2024年4月12日金曜日

3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止

  


 今週初めに国民議会にて、「保育園や保育所での3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止する法案」が提案され、子どものスクリーン使用に関する健康に影響を与える問題についての議論が高まっています。

 今回の議会への提案は、3歳以下の子どもに対するものですが、児童へのこれらの電子機器の過剰使用については、小学生、中学生についても以前から取り上げられているものです。

 今回の提案では特に3歳以下の子どもをスクリーンの前に置くことは、「言語能力、コミュニケーション能力の発達の遅れ」だけでなく「運動能力の低下」、「睡眠障害」などを引き起こす原因となっていると説明しています。

 今やバスや電車の中でも小さい子どもがスマホでアニメを見ていたり、ゲームをしていたりするのを見かけるのは珍しくなくなりましたが、今回の議会への提案については3歳以下の子どもの保育園での使用禁止ということで、そもそも保育園でタブレットなどを与えて子どもを保育していたのか?とちょっと、驚かせられるところでもあります。

 しかし、これは、基本的には、保育園だけでの話ではなく、家庭内にも同じことが言えるわけで、フランス公衆衛生局は、2023 年 4 月に発表した調査で、2 歳児は 1 日あたり平均 56 分、3歳半の子どもの場合、1日1時間20分をスクリーンの前で過ごしていることを明かしています。

 以前は、テレビは1日〇時間まで・・などと言われたものですが、テレビの場合は少なくとも家にいる時間しか見られなかったものが、持ち運びのできるスマホやタブレットの場合は、四六時中、触れることができてしまうのですから、どこかでストップをかけ、その危険性について、保護者や監督者が認識できていない場合は、その視聴時間が際限なくなってしまいます。

 たしかに、公共交通機関などの中でむずがる子どもにスマホを与えておとなしくさせたりするのは、一見、ラクで良いアイディアのような気がしてしまいますが、やはり、幼少期には、自分の目で色々なものを見たり触れたり、感性を育み、そして、公共でのマナーを学ぶチャンスでもあるのです。

 娘が小さかった頃は、ここまでスマホやタブレットが浸透していなかったので、これほどまでに問題にはなっていなかったものの、それでも、当時、フランスの子どもの間でも大人気だったNINTENDO DSなどのゲーム機器を私たちは決して買い与えなかったし、スマホでさえも、かなりの年齢まで持たせていませんでした。

 私が子育てを始める頃に、子どもの家庭内暴力などの問題が浮上していて、こんなになっちゃったら、どうしよう?と親族にもいる教育関係の仕事に携わっている人々に相談したら、「色々と家庭によって、事情はあるんだろうけど、とにかく身体を動かすこと、スポーツなどをさせて、エネルギーを発散させることが大切らしい」という話を聞いて、私は、とにかく、娘の有り余るエネルギーを発散させることを心掛けてきました。

 タブレットやスマホに子守をさせている場合は、その正反対になってしまうわけです。

 そもそも我が家の場合は、私も仕事をしていて、ウィークデーは仕事帰りに娘を迎えに行って、家に帰ってくるのは、夜7時近く、それから公文の宿題をさせて、食事をさせて、娘が寝るまでの時間には、他のことをしている余裕はほとんどありませんでした。

 ただ、タブレットはありませんでしたが、テレビはあったのです。しかし、私は娘の日本語教育のために、娘の幼少期は、ごく一部のテレビ番組を除いて、テレビは日本の番組をDVDで見るだけのものでした。娘が当時、繰り返し、飽きることなく見ていた日本のドラマなどのおかげで娘はずいぶん日本語を覚えたと思うので、必ずしも、スクリーンを全て否定するつもりはありません。

 しかし、やはり、幼少期には、タブレットなどではなく、身体を動かしたり、家族と会話をしたり、本を読み聞かせたりと他にやることはいくらでもあります。

 このスクリーンの有害性については、幼児だけでなく、ティーンエイジャーや大人とて過剰な使用については、気をつけなくてはいけないことがたくさんあるような気がしています。

 個人的にも、ついついスマホを覗いてしまう習慣をあまり良くない、もっとスクリーンから得られる情報以外のものを自分の目で見たり、感じたりすることが必用だと感じ、日中はできるだけ、スマホやネットに接しないようにしています。

 スマホから得られる情報はとても便利で有効であると同時に他の者と接する時間や機会を奪っているということで、これが精神衛生上、また健康上あまり良いことではないような気がしているのです。

 ましてや成長段階にある幼児や子どもの場合は、他のものから子供たちの経験すべきこと、感性を育てることを遮るものとなっているような気がしてならないのです。


3歳以下の子どものスクリーン使用禁止


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2024年4月11日木曜日

若者たちよ!旅行をしよう!海外に行こう!

  


 世界最強と言われる日本のパスポートを持つ権利がありながら、実際には、現在の日本人のパスポート保有率は6人に一人くらいと聞いて、とても残念に思っています。

 私が若い頃には、おそらく海外旅行に出る人はもっと多かったと思うし、実際にパリにいる肌感として、パンデミックの少しまえから、パリへの日本人観光客の数は少しずつ減りはじめ、パンデミックで一時、ぱったりと途絶え、その後も日本人観光客は、ぽろぽろと見かけることはあっても、あまり回復していないような気がしています。

 かつて日本人がパリに大勢押しかけた時の名残りか路線によっては今でも残っている日本語のアナウンスなどを虚しい気持ちで聞いています。

 日本人の6人に1人しかパスポートを持っていないと言われれば、それもあたりまえだろうと思うのですが、どうにも残念な気がしてなりません。

 私は若いときから旅行が好きで海外旅行もけっこうしていたし、類は友を呼ぶといえば、それまでなのですが、周囲にも旅行好きの人が多くいたような気がします。

 考えてみれば、周囲の同世代の友人や従姉妹たちを見回しても、留学経験者も多いし、旅行に出ることも多く、現在でも、おそらくパスポートをもっていないと思われる人は、思いあたらないほどなのですが、どうもその下の世代(その子供たち)を思い浮かべると、もしかしたら、パスポートを持っていないかもしれないことに思い至りハッとさせられます。

 個人的には、若者こそ、海外旅行や留学をしてみるべきだと思っているのですが、どうやら、今の若者たちの多くは、以前ほどは海外に出たいと思わなくなっているような気がします。

 大きな理由のひとつは、航空運賃が爆上がりしたことなどによる経済的な理由があるだろうし、まとまった休暇がとれない、とりにくいということもあるかもしれません。しかし、休暇がとりにくいという点では、私の世代も条件は同じだったはずです。

 この間、日本に一時帰国した際に、かなり久しぶりに娘と同じ年ごろの親戚の子に会ったとき、「旅行とかしないの?」と何気なく聞いたら、「あんまり旅行には興味ない・・東京にはなんでもあるし・・」という答えが返ってきて、ちょっと愕然としました。

 「東京になんでもある・・」とまあ、それは価値観の相違で、旅行が好きじゃない人もいるか・・とその時は、思ったのですが、いやいや「東京にないものはたくさんある・・」、たとえば、日本国内でさえも、少し旅行をしてみれば、日本には壮大で美しい自然を携えているところがたくさんあるし、海外には、異なる文化やその文化のもとで生活している人々がいて、色々な生き方や考え方があって、自分の生活圏とは違う場所に身を置くことによって、あらためて色々なことを感じたり、考えたりすることもできます。

 違う空気を感じるということは、想像以上に大きな体験であり、せめて、旅行でもいいから、海外に出てみることは、若い時だからできる大事な経験であると思うのです。

 実際に生活してみなければわからないことも多々あるし、海外に出れば、危険なこともたくさんあるし、気をつけなければならないこともたくさんあります。

 しかし、最近は日本も治安が悪くなったなどと言いつつ、世界的に見れば、未だに日本は格段に治安のよい国で、ある意味、日本が特殊な国であるということも実感として知っていていいことです。

 ましてや、万が一、海外で恋愛関係に発展したりして、クズ男にひっかかりでもしたら、本当にクズは日本では考えられないほどのクズなので、目も当てられない結果になりかねないところもあります。

 私の場合、夫はフランス人ですが、知り合ったのが日本だったということもあり、そんなに悪い人ではなかったのは、本当に偶然のようなもので、運がよかったと言った方がよいくらいです。

 自分が海外に最初に出たときには、そんなに具体的に将来についての展望を描いていたわけでもなく、ただ勉強したいことがあったので、その勉強をするために何としてもイギリスに行きたいと思っていただけで、今から思い返すてみれば、実に危なっかしいものでした。

 しかし、その若さゆえのエネルギーや今となれば無謀とも思えるような挑戦が、若いときには、あってもいいのかな?とも思っています。必ずしも、海外生活は、平穏ばかりのものでもありませんでしたが、それなりに、色々な経験をし、色々な人々に出会い、色々な文化に触れ、楽しい人生を送ってきたと自分の歩んできた道を後悔することはありません。

 娘にも、色々な場所に身をおいて、色々な経験をしていってほしいと思っています。(言われなくとも、娘は私の若いとき以上にあちこち飛び回っていますが・・)

 そのうち、家庭を持って、子どもでも持つようになったら、それこそ、自分の自由にばかりは時間は使えなくなるのです。

 海外に出てみれば、海外のニュースも少しは知ろうとするようになるだろうし、その中で、良い意味でも悪い意味でも日本がかなり特殊な国であるということがわかるようになります。

 関心事が外に向かないということは、あまり良い傾向ではない気がしてならないのです。

 日本のパスポートは世界最高のパスポートなのですよ!もったいないです!


世界最強のパスポート


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2024年4月10日水曜日

フランス人はマクドナルドがお好き

  


 Expensyaプラットフォームが実施した調査によると、仕事をしているフランス人がもっとも好むレストランの第一位はマクドナルドであったことが報告されています。

 これは、仕事をしている人という括りがあるために、より早く、より安く、より手軽に食べられるという面が優先されるということがあるかもしれませんが、それだけマクドナルドがフランス全土に浸透し、多くの店舗を持っているかということにも拠るものであると考えられます。

 そもそも人気がなければこれだけ浸透し店舗数を増やすこともできなかったわけで(フランスのマクドナルドの店舗数は約1,500軒)、少なくともフランス人はハンバーガーが大好きということは事実です。

 かつては、フランス人はランチでも、ワインなどを飲みながら、時間をかけてゆっくり食事をしている・・というようなイメージがありましたが、現在は、そこまで優雅に食事している・・ましてや仕事をしている人々にとっては、昼休みの時間はやはり限られていて、外食とて時間もお金もかかり、できるだけ早く、安くすませたいと考える人は少なくありません。

 もともと安くない外食がインフレでさらに値上がり、家からお弁当らしきものを持って来たり、簡単なサンドイッチやサラダのようなもので済ませる人もずいぶん増えたと思います。

 パン屋さんでサンドイッチを買うにしても、スーパーマーケットなどで出来合いの食事を買うにしてもそこそこの値段になるので、総合的に考えれば、いつでも温かく出来立てのものが食べられ、セットメニューなどだとかなり割安にもなるマクドナルドなどは、コスパ的に悪くない・・ということになるのだろうな・・と思います。フランスのマクドナルドのセットメニューは、地域や場所によっても異なりますが9ユーロから12ユーロ(約1,500円から2,000円程度)です。

 円に換算すると、マクドナルドなのに高くない?と感じるかもしれませんが、フランスでは、ランチでさえも15ユーロ(約2,500円)以下で食べられるお店を探すのは簡単ではないのが現実です。

 フランスのマクドナルドは、日本のマクドナルドほどには次から次へと新しいレシピやメニューができてくるわけでもありませんが、それでも以前に比べれば、新しいメニューが時々、登場するようにもなり、なによりもフランスのマクドナルドは、一応、100%フランス産の原材料を使っている(可能な限り)ということになっています。

 また、メニューの中には、Cantal AOP または Comté AOP を使用しているものなど、フランス産のチーズにこだわったものなども散見されるうえ、サラダの種類やフライドポテトの代わりに野菜スティックを出してみたりと健康志向にも気を配っている試みが見られます。

 まあ、どのレストランが好きですか?と聞かれた場合の回答として、これだけの店舗数があるマクドナルドという回答が大多数としてあがってくるのは、当然といえば、当然ですが、こうして、色々な企業努力を見ていると、フランスといえどもマクドナルドは時代とともに変わってきているし、フランス人(フランス政府)が好むフランスの原材料を使い、メニューを工夫しながら、ほどほどの価格帯におさえているという点でやっぱり頑張っているんだな・・と思わせられます。

 フランス人の夫などは、古い世代のフランス人で、「ハンバーガーなんて、あんな手で食べる野蛮な食事・・」と言い、(私は、内心、フランスのサンドイッチだって手で食べるじゃん!と思っていたんだけど・・)、マクドナルド=アメリカのもの・・野蛮な食べ物、身体に悪い・・と毛嫌いしていたのです。

 しかし、実際に私が(私もそこまでハンバーガーが好きというわけでもないし、娘はハンバーガーが嫌いという変わった若者)おまけにもらえるグラス目当てでマクドナルドのセットメニューを買ってきたりすると、誰よりも早く、あっという間にペロッと完食するのを見て、「本当は大好きじゃん!」と思ったりもしたくらいですが、とりあえず、とにかくアメリカのものを毛嫌いする傾向があったのです。

 しかし、今の時代、そんなふうにマクドナルドを毛嫌いするフランス人は、ほとんど見当たらなくなったどころか、フランス人が好きなレストラン第一位に君臨するようになったのですから、今では夫の方が化石的な存在になってしまったようです。


フランス人の好きなレストラン1位 マクドナルド


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2024年4月9日火曜日

パリオリンピックまで3ヶ月 セーヌ川の水質状況の悪さに警告

  


 パリオリンピックをほぼ100日後に控え、NGOサーフライダー財団は、6か月にわたるサンプリング調査を実施し、オリンピックのいくつかのイベントが開催されるセーヌ川の水質が「憂慮すべき」状態であると警告しています。

 財団は、トライアスロンとオープンウォータースイミングイベントの開催地となるアレクサンドルIII橋とアルマ橋の下で測定された14件の測定のうち、13件が推奨閾値を「上回っている、またはかなり上回っている」状態であったことを発表しました。

 欧州トライアスロン連盟の基準によれば、糞便汚染を示す 2 つの細菌、大腸菌および腸球菌の濃度が100 ml あたり 1000 cfu、腸球菌では400 cfu/100 ml を超えてはならず、それを超えると、その水は水泳には適さないと考えられます。

 オードパリ研究所によって行われた分析では、大腸菌の濃度が定期的に 2000 cfu/100 ml (2 月 7 日のアルマ橋の下で最大 7,250) を超え、腸球菌の濃度が 500 cfu/100 ml (2 月 7 日の最大 1,190) を示しています。

 これらの憂慮すべき結果に直面して、サーフライダー財団は「セーヌ川の水質に対する懸念の増大」を表明し、アスリート、さらにはイル・ド・フランスの住民にとって「汚染された水の中で進行するリスク」を指摘しています。

 特に今年に入って天候が悪く、例年にくらべて雨も多く、セーヌ川は水位が上がっており、橋の下を通る船が通れなくなったりしているケースが増えています。これに対し、大会開催側は、オリンピックが開催される夏の期間は「強い日差し、少ない降水量、長い日照時間、少ない川の流れ」となる川の状況も異なるものであり、水泳は可能であると想定していると語っています。

 また、イル・ド・フランスは、「雨天時の衛生網を改善する作業が4月と5月に開始され、浄水場の消毒装置を稼働させることによりセーヌ川の水質はオリンピックでも維持される」と釈明しています。

 1ヶ月まえほどに、このセーヌ川の水質についてが話題になった頃、インタビューに答えたマクロン大統領がセーヌ川の水質を保障するために「自分がセーヌ川で泳いでみせる!」と豪語したことが水質以上に話題になりましたが、マクロン大統領がセーヌ川で泳ぐ場面が本当にみられるのでしょうか?

 一般的に、パリに住んでいる人が「セーヌ川で泳ぐ」とか、セーヌ川で泳いでいる人を見かけたら、「ちょっとイカれている・・ちょっと、あたまがおかしい・・」と思うのがふつうで、ここで泳げと言われたら、かなりなレベルのアドベンチャラスなチャレンジです。

 最初にオリンピックには、セーヌ川でトライアスロンをやると聞いた時には(かなり前のことですが・・)、「え~~~??」と驚いたものの、それまでには、きれいにするのかな?と思ってもいたのですが、どうやら、直前になっても水質は改善されていないようです。今回、3ヶ月前になってどうやら水質に問題があるらしい・・などという話を聞いても、「そうでしょうね・・」という感じ。

 恐らく、この改善されない理由のひとつは、この雨の多い気象状況にも起因しているとは思いますが、この壮大?なセーヌ川で泳ぐという計画、泳げない場合に備えてのプランを検討するべきなのではないか?との声も上がり始めています。

 すでにリハーサルイベントは、キャンセル(延期)されています。


セーヌ川の水質 パリオリンピック トライアスロン


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2024年4月8日月曜日

医者の予約を反故にしたら罰金5ユーロ 世界最高の医療システムを追求するために・・

  


 「私たちは世界最高の医療システムを維持したいと考えています」

 昨年、異例の若さで一国の首相に抜擢されたガブリエル・アタル氏は次々と様々な国のシステムを改革しようとしているのが日々感じられます。

 今回、彼が発表したのは、医療システムについての改変ですが、私がちょっと意地悪にひっかかったのは改変の内容の前に彼の言う「世界最高の医療システムを維持したい・・」の「維持」の部分です。

 WHOによると、フランスの医療制度は2000年には世界一だったと言われているそうですが、現段階での世界ランキングはせいぜい20位と言われています。もっとも世界一ではなくとも20位ということは、世界水準でいえば、高水準であるには違いないのかもしれませんが、このざっくりとでも世界最高と言ってのけるあたり、やっぱりマクロン大統領に似た感じの言い方をするな・・という印象です。

 私自身、長いことずっとフランスに住んでいるので、他の国の医療システムについては、日本のことでさえもよくわからないので、正直なところ、どの程度の水準なのかはわかりません。

  個人的には、持病はあるものの、大きな変化はなく、とりあえず、なにかあれば、かかりつけのお医者さんに相談して、問題があれば、処方箋を書いてもらって、特定の検査に行ったり、専門医にかかったりしているので、差し迫って困ることはないのですが、この先の特殊な検査だったり、専門医にかかる場合は、予約しようと思っても、それが数ヶ月から半年近く先だったりするのには、閉口することもあります。

 この流れは、もうずいぶん前に、自分のかかりつけの医者というものを選ばなければならなくなって、専門医にかかる場合は、そのかかりつけの医者に処方箋を書いてもらわなければならなくなったからだったのですが、当初は、なんでそんなに面倒なことを?と思ったものの、それに慣れてみれば、適格な検査や専門医を自分自身で判断できる知識が私にはないので、結局は、それが良かったのだな・・と思っていました。

 私の場合は、かかりつけのお医者さんには、すぐに予約がとれる状態なので、その部分での問題はないのですが、私の場合は幸運な部類に入るのかもしれず、かかりつけの医者にさえもすぐにアクセスできるとは限らないようです。

 医者不足が叫ばれ始めて以来、医学部の定員を増やしたりする措置はとられているものの、彼らが現役として活躍できるようになるまでのしばらくの間は医者不足は解消されることはないので、医者の負担を軽くし、仕事を簡素化するための措置が考えられているようで、医師が事務処理に費やす時間を減らし、より多くの時間を患者に充てられるようにするため、2024年末までに1万人の医療助手を採用するとしています。

 また、これまで医者の処方箋なしには買えなかった扁桃腺や膀胱炎などの抗生物質に対して、薬局の薬剤師が直接、処方することができるようになったり(6月から)、メガネを作る際に眼科の検眼を受けずとも、眼矯技師が直接、適応させることが可能になります。

 特にメガネなどの場合は、大手の眼鏡屋さんに行けば、眼科さながらの検眼システムがあったりするので、これは、妥当だな措置だな・・などとも思います。

 しかし、なんといっても今回の医療システム改変の中で、一番注目されているのは、医者の予約を反故にした場合は(予約をキャンセルしなかったり、24時間以内に行かなかったりした場合)には、「罰金5ユーロ」(2025年1月から)というもので、この罰金は、どのようにして、回収するのかわかりませんが、これこそ、事務手続きが爆増する原因となるのではないか?とも感じます。

 この5ユーロ(約800円)という金額も、罰金としては、なかなか微妙な金額のような気もします。

 世界最高の医療システム・・という壮大な感じのするうたい文句の割には、医者の予約バックレたら罰金5ユーロというなんだか、ちぐはぐなレベルの内容が並ぶことに理想と現実の壁を感じないでもありません。

 いずれにせよ、この発表により、医師組合との交渉が始まることになります。

 今、私は、専門医などの予約がとりづらいことなどはあっても、そこまでフランスの医療システムに不満があるわけではありませんが、これまで友人や知人が重病にかかって入院した時などには、かなり酷いな・・という話なども聞いているので、あくまでも、日常的にそんなに深刻な状態ではないからかもしれません。

 いずれにしても、できるだけ医者のお世話にならずにすむようにしたいものです。

 そうそう、フランスの医療システムですごいな・・と思うところは、ガン治療に関しては、特別な治療の場合は別として、無料ということです。これはもうずいぶん前に友人がガンに罹った時に知ったもので、ミューチュエル(国民健康保険をカバーする保険)に入っていなかったという友人に「え~~?どうするの?」とビックリした時に、幸か不幸か、ガンの場合は一切、お金がかからない・・と聞いて、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない複雑な気持ちがしたものです。


医者の予約反故罰金5ユーロ 世界最高の医療システム


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2024年4月7日日曜日

連絡のとれない家 携帯の通信制限

  


 ふだん、フランスにいる時も、もうほとんど電話をかけるということがなくなっているので、みんなは家の電話というものをどうしているのだろう?と思います。未だに一応、携帯の中に色々な人の電話番号(家電と携帯)は入ってはいるものの、たいていは、フランスだと what's up、日本だと人によってMessengerか LINEで連絡を取るようになっているので、電話をかけることはほとんどありません。

 家の電話の方は、そもそも自分で使うこともなければ、かかってくるのは、妙な宣伝の電話や時には詐欺だったりすることもあるし、必要な電話は携帯の方にかかってくるのでいらないので家電は繋いでいません。

 それは日本に行った時にも同じことで、ほぼほぼ周囲の人々とはMessengerかLINEでメッセージを送るか電話をするかするので、フランスにいるときと基本的には変わりません。

 ただし、逆に未だにガラケーを使っているという叔母たちとは、それができず、メールか電話しか通信手段はないので、大変、不便な思いをしてしまいます。ほんの少し前はあたりまえだったことがものすごく億劫に感じられるのですから、ラクなことにはすぐに慣れきってしまうんだな・・とも思います。

 それでも、叔母のうち一人は、家にいれば、家電には出てくれるので、まだなんとか連絡は取れるのですが、もう一人の叔母に関しては、家電には出ないし、メールを送っても通信が制限されていて、こちらから連絡を取ることは不可能で、もうそんなことが数年、続いているので、こちらから直接、連絡をとろうとすることもなくなり、隣に住んでいる叔母経由で連絡をとってもらうようになっています。

 どうやら、その家の娘が通信制限をしているようで、周囲の人々もあの家は、連絡とれないから・・と諦めているようです。そもそも、私は日本に一時帰国している時くらいしか連絡を取らないので、そんなに支障もないのですが、なんだか、妙なことだな・・と思うのです。

 その叔母と直接会ったときに、「もう、全然、連絡取れないんだから・・困るじゃん!」などと軽く文句を言ったりもするのですが、「携帯やネットのことは全然、わからないから、娘が全部やってるからさ~」といなされてしまうのです。

 電話が通じないのはもちろんのこと、メールまで戻ってきてしまうので、明らかに通信制限をしているのですが、もしかして、嫌われてる?とも思ってしまうところ、隣のおば経由で連絡をとれば、お土産を色々もって、会いに来てくれて、楽しい時間を過ごせるので、そんなこととも違うような気がします。

 詐欺や迷惑電話やメールなどが多いのは、わからないではないのですが、周囲の誰もが連絡がとれないようになっている・・というのには、とても奇妙な気がします。

 私もネットや携帯などのことは、よくわからないので、その手の契約や設定などは、娘に頼っているので、あまり他人のことに大口をたたける立場でもないのですが、もしも、私のネット環境や携帯などに周囲の友人たちとの連絡がとれなくなるほどの通信制限を娘がかけているとしたら、絶対に怒ると思うし、「なんとかしてよ!」と文句を言うと思うのですが、どういうわけか、その家は、娘の絶対的な支配体制が敷かれているというか、洗脳されているというか、少々、そら恐ろしい気さえしてしまうのです。

 家族の個々の通信手段まで娘がコントロールする・・そして、それにおとなしく言うことを聞いて従っている家族たち・・どう考えてもおかしな構図なような気がするのです。


携帯通信制限


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2024年4月6日土曜日

違法精製の問題にはとどまらないネスレグループのミネラルウォーターの安全性

  


 昨年末から今年の初めにかけて、違法精製水をナチュラルミネラルウォーターとして販売している問題が大スキャンダルとして騒がれていたネスレグループのボトル入りのミネラルウォーター問題でしたが、その話題が騒ぎになっても、スーパーマーケットなどの一般市場では、これまでと何の変化も見られず、同じものが販売されていることに、「どうしてなんだろう?」、結局、精製法がナチュラルミネラルウォーター名乗ってはいけないだけ?という問題なんだろうか?と、ちょっと不思議に思っていました。

 それは、ペリエ、ヴィッテル、エビアン、コントレックスなどのごくごく身近な誰でもいつでもどこでも手にすることができるようなポピュラーなものであっただけに、私にとっては、けっこうショッキングなニュースでもあったのです。

 しかし、今回、新しい環境保護法案が審議され、PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル)、永遠の汚染物質と呼ばれる汚染物質問題が浮上したことにより、再び、ネスレグループのミネラルウォーター問題に火がつきつつあります。

 PFAS問題が今回、注目された際にPFASが含まれている製品の中にボトル入りミネラルウォーターも存在していることに、私は少々、ひっかかりも感じていたのです。

 それは、フランスインフォとル・モンド紙が同日、明らかにしたもので、ちょっとおさまりかけていたネスレグループのミネラルウォーター問題をぶり返すかたちとなったのです。

 前回の騒動のときには、この巨大な多国籍企業ネスレグループがこの水源の水の違法精製を何年も検査官を欺くために電気キャビネットにフィルターを隠すことまで行いながら隠蔽してきたのは、自社製品の健康上の安全性を保証するためだったと説明していました。

 しかし、ANSES (国立食品・環境・労働衛生安全庁)は、報告書の中で、グラン・エスト地域(エパール、ヴィッテル、コントレックス)、オクシタニー地域(ペリエ)などの水源の汚染が広範囲に及んでおり、微量汚染物質の存在も銘記しており、ネスレグループが販売するナチュラルミネラルウォーターの健康品質の保証に対する信頼性が不十分であることを明かしています。

 ANSES の専門家らは結論の中で、「糞便由来の汚染に関する複数の問題」、「顕著な微量汚染物質の慢性的な存在」、「PFASの存在」、「汚染物質の監視を可能にするパラメータの欠如」を考慮して、当局に対し、ネスレ工場に対する監視強化計画を実施するよう勧告しています。

 明らかに、汚染された水源を天然ミネラルウォーターの製造に利用すべきではないということです。

 さらに驚くことに、検査官が警告している内容の中には、「水を浄化するために導入された違法な処理が健康上のリスクを引き起こす可能性が高い」としている点であり、これには、目も当てられません。

 水の安全性を確保しようとして違法な精製法を用いてまで精製していたものが、この違法な処理自体が健康上のリスクを引き起こす可能性が高いというのですから、ふつうなら、操業継続は不可能となるはずです。

 一般的には、誰もが知っているようなネスレグループの製品のような名前がついている製品は、なんとなく安心できたり、信頼できたりする感覚があるのですが、この問題を見ていると、大企業ほど隠蔽しようとする・・発覚しても開き直る・・政府もぐるになって隠蔽に加担したり、口を閉じてしまったり、特別に容認したりする・・ことが多い感じで、あんまり信用できないものだな・・と思うのです。


ネスレグループ ミネラルウォーター


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