年金改革問題の火が消えないまま、マクロン大統領は逆風の中、前向きな姿勢を崩さず、フランス産業関係者の前でスピーチを行いました。
マクロン大統領は、この場で閣僚理事会に提出される予定の「グリーン産業法案」の骨組みと、この加速を実現するために重要視される措置について説明しています。
フランスの再産業化を加速する戦略の中で、特に小さな街や貿易に関して、研修や訓練などの学びの場を設けるために7億ユーロを投入する計画を予定しています。
また、電気自動車購入に対するエコロジーボーナスは、電気自動車の生産による二酸化炭素排出量を考慮したもので、ヨーロッパで製造された自動車を優遇するように改革される予定となっています。
そして、さらに風力タービンやヒートポンプなどの主要な脱炭素製品の環境基準を以前発表していた2026年から2024年7月に前倒しにすると述べています。
また、ヒートポンプ、風力タービン、ソーラーパネルの生産を支援するための新たな「グリーン産業税額控除」も導入される予定です。
これらは「グリーン産業法案」の一部であり、2030年までに国内で200億ドルの投資を引き起ことが可能になると見込んでいます。
マクロン大統領は、このために近日中にダンケルクにあるヨーロッパ最大のアルミニウム工場を訪問し、来週には、ベルサイユ宮殿で行われる海外投資誘致を目的とした第6回「Choose France」サミットに出席する予定にしています。
また、この機会にマクロン大統領は、環境制約に関する「欧州規制の打破」を呼び掛け、「欧州連合はすでに近隣諸国よりも多くの規制を行っており、今はフランスの業界が安定を必要としている時期である」とも述べ、現在の規制に手を加えないとしています。
「規制の面で、我々は、アメリカ、中国、あるいは世界のどの強国よりも進んでいる!」とし、これらのルールに関しては新たな変更を加えることは、資金調達などの面でリスクを引き起こし、これらの事業参入を遮ることになるため、控えなければならない時だと言っているのです。
「フランスは世界のどの強国よりも進んでいる!」と言い切るとは、相変わらず、自信満々で自画自賛するあたりは、また反発を呼びかねないところですが、早速、数人の左派や環境活動保護家の懐疑的、また批判的な反応を引き起こしており、これは大統領の環境への配慮低下の表れとみなしています。
臆面もなく、「世界一!」だとか、「今は、その時ではない!」というマクロン大統領に対して、「フランスを統治する未熟なティーンエイジャーだ!」など、これまたちょっと言い過ぎなキツい声も上がっています。
今回のマクロン大統領の提案に対しては、この「現在の規制に変更を加えない」という部分が反発を生んでいるのですが、彼は「既存のルールに従って欧州大陸で生産する方が、世界の他の地域よりも優れている」と言っているのです。
日本でも太陽光発電やソーラーパネルなど、環境問題に対応する産業については、その産業促進のための保護や支援などが様々な問題を生んでいる面もあるという話も聞こえてきますが、彼自身も公言している200億ドルの投資が見込まれているという大金が動く産業は、単に環境問題だけでは片付けられない大事業であるということです。
しかし、それにしても、行く先々で鍋を叩かれ、反発の声が上がっても、相変わらず自信満々にスピーチし続けるマクロン大統領、しかも、いかにも反発を生みそうなことを平然と言ってのけるあたり、やっぱり彼のハートは強いな・・と感心するのです。
フランスの再産業化
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