2021年6月13日日曜日

パリ1区マドレーヌにオープンしたIKEA(イケア) IKEA City Paris


メトロ・マドレーヌ駅上がってすぐの抜群のアクセスにできたIKEA City Paris


 IKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具量販店で、これまでIKEAといえば、パリ近辺でもちょっと郊外の車なしには、行きづらいような場所にある広大な敷地の中に建つ倉庫のようなお店が普通で、まだフランスに来たばかりの頃に数回、行ったことがありましたが、そのIKEAがパリ・マドレーヌにできたと聞いて、「あんな場所にIKEA?」とちょっと意外な気がしていました。

 IKEAといえば、その倉庫のようなお店のイメージからも、あまり高級品のイメージではなく、(中には、高級品もあるけど・・)車で行って、倉庫のようなお店で組み立て式の家具や、大量生産品の食器やカーテン、クッションなどが比較的安く買え、ショッピングの合間に簡単でお手軽な値段の食事もできるスペースなどもあったりして、今で言う、コストコの家具バージョンのお店のようなイメージだったからです。

 パリ・マドレーヌといえば、パリ1区と8区の境界線あたりで立地条件も良く、家賃だけでも高そうで、IKEAのような広いスペースが必要なお店ができるなんて、思ってもみないことでした。

 マドレーヌ近辺は、マドレーヌ広場を中心として、今は閉店してしまったFAUCHON(フォション)の本店やエディアール(総合高級食料品店)の本店やトリュフの専門店やキャビアの専門店、有名なショコラティエなど、高級食料品店がたくさんある場所で、個人的には、他についでの用事がなくても、時々は、なぜかわりと行く機会も多い場所です。

 先日、どうしても美味しいチョコレートが食べたくて、その近辺に行った際に、IKEAを見かけて、ちょっと様子を見によってみたのでした。

 平日の昼間にも関わらず、結構なお客さんが入っていて、思わぬ人気ぶりに興味津々にお店を覗いてみたのでした。


 店内は、あのIKEA(家具の量販店)でありながら、地上階(日本でいう1階)には、調理器具や食器や、どちらかというと家の中のデコレーションや植物、照明器具、テーブルアートなどがメインで、比較的、値段もお手頃でなかなか可愛いものもあったりして、楽しいスペースになっていました。



こんな和食器っぽい湯呑みも・・


 あってもなくてもいいけど、あったら、ちょっと便利、ちょっと可愛いもの・・下手をすると爆買いしてしまいそうな・・そんな感じです。

 2階、3階は、キッチンやベッドルーム、子供部屋、サロンなどのショールームのようなスペースもあり、クッションやテーブルクロス、ベッドカバーやシーツなどの持ち帰れるものとともに、インテリアデザイナーに相談してキッチンや部屋をアドバイスを受けながら、コーディネートして作り上げることもできるサービス(要予約、有料)も行っています。

 この近辺は、数年前のテロ事件から、一昨年の黄色いベスト運動の暴徒化(黄色いベスト運動のデモの通り道になった)による被害を大きく受けてしまったこともあり、フォションを始めとして、多くの店舗が閉店に追い込まれてしまった場所でもあります。

  

キッチンのショールームのスペース




 
  
ちょっとしたスペースのデコレーションの展示


 実際に、現在、IKEAができた場所が以前、何の店舗であったかは思い出せないのですが、比較的、高級品を扱うお店が多いイメージだった場所にIKEAという量販店がデコレーションをコンセプトにした新しい趣きのお店をオープンしたことには、パリも少しずつ変化していることを感じさせられます。

 とはいえ、IKEAのすぐ隣には、すでにDECATHLON(デカトロン)という、大型スポーツ品店もあったりするので、その延長線の流れと考えられないでもありません。

 なにしろ、これまでアクセスが悪く、IKEAは、実際に行くよりも、カタログを見て、注文して・・ということが多かったのですが、この場所にできてくれることは、なんかグッと身近になった気がします。

 何よりも、家具ではなくて、ちょっと可愛くて安いキッチン用品やデコレーションなどは、パリ市民だけでなく、観光客にも、もしかしたら意外とウケるかもしれません。

 簡単な食事ができるスペースもあって、またそれが安く、1ユーロのソフトクリームや、50セントのベジタリアン用ホットドッグなど、テイクアウトでもその場で食べることもできます。

 6月23日には、このIKEA City の2号店がパリの中心地・サマリテーヌの向かい(144 rue de Rivoli 75001)にオープンします。

 パリにいらした際には、ちょっとIKEA City を覗いてみるのも楽しいかもしれません。


⭐️IKEA City Paris Madeleine(イケア・シティ・パリ・マドレーヌ)

 23 Boulevard de la Madeleine 75001PARIS

    メトロ 8・12・14番線 マドレーヌ駅 出口Rue Duphot

  月〜土 9:00~19:00,  日11:00~19:00



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2021年6月12日土曜日

ネット上で広まる偽のワクチン接種証明書・QRコード販売に、パリの病院の看護師が加担していた!

  



 以前、偽のPCR検査の陰性の証明書が出回っていたことがあったので、偽のワクチン接種証明書なるものも、きっと出てくるだろうと思っていたら、やっぱり出てきました。

 パリのサンタンヌ病院で1月から臨時職員として働いていた看護師が、ネット上で販売されていた偽ワクチン証明書の発行に加担していたことが発覚し、衝撃を呼んでいます。

 これは、偽のPCR検査の証明書と同じようにネット上で販売されています。

 例えば、スナップチャットでは、「ワクチン接種を希望せず、ワクチン接種済みとみなされたい人は、私に連絡してください。もちろん、無料ではありません。生理食塩水は 400 €です。」と、こんな文言が流されています。

 これからのバカンスシーズンに向けて、ワクチン接種証明書がなければ、色々と行動が制限されることが必須である現在、ワクチンを受けたくないアンチワクチン派の人にとっては、買ってでも欲しいものであるかもしれませんが、感染拡大回避のために広げているワクチン接種に偽のワクチン接種証明書なるものが横行すれば、何の意味も持たなくなります。

 この疑惑は、予防接種センター内での「1日10人以上の患者さんに対して、この患者さんは、自分の担当だ!」と固執する彼女の不自然な行動の変化を不審に思った同僚の密告から、彼女の行動が数週間にわたって観察され、発覚したものです。

 まさか、医療従事者の中から、このような不正が起こるとは、許し難い気持ちです。

 本来、フランスで、ワクチン接種を予約した場合、ワクチンの種類や接種場所は、指定できますが、それを誰が接種するかまでは、予約はできません。それを私の担当だなどと言い張ることが、どれだけ不自然なことか? 現在、次から次へとワクチン接種に訪れる人がいる中、ワクチン接種をする側とて、患者を選んでいる場合ではありません。

 同僚の密告を受けて、彼女の行動を追跡した医師は、彼女が自分の患者だと抱え込んだ患者は、同様に一度は、コロナウィルスに感染したと主張し、1回だけの接種でワクチン証明書を受け取っていることに気がつきます。

 しかも、その1回の接種さえ、行われておらず、通常、そのワクチンセンターでは、予防接種を受ける人々の皮膚はオレンジ色の消毒剤を使っていますが、彼女が担当した患者には、消毒剤の痕跡はなく、ワクチン接種が行われなかったことを示しています。

 彼女は、少なくとも1日あたり、10名に対して、実際にワクチンをせずにワクチン接種証明書を渡していたことがわかっています。彼女がいつからワクチンをせずに証明書を渡す闇の仕事に関わっていたのかはわかっていませんが、すでに相当数の実際はワクチン接種を受けていない証明書が出回ってしまっていると思われます。

 病院は直ちに看護師の契約を打ち切り、国家看護師団、検察官、地域保健局にもこの事実を通知しました。

 偽のワクチン接種証明書とQRコードを偽造するのではなく、実際には、ワクチン接種はせずに本物のワクチン接種証明書が配布されていたわけです。

 この看護師からワクチン接種証明書を買い取った人が追跡され、それが剥奪されるかどうかは、現在のところ、不明です。

 実際には、ワクチン接種を受けるのは、無料なのに、400ユーロ払って、不正をしてまで受け取りたいワクチン接種のQRコードと証明書。感染する危険と感染させる危険を軽減させるはずのワクチンをそこまでして、受けたくない、しかし、自由に行動するパスポートは欲しい。

 これは、「義務を果たさずに権利だけを主張しようとする」ダメなフランス人の傾向にも通ずるところがあります。

 ワクチンがそこまで嫌なら、せめて、感染しないように、自分自身で行動を規制すべきところです。

 そして、それを利用し、闇で商売をしようとする人々とそれに加担する医療従事者。

 また、驚くことに、この看護師を非難するよりも、病院スタッフの一部のメンバーは、ワクチン接種体制の機能不全を非難しているという、「それは私のせいではない」という責任回避のをする、いかにもフランスには、ありそうな、その後の騒動の発展の仕方なのでした。


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2021年6月11日金曜日

ガラガラのルーブル美術館なんて今だけ! 一人ぼっちのミロのヴィーナス


一人ぼっちのミロのヴィーナスの後ろ姿


 パリのルーブル美術館といえば、世界最大級の規模を誇るフランスの世界遺産の一つで、パリの中心地にありながら、総面積66,000㎡、収蔵品38万品以上の中から、歴史的美術品35,000点以上が公開されているフランスの国立美術館です。

 コロナ前までは、年間来場者数は、1,000万人を超える大人気スポットでもあります。

 美術館は、展示品はもちろんのこと、その建物自体が、もともとは王宮として使われていたもので、ありきたりの美術館とは一線を画す豪華絢爛さと、荘厳な趣きを放っています。

 もちろん、通常は、入場者のほとんどは、海外からの観光客で、以前は、ルーブル美術館の入り口には、協賛企業として、これは日本の美術館なのかと思うほど、日本の企業の名前もデカデカと掲げられていました。(現在は、以前のような名前の出し方はされていません)

 行けば、必ず感動し、来ようと思えば、いつでも来れる距離に住んでいることを幸せだなどと思うのですが、実際には、ルーブル美術館には、なかなか足を運ぶことはありません。

 一時、娘が小さい頃に美術館通いにハマったことがあり、その時に数回、それ以外は、誰かが日本から来た時に一緒について行ったりするくらいで、20年以上もフランスに住んでいるのに、5〜6回しか行っていないかもしれません。

 それは、あまりの広さに、ちょっと気軽に立ち寄るような規模ではなく、大理石の階段を登ったり降りたり、まあ相当の距離を美術館内を歩くことになり、それなりに時間もかかることになるからです。

 もう一つは、いつでも、もの凄い混雑で、数年前(コロナ前)から完全予約制になったものの、いつ通りかかってもスゴい行列。以前の私の勤務先がルーブルに近かったこともあり、その近辺はよく歩き、ルーブルを外から眺めることも多かったのですが、あの行列には、全くもって、行く気が起こらなかったのです。

 なにしろ、年間1千万人の来場者ということは、閉館日を除いて計算してみても、1日あたり3万人以上の人が訪れるのですから、いくら広い館内とはいえ、人気の展示品などの前には、館内でさえ、行列して見学するという状況に足が遠のいてしまっていたのです。

 そんなわけで、敷居の高いルーブルも、誰かがパリに来たとか、それなりの理由がないとなかなか行く気にもならずに、ず〜っと長い期間を行き過ごしてきたのです。

 最近は、誰かが来たとしても、「ルーブルは、まあ、外からだけでいいわ・・ガラスのピラミッドを見られればいいわ・・」などと言う人も多くて、行かないことも多かったのです。

 今回のパンデミックでルーブル美術館も長いこと閉館状態が続いていましたが、ロックダウンが徐々に解除されて、美術館も再開し、しかし、まだ海外からの観光客は、戻ってきていない今、「ルーブルがこんなに空いている!」という情報を聞きつけ、恐らく、今後、私の生きている間に、こんな絶好のチャンスは二度とないのではないか?と、数年ぶりに重い腰をあげて、ルーブルに行ってきたのです。

 

本当はこんなに並ぶはず・・

 それでも、どうせなら、できるだけ人が溜まっていない朝にしようと出かけたところ、やはり、本当に館内は、ガラガラで、人が集まって喋っていると思えば、美術館で働く人々、外国語(フランス語以外)が聞こえてくることもありません。

  

館内の地図もダウンロードで・・

 そんなに頻繁に来ていたところではないため、もはや、ここは、この程度の人の入り方をする場所だったのではないか?と勘違いしそうになるほど。しかし、モナリザの前など、行列を促すためのテープが張られた通路などは、以前のままになっていて、やっぱり、ここは、本当は、こんなじゃないんだ・・と思いなおすのです。


こんなモナリザの部屋見たことない


 




 とりあえずの有名なモナリザやサモトラケのニケ、ミロのヴィーナスなどを見るだけでも相当歩くのですが、やはり、ほとんど人のいないこれらの展示品の光景は、おそらく、今後、そうはあり得ない(あっても困るけど・・)光景で、やはり感動的でした。

           

サモトラケのニケも一人

 私は、特に美術品に詳しいわけでもないのですが、見たことのある有名な絵画などを見つけながら、ゆっくりとその絵に登場する人々の表情を細かく見てみたり、また、何よりもこの豪華で贅沢な建物内の装飾や天井、空間に身を置く心地よさを味わうことができたのです。

  

 

  

   

ナポレオンの権力が伺い知れる豪華絢爛な部屋


 しかし、ここは、貧乏根性が頭をもたげ、せっかく来たんだから、あれも見ておこう!とか、通り過ぎた後から思い出して、また戻ったりしていると、もう数時間後には、クタクタで、いい加減、あまりに膨大な数の彫刻や絵画などに、もうお腹いっぱいな感じになってきて、到底、1日で見ることなど不可能、とりあえず、今日のところは、この辺にしておこう、また、来よう!と、半日だけで帰ってきたのでした。

    

ガラスのピラミッドの一つの下になる光の入る心地よいマルリーの中庭 


 ルーブルを出ると、美術館前の庭園では、晴天も合間って、ピクニックをする人や犬の散歩をさせる人など、極めて平和な雰囲気。パンデミックを忘れそうになりました。

 しかし、帰りにルーブル近くのリヴォリ通りなどを歩いてみると、観光客目当ての土産物店などは、軒並み閉店したままで、やはり、私が「ルーブルが空いている!」などと浮かれているのも憚られるようなさびれ様に、パリは、このままでいるわけには行かないのだ・・と思い知らされました。

 現在のところ、パリ市内にあんなにあったはずの観光バスなども戻ってはおらず、ルーブルの地下にある団体客を運ぶバスの駐車場などもガラガラ状態でした。

 実際に、年間1,000万人という観光客を呼ぶルーブル美術館は、美術館だけでなく、その近辺の商店や、それにまつわる観光業に多大な影響を及ぼす大変な存在なのです。

 しかし、ルーブルに行くには、健脚でなければならないことをあらためて痛感。家に帰ると足はガクガク。携帯のウォーキング距離を見ると、10.8㎞、上がった階数26階となっていました。


Muséé du Louvre ルーブル美術館

Metro ①⑦Palais Royal Muséé du Louvre 9:00~18:00 火曜日休館 

入場料17€、当日券(空きのある場合)15€ 18歳以下、26歳以下(EU在住)失業者 無料

ルーブル予約サイトはこちらから


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2021年6月10日木曜日

夜間外出23時まで延長 レストラン屋内営業開始 フランスのロックダウン解除 パート3

                                                                                                                         


 すでに、フランスは、5月19日から、レストラン・カフェのテラス席の営業が始まり、映画館も美術館もデパートも再開し、すっかり日常モードになってきた感じではありました。

 その間、感染が再び、増加するのではないかとの心配もありましたが、5月19日の時点から比べてみても、感染は減少し続けていて、コロナウィルスによる死者数も、5月19日には、141人だったのが、現在(6月9日)には、65人、集中治療室の患者数も3,862人から2,326人に、1日の新規感染者数も19,050人から5,557人へと確実に減少を続けています。

 6月9日からは、レストラン・カフェの店内営業も許可され、(とはいえ、本来の収容人数の50%だけという制限はあり)、夜間外出禁止もこれまでの21時から23時までに延長されました。

 今の季節のパリは、21時には、まだ充分に明るく、気温も25℃という気持ちの良い陽気で、むしろ屋内よりもテラス席の方が気持ちが良いような気候ではありますが、必ずしもどこのレストラン・カフェも充分なテラス席を確保できるところばかりではなく、やはり店内営業ができないままでは厳しい店舗も多かったのです。

 もともとパリのレストランやカフェは、小さいテーブルをいくつも並べて、ぎゅうぎゅう詰めの状態で営業している店舗が多く、収容人数の50%といっても、そんなにスペースをとっている感じはありません。

 外出禁止が23時以降にずらされたことで、店舗の営業時間も長くなり、映画館や劇場なども20時からの上映が可能になり、仕事を終えた人々が映画を見て帰るということも可能になったわけです。

 これに加えて、これまで7ヶ月以上も閉鎖状態だったスポーツジムやプールなども営業を再開、どの場面ではマスク着用か? さすがにプールの中では、マスクは無理としても更衣室ではマスク・・プールの中でも、人が集まらないように・・などとなかなか面倒なことになっています。

 そして、屋内イベント、1,000人以上のコンサートや展示会などの催し物に関しては、現在のところ、入場は、ワクチン接種の証明書、あるいは、48時間以内のPCR検査、あるいは抗源検査、免疫を持っているという証明書がある人に限られます。

 今後、ワクチン証明書がないと、いちいち検査を受けたり、なかなか面倒なことになりそうな気がしています。

 外国からの観光客に対しても、国別に入国の条件を設定して、受け入れを開始。日本の他、ヨーロッパ、オーストラリア、韓国、イスラエル、日本、レバノン、ニュージーランド、シンガポールなどからの入国に関しては、ワクチン接種済みの人、72 時間以内に遡って陰性の PCR または抗原検査の陰性結果を提示すれば、入国後も監禁生活を送る必要なく、観光を楽しめることになっています。

 今後、次のステップは、6月30日になりますが、グングンと進んでいく日常復活に頼みの綱は、ひたすらワクチン接種の拡大です。

 現在のところ、確実に減少を続けているため、このままワクチン接種の拡大で、乗り切ってくれるかな?と期待していますが、こればかりは、目に見えないウィルスとの戦い、どうなるのかは、まだわかりません。

 しかしながら、段階的なロックダウンの解除に一年のうちに何回も年明けのようなワクワクした気分を味わえるのも悪くないな・・などと思っています。

 ワクチン接種の拡大のスピードがこの人の動きに間に合わなければ、状態は、再び悪化することも充分に考えられるわけで、今のうちに充分にこの少しずつ自由になってきた生活を思い切り楽しもうとしている人々が街に溢れています。

 さすがに、これまで長いこと我慢を続けてきただけに、楽しそうに戯れる人々の様子には、言いようのない感慨を感じます。

 しかし、ウィルスは、決して消え失せたわけではないことを知らしめるかの如く、カステックス首相が、彼の妻がコロナウィルスに感染したことにより、彼自身は、検査の結果、陰性ではあったものの、濃厚接触者として、一週間の隔離生活に入ることを発表しました。

 彼自身は、感染はしていないものの彼の隔離は、3回目。

 ウィルスは、まだまだそこにいる・・まだ感染の危険は充分にあるということを首相自らが警告を鳴らしつつ、フランスのロックダウン解除の新たなステージが始まったのです。


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2021年6月9日水曜日

マクロン大統領 地方行脚中に平手打ちをくらう

                                                              

    Emmanuel Macron a reçu une gifle ce mardi 8 juin lors d'un déplacement dans la Drôme.


 現在、次回の大統領選に向けての地方行脚中のマクロン大統領が訪問地のドローム県(フランス南東部)のタン・エルミタージュで近辺に集まった群衆の一人から突如、平手打ちをくらったという事件にフランスは、一日中、そのニュースで大騒ぎになりました。

 その日、マクロン大統領は、ホテル学校を訪問。本来は、この場所での住民とのふれあいは、予定には入っていなかったために、彼は一度は車に乗ったものの、近辺に集まっていた群衆に挨拶するために車を降り、群衆に駆け寄って、握手を始めてまもなく、突然、その中の一人から腕を掴まれ、平手打ちをくらったのでした。

「モンジョワ、サン・ドニ、マクロニー!」と叫びながら、マクロン大統領に平手打ちをくらわせた男は、その場ですぐに取り押さえられ、周囲のおばちゃんたちからは、「私たちは、痛いことしないから、早くこっちに来て!」などの訳のわからない声も上がり、マクロン大統領は、平手打ちにひるむこともなく、集まっている群衆に笑顔で応え続け、彼らとの握手・ふれあいの時間は続けられました。



 だいたい、このように集まってくる人たちは、マクロン大統領を応援している人々で、マクロンよりの人々、周りの聴衆は、この男に大激怒、一様に非難し、ブーイングが起こり、余計にマクロンを支持する雰囲気が高まりました。

 このマクロン大統領平手打ち事件で、平手打ちをくらわせた本人とその仲間と思われる二人の男はすぐにその場で逮捕されましたが、取り押さえられてもなお、彼はマクロン大統領に向かって、「この場から立ち去れ!消えろ!」と叫び続けていました。

 何か事件が起これば、周囲の人の証言には、よくあることですが、この逮捕された男を知る人は、こぞって、「そんなことをする人ではない・・むしろ、いつも穏やかな人だった」と語っています。

 犯人は、サンヴァリエ(ドローム県)出身の28歳の男で、歴史的武術の信奉者であり、自身のインスタグラムには、彼自身が中世の衣装を身に纏った姿がアップされています。

 また、ル・フィガロ紙は、彼は剣を使った日本の武芸である剣道の実践者でもあると付け加えています。

 しかし、警察からはノーマークであったこの犯人の犯行動機は現在のところ不明です。

 逮捕された二人の男は、黄色いベスト運動に参加しており、ただちに、周囲にいた黄色いベスト運動を呼びかける人々などは、退去を命じられていました。

 彼は、刑法第 222-13 条により、「公権力を持っている人物に対する故意の暴力」で警察に拘留され、3 年の懲役および 45,000 ユーロの罰金に処せられる可能性があります。

 数日後、彼には、懲役18ヶ月(実刑4ヶ月、執行猶予14ヶ月)の判決が下り、すぐに刑務所に移送されました。

 実際に、フランスの政治家があまりに国民と近い場所に、度々、現れることに対して、危険ではないのだろうか?と思っていましたが、この時とて、武器が用いられなかったのは幸いであったにせよ、この血の気の多い人々の中に飛び込んでいく政治家も、これが慣例のようになっているだけに、この事件にひるんで、地方行脚を中断するわけにも行かないだろうし、そんなつもりも毛頭ないことでしょう。

 地方行脚の様子を見ていると、握手をしたり、一緒に写真を撮ったり、どこへ行っても大人気、ちょっとした人気タレント以上の神対応ぶりです。

 こんな事件が起こると、過去に群衆から襲われた政治家の映像が続々と流され、過去にマクロン大統領が卵を投げつけられた映像や、他の政治家が小麦粉を振りかけられたり、(この人はグルテンアレルギーだったらしい)、タルトを投げつけられた映像がテレビでは流されています。

 今回は、平手打ちでしたが、投げつけられるものが、小麦粉や卵・・なんともフランスだな・・と変なことに感心してしまいました。

 それよりも、感染状況は、改善し始めているとはいえ、まだまだ感染がおさまってはいない状況での来年の大統領選挙のための地方行脚。

 このような平手打ち騒ぎ以前に、人が集まる機会を全国で作って歩くことなど、日本だったら、さぞかしバッシングのネタになりそうだ・・と思ったりもするのですが、実のところ、フランスでは、もうすっかり、日常への開放モードで、地方行脚で人が集まる危険などを問題にする人は誰もいないのです。


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2021年6月8日火曜日

フランスのショコラティエ ベルナシオンとメゾン・ド・ショコラ BERNACHON et Maison du chocolat

  


 私は、フランスに住み始めて、20年以上経ちますが、我が家の食生活は、フランスでできる限りの和食よりで、恐らく一般的なフランス人家庭のような食事はしていません。

 日本に帰国した際には、運び込める荷物のほとんどは、日本の食料品で占められ、限りある食材を少しずつ使いながら、手に入らない野菜などは、なんとか自分で育て、かなり日本に近いような食事をしています。

 それでも20年以上も経つ間に知らず知らずのうちによく食べるようになっているフランスの食品も、いくつかは、あるのですが、その中で、日本にいた時に比べて、私が圧倒的にたくさん食べるようになっているものの一つはチョコレートです。

 そもそも、私は、以前は全くの辛党で、日本ではほとんど甘いものは食べませんでした。しかし、年齢を重ねるにつれて、お酒の量も減り(減っただけで飲んでいる)、次第に甘いものに手が出るようになってきたこともあるかもしれませんが、その甘いものの中でも圧倒的に食べているのは、チョコレートのような気がするのです。

 いつもいつも贅沢なメゾンのチョコレートを食べているわけではありませんが、家には、必ず板チョコの買い置きを欠かすことはありません。

 なぜこうなったのかはわかりませんが、恐らく、比較的、安価で気軽に手に入るわりには、美味しいからです。スーパーマーケットなどに並ぶチョコレートの数はものすごい量で、しかも、結構、クォリティが高いように思います。

 日本でも有名なショコラティエなどのチョコレートもほとんど網羅していると思います。とはいえ、そんな高級チョコレートは、日本へのお土産や、ノエルやイースター、お誕生日などの特別な機会ぐらいしか、買いませんが、それでもこの20年ほどの間には、かなりのお店を訪れました。

 ジャン・ポール・エヴァンなどは、それこそチョコレートの温度を保つために店内のお客さんの入場制限をするほど、品質管理に厳しく、パトリック・ロジェなどは、お店に入った途端にカカオの香りに包まれ、店内には、美術館かと思われるようなチョコレートでできた彫刻が並んでいたりします。

 しかし、ほとんどの有名なショコラティエは、日本に入ると値段が跳ね上がることはありますが、ほぼ、日本に進出していないお店はなく、日本に行く際のチョコレートのお土産(リクエストも多い)には、悩ましい思いをしていました。

 フランスのパティシエ、ショコラティエなどは、有名になって、海外に進出したい場合、まず、日本を選ぶ傾向にあるような気がします。

 昨年だったでしょうか?偶然、日本でサロン・ド・ショコラをやる際には行列ができ、最近、人気だという「ベルナシオン」というショコラティエがまだ日本には、店舗が進出していないという話を聞いて、一度は行ってみたいとずっと思っていました。

 もともとは、リヨン発祥のお店でパリにもお店ができたと聞いていたので、サイトで店舗をチェックするとリヨンに2軒、パリに1軒、そしてJAPON mitsukoshi-isetan shinjyukuと書いてあります。

 なんだ、日本にもあるのか・・と思いながらも、日本で有名な女性タレントさんがYouTubeで、ここのチョコレートを大絶賛していたりしたのも見かけていたので、とにかく、一度は食べてみたいと思い、ロックダウンが明けると、勇んで出かけて行ったのです。

   

思っていたよりずっとこじんまりとしたお店

 パリの店舗は、思ったよりもずっと小さいお店でしたが、ずっと食べてみたいと思っていたチョコレートにウキウキとした気分でした。

 ちなみに・・と思って、店員さんに、日本にもお店があるんですか?と確認してみると、「日本では、日本のサロン・ド・ショコラの時に出店するだけ」とのこと。

「なら、サイトに日本の店舗みたいに載せるなよ・・」と内心、思いながらも、「これは、日本では、簡単には、手に入らない!お土産にいいじゃない!」と思って、店員さんと話をしながら、店内のチョコレートを眺め、結局、そのお店のスペシャリティで一番人気だという「パレ・ドール」というチョコレートにすることに・・。


 

 そして、ご丁寧にも店員さんが、「一つ食べてみる?」と言ってくれたお言葉に甘えて、パレ・ドールを一つ試食。ワクワクしながら、一口かじって、よ〜く味わって・・「ん???」「えっ???」もう一口かじって、また「ん???」「えっ???」と困惑。

 思っていた感じではありませんでした。

 とりあえず、せっかく来たのだから、家に帰って、娘ともう一度、味見してみようと、その「パレ・ドール」の一番小さな箱と、「パレ・ドール」でできた板チョコを買って帰りました。

 家に帰って、娘も試食。「うん。美味しいけど、なんか普通・・」そうなんです。「美味しいけど、そこまで騒ぐかな?」という感じだったのです。

 期待が大きすぎたせいもあるかもしれませんが、なんだかガッカリしてしまったのです。

 勝手に盛り上がって、勝手に失恋した・・そんな気分でした。

 これは単に私の味覚の好みによるもので、私の味覚がこのチョコレートの良さを理解できるほどではなかったということかもしれないので、特にこのお店のネガティブキャンペーンのつもりはありません。

 あれからも、先日、ちょっと日本の従姉妹に贈り物をしたくて、チョコレートを色々と探して、食べ歩いたのですが、結局のところ、これまでのお気に入りは、クラッシックではありますが、「メゾン・ド・ショコラ」で、このお店ばかりは、いつ行っても、いつ買っても、決して裏切られる(勝手な見解ですが・・)ことはなく、一粒のチョコレートで、極上の至福の時を味わえるのです。

 一人当たり年間約7㎏のチョコレートを消費すると言われているフランス人ですが、私も知らず知らずのうちに、そんな一旦をになっているようになっているのかもしれません。


<Bernachon Paris> ベルナシオン 127 Rue de Sevres 75006 Paris


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2021年6月7日月曜日

パリ・チャイナタウンの露天商摘発

  

厳しい露店の取り締まりにざわつく人々


 私は、日常の食料品は、近所にある徒歩1分のスーパーマーケットでだいたい済ませているのですが、2ヶ月に一度くらいは、パリ13区にある、いわゆるチャイナタウンにあるアジア系の食材店に普通のフランスのスーパーマーケットでは買えない調味料や食材等の買い出しに行っています。

 今は、ずいぶんとフランスの普通のスーパーマーケットでもお醤油やインスタントのお味噌汁、インスタントラーメン、冷凍の餃子、わさびなど、手に入るものも増えてきたのですが、値段の設定も高めだったり、種類も少ないし、やはり、そこへ行かなければ買えないものも多いので、たまには、ちょっと足をのばして、買い物に出かけるのです。

 パリに来たばかりの頃は、お店も汚くて、買い物に来ている人もほとんどがアジア人ばかりの場所でしたが、最近は、フランス人も増え(とはいえ、まだまだアジア人が多いですが・・)、お店も若干、綺麗になり、近辺の通りなどもずいぶんと整然としてきました。

 私がいつも行くのは、パリ市内には10軒以上チェーン店を抱えるタン・フレールというアジア系食材を集めた大きなスーパーマーケットなのですが、あたりには、たくさんの中華系の食材店やレストランなどもあり、買い物帰りに食事をしてきたりするのも楽しみの一つです。

 また、その通り沿いには、たいてい、いわゆるマルシェなどではなく、無許可の露店が出ていて、自分の家で育てたのかな〜?と思われる野菜や、自分の家で作ったんだろうな〜?と思われるちまきやお菓子類、ちょっと意味不明なアクセサリー、わけのわからない中国の薬や、CDなどなどを売っている人たちがいます。

 これらの露店は、無許可の露店のため、お店を広げている人も警察の取り締まりがあったときにすぐに逃げられるように、木箱などを積んで商品を並べているだけで、すぐに撤退する準備をしているようで、かなり身軽な感じで、商売をしています。

 通りかかると、たまに、警察が取り締まりをしたりしていて、注意されて、引き上げようとしているのを見かけることは、これまでもあったのです。

 でも、まあ、警察官が通り過ぎるだけで、彼らはすぐに引き上げるので、まあ、ちょっとは目をつぶるというか、黙認しているようなところがあるのかな?と思っていました。

 しかし、今回、見かけた警察の取り締まりは、なかなか用意周到な、今までよりも厳しいもので、警察は、商品として広げていたものも全て没収するためのトラックと、その商品撤廃のための人員まで引き連れた大々的なもので、私がスーパーマーケットに入って行った時には、横目で覗きながら、「これ、タン・フレールとどっちが安いのかな?」などと横目で眺めていた野菜を売っていた露店などが、スーパーマーケットから出てきた時には、一斉に商品を没収されているところで、露店商の人々が違反切符を切られていました。

   

露天商の商品撤廃のための車

 トラックに次々と積み上げられていく商品を運ぶ人たちの、どこか、してやったりといったちょっと意地悪な感じの表情と、周囲に集まる見物人。

 騒ぎに紛れて、没収された商品をトラックの上から持ち去って盗んでいく人。

 その泥棒を呆然と眺めながらも、「あれは、ダメだよね・・」などと、意見する人々。

 まあ、日本では、あり得ない光景だと・・この一連の騒ぎをため息をつきながら、見ていました。

 ロックダウンが解除されて、日常を取り戻し始めたフランスですが、こんな日常も同時に戻ってきたんだな・・と思ったのです。

 しかし、なぜ、今までは黙認同然だったこの場所での露店に厳しい対応をするようになったのか? それは、パリ市内での、路上でのタバコの並行輸入品の販売や、麻薬・ドラッグなどが広く流通するようになったためだと思われます。

 麻薬やドラッグなどから比べれば、自分で育てた野菜や料理を売るなんて、まだまだ随分、良心的だと思えないでもありませんが、疑い出せば、それらの商品の中には、麻薬やドラッグも一部、含まれている可能性もないではありません。

 13区のそのあたりは、いわゆる麻薬・ドラッグの流通が多いとされているポイントではありませんが、他の地域での摘発が続いている中、ドラッグのディーラーは、摘発されても、結局は、場所を移動するだけで、結局、警察と彼らとのイタチごっこが続いているのです。

 無許可の露店を放置することは、この種のドラッグの流通の隠れ蓑にならないとも限らないのです。

 最近の、麻薬・ドラッグのディーラーは、武装化しており、銃などの武器も持っています。この平和だった私の食料調達の場の一つがそんなことになっては、たまりません。

 無許可の露店ごときに少々、荒療治な気もしますが、今のパリは、こんなことも必要なのかもしれません。


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