2023年2月16日木曜日

花粉症は治ったと思っていたら、どうやらマスクのおかげだったらしい・・

 



 私は、長いこと花粉症に悩まされてきました。このアレルギー体質は、どうやら母型の遺伝が大きいようで、母をはじめ、母の兄弟姉妹、そして母型の祖母までが、みんなこの時期は特にひどいもので、みんなこの時期になると、涙目になり、ティッシュが手放せず、鼻を真っ赤にして、「もうこの鼻捨てたい!」などと口にしていました。

 ずいぶん前に春先に日本に行く機会があったのですが、どうにもこの花粉症がひどすぎて、しまいには、呼吸困難に陥るくらい苦しい思いをしたので、もうこの時期に日本に行くのは絶対にやめよう!と思っていたくらいでした。

 しかし、ここ数年、すっかり花粉症の症状もおさまり、そんな苦しい思いをしたことも忘れて、昨年の今頃、用事があって日本へ行ったのですが、花粉症のことなど全く思い出しもしないほど、全く大丈夫だったのです。

 母は歳をとるにつれて解放され、「どうやら年齢とともにアレルギー反応の出方も弱まるみたいだから、あなたも歳をとってきたら、自然に治まっていくわよ・・」と言っていたので、私も歳をとったということか・・よかったよかった・・と妙に自分で納得していました。

 ところが、今年になって、どうやらまた、花粉症が復活した模様で、目はかゆいし、鼻はグシュグシュで、もうティッシュが手放せずに、四六時中、鼻をかんでいる状態が復活してしまいました。

 特に今年は酷いようで、今朝などは、朝早くにそのために目が覚めてしまい、落ち着くまで鼻をかみつづけ、少し落ち着いたところで、「ふ~っやれやれ・・」とため息をつき、朝からがっくり・・。

 思うに私の場合は、年齢のためにアレルギー反応が弱まったわけではなく、ここ数年、コロナウィルスのために、ずっとマスクをし続けていたのに、今年はすっかり屋外でのマスクは外してしまっていたためでした。

 幸いにもこれまで私はコロナウィルスには一度も感染せずに済んできたのですが、コロナウィルスのために否応なしにし続けてきたマスクのおかげで花粉症も防ぐことができていたことに、今年は実感しているのです。

 マスクがここまで花粉症に有効だとは、思ってもいなかったので、逆に以前も花粉症だからといって、マスクをすることがなかった私、今からマスクをしたところで、花粉症がおさまるかどうかはわかりませんが、とりあえず、しばらく屋外でも、いや屋外だからこそマスクをしなければならないと思い直すのでした。

 おかげさまでマスクは買い置きのものに加えて、何度もフランス政府が送ってくれたマスクが大量にあり、あらためてマスクを買い足す必要もありません。

 まだまだ、私はアレルギー反応が弱まるほど歳をとっていなかったと思えば、悪くはないな・・とも思うのですが、体力の衰えはしっかり感じていて、アレルギー反応だけ据え置きとは、本当にトホホです。

 昨年、マスクの義務化が撤廃されたばかりの頃に、スーパーマーケットの中でマスクをしている人に向かって、「おまえ、いつまでマスクなんかしてるんだ!」といちゃもんをつけていたおじさんに、「私は、花粉症なので・・」と言い訳している女性がいて、「なるほど、花粉症とは、上手い言い訳だな・・」と思ったことがあったのですが、考えてみたら、あの女性は本当に花粉症だったのかもしれない・・と今になって思うのでした。


花粉症 マスク


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2023年2月15日水曜日

欧州議会 2035年から内燃機関搭載の新車販売禁止を採択 100%電気自動車を目指す

  


 欧州議会は2035年から内燃機関搭載の新車販売を禁止にする規制案を採択しました。つまり、EU圏内のガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を事実上停止し、欧州全体で、本格的に電気自動車に切り替えていくという方向に大きく舵を切ったことになります。

 2035年というと、12年後、つまり次のウサギ年が回ってくる頃まで、自動車業界には、激動の12年間となりそうです。

 欧州議会・運輸議会議長は、この決定を「我々は、自動車と気候という敵対する2つの兄弟を和解させる歴史的な合意に達した」と誇らしく語っています。

 賛成340票、反対279票、棄権21票で採択されたこの規制案は、欧州における新車のCO2排出量を2035年からゼロにすることを定めたものです。

 この票数を見れば、これに反対する票もかなりあったことがわかります。

 これまでにもフランスでは、すでに、かなり排ガス規制が厳しくなり、特にパリ市内は規制がややこしく、私が時々、お世話になっている運転手さんによると、「車の車検は年々、厳しくなり、結局は、今までよりも、かなり頻繁に車を買い替えなければならないようにできている・・」とのことで、彼曰く、車は自分で持たないのが一番だそうで、私自身もあまり必要性を感じることもなく、車は手放してしまっています。

 また、この中間地点の2030年以降に販売される新車のCO2排出量を2021年比で55%削減することが定められており、現在の目標値37.5%を大きく上回っています。それだけ環境対策が急がれていることは、ここ近年の異常気象などからも理解できるのですが、言うほど簡単なことではありません。

 現在、トータルエナジーズのストライキなどで、ガソリン供給がままならなくなって、ガソリンスタンドに行列している車なども劇的に減少するということにはなりますが、新車の販売を中止したところで、フランス人が乗る車(買う車、探す車)は、ほぼ中古車で、正確な数字はわかりませんが、フランスの中古車率はかなり高いと思われるため、2035年に、ガソリン車の販売がストップしたところで、すぐにすべてが電気自動車になるわけではありません。

 ただし、新車の販売がストップするということは、部品などの生産もストップするわけで、修理などが不可能になっていく可能性もあります。

 また、これにより、現在1250万人の雇用を生み出している欧州の自動車産業に大変な影響を及ぼすであろうことも危惧されています。雇用問題までが関わってくれば、その過程でまた大変な騒動が起こることが予想されます。

 そして、同時に、電気自動車充電のための電力供給と電力生産の方法なども問題が積み重なります。そして、この規制案に反対するグループによれば、電気自動車の生産は、これまでの内燃機関搭載車に比べて生産自体が公害を排出するものであるという声もあり、また、電気自動車の寿命はこれまでの車よりも3~4倍寿命が短いという調査結果も提出されています。

 これに対抗して、電気自動車の電池リサイクルも検討されていますが、現在のところ、電池リサイクルはわずか5%にとどまっている状態だそうで、これからさらなる開発が求められるところです。

 また、この種の規制案にはつきものの、付け加えられている例外条項についてですが、年間生産台数1万台未満のメーカーには、他の業界より1年長い2035年末まで内燃機関を搭載することを認める猶予が与えられています。この条項は、時に「フェラーリ修正条項」とも呼ばれ、特に高級ブランドに恩恵をもたらすもののようです。

 また、富裕層優遇??とちょっとイラっとしないでもありませんが、このくらいの高級ブランドとなれば、ただでさえ、減価償却しないイメージのある車、かえって今後、生産されなくなるとすれば、コレクターにとっては、まさに価値は激上がりしそうで、また別のマーケットが生まれそうな気もしています。

 いずれにせよ、色々なもの、色々なことがどんどん変わっていく世界。変化を柔軟に受け入れる姿勢を持ち続けなければならないのかもしれません。


欧州議会2035年内燃機関搭載の新車販売禁止


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2023年2月14日火曜日

父親がファストフード店の前に子供を置き去りにした事件で我が家に起こった事件を思い出しました・・

 



 日曜日に4歳と5歳の子供をファストフード店の前に置き去りにした58歳の男性が身柄を拘束されたという、ちょっと奇妙と言えば奇妙な事件が起こりました。

 2人の子供が放置されていることに気付いたファストフード店の従業員が警察に通報したことから、この事件が公になりました。

 子供たちは、自分の住所を言うことができなかったために、さらにこのことが大事になったような気もするのですが、本気で子供を置き去りにする、捨てようとしたにしては、あまりに発見されやすい場所でもあります。

 その後、父親は子供を放置したファストフード店に戻ってきましたが、その時はすでに子供は警察に保護された後のことで、彼は警察に子供を迎えに出向きました。

 子供を取り戻すために警察に出向いたのだから、ほどなくして子供とともに解放されると思いきや、この男性は、この無責任な行動について説明することができなかったため、「未成年者遺棄」の罪で身柄を拘束されることになりました。

 子供たちは食事をしていない様子だったため、警察へ向かう途中でクロワッサンを買ってもらったそうですが、この子供たちがどれだけ事情をわかっていたのか?実際の家族関係はどのようであったのかはわかりませんが、子供の母親は妊娠中で、そんなことが起こっていたとはまるで知らなかったようです。

 フランスでは、この年頃はもちろんのこと、小学生の間は、学校の送り迎えも必要で、子供だけで外に出るということは考えられないため、娘がこの年頃の頃に住所を言えるように教えたどうか、記憶にはありませんが、字を書く練習で自分の名前や住所は書けるようにしていたかもしれません。

 しかし、この事件を聞いて、思い出したのは、昔、シャンゼリゼで農業祭があった時に、シャンゼリゼの全面が歩行者天国になり、お花畑ができていたり、動物たちがやってきた時のことでした。

 シャンゼリゼでこんなことは、滅多にない!と、娘を連れて出かけたときに、それはけっこうな人出で、そんな中、娘とはぐれてしまい、もうシャンゼリゼを下りたり上ったり、何往復もして探し回ったことがあり、本当に焦ったことがありました。

 シャンゼリゼって、上から下まで歩くとけっこうな距離です。

 当時、私は携帯は持っていたものの(しかも、まだガラ携だったし・・)、娘は持っておらず、今回の事件と違って娘は10歳くらいだったと思いましたが、とはいえ、まだまだ子供。

 彼女は携帯を持っていなかったので、携帯で連絡をとるということもできずに、私は血眼で娘を探し回っている間も携帯を見る・・どこかに電話するということも考えなかったため、私の携帯はバッグの底に沈んだままで、その存在さえ忘れていたくらいでした。

 もう途方に暮れて、まさか、一人で家に帰っているかも?(彼女も自分のNavigo(定期券)を持っていたため)と思って、家に電話してみようか?と携帯を開けたところ、警察官からのメッセージが入っており、「はぐれてしまったと思われるお嬢さんと一緒にルイヴィトンの近くにいますからすぐに来てください」と。

 どうやら、娘は、近くにいた警察官に頼んで、私に電話をしてもらったようで、幸い娘を見つけることができました。

 娘と再会して、「どこにいたの??不安だったでしょ??」と叫ぶ私に、案外、娘は冷静で、「ママがメッセージに気が付かなかったら、そのうちおなかがすいて、何か食べさせてもらえるだろうから、何を食べさせてもらおうか?考えてた・・」と拍子抜けの答えが返ってきました。

 しかし、今回の事件の話を聞いて、私の場合は、娘を置き去りにしたわけではありませんが、結果的に子供を放置状態にしてしまったことには違いなく、警察に拘束される・・なんてこともあり得ないではなかったかもしれない・・と、今さらながら、ヤバいことだったな・・と思い知らされたのです。

 フランスは児童保護に関しては非常に厳しいので、(実際に、酷い親もいるからなのでしょうが・・)その保護団体などの保護や監視が的外れな場合もないこともないので、私の場合どちらかといえば、この保護団体の過剰な監視の方を警戒していたところもあります。

 日本だと、パチンコに夢中になって、子供を車の中に置き去りにしてしまったなどという話は聞いたことがありますが、この父親、一体、何のために子供を置き去りにしていたのか?はたまた本当に捨てようとしていたのか?は、まだ明らかにされていません。


子供置き去り事件


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2023年2月13日月曜日

2023年国際ソムリエコンクール 30年ぶりにパリで開催 ワインとフランス

  



 若い頃は、とにかくお酒が大好きで、日本では、とにかくビールが好きで1日2リットル近く飲んでいた時期もあり、また、ウィスキー、日本酒、焼酎、ジンなどなんでもいける感じでした。

 そんな中でも最も飲んでいなかったのは、ワインで、一度開けてしまうと始末に悪い気がしていたこともあり、またワインは選ぶのが難しいうえに、決まった銘柄をどこででも気軽に買えるという感じでもなかったので、一番、飲む機会も少なかったのです。

 しかし、フランスに来てからは、気候のせいもあるのか? なぜかビールを飲みたい感じは消え去り、飲みやすい?ウォッカを友にしていた時期もあるのですが、結局のところは、ワインが一番コスパもよく、また季節ごとにワインフェアなどをやっていて、箱詰めのワインが山積みにされたりするので、少々、煽られているところもあるのか、断然、ワインを飲むことが多くなりました。

 あんまりお酒を飲まなくなっている今でも、もう身体に染みついている酒瓶をみるとワクワクして嬉しくなってしまう感情はなくなっておらず、ついつい箱買いしてしまったりするのです。

 ちなみに、そんなに有名ではない、安いのに美味しいワインを探し出すことに、最近の私は喜びを見出しています。

 そんなフランスで、30年ぶりにパリで国際ソムリエコンクールが開催されるというニュースがちょっとだけニュースに出ていて、「へ??ワインのソムリエコンクールなのに?あんまり注目されていないんだな・・」と意外に思いました。

 「ワインといえばフランス、フランスといえばワイン」をイメージする人は多いと思いますが、意外にもフランスでは、このソムリエという職業は、単なるウェイターと大して変わらないような(とはちょっと言い過ぎですが・・)、あまり正当に評価されていないという声もあるほど、あまり光があたっていない職業でもあるのです。

 今回、このコンクールに参加したフランスで最優秀ソムリエと最優秀職人の称号を持つフランス代表のソムリエもニューヨーク勤務ということで、現在、フランスで活躍しているわけではありません。

 彼女自身もソムリエがスターとして輝けるのはアメリカやアジアだと語っています。日本では、たしか、以前にソムリエにスポットをあてたテレビドラマなどもありましたね。

 とはいえ、コンビニのような小さいスーパーマーケットは別として、フランスなら大抵、どこのスーパーマーケットに行っても、カーブ(ワイン貯蔵スペース)があり、前述したように季節になるとワインフェアなどが行われたりする裾野の広い土壌があるのですが、このカーブも年々スペースが縮小され、代わりにビールのスペースが広くなっていたりもして、特に若者のワイン離れは、ワイン愛好家から嘆かれたりもしています。

 身近なところでは、我が家のアパートのゴミ捨て場などからも、以前に比べてワインの瓶がずいぶん減ったな・・などと思います。(ゴミの分別をあまりきっちりしないフランス人もさすがに瓶だけは、別に捨てます)

 ワインを飲む人が減ったとはいえ、ソムリエとなる人にとっては、ワイン文化が根付いている土地で生まれ育っているということは優位だとは思うのです。

 しかし、ワインにかかわらず、現在はアルコールは控えましょう、アルコールは健康を害するもの・・という流れで、フランスでは、アルコール飲料のテレビコマーシャルなどは、NG。広告もそんなに多くはありません。(なので、日本政府がサケビバ・・など若者を対象にお酒の広告を募ったりするのにはびっくりしました)

 少なくとも、私自身は、レストランに行っても、ソムリエが各テーブルに登場するような高級レストランには行かないので、レストランでワインを頼んだ際に、ウェイターの人が、すっとワインオープナーをポケットから出して、キュッキュッと器用に素早くコルクを開けてくれるのを見て、カッコいい技だ・・と思うくらいで、あれこれ、ワインについて、解説されたところで、あまりよくわからないのが、正直なところです。

 パリで開催されたというのに、今回、出場したフランス人ソムリエは4位にとどまり、決勝に進出できなかったようです。

 ちなみに1995年に東京でこの大会が行われた時には、日本人が優勝したそうで、そういえば、その頃から日本では、ソムリエという職業に光があたりはじめ、今やソムリエという言葉はワインだけではなく、日本のサイトを見たら、「フランス人ソムリエが厳選した日本酒」なるものまであって、ちょっとビックリしたと同時に、「なぜ?フランス人ソムリエ?」とそのワインとソムリエとフランスのイメージの変化球をおもしろいな・・と思いました。

 今回の優勝者は、ラトビア人のライモンズ・トムソン氏ということで、彼もまた、優勝の喜びを「パリ・フランスほどこのタイトルにふさわしい街・国はない」と語っています。

 この多くの人が抱くワイン・フランスのイメージは、世界的に刻み付けられているものなのかもしれません。


2023年国際ソムリエコンクール パリ


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2023年2月12日日曜日

赤ちゃんを抱っこしてメトロに乗る女性

  


 メトロの中で小さい子供を抱きかかえて、愛おしそうに我が子をのぞき込んでいる女性を見て、なんとなく、ふんわりとした気持ちと、大変だろうな・・という気持ちと、懐かしいような気持ちになりました。

 しかし、よく考えてみれば、懐かしい気持ちがしたというのは、ほぼ私の勘違いで、私はメトロにこのように子供を抱きかかえて乗ったことはありませんでした。

 娘が生まれたのは西アフリカのコートジボアールという国でしたが、娘が生まれて3ヶ月後には、フランスに引っ越してきたので、私の子育て期間はほぼフランスでのことでした。

 考えてみれば、娘をこのように抱きかかえて乗り物に乗ったのは、コートジボアールからパリに来るときの飛行機だけで、飛行機に搭乗前にベビーカーを預けてしまったために、生後3ヶ月だった娘は抱っこして、乗らざるを得なかったのです。

 娘はようやくお座りができるようになったばかりの頃で娘の席は、中央部分の壁のある部分に取り付けてくれるバスケットだったのですが、夜間フライトなので、おとなしく寝てくれるかと思いきや、フライトの間中、バスケットの上に座り込んで、周囲に愛想をふりまきながら、ちっとも寝てくれずにこちらも全然、眠れなかったのを覚えています。

 夫は、家探しのために一足先にパリに行っていたので、初めての一人での子連れの長旅でした。直行便が取れずに、ブリュッセル経由の飛行機で、ブリュッセルまでの飛行機の到着が遅れたために、パリ行きの飛行機の乗り換え時間がギリギリになり、ベビーカーもなしに、荷物と娘を抱えて、ブリュッセルの空港を必死の思いで走ったのを覚えています。

 ブリュッセルからパリまでのフライトはそんなに長くありませんから、そのまま娘を抱っこしていた気がします。

 しかし、後にも先にも、私は他にこのように娘を抱っこして乗り物に乗った記憶はなく、夫が比類の車好きということもあって、家族での移動はたいてい車だったので、(もちろん、通勤には、電車やメトロを使っていましたが・・)娘は2歳くらいまでは、ほとんど電車もメトロも乗ったことがありませんでした。

 考えてみれば、このように小さい子供を連れてメトロに乗っている人はあまり見かけることはなく、だからこそ、私もなんとなく、珍しく眺めてしまったのですが、時々、ベビーカーを押して乗ってくる人はいるものの、子供を抱っこして、乗っている人はあまり見かけないような気がします。

 娘が歩けるようになってからは、エネルギー有り余る娘になんとか疲れてもらうために、私は、ほとんどベビーカーというものを使うことがなく、ベビーカーを使うときは、あちこち歩き回ってほしくない場合や、買い物をしたときに、荷物をベビーカーの手すりにぶら下げる際の重しとして乗せていたくらいでした。

 考えてみれば、娘は、このように出先で寝てしまうということも一度もなかったので、このように抱っこして歩いたという経験は一度もなかったのです。

 今から考えれば、子供を抱っこして歩くなどという愛おしい行為を少しはやっておけばよかったと、ちょっと残念に思うくらいなのですが、あの頃は、娘は出先で寝てしまうどころか、昼寝というものでさえも、一度もしたことがなく、たまの私のお休みの日などに一緒にお昼寝をさせようと思って横になっていても、寝てしまうのは私だけで、「寝ないで~~起きて~~」と揺り起こされる地獄のような拷問に耐えながら、なんとか娘のエネルギーを消費させることばかりを考えていたのです。

 おそらく、メトロで小さい子供を連れている人をあまりみかけないのは、ほとんどの場合、お母さんも働いているので、自宅の近くの保育園に子供を預けて、仕事に行くのが普通で、それこそ休みの日には、車で出かけるか、自宅近辺で過ごすというのがスタンダードなのかもしれません。

 日本だと、それこそママチャリに子供を乗せて移動している人をよく見かけますが、いくらフランスで自転車が増えたとはいえ、まだ子供を乗せて走るほどにはなってはいません。

 それにしても、小さい子供を育てるということは、つくづく大変だなぁ・・と赤ちゃんを抱っこしてメトロの座席に座っていた女性にエールを送りたくなったのでした。


メトロ 赤ちゃん 子供


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2023年2月11日土曜日

ダイナミックプライシング 日曜日には商品価格が値上げされていた⁉


 「スーパーマーケットチェーン カジノCasinoは、日曜日の値上げを廃止する1」という見出しを見て、逆に「えっ??日曜日は値上げされてたの?」とビックリしました。

 これによると、スーパーマーケットチェーン・カジノは「1月末をもって日曜日のダイナミックプライシングを適用しないことを決定した」と同社広報が発表しています。

 そもそも、日曜日には、ほとんどの商店が営業していないフランスでは、パンデミック以降、日曜日も営業するスーパーマーケットなどが少し増えて、我が家の近所のカーフールなども、午前中だけではありますが、日曜日も営業するようになりました。

 しかし、今回、話題に上っているカジノブランドのスーパーマーケット(特にハイバーマーケット)では、2018年12月以来、消費者に安心感を与えるサービスとして日曜日の全日営業を行っていましたが、この実験的?な試みには、日曜日限定で、商品の価格を少し変えるという試みも加えられていました。

 消費者に安心感を与えるサービスと同時に日曜日に商品の値上げをするというのは、どうにも矛盾する気もしますが、同社は、このダイナミックプライシングを航空運賃などの変動価格にヒントを得て導入したと言われています。

 ある調査機関の調査によると、同系列のハイパーマーケット5店の価格調査を公開し、調査対象の約半数が土曜日の午後と比べて日曜日には値上げされている事実が浮上しています。

 大きなものでは36%の値上げで、全体的には約15%の値上げが認められたと言われています。(全商品が値上げされているわけではない)

 商品一つ一つに値札がつけられているわけではない現在、価格変更の原理は簡単で、電光掲示板によって店内に表示する商品の価格を1日ごとに、あるいは1時間ごとに変更することができ、連動してバーコードの価格が変更されるのです。

 カジノチェーンは、日曜日の値上げを、店を一日中開けておくための「コスト」として正当化しており、「店の運営費、警備員の人件費、日曜に空いた店を月曜の朝から片付けるための追加シフトなど、これらのことから、一部の製品を値上げせざるを得なくなった」と経営陣は説明していました。

 年中無休が珍しくない日本では、このような休日出勤の雇用契約がどのようになっているのかわかりませんが、フランスの場合、一般的に、日曜営業をするには、特別な許可を申請する必要があり、そのうえ、従業員に対して、休日出勤手当として、ドゥーブルペイエと言われる割り増し料金を支払わなければならず、同じ商品を同じ価格で売るためには、人件費だけでも余分なコストがかかるため、割の悪い商売になるのです。

 私自身は、フランスに来た当初、ほとんどの店舗が日曜日には閉店してしまうことに、ちょっと驚き、平日、子育てをしながら平日は仕事をしている身としては、「なんで?みんなが買い物に出られる日に休みなの~~?」とウンザリしていましたが、土曜日には、子供のお稽古事の送り迎えのハシゴをしながら、その合間に買い物をするという超忙しい土曜日にも慣れ、日曜日には、ぐったりして一日休息の日、あるいは、まったくの余暇の一日となることにも慣れ、たまに日本に行ったりして、日曜日にもお店が開いていることに、「えっ?そうか・・日本は日曜日もお店、やっているんだった・・」となんとなく、買い物の予定を日曜日を避けて日程を組んでしまっていたりして、逆に、「なんか曜日の感覚が崩れるなぁ・・」などと思ったりしたものです。

 今では場所によっては、日曜日も開店しているお店が増えたとはいえ、なんとなく、未だに私の中では、日曜日はお休みの日という刷り込みが消えず、日曜日に買い物をするということはないのですが、まさか値段が変えられていたということは、全く知りませんでした。

 このダイナミックプライシングをなぜ、やめると発表したのかはわかりませんが、インフレが続いているこのご時世、消費者が値段の変動に敏感になったことが原因なのかもしれません。

 今のところ、他のスーパーマーケットチェーン等は、この件に関して、あまり積極的にはコメントを出していないし、カーフールなどは「この手法は使っておらず、ダイナミックプライシングの原則はない」と述べています。

 いちいち、細かい商品価格のチェックを日替わりで行う趣味はないものの、日曜日に値上げされていた・・などという話を聞けば、一応、値上げする理由などは、理解できるものの、あまり気分のいいものではなく、やっぱり日曜日には買い物しない方がいいのだな・・と思ってしまうのです。


ダイナミックプライシング カジノ Casino


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2023年2月10日金曜日

トータルエナジーズ2年連続過去最高利益更新から見える勝者がますます富む図式

   


 昨年末にロシア大手ガスプロムからのガス供給が停止した直後から始まったフランスのガソリン供給会社トータルエナジーズの全国規模でのストライキは国民を大混乱に陥れました。

 当初は、ガソリンスタンドからガソリンがなくなりはじめたことで、もはやフランスにガソリンがなくなってしまうのだろうか?とパニックをおこしかけた人も少なくありませんでした。

 しかし、同社広報はすぐに、「在庫は十分にあるので、フランスでガソリンが不足しているわけではありません」と発表し、その後、このガス欠状態は、同社組合によるストライキが原因であるということがわかってきました。

 日常生活に車が必要な人々にとっては死活問題で、ガソリンが入荷されたガソリンスタンドには、長蛇の列ができ、給油するために、長時間並ぶ、あるいは、ガソリンのあるガソリンスタンド検索アプリなどまで登場し、我が家の近所にもこのための大渋滞ができているのを目撃したりもしていました。

 ガソリン価格が高騰し始めた時点で、同社は1リットルあたり20セントの値下げを導入したため、(政府が導入している1リットルあたりの値下げを併せると1リットルあたり50セントの恩恵を受けることができる)消費者が30%増加したと言われていました。

 そのうえ、ガソリンがないとなると、値段があがろうが、とにかくガソリンがある時には、先を争ってでも入れておこうとするのは追い詰められた人にとっては、当然のなりゆきで、弱い人々をさらに痛めつけるようなシナリオが遂行されてしまったのです。

 同社の組合のストライキは前年の収益増加に見合う昇給がなされていないというのが、理由の一つではあったものの、そもそもこの会社の給与は十分に平均水準を超えた富裕層で、たしかにこの利益の平等な分配に対して、不満があったとしても、実際に被害を被る一般市民には、到底理解できない別世界の次元での話です。

 しかし、この騒動も会社側の一定の歩み寄りによって、年末にはおさまり、ストライキも終わったのですが、今回、年間決算の発表があり、過去最高を記録した前年の利益160億ユーロ(2021年)をさらに上回り、今年は190億ユーロ(2022年)に達し、再び過去最高益を記録したことにより、同グループの利益配分をめぐる議論が再燃しています。

 現在の状況では燃料費の高騰は抑えようもないことは事実ではありながら、あまりの高騰に、政府からの補助金が出たりして、価格高騰にもかかわらず、生活必需品でもあることから、消費がさほど落ちることはなく、1リットルあたり20セントの値下げとこの会社の収益から考えたら、カスのような割引のために一般市民が集まり収益をさらに上げるという「危機感を煽りつつ、善人顔で割引をしてさらに儲ける」という仕組み。

 ビジネスとすれば、巧妙なやり方ではあるものの、これに踊らされて、挙句の果てにガソリンを求めて疲弊した上に、安い給料で高い燃料費を払わされている一般市民にしてみれば、怒り心頭なのもわかります。

 左翼系野党や環境保護団体は、この危機に乗じて気候や従業員を犠牲にして利益を上げていると非難しており、「私たちは働き、税金を納め、それで生活に困っている。一方、そこから逃れ、共謀して利益を得ている大物たちが上にいる」と「国家を食い物にする行為」を糾弾しています。

 政府の援助などが介入する事態になると、それを食い物にする行為と、共謀して利益を得ている大物が背景にいる・・などと言う話は、どこかの国でもよく聞く話でもあります。

 この決算発表の直後に、トータルエナジーズは、貧因層に対して100ユーロのガスチケットを提供することを発表していますが、その実、利益の大半は株主への配当に回されているようで、2022年のトタルエナジーの26億株の報酬は1株当たり2.81ユーロで、1株当たり1ユーロの例外的ボーナスがすでに支払われ、つまりほぼ100億ユーロの報酬が支払われる予定です。

 しかし、一部の経済学者によれば、トータルエナジーズがこの金額を減らせば、株主は株式を売却し、株価は低迷し、アメリカやイギリスに低価格で買収される危険性があるとも言われています。

 一方、労働組合員や政治家は、特に超利益に対する例外的な税の導入を通じて、従業員と国家のためにさらなる要求を出しています。

 どちらにしても、どのようなカタチにせよ、この機に乗じて増収増益を遂げている人々がいることには違いなく、このような企業に追加に課税して、将来の新しいエネルギー開発などに使われる資金の一部でも調達されれば、少しは飲み込むこともできるものの、税金の問題は、国が決定することです。

 しかし、そもそも、ここまで収益があがっているなら、そんなに値上げが必要だったのか?と堂々巡りの議論となり、裏にはどうにも生臭いものがあるような気がしてしまいます。

 同社はすでに昨年の増収の見返りとして、社員には、昇給とボーナスを支払っており、そのうえ、同社の従業員の65%が株主であるという驚きの数字からも彼らは配当としてもかなりの収益を得ているのです。

 こうなると、もはやインフレに喘ぐ一般市民とは別次元の話で、この「富むものたちがますます富む図式」は変わらないのです。

 

トータルエナジーズ2年連続過去最高利益更新


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