2023年11月7日火曜日

ノエルの準備だけは、着々と進んでいるパリ

  



 いつまでもメトロの工事が終わらないとか、何に関しても、ゆっくりで時間がかかるフランスも、ノエルの準備だけは、早いな~~~と、昔から思っていました。

 だいたい、トゥーサン(ハロウィンの季節)のバカンスが終わると(だいたい11月の初め頃)、ただちに、ノエルの飾りつけなどが始まるので、ノエルだけは特別扱いな感じは以前からありました。

 しかし、これは、年々、エスカレートして、ノエルの準備が前倒しになっている気がするのは、私の気のせいではないと思います。今年などは、トゥーサンのバカンスが始まる前から、シャンゼリゼのノエル用のイルミネーションの電球をつけ始めているのを見て、「まだノエルまでに2ヶ月以上もあるのに、さすがに早すぎないか??」とビックリしていました。

 とはいえ、実際にシャンゼリゼのイルミネーションが点灯する日にちは前倒しになっているわけではないので、それだけ時間がかかるようになったというか、時間をかけるようになったと考えることもできます。

 今年は、どうなるのかはわかりませんが、昨年などは、節電とかで、実際にイルミネーションが点灯される時間が短縮されたりして、実際のキラキラノエルの期間は以前よりもむしろ短くなっているくらいです。


 街の中がぐんぐん、ノエルの色に染められていくなか、デパートやスーパーマーケットなどは、商売もあってか、もうほとんどノエルのスタートを切っている感じで、早くもクリスマスツリーを飾っているところもあり、店頭に山積みにされているチョコレートなどは、一気にノエル仕様に様変わりしています。



 この間は、すでにノエルの時期になると登場するリボン付きのフォアグラがでていて、「うわっ!もうこのパッケージのフォアグラが・・」とびっくりしたところです。

 また、ノエル前のカウントダウンの一つでもあるアドベントカレンダーなども続々、登場していて(12月になると、毎日、毎日、ひとつずつ中に入っているお菓子などをあけながら楽しむもの)、今年は、自分で中身を入れて毎年楽しむことができる布製のものなどが増えているような気もします。


 しかし、ともかくも、ノエルは一年中でフランス人にとって家族や友人と過ごす最も大切な重大イベントであると同時に最もお金を費やす時期でもあり、コマーシャルチャンスとしては、絶好の機会でもあります。

 インフレで厳しい時だからこそ、前倒しにノエルを盛りあげて、少しでも消費を促そうとする気持ちもわからないではありません。


パリ ノエルの準備


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2023年11月6日月曜日

首を絞められゴミ袋に入れられて捨てられた7歳の少年

  


 次から次へとよく、こんなに事件が起こるものだ・・と思うのですが、数々起こっている事件のなかでも、今回は、なかなかな残酷さと支離滅裂さと、被害者となった小さい子供の気持ちに長く深い傷を痛ましく感じる事件です。

 ショワジー・ル・ロワ(ヴァル・ド・マルヌ県・パリ近郊)で起きたこの事件の犯人である29歳のこの男性は、自ら警察に出頭し、子供を殺害したと自供しました。

 警察での尋問で、自分の携帯に収められている少年の首を絞めている写真を提示し、この少年をゴミ袋に入れて、路上に捨ててきたおおよその場所を説明したのです。

 彼が警察で自供していたのとほぼ同時刻に2名の目撃者から「駐車場の車の下にゴミ袋に入った子供を発見した」という通報が入り、警察、救急隊が出動し、ゴミ袋に入れられていた少年を発見、この少年は、ただちに病院に搬送されています。

 少年は、ビニール袋の中で、頭にビニール袋をかぶせられており、低体温状態ながら、低いうめき声をあげていたと言われていますが、首には絞められた跡、全身はあざだらけの状態で発見されたようです。7歳の男の子です。

 この男が警察に出頭した時点では、明らかに酒に酔った状態で、彼のジーンズは、血液で汚れており、自分は、アルコール依存症で精神障害を患っていると言いながら、子供を殺したので刑務所に行くのは当然だと語り、自分は少年の両親からも厚い信頼を受けているベビーシッターであるという、支離滅裂な説明をしています。

 検察の発表によると、どうやら、この男が3年間にわたり、定期的にこの子供のベビーシッターをしていたことは、事実であったようで、彼を信頼して子供を預けていた両親からしたら、絶句させられる事態に違いありません。

 しかし、彼には、2022年6月に15歳の未成年者に対する性的暴行容疑で身柄拘束された過去があり、その際には、犯罪行為が立証されなかったことで、釈放されたという過去があったようです。

 現在、この被害者の7歳の少年は危篤状態で生死の境をさまよっている状態で、この少年に対する性的暴行があったかどうかは、確認できない状態ながら、7歳の子供に暴力をふるい、首を絞めて殺し、その模様を撮影し、頭にビニール袋をかぶせたうえで、身体全体をゴミ袋に入れて路上に捨てるという猟奇的で本当に恐ろしい話、しかもそれが、信頼して子供を預けていたベビーシッターであったなど、ちょっと想像もつかないことです。

 また、この犯人が、そこまでして、死体(実際には死んでいなかった)を捨て、一時は、犯罪を隠そうと思ったであろうに、それから、まもなくして警察に出頭するというのも解せない気もします。

 7歳といえば、まだまだ可愛いさかりの子供です。そんな彼がこのベビーシッターにこれまでどんな仕打ちを受けてきたのか? この兆候に両親は気が付かなかったのか? それとも、今まで優しくしてくれていたベビーシッターに突如、殴られ、首を絞められた恐怖を考えると、そのどちらにしても、彼が受けた傷は身体に受けた傷だけではないことは明らかです。

 ふつうに生きていれば、本当に殺されるような体験というのは、なかなかないうえに、ビニール袋を頭にかぶせられ、ゴミ袋に入れられて捨てられるなど、あり得ない話です。

 これが、もしも、犯人の供述どおりに、精神障碍者して認められ、減刑されるようなことがあったら、少年にとっても、少年の両親にとってもいたたまれないことです。

 この7歳の少年の予後は現在のところはわかりませんが、たとえ、命をとりとめたとしても、彼が受けた心的外傷は計り知れず、未成年者への性的暴行を含む暴行がどれだけ思い犯罪であるかということを考えさせられます。

 フランスでよく聞く事件では、このような事件でも精神障碍者として特別な病院に収容されても、いつのまにか、このような人物は再び世に放たれていて、再犯を繰り返すという傾向にあります。

 このような犯罪者には、追跡用にGPSの入ったブレスレットがつけられるそうですが、実際には、追跡しきれていないのも事実なのです。

 以前、職場の同僚で、子供をベビーシッターに預けていたら、小さい子供が何をやっているかよく理解できないのをいいことに、子供から、「今日は、ポストに紙を入れて遊んだ・・」と聞かされて、驚いて問いただしたら、なんとビラ配りを手伝わされていた・・という話を聞いて仰天したことがありましたが、今回の事件は、そんなビラ配りとは、桁違いの話です。

 ベビーシッターは、本当に慎重に選ばなければなりません。


未成年者暴行 殺害


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2023年11月5日日曜日

日本政府の計画では、経済の回復は見込めないと書かれている

 


 最近では、日本のニュースもネットで見られるようになったので、日本の様子は実感はかけるものの、なんとか知ることができています。

 とはいえ、フランスに住んでいる以上、フランスから日本がどのように見られているのかも、少々、気になるところでもあり、フランスの記事で、日本の様子が書かれているのも時々、チェックしています。

 自分でそんなフランスの日本についてのニュースをチェックしていると、これは、「エゴサーチ」の一種なのかも?とも苦笑します。

 最近、日本についての話題は、とにかくGDP4位転落をはじめとする日本経済の停滞ぶりが多いのは悲しい現実ですが、事実なので仕方ありません。

 先日、日本の首相が経済を支援しインフレの影響を緩和するための17兆円(1,130億ドル)の経済支援計画を発表しましたが、これに対しても、非常に懐疑的な目が向けられています。

 まず、書き出しからして、「人気のない岸田首相は・・」で始まるところからして、鼻からため息が出そうになります。

 経済支援対策の中には、所得税や住民税の一回限りの減税、最低所得世帯への支援、さらには電子チップや電池製造などの戦略的分野への減税も含まれているものの、経済の回復に充分に貢献するものではなく、来年に呼びかけようとしている選挙前の自己イメージ回復を狙った、上っ面の対策にすぎないと酷評されています。

 ときに、海外メディアは忖度なしに、このような厳しいことを平気で書くので痛快な気もします。

 これには、追加の解説がついていて、「インフレのために、米国連邦準備制度(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は2022年以降利上げをしているにもかかわらず、日本の中央銀行金利は依然として世界最低水準にあり、日本銀行の主要政策金利は依然として0.1%以下のままである」「日本経済に長い間影響を与えてきたデフレ、つまり物価下落を恐れて、現在、金利をゼロ以下に設定している世界で唯一の中央銀行である」と。

 「おかげで、日本の通貨である円は対ドルで33年ぶりの安値水準で推移している。そのうえ、 この国は高齢化が進み、労働力が不足し、 半導体や電気自動車の分野でも後れを取っている。 国際通貨基金(IMF)の予測によると、日本は今年、ドイツに代わって世界第3位の経済大国の座を失うと見られている。 このままでは、2030年までに4位の座でさえも、後に続くインドに奪われるだろう」と、まあ、さんざんの書かれ様ですが、本当のことなので、冗談にして笑い飛ばせる話ではありません。

 日本がコケにされている話は、先日のイスラエルに対するG7首脳が発表した共同声明についても、日本の首相がどっちつかずの中途半端な声明を出したせいなのかはわかりませんが、今年のG7の議長国であったにもかかわらず、あっさりハブられて、他の国々の首脳だけでの声明を出してしまった話もありました。

 「もう、しっかりしてよ!」と思うと同時に、「もうつける薬もない・・」という感じ。

 革命でも起きない限り、私はフランスで、このようなニュースを見続けることになるかと思うと、もはやため息も出ずに、酸欠になりそうです。


日本の経済回復


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2023年11月4日土曜日

フランスの工事には工期というものがあるのか?

  


 昔、フランス人の夫が日本に住んでいた頃、一晩にして、ある場所が一変していたことにすごく驚いていたことがありました。

 それが、公園だった場所が駐車場になったのか、駐車場だった場所が公園になったのか?どっちがどっちだったか?今やもうハッキリと覚えていないのですが、それを聞いた私は、「まあ、日本だったら、あり得ないことはないかもしれないな・・」と思って、その話を聞いた覚えがあります。

 それとは、真逆なフランスは、「工事中と場所を閉鎖しておいて、一体、いつ工事を始めるのか?」「工事が始まったら、始まったで、一体、いつになったら終わるのか?」、フランスには工期というものはないのだろうか?と思うほど、一度、工事が始まろうものなら、いつまでも終わらないイメージがあります。

 例を挙げれば、キリがありませんが、現在、パリは、来年のオリンピックに向けて、どこもかしこも工事中で、特にメトロなどの工事をいつまでもやっているのは、大変な迷惑で、私が最もよく使う14番線は、現在、終日、全線閉鎖中、夏休みのバカンスの期間に1ヶ月近くも閉めていたにもかかわらず、今回のトゥーサンのバカンスもまた閉鎖。

 1ヶ月も閉鎖していたのだから、それで終わるものだとばかり思っていた私が甘かったのです。

 このバカンス期間の後もまた、18、19、26日が終日全線閉鎖になるそうです。特にオルリー空港まで繋がるということで、オリンピックにまでは、なんとしても間に合わせなければということなのでしょうが、なにも、全線閉鎖しなくても・・と思うのですが、そうはしないのです。

 その他に夜間工事などもやっているらしいのですが、工事の完了はずるずると先延ばしになっていき、本当にオリンピックまでに出来上がるのか?と疑問視する声も上がっています。

 だいたい、日本人の私からすれば、フランス人には、「工期に間に合わさなければ・・」、とか、「工期が差し迫っているから急ぐ」とかいう感覚が薄いような気がしてしまいます。

 まあ、日常からして、時間の感覚はルーズだし、それが長期間の工事などになれば、累積して、時間がずれていくのは当然のことかもしれません。

 以前、サマリテーヌ(パリ中心部にある大規模なデパート・商業施設)が改修工事に入ったとき、なんと、パリの一等地であるあの巨大な施設を16年間も閉めており、これは、私が生きているうちに再開されることはないのではないか?と思ったこともありました。

 あの一等地にある商業施設を使用できない状態のまま、工事に16年間もかけるというのは、大変な損失ではないか?と思いますが、フランスとはそういう国なのです。

 また、家の近所の陸橋のエスカレーターの工事は、通行止めになり、何年も放置されたまま、もうこのまま、やらずに終わるのだろうな・・とあきらめていたら、数年後にようやく工事が終わって、奇跡のような気で、逆にびっくりしたこともありました。

 現在の14号線の工事にしても、工事期間中は、その区間の代替バスなどが用意されてはいますが、通常3分に1本くらいのわりあいで通っているメトロの代わりになりきれるはずもなく、バスに乗れば、大混雑。

 今日は出先で4号線に乗って帰ろうとしたところ、メトロが止まってしまい、早々にバスで帰ることにしたのですが、バスが混んでいるのはもちろんのこと、道路も大渋滞で、大変な目に遭いました。

 こんな状態で、思うように交通機関が使えないのなら、Navigo(パリの定期券のようなもの)の料金を割引してもらいたいと思うくらいです。

 こんな時ばかりは、日本が工期をきっちり守り、お客様に迷惑をかけないように被害は最小限にとどめようとする姿勢は、やっぱりすごいなと思うのです。


パリのメトロの工事


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2023年11月3日金曜日

エッフェル塔で時速141kmの突風を記録

  


 前の晩から、「なんだか、すごい風の音だな~」くらいに、私はのんきに思っていました。しかし、それは、なんだか、すごい・・どころの風ではなく、フランス西部を中心に襲った突風でした。

 ベランダに出ると、もうそろそろ季節の終わりかも・・と思いつつも、まだいくつか実がついている・・といじましく、植えたままにしてあったトロペアトマトが一斉に倒れ、もう何本残していたかもよく覚えていなかった数本の支柱が倒れ、もしかして、何本かはどこかに飛んで行ってしまったかも?と、荒れたベランダを見て、昨晩の風の強さが初めてピンときた気がしました。

 翌日は、良いお天気で、出かけようと外に出たら、あらためて、まだ強風が吹いていることに驚き、か細いわけでもない私がまっすぐ歩こうとしても、風に飛ばされて、ヨロヨロする感じで、ちょっとなかなかない突風だ・・と驚きました。お天気がよいのに突風というのも珍しい感じ・・。

 紅葉が進み、黄色くなっている葉っぱが風に飛ばされ、宙に舞っていて、これって小柄足? まさに枯れ葉舞うパリだな・・、この掃除だけでも大変だろうに、パリはなぜ?こうも落葉樹ばかりなんだろう?などと思っていました。

 夜になると、昨夜はエッフェル塔で風速141㎞を記録した・・というニュースを見て、またびっくり!それでも、パリ市内はまだマシだったようで、郊外では、道路や鉄道にまたがって大きな木が倒れたり、電線が壊れたりして、多くの路線がストップしたり、あちこちで停電したりと、かなりの被害が出た模様です。

 地域によっては、最大風速207㎞を記録したとか、また、2名の死亡者(運転中に気が倒れてきたなど)も出たそうです。

 SNCF(フランス国鉄)は、この復興のために250人の木の伐採をする人員を含めた4,000人を動員して、対応にあたっているということです。

 まだ私がフランスに来たばかりの頃、パリ郊外に住んでいた頃にも台風というか、突風が吹いたことがあって、近所には、大きな木が倒れている森がありました。突風から数日後、お休みの日にわざわざ、森に出かけて行って、その復興作業をしているところを見学し、倒れた木を切り刻んでいる人に、夫が頼み込んで、チーズを並べる台にしたいからと切り株の一部を10㎝くらいの厚さに切ってもらってきたことがありました。

 風がこんな大きな木を根こそぎ倒してしまう自然の驚異を目の当たりにして驚いたと同時に、こんな時にもチーズのことを考えている夫に呆れたのを覚えており、あれ以来、極度に強い風が吹いて、木が倒れていたりするたびに、しばらく使わないうちに、今では乾燥して割れてしまっている切り株のかけら、割れてもなお、なんとなく捨てられないままでいるチーズプレート用にと夫がもらってきた切り株のことを思い出すのです。


フランス突風被害


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2023年11月2日木曜日

墓地にまで押し寄せる移民の被害

  


 夫は、まだまだ自分が死ぬと思ってはいなかったのでしょう・・、遺言のようなものは、残しておらず、ただ、いつかは書こうと思っていたのか? 「お墓は家から一番近いところにしてほしい」というメモのようなものが自分の机の裏に貼ってあったのがみつかり、彼が亡くなった時には、希望どおりに家から一番近い墓地に埋葬しました。

 家から一番近いところに入れてほしいということは、できるだけお墓に来てほしいということだったんだなぁ~と思ったし、実際、彼が亡くなった当初は、毎週のようにお墓に通っていました。とはいえ、歩いて行くと15分から20分くらいはかかる中途半端な距離なのです。

 市内にある市営墓地なので、おのずとそのようなこともおこるとは思うのですが、彼のお墓の隣に来ていたわりと年配の女性は、比較的、近所の方で、彼女も同じ年にお姉さんを亡くしたばかりということで、顔を合わせれば、ちょっとお話をしたりするようになり、お墓にもご近所づきあいのようなものができることに、こんな不思議な繋がりっていうものもあるもんだ・・と思ったものです。

 彼女はもう引退されているようで、毎日、散歩がてらに来ているらしく、「お宅のお花にもお水をあげているわよ・・」と言ってくれていました。

 あの頃は、もう行き場のない気持ちをお墓参りをすることで、なんとか気持ちを落ち着けるようなところがあったものの、時間が経つにつれて、お墓参りにも滅多に行かなくなり、最近では、せいぜい、一年に一度か二度くらいになりました。

 それでもトゥーサンの時だけは、墓地は、華やかなお花に彩られるため、誰も来ないお墓になってはかわいそうで、必ず行くようにしているのですが、ここ数年、お花が供えられているお墓はグッと減った印象があります。

 今年もトゥーサンの季節がやってきて、前もって買っておいた鉢植えをかかえて、お墓に行ったところ、なんと、入口が閉まっていて、愕然としました。

 「いくらなんでもトゥーサン(みんながお墓参りをする日)にお墓を閉めるなんてあり得る?」と動揺し、「はて?どうしよう?」と焦って中を覗いてみると、中に人はいる模様。それでも、あきらめきれずに私が中を覗いていると、中にいる人々が遠くから、「あっちから!あっちから!」と身振りで知らせてくれました。

 墓地にはいくつか入口があって、私はいつも家から歩いて行くので、一番、家から近い方面からの入口を利用していたのですが、よりによって、みんながお墓参りに来る日に閉めるとは・・お墓に来るようになってから10年以上、(いや、15年くらい・・)が経っていますが、今まで、こんなことは一度もありませんでした。

 結局、正面口しか開いていなかったようなのですが、お墓の敷地内に入るとすぐに管理人?さんが数名いたので、「どうして、むこうの入口閉めちゃってるの?」と聞くと、「キャラバンの輩たちが、水を汲みに来たり、お墓を荒らして行ったりするようになったから・・」とのこと。

 キャラバンとは、ジプシーというか、キャラバン(中型のバンのような車)で移動しながら生活している人々のことで、そのために、お墓の入口を一つにしてしまわないと、管理しきれないのだと嘆いていました。

 お墓は、夕方には閉まってしまい、夜の間は入れないようになっているので、彼らが来ているのは、昼間の時間帯ということなのでしょうが、それにしても、こんな事態は初めてのことで、移民?問題がこんなところにまで押し寄せているのか?と、ちょっとゲンナリしてしまいました。

 移民といえば、私自身も移民であることには違いないので、あまり大きな口をたたける立場でもないかもしれませんが、私は一応、合法的に暮らしているわけで、彼らと同じように扱われるのは心外ですが、しかし、移民が溢れているフランスではやはり、お墓まで荒らされる深刻な問題になっています。

 日本の岸田首相は、最近、「外国人と共生する社会を考えなければならない」などと言っているようですが、たしかに、まったくシャットアウトすることはあり得ないとは思いますが、移民の入国の枠を緩めれば、必ずしも歓迎できる人ばかりが入っているわけでもなく、そんなに生易しい話ではありません。充分な対策や規制を設けなければ、フランスのように、いやそれ以上に大変なことになってしまいます。

 首相、底辺層の外国人たちをなめてかからないほうがよいです。


移民問題


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2023年11月1日水曜日

駅で自爆予告をした女性に警察官が発砲 しかも8発!

  


 最初に私がこのニュースを目にしたのは、X(旧Twitter)による投稿でした。詳細は書かれておらず、物々しい武装をしたかなりの人数の警察隊が駅に突入していく映像でした。その投稿には、詳しい場所は書かれていませんでしたが、映像に映っている周囲に映る店舗や街の感じから、なんとなく、見たことのあるような場所のような、「はて?どこだったかな?」と思いました。

 イスラエル問題が勃発して以来、爆破予告やデモ、テロまがいのことがやまないフランスで、「また、その類の事件なのか?」と思うと同時に、この物々しい様子にも、映像だけだと、「またか・・」という気がして、驚愕というほどには、驚かなくなっている自分にも、ちょっとゲンナリしました。

 実際は、RER C線のBiblioteque Francois Mitterrand(ビブリオテック・フランソワ・ミッテラン)駅でのできごとで、ベールを被った38歳の女性が、電車の車内で自爆予告をしたことから、周囲の乗客数人が警察に通報し、警察隊の突入に繋がったと伝えられています。

 この女性は、駅で降車後も、周囲に向けて「アッラーアクバル、すべてを爆破する!」と叫んでおり、かけつけた警察官の「地面に座り、手をあげて武器を持っていないことを示しなさい!」という呼びかけに応じず、女性が警察官のいる方向に歩き進んだことから、1人目の警察官が発砲。その後、合計8回発砲しており、女性は倒れて、病院に運ばれ、危篤状態であると言われています。


 結果的には、この女性は武器や爆発物のようなものは持っていなかったようですが、その時点では、危険物所持の確認もできず、また、彼女一人の犯行であるかどうかも確認はできず、警戒せざるを得なかった模様です。午前9時すぎに起こったこの事件のために、RER C線は、ほぼ1日中不通。近隣のT3(トラム)などにも影響が及びました。

 この爆破・自爆予告のテロ行為が問題であることはもちろんのこと、またもや警察官の発砲事件、一体、8発も発砲する必要があったのだろうか?という疑問は残ります。

 その後の検察の発表によると、この女性は、すでに2021年7月に逮捕歴があったものの、精神障害が認められたために、施設に収容されたことのあった人物であったことがわかっています。

 なんだか、深刻な犯罪が起こった時によく聞くシナリオ、(過去に逮捕歴があり、その後に精神障害が認められ、施設に収容されていたことがある・・しかし、どういうわけか、その人物は街中にいて、再びさらに深刻な犯行を犯してしまう)だなという気がしてしまいます。

 そして、そのシナリオの続きまで同じで、この事件に対する捜査は、「公権力の保持者に対する脅迫、および脅迫行為」と「警察官による発砲事件」の両面で行われます。

 現在、フランスはテロに対する特別警戒体制アラートが敷かれており、通常よりも警戒状態が強く、反応も過激にならざるを得ないのは、わからないでもありませんが、果たして、女性一人に8発を発砲する必要があったのかどうか?も疑問視されてしかるべきであると思います。

 警察側も前回、フランス中に巻き起こった大暴動の引き金となったのが、警察官の発砲事件であったことを忘れてはいないであろうに、治安が悪くなったといえば、身も蓋もありませんが、それにしても警察官の発砲が増えたことには恐ろしく感じます。

 この駅にしても、私にとっても知らない駅でもなく、しかも、平日の通勤時間帯、いつどこで、どんなことに遭遇するか? もう、こんなことは、気をつけようがありません。


38歳女性の自爆テロで警察官発砲事件


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