2020年5月31日日曜日

ロックダウンによる業績悪化・ルノー15000人削減・モブージュで従業員数千名による大規模デモ

 昨年末には、カルロスゴーンの日本逃亡劇で日産とともに注目を集めた、フランスの大手自動車メーカー・ルノーは、コロナウィルスのためのロックダウンによる業績不振のため、15000人の削減(フランス国内では、4600人削減)、3年間で20億ユーロをコスト削減をする計画を発表しています。  ルノーは、コロナウィルスによる経済危機以前から、弱体化しており、(ヨーロッパでは、多くの国でディーラーが閉鎖され、4月の自動車市場は76.3%下落)生産過剰に悩まされています。  このルノー経営陣の発表を受けて、組合連合の呼びかけにより、従業員数千人がルノー・モブージュ(フランス北部)工場に集まり、市庁舎までの6キロの道のりを経営陣の経営計画(人員削減計画)に反対するデモを行いました。  あらゆるセクションの集まるこの工場では、約2100人の従業員を抱えており、金曜日の朝から閉鎖され、この工場で扱っているカングー(ルノーの車の車名)の生産を、新しいプラットフォームを継承する約70...

2020年5月30日土曜日

コロナウィルスの第一波は去った? 俺たちは、よくやった!日本と対照的なフランス人の自画自賛

 フィリップ首相のロックダウン解除・第2ステージの発表から一夜開けて、フランスのマスコミは、いよいよ、コロナウィルスの第一波は、去った・・と言い出しました。確かに、一日の死者数も集中治療室の患者もグンと減ってきました。フィリップ首相も、一夜明けて、どこかホッと緩んだ表情が印象的です。  しかし、フランスでのコロナウィルスの感染は、すっかりおさまったわけではありません。未だ死者が50人以上出ています。  にも関わらず、もうすっかり戦後のようなムードで、マスク姿の人も日々、減ってきています。しかも、コロナウィルスとの戦いを「俺たちは、とても良くやった!2ヶ月のロックダウンを乗り越えて、みんな...

2020年5月29日金曜日

フランスのロックダウン解除・6月2日から第二ステージへ突入 

     注目されていたフィリップ首相のロックダウン解除・第二章は、「思っていたよりも、明るい報告となりました。」という言葉から、始まりました。  全国的にレッドゾーンが広がっていた感染情報マップも、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)以外は、全てグリーンになり、イル・ド・フランスでさえも、赤からオレンジになりました。イル・ド・フランスがオレンジに留まっている大きな理由は、病院の集中治療室の空き状況が充分ではないということが大きな理由です。  未だ、ウィルスは、消滅したわけではないので、依然として、注意が必要ではあり、制限や制約はあるものの、今まで閉ざされていた場所が6月2日から解放されることになり、日常が戻りつつあることに、国民は、喜びに湧いています。  これまで禁止されていた100キロ以上の移動も可能になり、学校、美術館、博物館、記念碑等のモニュメント、全てのビーチ、湖なども再開されます。公園、庭園などの緑地は、6月2日を待たずして、今週末から解放されることになりました。しかし、依然として、10人以上の集まりは、禁止されており、屋内でのマスクの着用等が求められます。  レストランも再開されますが、レストランについては、かなり慎重で、グリーンゾーンでさえも、1テーブル10人まで、テーブルごとに1メートルの間隔を取ること、カウンターで立ったままの飲食は、禁止されています。イル・ド・フランスのレストランについては、店内の営業は、禁止で、お店の外のテラスのスペースのみの営業が許可されることになりました。  これには、反発の声も上がっており、そもそもテラスのスペースのあるレストランは、全体の4割程度で、半分以上は、依然として営業できないということになります。そもそもパリのレストラン等は、郊外のようにゆったりしたスペースを取れていないお店が多く、営業再開の道は、険しそうです。  劇場についても、グリーンゾーンは、衛生管理を充分にした上で、再開することができますが、イル・ド・フランスは、未だ営業できません。  ナイトクラブ、コンタクトスポーツ、ゲームセンター、スタジアム、映画館等に関しては、全国的に閉鎖されたままです。  また、「STOP...

2020年5月28日木曜日

コロナウィルスは、季節性のものなのか? 娘の親友がコロナウィルスの疑い

 ロックダウン解除から2週間が経過しましたが、フランスには、現在のところ、感染爆発の第二波の予兆は、表れておらず、一日の死者数や重症患者数も減少してきていることから、コロナウィルスは、季節性のものではないか? これから夏にかけて、コロナウィルスは、その威力を失っていくのではないか?と言い出す人が増えてきました。  National Weather Serviceは、今年、5月、6月、7月の気温と降水量の上昇を予測しています。例年だと、これは、あまり歓迎されないニュースですが、今年ばかりは、暑くて湿度の高い夏がコロナウィルスにブレーキをかけるかもしれないことが、妙な希望を煽っています...

2020年5月27日水曜日

ロックダウン解除でもオープンできないパリのレストラン・カフェの抗議のアクション

 5月11日に全国的にロックダウンが解除された今でも、未だ、フランスのレストラン・カフェのオープンは、禁止されたままです。一部、テイクアウトや宅配などのサービスは許可されていますが、大多数の店舗は、閉店されたままです。  5月11日の段階で、ロックダウン解除の更なる段階は、6月2日に、その時点での感染状況を見て、判断、発表するとのことでしたので、6月2日を一週間後に控え、レストラン・カフェ・ホテルの経営者は、営業再開を訴えるアクションを起こすことを呼びかけています。  レストラン・カフェ・ホテル経営者は、彼らのシンボルであるオブジェ・パンのバスケット、シェフの帽子、コーヒーカップなどを店舗の前に積み上げて、「#ATable」ア・ターブル!(テーブルへ!)と営業再開を求めるアクションを起こしたのです。  5月7日のロックダウン解除の発表の際には、6月2日の段階で、グリーンゾーンと判断された地域では、レストランのオープンを段階的に行うとのことでしたので、発表以来、レストラン・カフェの経営者は、どのように安全対策をとって営業を再開できるかをこの間、試行錯誤してきたのです。  6月3日に営業再開が許可されるとしても、具体的な規制への準備を進めるためには、できるだけ早く、その詳細を発表する必要があります。  そもそもフランスの(特にパリ)レストラン・カフェは、狭いスペースに小さめのテーブルが所狭しと置かれている店舗が多いのです。当然、お客さん同士の間隔も狭く、人と人との1〜2メートルの間隔をとるとなると、通常の半分どころか、3分の1から4分の1くらいのテーブルしか置くことはできません。  カフェなどは、お店の前の、通り沿いのテラスにもテーブルが置かれていますが、テラスのスペースの拡大なども考慮されています。  これまでの席数に近い営業をするためには、人とのバリアを作るために透明なバリア等を設置するなどの設備投資も必要になります。  グルメ大国と言われるフランスではありますが、外食は、もちろん、美味しいものを食べに行くということもありますが、フランス人にとっては、人と話す、集うということも大きな理由です。普段、外食をして、周りを見ていると、フランス人の食事は、とにかく長い。そして、ひたすら喋る。食事のあいだ中、ひたすら喋り、ようやく終わりかと思うとデザートを必ず注文し、シメのコーヒーを飲み終わるまでには、相当な時間がかかります。  一度にお客さんが入れる人数が限られるとすると、少しでも回転を良くする必要がありますが、それもフランス人相手には、なかなかハードルが高いのです。  ロックダウン状況になって、あらためて思い知らされるのは、Uber...

2020年5月26日火曜日

ロックダウン解除で行われたストラスブールでの無許可のサッカーの試合に400人参加に唖然

 フランス北東部(グランエスト県)に位置するストラスブールでは、先週の日曜日にアマチュアのサッカーの試合が行われ、約400人がサッカーの試合に熱狂しました。グランエストといえば、今回のコロナウィルスの被害が最も甚大であった地域でもあります。  にもかかわらず、市町村の許可なしに、サッカーの試合が行われ、その様子は、ここ2〜3ヶ月間に、まるで何事もなかったように、その多くの人々がマスクもなしに、歓声をあげ、戯れ、ゴールを決めるたびに、抱き合って喜ぶ様子は、コロナ以前のごくごく日常の生活の一部のようで、そのあまりにためらいのない様子に、驚きを通り越して、唖然としてしまいます。  この事態に...

2020年5月25日月曜日

コロナウィルスの第一線に駆り出されたインターンシップの医学生のトラウマ・PTSD

       今回のコロナウィルスの感染爆発により、フランスでは、医療崩壊が起こり、多くの地域の病院では、満床状態になり、病院のベッドだけでなく、医療機器、医薬品、医者、看護師も足りなくなる非常事態が起こりました。  次々に運ばれてくるコロナウィルス感染患者が病院の廊下にまで溢れ、少しでも余裕のある地域に、TGVや軍用ヘリコプターなどで、患者を搬送したり、足りない呼吸器の補充に動物病院から呼吸器を回収して使用したり、潜水用のマスクを改良して使ったりしていた時期もありました。  当然、医療に関わる人員も不足し、すでに引退している元医療従事者に呼びかけたり、医学部や看護学部の学生やインターンも多く動員されました。引退している元医療従事者でさえ、そのほとんどは、こレほどの危機的状況に立ち会ったことはないわけで、ましてや、まだ経験のない学生たちにとっては、いきなり、最初の壊滅的な第一線の現場での体験が衝撃的でないはずは、ありません。  フランスで一番悲惨な状況であった3月末から4月の初めにかけての期間から、一ヶ月以上が経った現在は、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)以外は、病院も満床状態からは、回復していますが、少し落ち着き始めた今、いきなり第一線に駆り出されたインターンの学生の3人に1人が心的外傷後ストレス・トラウマの症状を訴えています。  Intersyndicale...

2020年5月24日日曜日

コロナウィルス対応と結果 フランスと日本の差 誹謗中傷による個人攻撃と自粛警察

 昨日の日本でのツイッターのトレンド1位が、「誹謗中傷」で、どうしたことか?と思ったら、テラスハウスに出演中の22歳の女性がSNSでの誹謗中傷から?亡くなったということに端を発しているらしいことがわかりました。  SNSでの誹謗中傷は、どこの国でもあることですが、日本での社会の目による攻撃は、なかなか、強烈なのではないかと感じています。明らかな犯罪者ならば、ともかくも、マスコミや社会のムードに煽られる感のある個人攻撃は、当事者になってしまったら、堪え難いことかもしれません。  今回のコロナウィルスの感染防止に関わる件に関しても、自粛警察なる人々が、あちこちに現れ、開店しているお店に張り紙をしたり、ごくごく身の回りでは、マスクをせずにいたり、感染防止のためのモラルに外れることをしている人がいたりしたら、周囲の人が非難するとか、白い目で見るとか、そんな感じであったのではないかと思っています。  こと、コロナウィルスの感染に関しては、そんな日本の社会の風潮で、結果、日本は、感染の被害も、フランスなどとは、桁違いの被害で抑えられ、プラスの結果をもたらしましたが、この「個人を集団で非難し、攻撃する風潮」は、時に、行き過ぎであることが、気になります。  フランスで、コロナウィルスの感染爆発が起こり、フランス全土がロックダウンになった頃、日本政府は、2020年のオリンピックを開催するかどうか?ということを盛んに議論していて、世界は、オリンピックどころではない!この世界的なパンデミックに、日本だけが、避けられるわけがない! フランスでの感染の急激な広がり、死亡者がうなぎ登りに増えていき、医療崩壊を起こしていく様子を見ていた私は、本気で、日本の悠長な状況が心配でなりませんでした。  しかし、オリンピックの延期が決まってからは、フランスのような完全なロックダウン状況には、ならなかったものの、緊急事態宣言が発令され、フランスのような被害には、ならないまま、緊急事態宣言もそろそろ解除されることを聞いて、少しホッとしています。  日本の状態も深刻な状態ではありましたが、結果、数字を見れば、日本は、やはりフランスとは、雲泥の差です。         人口   感染者 ...

2020年5月23日土曜日

フランスのロックダウン解除後・クラスターが続々と発生している

 昨日のニュースでは、ロックダウン解除後にフランス国内で、30件のクラスターの発生が確認されたと発表されていました。それが、翌日には、46件に跳ね上がっています。  確認された感染源となった場所には、病院、学校、企業、食肉処理場、障害者施設、宗教コミュニティ施設などが挙げられています。フランスは、これらのクラスター発生の確認を「クラスターを少しでも多く発見できる事は、感染者を隔離することができ、感染拡大を抑えることができることに繋がる。」と、非常に前向きな受け止め方をしていますが、ロックダウン解除前に公言していた一週間に70万件のPCR検査も達成できていません。  ということは、発...

2020年5月22日金曜日

ロックダウン解除後、フランス各地に起こる不穏な動き・フランスのデモ

 フランスといえば、デモ・ストライキ、と、すぐに連想されるくらい、フランスは、デモやストライキが多い国です。さすがにロックダウン中は、デモもストライキもありませんでした。  ロックダウンが解除されて、晴天にも恵まれて、街に人が出始め、場所を見つけては、集まり、ピクニックを始めたり、ビーチにも、解き放たれた空間を楽しむ人があふれ始めていますが、解き放たれたのは、平和に?友人や家族との時間を過ごす人ばかりではありません。  ロックダウン解除が解除になり、日常生活を取り戻しつつあるということは、フランスに、デモやストライキが戻ってくるということでもあります。  ロックダウン解除後、...

2020年5月21日木曜日

ロックダウン解除・祝日と晴天とで外に出たい若者たち

     今週のフランスは、晴天に恵まれ、気温も30度近く上がり、まさに、家にいるのがもったいないような陽気です。日も長くなり、夜9時近くまで、明るい季節です。  フランスの5月は、日本のようなゴールデンウィークではありませんが、祝日が多い月でもあり、今週も21日(木)が祝日(昇天祭)で、金曜日1日を休めば、週末を含めて水曜日の夜から5日間の連休になるため、例年、プチバカンスに出かける人も多いのです。  今年は、ロックダウン解除になってから、初めての祝日ということで、また、水曜日の夜から、セカンドハウスなどに出かけようとする人や帰省する人を警戒する体制(現在は、1...

2020年5月20日水曜日

フランスのコロナウィルスの流行は、いつから始まっていたのか?

 フランスでの感染爆発の感染源の一つとなったのは、グランエスト(フランス北東部の地方)ミュールーズにある教会での、今年の2月中旬に、一週間にわたる全国から大勢の信者の集まる集会であったことがわかっていますが、(そこから感染が広がり、いよいよフランス中が危機的状況に陥ったのが、それから約一ヶ月後の3月中旬のことです。)ここのところ、そもそも、最初の感染は、いつから始まっていたのか? ということをフランス中の医師たちが突き止めようとする動きが見られています。  2週間ほど前だったでしょうか? 2月の中旬のグランエストでの集会よりも、かなり早い段階、昨年の12月27日の段階で、原因不明とされていた患者が、実は、コロナウィルスに感染していたことが、発覚しました。  その患者が感染して、症状を発症していた段階では、コロナウィルスの症状も具体的に知れ渡っておらず、病名がつけられていなかったのです。幸いにも、その患者さんが回復して、かなり経って、コロナウィルスが全国に蔓延した後に、担当していた医師が、もしかしたら、あの患者は、コロナウィルスに感染していたのではないかと、この患者のPCRサンプルを再分析したところ、実は、コロナウィルスに感染していたことがわかったのです。  その男性の感染経路を調べると、彼の行動範囲には、感染経路は、見つからず、どうやら、その男性の妻が空港近くのスーパーマーケットで働いており、旅行用のキャリーバッグを転がしながらやってきた旅行者を応対した経過があり、彼の妻が最初に感染していたことが突き止められています。  ところが、フランス・フィガロ紙によれば、ここにきて、多くの医師たちが、昨年の10月まで遡って、病院で対応した患者のレントゲン写真をはじめとする詳細なデータの再確認を始めたところ、コロナウィルスの流行が中国でさえ確認されていなかった、昨年の11月16日以前のデータにコロナウィルスと見られる症例が2件、確認されたことが、発表されています。  2019年11月16日からのコロナウィルスの2つのケースから、その後1月16日の段階での12人への感染を特定し、それは、...

2020年5月19日火曜日

コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活 

 フランスで続いたロックダウンは、2ヶ月近く続きました。これから気候が良くなっていく時期に、急に監禁生活が始まって、コロナウィルス感染の恐怖もあり、日々、変わっていくフランス国内や、世界の状況に、ハラハラしながらも、淡々と家の中での生活を送ってきました。  日頃から、私は、どちらかというと家にいるのが好きな方なので、娘がまだ、小さい頃などは、学校やお稽古事の送り迎えや仕事が忙しくて、一日でいいから、どこにも出かけずに、家にいたいと、よく思ったものでした。  一週間前に、ロックダウンは、一応、解除されましたが、結局、ロックダウン中の外出は、2回、買い物に出かけただけで、ほぼ、ず...

2020年5月18日月曜日

ロックダウン解除後、フランス国内 100キロ以上移動して帰ってきた娘

 学業のために、親元を離れて、シェアハウスで一人暮らしをしていた娘が、2年間のエコールでの生活を終えて、自宅に帰ってくることになりました。あと、最低でも1年間は、学生生活が続くのですが、ここから先、一年間は、実際には、海外へのスタージュ(インターンシップ)や、留学の予定になっているために、コロナウィルスとは、関係なしに、シェアハウスは、引き上げてくることになっており、そのタイミングを見計らっていました。  シェアハウスの契約が学校の授業と試験が終了する5月の半ばまでにしていたため、どちらにしても、その前には、帰って来なければならない状況でしたが、最初にロックダウンになることが決まっ...

2020年5月17日日曜日

ロックダウン解除後、最初の週末・さっそく、黄色いベスト運動が再開

       ロックダウン解除後の最初の週末を迎えたフランス。気候の良いシーズンでもあり、これまで2ヶ月間にわたって閉ざされていた店舗やビーチも次々と再開され、人混みのできる人出が心配されていました。  政府は、未だ、コロナウィルスの感染は蔓延しており、多くの人が集中治療室で治療を受けている状態なのだから、皆が感染の危険が高いことを繰り返し、注意喚起の報道を流す一方で、パリから100 km以内(現在のところは、100 km以上の移動は禁止されています)で行ける場所・・などという報道や、各地のビーチの風景などが流され、国民の外出を煽っているのではな...

2020年5月16日土曜日

マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決

 久しぶりにマクロン大統領のマスク姿を見たと思ったら、金曜日は、パリ13区にある l'hôpital de la Pitié-Salpêtrière (ピティエサルペトリエール病院)を訪問していました。ピティエサルペトリエールは、パリにある国立の、大学(医学部)、研究施設等も併設した大きな病院です。  この病院視察の最中に、マクロン大統領と病院の医療従事者との間で、まさかの緊迫した衝突が起こりました。それは、二人の看護師との会話から始まりました。  最初は、看護師から病院の労働条件と、コロナウィルスの危機の真っ只中にある病院の医療物資についての質問から始まりました。「政...

2020年5月15日金曜日

フランス国内の7〜8月のバカンス予約解禁 政府のアクセル加速・コロナウィルス・ロックダウン解除

 フランス政府のロックダウン解除モードには、国民が戸惑うほどに、アクセルがかかっている感があります。もともと、ロックダウンの解除は、地域ごとに段階的に行うはずだったのが、まさかのレッドゾーンまで含めた全面解除。  しかし、ロックダウン解除の際は、レッドゾーンには、いくつかの条件がつけられ、レストラン、劇場、映画館、ホテル等の営業は、解禁されず、それ以上の解禁は、6月2日の段階で、感染状況を検討しつつ、追って発表するとしていたはずが、まだ、ロックダウン解除から一週間もたたないうちに、ここ数日、堰を切ったように新たな解禁が発表されています。  一昨日は、ビーチの解禁が始まったと思ったら、昨日は、7〜8月のバカンス予約(フランス国内のみ・・とはいえ、フランスは、海外にも領土があり、それも含まれています)が解禁され、国民に向けて「7〜8月には、バカンスに行ける!」と発表したのです。  バカンスのために生きていると言っても過言ではないフランス人にとって、これは、朗報には違いありませんが、感染の不安の残るこの状況でのバカンス解禁に国民は、どう反応するのでしょうか?  今年の4月に旅行代理店Locatourが実施した調査によると、ロックダウンが解除されたら、フランス人の21%がバカンスに出ると答えており、ほぼ半数が30日以内にバカンスの予約をする予定と発表しています。  今回のバカンス解禁の際には、「Plan...

2020年5月14日木曜日

楽観的な政府と悲観的な国民のチグハグな関係 コロナウィルス・フランスのロックダウン解除

 フランスのロックダウンが解除になって、まだ、数日しか経っていないのに、解除が、どんどん進んでいく様子が、伝わってきます。私の携帯にも、いくつものお店から、「再開しました!」とメッセージも来ているし、家の外では、工事が始まったらしく、機械を動かす、ドドドドド〜ッという音が聞こえてきます。  しかし、工事の音とともに、反対側の窓からは、相変わらず救急車のサイレンが一日に何度も聞こえてくる、微妙な状況なのです。  街が解放されるにしたがって、ロワールアトランティックのラボールとポルニシェのビーチ、およびヴァンデのサブルドロンヌとイルデューのビーチなどが、条件付きで営業が始まりました。後に続けと、その他の多くのビーチも営業解禁を求める動きが始まっています。  これから気候が良くなっていき、バカンスシーズンに突入するに当たって、それぞれの地元も必死なのは、わかりますが、2ヶ月間の監禁生活が開けた、数日後にもう、ビーチの解禁とは、少々、面食らいます。  また、クロロキン(本来は、マラリアの治療薬)を使ってのコロナウィルスの治療に成果をあげて、一躍、ヒーローのような存在になった、マルセイユの大学病院で、感染症専門医として研究を続ける...

2020年5月13日水曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 フランスの学校再開とSNCF(フランス国鉄)のストライキ

 ロックダウン解除から一日後、フランスの学校の86%が再開されました。10歳以下の子供には、マスクは、義務付けられてはいませんが、やはり、親心でしょうか、マスクをつけている子供も少なくありません。厳しく、親にマスクの付け方、外し方を教えられているようで、それを得意げに話す子供の様子の背後には、心配しながら、子供を学校に行かせている親御さんたちの気持ちが垣間見えます。  学校中が消毒され、街中のお店や駅のように、床には、子供たちが、人と人との距離を取りやすいように、テープが貼られています。教室の机も一つおき、もしくは、離れた席に座り、キャンティーン(給食)の時間も対面しないように斜めに席につくようにされていたり、時間ごとに手を洗うように指導されていたり、学校側の警戒も労力も相当なものです。              それでも、2ヶ月ぶりに学校に来れることを喜ぶ子供たちは、新しい環境に頑張って順応しようとしています。大らかな子供は、その変化をむしろ、楽しむようなところもありますが、ナイーブな子供は、すでに、その新しい異常な環境に馴染むことに難しさを訴えている子供もいます。  休み時間に校庭で遊ぶ際にも、校庭には、一人一人が離れて遊ぶように四角い枠が書かれて子供同士が固まることができないように指導されていたりする学校もあるようです。           学校再開の初日は、概ね順調なスタートを切ったようですが、現在のところ、学校に登校している子供は、全体の22%のみで、少人数だからできる対応であるのかもしれません。これから人数が増えていった時の対応が案じられます。  しかし、とりあえず、「ハイ!」と言うことを聞かないフランス人の大人と比べて、子供は、従順で、先生の言うことをよく聞いているので、小さい子供は、問題も少ないのかもしれません。www  そんな中、公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)には、ストライキに向けた不穏な空気が流れています。SNCFのパリ東部地域にある組合は、5人の活動家を対象とする懲戒手続きに抗議し、組合抑圧を訴えるために、5月18日(月)に鉄道労働者にストライキを呼びかけています。このストライキには、パリの東駅、RER...

2020年5月12日火曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除・初日のフランス パリ・サンマルタン運河は早くもアルコール禁止の措置

 緊張と不安と、ほんの少しの喜びと共に、フランスは、55日間のロックダウンの解除の初日を迎えました。心配された公共交通機関での混雑は、メトロ13号線や郊外線の一部で、一時、人と人との間隔を取れないほどの混雑に見舞われましたが、想像以上に多くの人が、リモートワークに留まっていることや、自転車やトロチネット、車を利用し、公共交通機関を避けたことで、とりあえず、初日は、大きな問題は、起こりませんでした。  我が家の近くのVelib(パリの貸自転車)置き場には、先週末には、自転車が満杯に用意されていましたが、気がつけば、ガラガラ・・多くの人が、公共交通機関を利用する代わりに自転車を利用して...

2020年5月11日月曜日

自己責任に委ねられたフランスのコロナウィルス・ロックダウン解除

 5月11日のロックダウン解除が発表されたのが、5月7日(木)。地域による段階的な解除とのことだったのに、条件付きとはいえ、レッドゾーンまでの解除に、この三日間は、とにかく決まってしまったことゆえ、皆、必死の準備に追われていますが、特に公共交通機関の現場は、混乱状態のまま、ロックダウン解除に突入します。  ここのところ、一日の死者数も70人(5月10日現在)までに下がっていますが、ICUにいる重症患者は、減少しているものの、未だ、2812人もおり、その半分以上がイル・ド・フランスに固まっている状態です。つまり、パリ近郊の病院は、未だ、満床状態です。  そんな、現状を踏まえてか、フ...

2020年5月10日日曜日

コロナウィルス・ロックダウン中のインターネットのない世界

 ロックダウンから、50日ほど経って、突然、インターネットが使えなくなりました。    ロックダウンで、外出できなくなっても、ネットが通じるおかげで、情報は、入るし、周りの人とも繋がることができたので、インターネットがある時代で、本当に良かった・・と思っていたら、突然、サーバーがダウンしてしまいました。  ここのところ、ネットが遅くて、利用者が多いのだなぁと思っていたのですが、まさかのダウンとは・・。  慌てて、サーバー会社に電話すると、現在、対応しきれないので、しばらくお待ちくださいとのこと。こんな時にもさすがのフランス・・ちっとも、対応を急いではくれません。外に出たところで...

2020年5月9日土曜日

フランスのコロナウィルス・ロックダウン中の戦勝記念日のセレモニーとロックダウン解除への混乱

       フランスは、5月8日は、戦勝記念日で祝日で、毎年、凱旋門でセレモニーが行われています。今年は、75周年にあたる年でしたが、セレモニーは、コロナウィルスのロックダウンの中、ある意味、歴史的な、特別な状況で、行われました。  セレモニーは、最小限に縮小され、例年は、凱旋門にある世界大戦での犠牲になった戦士のためのモニュメントに大きな花を捧げて慰霊をし、華やかにパレードが行われ、シャンゼリゼの沿道には、多くの見物客が押し寄せます。  今年は、パリの街は、からっぽで、人の気配が全くない中、マクロン大統領、フィリップ首相、前任者であるニコラサルコジとフランソワオランド、パリのアン・イダルゴ市長、軍関係者等の最小限の出席者のみで、行われました。  出席者は、敢えて?誰もマスクはせず、人との距離を置く形で行われました。伴奏の楽隊なしで歌われるマルセイエーズ(フランス国歌)が、からっぽの街に響いていました。  奇しくも今は、戦時中のような状態で、戦争の勝利を記念するセレモニーは、ロックダウン解除を目前にしているフランスには、コロナウィルスに勝利したわけではないにしろ、一つの節目を迎えるタイミングで、ある意味、象徴的な意味合いも感じられました。敢えて、マスクをせずにこのセレモニーに臨んだマクロン大統領のコロナウィルスとの戦いへの勝利、あるいは、勝利への道へのアピールであった気がしています。  しかしながら、ロックダウン解除に向けて、世間は、その準備に大わらわで、特に、パリ、イル・ド・フランスの交通機関は、必死に安全対策を行なっています。  SNCF(フランス国鉄)は、50%、RATP(パリ交通公団)は、75%の運転を保証し、パリの60ヶ所の駅は、閉鎖状態のまま留められます。公共交通機関でのマスク着用の義務化(マスクをしていない場合は、罰金135ユーロ)、通勤時間帯とされる...

2020年5月8日金曜日

フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?

   フランスは、3月17日以来の約2ヶ月間のロックダウンを5月11日に解除することを発表しました。  前回のロックダウンの延長と解除の発表以来、地域ごとの段階的な解除ということで、フランスの地図を感染状況、病院の空き状況などによって、赤、黄色、緑の三色に色分けしてきましたが、今日の発表では、赤と緑の2色になりました。  色分けをし始めてから、赤から黄色、緑へと変わった地域もありましたが、結局のところ、イル・ド・フランス、オー・ド・フランス、グランエスト、ブルゴーニュフランシュコンテの4つの地域、およびマヨット県は、赤のまま、残りました。  ところが、赤の地域は、解除は、延期と思いきや、厳しい条件付きということで、他の地方と同じ段階で、「ロックダウン解除」という決断を下したのです。  数日前に、マクロン大統領が小学校(イル・ド・フランス地域にある学校)を訪問し、マスクをして、子供たち(親が医療従事者だったりする家庭の子供が通学している生徒が数人だけの教室)と接したりしている様子を報道したりして、すっかり、解除モードをアピールして、子供たちにも、「来週からは、クラスメートも少しずつ学校に来るようになるよ!」などと、話したりしていたので、まさか・・と思っていたのです。  わざわざ、色分けしておきながら、同時に解除するのは、解せませんが、それだけ、経済的にも逼迫した状況なのだと思います。ここのところ、一日の死者数も減少してきているし、ICUにいる重症患者数も減ってきています。しかし、レッドゾーン(赤の地域)は、未だ、ICUも満床状態で、余裕がありません。私は、そのための、色分け、段階的な解除と受け取っていましたが、この状態が長引くことは、明白で、リスクを冒してでも、ウィルスとともに生きていくことを模索し始めなければならないと判断したのでしょう。  検査数を週70万に拡大し、陽性者は、隔離し、感染者の感染源の追跡も開始します。  特に、イル・ド・フランスは、症例の多さは、予想以上としながらも、ロックダウンを解除することは、人口も多く、依然としてリモートワークが推奨されるものの、公共交通機関の混雑は避けられないイル・ド・フランスは、特にリスクは高いと思われます。  公共交通機関の利用は、11才以上の乗客には、マスク着用が義務付けられ、マスクをしていない場合は、罰金135ユーロが課されます。また、ラッシュアワー(6:30~10:30,...

2020年5月7日木曜日

ロックダウン後、2回目の買い物 生まれて初めてフランスでマスクを買いました!

 トイレットペーパーの買い置きは、してあったつもりで、まだまだ、あるある・・大丈夫・・と思っていたのに、いつもと勝手が違う状況で買い物をしたせいか、(単なるドジなのですが・・)買い置きしてあったのが、トイレットペーパーではなく、まさかのキッチンペーパーで、・・ロックダウンが解除になる前、ギリギリの今週末にでも買い物に行こうと思っていたのが、急遽、前倒しで、買い物に行くハメになりました。  今週から、一般大衆向けにマスクの販売が解禁になったため、人出が多くなっているかと思い、開店と同時に行ったのですが、すでに、少しですが、並んで入場を待つ状態。ロックダウン以来、一度、買い物をしたき...

2020年5月6日水曜日

深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療

 これまでの、フランスのコロナウィルスの感染者数は、約17万人(169462名・5月4日現在)、死亡者は、25201人に上っています。単純に計算すれば、死亡率は、15%近くなります。  そんな状況の中、5万人近くの人が回復しています。  しかし、回復したとはいえ、その後遺症に苦しみ続けている人も少なくありません。特に、集中治療室での治療を受けていた人には、後遺症が残るケースが多いのです。  集中治療室での治療の際に行われる人工呼吸器を長い期間、装着することが合併症を引き起こします。挿管され、換気され、鎮静されるという事実は、体の代謝亢進を引き起こします。これは、私たちが...

2020年5月4日月曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 安全は、保障されるか?

 フランスの5月11日のロックダウン解除まで、一週間となりました。フランスでは、ウィルスの感染が収まっていない状況でのロックダウン解除に際しての安全の確保について、盛んに語られています。  テレビでは、正しいマスクの付け方、はずし方を解説したりしていますが、同時に、そのマスクが、手に入りにくい状況も報じています。今週から、一般大衆に向けて発売されるマスクも、まずは、医療機関に廻すべきではないか?との声も上がっています。  また、人の往来に不可欠な公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)は、「今の状況では、5月11日の段階での安全を保障できない」ことを発...

2020年5月3日日曜日

フランスのコロナウィルスとの戦いーこれまでの軌跡のルポルタージュを見て

  ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。  もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。  マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m...

2020年5月2日土曜日

ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス

 昨日から始まった、ロックダウン解除予報から、解除が見込める地域を始めとして、今、それぞれの地域で頭を抱えているのがマスクの確保です。  感染が広がり始めた当初は、政府も、「一般人のマスク着用は、意味がない。」と言っていたのに、さすがに、「マスクは、した方が良い。」に変わり、フランスでも、3週間前くらいまでは、ほとんどの人がマスクをしていました。  ここへ来て、すっかりロックダウン解除気分で、気が緩んでいる人が増え、驚くほどマスクをしている人が減りましたが、実際に解除になった場合は、どうなるのでしょうか?  ロックダウン以来、主に医療機関などのために、大量に中国等から輸入されたマスクが空港に到着すると、警察や軍の警備の車に先導されて、大仰に運ばれています。マスクの盗難事件が相次いだためです、  そして、現在は、ルイヴィトン、ディオール、サンローランなどのフランスの大手のブランドを始め、多くの繊維業者がマスクを製造しています。  それでも、圧倒的に足りないマスク。  まずは、どこよりも医療機関を優先とされるマスクの分配は、ロックダウンの解除が見込まれる地域でも、全国民に充分に行き渡るほどは、ないのです。どこの市町村も、「これだけの注文をしています。」というばかりで、実際にストックがどれほどあるのか、マスクが到着しても、まずは、医療機関を優先とすると、全ての人にマスクが行き渡るかどうか、明言できない状態です。  現在のところは、薬局でも、一般人へのマスクの販売は、禁止されています。  ロックダウン解除後の公共交通機関でのマスクの着用は義務付けられていますが、一般人の外出の際は、「マスク着用を推奨する」ことに留めているのは、マスクの確保ができていないからです。  市町村によっては、洗って再利用することができるマスクを配布しているところもありますが、(私の住んでいる地域では、11日以降に発送するという通達が届いています。)いくら洗うことができるとはいえ、毎日、通勤するとなると、消耗品ゆえ、充分ではありません。  ロックダウン解除を一週間後に控えた来週からは、一般人向けのマスクの販売が解禁になり、全国の薬局、タバ(Tabac)(タバコや雑誌などを売っているお店)、スーパーマーケット等でマスクの販売が解禁になります。  大手スーパーマーケットは、カーフール...

2020年5月1日金曜日

5月11日のパリのロックダウン解除は延期になる? ロックダウン解除予報マップ

 フランスのロックダウン解除の判断の指標とされる、ウィルスの循環状況や、コロナウィルス対応の病床の占拠状況などを地域ごとに、色分けされたロックダウン解除予報マップのようなものが、発表されました。  この発表が、今日から、天気予報のように、毎日、発表されると聞いて、私は、成績表を待つような気持ちで、見ていました。  ロックダウン解除される地域は、緑、そうでない場合は、赤とされていたのに加えて、オレンジ(オレンジと呼んでいるけど、私には、黄色に見える)=どちらに転ぶかわからない地域の3色に分けられています。  これは、今後、5月7日までの感染状況や病床状態の変化によって、各地域の色は...