2021年8月13日金曜日

ニースの病院で新生児感染での入院急増 新生児をも襲うデルタ変異種の脅威

   


 これまでには、ほとんど見られなかった生後1ヶ月前後の新生児のコロナウィルス感染が急激に増加していることをニースのレンバル病院が報告しています。この病院では、この一週間で、10人の新生児が小児救急治療室に入院しました。

 これまでには、例を見なかった急激な新生児の入院増加に小児救急治療室の責任者が警鐘を鳴らしています。

 全ての命の重さにかわりは、ありませんが、ことさら小さい子供の苦しむ姿には、心を締め付けられる思いです。

 生後1ヶ月にも満たない赤ちゃんが発熱・・たとえ、コロナウィルスでなくとも親としたら、どうしたらよいのかわからない大変、慌てる状況です。それが、コロナウィルス感染ともなれば、普通の治療では、済みません。発熱してまもなく、動かなくなってしまう新生児に救急隊が駆けつける時には、もはや入院治療以外に方法はありません。

 これらの新生児コロナウィルス感染に共通するのは、子供の両親がワクチン接種を受けていないことです。妊娠中、出産後、間もないということでワクチン接種の胎児への影響も考えてワクチン接種を控えていた人も多いことでしょう。

 そんな隙をついてまで、コロナウィルスは感染していきます。子供が生まれれば、家族全員が集まり、新生児に群がり、その新しい命の誕生を喜び、祝うのは、人としたら、当然の感情で、本来ならば、微笑ましい光景なはずです。思わず赤ちゃんを抱き、頬を寄せたくなるのは、自然なことです。

 しかし、そこにまた落とし穴があるのです。

 一般的にもう少し年長の子供は、合併症のリスクのある既往症のある子供を除いて、ほとんど入院するまでには、至らないようですが、まだ抵抗力もない、新生児は、正しい治療を施さなければ、一歩間違えれば、危険な状態に陥ってしまうのです。

 このレンバル病院の小児救急治療室の責任者は、あらためて、新生児にも感染することを誰もが認識する必要があると語っています。

 一人で動くことのできない新生児にとっては、感染のリスクは、両親と非常に限られた周囲の人のケアにかかっています。

 これまで症例が見られてこなかった新生児のコロナウィルス感染は、その周囲の人の肩にかかっています。

 この医師は、妊婦に対してのワクチン接種も新生児を守るために必要と主張していますが、妊婦が胎児へのワクチン接種の影響や出産後の授乳への影響を考えてしまうのもわからないわけではなく、妊婦がワクチン接種に納得しないことも多いのも現実です。

 しかし、新生児に感染したウィルスは、同時に周囲の人に感染する危険もあることもまた事実です。

 ワクチン接種が感染拡大の鍵を握っている今、今後の感染拡大は、新生児をも含めたワクチン接種ができない12歳以下の子供たちと、あくまでもアンチワクチンの態度を揺るがさない人々の間での感染拡大をどう抑えていくかが焦点となっていきそうです。


新生児コロナ感染

 

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2021年8月12日木曜日

リオネル・メッシ パリサンジェルマンへ移籍のパリフィーバー

   


 バルセロナを退団したリオネル・メッシがパリサンジェルマン(PSG)と2年間の契約を結び、パリにやってきたニュースは、サッカーについては、あんまり知らない私でさえ、避けることができないほどの大ニュースでした。

 メッシがパリにやってきた日は、大統領でさえ、その1日をそれほど追跡されないほどに、分刻みで彼のこなしていくスケジュールが報道され、彼の行く先々には、大勢のファンが集まり、熱烈な歓迎を受け、彼の乗る車は警護のための厳重な警備のもとに誘導される大フィーバーでした。

 一昨日、彼の乗るプライベートジェットがフランスに到着したのが午後3時50分、それからまもなく空港の窓からファンに向けて手を振る彼は、「Ici c'est Paris(ここはパリ)」と書かれた白いTシャツを着ていました。

 集まっていたファンは、サッカーの試合を見ているわけでもないのに、彼の姿を目にしただけで、「メッシ!メッシ!メッシ!」と大歓声を送ります。

 その後、彼の乗る黒いバンは警備の車に先導されて、パリに隣接したヌイイ・スー・セーヌにあるアメリカンホスピタル(パリのセレブ御用達の病院)に向かい、健康診断を受けます。

 検診が終わり病院を去ったのは午後7時すぎ、彼が、家族とともにパリ8区にあるホテル・ロイヤルモンソーに到着したのは、午後8時20分、それからまもなくして午後9時15分、彼がホテルのバルコニーから、ファンに向けて手を振り挨拶をしました。

 誰かがパリに来ることで、これだけの熱烈な歓迎を受けることは、そうそうあるものではありません。国賓級のどこかの国の皇族や大統領とて、これだけの歓迎を受けることはありません。

 彼が涙ながらにバルセロナを退団し、もしかしたら、パリサンジェルマンに移籍するかもしれないという話が出始めてから、そんなに時間は経っていなかったので、彼の涙ながらの「バルセロナに残るために全てのことをやった」という感動的な記者会見から一転して、この世界最高峰の選手がパリサンジェルマンにやってくる!という衝撃的なニュースが彼の来仏をさらにドラマチックにしたかもしれません。

 いずれにせよ、彼のフランスでの人気は大変なもので、「彼の存在は、もはや、神格化している!」と評されるほどで、翌日のパリサンジェルマンとの2年間の契約締結の記者会見では、会見上に臨んだ記者たちからも「メッシ!メッシ!」とメッシコールが上がる興奮状態になりました。

 彼の契約発表当日には、シャンゼリゼにあるPSGの公式ショップには、バルセロナでデビューした時と同じ番号が使われる彼のパリサンジェルマンでの背番号「30」のついたユニフォームを買おうとする人で長蛇の列ができ、その行列はショップからメトロの駅まで続くほどの大変なものになりました。

 彼は、記者会見でフランス人の熱烈な歓迎に感謝し、新しい冒険にトレーニングを待ちきれない気持ちであり、同じチームにすでに友人もいる新しいチームで、ヨーロッパリーグの優勝を目標に掲げ、全てのタイトルを勝ち取るために全力を尽くすことを宣言しました。 

 フランスメディアによれば、彼の年俸は4,000万ユーロほどと推定されており、加えて、多くのスポンサーからのお金が入ります。

 ここまで神格化されている彼にまつわる経済効果は、サッカーだけにとどまらず、多方面に影響していくことと思われます。

 パリサンジェルマンもメッシ獲得資金よりも彼がもたらすビジネス上のプラスの方がはるかに大きいと説明しています。

 彼のインスタグラムのフォロワーは2億4,700万人、彼の発信力には並々ならぬものがあります。

 サッカーについては、疎い私ではありますが、これだけ「神扱い」されている彼には、一言でいいから、インスタグラムで、「みんな、ワクチン接種を受けよう!」と呟いてくれたら、マクロン大統領を始め、フランス政府がどんなに国民に訴えるよりも効果があるのではないだろうか・・などと思っているのです。


メッシ パリサンジェルマン移籍


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2021年8月11日水曜日

240名の医療従事者が医療崩壊を起こしているマルティニークとグアドループへ

   



 新型コロナウィルス感染が急激に悪化し、医療崩壊を起こし、真夏のバカンスシーズンというのに、完全なロックダウン状態になったマルティニークとグアドループに向けて、240名の医療従事者が出発しました。

 ワクチン接種率が極端に低いために(21%)これらの地域の感染が急激に悪化し、医療崩壊を起こし、現地の病院が受け入れ不可能な状態で、助かるはずの命が失われていく状況に陥り始め、患者の移送なども行っていましたが、到底、それでは追いつかない事態に発展し、オリヴィエ・ヴェラン保健相がマルティニークとグアドループの危機に直面し、現場の医療チームを支援するために、医療従事者の支援を全国的に連帯・協力を呼びかけたのは、8日(出発2日前)のことでした。

 「もしも、あなたが医療従事者で、救援に行くことができるならば、あなたの働いている病院やARS(Agence régionale de santé・地域保健機関)に申し出てください」

 この呼びかけにより、集まった240名の医療従事者がその2日後には、マルティニークとグアドループに向けて旅立って行ったのです。

 とかく、個人主義的で、権利ばかりを主張する利己主義に思われがちなフランス人も、いざ本当に危機的状況に陥った人に対しては、意外にも慈愛に満ち、優しく、スゴい行動力で人を助けようとするところがあり、驚かされることがありますが、そんなところは、フランス人の優しい一面でもあります。

 もちろん、全ての人が同じではありませんが、何かスイッチが入った時のパワーの凄さ、エネルギッシュな行動力には、目を見張るものがあります。

 コロナウィルスとは無関係ですが、以前、我が家が大変、危機的な状況に陥った時、周囲のフランス人の人々が本当に親身になって助けてくれた時には、フランス人の意外な一面を見た思いでした。

 昨日、マルティニークへ向けて旅立って行った人の多くは、フランス全土の多くの地域から集まっていて、「依頼を受けてすぐに決断しました。自分たちの同胞を助けるために、私は必要とされています。全く迷いはありませんでした。」と答えています。

 依頼があって2日後の出発ですから、迷っている時間はなかったはずです。

 この救援に向かった医療従事者の中には、「今こそ、自分のスキルアップができる時」と言っている人もいれば、最近、リタイアしたばかりなので、いつでも協力できる状態だった」と語る医療従事者の夫婦もいました。

 この救援隊の派遣は、一応、15日間の予定ですが、現地の状況の変化に応じて、次の救援隊も派遣する準備もしています。

 いずれにせよ、彼らのそのエネルギーのベクトルがどこに向かうのかによって、このような緊急の救援に参加したり、逆にデモになったりもするのですが、今回の救援隊の集結は、明らかにフランス人の底力、優しさが見えた危機的状況の中にもどこか暖かい気持ちにさせられる出来事でした。


マルティニーク救援隊

グアドループ救援隊


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「ヘルスパス本格始動も、実は、昨年の今頃よりも事態は深刻なフランス」

 

 

 

2021年8月10日火曜日

ヘルスパス本格始動も、実は、昨年の今頃よりも事態は深刻なフランス

  


 今週からフランスは、レストラン・カフェ・病院・医療施設・長距離交通機関・一部のコマーシャルセンターで、ヘルスパスの提示が必要になりました。

 レストランやカフェの入り口では、ヘルスパスのQRコードがチェックされ、QRコードを読み込むと、ワクチン接種の証明書や生年月日などが表示されます。さほど複雑な手間ではありませんが、混雑時などには、店舗にとっては、煩雑な作業が加わることになります。

 本来は、ヘルスパスは、ワクチン接種拡大のために取られている施策ではありますが、現在のところは、PCR検査の陰性証明書でも代用できるため、薬局などの検査場の混雑を緩和するために、当初は、48時間以内の検査結果の陰性証明書が必要であったものが、72時間以内のものと緩和されています。

 その上、自分でできる簡易検査でも良いなどと、どんどんその枠が緩まっているので、その場でテストして見せるのか? なんだか、大丈夫かな?と心配になります。

 それでも、レストランなどで、紙に印刷したQRコードを持った高齢者にQRコードを携帯に読み込むのを手伝ってあげている若いウェイターのお兄さんなどもいたりして、なんだか微笑ましい場面も見られます。

 TGVの発着する大きな駅などもヘルスパスのチェックが始まり、駅ではヘルスパスのチェック済みの乗客に対しては、ブルーのブレスレットを着用してもらい、途中乗車・下車する際の再チェックの簡易化を図っています。

 それでも、実際にヘルスパスのチェックはしても、それを身分証明書と照合することまではできないため、本人確認のための抜き打ち検査に警察官が巡回し、警戒に当たっています。

 違反している者には、135ユーロの罰金が課せられるので、最初はこのシステムが定着するまでには、手惑うこともあるでしょうが、最終的には10月からはPCR検査も有料化されるので、いつまでもPCR検査で凌いでいくことも無理になり、本来のワクチン証明書のQRコード提示が大部分になれば、チェック機能も現在よりはシンプルになっていくことになると思います。

 しかし、このヘルスパスがきっちりと浸透していけば、まあまあ安心だ・・と思っていた私は、恐ろしい事実を発見してしまいました。

 現在、フランスのワクチン接種率は66.66%(2回接種済みは55.58%)まで達しているというのに、新規感染者数、重症患者数、死者数は、昨年の今頃より、ずっと多く、昨年の今頃(8月初旬)の重症患者数は、380人前後だった数字が現在は、1600人超え、死者数も昨年今頃は10人以下まで下がっていた状態だったのに現在は、50人前後が毎日亡くなっています。

 ワクチンをすれば、重症化する確率が低いとはいうものの、ワクチン接種をしていない人が感染し、重症化する確率は、極めて高くなっているということで、現在蔓延しているウィルス(デルタ変異種)が昨年のウィルスよりも数倍威力を増していることを感じずにはいられません。

 そんなことを考えていたら、感染が悪化していると言われていたマルティニークは、3週間の完全ロックダウン!!7月末の段階で夜間外出禁止などの措置が取られていましたが、日中も基本的に外出禁止。生活必需品以外の商店は営業停止。ホテルも閉鎖。半径1km以上の外出には許可証が必要になり、「観光客は帰ってください!」というのですから、大変なことです。

 この地域にバカンスに出ていた人々は、バカンス中断です。

 しかし、感染率の数値は10万人あたりの数値が1,166人と島民の100人に1人以上が感染しているという恐るべき状態で、ロックダウンともなれば、バカンスどころではないのです。

 フランス全体のワクチン接種率が66%なのに比べて、この地域は21%しか達していないため、感染拡大の速度は、もの凄い勢いで進んでいるのです。

 一部の地域とはいえ、バカンス期間中の劇的なロックダウン。

 まだまだ、ヘルスパスで安心している場合ではなさそうです。

 


ヘルスパス フランス マルティニークロックダウン


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2021年8月9日月曜日

東京オリンピックの閉会式 パリではみんなが大熱狂だった!

  


 

 東京オリンピックの開催が決定したのは、2013年のことで、「お・も・て・な・し・OMOTENASHI」が流行語のようになったのが、つい昨日のことのように思い出されます。

 翌年に日本に行った時に、滝川クリステルが行ったフランス語のスピーチを「ちょっと、この人のフランス語には、独特なアクセントがある・・」などとのたまった娘が(私には、わかりませんでしたが・・)日本で集まってくれた親戚のおばちゃんたちの前で「おもてなしスピーチ」を披露してくれたりしたこともありました。

 結果的に、周囲のおばちゃんたちには、フランス語が全く通じず、全くウケませんでしたが、日本に行って、わざわざそんなことをするほど、あの時は、東京で開催されるオリンピックを楽しみにしていました。

 すったもんだの挙句に、オリンピックが始まり、あれよあれよという間に閉会式を迎えた今は、「おもてなし」どころか、海外からどころか国内の観客もシャットアウトされ、選手でさえも、ほぼ選手村から出ることができない、一般の日本国民にとっては「おもてなし」のしようがないオリンピックでした。

 東京オリンピックの開催が決まった後に、その次のオリンピックがパリに決まった時には、私にとっては、私の人生の大部分を占める東京とパリが続いてオリンピック開催という状況に、特にオリンピックが大好きというわけではない私でさえも、なんだかすごくラッキーな感じがしたものです。

 しかし、正直、今回のオリンピックを私は、開会式の模様はライブ放送で見たものの、なんだか競技自体は見そびれ続け、競技の結果を見て、「あ〜今日は、これやっていたのか〜!」などと思うことが続いている間にあっという間に終わってしまいました。

 感染状況が日々悪化していく日本のニュースなども見ていたので、どこか、オリンピックを手放しで楽しめる気がしなかったということもあったと思います。

 閉会式の日時はわかっていたので、閉会式は見ましたが、競技内容をほとんど見ていないこともあったのか、セレモニーも開会式同様、なんとなく纏まりも見どころもなく、晴々しいはずのオリンピックの閉会式は、なんとも不完全燃焼のような感じが拭いきれず、「日本は、本当は、もっとちゃんとできるはずなのに・・」と涙ぐんでしまいました。

 オリンピックを通じて、再びコロナウィルスが、パンデミックが憎いと思いました。

 しかし、閉会式の最後にオリンピック旗が東京都知事からパリ市長の手に渡り、東京もパリもどちらのトップも女性なんだな・・などと眺めていたら、マルセイエーズ(フランス国歌)が流れ出し、2024年のパリオリンピックのプロモーションビデオに切り替わり、美しいパリの景色を見ながら、現金なことに、どこかこちらも私のホームであるような、ちょっと誇らしい気持ちになったことも、不思議な感じでした。

 この閉会式の模様をフランス人のオリンピックのメダリストを中心にトロカデロ広場に設置された巨大スクリーンに集まり熱狂しているフランス人の模様は、もはや東京オリンピックの閉会式というよりは、パリオリンピックの開会式のようでした。

  


 このトロカデロ広場での熱狂ぶりが中継されて、「めっちゃ密!」「同じ世界なのか?」「過去の映像かと思った・・」などの声が日本のネット上に上がっていたようですが、この広場に入場するには、「ヘルスパス」のコントロールがあり、これに参加できたのは、ワクチン接種者、PCR検査陰性の人だけで、コロナ禍でも日常を取り戻しつつあるフランスの象徴的な一場面でもありました。

 終いには、エッフェル塔に向けて、トリコロールカラーの噴煙をはきながら飛行機が飛んでくる様子に「まさか、これ、合成じゃなくて、本当に今、飛んでいるの?」と家の窓から、遠くに見えるエッフェル塔を見たら、本当に飛行機は、トリコロールの飛行機雲を放って飛んでいて、ちょっと感動しました。

 閉会式が終わらないうちに、フランスのTwitterのトレンドのトップは東京オリンピックではなく、#Paris2024になっていて、フランスは、早くも2024年のパリオリンピックに向けて大盛り上がりになっています。

 きっと、閉会式の行われている東京では、パリのように巨大スクリーンを設けて、皆で盛り上がることなどできない状態であろうに、パリでは、ヘルスパスのおかげで、こんな光景に誰も驚くことはありません。

 ヘルスパスに反対している人々は、なぜ、パリでこんなことが可能なのか?考えて欲しいです。そしてまた、日本もせっかくのオリンピックをもっと楽しめる方法があったのではなかったか?と考えてしまいます。

 4年毎に行われるオリンピックも東京オリンピックが一年延期されたことで、パリオリンピックは3年後です。いつまで続くパンデミックかわかりませんが、パリオリンピックの時は、普通に何のわだかまりも不安もなく楽しめるようになっていることを心の底から思います。


東京オリンピック閉会式

パリオリンピック


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2021年8月8日日曜日

4週連続のヘルスパス反対のデモ 第4波の津波 私たちは誰の治療も諦めない

   


 デモが4週連続して続いていることは、フランスでは、不思議なことではありません。

 しかし、今回は、バカンスシーズンで、本来ならば、デモは9月以降に繰り越しになるケースが多い中、やはり「ヘルスパス」「医療従事者へのワクチン接種義務化」への反発は、相当なものです。

 今回は、「ヘルスパス」が正式に決定し、実際にレストラン・カフェ・バー、交通機関等に適用されるようになる直前ということもあり、デモは先週よりもさらに拡大し、フランス全土で23万7千人の人出を記録しました。

 デモは、毎週毎週、規模が拡大し、1回目は11万4千人、2回目16万1千人、3回目20万4千人、そして今回は23万人と参加者は増加しています。

 しかし、数字が拡大しているのは、デモの参加者だけでなく、ワクチン接種の数字も拡大、同時に、感染者数、集中治療室の患者数も増加しています。

 デモに参加する人とは、反対に、マクロン大統領の「ヘルスパス」の発表以来、一時、停滞気味だったフランスのワクチン接種は、また急激に増加し始め、現在のところ、フランス人の65.69%(2回接種済は54.67%)まで上昇しています。

 にもかかわらず、デルタ変異種による感染、第4波は、地域的に「TSUNAMI」(フランスでは頻繁に「TSUNAMI」という言葉がフランス語として一気に波が押し寄せるニュアンスで使われています)を迎えており、特にマルティニーク、グアドループ、レユニオンなどの海外圏を中心にフランス本土のエクサン・プロヴァンス、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏にまで及び始めています。

 フランス全体でも、7月初旬には、2,500人前後であった新規感染者数は、約1ヶ月後の現在は、10倍の25,000人前後、これは、バカンスに出るために検査数が増加していることもあるとは思いますが、実際に感染者が増加していることに違いはありません。

 それでも、ワクチン接種が徐々に増加しているために、感染者が10倍にも膨れ上がっているにもかかわらず、重症患者数は、そこまでの増加には至っていませんが、しかし、この1週間ほどで、集中治療室の患者数は、1.5倍ほどに確実に増加しています。

 津波をもろに迎えている地域では、病床が足りないために、手当が間に合わない若い患者さんが亡くなってしまったりするケースも出てしまっているようですが、そのような事例が起こらないように、地域間の患者の移送も始まっています。

 フランスは、こうしてデモが続いて、国民も黙ってはいませんが、国のトップも「ヘルスパス」「ワクチン接種の必要性」への発信を続けています。

 先日は、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、現在、「TSUNAMI」が襲いかかりつつあるエクサンプロヴァンスの病院を訪問し、オーヴェルヌ・ローヌ・アルプ地域圏が、この「TSUNAMI」の波に乗りかけていることを警告しています。

 「この地域では、この8日間でコロナウィルスのために入院した患者の数は4倍になっています。集中治療室には、以前よりも若い人が増え、その大多数の人はワクチン未接種の人です。この数字は、ワクチン接種の必要性を物語っており、ワクチンを受けたがらない人への警告でもあります。」と述べ、「ヘルスパス」は国民を守るためのものであり、国民を締め付けることが目的のものではないと語っています。

 同時に彼は、「私たちは、誰の治療も諦めない!」と強く宣言しています。

 これを聞いて、すぐに私は、菅首相の「重症患者以外の自宅療養のお願い」を思い浮かべました。

 重症化すれば、後遺症やロングコビットと言われる長期コロナ感染症の危険も高まるわけで、早期の治療は必然です。長期コロナ感染症が増加すれば、おのずとパンデミックも長期化することになります。

 現在、バカンス中のマクロン大統領も、バカンス中というのに、発信を諦めることはありません。今やマクロン大統領は、インスタグラマーのようにバカンス先から、国民からの質問に答えるという形で、毎日のようにインスタグラムやTikTokを利用して、ワクチン接種の必要性、ヘルスパスの必要性を訴え続けています。

 それでも、おそらく8月から9月にかけて、デモが収まることはないと思います。

 しかし、8月のバカンスを終え、新年度が始まり、いよいよコロナウィルスが最も拡大しやすいシーズンに入った時に、一体、現在、上昇し続けている全ての数字(ワクチン接種、デモ、感染者数、重症患者数)の中で、どの数字が突出しているかで、今後のパンデミックがどれだけ続くのかが見えてくるかもしれません。


フランスデモ ヘルスパス反対


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2021年8月7日土曜日

ワクチン接種者にボーナスを支払う会社が登場 企業がワクチン接種を奨励・サポートする動き

   


 

 養豚業界のフランスのトップグループである食肉処理工場クーペル(Breton Cooperl )は、ワクチン接種を受けた従業員に対して200ユーロ(約26,000円)の特別ボーナスを支払うことを発表しました。

 フランスで、従業員に対してワクチン接種を奨励するためのボーナスを提供する第1号の会社です。

 食肉処理工場では、パンデミック開始以来、フランスだけでなく、ドイツ、アメリカなどでも大きなクラスターが発生してきた環境でもあり、この会社では、7,400人の従業員が働いていますが、そのほとんどがブルターニュ地方を拠点とした食肉処理工場に勤務しています。

 この会社の経営陣は、「ワクチン接種を奨励する国民健康予防アプローチに積極的に参加したい」「多くの人にとって、ワクチンを接種するには、仕事、育児などへの負担が必要になるかもしれません。経済的支援を提供することにより、私たちはワクチン接種の負担を軽減することを決定します」と語っています。

 これまでの食肉処理工場でのクラスターの発生実績?から見ても、工場内の温度の問題や仕事の性質上からか、よりウィルスが活発化するリスクが検証されており、このデルタ変異種の感染力を考えると、この先も、かなりリスクの高い場所でもあり、一度、工場内で感染拡大、クラスターが発生した場合を考えれば、たちまち、工場が閉鎖を余儀なくされる危険も高く、従業員に対して、ボーナスを支払ってまでワクチン接種を奨励するのは頷けます。

 もっとも、現在拡大しているデルタデルタ変異種の感染拡大は、真夏に起こっていることであり、現在のウィルスがどの程度、気温の影響を受けるものであるのかは、わかりません。しかし、真夏でも耐性があるウィルスというだけで、これが実際に気温が低下した場合は、感染力がさらに増すということもありえないことでもありません。

 そして、また、このワクチン接種をした人への特別ボーナスについては、所得税がかからない仕組みになっているそうです。

 しかし、労働者の権利や主張にうるさいフランスでは、このボーナスに対しても、法的に可能であるか?との意見も一部、出ています。

 つまり、従業員に対して、ボーナスの支給は、従業員の勤続年数や労働貢献、報酬に応じて換算されるもので、ワクチン接種者とワクチン未接種者を差別し、未接種者を除外するためとも取られかねないボーナスを認めてよいのか?というわけのわからない意見です。しかし、いかにもフランスでは、出てきそうな差別への抗議、平等などを訴える意見でもあります。

 しかし、無料のワクチン接種を受けるだけで、自分自身、周囲の人の安全も保護することができ、その上、ボーナスまでもらえるという会社の提案に大多数の従業員は、好意的に受け取っています。

 すでにアメリカでは、このような企業がワクチン接種を受けることを奨励・サポートし、そのための報酬を支払う方法を開始しているようですが、国だけではなく、企業が従業員の安全を守るという形での支援はフランスでは、このクーベル(食肉処理工場)が先陣を切った形となりました。

 食肉処理工場というある種、特殊な場所ではありますが、どんな形にせよ、企業が職員のワクチン接種をサポートするという動きは、今後もこれに続くところが出てくるかもしれません。


ワクチン接種ボーナス 


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