
バスに乗ると、時々、運転手さんの横に立って、延々と立ち話をしている人を時々、見かけますが、「運転手さん、迷惑じゃないのかな? まあ、いつも同じルートを単調に運転しているから、退屈しのぎなのかな? それにしても、気が散って危なくないのかな?」などと思うことがあるのですが、まあ、何を話しているのか、聞き耳を立てることもなく、何気に見過ごしています。 ところが、今日、見かけたのは、アンチワクチン論者の運転手と乗客で、運転手はさすがにマスクはしていたものの、乗客は、マスクなし・・で、二人はともに、アンチワクチン派で意気投合していたようです。 現在、パリ市内のバスは(パリだけではないと思うけど・・)、運転手席付近は、プラスチックのバリアで仕切られているのですが、運転手がマスクなしの乗客を容認しているためか、そのバリアの運転手エリアにその乗客が入り込んで、かなり熱心に話が弾んでいました。 どうやら、二人ともアンチワクチン・アンチヘルスパス・アンチマクロン論者のようで、「ワクチンは、絶対しない!」と熱く語り続けていました。 現在、フランスでは、公共交通機関は、マスク着用は義務付けられていて、ずいぶん前にマスクをせずにバスに乗り込もうとしていたところを運転手に注意された乗客が運転手をバスから引きずり下ろして殴る蹴るの暴行を働いて、殺してしまったという陰惨な事件も起こったことがありましたが、今回は、アンチワクチン論者の運転手がマスクなしの乗客を運転手席に招き入れて、アンチワクチン論を語り合い、盛り上がるという、真逆?の光景でした。 現在、フランスでは、ヘルスパス(ワクチン2回接種証明書、48時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)がないと、長距離の移動ができなくなり、50人以上集客可能な場所には立ち入れなくなり、レストラン・カフェ等も利用できなくなる措置が8月9日から施行されることになっていて、そのためにヘルスパスに反対する人々がデモが3週連続して続いていて、先週は20万人以上の人がデモに参加しています。 私の周囲には、アンチワクチン論者はいないので、いったい、どこから、こんなに人が沸いてくるんだろう?と思っていたくらいなので、思わぬバスの車中で、やれやれ、ここにいた・・と思って彼らの話をそれとなく聞いていました。 ヘルスパスの施行に伴い、ヘルスパスの提示が求められる場所で働く職員に関しては、事実上、ワクチン接種が求められるようになるわけで、9月以降は、それらの人々に対しては、ヘルスパスがないと解雇・・というわけではないのですが、無給となるそうで、事実上の解雇と同じことです。 8月9日の段階では、バスやメトロには、ヘルスパスなしに利用できなくなるわけではありませんが、その運転手さんは、その後の更なるヘルスパスの拡大を恐れてか、「ワクチンをしなければ、仕事を続けられないなら、仕事を辞める!」と息巻いていました。 運転手さんと、その乗客ともに、中年の男性でしたが、頑としてワクチンをしないという意見が合致して、二人で、「あの強引なやり方は、本来あるべきフランスのやり方ではない!だいたい、マクロンは、富裕層の味方ばかりして、ファイザーから賄賂でも受け取ってるのではないか?」とめちゃくちゃな議論に口泡を飛ばして話していました。 言わせてもらえば、アンチワクチン・アンチヘルスパスを唱える人は、ワクチンどころか、この乗客のようにマスクさえもしたがらず、さらには、このような人に限って、人の多く集まる場所に行きたがる傾向があるようで、ヘルスパス反対のデモなどの様子を見ていると、屋外とはいえ、あれだけたくさんの人が集まっているにもかかわらず、マスクをしていない人がほとんどで、「ワクチンをしたくないなら、せめて、マスクぐらいしろよ!」と言いたくなります。 誰だって、リスクがあるかないか、現時点では、よくわからないワクチンは、本当は、したくはないと思いますが、現在のパンデミックの状況をなんとか抑えるためには、ワクチンをするしか方法がないから、ワクチン接種を受け入れているのです。 ワクチンは嫌!マスクも嫌!でも、ロックダウンも嫌!では、どうしようもありません。...