2024年11月3日日曜日

墓地の値段 リヨン市の墓地価格に社会的価格制度導入

  


 季節柄の話題だとは思いますが、あまり普段は話題にはしないものの、お墓については、多くの人が実は興味のある話題であると思います。

 今、一部では「リヨン市が3月までに墓地の権利料に社会的価格制度を導入する」ということが話題になっており、「はて?墓地使用料とは、いくらくらいなものなのだろうか?」と思いました。

 実際に、我が家も夫が亡くなった時に、家から一番近い墓地ということで、市内の市民墓地に埋葬してもらったのですが、恥ずかしながら、その時は、メンタルがボロボロの状態で、義理の息子たちが全てを手配してくれて、私自身は、ほぼ何もしていませんでした。

 しばらくしてから、墓石は、私が注文して、私が自分で買ったので、墓石の値段は知っているけれど、墓地に関しての契約料には全くタッチしていないので、値段も知りません。

 ただ、墓地も含めて、葬儀にかかった費用等に関しては、夫がけっこうちゃんとした保険に入っていたので、全て保険でカバーできたはずなので、葬儀費用や埋葬費用等の心配はありませんでした。市営墓地なので、そこまで高いとは思いませんが、一応、30年間の契約ということだけは聞いているので、私が死ぬのがそれ以降になる場合は、これを更新手続きしなければならないことだけは、承知していました。

 まあ、まだけっこう期間があるので、期限が近付いてきたら、聞いてみようと思っていました。

 話は脱線しましたが、リヨン市は、「社会的不平等を解消するということ」で、「私たちの考えは、社会正義の概念を葬儀政策に組み込んで、死が新たな社会的不平等を助長しないようにすること」と宣言しており、これまで富裕層に対しても、困窮層に対しても、同じ額を請求していた墓地使用料に収入、資産に準じて3種類の価格設定を行うという発表をしています。

 リヨン市の場合は、現行の市民墓地使用料は、15年間で525ユーロ(約87,000円程度)(墓石などの価格は別)ということで、収入資産にかかわりなく均一価格でした。しかし、今回の改正によって、これに収入・資産によってグラデーションがつけられるようになるのだそうです。

 この社会的不平等解消のためのこの支払料金の調整が「保育園、学校、文化施設などの一定数の自治体の公共政策」に適用されていることを考えれば、これは当然あるべき措置ではないか?と言っています。まさに「ゆりかごから墓場まで」にするということです。

 これは、まだ議案の段階だそうですが、一律価格ではなく、360ユーロ、550ユーロ、750ユーロの3段階になるようです。

 今まで、墓地については、前述したように、墓石以外は、全く関わってこなかったので、あまり墓地使用料について、気にしたことはなかったのですが、たしかに、フランス人の知人で、親が亡くなった時の葬儀にえらくお金がかかって大変だった・・と嘆いていた人がいたので、たしかに、このような配慮をしてくれるのは、ありがたいのだろうなと思います。

 おそらく、パリはもう少し高いのではないかと思いますが、私としては、(自分が死んだ場合)、死んでしまった私に対してお金と手間をかけていただく必要は全くないので、一番簡単でお金のかからない方法にしてね・・と娘に言ってあります。

 私の友人の一人が亡くなった時は、彼女は独身だったということもあるのでしょうが、自分が亡くなったときには、ペーラシェーズで火葬して、お墓のない人のために砂(フランスの場合、砂状になるまで火葬するのが一般的に遺骨ではなく砂という言い方をする)を撒く場所があるので、そこに一緒に撒いてほしいと言い残していたので、彼女の砂はそこに撒かれ、彼女は今、パリの土となっています。

 これを書きながら、思ったのですが、お墓など、面倒なことがなくて、それも悪くないかも・・?と今度、娘に会ったら、提案してみようかとも思います。

 日本の墓地は、どんな具合なのか?これまた、前の世代の人々が買ってくれてあるものなので、全然、値段も何も知りませんが、今後、子どもがいない人などが増えたら、このペーラシェーズの砂山?みたいな場所・・あってもいいのかも?と思います。

 この友人の砂を撒いた日には、行けなかったので、今度、お墓参りがわりにペーラシェーズに行ってみようかと思います。ペーラシェーズはパリの有名な墓地で歴史的な偉人などもたくさん埋葬されている墓地で、お散歩にもなかなか良い場所です。


リヨン市墓地価格 社会的価格制度導入


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2024年11月2日土曜日

お墓参りで毎回、思うこと・・

  


 世間では、最近では、フランスでもトゥーサン(万聖節)というよりは、ハロウィン色が強くなってきていますが、私は、毎年、この時期くらいは・・とお墓参りをする習慣になっています。

 我が家の墓地は、夫が亡くなったときに、まだまだ本人もずっと先のことだと思っていたでしょうが、机の裏側に少しだけ書きかけの遺言のようなものが張り付けてあって、その中に、墓地は、家から一番近い墓地に埋葬してほしいというようなことが書いてあったので、夫の希望どおりに家から一番、近い墓地にしました。

 夫は自分の両親のお墓は、なんだかやたらとお金をかけて、自分の兄の家の近くに建てたので、当然、そこに一緒に埋葬してほしいと思っていると思っていたら、そうではなかったことが、意外でもありました。

 きっと、寂しがり屋だった夫は、できるだけ来てもらいやすい場所を選んだと思うのですが、もうここ最近では、せいぜい、このトゥーサンの時期か、もう一回くらいしか、行かなくなってしまいました。まったく冷たいことです。

 夫が亡くなった直後(埋葬後)は、本当に私自身も身の置き場がない感じで、お休みのたびに毎週のように娘を連れて、お墓に行っていました。トゥーサンなどの特別な時期以外の墓地は、あまり若い人はいなくて、けっこう高齢の人が多いので、私たちは、とても、異色な存在だったと思います。

 今では、正直、当時のことは、ぼんやりとしか思い出せないくらいになりましたが、あまり感情表現が激しい方ではない私が、夫の埋葬の時には、後にも先にも、人生の中であれほど取り乱したということはないというくらいに大声で泣き叫び、恥ずかしながら、「私も埋めて~~!」と泣き叫んだことだけは覚えています。今から思うと娘には申し訳なかったし、埋葬に立ち会ってくれた人々は、きっとドン引きだったと思います。

 まだ10歳だった娘はそんな母親だったからか、妙に冷静で、「きっと墓地の高い壁を越えて、ママの声が外にいる人にまで聞こえたと思うよ・・」などと言われて、ハッとしました。

 週末ごとのお墓参りは、どのくらい続けていたのかも、今ではあんまり覚えていませんが、その後、少しずつ、一人での子育てと仕事の日常に忙殺され、だんだん足が遠のいていきました。

 それでも、この時期は、周囲のお墓も華やかなお花でいっぱいになるので、誰も来ないお墓は、寂しそうで可哀そうだ・・とこの時期だけは、必ず行くようにしています。

 前もって、鉢植えのお花を買っておいて、当日にお墓に行って、夫に心の中で話しかけながら、ひととおりお墓を掃除して、お花を供えてお祈りとお願いをしてきます。

 「久しぶりだね・・元気だった?いやいや、元気じゃなかったから死んじゃったんだよね・・」と毎回、同じことを繰り返していることに苦笑しつつ、私の近況や娘の近況を報告し、「これからも私たちを見守ってね・・いつになるかわからないけど、そのうちに行くからね・・」とお願いして、帰りに「じゃあ、またね!」と言って帰ってきます。

 このお墓の墓石に名前を掘ってもらうときに、一応、二人分の名前が掘れるように、スペースを調整して夫の名前は掘ってもらったので、私がもしもフランスで死んだら、ここに入れてもらうように娘には頼んでいます。

 私は、お墓というものは、自分自身は全くこだわりがないので、(なんなら捨ててくれてもいいくらいだけど、そういうわけにもいかないだろうから・・)、日本にいるときに死んだら、両親が入っている実家のお墓に入れてもらうのでもよいし、一番、簡単な方法にしてね・・と言ってあります。

 本当に偶然ではありますが、夫の命日は、トゥーサンの日のすぐあとで、彼が亡くなったときも、トゥーサンのバカンスが終わった直後だったことを覚えています。

 今は、娘も義理の息子たちも遠いところに住んでいるので、恐らく私の他には、誰も来ないと思われる夫のお墓なので、せめて、私くらいは行ってあげなくちゃ・・と思うのです。

 実際に、もう長いこと誰も来ない、来られないのか、もう苔が生えているようなお墓もあります。歳をとってくると、病気とお墓の話題が多くなるなどと言いますが、とりあえず、私は、フランスでも日本でもお墓の心配はありません。


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2024年11月1日金曜日

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)が設置

  


 パリ警察長官は、パリ中心部に交通制限区域(ZTL)を設置し、1区、2区、3区、4区の車両通行を禁止する命令に署名しました。この措置は、11月4日から開始されます。

 これは、車で占拠されている公共空間を解放し、首都中心部の大気汚染と騒音を軽減することが目的で、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏の選挙公約でもありました。

 現在、パリ中心部のこのゾーン内を循環する車両の数は、1日あたり35万台から55万台(ずいぶん幅があるな・・)と言われており、この交通量のかなりの部分はそこで停まることなくこの地域を通過する車両であるといわています。

 この車両通行禁止は、もちろんバス、タクシー、VTC車両は除外されるほか、この地域の住民、従業員、配達員、患者、店舗、企業、レストラン、劇場、映画館などの顧客も除外されます。つまり、この地域を通過するだけの車が排除されるということで、この地域を通過していた車両は、この中心部を避けてぐるっと遠回りをしなければならないことになります。

 また、1区、2区、3区、4区の中でも高台の岸壁、サンルイ島、シテ島はこの交通制限区域から除外されています。

 しかし、そもそもパリ市内を車で移動することは、渋滞や駐車スペースなどを考えても、どう考えても、合理的ではなく、私などはもうとうの昔にあきらめていますが、これで少しでも車が減ってくれることはありがたいことだと思っています。

 このシステムは少なくとも3か月(あるいは6か月)の予備的準備期間を経た後、このZTLから「出る」際には電動車両のチェックが強化される見込みになっています。

 将来的には、在留カードと自己申告制度がオンラインで導入され、同時にカメラによるナンバープレートの読み取りに基づいて違反をチェックする予定だそうですが、この自動カメラ撮影による制裁を可能にする規制と法律の変更が現段階では整っておらず、法律改正を待つ間は、一体、1日50万台以上と言われる車両通行のチェックをどうやって行うのかは、かなり厳しい話ではないかと思っています。

 とはいえ、これに違反した場合は、罰金135ユーロが課せられるということです。

 この類の通行禁止は、パリオリンピック開会式前の状況を彷彿とさせる感じがありますが、あの時は、パリ中がものすごい警戒体制で、警察官や憲兵隊がMAXで出動しており、そもそも、あの厄介な通行制限や行動制限にウンザリして、多くのパリジャンがパリを脱出していて、パリはガラガラになりました。

 今度は、車両通行のみの制限で、日常的、恒久的に続けられるものであり、そのために膨大な数の警察官を配置というわけにもいかないだろうし、しかも多くの例外があり、一体、どの程度、みんなが遵守するのかと思いますが、成り行きを見守りたいと思います。

 しかし、様々な取り組みにどの程度の成果があがるものなのかはわかりませんが、色々と問題点をあぶり出して実行していくのには、エネルギーを感じます。

 

パリ中心部に交通制限ゾーン(ZTL)


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2024年10月31日木曜日

フランスの刑務所受刑者数過去最高の新記録

  


 法務省は、フランスの刑務所の受刑者数は、前月の7万8,969人に対して、7万9,631人で刑務所の収容密度は127.9%、14の施設では+200%と新記録を樹立したことを発表しました。フランスの刑務所は慢性的な過密状態から抜け出すどころか、ますます悪化の一途を辿りつつあり、現状では、通常収容が間に合わずに、床には3,810枚のマットレスが敷かれている状況であるとも伝えられています。

 「刑務所は崩壊しつつある!刑務所の規制メカニズムを早急になんとかしなければならない!」と言われ続けていますが、この過剰収容状態は受刑者だけでなく、刑務所職員でさえも虐待している状況であると叫ばれています。この状況は非常に高い自殺率、医療機能不全、社会復帰任務の確保の不可能、再犯防止と安全の観点からも悪循環のスパイラルから抜け出せない状況であると言えます。

 欧州評議会が6月に発表した調査結果によると、フランスは刑務所の過密化に関して欧州で最も悪い国の一つで、キプロス、ルーマニアに次いで3位となっています。

 最近、話題になった凶悪事件からも、刑務所内から、逃亡計画を組織して、裁判のために移送中に刑務官を射殺して逃亡したりする事件や、SNSによる殺人依頼により、未成年の少年たちが殺し合いの手先として雇われ、命を落としたりする事件など、刑務所にいながらでも、なんでもできるのではないか? 一体、フランスの刑務所の中ってどうなっているのだろうか?と思っていました。

 つまり収容者数が多すぎて受刑者を刑務官が管理しきれていないということだと思いますが、フランスはやたらと人権などを主張するために管理がさらに難しくなっているとも考えられます。

 しかし、絶対的に犯罪者がいかに多いかということが基本にあり、そもそも、日本などに比べて、よほどの危険人物としてマークされている人以外は、簡単な犯罪では、なかなか刑務所には、入れてもらえない?狭き門である印象がありますが、にもかかわらず、収容しきれないほどの囚人で刑務所が溢れかえっているということは、全く恐ろしいことです。

 時々、凶悪な暴力的な事件で、実は刑務所から出たばかりの人間だった・・などという話は少なくない気がするので、一定数、隔離しておいてくれないと危険な人物というのは存在するような気がします。

 これに対して、日本の刑務所には、どのくらい受刑者がいるのだろうか?と調べてみたら、2024年5月のデータでは、40,308人が刑務所に収監されているとのことで、日本の人口が1億2,375万人であり、フランスの人口(6,654万人)に比べて2倍近くであることを考えれば、受刑者数は格段に少ない数字です。

 しかも、詳しいことはわかりませんが、フランスだったら、絶対に刑務所入り?できない?ような犯罪者でも日本では、収監されるようですから、やっぱりどれだけ治安が良いか?(フランスと比較するのも失礼かもしれませんが・・)ということは明白であるような気がします。

 フランスの国立刑務所の総管理者は、拘留者が刑務所の過密状態、多くの施設の老朽化、不足など原因が特定されている不当な拘禁条件に直面し、監督者の数が不足していることを定期的に指摘しており、2023年の年次報告書の中で、「私たちの社会は多くの点で古代の体罰に似た行為を容認している」と記し、これは国家の放棄だと指摘しています。

 やっぱり、フランスの治安の悪さってハンパないんだなと再実感させられます。


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2024年10月30日水曜日

ツナ缶の水銀汚染スキャンダルの衝撃

  


 「缶詰マグロは100%水銀汚染・絶対に食べてはいけない!」とか、「水銀汚染されたツナ缶の健康上の危険は何ですか?」など、ツナ缶水銀汚染スキャンダルの話題が炎上しています。

 これは、海洋防衛NGO BLOOM(ブルーム)が、18か月にわたる調査を経て発表した報告書の中で訴えているヨーロッパ 5 か国 (ドイツ、イギリス、スペイン、フランス、イタリア)で販売されているツナ缶についての危険性の話です。

 このNGO は「ヨーロッパ 5 か国 (ドイツ、イギリス、スペイン、フランス、イタリア) の148 個のツナ缶を無作為に選択し、独立した研究所で検査させたところ、100% が水銀で汚染されていた!」というもので、そのうち、約1割は、欧州連合で認められている水銀含有量基準 (1 mg/kg)を大きく超えていたと報告しています。

 そもそも、この欧州連合認可の水銀含有基準ですら、マグロに関しては、タラやイワシなどの他の魚の基準(0.3 mg/kg)よりもかなり高く設定されています。

 この水銀汚染は何十年も前から知られていました。大気中に放出された水銀は海洋で発見され、その後魚の体内で発見されます。NGOは特に、「マグロを調理すると水は蒸発するが、水銀は残るため、高濃度の水銀が含まれているにもかかわらず、黙認され続けてきたことを指摘しています。

 問題は、基準が最終製品ではなく生のマグロに対して定められていることを指摘しており、したがって、「缶詰には新鮮な魚の切り身よりも2〜3倍濃度の水銀が検出されることになる」と説明しています。

 フランスでは、1 人当たり年間平均 4.9 kg のマグロを消費しているそうで、日本のように一般的に生のマグロのお刺身などが流通しているわけでもないし、魚屋さんに、マグロはあるには、あっても、けっこう高価で、そこまで買っている人をそんなに多く見かけるわけではないので、フランス人が食べているマグロの大部分はツナ缶なのではないか?と思います。

 特に最近は、インフレで全ての食料品が高騰しているためにタンパク質を補う手段の一つとして、ツナ缶などを利用する人も増えていたかもしれません。

 この水銀の危険性については、特にツナ缶に限ったことではありませんが、国家食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)も健康勧告の中で明記しており、水銀は、海洋に存在し、人体に用意に吸収される毒で、子宮内での子どもの発育中および幼児期に特に危険です。具体的には、「マグロ、カツオ、タイ、スズキ、アンコウ、オヒョウなど、高度に汚染されている可能性が高い魚の摂取を制限することを推奨しています。こんな警告、この騒動で初めて知りましたが・・。

 また、WHO(世界保健機構)も水銀について、「海洋では、水銀が細菌と混ざり、さらに有毒な誘導体であるメチル水銀に変化し、このメチル水銀は神経系に有毒で、神経障害や行動障害が観察される可能性がある」と指摘しています。

 私はそこまでツナ缶を爆食しているわけでもなく、この年齢になるまで、一応、無事に生き残ってきたので、そこまで神経質になる必要もないとは思いますが、このNGOは少なくとも、この制限値を超える魚の販売を禁止するセーフガード条項を導入することや、学校の食堂、保育園、老人ホーム、病院、産科病棟などの施設での使用を禁止するように求めています。

 しかし、これを販売している業者やスーパーマーケットなどにとっては、売上げ激減に繋がる大スキャンダルです。

 この種のスキャンダルが出るたびに思うのは、食事は偏らずに色々なものを食べるように心がけることが、危険を回避することに繋がるな・・と思うのです。


ツナ缶水銀汚染問題


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2024年10月29日火曜日

最近、パリでやたらとクッキーが目につくようになった・・

  


 暇さえあれば、美味しいものを探して歩いている私ですが、パリには、たくさん美味しいものがあるとはいえ、やっぱり一番お手軽で、一番美味しいのは、パンやヴィエノワズリー、ケーキなのではないか?と思い至るところもあり、もっぱらブーランジェリーやパティスリーなどを巡り歩いているのです。

 そもそもブーランジェリーやパティスリーはさすがに店舗の数も多く、食品店の多い通りなどだと、一つの通りにブーランジェリーは何軒もあったりして、それこそピンキリとはいえ、一般的なレベルは高く、思わぬおタカラ(美味しいもの)を見つけたりもするのです。

 以前(といっても、私がまだパリに来たばかりの20年以上前の話ですが・・)は、ブーランジェリーといえば、だいたい、どこへ行っても同じようなものしか売っていなくて、たいていは、パンは別としてもヴィエノワズリー(クロワッサン、パンオショコラ、ショッソンオーポム、パンオレザンなど)とりんごや梨、季節の果物のタルト、フラン、ベニエ(揚げパンみたいなものでたいていチョコレートクリームなどが入っている)、パリブレスト、エクレア、ミルフィーユなどで、「まったくフランス人はいつも同じものばかり食べていて、飽きないのかな?」などと思ったものでした。

 それがここのところ、ケーキの種類もグッと増えました。そして、もうひとつ、特に目につくようになったのは、どこのブーランジェリーやパティスリーに行っても、必ずクッキーが置いてあるようになったことです。

 駅のパン屋さん(クロワッサンなどのヴィエノワズリーに加えて、サンドイッチや簡単なケーキ類を売っている)などにも必ず、大ぶりなクッキーが並んでいるのです。

 いくら大ぶりとはいえ、1枚3ユーロ程度なので、なんとなくクッキーにしては、高いな・・コスパ悪いし、クッキーなら自分で焼ける・・などとケチな根性が頭をかすめるため、これまで、このようなクッキーを買うことはありませんでした。

 しかし、次第にパリ市内にもクッキー専門店というものが増えだして、「えっ??クッキーだけで、成り立つの?」と思ったりしていました。

 先日、たまたま、別のお店に行こうとしていた時に、このクッキー専門店のひとつをみかけて、全然、買うつもりはなく、クッキー専門店ってどんな感じなのかな? いくらくらいするのかな? どんなクッキーを売っているのかな?と覗いて見ていたところ、お店の人が味見してみますか?と言ってくれたので、「えっ?うれしい!!ぜひぜひ!」と、クッキーの試食をさせてもらいました。



 全然、期待せずに、おもむろに口に入れてビックリ!クッキーだからサクッといくものかと思ったら、表面は、乾いているのですが、中はしっとりフワッとしていて、私のこれまでのクッキーの概念を打ち砕くものでした。

 これまで日本でもイギリスでもアメリカでも、クッキー専門店などには、行ったことがないので、他の国のクッキーというものがどういうものなのかは知らないのですが、この表面は、乾いているけど、中はしっとり、むしろ、半生タイプみたいな感じが新鮮で、思わず、一つ買っていきたくなりました。

 考えてみれば、最近、人気になっているクルッキー(クロワッサン+クッキーの合体バージョン)のクッキーの部分もこのしっとりタイプのクッキーで、つまり、フランスに伝統的に存在するクロワッサンにさえも合体させてしまうほど、なぜかクッキーは今、パリで人気なのです。

 今のところ、そんなにたくさんのクッキー屋さんを知っているわけではありませんが、どうも、パリのクッキー屋さんの大ぶりなクッキーは、表面が乾いていて、クッキーの形ですが、中身は、しっとりしていて、どちらかといえば、ケーキにも近いようなものが多い気がします。

 偶然とはいえ、また、ひとつ見つけてしまった私のグルメターゲット・・。私はつくづくダイエットとは無縁のようです。



パリのクッキー専門店


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2024年10月28日月曜日

日本の選挙結果に関するフランスの報道

  


 今回の日本の衆議院選挙の結果は、深刻な日本の経済状況などからも、とても気になっていたし、自分自身も在外投票にも行ってきたし、とても気になって、少しずつ発表されていく当選・落選の行方をネットでずっと見守っていました。

 結果は自民・公明の大敗という結果でしたが、だからと言って、すぐに政権交代して、ガラッと日本が変わるというわけでもなく、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。

 そして、フランスでは、今回の日本の選挙はどんな風に報道されているのかな?と、一応、目を通してみました。

 「自民党は2009年以来、ほぼ前例のない過半数を大幅に下回る結果となった」、「自民党と連立していた公明党もまた大幅に議席を失い、連立でさえも、過半数に満たない大敗に終わった」とまず事実を説明し、これに至った原因として、金融スキャンダル、統一教会問題などを挙げています。

 それに加えて、石破茂氏は、「公平、公正、誠実な党として新たな基盤で再スタート」したいと明言したにもかかわらず、総裁就任直後に、早期解散選挙を宣言し、夫婦別姓の可能性やキャピタルゲイン課税の強化など、当選以来いくつかの問題で方針を転換したことに加えて、裏金議員への偽装非公認・非公認としながら、裏で2,000万円を援助していたことがスクープされたことなどを挙げています。

 この内容は、ほぼ日本で報道されている内容と同様のものですが、一部、この偽装非公認の2,000万円問題のスクープ記事元が朝日新聞となっていることが奇妙でした。(日本では、赤旗のスクープだと言っていましたが・・)

 特にこの2,000万円問題は、購買力を侵食する持続的な価格高騰が有権者の不満を煽っているにもかかわらず、野党の激怒と有権者の怒りを引き起こすには十分だったと説明しています。

 自民・公明の連立政権を維持するには、より広範な連立を構築するよう努める必要があり、これは明らかに行動能力を制限することに繋がり、政府は麻痺する危険があり、日本では、不確実性と政治空白の時代が始まると見ています。

 また、この選挙結果は、このシナリオに慣れていない金融市場をパニックに陥らせる可能性があるとアナリストが警告しています。

 まったく、さんざんな書かれようですが、事実なので仕方ありません。

 ただひとつ、好意的に評価されていたのは、「今回の選挙で選出された女性の数は、これまでの2009 年の記録である 54 名を上回り、70 名でした。今回の選挙に立候補した女性は 314 名で、全候補者の 23.4 % に相当します。この結果により、日本は2024年に世界経済フォーラムが定める男女平等ランキングで146位中118位と順位を向上させることになるだろう」という点だけです。

 また、フランスの報道には、記載されていませんでしたが、私が特にショッキングだったのは、相変わらずというか、ほぼ記録的な投票率の低さということで、これは、本当に深刻な問題だと思います。

 日本で生活していて、日本経済や暮らし向きなどなどが悪化していることは実感しているだろうに、にもかかわらず、選挙に行かないという無責任というか、無関心というか、ちょっと○○なのか? 文句は言っても、最低限の投票という義務を果たさないのは、本当に意味がわかりません。

 フランスならば、こんな低い投票率は大スキャンダルです。

 よく知らないとか、よくわからないとかいう人がいますが、知らないなら、知る努力をしなければいけないし、今はそれこそネットだってなんだって、いくらでも情報はあります。必ずしも正しい情報ばかりではありませんが、数を見ていれば、どれが本当だろうか?ということは、見えてくるものです。

 日本の失われた30年は、たしかに政治家に一番の原因がありますが、この投票にさえ行かない国民にも大きな責任があります。


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