これまで、そんなに「ハズれた!」という経験はないのですが、逆にちょっと意外なポイントに感動することもあります。

 今回の九州旅行2泊目の旅館では、意外なポイントに感動しています。それは、黒川温泉の「奥の湯」という旅館なのですが、かなり良い旅館で、文字どおり、黒川温泉の奥にある渓谷の間にある旅館で、その温泉施設も充実していて、館内には、複数の露天風呂や大浴場、家族風呂などがあり、温泉プールまであります。旅館内の調度品なども古いものを上手く使って、逆にモダンな感じに仕上げていて、美しく、落ち着いた雰囲気を醸し出しており、館内やお部屋にも多数、美術品や絵、置物などで飾られている重厚な印象のある落ち着いた雰囲気の旅館でもあります。

 それが、いざ、お部屋に案内されてみると、最初に驚いたのは、その旅館の印象からは、一見ふさわしくないような、いかにも昭和というか、レトロな感じを受ける昔、よく見かけた気がするビニールのスリッパです。



 思い切り昭和な世代の私にとって、そのいつのまにか、あまり目にすることがなくなっていたペタペタな感じのスリッパに感動。そして、お部屋の中の円形のドーナツ型の木の蓋のついたゴミ箱。お部屋の中の冷蔵庫を開けてみると、シンプルに湧水のいれてあるポットが一つ。



 もちろん鍵は、カードキーなどではなく、ごくごくふつうにガチャガチャあける鍵です。

 お部屋に置かれているお茶などは、市販のティーバックなどではなく茶葉がお手製のティーバックの中に入れられたものがいくつか茶筒の中に入っています。

 館内のいくつもの温泉施設を堪能したのは、もちろんのことですが、この古いものを多く用いながら、モダンに作り上げられている旅館はもちろんのこと、昭和な感じのペタペタなビニールスリッパや円形のドーナツ型の木の蓋がついているゴミ箱や端々に感じられる質実剛健な感じに、とってもホッコリさせられていることを自分の中で発見して、ニマニマしてしまい、同世代の友人たちと共有したいな〜という思いにかられました。

 もちろん、お食事などもすばらしく、品数も豊富で豪華そのもの、一つ一つの料理が丁寧に作られていることが感じられ、感動的に美味しく、そのクォリティーについては今さら言うまでもありませんが、絶対的に食べ過ぎの日々が続いています。



 しかし、前日に別府の街を歩いていて見かけたどこか昭和な風景が嬉しかったり、昭和の片鱗に触れたとき、私の中に眠っている「昭和」が目を覚ましてどこか懐かしさに感動するという新しい感動ポイントを発見しました。

 豪華な温泉旅館に来て、感動ポイントズレてない?と思われるかもしれませんが、その優雅な感じを喜びつつも、そのどこか質素で懐かしい部分に自分が喜びを感じているのは、事実です。

 意外なところで意外なものに触れることは、そのギャップやミスマッチにより、実際のものをよりチャーミングにしてくれるものだ・・と、妙なところに感心した温泉旅館体験でした。


高級旅館の中の昭和 黒川温泉 奥の湯


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2024年3月23日土曜日

日本の温泉地 別府の街

 


 

 今回の一時帰国は、日本にある家の件でどうしても帰国しなければならなかったのですが、長距離フライトに耐え、時差ボケに耐え、そして、安くはない航空運賃をはたいて、日本に来たからには、厄介なことだけでなく、少しでも楽しいこともやっていきたいと思い、前回に引き続き、温泉旅行の計画も盛り込んでいました。

 私は、東京で生まれ、東京で育ったために、東京から遠い地方に行く機会はあまりなく、また、親戚なども全て東京で、バカンス?(夏休みなど)時も東京から車で行ける範囲くらいが関の山で、自分で旅行するようになってからは、むしろ、海外旅行ばかりで、国内ではあまり旅行することはありませんでした。

 以前は、日本で遠方に旅行するのは、けっこう高くて、むしろ、海外旅行の方が割安だったりもしたために、なんか海外旅行の方がお徳感があって、国内旅行は長距離の旅行が体力的に厳しくなってきてからのことにしようと思っていたのです。

 ところが、どういうわけか、年齢を重ねた今、日本に来ること自体が遠くなってしまい、このままでは、日本国内での旅行は、少し強引にでも計画をたてなければ、結局、行けず仕舞いになってしまうので、前回から、日本に一時帰国した際には、どこかに旅行する予定を入れようと欲張っています。

 しかし、いざ、今まで知らなかった東京から遠く離れた日本を訪れてみるにつけ、日本の自然の豊かさに感動します。

 世界一の観光地といわれるパリなどにいると、言い方は悪いのですが、過去の遺産で潤ってるな・・と感じることがなきにしもあらずなのですが、こうして、日本の地方の大自然に触れると、それはそれで、日本は大自然の恵みと美しさ、広大な山々(連なる山々や木々のグラデーションなど)や温泉、河川、海、そして、地方地方で採れる海の幸、山の幸に恵まれているのだなとひしひしと感じます。

 日本のこの素晴らしい自然は、フランスの過去の遺産に勝るとも劣らない大変な財産です。

 なぜ?私は、これまでの長い間、日本人でありながら、この日本国内の素晴らしい土地に注目してこなかったのか?と、なんだかとってももったいないことをしてきた気がして、こんな機会をできるだけ作って、少しでも取り戻さなければ・・という気持ちなのです。

 前回は、鹿児島県霧島温泉に行って、温泉はもちろんのこと、山並みなども、やはり関東地方の景色とは違って、より広大でダイナミックな印象があり、すっかり魅せられました。

 今回は、その九州熱が引き続いていて、九州のどこか・・と娘にリクエストを出しておいたら、娘が希望したのは、別府温泉、どうやら最近、日本にいるフランス人の友人が行ってよかったよ・・と言う話を聞いていた様子。

 ところが、私の周囲の人からの話によると、関東圏?でいう清里のような、昔は繁栄したけれど、すっかり寂れてしまった感じ・・という話もあり、「えっ?」とちょっとギョッとしつつも、まあ、今さら予約しちゃったし・・という感じで恐る恐るやってきたのでした。

 いざ、別府に行くとなると、ここはまた我が親戚のネットワーク恐るべし、従姉妹の息子が別府の大学に通っていて別府のことなら、と案内してくれることに・・。

 夜、予定していたお店が急遽、早い時間に閉店してしまっていたために市内の商店街が連なるような場所を歩いたのですが、これがなかなか面白い。古い昭和チックな映画館や建物やお店を残しつつ、まるで映画のセットに潜り込んできたような独特な趣があり、思わぬ喜びを楽しみました。

 泊まった宿は、山というか丘の中腹にあり、遠方には山も海も見渡せる場所にありましたが、逆に市内からもそんなに遠くないところに山並みが見える・・とにかく山が近い!という関東圏にはあり得ない光景がどことなく、のどかな感じでもありました。

 宿には、海外生活を送る身としては、憧れの露天風呂や泥風呂、蒸し風呂などまであるお風呂三昧、お部屋のベッドは限りなく寝心地が良く、ずっと温泉に浸かっていたい気持ちとずっと寝ていたい両方の気持ちで身体が一つでは足りない気持ち・・。

 広いベッドに両手両足を大きく開いて大の字になってみたり・・もうただ眠るのがもったいない貧乏性。

 あ〜こんなに素晴らしい自然環境、資源があるのに、日本にいないのは、なんてもったいないんだろう?と思わずもう日本に帰ってこようか?という気持ちが頭をかすめたりもしました。

 しかし、日本にいたところで、毎日、温泉三昧の生活ができるわけではなく、たまに帰ってくるからよいのだということもわかっています。

 これから数日、九州の温泉地をちょっと巡ってみるつもりです。


別府温泉


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2024年3月22日金曜日

日本で感じるチープフレーション

  


 今年の初め頃、フランスでは、消費者保護団体が、コスト削減のためにレシピを変更し、材料の質を落としたり、量を減らしたりしつつ、且つ値上げをしている食品メーカーの特定商品について、その社名、具体的な商品名を挙げて警告を発し、話題になっていました。

 具体的な社名や商品名を名指しで指摘するあたり、なかなか強烈だな・・と思ったのですが、消費者側としては、ありがたい情報でもあり、また、なにも、メーカー側を貶めるためというよりは、消費者側の立場にたって、事実を伝えているわけですから、そのような団体からすれば、憚ることなく、情報を開示することに問題はあり得ないのです。

 これを機に、私は、チープフレーション(チープとインフレーションの造語)とか、シュリンクフレーションという現象について、少し気をつけてみてみるようになったのですが、今回、日本に来て、このチープフレーションと思われるものに、度々、遭遇しています。

 これは、私が一時帰国の際の食べたいものリストに入っている食品だったり、いつも帰国の際には、必ず一度は行くレストランなどでみられていることなのですが、まず、いつも行く昔からよく知っている洋食屋さん、ここは、美味しいだけでなく量が多く、ボリューミーなことで有名だったのですが、そのお店、味は変わらないものの、量がかなり減っており、そもそも多すぎるくらいだったので、私は、構わないのですが、中年になってもわんぱくな弟などは、かなりショックを受けていました。

 しかし、量を減らして、値段の高騰を抑えようとするのは、まだ良心的?な方だと思うのですが、明らかに味が落ちた・・品質が落ちたな・・と思うことにいくつか立て続けに遭遇し、非常に残念な気がしています。

 ここでは、私は具体的な調査をしているわけではないので、具体的な名前を挙げるのは、避けますが、いくつかの全国でチェーン展開をしているレストランやファストフード的なお店が立て続けに、味が落ちたな・・と感じたのです。

 これらは、おそらく日本人ならば、誰もが知っているようなお店のものですが、いつ行っても同じ味だったはずのものが、そうでなくなっており、明らかに材料の品質を下げたような気がします。

 チェーン展開をしていたり、ファストフード的なお店なので、もともと、そこまで高価なものではありませんが、それなりに懐かしさがあり、妙に時々、食べたくなるようなもので、私の場合、帰国のたびにとはいえ、せいぜい一年に一度か二度のこと。

 逆に味の変化は感じやすいのかもしれません。

 インフレのために材料費や加工費が以前に比べてかかるようになっているために、これまでと同じものを作り続ければ、商品は値上げしなければならないのは必須ですが、その値上げによる客離れを恐れているのか、質を低下させるという最悪のことをしているように感じられます。

 「うちはクォリティをキープする!」として、堂々と値上げをするか、量を減らしたり、小さくしたりすれば、まだマシだと思うのですが、味が変わって美味しくなくなってしまえば、私の場合、もうガッカリで、もう行かない・・もう買わない・・となります。

 まあ、一年に一度しか来ない客のことなどどうでもいいと言われるかもしれませんが、値上げに対して、及び腰な姿勢が透けて見えます。

 だいたい全てのものが値上がりしているのに、これらの食品・商品が値上げしない方がおかしいので、値上げしていないとなったら、逆にそのクォリティを疑ってみなければいけないのかもしれません。

 そもそも、私はたまに来るだけなので、もともとの値段がどの程度であったのかという感覚が希薄なために、値段の方は、そこまで神経質になりようがないのですが、とにかく、これまで楽しみにしていた日本に来たら食べたいものが減っていくことは、残念なことではあります。

 一食もおろそかにはできない日本での食事ですが、今回、いくつかの食品が私の食べたいものリストから消えていきました。


日本のチープフレーション


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2024年3月21日木曜日

フランス人の好きな軽食トップ10からSUSHIが外れたけど・・

 


 長らくフランス人の好きな軽食ランキングのトップ10には、必ず SUSHI が食い込んでいましたが、今年発表された調査結果によると、SUSHI のランキングが落下したとされています。

 フランス人に人気の軽食(ファストフードを含めて)は、サンドイッチやハンバーガー、ピザ、ケバブ、サラダ、パニーニなどで、サラダを除いて、それらは、ほぼ小麦粉文化の食べもので、パンあるいは、それと同種のものと肉やチーズの組み合わせによるものが中心です。

 彼らは、SUSHIがトップ10から外れた理由として、フランスでのSUSHIのネタの中心を彩るサーモンの価格の高騰のために、SUSHIがより高価にならざるを得なくなっていることを挙げており、また、SUSHIがより革新性を示せなくなっているためだと分析しています。

 フランスでの外食は一般的に高価で、ふつうにレストランでランチをとるとしたら、おそらく20ユーロ(約3,200円)前後が平均的ではないかと思われますが、ここでトップに君臨しているサンドイッチやケバブ、パニーニならば、10ユーロ以下でもなんとかなりそうなイメージ、ハンバーガーやピザですら、それと同等かそれ以上だと思います。

 そこへ行くと、SUSHIは軽食扱いされているにもかかわらず、なかなかな値段になってしまうので、価格帯としては、どうにも中途半端な位置付けになってしまうのかもしれません。

 しかし、ネタの価格の高騰はともかくとして、SUSHI の革新性などという話は、日本人の私からすればナンセンスで、もはやSUSHIではないようなものをSUSHIの革新性などと評価されることには、微妙な気がします。

 そもそも、現時点においても、パリの高級なお寿司屋さんなどは別として、ごくごく一般的に販売されているSUSHIには、甘いお醤油と普通のお醤油の2種類が用意されることが定着しつつあり、それだけでも本来ならば、「お寿司に甘い醤油なんてナンセンス」と思うところを、まあ、よく言って革新的とも言えないこともありません。

 そもそもの日本のお寿司から、フランス人好みのサーモンやアボカドに埋め尽くされたようなSUSHIに偏っているのは、フランス人の嗜好に合わせているものであろうに、それを革新性の欠如などと言われるのはお門違い。

 軽食として安定的な地位を保っているピザやハンバーガー、サンドイッチ、パニーニなどは、小麦粉文化である彼らの食文化、パンやチーズや肉を使った変化球バージョンで、そもそもが彼らのもともとの食文化と同類のもので、彼らが好むのは当然のことです。

 こうして書いていると、いかにも張り合っているような感じになりますが、そもそもSUSHIが、いつのまにか軽食の括りに入れられてしまっていることも驚きです。

 以前は、食に関しても、かなり保守的な印象があるフランス人もここのところ、多種多様なものを受け入れるようになり、SUSHIなるものなど、それまで生魚を食べる習慣があまりなかったフランス人にしては、革命的なことであったはずです。


フランス人の好きな軽食


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2024年3月20日水曜日

日本での買い物 買いたいものにも色々あって・・・

  


 日本に一時帰国している際に、どこかに用事があって出かけても、たいていの場合は、帰りに買い物して帰ろう・・ということになるのですが、その行く先々によっても、色々あって、ついでとはいえ、その場所からの帰り道をどういうルートで帰るかを考えるとき、あれを買うためにあそこに行きたいから、こっち経由で帰ろうとか、買い物ありきで予定をたてることになります。

 まあ、そのほとんどの買い物は、私の場合は食料品なわけですが、もうたいていの場合は、すでにリスト入りしている(決まっている)買い物の場合は、あそこへ行ってあれを買う・・というのは、だいたい目安がついているので、その買い物をするために行く場所で、それプラスその辺りをちらほら、半分ひやかしのつもりで試食などしながら、見て歩くわけで、かなりお腹も気持ちも満たされて、それはそれでなかなか楽しい時間でもあります。

 その食料品の内訳は、当然、フランスに持って帰りたいものと、日本にいるうちに食べておきたいものとがあるのですが、その道すがらには、忘れていたけど、こんなものもあった・・あんなものもあったと、結局は帰りには、その重さを憂うほど大変な量の食料を持って帰ることになるのです。

 まったく、己の食い意地には、毎度のことながら、自分でも呆れるほどなのですが、それが必ずしも一般的に、ものすごく評価されているようなものばかりとは限らず、けっこうな部分で「懐かしさ」が占めていることに気付かされます。

 それは、子どもの頃、よく買いに行かされたお肉屋さんのコロッケだったり、昔、祖母が好きだったパン屋さんのクリームパンだったり、ミスタードーナッツやケンタッキー(KFC フランスのケンタッキーは最近?以前のようなケンタッキーではなくなりました)やモスバーガーなどのファストフードだったりもするのです。

 そう考えてみると、人の食の好みとか嗜好といったものは、ある程度の傾向もあるにせよ、その中には、子どもの頃や若い頃に慣れ親しんだという郷愁のようなものがあるのだなぁと感じたりするにつけ、そのことに愛おしさを感じたりもするのです。

 母がほがらかな人だったために、近所のお店では顔で、たまには、私たちの話もしたりしていたようで、身元が知れると、「あ〜あなたたちがパリにいらっしゃるお嬢さんとお孫さん!などと言われたりして苦笑することもありますが、どこかに母の存在があるようで、ほっこりした気持ちにもさせられます。

 私の場合、物心ついた頃から実家が引っ越したこともなく、それが植え付けられる時間が長かったこともあり、今もなお、日本に帰れば、その家に滞在しているわけなので、ひととおり食べて帰りたいものは、その家を中心に私の食べたいものマップがあるのです。

 それは、買って帰れるものだけでなく、レストランだったり、お蕎麦屋さんだったりもするわけで、そのお店には、ずっとそこにいてほしいと願っているのです。


日本で食べたいもの買いたいもの


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2024年3月19日火曜日

娘の日本での確定申告でびっくりしたこと・・

  


 私は、海外に生活の拠点を移して以来、日本での税金の申告をしていません。(日本での収入はないので)なので、私が日本で税金の申告をしたのは、大昔の話で、それがどんなものであったのかすら、あまりよく覚えていません。

 もちろん、現在は、フランスで毎年、税金の申告をしていますが、現在はオンラインになっているので、そこまで面倒な話ではありません。未だに用紙に記入して送付したり、実際に税務署の窓口に行って申請することも可能ではあります。

 私がフランスに行ったばかりの頃は、ほぼ100%が用紙による提出で、その提出期限のギリギリ・・深夜0時には、なぜか、ちょっとびっくりするほどの人が駆け込みで税務署に税金申告の書類を提出しにきていて、なぜだかフランス人の夫もその一員であり、その際に、一緒に来てごらん!と言われてついていくと、税金申告ギリギリのタイミングでの税務署前の様子を見せてくれて、「フランスの社会勉強」となぜか、得意気だったことが強烈に印象に残っています。

 時間を正確に守らながちなフランス人がこれほどまでにキッチリと税金申告期日を守ることも意外だったし、また、一年の間の風物詩のように、このギリギリのタイミングに税金申告の用紙を提出する人ごみにわざわざ参加する我が夫のような人もいて、妙な風習だ・・と思ったものです。

 とかく、怠惰であまり働かない印象のあるフランスの公務員の中でも、なぜ?税務署だけは、こんなにきっちりと働くのだろうか?と恨めしい気さえしました。

 私がフランスでの税金申告をオンラインに切り替えたのは、たしか2018年のことで、やはり、それ以来、税金の申告は俄然、簡単になった気がしています。最近では、オンライン上で入力して申請した時点ですぐに、概算の税金額が表示されます。

 その後、数ヶ月後、それが確定した段階で、税金の書類が送付されてきます。この辺りは、フランスは(というより、他の国については知らないのですが)、とても上手くできたシステムが構築されています。

 今回、たまたま私が日本に一時帰国している時期が日本の確定申告の時期と重なって、娘は、当然、税金の申告は済ませているとばかり思っていたら、ある日、ぽつんと、「税金の申告期限に間に合わなかったら、どうなるの?」とヤバいことを言い出すので、事情を聞いてみたら、なんと、オンラインで申請しようとしたら、マイナンバーの暗証番号を間違えて、ブロックしてしまい、それ以来、オンライン申請ができないままストップしていると・・。

 そのマイナンバーの暗証番号登録のし直しを日本では、オンラインですることができず、区役所にいくつかの書類を持参して、自らが行かなければならないために、区役所は平日の昼間しかやっていないために行けていなかったとか・・。

 フランスのシステムしか知らなかった彼女にとって、暗証番号(パスワード)の再設定のためにわざわざ区役所に書類持参で行かなければならないことに憤慨。

 それなら、用紙に記入してのカタチでも期日どおりに提出しなければならなかったものをなんとなく放置してしまっていたのでした。

 昨年の申告は、概ね会社がやってくれていたらしいのですが、彼女は昨年の途中で、転職しているため、昨年度の収入の半分については、自分で申告しなければならなかったわけです。彼女も日本に来る前までは、フランスでは、自分の税金申告は自分でオンラインでやっていたので、フランスでの申告はどんなものであったかは彼女は理解していたのですが、日本の申告のシステムの違いに、「なんで、日本のシステムは、こことここの数字を入れているのに自動計算にならないのか? システムの作り方がなっていない!」と厳しい指摘。

 私は現在の日本での税金申告のシステムというか?形式の作り方について知らないので、彼女の言う、「ここと、この数字を入れたら、自動計算にできるでしょ!」と怒りながら、私に説明してくれました・・が私に言われても・・。

 このオンライン申請のシステムの不具合については、日本ならばさもありなんと思わないでもありませんが、それを今の段階でどうこう言っても始まらず、その様式でやるしか仕方ありません。

 それ以上に驚いたのは、彼女が払っている住民税の金額とその他の社会保険料等の金額の多さで、「そんなに日本って税金高かったの? 私が日本で税金を払っていた頃は、こんなじゃなかった!」と。いくら彼女の収入が比較的多いかもしれないとはいえ、そこまで高収入というわけでもなく、それで、この住民税等の金額! これで家賃やら生活費など、もろもろ払っていたら、そりゃあ、日本の若者は貧しくなるわけだよな・・と、現在のところ、娘は独身で扶養家族もいないわけで、控除される金額は少ないけど、若いうちは、収入だってそれほど多くはないのが普通なわけで、厳しいのだろうな・・と妙に納得するというか、気の毒に思うやら・・。

 フランスも税金や社会保険料は高いのですが、それでも、それに見合うものがもう少しはあるように感じます。娘の税金の申告を通じて、日本での働いている若者に対する仕打ちというか、酷な現実を見せつけられた気がして愕然としたのでした。


日本の確定申告


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