2021年12月4日土曜日

ストラスブールのクリスマスマーケットの超密状態と深刻な感染状況

  


 12月に入り、フランス各地でクリスマスマーケット(マルシェ・ド・ノエル)が開かれています。昨年は、クリスマスマーケットは各地で禁止され、飲食店も閉店されていて、シャンゼリゼでさえ、イルミネーションばかりが輝く、寂しいクリスマスでした。

 ストラスブールのクリスマスマーケットはフランスでも、最も有名で歴史があり(1570年頃〜と言われています)、華やかなクリスマスマーケットの一つとして知られています。

 ストラスブールのクリスマスマーケットは今年はすでに11月26日から始まっていますが、同地での感染がここ一週間で倍増していることから、医療関係者は非常に心配しており、クリスマスマーケットをこのまま継続するかどうかが問われています。

 ストラスブール大学病院(HUS)の医療委員会会長であるエマニュエル・アンドレス教授は、現在の地域の感染拡大にクリスマスマーケットの開催が影響しているとし、「政治家に責任を取るように求めている」と語っています。



 ストラスブールのクリスマスマーケットは市内にいくつもあり、クリスマスマーケットの数だけ密になる人混みがあちこちにできることになり、ほどほどに自制するということが苦手なフランス人のこのクリスマスマーケットを訪れている様子は、ちょっと写真で見るだけでもギョッとするほどの人出、ソーシャルディスタンスなど全く感じられず、食事以外の場面でもマスクをしていない人が目立ちます。

 多くの人のワクチン効果が薄れ始めている中、1日の新規感染者が5万人に到達しようとしている国で、怖がりの私としては、よくもこんな場所に足を踏み入れられるものだと、ちょっと理解はできません。

 この状況を受けて、ストラスブール市長と県知事はクリスマスマーケットに関するコントロールを強化する新しいルールを発表しています。

 具体的には、最も人出が見込まれる二箇所の広場の入り口にヘルスパスによるチェックを導入、そして飲食のできるブースでは特にヘルスパスチェックを強化、そして、クリスマスマーケットは毎晩20時に閉鎖。また、出店者の責任を重くし、仲介者や警察のパトロールも強化されます。

 具体的には、飲食を提供するエリアにはサインや照明付きのバルーンが設置され、食料品のケータリングはそのエリアに限定されています。 市警の2チームも援軍として配置され、ルールを想起させるための定期的なサウンドメッセージが流されます。

 ルールを守らない場合には、135ユーロの罰金を課し、規定を尊重していないと認められた店舗には、小屋を閉鎖するという制裁措置を取る可能性もあると市長は警告しています。

 


 クリスマス気分とはおよそ似つかわしくない警備の状態であり、また、銃まで持った警察が巡回しているということは、単に感染対策だけの警戒ではないと思われますが、いずれにせよ、現在のフランスの感染悪化の状況は、ストラスブールだけに始まったことではありません。

 しかし、このストラスブールのクリスマスマーケットを見るために、多くの地域から人が訪れ、1ヶ月で約200万人がストラスブールに訪れると言われています。

 しかも、この週末、ストラスブールのバス、トラムウェイなどの交通機関がストライキを予定しています。クリスマスマーケットに加え、交通機関が混乱すれば、さらに危険は拡大します。

 ここで、感染が拡大すれば、多くの人が地元に感染を持ち帰り、感染拡大は、さらに全国的に拡大することも考えられます。(すでに、全国的に拡大していますが・・)

 これだけの人が集まる経済効果はストラスブールにとっては大変、大きな位置を占めるもので、引くに引けない経済状況であることも無視することはできません。

 とはいえ、現地の医療従事者は、すでに、第一波の際の悪夢が蘇りつつあると悲鳴を上げています。ストラスブールの病院の医療委員会の会長であるエマニュエル・アンドレス氏は「感染対策以外にも問題があることは理解しています。経済的な問題もありますし、自由を求める市民の声もよく聞きます。しかし、彼らが奪う自由は、他人から奪う自由でもある。」と述べ、クリスマスマーケットに否定的な発言をしています。

 隣国のドイツ、バーデン・ヴュルテンベルク州では、すでに、クリスマスマーケットが中止されています。

 フランス人がノエルを大切にしているのはわかるのですが、ここのところの「日本の1日の新規感染者数」と「フランスでの1日のコロナウィルスによる死者数」がだいたい同じくらいな状況なのを見て、もう全く同じ土俵にはいないことをひしひしと感じているのです。


ストラスブール クリスマスマーケット マルシェドノエル


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2021年12月3日金曜日

WHO日本の鎖国対応批判と留学生への思い

   


 

 WHO(世界保健機構)は、新型コロナウィルスのオミクロン株出現を受けて日本が導入した全世界を対象とする外国人入国禁止阻止について、「疫学的にこの原則は理解困難である」と指摘、「ウィルスは国籍やビザを区別するわけではない」と述べ、自国民か否かで判断するような対応は矛盾していると批判し、渡航の一律制限に否定的な見解を示し、検査などを活用し、人々の生活に多大な負担をかけないようにと呼びかけています。

 日本のこの対応は、さらには、国土交通省からの「12月末までの日本到着の国際線予約停止」という日本人さえも閉め出す強行措置にまで及びましたが、大きな反発と混乱を招いたとして、数日のうちにこれを撤回、「新規予約の一律受付停止の要請を取りやめ、日本人の帰国需要に十分に配慮するよう航空会社に改めて通知されました。

 日本のこの一連の対応は、すばやく、未だはっきりと得体の知れないオミクロン株対応は日本国内にいる日本人には安心できる対応であったとは思いましたが、さすがに日本人が日本に帰れないとか、外国人の日本のビザを一時停止・・などとエスカレートするのは、さすがにちょっとやりすぎで、海外で外国のビザを取得して生活している者にとっては、一度、発行されたビザが一時とはいえ、停止など、ちょっとあり得ないほど恐ろしい話です。

 イスラエルなどは、当初からワクチン接種も早く、日本同様に外国人の入国禁止など、かなり厳しい対応をとってきましたが、自国民に関しては、南アフリカ等レッドゾーンからの入国には7日間指定施設での隔離を義務付けてはいるものの航空便の予約停止などは行っていません。

 WHOの「ウィルスは国籍を区別するわけではないので、疫学的に日本の措置は矛盾している」というのは、もっともなことではありますが、はっきり言えば、「この際、今は、日本の外から、誰も入ってきてほしくない」というのが本当のところなのでしょうが、日本人が日本に入国できないという事態はさすがにあり得ないことから、このような措置に右往左往しているところだと思います。

 個人個人、日本に帰国、入国したい事情は様々あるでしょうが、日本人の入国はもちろんのこと、個人的には、日本への留学生などに対しては、日本人同様の隔離や検査はもちろん行うとして、許可してあげられないものだろうか?と思うのです。

 我が家の娘は、日本人でありながら、パンデミックの最中に「海外からの留学生はお断り」という理由で、日本への留学が二回にわたりキャンセルになり、とうとう日本での留学のチャンスを逸したまま、こちらの学校を卒業しました。

 もう彼女には、留学の機会は、ありませんが、そんなこともあったために、余計に留学生に対する思い入れが強いのです。

 日本という国に興味を持ち、日本で学びたいと思っている外国人に相当の隔離や検査を義務付けた上で(日本は世界的にも隔離や検査などの基準は相当厳しい)、外国人に日本での教育の門戸を開くことは、決してマイナスなことではないと思うのです。

 日本という国は、日本人が思う以上に外国人には知られていないというのが、私が外国に住むようになって実感しているところです。例えば、日本人がフランスに来る以上に、フランス人が実際に日本に行った場合の驚きは大きく、まるで未知の世界のような感じを受けると思います。

 「日本で学ぶ」という機会を通して、世界の若者に日本を知ってもらうことは、大切なことだと思うのです。留学生ならば、ある程度の期間限定の滞在なので、入国時に感染を持ち込みさえしなければ、条件は日本在住の人と同じです。

 日本人と同じ条件できっちりと隔離期間を取り、検査を受ければ問題はないはずです。

 感染対策や隔離などのレベルもまるで違うフランスとは、一概に比較することはできませんが、フランスは留学生に対して、とても鷹揚です。

 移民受け入れ問題などが、議論されている日本ではありますが、将来のある若者に日本の教育の門戸を世界に開き、少しでも日本に好意的な人々に日本を知ってもらう意味でも、日本の国としての懐の深さを見せてくれないものだろうか?と、現在のその頑なさを少々、残念に思っているのです。


WHO日本のオミクロン株対応批判 留学生


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2021年12月2日木曜日

携帯電話が壊れて大パニックになる私

   


 私の携帯電話の調子がどうもおかしくなり始めたのに気がついたのは、携帯に入っているヘルスケアのアプリの中の万歩計がカウントしなくなったことからでした。

 もともと電話というものがあまり好きではない私は、携帯などいらないと、かなりの人が携帯を持つようになっても、あまり必要性も感じず、携帯を持つことはありませんでした。

 そもそも、家と職場と娘の学校やお稽古ごとの送り迎えで一日、一日が暮れていく生活だったので、連絡なら会社か家に電話してもらえば良いわけで、それ以外の時間を縛られるのが嫌だったことも理由の一つでした。

 それが、私が最初に携帯を持つようになったのは、主人が亡くなってからで、主人が持っていた携帯を(といってもその頃はまだガラ系の携帯でしたが・・)引き継ぐ形でなんとなく持つようになって(緊急連絡先など、色々な登録がその携帯のナンバーでされていたので)以来のことでした。

 娘が中学生くらいになって、「周りの友だちは、み〜んな携帯もっているから、自分も欲しい!」と言い出して、しばらくしてから、代わりに私が主人から引き継いだ携帯ナンバーをそのまま引き継ぐということを条件で、私はしぶしぶ娘に携帯を買い与えたのでした。

 それからしばらくの間は、私は携帯から解放されていましたが、娘がグランゼコールに入学し、一人暮らしを始めたのを機に、私は、再び、携帯を持つようになったのです。

 仕事でほぼ一日中、パソコンに向かって、それ以外の時間も画面に縛られる生活は嫌だったのですが、再び携帯を持ち始めてからは、時代はどんどん変わり、携帯もスマホになり、携帯は電話というよりも小さなパソコンのようになり、もはや携帯なしでは生活しにくいような(今は特にヘルスパスなども携帯に入っている)時代になりました。

 それでも私はあまり携帯を上手く使いこなしてはおらず、携帯でメッセージを送ったりするのも億劫なほどで、苦手意識が消えることはないのです。

 私にとって携帯は、まぁ・・どこかに出かける時の地図がわりや、写真を撮るためのカメラ、最低限のメッセージや移動中の暇つぶしにニュースやツイッターなどを見る程度で、なんなら、パソコンでできることはパソコンでやりたいと思ってしまうので、苦手意識は一向に克服できないのです。

 しかし、ついに外でネットが繋がらなくなって、いよいよもうダメ・・買い変えねば・・となっても、一体、何を買ったらよいのかもわからず、娘にあきれられる始末。

 しかも、これまでiPhoneを使っていて、少しはiPhoneなら慣れたところに機種を変えたものだから、もうパニックです。携帯が壊れたから新しい携帯を買ったのに、携帯が届くという連絡が携帯に入り、「在宅確認のために電話してください・・」とのメッセージを受け取った時には、すでにその携帯は電話を受けることはできてもかけることはできない状態。

 家にいたためにネットが繋がったために幸いにも携帯は受け取れたものヒヤヒヤものでした。だいたいフランスでは配送品がさまよい受け取れなくなる危険がいつも控えているのです。

 届いた携帯をとりあえず、まず充電し、いざ起動するとなるともう恐怖。初期画面からして全く違い、娘の帰宅を待って娘に丸投げ。我ながら情けないと思いつつ、何かおかしな設定をしたら、大変!という気持ちが先にたってしまいます。

 同年代の友人に話すと、同じ同じ・・となぐさめてはくれるものの、情けない限り。

 「iPhoneよりも、こっちの方が写真が綺麗に撮れるし、何も高いApple買う必要ないよ!」という娘の言うままに、違うメーカーのものにしたものだから、これからまた、新しい携帯に慣れなければなりません。

 これまでの携帯に入っていた電話番号やアプリなどを全て移し替えるだけでも、私にとっては、一仕事で大ストレスです。

 だいたい、新しいものに慣れて使いこなすということが億劫になっているということは、老化の一部に他ならないのですが、この電子機器に関してはことさらそれが酷く、新しい携帯などに対しては、ちょっとしたアレルギー状態・・デジタルネイティブと言われる娘の世代からは信じられないことだと思います。

 娘に初期設定をしてもらい、最初の画面を眺めて、画面の左横に、「10」、「48」という数字がでているのを見て、仰天!「なに?これ?何でこんな数字が出ているの?」「何かトラブル??」と娘に携帯を見せると、失笑を買い、「もう少し、考えてから、言葉にできないの?」と冷たい反応。

 なんと、それは、単なる時間の表示でした・・・。

 以前、私が娘の年頃に、その頃、私の好きだったタレントさんが、「今日の「徹子の部屋」に出るからビデオ録画しておいてあげる!」とわざわざ職場にまで電話してきてくれたので、その日は楽しみにして、家に帰ったら、母が撮っておいたといっていたビデオは録画されておらず、賢明なはずの母がなんでこんなことができないのだろう?と不思議でなりませんでした。

 しかし、現在の私は、まさにあの時の母のような状況に・・、新しい携帯となると、腰が引けてパニック・・そんな状態になっているのです。

 そして今、こうしてパソコンを開いていても、嫌味のように出てくるのは、携帯の広告ばかりです。その広告を見ながら、「いくら、広告出しても、もう買ったから、当分買わないもんね・・」と、私は八つ当たりのように心の中でつぶやいているのです。


デジタルネイティブ 携帯電話


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2021年12月1日水曜日

フランス1日の新規感染者数4万7千人突破 

  


 フランスの1日の新規感染者数が47,177人に達し、今年4月以来の数字を記録しています。

 2021年4月(保健大臣)以来の記録となりました。

 フランスでの1日の新規感染者数が1万人のしきい値を超えたのは11月9日、それ以降、17日に2万人を超え、23日に3万人を超え、約1週間毎に1万人増えていく・・と思っていたら、30日には一気に4万7千人(47,177人)に跳ね上がりました。

 こういうのが指数関数的に跳ね上がるということなのか?と、ちょっと呆然としています。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「この一週間の平均感染者数は、3万を超えており、このダイナミクスを1週間あたりの感染者数+60%の増加と換算すると、週末までに第3波のピーク時(4月の初めに5万3千人突破)よりも高くなる可能性がある」と語っています。

 さらに遡れば、パンデミック以来、1日の新規感染者数の記録は昨年の11月2日の7万人です。

 この1日の新規感染者数が跳ね上がったタイミングで、コロナウィルウスのために入院している患者数が1日で389人も増加し、1万人を突破(10,249人)、集中治療室にいる患者数も1,824人(前日から75人増)に達しています。

 とはいえ、この新規感染者数と集中治療室の患者数の対比を見れば、4月の第3波のピーク時の集中治療室の患者数は6,000人近くまでに達していたので、現段階では、重症化している患者数は3分の1以下に抑えられていることを考えれば、確かに、ワクチン接種やヘルスパスの効果であると言えます。

 しかし、ワクチン接種の拡大とヘルスパスの起用で、ある程度、感染率が抑えられつつあった状況からは、一変してしまっています。フランス政府は、この対策として、とにかくブースター接種を含めたワクチン接種の拡大の必要性を呼びかけています。

 現在、フランスでは、9月からブースター接種を開始していますが、2回のワクチン接種は、ようやく75%を超えた状態、依然として4人に1人はワクチン未接種の状態です。加えて、2回のワクチン接種を済ませた人でも、有効性が落ち始め、ブースター接種を急ぐ必要のある人が10%程度、加えて、これまでワクチン接種、ヘルスパスにより、あまりに無防備と思われる日常を取り戻した気の緩みが現在のフランスの感染急増に繋がっていると思います。

 そして、これまでワクチン接種をほぼ、してこなかった11歳以下の子供の学校での感染からの感染拡大も注目されている事項ではあります。

 ファイザー社は9月末の段階で、すでにワクチンが非常に効果的であり、5〜11歳の子供にも十分に耐えられることを保証していますが、この年代の子供たちの親の60%以上は子供のワクチン接種に反対しています。

 子供へのワクチン接種に対する安全性を測りきれない不安とジレンマから、子供のワクチン接種による集団的利益を求めることに対して疑問を捨てきれないのです。小さい子供を持つ親の不安な気持ちは、察するに余り有るところです。

 現段階では、フランスは11歳以下の子供へのワクチン接種については、まず、「リスクの高い既往症のある子供に対して優先的に行うことを推奨する」という段階に留まっています。

 デルタ株よりも伝染性が高く、ワクチンの有効性も疑問視されている新たなオミクロン株は、現在のところ、フランスで確認されているオミクロン感染の症例はレユニオン島だけですが、周囲のヨーロッパ諸国の状況からもフランス本土で症例が確認されるのは時間の問題。

 それでも現在、フランスで蔓延しているのは、デルタ株が圧倒的に主流ゆえ、やはり、これ以上の感染拡大による被害を抑えるためにできることは、ワクチン接種を着々とすすめていくこととマスクや手洗い、うがい、ソーシャルディスタンスなどの基本的な感染対策を着実にこなしていく以外にはありません。

 あっという間にもう12月。どうやらこのパンデミックが年を越すことは、確実なようです。


フランス感染急拡大


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2021年11月30日火曜日

オミクロン株対策の日本の鎖国についてのフランスでの報道

   

ヨーロッパ周辺のオミクロン株感染者が確認されている国々(オレンジ)



 未だはっきりとした情報がないままに、特性がまだわかっていない新しい変種の脅威に直面して、これまでにない激しい変異が見られ、他の変異株とは非常に異なり、予想以上の大きな進化を遂げていると言われているオミクロン株は、WHO(世界保健機構)から、早々に、警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株(VOC)」に指定され、多くの国が緊急の対策を取り始めています。

 フランスはこの情報が流れてすぐに、南アフリカをはじめとする周辺7カ国からのフライトを停止するという措置をとり、まだフランス国内で感染者が確認される前からオミクロン株感染者が確認された場合は、感染者だけではなく、感染者に接触した者に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず隔離措置をとるということを発表していました。

 これがほんの数日前のことで、最初の時点では、ベルギー、イスラエルのみだったオミクロン株感染者は、今やヨーロッパでは、かなりの国で感染者が確認され(イギリス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、ベルギー、オランダ、デンマークなど)、イギリス・スコットランドの感染者の中には、海外渡航歴のない者まで含まれており、もはや市中感染が始まっていることが確認されています。

 フランスでは、オリヴィエ・ヴェラン保健相が「すでにフランス国内にもオミクロン株感染者が存在する可能性が高い」と述べていますが、現在のところ、フランスでは、オミクロン感染が疑われる者が8人とだけ発表されており、その確認結果が発表されていないままのため、フランスでのオミクロン株感染はカウントされていません。

 すでにデルタ株の感染拡大で、第5波の大きな波を迎えているヨーロッパですが、各国のこのオミクロン株対応には、かなり注目しています。

 ヨーロッパ内での対応は、特定地域からの入国停止など、大まかには似たり寄ったりの南アフリカ対応ですが、日本の「11月30日から世界中からの外国人の新規入国をすべて禁止する」とする発表はかなり衝撃的に報道されています。

 フランスでの報道では、「日本政府は、金曜日には、南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ジンバブエからの訪問者が日本に到着した人に対して、強制隔離施設での隔離期間を10日間に延長することを発表していましたが、週末には、マラウイ、モザンビーク、ザンビアがそれに加わったばかりでした・・」

 「日本政府は、国境の制限を緩和したわずか数週間後、さらに厳しい鎖国措置をとることになり、緩和はたった3週間しか続かなかった・・」と、まるで日本の感染状況が悪化しているかのごときの書きようには、少々、違和感を感じるものでもありました。

 「そして、日本の政府首脳はまた、アフリカ南部の9つの国、およびオミクロン変異体の確認された症例が記録されている国から帰国する日本人は、「厳格なリスクベースの隔離措置」を受ける必要があると述べている。」とも伝えています。

 他にイスラエル、モロッコ、オーストラリアなども同様の外国人旅行者との国境を閉鎖する措置を発表し、オミクロン株鎖国をする国々として、一括りにしていますが、どういうわけか、日本が必ずその筆頭に挙げられているのは、「鎖国」という形態が過去の日本の歴史からも、島国である「日本」のイメージに近いことからくるのかもしれません。

 すでに、地続きであるヨーロッパ諸国では、デルタ株の拡大とともに、オミクロン株がかなり蔓延している可能性が高い状況であり、日本が早い時点で、未知なるこの新しい変異株の侵入を必死で食い止めようとするのとは、そもそも、別次元の問題なのかもしれません。

 しかし、海外在住邦人からしてみれば、日本に入国できないわけではないとはいえ、少々隔離期間が短縮され始めていたところが、フランスからの日本入国も再び、強制隔離施設での隔離期間が設けられ、ちょっとだけ近くなりつつあった日本が再び遠のいてしまった・・そんな気持ちです。

 とはいえ、外国人であれ、日本人であれ、同じ人間、感染を日本に持ち込むリスクは同じはずで、南アフリカからとはいえ、陰性証明を持って飛行機に搭乗した人間がオランダに到着時には、多数が感染していたことを考えれば、現在の渡航は控えるべきであることは、明白です。

 想像以上に早く、なかなか衝撃的な日本のとった「鎖国」対策、これが吉と出るか否かはわかりませんが、個人的には、妥当な対応であるような気がしています。


オミクロン株 日本鎖国


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2021年11月29日月曜日

このところ感じる日本とフランスの感染対策に対する温度差

  


 ここのところ、日本の友人や親戚と電話などで話す機会があり、感染対策に対する温度差にあらためてハッとさせられています。

 私は、もうここ2年近く、日本への一時帰国はできていないので、実際に現在の日本の様子を見ているわけではないのですが、話している相手(日本にいる友人や親戚)から、漏れ伝わってくる感染対策への警戒がほとんど緩んでいないことに、そして、同時に日本と比較するのもおこがましいほどのフランスの緩み具合を照らし合わせると、あらためて、愕然とさせられるのです。

 日本の友人から、「まだ、み〜んなマスクしてるよ!」とか、「まだまだ、前のようにみんなで気軽に集まって食事したり、おしゃべりしたりする雰囲気ではない・・」などと聞かされると、フランスでは、マスクをしていない人も一段と増え、(もともとマスクをきちんとできていない人も多い)(しかし、公共の場や屋内ではマスクが義務化された)、ヘルスパスでチェックされているとはいえ、思いっきり普通にみんなで会ったり食事したり、めちゃくちゃおしゃべりしているし・・とそのあまりの温度差の違いにちょっと愕然とするのでした。

 これは、フランスでの感染が増加していくのも無理もないかとあらためて感じるのです。

 ヘルスパスがあるだけで、フランスはもうコロナなどなかったかのような日常。

 日本はいつの間にか、感染もかなりおさまり、1日の新規感染者が100人前後というパンデミック以来、フランスはそんな数字にまで抑えられたことがないであろう数字にまで到達しているというのに、未だ持って、フランスのように罰金付きの規則に縛られることもないのに、警戒を怠らない雰囲気は、やはり別世界。

 もしも、フランスで1日の新規感染者が100人などということになれば、もうパンデミックは終わったかのごとく皆が有頂天になることでしょう。

 フランスでの「ワクチン接種をしたから・・」「ヘルスパスを持っているから・・」と甚だしい気の緩みは、あらためて日本にいる人の話を聞くと、「そりゃそうだよな・・感染者が増えるわけだ・・」と思わずにはいられないのです。

 フランスも一時は、ワクチン接種の拡大とヘルスパスの起用により、1日の新規感染者もそれでも5,000人程度まで抑えられていた時期もあったのですが、最近は、ヘルスパスのチェックも緩くなってきて、飲食店などでもバタついていたりすると、「結局ノーチェックだった・・」という話もちらほら耳にするようになりました。

 ヘルスパスにより取り戻した日常に慣れすぎて、ワクチン接種をしているから・・ヘルスパスを持っているからもう何をしても大丈夫・・という感覚になってしまっていることは明白なのです。

 私自身、マスクをしないで出かけることはありませんが、ヘルスパスである程度は、守られているからとちらほらと外食をしたりもし始めていました。

 時間の経過とともにワクチンの有効性が薄れていくことを危惧して、ブースター接種を加速化しているフランス政府ですが、同時にこの気の緩みもなんとかしなくては、この冬を無事に乗り切れないかもしれません。

 これからノエルや年末年始とヘルスパスのチェックのない「家での人の集まり」が増える時期にさしかかり、すでに、先日も隣人が大勢の人を招いての大パーティーを夜から朝にかけてやっている様子が聞こえてきました。

 国民性の違いといってしまえばそれまでですが、規制されなければ、自粛できない、規制されてもその網の目をくぐってやりたい放題の人々にいい加減、うんざりしています。

 いつまでたっても終わらないどころか、新しいオミクロン変異株なるものまで登場して、ますますパンデミックは長引きそうな雲行きです。

 パンデミックの始まりは2020年の始めだったので、そろそろもう丸2年になり、この調子だと3年目に突入するのは不可避です。

 「やっぱり、ちょっと、明日、日本に行ってくるわ・・」とか、気軽に日本に帰れる日は、一体、いつ戻ってくるのでしょうか?

 

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2021年11月28日日曜日

世界中がオミクロン変異株を警戒し始めた


空港で立ち往生する人々


 話題に上がり始めて、たった数日のうちに、オミクロン変異株は、WHO(世界保健機構)から、警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株(VOC)」に指定されました。

 これまで気付いていなかっただけで、すでに、かなり広がってしまっているのか? それとも感染速度が脅威的な速さと強さなのかはわかりませんが、世界中はこの新しい変異株に対して、異例の警戒体制を敷き始めています。

 すでに昨日の段階で、南アフリカを含む7ヶ国からの到着便を一時停止する措置をとり、現段階でオミクロン株に感染した者は確認されていないフランスですが、オリヴィエ・ヴェラン厚生相は、「このオミクロン株感染の検査で陽性となった人、及びその陽性者と接触している人は、ワクチン接種の有無にかかわらず、隔離が義務付けられること」を発表しました。

 「感染者だけではなく、感染者に接触した者に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず隔離」という制限は、フランスでは前例のないことであり、ワクチン接種が有効ではないことを前提に考えられている対応です。

 つい10日ほど前までは、ヨーロッパの周囲の国の感染拡大に警戒し、ベルギーなどの15ヶ国からのワクチン未接種者の入国には検査の陰性証明書の提示を求めるなどの措置をとったばかりのフランス、今回は、ちょっと警戒の度合いが桁違いなようです。

 先日の段階では、ベルギー、イスラエルのみでしたが、この変異株に感染している症例がイタリア、イギリス、ドイツ、チェコなどで続々と確認され始め、すでにこの変異株がかなり広範囲に渡り、広がっていることが予想されます。

 先日、南アフリカからアムステルダムに到着した便の乗客約600人のうち、61人がコロナ陽性であったというのは、衝撃的な出来事で、これがオミクロン株による感染かどうかは確認できてはいないものの、普通、飛行機に搭乗する際には、検査の陰性証明書の提示が義務付けられているはず、このチェックが南アフリカの空港で適切に行われていたかどうか、または、検査を受けた後72時間あるいは、48時間以内、または機内で感染したか?いずれにしても600人中、61人感染とは10%以上を超える感染は、どう考えても異常な数字であることに違いはありません。

 これは、オミクロン株の影響でアフリカからの渡航が制限される前の2便の飛行機からの感染者であることを考えれば、直ちに渡航制限をした措置は正しかったと言わざるを得ません。

 このオミクロン株による感染者がすでに確認されているイギリスでは、ボリス・ジョンソン首相が「我々は、この新しいオミクロン変異株対応のために「さらに一歩進んで、新しい検査体制を整える必要がある」とし、「イギリスに入国する人には、2日後にPCR検査を受け、検査結果が出るまで隔離を義務付ける」こと、また「再びマスク着用を義務化すること」などを発表しました。

 多くの国が南アフリカからの便を停止しているにもかかわらず、日本は規制を強化するのみで、入国を禁じてはいません。強制隔離施設での隔離を10日間に強化する方針のようです。もともと、フランスなどから入国する場合も強制施設隔離はなくなったものの、公共交通機関も利用できずに検査を何重にも求められ、2週間の自宅隔離。これでは来るなと言われているも同然です。しかし、これだけ注意深いはずの日本がなぜ、南アフリカからの渡航を一時でも停止しないのかは疑問です。

 現在、確認されているボツワナ、イギリス、ベルギー、ドイツ、香港、イスラエル、チェコ共和国、イタリアなどのオミクロン株感染者は、エジプトから到着したベルギー人旅行者を除いて、全てのケースは南アフリカ南部からの旅行者です。

 これは集中的に南アフリカへ渡航したものを集中的に追跡していることもあると思いますが、南アフリカでのコロナウィルス感染者はここ数週間のうちにこれまでのデルタ株よりもオミクロン株が優勢になっていることを鑑みれば、このオミクロン株の感染の威力と速度は十分に警戒すべき事態であるに違いありません。

 何よりも南アフリカからアムステルダムへの便での600人中61人感染の事実は、特に詳しく検証する必要があり、それがたとえオミクロン株ではないにせよ、異常事態。搭乗時には陰性とされていたはずの人々がいつのタイミングで感染したのか?また陰性証明がどの程度、信頼されるべきものであるか?これらについては、搭乗前の検査のタイミングなども見直す必要があるかもしれません。


オミクロン変異株 南アフリカ


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