
毎日のように、どうにも物騒な話ばかりがニュースにあがってくるので、そのたびにウンザリとさせられます。もっとも、物騒な事件だからニュースにあがるのですが、それにしても、その頻繁さに慣れそうになっているのが怖いくらいです。 フランスはヨーロッパの中で最も殺人事件が多い国なのだそうで、最近はそんなデータにも頷けてしまう感じがしています。 昨日もマルセイユで若者3人が殺された話題があがってきています。 もっとも、殺人事件にまでは至らないとはいえ、それに近い事件はもっと頻繁に起こっているのにも閉口してしまいますが、、今回はクレイユ(オー・ド・フランス地域圏・オワーズ県)でパン屋さんが強盗に襲われ殺されそうになったという話に驚いています。 強盗といえば、宝飾店とか、高級ブティックとかを思い浮かべがちなのですが、なんとパン屋さんまで襲われるとは(決してバカにしているわけではない・・)。 本人は「本当に殺されるかと思った・・」と言っているそうですが、彼は事件当日の午前3時頃に出勤(パン屋さんの朝は早い・・)しようと自宅を出て、車でパン屋に向かう途中でした。待ち構えていた4人組が車の窓を割って、彼を車から引きずりおろすと別の車に乗せて拉致し、森へ向かいました。 森の中で、彼らはハンマーで身体中に暴行を加え、ナイフを突きつけて喉を掻き切ると脅し、お金を要求。さらに、お金がどこにあるのかを言わなければ、家に戻って、妻と子供を殺すと脅しました。ナイフを突きつけて脅すだけでもよさそうなものに、この必要以上に殴りつけ、暴力的なところがさらに恐怖です。 彼らは、彼のキャッシュカードを奪い、暗証番号を聞き出し、パン屋で3,000ユーロを奪って、暴行を加えて、半裸状態にした彼を森の中に置き去りにして逃走しました。 そして、さらに驚くことには、彼が強盗に遭ったのはこれが8度目だということです。過去の強盗事件がこれほどの狂暴性を持っていたかどうかはわかりませんが、それにしても、彼がこのパン屋で働いて、16年というのですから、8度目だとすれば、2年に一度の割合で強盗に遭っているということになります。いくらなんでも多すぎませんか? しかし、なぜ、パン屋が狙われるのかといえば、これだけの成功体験?があるからなのか?とも思いますが、この午前3時という出勤時間が待ち構えて襲撃しやすいということにあるのかもしれないし、また、宝石商などならば、それなりのセキュリティがかかっていて、事件が発覚しやすいのでパン屋さんならば比較的ハードルが低いのかもしれません。 事件後、このパン屋さんは、現在、「無期限閉鎖」になっており、フランチャイズ側からも、この店舗を永久閉鎖するという話も持ち上がっているそうで、彼自身もいよいよ大きなトラウマを負い、引っ越しを考えていると言います。 この事件が起こったクレイユは、パリ北部に位置しており、パリから45キロほどの人口、約3万5千人の街で、そんなに田舎町というわけでもありません。 しかも襲われたのがパン屋さんというのも、しかも8度目だということにも驚きです。 近隣の店舗のオーナーたちは、この地区の治安レベルの低下に言及し、「20年前にクレイユで商売を始めたが、今日では大きな違いがある。駅の警備をもっと強化すべきだ」と警戒感を強めているようです。 いつ、わが身にも降りかかるかわからない惨事に街の人々は震撼としているようです。 このような手口が通用するようならば、本当に商店だけでなく、個人を攻撃しても成り立ってしまう犯罪です。 警察は、誘拐、拷問および野蛮行為による強制監禁、および武器による恐喝の疑いで捜査を開始していますが、これまでのところ犯人は逮捕されていないようです。8度目の強盗事件<関連記事>「観光客が戻ってきたパリ 今年のスリ、ひったくりなどの犯罪のトレンド「観光客なりすまし」」「2023年パリ・バゲットコンクール...