2021年8月26日木曜日

パリで食べられる世界一のピザ PEPPE PIZZERIA ピッツェリア・ペッペ

   

世界チャンピオンという名前の人気ピザ アップでどうぞ!


 パリで世界一のピザが食べられると聞いて、ビックリして、早速、そのピッツェリアに行ってみました。

 フランスでも、ピザと言えば、とてポピュラーな食べ物で、もともとチーズが大好きなフランス人がピザを嫌いなわけはありません。しかも、外食するにしても比較的安くて、若い子たちが安く外食を済ませるとしたら、ピザかケバブかマクドナルド・・そんな感じです。

 ウーバーイーツができる前も出前ができるのは、ピザか、中華がやっている日本食くらいで、それだけ気軽に食べられ、一般的に浸透しているメニューではあったのです。

 しかし、いくらピザがフランスでポピュラーだとはいえ、ピザといえば、何といってもご本家はイタリア、なのに、なぜ、世界一のピザがパリで??と、ちょっと不思議な気もしたのです。

 昨年、ピザの世界チャンピオン(2019-2020)であるナポリのシェフ、ジョセッぺ・クトラロがピッツェリア「PEPPE」をパリにオープンしたのでした。

 それはパリの20区というパリの中心部からは少し離れたところで、(といってもパリは狭いのでそんなに遠いわけではない)ペーラ・シェーズという有名な広大な墓地の裏手あたりのどちらかというと下町っぽい界隈にあるのですが、なぜかその「PEPPE」の一角だけは、イタリアの風景が切り取られて突如そこに現れるような独特な一画で、お店の正面には、階段を数段登ったところに、サンジェルマン・ド・シャロンヌ教会がそびえ、お店の店内から外を見ると、外のテラス席と教会と青い空が見えて、それはそれはか感動的な景色です。

 この格別のロケーションを教会を使って演出するあたりもなかなかのセンスです。

  

店内から見た教会を背景にしたテラス席

 最初にサイトでこのお店を調べて、予約を取ろうとしたら(お昼の時間)、予約は来週以降の限られた時間しか空いておらず、「あらまぁ〜すごい人気なんだわ!」と半分、諦めかけていたのですが、ふと先日、あまりに天気がいいので、「どこかに行こう!そうだ!あのピザを食べに行こう!予約なくても大丈夫かもしれないし・・ダメならテイクアウトでもいいし・・」と、突然、思い立って、出かけてみたのでした。

 案の定、混んではいましたが、予約なしでも全然OKで、ヘルスパスチェックの後、わりとすんなり入れましたが、それほど広くもない厨房で、テイクアウトのお客さんなども結構いて、それぞれが、一人、5枚、10枚と買っていくので、テイクアウトの分のオーダーが溜まっているため、席にはすぐに入れてもピザがやってくるのには、少々時間がかかります。

 (しかし、これは昼の話で、夜の予約は数ヶ月先までいっぱいなのだそうです。)

 テラス席も良かったのですが、ピザを焼いている様子も見たかったので、店内の席に案内してもらうとピザ窯の周りの3人のイケメンのピザ職人たちが、ピザを窯の中に押し込む大きいヘラのような棒を巧みに使い、音楽に合わせてリズムを取りながら、楽しそうに絶え間なくピザを焼いている様子が見えて、飽きることがありません。

  


 店内のウェイターやウェイトレスも大変、感じがよく、よく気が付く人たちで、さすがに繁盛店は違うな・・と感心しました。

 メニューは、紙のもの(ちょっとクシャクシャになってたけど)とQRコードのものと両方があり、それぞれのテーブルにはアルコールジェルが置かれ、衛生対策もバッチリです。

 前菜は、アーティーチョークやカプレーゼ、サラダ、生ハムやサラミの盛り合わせ、ブルスケッタなど6種類、値段は8〜12ユーロ(1,000円〜1,500円程度)、ピザはマルゲリータなどの定番によくあるメニューの他、ゴルゴンゾーラのピザ、トリュフクリームのピザ、そしてチャンピオンを取ったという話題のピザなど13種類あり、12〜20ユーロ(1,500円〜2,600円程度)です。

 ドリンクは、ソフトドリンクで4ユーロから、ビール、ワイン、カクテル、まあまあ良心的な価格です。

   

前菜の生ハムとチーズの盛り合わせ

 私は、せっかくだから、世界一のピザを食べてみたいと思って、「世界チャンピオン(CAMPIONE DEL MONDO)を食べてみました。(右がチャンピオン・左がレジーナ)

 


 ナポリ風の生地の外側は見事に膨らんで、トッピングには、黄色いトマト、24ヶ月もののパルマ産の生ハム、プロヴォローネ(イタリア北部パダーナ高原などで生産されているセミハードタイプのチーズ)、水牛のモツァレラチーズ、ローストアーモンド(これもなかなか良かった!)、バジル、イチジクのジャムがちょっとだけアクセントにのせられていて、フワフワでいて、どこかもっちりとした感じがあるにもかかわらず、とても軽い生地が見事に焼き上げられていて、絶品!私の期待が裏切られることはありませんでした。

 とはいえ、大きなピザを一人で一枚、食べきれなくて、もったいないなぁ〜と思っていたら、持ち帰り用の箱をくれて、残りは無駄なく、お持ち帰りしてきたのでした。

 このお店はイタリアンとはいえ、ピッツェリアなので、他のパスタなどのメニューはありませんが、とかくイタリアンはハズレが多いと定評のパリでこれだけ美味しいピザが食べられるのには、大満足です。

    

世界チャンピオン ジョセッぺ・クトラロ


世界一のピザ(パリ) PEPPE ピッツェリア ペッペ


PEPPE PIZZERIA (ピッツェリア・ペッペ)

2Place Saint-Braise 75020 Paris

営業時間 (火〜日)12:00~14:30, 18:45~22:30 (月)夜のみ

メトロ 3号線 Porte de Bagnolet, 9号線 Porte de Montreuil, 2号線 Alexandre Dumas

PEPPE MENU



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2021年8月25日水曜日

フランス9月1日から3回目のワクチン接種開始

   


 フランスは、予定していた9月15日からの3回目のワクチン接種を9月1日から受け付けることを発表しました。

 3回目の追加ワクチン接種の該当者は、65歳以上の高齢者と重症化及び死亡のリスクを高める併存疾患のある全ての人としています。

 Haute Autorité de Santé(HAS)(高等保健機構)は、3回目のワクチン接種について、「現在、フランスで蔓延しているデルタ変異種に関連する症候性形態に対する保護機能が時間の経過とともに低下し、不充分になると考えられるため」と説明しています。

 HASは、この説明に、すべてのワクチン、特にデルタ変異種に対する有効性の経時的な低下を示唆するいくつかの研究を提示しています。

 ビオンテック・ファイザーワクチン接種が2回済んでいるにも関わらず、8月13日の段階で特定された622例の重症化例の3分の2は、1つ以上の併存疾患に苦しむ人々で、そのうちの107名の死亡者のうち、72%が85歳以上であったことがわかっています。

 これらの研究結果により、3回目のワクチン接種を限定して優先接種していく方針を固めたのです。 

 この3回目の接種条件は、年齢や併存疾患に加えて、アストラゼネカ、ファイザー、またはモデルナの2回のワクチン接種後6か月が経過していることが付け加えられています。このため、現在の段階では、少なくとも3月の段階で2回のワクチン接種を済ませている人に限られているため、急激に3回目のワクチン接種が進むことは考えにくく、時間の経過とともに、徐々に行われていくものと思われます。

 まず最初にワクチン接種を開始した高齢者施設や介護施設において、この3回目のワクチン接種キャンペーンが開始されます。

 しかし、それは義務ではなく(もともと2回のワクチン接種も義務ではないが・・)、ヘルスパスの効力に影響はありません。

 そもそも2回のワクチン接種でさえも、渋々、受け入れざるを得ない気持ちだった人にとって、これでひと安心と思っていたところに、2回のワクチン接種では効果は十分ではなく、もう1回必要だというのですから、一体、どれだけワクチン接種を受け続けなければないのか?と追加の3回目のワクチンに対しては現段階では懐疑的な人も少なくありません。

 また、今回の該当者に関しては、これから秋から冬にかけての季節には、例年はインフルエンザワクチン接種を推奨されている人々でもあり、2種類のワクチンを同時に接種する危険を危惧する人も多いのですが、この2種類のワクチン接種は、たとえ時期が重なっても危険はないとしています。

 逆に、コロナウィルスワクチンに関しては、6ヶ月を経過すると有効性が低下し始めることを強調し、特に高齢者や併存疾患を抱える人々に対しては、3回目のワクチン接種を推奨しています。

 現在、フランスのワクチン接種率は、72.3%、国全体の感染を抑えていくには、まず、この2回のワクチン接種率を上げていくことも同時に進めていかなければなりませんが、現在のフランスのワクチンのストックは、その両方をこなしていくに十分な量を備えています。

 しかし、世界的には、まだ1回のワクチン接種もできていない人々も多く、WHO(世界保健機構)は、後進国にワクチンを譲るように呼びかけていますが、ヨーロッパでは、フランスの他、イギリス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、ハンガリーなどの国々が同時に3回目のワクチン接種を開始することを発表しています。

 私自身、心臓疾患があるため、恐らく、この併存疾患を持つ人というカテゴリーに入ると思うのですが、私が2回目のワクチン接種が終了したのは、6月5日、少なくとも12月までは、次のワクチン接種を受けることはできないので、少し様子を見て、かかりつけのお医者さんと相談して、考えようと思っています。

 しかし、これから定期的にワクチン接種を続けなければならないとしたら、なかなか気が思いことです。フランスは、ヘルスパスが適用されることになって以来、急激にワクチン接種が進み、ある程度、ワクチン接種が進んでいけば、ヘルスパスなども必要ない世界がやってくるのではないか?などと思っていた矢先にこの3回目のワクチン接種の話です。

 まだまだパンデミックは終わらないようです。


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2021年8月24日火曜日

パリに日本の駄菓子屋さんみたいなお店ができた!MANGA CAFE KONBINI

   


 ここ2〜3年、ロックダウン等であまり出歩けなかったこともあって、久しぶりにパリの街を歩いていると、「あれ?ここに、こんなお店あったっけ?」と思って、ひょっこり物珍しい気持ちでお店に立ち寄ってみたりしています。

 パンデミックの影響はもちろんのこと、フランスでは、それ以前からテロだのデモだのがあまりに頻繁に起こっていたために、徐々に観光客の足も減少しつつあったところに、パンデミックの大打撃!ロックダウンによる営業停止に対しては、フランス政府の補償はあったものの、ロックダウンが解除になった今、政府からの援助は打ち切られ、かといって、以前のように観光客が戻ってきたわけでもなく、特に日頃は顧客の大半を観光客が占めるお店などは、衰退の一途を辿るのみで、閉店、倒産して、お店を畳まなければならなくなった店舗も少なくありません。

 きっと、パリのガイドブックなどは、大幅に書き換えをしなければならないのではないか?と思うほどです。

 そんなわけで、当然、閉店したお店の後には新しい違うお店がいつの間にかオープンしていて、久々にパリの街を歩いてみると、思いがけないお店を発見したりもするのです。「えっ?ここ前、何のお店だったっけ?と考えてみても思い出せない・・」という私に、「そういうお店だから潰れるんでしょ!」と娘の冷たい一言。

 しかし、みんなに愛されながらも泣く泣く閉店したお店もあるはずです。

 と同時に、消費者側としては、「えっ??こんなお店ができてたんだ!」という新しい喜びもあり、先日、パリを歩いていて偶然、「日本の駄菓子屋さんみたいなお店」を見つけたのでした。

 お店の看板には、「CONCEPT STORE JAPONAIS(コンセプトストア・ジャポネ)」と書いてあったので、日本のコンセプトストアって何だろう?と思って、あまり期待もせずに入ってみたのです。

 なるほど、狭い店内は日本製品に溢れていたのですが、その半分は日本の駄菓子というか、お菓子で、日本の駄菓子屋さんを思わせるような細かいお菓子が所狭しと陳列されていて、懐かしいというほど駄菓子屋さんというものに行った記憶がない私でさえ、思わず懐かしさを感じてしまうような・・それでいて、こんなお菓子あるんだ・・というような新しいものもあったりして、なかなか楽しい空間でした。


  


 日本のポッキー(フランスではMIKADOという名前で出ています)や日本ならではのフレーバーのキットカット、しゅわしゅわっとするラムネの飴やサクマ式ドロップス、ドラえもんやポケモン、スーパーマリオのガム、今フランスで流行っているおもち(mochi)のお菓子、カラムーチョなどのスナック菓子や、カップラーメンやカップ焼きそば、日本のドリンク類、ねるねるねるねやうまい棒まであります。





 半分以上はお菓子などの食品類で、残りの半分は、日本のお弁当箱(近年、フランスではBENTOブームが起こりました)、日本のお箸、靴下、招き猫などの小さなオブジェ、おにぎりを作るケースや保温マグ(魔法瓶)、日本語の教材までおいてあります。


 


 このお店のオーナーはフランス人だそうですが、もともとパリ市内に他に2件、マンガカフェをやっていて、この駄菓子屋さん(だと私は勝手に思った)は、日本のマンガ、アニメ、ゲーム等をコンセプトにしたお店だそうで、そう言われれば、同じお菓子でもマンガやアニメのパッケージのお菓子が多く、そこから商品構成が広がっている感じでした。

 日本の駄菓子屋さんみたいだ!と思った私は、勝手に現地に在住している日本人が多いのかと思いきや、意外にもお客さんはフランス人ばかりでびっくり!しかも、結構な盛況ぶりでした。

 先日、フランス政府がフランスの文化復興のためにフランスの若者向に発行した「カルチャーパス」の使い道のほとんどが「日本のマンガ(MANGA)」で、「カルチャーパスはマンガパスと呼ばれるようになった」という現実からも、このような、日本のマンガ・アニメ・ゲームなどのキャラクターを使ったお菓子にまで人気が及ぶようになっているのには、驚きです。

 日本に一時帰国した際には、いつ行ってもお菓子一つをとっても次々と新製品が新しいフレーバーが登場しているのが楽しみな日本の一部がパリで垣間見えることは、たとえお菓子といえども、なかなか在仏日本人としては、嬉しいお店の発見でした。

 パリにいらした際には、フランス人にウケている日本のものを覗いてみるのも楽しいかもしれません。

 



パリの日本の駄菓子屋さん<MANGA CAFE KONBINI>

営業時間 11:30~19:30(火〜土)、12:00~19:30(日)、月曜休み

61 Rue des Petits Champs 75001 Paris

メトロ 7・14番線 Pyramidesから徒歩3分




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2021年8月23日月曜日

フランスでワクチン接種が進んでも感染拡大が止まらない理由

   


 パンデミックが始まって以来、一つだけ良いことがあったとしたら、それは、パリの街が少しだけ清潔になったことです。

 当初は、どのように感染が広がっていくのかもわからず、とにかく除菌・消毒が繰り返され、メトロの駅なども頻繁に掃除、消毒が行われていたため、いつになく清潔で、感染の恐怖はあったものの、それはそれで清潔になったパリの街がこのまま清潔にする習慣が浸透していってくれればいいなぁ・・などと思っていました。

 ロックダウンのために、あまり人が街に出なかったこともあって、街中のゴミも少なくなり、ゴミよりも路上に捨てられているマスクが気になるくらいでした。

 しかし、3回目のロックダウンが解除された頃から、ワクチン接種も急激に進み出し、ヘルスパス(ワクチン接種2回接種済証明書、72時間以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)さえあれば、どこでも自由にアクセスが可能になりました。

 レストランやカフェも再開し、大勢の人がバカンスに出て、ヘルスパスさえ持っていれば、ほぼ日常と変わらない生活ができるようになって以来、人々の衛生観念も薄れ始め、以前と同じような地べたに平気で座り込んだりする光景が見られるようになりました。

 冒頭の写真は、パリの、あるパッサージュ内の光景で、未だ(というより益々)感染が増加し続け、1日の感染者が2万人を超える状況でありながら、地べたに平気で座り込んで、休憩している学生たち(引率者の大人も一緒)がパリ観光中に休憩している様子です。

 感染抑制のためには、ワクチンは強い見方ではありますが、一番重要なことは、個人個人の感染対策で、たとえ、このグループの人々が全員ワクチン接種済みだったとしても、感染を100%回避できるわけでもなく、公衆の大勢の人が土足で歩く通りに平気で長々と座り込む彼らの衛生観念の低さはフランスにとって致命的です。

 フランスがワクチン接種が進んでも感染拡大が止まらないのは、一人一人の感染対策、衛生観念の欠如が原因だと思わざるを得ないと私は思っているのです。人々が土足で歩いているところに平気で座り込む人たちは、そのままメトロに乗って、平気で座席に座っていると思うと、公共交通機関で気軽に着席するのもちょっと躊躇われるような気分になります。

 一時はすっかりきれいに消毒されていた駅なども、再び、そこはかとなく、またアンモニア臭を感じるようになり、また元の臭い駅に戻りつつあります。

 商業施設等に入る時には、手を消毒するように大抵の施設ではアルコールジェルが設置されているものの、義務化されている場所以外では、ほとんどマスクをしない人が増え、数万人が集まるデモでさえもマスクをしていない人がほとんどです。

 衛生観念の違い、生活習慣の違いと言ってしまえばそれまでですが、もともと、なぜ、フランスで(ヨーロッパで)これほどの被害が広がってしまったのかを彼らはまだ、わかっていないのだろうか?と、もどかしい気持ちになります。

 それでも、厳しいロックダウンや数々の罰金付きの規制、ワクチン接種の拡大で、いくつもの感染の波を乗り越えてきましたが、ウィルスも変異を続け、その威力を増している中、ワクチン接種だけでは感染が抑えきれていない理由がこの写真に見られる彼らの衛生観念の欠如にあることは明白です。

 染み付いている彼らの清潔さという感覚、衛生観念は、ワクチン接種では治らないのです。

 一方、コロナ前の日常から、いつでもどこでも清潔で、個人個人の感染対策も世界的にも高水準だと思われる日本が今回のパンデミック以来、最悪の感染悪化の状況を迎えていることは、フランスとは逆に個人個人の感染対策が原因ではなく、政府の医療体制の確保や感染対策(規制や補償)が正常に機能していないことが原因で、国民ばかりが煽りを食っている感が否めません。

 そのどちらもがバランスよく機能するということは、あり得ないのだろうか?と、フランスと日本の両方を見ていて思うのです。


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2021年8月22日日曜日

6週間連続ヘルスパス反対デモ 動員数減少傾向 アンチヘルスパスは減っているのか?

  


 マクロン大統領のヘルスパスの発表以来、7月17日から毎週土曜日の「ヘルスパス反対デモ」が6週間続いています。

 しかし、先週あたりから、デモの動員数は減少傾向にあります。

 とはいえ、6回目のデモもフランス全土で200以上のデモ隊が組織され、内務省の発表によると全国で、175,503人がこのデモに参加したと言われています。

 これまでのデモのピークは4回目の8月7日で23万人がデモに参加していましたが、それ以来、2週連続、動員数は減少しています。

 これは、ピーク時の後の2週間は、フランス人が最もバカンスに出ている時期と重なっているための動員減少ということも考えられますが、同時にワクチン接種率が上昇しているためと考えることもできます。

 フランスの現在のワクチン接種率は、70.2%(2回接種済は60.5%)にまでになり、1回でもワクチン接種を済ませている人が2回目のワクチン接種を受けないとは考えづらく、少なくとも70%以上の人がワクチン接種を受け入れていることになります。

 残る30%には、ワクチン接種をできない年齢(12歳以下)の人数も含まれているため、既にかなりの割合に及んでいるわけです。

 ワクチン接種を済ませている人の中にもアンチヘルスパスの人はいないことはありませんが、それはごく限られた割合であり、一般的にワクチン接種を済ませていさえすれば、ヘルスパスの提示はそれほど煩わしいものでもなく、わざわざ反対するには及ばないもので、むしろ、そのことによって自分や周囲の人の安全性がある程度は確保されるのです。

 もう一つの理由(デモの動員人数減少の理由)としては、ワクチン接種がここまで上昇しているにもかかわらず、フランスの感染は悪化し続けている=再び、どんどんヤバい状況になってきているという現状です。

 現在、フランス領マルティニークやグアドループなどでは、深刻な医療崩壊を起こしており、これまでに600人以上の救急支援のための人員が派遣されているものの、もはや第1波を彷彿とさせるような医療崩壊状態で、当然、病床は、全く足りておらず、運ばれてくる患者が入る場所などなく、病院の廊下でさえいっぱいで、病院の前に建てられたテントの下に寝かされている患者で溢れかえっています。

 テレビでは、病院で苦しむ決して高齢でもなく、既往症もなかったはずの若い患者の「コロナを甘く見ていた・・ワクチン接種をしていなかったことを心の底から後悔している・・苦しい・・」などという証言を流し、ワクチン接種の重要性を報道しています。

 ここまで深刻ではなくとも、フランスの南部、特に海岸沿いのバカンスエリアでは、徐々に感染が悪化し、感染状況を示すマップはフランス全土が真っ赤、南部に至っては、黒くなってきていて、102の地域では、7日間で住民10万人あたり50件のアラートレベルを超えるため、赤に分類されています。



 ワクチン接種がここまで進んできたにもかかわらず、これだけ感染状態が悪化し、人々がバカンスから戻り、学校も仕事も再開され、ウィルスも本格的に活発になりうる秋を迎えるのですから、いつまでも、ただただ、ヘルスパス反対!などと言っている場合ではないのです。

 世論調査によると、フランス人の54%は、ヘルスパス反対のデモに反対しているそうで、そのうち、アンチ・アンチヘルスパスのデモが起こるかもしれません。


フランス ヘルスパス反対デモ


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2021年8月21日土曜日

マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる マルセイユ14歳少年銃殺事件

  


 

 8月18日の午後10時半頃、マルセイユのサンバルテルミー地区にあるルイヴィルクローゼ大通り付近で、武装した二人の男の発砲したカラシニコフによって、14歳の少年が銃殺され、一緒にいた8歳の少年も負傷という衝撃的なニュースに、マルセイユだけでなく、フランス中が驚愕しています。

 この近辺は麻薬取引ポイントの一つであり、麻薬・ドラッグの密売組織の武装化が問題となっている中で起こった悲劇的な事件でした。

 さらにショッキングだったのは、マルセイユ市長が、この事件に関して発表した声明が、「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる。この現実はなんとしても止めなけらばならない」というものだったことでした。

「パン・オ・ショコラを買うように・・」という表現は、いかにもフランスらしい言い方ではありますが、それだけ、どこでも、誰でも、容易に買うことができるということです。

 この事件では、バイクに二人乗りした男のうち、後部座席に座っていた方の人がまるでシューティングゲームのように発砲して走り去っており、検察によると、彼らは麻薬の密売場所がある街の入り口の前にある展望台を標的にしたものと見られています。

 この麻薬密売に関して、警察が手付かずに放置していたからではなく、むしろ、麻薬密売場場所(組織)の解体を進めていたからこそ起こった悲劇でもあり、麻薬取引ポイントを奪回する意味を込めての彼らの領土争いの一部であり、武力攻撃の理由の一つであったと考えられています。

 本人が死亡しているため、真相は不明ですが、被害者の少年には、逮捕歴はなく、麻薬売買のためにその場に居合わせたわけではないと思われていますが、「14歳の少年が、夜の10時半になぜ?そのような場所にいたのか?彼は麻薬に関わっていたのではないか?」などとの報道も広がっており、彼の親族が、「いい加減な報道をして、被害者をさらに貶めるようなことは許せない! 彼はちゃんとした家庭に育った勤勉な少年で、35℃もある夏の夜、バカンス期間中でもあり、外にサンドイッチを食べに出ただけ!麻薬などには決して関わってはいなかった!」と涙ながらに訴えていました。

 彼女の話が本当だとしても、危険な地域だと知りながら、14歳の子供を夜の10時半にサンドイッチを食べに外出させるのもどうかとも思いますが、被害者の少年については、詳しいことはわかっていません。

 この事件が起こったのは、比較的貧しい地域ではあったものの、これだけ麻薬密売・武器密売が浸透、拡大する背景には、麻薬の消費者には、多くのブルジョワ階層が含まれていることも事実であり、社会的により高い階級の人々がこのトラフィックをサポートしているという現実があるためでもあります。

 つまり、消費者がいなければ、商売は成り立たず、これだけ麻薬密売組織が勢力を広げ、武器密売組織までに発展するには、それだけの消費者がいるということです。フランスがヨーロッパ最大の麻薬消費国と言われるのも頷けます。

 この事件の2日後には、同じマルセイユのショッピングセンター近くのパーキング付近で再び銃撃事件が起こり、少なくとも二人が負傷し、そのうちの一人は腹部を撃たれる重症という事件が再び起こっています。

 銃撃事件の直後、コマーシャルセンター内にいた顧客は、しばらくコマーシャルセンター内にロックダウン状態になりました。

 同地域で、3日間に2件の銃撃事件が起こるとは、まさに「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる」証のような気がしてしまいます。(ちなみに価格は1,500ユーロから2,000ユーロ(20万円〜26万円程度)だそうです。

 麻薬・ドラッグの密売組織の武装化から広がった武器密売の問題は、地域の住民を脅かす規模にまで発展しつつあります。

 内務大臣は、即刻、この卑劣な行為を非難し、これらの事実は、麻薬密売と武器密売はフランス国家が対応すべき最優先事項であると発表しています。

 昨年の3月に最初にロックダウンになった時に、マクロン大統領は、「私たちは、戦争状態にある」と演説を始めましたが、このパンデミックによる戦争状態が終息していない中、今度は、ウィルスではなく、麻薬がらみの本物の武器が使われる戦争が始まっています。


マルセイユ14歳銃殺 カラシニコフ


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2021年8月20日金曜日

8月30日からヘルスパスがないと働けなくなる

   


 フランスでは、美術館、映画館、劇場を始めとした文化施設に始まり、スポーツ施設、レジャー施設、レストラン、カフェ、ナイトクラブからコマーシャルセンターまで、ほぼ、ありとあらゆるアクセスにヘルスパス(ワクチン2回接種証明書・72時間以内のPCR検査陰性証明書・6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が必要になり、すでに、今やヘルスパスを持たない限り、かなり行動範囲を制限される状態になっています。

 とはいえ、ここまでの状態ならば、これらの施設に入場する際には、ワクチン接種を受けていなくても、PCR検査を受けさえすれば、とりあえず、これらの施設を利用するのも可能なわけで、手間はかかるものの、全く身動きが取れなくなるわけではありませんでした。

 しかし、8月30日からは、これらの施設で働く全ての従業員・ボランティア・臨時労働者・下請け業者に対して、ヘルスパスが求められることになりました。こちらの方は、毎日のことなので、どちらかといえば、よりワクチン接種の義務化に近いニュアンスがあります。

 具体的には、上記の施設に加えて、スポーツ・音楽・見本市などのあらゆるイベントに関わる人々、図書館(大学およびフランス国立図書館などの専門図書館を除く)、長距離交通機関、お祭りなどなど、これらに関わる全ての従業員が対象となります。

 ただし、これらの対象施設においても、一般の人がアクセスできない場所や、営業時間外に働くスタッフはヘルスパスの義務の対象ではありません。

 これまではお客さんのみに強制されていたヘルスパスの提示義務がそれらの場所で働く従業員に対して義務化されることになるわけです。お客さん側からしたら、嫌なら行かなければ良いだけの話ですが、そこで働く従業員にとっては、嫌だから行かないというわけにもいきません。

 また、PCR検査で凌いでいこうとすれば、72時間以内の結果が継続的に必要になるわけですから、3日に1回、PCR検査を受け続けることを強いられることになります。

 しかし、同じ施設内で、お客さんには必要で、従業員は不要というのもおかしな話で、ヘルスパスがスタートした時点で、本来ならば同時に必要であったものが、一応、2回のワクチン接種を受けること前提で、猶予期間が設けられていたに過ぎません。

 つまり8月30日には、その猶予期間が切れるということになります。

 ヘルスパスを提示する限り、雇用契約はこれまでどおり継続されますが、ヘルスパスの提示ができない場合は、一定期間は、雇用主との合意に基づき、従業員は労働協約で定められた有給休暇を使用することができます。

 しかし、雇用主との合意が成立しない場合は、雇用主は従業員に対して、雇用契約が直ちに停止されることを通知し、給与の支払いは停止されます。

 ヘルスパスの提示がない場合は、雇用契約は一時停止されますが、ヘルスパスを提示した時点で雇用契約は再開されます。

 雇用契約の一時停止が3日以上続く場合、雇用主は従業員に面接を求め、状況を正規化する方法について話し合います。雇用主は、特に、ヘルスパスを提示する義務の対象とならない別のポジションへの会社内の一時的な再分類の可能性、および活動がこの作業モードに移行可能な場合の在宅勤務の可能性について話し合うことができます。

 仕事場として仕事をするために求められるヘルスパスは、ほとんどワクチン接種の義務化を意味しています。

 ヘルスパスは、社会的対話の枠組みの中で展開されることを前提とし、ヘルスパス提示義務が会社の一般的な組織に影響を与える場合は、社会経済委員会(CSE)に通知し、相談する必要があります。相談はパス設定後、遅くとも1ヶ月以内に行えるとされています。

 徐々にヘルスパスによるワクチン接種への追い込みが厳しくなっていきます。生活がかかっている仕事場においてのヘルスパスの義務化は、否応なしにワクチン接種を突きつけられているのと同じことになります。

 しかし、アンチヘルスパス・アンチワクチンのデモに参加している人の中には、頑なにワクチン接種を拒否し続ける人も少なくありません。「ワクチン接種しなければ、仕事を続けられないならば、仕事はやめる!」と喚いている人も少なくありません。

 職を辞してまで、ヘルスパス、ワクチン接種に抵抗する人々たちは、今後はさらに追い詰められた状況になっていくわけで、デモが激化していくのも必須だと思われますが、それでも政府も後に引くわけにもいきません。

 バカンスの終盤にかかり、人々がバカンスに出かけている地域を中心に、すでに感染が急激に悪化し始めており、医療崩壊寸前の状態に追い込まれ始めています。感染悪化が加速しているのは、見事に海沿いの人気のバカンススポットに集中しています。

 しかも患者の大半はワクチン未接種の30歳〜45歳が中心となってきており、行動範囲も広ければ、バリバリ仕事をする年代でもあります。

 フランスの第4波の波は、上昇を続け、一向にとどまる気配はありません。


ヘルスパス 失業 解雇

 

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