2020年5月31日日曜日

ロックダウンによる業績悪化・ルノー15000人削減・モブージュで従業員数千名による大規模デモ




 昨年末には、カルロスゴーンの日本逃亡劇で日産とともに注目を集めた、フランスの大手自動車メーカー・ルノーは、コロナウィルスのためのロックダウンによる業績不振のため、15000人の削減(フランス国内では、4600人削減)、3年間で20億ユーロをコスト削減をする計画を発表しています。

 ルノーは、コロナウィルスによる経済危機以前から、弱体化しており、(ヨーロッパでは、多くの国でディーラーが閉鎖され、4月の自動車市場は76.3%下落)生産過剰に悩まされています。

 このルノー経営陣の発表を受けて、組合連合の呼びかけにより、従業員数千人がルノー・モブージュ(フランス北部)工場に集まり、市庁舎までの6キロの道のりを経営陣の経営計画(人員削減計画)に反対するデモを行いました。

 あらゆるセクションの集まるこの工場では、約2100人の従業員を抱えており、金曜日の朝から閉鎖され、この工場で扱っているカングー(ルノーの車の車名)の生産を、新しいプラットフォームを継承する約70 km離れたドゥーアイに移管する計画を進めています。つまり、この工場は、大幅に縮小されるわけです。

 2100人のルノーの従業員は、このモブージュという地域の人口の約10%に当たるので、この地域にとっても彼らの仕事を守ることは、その地域を守ることにも繋がるのです。

 いみじくも、2018年にマクロン大統領がこの工場の視察に訪れた際に、「この工場は、ヨーロッパで最高の工場である。何も臆することはない! フランスは、自動車産業を守る。」と約束したこともあり(実際に、政府は、多額の予算を自動車産業に割いている)、このデモでは、「嘘つき!マクロン!約束を守れ!」という叫び声も、多く上がっていました。

 ロックダウン解除の第一ステージ(5月11日の段階)でも、工場再開の際に、工場内の安全性が保たれていないとの従業員との間で騒ぎが起こり、今回の第二ステージ(6月2日から)発表の直後にルノー経営陣からの人員削減の発表での数千人にも及ぶ大規模なデモ発生。同じフランスの自動車メーカーであるシトロエンやプジョーからは、そのような動きは聞こえてこないのに、ルノーばかりがこの騒ぎです。

 ルノー経営陣、フランス政府に反抗、批判するデモの集結地である、モブージュ市庁舎前に集まった人たちが大声で歌うマルセイエーズ(フランス国歌)。

 国歌が、デモに参加している人たちを奮い立たせ、団結させる歌として歌われることにもフランスらしさを感じるのです。デモで反抗の意を表明しつつも、その根底には、強い愛国心があることが感じられます。

 もはや、「10名以上の集まりが禁止」などという禁止事項はどこ吹く風で、このデモを統率している組合連合は、社会的な話し合いの欠如を指摘し、「この決定は、自殺行為」「戦いは、まだ始まったばかり」と声明を発表しています。

 ということは、この規模のデモがまだまだ続くのでしょうか? 今、経営の危機にある会社、政府、社会に訴えたいことがある人は、溢れるほど存在しています。このルノーのデモに触発されて、これ以上、デモが起こらないことを切に願うばかりです。

 コロナウィルスの感染は、まだ、完全におさまってはいないのです。

<関連>「ロックダウン解除後・フランス各地に起こる不穏な動き・フランスのデモ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_22.html

 

 

 




2020年5月30日土曜日

コロナウィルスの第一波は去った? 俺たちは、よくやった!日本と対照的なフランス人の自画自賛




 フィリップ首相のロックダウン解除・第2ステージの発表から一夜開けて、フランスのマスコミは、いよいよ、コロナウィルスの第一波は、去った・・と言い出しました。確かに、一日の死者数も集中治療室の患者もグンと減ってきました。フィリップ首相も、一夜明けて、どこかホッと緩んだ表情が印象的です。
 しかし、フランスでのコロナウィルスの感染は、すっかりおさまったわけではありません。未だ死者が50人以上出ています。

 にも関わらず、もうすっかり戦後のようなムードで、マスク姿の人も日々、減ってきています。しかも、コロナウィルスとの戦いを「俺たちは、とても良くやった!2ヶ月のロックダウンを乗り越えて、みんなで協力して、見事に乗り越えた!」と、お得意のフランス人の自画自賛モード、「フランスはすごい!」のモードが満載なのです。

 とりあえず、大きな感染の波が去った今、経済的にも大打撃を受けている状態から、これからは、経済回復の道を探っていかなければなりません。パリのレストラン・カフェなどは、とりあえず、6月2日から営業できるのは、お店のテラスのスペースのみで、これまで、テラスのスペースは持っていなかった店舗も、さっそく、テラスのスペース確保の申請がパリ市役所に、殺到しています。

 基本、自信満々なパリジャンも、ここぞというところで、小難しいことを言い出すのも特徴で、ただ単にお店をオープンするだけでなく、伝統が、文化が、雰囲気が・・と、衛生管理もあくまでも美しくなければいけないと、こだわるところも、いかにもという感じです。

 これまで、ロックダウンのため、壊滅状態であった観光業界について語る際にも、フランスは、世界一の観光大国だ!(だから、打撃も酷いのに・・)どうだ!凄いだろ!フランスは、世界一なんだ!と始まってしまうところが、これまた、いかにもです。世界一の観光大国は、その多くの観光客を外国から受け入れています。ところが、現在は、ようやく国民の100キロ以上の移動が解禁されたのみで、国境は、閉ざされたままなのです。「フランスは、凄いだろ!」と言っている場合ではありません。

 そんな、自画自賛モードのフランスに比べて、日本は、コロナ対策に失敗したように感じている人が多い様子は、とても不思議です。フランスも確かに頑張りましたが、実際のところは、3万人近い死者(現在のところ28714人・5月29日現在)を出し、大失敗しているのです。

 もともと日本では、謙遜、謙虚な態度が尊ばれる国民性もあると思いますが、海外から見ると、日本は、完全に経済を止めることもせず、罰則も与えずに国民が自粛し、高齢者大国の日本が、被害者の数も桁違いの数字に抑えて、海外からは、圧倒的に成功している国として見られており、ジャパンミラクルなどと呼ばれているのに、なぜか、胸を張らないのです。

 色々、問題はあるにせよ、日本は、やっぱり凄い国だと、私は、今回のコロナウィルスの騒ぎで、改めて思っています。日本人は、もっと自信を持って胸を張るべきです。世界に比べたら、やっぱり日本は、衛生面、医療システム、国民のモラルなどなど、世界に誇れる国なのです。

 それにしても、対照的なフランスと日本、受け取り方がこうも違うのは、その中間にいる私としては、それぞれの様子を見ながら、不思議なものだと思うのです。

<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html



2020年5月29日金曜日

フランスのロックダウン解除・6月2日から第二ステージへ突入 

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 注目されていたフィリップ首相のロックダウン解除・第二章は、「思っていたよりも、明るい報告となりました。」という言葉から、始まりました。

 全国的にレッドゾーンが広がっていた感染情報マップも、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)以外は、全てグリーンになり、イル・ド・フランスでさえも、赤からオレンジになりました。イル・ド・フランスがオレンジに留まっている大きな理由は、病院の集中治療室の空き状況が充分ではないということが大きな理由です。

 未だ、ウィルスは、消滅したわけではないので、依然として、注意が必要ではあり、制限や制約はあるものの、今まで閉ざされていた場所が6月2日から解放されることになり、日常が戻りつつあることに、国民は、喜びに湧いています。

 これまで禁止されていた100キロ以上の移動も可能になり、学校、美術館、博物館、記念碑等のモニュメント、全てのビーチ、湖なども再開されます。公園、庭園などの緑地は、6月2日を待たずして、今週末から解放されることになりました。しかし、依然として、10人以上の集まりは、禁止されており、屋内でのマスクの着用等が求められます。

 レストランも再開されますが、レストランについては、かなり慎重で、グリーンゾーンでさえも、1テーブル10人まで、テーブルごとに1メートルの間隔を取ること、カウンターで立ったままの飲食は、禁止されています。イル・ド・フランスのレストランについては、店内の営業は、禁止で、お店の外のテラスのスペースのみの営業が許可されることになりました。

 これには、反発の声も上がっており、そもそもテラスのスペースのあるレストランは、全体の4割程度で、半分以上は、依然として営業できないということになります。そもそもパリのレストラン等は、郊外のようにゆったりしたスペースを取れていないお店が多く、営業再開の道は、険しそうです。

 劇場についても、グリーンゾーンは、衛生管理を充分にした上で、再開することができますが、イル・ド・フランスは、未だ営業できません。

 ナイトクラブ、コンタクトスポーツ、ゲームセンター、スタジアム、映画館等に関しては、全国的に閉鎖されたままです。

 また、「STOP COVID」というアプリが6月2日から無料でダウンロードできるようになり、これにより、感染者と1m以内で15分以上接触した可能性のある場合には、通知が来る仕組みになっています。プライバシーは保護されデータは、匿名化されています。検査もさらに拡充し、スピードアップするので、このアプリが有効に使われるとさらに、感染防止に役立ちます。

 これから夏休みにかけて、ハイシーズンを迎える観光地も再開に向けての準備に向かっています。リモートワークが可能であった人は、全体の3割程度、それ以外の人は、2ヶ月以上、仕事ができなかったにも関わらず、やはり、夏にはバカンスに行く気満々なところは、さすがのフランス人です。パリでは、テラスだけとはいえオープンするカフェやレストラン、また今週末には、解放される公園などにも、待ってましたとばかりに人が押し寄せることでしょう。

 毎年、90万人のフランスの子供が利用するコロニー(バカンスのアクティビティをプランニングする会社が運営する子供たちの合宿やキャンプ)も、次回の6月22日のロックダウン解除・第3ステージの発表の際に解禁される模様です。2ヶ月近くあるフランスの学校の夏休みを子供たちは、1ヶ月は家族と、1ヶ月はコロニーで過ごすケースが多いのです。うちの娘も長年にわたり、このコロニーには、ずいぶんお世話になりました。

 これらのバカンス産業もフランスの大きな収入の一つです。

 現段階で、制限されている項目については、全て、さらに次のステージは、夏のバカンスシーズン突入直前の6月22日に発表になる予定になっています。バカンスシーズンの開始直前が、また一つの区切りとなるところが、やっぱりフランス・・と思いますが、いつもなら、バカンス至上主義のフランス人に、どこか半分、呆れたような目で見ている私も、今年ばかりは、何だか、そんないつもどおりのフランス人に、半分は、どこか、ホッとするような気持ちも湧いてくるのです。

 まだ、感染が完全におさまっていない状況での更なる規制緩和で、不安はいっぱいありますが、日常が戻ってくることが、私もやっぱり嬉しいのです。


<関連>
「おたくのお嬢さんが刺されそうになりました!?・バカンス中のサマーキャンプでの話」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_7.html

 

 

2020年5月28日木曜日

コロナウィルスは、季節性のものなのか? 娘の親友がコロナウィルスの疑い


Dépistage du coronavirus : le déconfinement, dépendant des tests ...


 ロックダウン解除から2週間が経過しましたが、フランスには、現在のところ、感染爆発の第二波の予兆は、表れておらず、一日の死者数や重症患者数も減少してきていることから、コロナウィルスは、季節性のものではないか? これから夏にかけて、コロナウィルスは、その威力を失っていくのではないか?と言い出す人が増えてきました。

 National Weather Serviceは、今年、5月、6月、7月の気温と降水量の上昇を予測しています。例年だと、これは、あまり歓迎されないニュースですが、今年ばかりは、暑くて湿度の高い夏がコロナウィルスにブレーキをかけるかもしれないことが、妙な希望を煽っています。

 これまでに存在してきた呼吸器病原菌、ウイルスは、温度と湿度が上昇するにつれてその力を失っています。しかし、その原因は、解明されていません。また、コロナウィルスに関しては、他のウィルスと同じかどうかも現在のところは、はっきりと証明されてはおらず、夏が私たちを救うかもしれないという明確な証拠はまだありません。感染者数の減少が気温の上昇により、ウィルス自体の威力を弱めているのか?また、気温の上昇による人間の行動の変化によるものなのか? 世界の温帯地域においてもコロナウィルスの感染が起こっていることから、気温や湿度の関係は、考えにくいと発表している学者もいます。

 逆に、気温や湿度の上昇でウィルスが威力を弱めているとすれば、夏が終わり、秋・冬になれば、また感染拡大の可能性が高まるということでもあります。気温が下がれば、感染が広がりやすいということは、暑い夏にもエアコンをつけてはいけないことになる!などと、無謀なことを言い出す人まで出てきました。

 そんな中、娘の高校までのクラスメートである親友に、コロナウィルスの症状が表れました。ロックダウンになって、50日くらい経った頃、5月に入って気温もかなり上昇している時期でした。彼女は、ロックダウン中には、1〜2度、日用品の買い物に出かけたきりで、感染したとすれば、その買い物以外には、感染経路は、見当たりません。

 最初は、風邪のような症状で、全身の倦怠感に襲われ、少しして、咳が出始め、高熱が続きました。時が時だけに、彼女は、恐怖に震えながらも家で安静にしていたのです。

 しかし、一向に回復には向かわずに、呼吸が苦しい症状が表れ始めました。彼女は、子供の頃、喘息を患っていて、風邪を引けば、気管支炎を起こしやすい、いわゆるゼーゼーするような状態に陥りやすいのですが、今回ばかりは、ゼーゼーするような症状ではなく、息が苦しいという症状だったそうです。

 いよいよ、ヤバいということで、かかりつけの医者に連絡し、診察を受け、コロナウィルスのPCR検査を受けた方が良いという医師の判断で、家の近くのクリニックで検査を受けました。鼻の奥をかなり長い時間突かれる検査だったそうです。検査の結果が出るまでは、3日間かかりました。

 結局、検査の結果は、陰性でしたが、結局、彼女の症状は、何の病気であったのかは、わからないままです。解熱剤を飲んだくらいで、特に治療といった治療も受けることなしに、幸いにも彼女は、自力で回復しましたが、現在の状況では、医師もコロナウィルスのことで頭がいっぱいで、まるで、コロナじゃなければ、病気じゃない・・とでも言わんばかりで、結局、彼女の症状の原因が何であったのかは、わからないままです。高熱が続き、呼吸困難まで起こした病気については、放置されたままなのです。

 彼女の受けた検査の精度にも疑問はあります。検査するタイミング、検査の仕方などでも正しい結果が出るかどうかは違ってきます。

 現在は、彼女は回復していますが、本当は、彼女は感染していたのかもしれないし、感染していなかったとしたら、彼女の症状は何か他の病気によるものだったということです。

 これは、現在の医療がコロナウィルスに過度に集中し、(そうせざるを得ない状況であったが・・)それ以外の病気が放置されがちになっているという事実です。

 これは、他の病気の患者が放置されることであり、平常時には発見できた病気が、もしかしたら、手遅れになるということでもあるのです。現在、コロナの影響で、予定していた他の疾患のための多くの検査がキャンセルになっています。コロナウィルスの二次災害が起こらないためにも、一日も早く、日常を取り戻せることを願っています。

<関連>「絶対に入院したくないフランスの病院」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_53.html
























 

2020年5月27日水曜日

ロックダウン解除でもオープンできないパリのレストラン・カフェの抗議のアクション

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 5月11日に全国的にロックダウンが解除された今でも、未だ、フランスのレストラン・カフェのオープンは、禁止されたままです。一部、テイクアウトや宅配などのサービスは許可されていますが、大多数の店舗は、閉店されたままです。

 5月11日の段階で、ロックダウン解除の更なる段階は、6月2日に、その時点での感染状況を見て、判断、発表するとのことでしたので、6月2日を一週間後に控え、レストラン・カフェ・ホテルの経営者は、営業再開を訴えるアクションを起こすことを呼びかけています。

 レストラン・カフェ・ホテル経営者は、彼らのシンボルであるオブジェ・パンのバスケット、シェフの帽子、コーヒーカップなどを店舗の前に積み上げて、「#ATable」ア・ターブル!(テーブルへ!)と営業再開を求めるアクションを起こしたのです。

 5月7日のロックダウン解除の発表の際には、6月2日の段階で、グリーンゾーンと判断された地域では、レストランのオープンを段階的に行うとのことでしたので、発表以来、レストラン・カフェの経営者は、どのように安全対策をとって営業を再開できるかをこの間、試行錯誤してきたのです。

 6月3日に営業再開が許可されるとしても、具体的な規制への準備を進めるためには、できるだけ早く、その詳細を発表する必要があります。

 そもそもフランスの(特にパリ)レストラン・カフェは、狭いスペースに小さめのテーブルが所狭しと置かれている店舗が多いのです。当然、お客さん同士の間隔も狭く、人と人との1〜2メートルの間隔をとるとなると、通常の半分どころか、3分の1から4分の1くらいのテーブルしか置くことはできません。
 カフェなどは、お店の前の、通り沿いのテラスにもテーブルが置かれていますが、テラスのスペースの拡大なども考慮されています。

 これまでの席数に近い営業をするためには、人とのバリアを作るために透明なバリア等を設置するなどの設備投資も必要になります。

 グルメ大国と言われるフランスではありますが、外食は、もちろん、美味しいものを食べに行くということもありますが、フランス人にとっては、人と話す、集うということも大きな理由です。普段、外食をして、周りを見ていると、フランス人の食事は、とにかく長い。そして、ひたすら喋る。食事のあいだ中、ひたすら喋り、ようやく終わりかと思うとデザートを必ず注文し、シメのコーヒーを飲み終わるまでには、相当な時間がかかります。

 一度にお客さんが入れる人数が限られるとすると、少しでも回転を良くする必要がありますが、それもフランス人相手には、なかなかハードルが高いのです。

 ロックダウン状況になって、あらためて思い知らされるのは、Uber Eatsなどを頼んでも、便利ではあっても、やっぱり何か物足りないし、味気ない。外食は、そのレストランやカフェのお店の雰囲気やデコレーション、素敵な食器、周りの人との何らかのやりとり、更には、何となく聞こえてくるザワザワした周りの人の話し声や食器が合わさる音など全てをひっくるめて楽しいのだということです。

 しばらくは、レストランがオープンしても、これまでとは、違う状況になるでしょうが、いつの日か、また以前のように外食を楽しめる日が、私もそろそろ恋しくなっています。

<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html




2020年5月26日火曜日

ロックダウン解除で行われたストラスブールでの無許可のサッカーの試合に400人参加に唖然




 フランス北東部(グランエスト県)に位置するストラスブールでは、先週の日曜日にアマチュアのサッカーの試合が行われ、約400人がサッカーの試合に熱狂しました。グランエストといえば、今回のコロナウィルスの被害が最も甚大であった地域でもあります。

 にもかかわらず、市町村の許可なしに、サッカーの試合が行われ、その様子は、ここ2〜3ヶ月間に、まるで何事もなかったように、その多くの人々がマスクもなしに、歓声をあげ、戯れ、ゴールを決めるたびに、抱き合って喜ぶ様子は、コロナ以前のごくごく日常の生活の一部のようで、そのあまりにためらいのない様子に、驚きを通り越して、唖然としてしまいます。

 この事態に、警察は介入したものの、10人以上の集まりが禁止されている状況にもかかわらず、サッカーの試合を阻止することはできず、罰金を課された人も誰もいないという状況、現在、このサッカーの試合を運営した人に責任を追求するため調査中とのことです。

 しかし、サッカーの試合の運営をした人に罰金を払ってもらったところで、感染拡大の責任を取ることは、できないのです。

 警察の介入により、全員が午後遅くには、解散したと報告されていますが、試合が終わって、夜になって解散するのは当たり前です。警察さえもまともに機能していないことも明白です。

 自分たちが健康であることから、周りの人への感染の危険を考えない、これらの無責任な若者たちが、感染を拡大させる危険を理解できていないというよりも、自分たちの欲望が理性を抑えることができないことに、彼らの未成熟さを感じずには、いられません。

 このサッカーの試合がクラスターになることは、これまでのコロナウィルスの経過を見ていれば、確実なことなのです。

 ロックダウンという55日間の国民全員の努力でようやく勝ち得た制約付きのロックダウン解除も、このような行いにより、再び、制約が増えていきます。まるで、程度の低い学校で、やたらと校則が厳しくなっていくような感じです。

 そもそも、フランスのコロナウィルスの感染爆発は、このストラスブールのあるグランエスト県から広がったもので、その被害もこの地域は、どこよりも甚大で、どこよりも悲惨な状況を身近に見てきたはずなのです。

 こうなったら、ストラスブールだけでも、ロックダウンして、再びこの地域から感染拡大が全国に広がることのないようにして欲しい・・と思っているのは、私だけではないはずです。

 政府は、検査、隔離を徹底していくと言っていますが、こういう人たちは、多少、??と思っても、検査は、受けないのではないかと思います。だって、陽性となれば、隔離されてしまうことに耐えられないでしょうから・・。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年5月25日月曜日

コロナウィルスの第一線に駆り出されたインターンシップの医学生のトラウマ・PTSD

  
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 今回のコロナウィルスの感染爆発により、フランスでは、医療崩壊が起こり、多くの地域の病院では、満床状態になり、病院のベッドだけでなく、医療機器、医薬品、医者、看護師も足りなくなる非常事態が起こりました。

 次々に運ばれてくるコロナウィルス感染患者が病院の廊下にまで溢れ、少しでも余裕のある地域に、TGVや軍用ヘリコプターなどで、患者を搬送したり、足りない呼吸器の補充に動物病院から呼吸器を回収して使用したり、潜水用のマスクを改良して使ったりしていた時期もありました。

 当然、医療に関わる人員も不足し、すでに引退している元医療従事者に呼びかけたり、医学部や看護学部の学生やインターンも多く動員されました。引退している元医療従事者でさえ、そのほとんどは、こレほどの危機的状況に立ち会ったことはないわけで、ましてや、まだ経験のない学生たちにとっては、いきなり、最初の壊滅的な第一線の現場での体験が衝撃的でないはずは、ありません。

 フランスで一番悲惨な状況であった3月末から4月の初めにかけての期間から、一ヶ月以上が経った現在は、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)以外は、病院も満床状態からは、回復していますが、少し落ち着き始めた今、いきなり第一線に駆り出されたインターンの学生の3人に1人が心的外傷後ストレス・トラウマの症状を訴えています。

 Intersyndicale Nationale des internees(Isni)が金曜日に発表した調査によると、回答に応じたインターンの学生の47.1%が5月中旬に不安症状を、29.8 %はPTSDの症状を示し、18.4%は抑うつ症状を訴えています。

 医学を志し、勉強中だった学生たちが、突然、コロナウィルスでの危機的状況の中で、目に見えないけれど、強力な威力を持った未知のウィルスと戦う第一線の戦士となり、目の前で、たくさんの人が苦しみ、亡くなっていく場面に遭遇し、足りないベッド、足りない呼吸器、足りない医薬品の現場に時には、命の選択を余儀なくされていた場面もあったことでしょう。

 「悪夢」「怒り」「悲しみ」「恐怖」が連続した日々は、学生たちに、その後の不安症状、トラウマ、PTSDの傷を残したとしても、なんら不思議は、ありません。日常でさえ、医師になって、患者の死に遭遇することは、敗北感に苦しみ、辛いことに違いありませんが、それが、いきなり毎日毎日、得体の知れないウィルスのために、大勢の人が苦しみ、亡くなっていく現場は、彼ら自身をも、精神的に追いつめ、傷つけてしまったに違いありません。

 この学生たちのストレス症状は、非常に重いため、「悪夢、対処できない、それについて話すことができない。イライラ、怒り、不安、悲しみ・・」に苦しみ続け、この症状は、現場に駆り出された学生の間では、一般的な症状として、確認されています。

 フランスは、医療崩壊を起こした結果、将来の医療従事者に深い傷を残してしまっているのです。

<関連>「コロナウィルスによる命がけという体験」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_2.html

 












2020年5月24日日曜日

コロナウィルス対応と結果 フランスと日本の差 誹謗中傷による個人攻撃と自粛警察




 昨日の日本でのツイッターのトレンド1位が、「誹謗中傷」で、どうしたことか?と思ったら、テラスハウスに出演中の22歳の女性がSNSでの誹謗中傷から?亡くなったということに端を発しているらしいことがわかりました。

 SNSでの誹謗中傷は、どこの国でもあることですが、日本での社会の目による攻撃は、なかなか、強烈なのではないかと感じています。明らかな犯罪者ならば、ともかくも、マスコミや社会のムードに煽られる感のある個人攻撃は、当事者になってしまったら、堪え難いことかもしれません。

 今回のコロナウィルスの感染防止に関わる件に関しても、自粛警察なる人々が、あちこちに現れ、開店しているお店に張り紙をしたり、ごくごく身の回りでは、マスクをせずにいたり、感染防止のためのモラルに外れることをしている人がいたりしたら、周囲の人が非難するとか、白い目で見るとか、そんな感じであったのではないかと思っています。

 こと、コロナウィルスの感染に関しては、そんな日本の社会の風潮で、結果、日本は、感染の被害も、フランスなどとは、桁違いの被害で抑えられ、プラスの結果をもたらしましたが、この「個人を集団で非難し、攻撃する風潮」は、時に、行き過ぎであることが、気になります。

 フランスで、コロナウィルスの感染爆発が起こり、フランス全土がロックダウンになった頃、日本政府は、2020年のオリンピックを開催するかどうか?ということを盛んに議論していて、世界は、オリンピックどころではない!この世界的なパンデミックに、日本だけが、避けられるわけがない! フランスでの感染の急激な広がり、死亡者がうなぎ登りに増えていき、医療崩壊を起こしていく様子を見ていた私は、本気で、日本の悠長な状況が心配でなりませんでした。

 しかし、オリンピックの延期が決まってからは、フランスのような完全なロックダウン状況には、ならなかったものの、緊急事態宣言が発令され、フランスのような被害には、ならないまま、緊急事態宣言もそろそろ解除されることを聞いて、少しホッとしています。

 日本の状態も深刻な状態ではありましたが、結果、数字を見れば、日本は、やはりフランスとは、雲泥の差です。

        人口   感染者      死亡者
<日本>   126515903  16536     808       

<フランス>    65258400    182469    28332

 日本の人口は、フランスの約2倍なのに、フランスの感染者数は、日本の約11倍、死亡者数は約35倍にも及んでいます。

 これには、日本の医療体制や(日本は日本で問題はあるにせよ)、衛生観念や国民の意識やモラルの高さなど、つくづく、海外にいると、日本は、やっぱりスゴい国なんだなぁと感じています。

 しかし、このSNSの「誹謗中傷」のトレンドを見ながら、この日本のモラルの高さや、正義を振りかざして、個人を攻撃する感じが、時として、危険な事態を生んでしまうことにも、怖さを感じたのです。
 
 フランスは、ロックダウンが解除になって、もうすぐ2週間が経とうとしていますが、ようやく1日の死亡者数が100を切ったか???という状況にも関わらず、先週末のパリのマスクの着用率は、10%と、絶望的な数字が発表されています。国民の自粛警察どころか、各地では、デモが起こりはじめ、本物の警察が国民を抑えるのに必死な状況です。

 国民同士の自粛監視が、時に、キツすぎる日本と、緩すぎるフランス、バランスの良い世界は、不可能なのか?と、どうにも、もどかしい思いにかられているのです。


<関連>「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html

 

2020年5月23日土曜日

フランスのロックダウン解除後・クラスターが続々と発生している

Urne bureau de vote lors du premier tour des élections municipales dimanche 15 mars 2020


 昨日のニュースでは、ロックダウン解除後にフランス国内で、30件のクラスターの発生が確認されたと発表されていました。それが、翌日には、46件に跳ね上がっています。

 確認された感染源となった場所には、病院、学校、企業、食肉処理場、障害者施設、宗教コミュニティ施設などが挙げられています。フランスは、これらのクラスター発生の確認を「クラスターを少しでも多く発見できる事は、感染者を隔離することができ、感染拡大を抑えることができることに繋がる。」と、非常に前向きな受け止め方をしていますが、ロックダウン解除前に公言していた一週間に70万件のPCR検査も達成できていません。

 ということは、発表されているクラスターも、病院、学校、企業など、追跡できる範囲内での追跡可能な場所での数字が発表されているだけで、ロックダウン解除後に全国でいくつも起こっているデモや、ピクニックのためにサンマルタン運河やセーヌ川岸やサクレクール寺院やアンヴァリッドに集まった人の間で起こっているであろうクラスターは、追跡できていないので、現在、確認されているクラスターは、氷山の一角で、実際には、もっと多いと思われます。

 ロックダウン後の国民への対応は、細かくは、市町村ごとに、委ねられており、マスクの義務化なども、グリーンゾーンであるボルドーやニースなどは、公共交通機関だけでなく、街中での着用も義務付けられているのに、レッドゾーンであるイル・ド・フランス、パリなどでは、義務付けられてはいません。

 感染の蔓延がおさまらない状況での綱渡りの状態のロックダウン解除には、少なくとも、マスクくらいは、義務化すればいいものを、(フランス人は、義務化しなければ、マスクをどんどんしなくなってしまう。)ロックダウン解除からの開放感から、せっかく、ほとんどの各市町村が無料で配布しているマスクも、あまり意味をなしていません。つまり、どんどん、マスクをしない人が増えているのです。

 毎日の1日の死者数、重症患者数の発表もここのところ、減少してきているものの、発表される数字にもエラーが多く、明らかに政府も経済再開の方に重心が傾き、警戒が緩んでいると思わざるを得ません。

 そして、一ヶ月後のことになりますが、ロックダウンのために中断されていた全国統一地方選挙の第二ラウンドが、6月28日に行われることが決定しました。もちろん、感染状況が悪化していない場合という条件付きではありますが、多くの人が密閉状態に集まる選挙というクラスターになりうるリスクを取る決定を現在の段階ですることに、私は、甚だ疑問です。

 そもそも、その選挙の第一ラウンドは、ロックダウンになる2日前に行われており、その段階で、すでに政府は、2日後にロックダウンをする事は、決定していたわけで、選挙のタイミングから、ロックダウンを遅らせたのです。

 危険な状況である事は、わかりつつも(そのために投票率もフランスにしては、とても低かった)、ロックダウンになるほど深刻な状況とは知らなかった国民が選挙に行き、おそらく、多くの投票所でクラスターが起こってしまったことは、明白です。

 現在、感染状態が沈静化しつつあるように見える(とはいえ、現在も100人近くの人が毎日亡くなり、重症患者は、1700人以上もいるのです)のは、ロックダウンの効果によるものであり、逆にロックダウン解除後の結果は、フランスでの最初の感染が昨年の11月であったことを考えれば、感染が爆発するまでに3ヶ月以上が経過しており、ロックダウン解除の影響は、まだ、先にならないと見えない状況なのです。

 ロックダウンをして、せっかく感染が鎮まりつつあるのに、この際、せめて、選挙は、可能な人にはネット投票ができるようにするとか、革新的な対策を取らないのは、とても
残念です。

 フランスは、現在は、税金の申告等もほとんどネットで可能な状態になっており、ロックダウンになった途端に、政府から、国民、各自の携帯にロックダウンの情報が送られてくる国です。選挙がネットでできないはずは、ありません。ネットを利用できない人だけが投票に行くようにすれば、随分と危険は、軽減できるはずです。

 選挙における感染防止対策が、アルコールジェルの設置や投票に使うペンは、自分で持ってくること・・というだけなのは、どうにも情けないことです。

 

 

2020年5月22日金曜日

ロックダウン解除後、フランス各地に起こる不穏な動き・フランスのデモ




 フランスといえば、デモ・ストライキ、と、すぐに連想されるくらい、フランスは、デモやストライキが多い国です。さすがにロックダウン中は、デモもストライキもありませんでした。

 ロックダウンが解除されて、晴天にも恵まれて、街に人が出始め、場所を見つけては、集まり、ピクニックを始めたり、ビーチにも、解き放たれた空間を楽しむ人があふれ始めていますが、解き放たれたのは、平和に?友人や家族との時間を過ごす人ばかりではありません。

 ロックダウン解除が解除になり、日常生活を取り戻しつつあるということは、フランスに、デモやストライキが戻ってくるということでもあります。

 ロックダウン解除後、最初の週末から、さっそく黄色いベスト運動のデモが各地で起こり、その他、昨日は、数百人の抗議者がパリの公立病院を守るためのデモが行われました。

 また、アルジャントゥイユ(パリの北西10kmに位置するイル・ド・フランスにある街)では、4夜連続で、バイクの事故で亡くなった青年の死(警察の取り締まりの際の事故)に抗議する人が集まり、夜中に、警察官270人が動員される騒ぎとなり、18本の火炎瓶が見つかったことから、4人が逮捕されました。

 そして、グランエスト(フランス北東部)のミュールーズでは、無許可の車両を使用したヘルメットを着用していない自転車に乗った17歳の少年が、過大な速度で追いかけた警察から逃げようとして、別の車に衝突する事故を起こし、彼は軽度の頭部外傷で病院に運ばれましたが、数時間後、近隣に約50人が集まり、道路をバリケードし、監視カメラが破壊され、警察署の隣でゴミが焼け落ちる騒動が起きています。

 ロックダウン解除になったことから、夜中までも、街には人が出て、それをいつも以上に警戒する警察の追跡から、交通事故が起こり、その事故に対する抗議のデモが起こる。
コロナウィルスの蔓延がおさまらない状況下では、最悪の悪循環です。

 フランス人にとって、デモは、日本に比べると、ずっと身近なもので、日常生活の一部のようなものです。ともすると、フランス人は、デモなどの抗議行動をすることに誇りを持っている感さえあります。約2ヶ月間、外出もできず、不満は溜まる一方で、抗議活動もできなかったフランス人にとって、日常が戻ってきたということは、抗議活動=デモやストライキが再開するということでもあるのです。この状況下にも関わらずです。

 先週末の黄色いベストのデモの一部は、デモ禁止に抗議するデモという妙な構図。実際に、デモを禁止することはできませんが、10名以上の集まりが禁止ということで、デモもいつも以上に警戒されています。

 普通の日常的な社会生活も、経済の疲弊から、コロナウィルスと共存しながら、経済を再開させる道を模索しているところですが、フランスでは、デモでさえも、一部の過激な暴動に発展するようなデモは、別として、デモに参加する人もマスク着用、ソーシャルディスタンスを取りながらのデモになり、コロナウィルスとの共存の道を取っていくのかもしれません。

 しかし、今のところ、フランス各地で起こっているデモはまだ、その道に辿り着くには、遥か遠いところにあり、もともと、デモといえば、何かに抗議する怒りから発しているもので、ついついヒートアップする性質のもの、しかも、これまでの監禁生活での鬱憤も蓄積されているため、はっきり言って、荒れています。


<関連>「ストライキ大国・フランス」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html















2020年5月21日木曜日

ロックダウン解除・祝日と晴天とで外に出たい若者たち


   

 今週のフランスは、晴天に恵まれ、気温も30度近く上がり、まさに、家にいるのがもったいないような陽気です。日も長くなり、夜9時近くまで、明るい季節です。

 フランスの5月は、日本のようなゴールデンウィークではありませんが、祝日が多い月でもあり、今週も21日(木)が祝日(昇天祭)で、金曜日1日を休めば、週末を含めて水曜日の夜から5日間の連休になるため、例年、プチバカンスに出かける人も多いのです。

 今年は、ロックダウン解除になってから、初めての祝日ということで、また、水曜日の夜から、セカンドハウスなどに出かけようとする人や帰省する人を警戒する体制(現在は、100キロ以上の移動は禁止)が敷かれています。

 ロックダウン中でさえも、網の目を潜って、意外なところに人混みが出来るたびに、警察や軍隊が出動して、取り締まりが行われてきましたが、(食料品を扱うマルシェが混雑したり、ジョギングのために、ヴァンセンヌやブーローニュの森などに人が集まったり、18区の路上で、大音量で音楽をかけて大勢の人が踊りだしたり・・)ロックダウンが解除されてからは、当然の事ながら、より、たくさんの人が街に出るようになり、サンマルタン運河やセーヌ川沿いで祝杯をあげる人々が集ったり、モンマルトルの丘にあるサクレクール寺院の前の階段に多くの人が集まり、退去させられたり、いたちごっこが続いています。

 今回は、祝日を控えた連休モードからか、夕刻になって、パリ、アンヴァリッドの前庭に、大勢の若者たちが、食べ物を持ち寄ってのピクニック状態になり、再び、警察官が出動しました。

 屋外でもあり、禁止されているのは、10人以上の集まりという事で、簡単に退去させることもできずに、強制退去はさせられない警察。しかし、それぞれの集まりが10人以内でも、それがたくさん集まれば、大勢の人で群がる状態です。

 コロナウィルス騒ぎがなかった日常から、フランスの若者たちは、レストランやカフェなどよりも、こうして屋外で食べ物を持ち寄り、友人たちと解放的な場所で、時間を過ごすことが多いので、コロナウィルス感染の心配さえなければ、ごくごく普通のことなのです。天気も良く、長い監禁生活の後の状況で、ロックダウンが解除されたとなれば、気持ちは痛いほどわかるのです。しかし、時が時、パリは、まだレッドゾーンなのです。

 しかも、マスクは携帯しながらも、飲み食いするために、また、この暑さも手伝って、マスクは、していない人が圧倒的に多く、(もともと、フランス人は、マスクが大嫌いなのです。)注意を促しながら警戒を続ける警察官でさえもマスクをしていない人も少なくなく、意識の低さが垣間見れます。

 現在は、レストランもオープンされておらず、公園さえも解放されていない状態なので、友人たちと集いたければ、このような場所を見つけては、人が集まり、集まった場所には、警察が出動する、そんな、モグラ叩きのような繰り返しが続いているのです。

 ロックダウンが解除されて、10日が経ちますが、今のところ、クラスターは、いくつか発生しているものの、感染爆発の第二波は、起こっていません。しかし、クラスターが起こっているのもイル・ド・フランスのような未だ危険とされているレッドゾーンばかりではなく、依然として、全国的な感染爆発の危険も孕んでいるのです。

 ロックダウン効果で、1日の死亡者数も100名前後に減ってきてはいますが、(死亡者131名・重症患者1794名・5月20日現在)、ロックダウン解除の影響が見られ始めるのは、少なくとも2週間から3週間後、特に未だICUの空き病床にも余裕のないパリ(イル・ド・フランス地域)は、また、いつ、あの恐ろしい状況に戻ってしまうかもわからない危険な状態が続いています。

 また、コロナウィルスのクロロキン治療で一躍、有名となったマルセイユ大学のラウルト教授がマルセイユに比べて、パリは、圧倒的に死亡率が高いことなどを発表し、波紋を呼んでいます。

 晴天と祝日が続くフランスに、自粛モードが吹き飛ばされそうな勢い。このまま、感染が収まって、私の心配が杞憂に終わってくれれば良いのですが、今のところは、どうにも楽観的にはなれないのです。


<関連>「フランスの貧乏大学生の質素な生活」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_23.html






2020年5月20日水曜日

フランスのコロナウィルスの流行は、いつから始まっていたのか?




 フランスでの感染爆発の感染源の一つとなったのは、グランエスト(フランス北東部の地方)ミュールーズにある教会での、今年の2月中旬に、一週間にわたる全国から大勢の信者の集まる集会であったことがわかっていますが、(そこから感染が広がり、いよいよフランス中が危機的状況に陥ったのが、それから約一ヶ月後の3月中旬のことです。)ここのところ、そもそも、最初の感染は、いつから始まっていたのか? ということをフランス中の医師たちが突き止めようとする動きが見られています。

 2週間ほど前だったでしょうか? 2月の中旬のグランエストでの集会よりも、かなり早い段階、昨年の12月27日の段階で、原因不明とされていた患者が、実は、コロナウィルスに感染していたことが、発覚しました。

 その患者が感染して、症状を発症していた段階では、コロナウィルスの症状も具体的に知れ渡っておらず、病名がつけられていなかったのです。幸いにも、その患者さんが回復して、かなり経って、コロナウィルスが全国に蔓延した後に、担当していた医師が、もしかしたら、あの患者は、コロナウィルスに感染していたのではないかと、この患者のPCRサンプルを再分析したところ、実は、コロナウィルスに感染していたことがわかったのです。

 その男性の感染経路を調べると、彼の行動範囲には、感染経路は、見つからず、どうやら、その男性の妻が空港近くのスーパーマーケットで働いており、旅行用のキャリーバッグを転がしながらやってきた旅行者を応対した経過があり、彼の妻が最初に感染していたことが突き止められています。

 ところが、フランス・フィガロ紙によれば、ここにきて、多くの医師たちが、昨年の10月まで遡って、病院で対応した患者のレントゲン写真をはじめとする詳細なデータの再確認を始めたところ、コロナウィルスの流行が中国でさえ確認されていなかった、昨年の11月16日以前のデータにコロナウィルスと見られる症例が2件、確認されたことが、発表されています。

 2019年11月16日からのコロナウィルスの2つのケースから、その後1月16日の段階での12人への感染を特定し、それは、 2020年に入ってからの、本格的なフランスでの流行の段階まで続いていると、コルマール病院の医用画像部門の責任者であるミシェルシュミット博士は、プレスリリースで詳しく述べています。

 今後、これらの研究は、臨床的、生物学的歴史や、どのような人、どのような場合に感染したのか、しなかったのか、感染は、どういう経路を取りやすいのか?などなど、今後の感染予防環境とライフスタイル、可能な旅行などの方法を再構築することに大変、有効な研究と見られています。

 コロナウィルスの感染の経緯や状況を遡って研究することで、今後、しばらくは、続くと思われるコロナウィルスとの共存する生活への新しいアプローチの試みが始まっています。


 

 

2020年5月19日火曜日

コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活 




 フランスで続いたロックダウンは、2ヶ月近く続きました。これから気候が良くなっていく時期に、急に監禁生活が始まって、コロナウィルス感染の恐怖もあり、日々、変わっていくフランス国内や、世界の状況に、ハラハラしながらも、淡々と家の中での生活を送ってきました。

 日頃から、私は、どちらかというと家にいるのが好きな方なので、娘がまだ、小さい頃などは、学校やお稽古事の送り迎えや仕事が忙しくて、一日でいいから、どこにも出かけずに、家にいたいと、よく思ったものでした。

 一週間前に、ロックダウンは、一応、解除されましたが、結局、ロックダウン中の外出は、2回、買い物に出かけただけで、ほぼ、ずっと、家の中で過ごしました。

 長いこと、連絡を取れていなかった友人とも、今なら、お互いに、絶対に家にいる!と、連絡が取れて、久しぶりに話をしたり、思わぬ人との繋がりを再確認できたりもしました。

 インターネットが繋がらなくなった二日間は、さすがに、一瞬、少し、不安になりましたが、それ以外は、規則正しい生活を心がけ、買い物にもできるだけ出かけたくなかったので、この際、家の中にあって、忘れ去られていた食材の整理をして、こんなことでもなければ、そのまま忘れ去られていたかもしれない食材を、多少の賞味期限切れには、目をつぶって、救済しました。そんなことにも不思議な達成感があるものです。

 そして、同時に、ベランダで種まきをして、日本の野菜を毎日、少しずつ育ててきました。天気がよかったこともあり、まさに太陽の恵みで、野菜は、スクスク育っていきました。水菜、春菊、小松菜、小かぶ、紫蘇、三つ葉、スナックえんどう、きゅうり、にら、小ねぎなどなど、狭いベランダに所狭しと置かれたプランターや鉢が、今は青々と広がっています。


狭いベランダにごちゃごちゃに置いてある野菜の鉢

 植物が芽を出して、少しずつ育っていく様子は楽しくもあり、美味しくもあります。限られた食材でなんとか工夫してお料理をするのも、贅沢な食材を買い集めてするお料理とは別な楽しみがあります。春菊がやたらに採れるので、おひたしにしたり、天ぷらにしたり、ネットで春菊を使うお料理を探したら、春菊のチヂミなるものが出てきて、それを作ってみたり、餃子を作りたくて、ニラを植えたのに、なかなか育たないので、待ちきれずにニラの代わりにネギとニンニクを多めに使って、餃子を作ってみたり、(餃子の皮も自分で作る)贅沢なものに満たされ過ぎずに、なんとか自分で工夫して、自分なりのものを作り出す喜びは、なかなかなものです。採れた野菜をなんとか使って美味しいものを作り出すのが、楽しいのです。




採れた三つ葉を使いたいがために作ったカツ丼と水菜のお漬物

 考えてみれば、海外生活を始めてから、これに近いウォーミングアップのようなことを私は続けてきたのではないかと、次第に思うようになりました。日本から、たくさんの食材を持ってきている私が言えることではありませんが、それでも、日本から持ってこれる食材にも限度があり、こちらで手に入る食材にも限りがあります。ですから、その限られた、なんとか手に入る食材で、なんとか工夫して、日本食、あるいは、自分の感で、これは、代用できるものかもしれないとか、こうしたら、美味しいものができるかもしれないと自分でアレンジした、名前のないお料理を作り続けてきたのです。
 
シソを使いたくて作った名前のない鶏肉料理

春菊のチヂミ

 こちらでは、手に入りにくい日本の野菜をタネから育て始めたのも、海外生活を始めてからです。これまでは、忙しさに紛れて、それを、あまり楽しいと感じる余裕がありませんでしたが、今回のように、閉ざされた環境になると、何でも簡単に手に入る便利な生活とは、また別の意味で、自分で作り出す喜びは、自分の内側を満たしてくれる感じがするのです。それだけ、歳を取ったと言うことかもしれません。

 また、会いたい人に会えないのも、海外にいれば、日本にいる友人や家族に会えないのは、日常です。海外生活は、ある意味、自分の祖国である日本には、そうそう行けるものでもなく、ロックダウンされた状況とも少し似ているかもしれません。

 未だ、いくつかの規制はあるものの、ロックダウンは、解除されましたが、やはり、まだまだ、一日中、救急車やパトカーのサイレンが聞こえ続ける状況に、やはり、やみくもに外に出るのは、怖くて、私は、ロックダウン中とほぼ変わらない生活を続けています。

 不自由ではあるけれど、新たに再確認した楽しみや喜びは、私にとっては、今まで続けてきた海外生活の経験が土台となっており、これからも、しばらく続いていくと思っています。


<関連記事>「便利な生活がもたらすもの フランスへの修行ツアーのススメ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_17.html

2020年5月18日月曜日

ロックダウン解除後、フランス国内 100キロ以上移動して帰ってきた娘



 学業のために、親元を離れて、シェアハウスで一人暮らしをしていた娘が、2年間のエコールでの生活を終えて、自宅に帰ってくることになりました。あと、最低でも1年間は、学生生活が続くのですが、ここから先、一年間は、実際には、海外へのスタージュ(インターンシップ)や、留学の予定になっているために、コロナウィルスとは、関係なしに、シェアハウスは、引き上げてくることになっており、そのタイミングを見計らっていました。

 シェアハウスの契約が学校の授業と試験が終了する5月の半ばまでにしていたため、どちらにしても、その前には、帰って来なければならない状況でしたが、最初にロックダウンになることが決まった段階で(3月半ば)、すぐにパリに帰ってくるという選択もあったのですが、どちらにしても、学校の授業は、リモートに切り替わりましたが、その時点では、ロックダウンがいつまで続くかも不明でしたし、ウィルスが蔓延する中、公共交通機関を利用して、感染が一番、蔓延しているパリに戻ってくる危険を侵す必要もなく、そのままシェアハウスに留まることにしていたのです。

 それから約2ヶ月間は、結局、彼女は、パリに戻ってくることはなく、2月の末に冬休みの際にパリに帰ってきた段階では、ロックダウンになるなどとは、夢にも思っておらず、5月までの間に2回くらい帰ってくるから、その都度、荷物は、少しずつ運ぶことにするつもりでいました。

 ところが、コロナウィルスの蔓延で、事態は、急変し、結局、その間に帰って来れないことになってしまったので、少しずつ持って帰ってくるはずの荷物は、結局、最後に引き上げる時点では、持ち切れないハメになり、送ることになってしまったのです。

 結局、彼女が帰ってくる一週間ほど前に、ロックダウンが解除になりましたが、それでも、原則として、100キロ以上の移動は、禁止の状態で、仕事、家族の介護等の特別な事情以外は、今のところ、認められていません。

 引越しは、認められるかハッキリわからないまま、一応、移動証明書をダウンロードして、彼女は、シェアハウスの仲間に送ってもらって、駅に向かったのです。その時点では、「いざとなったら、病気の母が・・」と言い訳をしようか?・・などと話していました。

 しかし、出発地点の駅には、改札以外は特別なチェックはなく、TGV(フランスの新幹線)に早めに乗りこんで、席について、ホッとすると、間もなく、彼女は、自分が買っていたチケットとは、違う電車に間違って乗ってしまったことに気づきましたが、時はすでに遅しで、電車は、発車した後でした。その上、ダウンロードしたはずの証明書がちゃんとチャージされておらず、青ざめて、慌てて、電車の中で、証明書を手書きしたようです。

 TGVの車内は、30%くらいの乗車率で、出発前に、全車両、消毒済みというアナウンスがあったとか・・皆、マスクをしていたし、あまり人も乗っていなかったので、緊張が緩んで、なんと、TGVの中ではすっかり寝入ってしまったというのですから、驚きです。

 朝、早くから荷造りや、部屋の片付けで疲れていたのはわかりますが、私だったら、危険な移動・・きっと、緊張してピリピリして、車内で寝入ってしまうことなど考えられないことです。とはいえ、パリまでは、直行の電車だったからか? 車内の人の移動を抑えるためか? 車内での検札もなく、無事に、パリ・モンパルナス駅に到着したのでした。

 しかし、パリのモンパルナス駅では、改札の前には、多くの警察官のバリアができており、パリ市内には、チェックなしに入ることはできない状態になっていました。

 彼女は、余計なことは、言わないようにしようと心に決め、自分で手書きした証明書とアパートの期限が終了した契約書を見せると、めんどくさそうに書類を一瞥し、難なく警察のチェックを突破して、無事に帰宅したのでした。

 しかし、たとえ、警察のチェックに引っかかったとしても、また、現地に戻されるわけでもなく、罰金を払えば済むわけで、なんか、腑に落ちない話です。それならば、罰金は、パリへの入場料のようなもので、正当な理由がなくとも移動できることになってしまっているわけです。

 本来、感染拡大防止を目的とするならば、長距離移動をする出発地でのチェックを強化して、正当な移動でない場合は、そこで、引き返させるのが妥当だと思うのです。

 まあ、現在のところは、ロックダウンが解除になって、間もないことで、バカンスの時期ともズレているので、それなりの理由がない場合は、長距離移動をする人もあまりいないと思うので、問題にならないのかもしれませんが、それにしても、今は、ただでさえ、人手の足りない警戒対策の人員の配置の仕方がどこか、的外れな感が拭いきれません。

 しかし、初めて親元を離れて暮らした彼女のシェアハウス生活も、最後に、色々と現地を見て歩こうと思っていたのに、最後の2ヶ月は、まさかのロックダウン生活。呆気ない最後になりました。

 しかし、初めての一人暮らしがどうなるかと心配していましたが、シェアハウスでは、まさかの寮長のような存在になり、親しい友人もでき、自分の希望していた専攻のエコールで学び、いくつかのアルバイトも経験し、あっという間の2年間でした。

 本来は、6月からは、イギリスの大学でのインターシップが決まっていて、ロンドンに行くことになっていましたが、幸い、キャンセルにはなりませんでしたが、当面は、リモートでの仕事ということになったようで、実際にロンドンへ行けるかどうかは、今のところは、不明です。

 それでも、ひとまず、無事に帰ってきてくれて、ホッとしていますが、寮長のように、しっかりと生活を送っていた娘は、家に帰ってくると、寮長の面影は微塵もなく、また、以前、家で暮らしていた時のようにすっかり戻ってしまっていることを微妙な気持ちで眺めています。


<関連>「フランスのシェアハウスで、いつの間にか寮長のようになっていた娘」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_64.html
 

 

2020年5月17日日曜日

ロックダウン解除後、最初の週末・さっそく、黄色いベスト運動が再開


     Un passant portant un masque aux couleurs des Gilets jaunes à côté de membres des forces de l'ordre, ce samedi à Nantes.

 ロックダウン解除後の最初の週末を迎えたフランス。気候の良いシーズンでもあり、これまで2ヶ月間にわたって閉ざされていた店舗やビーチも次々と再開され、人混みのできる人出が心配されていました。

 政府は、未だ、コロナウィルスの感染は蔓延しており、多くの人が集中治療室で治療を受けている状態なのだから、皆が感染の危険が高いことを繰り返し、注意喚起の報道を流す一方で、パリから100 km以内(現在のところは、100 km以上の移動は禁止されています)で行ける場所・・などという報道や、各地のビーチの風景などが流され、国民の外出を煽っているのではないかと感じるところもあります。

 実際に、サン・マロ(ブルターニュ地方)などのビーチは、監視下とはいえ、結構な人出でした。

 ところが、実際には、ロックダウンから解放された人がショッピングや観光などで街やビーチを出歩く以上に警戒すべき事態が起きています。

 昨年から、続いていた黄色いベスト運動の団体が、政府に抗議するために、フランス各地、ストラスブール、モンペリエ、ナント、ボルドーで集結し始めまたのです。

 現在は、コロナウィルス感染下による制約により、10人以上の集まりが禁止されているため、本来ならば、デモは不可能です。しかし、今回の抗議は、まずは、デモ禁止に抗議するデモという妙な構図になっています。

 ボルドーでは、約50人がデモに参加し、ナント、トゥールーズでは、市内中心部で散らばった小さな集まりが開かれ、警察部隊との衝突が起こりました。

 モンペリエでは、さらに大人数の約350名の黄色いベストが集結し、警察に取り囲まれ、負傷者も出て、救急車まで出動する騒ぎとなり、その場で7名が逮捕され、リヨンでは、ローヌ川のほとりに約300名が集結、大多数は、マスクを着用していたものの、社会的距離を取ることは、困難な状況で、警察、憲兵隊が出動しました。

 サン・ナゼール(ロワール・アトランティック)では、約130人がデモの禁止の違反に対して、ほぼ半数が罰金を科されました。

 これまで2ヶ月間のロックダウンの鬱屈と、コロナウィルス以前からの政府に対する反発、コロナウィルスの国の対応等、国民の怒りが雪だるま式に増えた結果の捨身とも思える、フランス各地で同時に起きている現象です。

 先日、病院視察中にマクロン大統領に食ってかかった医療従事者だけでなく、国民全体に不満が高まっていることが、ロックダウン解除とともに溢れ出した結果となっています。国民の怒りは、コロナ以前以上の状態に達していることは、間違いありません。

 ロックダウンを解除後に、感染の第二波が心配される状況で、国民の怒りの爆発が、第二波の心配に追い討ちをかけるような警戒すべき状況を政府は、どのように乗り切れるのか? コロナウィルスの感染をおさめていくとともに、国民の怒りをどうやって鎮めていくことができるのか、さらなる大きな課題が持ち上がりました。















2020年5月16日土曜日

マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決


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 久しぶりにマクロン大統領のマスク姿を見たと思ったら、金曜日は、パリ13区にある l'hôpital de la Pitié-Salpêtrière (ピティエサルペトリエール病院)を訪問していました。ピティエサルペトリエールは、パリにある国立の、大学(医学部)、研究施設等も併設した大きな病院です。

 この病院視察の最中に、マクロン大統領と病院の医療従事者との間で、まさかの緊迫した衝突が起こりました。それは、二人の看護師との会話から始まりました。

 最初は、看護師から病院の労働条件と、コロナウィルスの危機の真っ只中にある病院の医療物資についての質問から始まりました。「政府が公言したコロナウィルスの第一線で働いている医療従事者に対するボーナス1500ユーロも未だ支払われておらず、スタッフ不足、病床不足、医療物資不足のために、たくさんの救える命が失われた! 医療物資も足りない!私たちが2011年で使用期限の切れたマスクを使用しなければならないのは、なぜですか!?」 話しているうちに、看護師たちも、エスカレートし始め、マスクをしているとはいえ、なかなかなテンションでの言い争いになりました。

 そもそも、フランスの病院では、その労働条件の悪さ等を訴えて、昨年から、度々、あちこちの病院で、ストライキが起こっていたり、退職者が続出したりしていたところが、コロナウィルスの騒ぎで、それを訴える機会を失っていたのです。

 看護師たちは、「私たちが欲しいのは、メダルではない!(政府は、革命記念日に、コロナウィルスと戦ってくれた人を労うメダルの授与したいと発表しています)、実際の労働条件と報酬の改善だ!これまで、あなたが何かを公言するたびに、私たちへの負担は、増すばかり!私たちは、絶望的な状態なのです。もはや、私たちは、あなたを信用していない!」最初は、少人数で始まった口論が、大人数の声になっていきました。

 マクロン大統領は、冷静を保とうと努めていましたが、語気は、荒くなり、「私は貴方がたが持っていたすべての不満、動きを私は見ています。仰っていることについては、物事が十分に速く進んでいないこと、そして私たちがそれに応答しなかったことは、わかっています。ボーナスについては、期日を約束したことがないのでがっかりしたとを言わないでください。」と言い返しました。(約束したんじゃなかったのかよ???もう2花月だろ!?と思いましたが・・)

 ロックダウン解除後の病院視察がとんだ騒ぎを引き起こしてしまいましたが、それでも、マクロン大統領は、余裕を装ってか、帰りの車の中からは、笑顔で手を振っていました。

 この騒動に関して、パリのポンピドゥ病院の救急責任者も、「フランスは、もっと謙虚にフランスの医療体制の現実を見るべきです。何でも、フランスが最高だ!と思うのは、大きな間違いで、今や、フランスは、多くの他の国から学ばなければならない。それは、被害者の数が物語っているではないか?」と語っています。

 愛国心が強く、何でもフランスが一番だと思っているプライドの高いフランスも、コロナウィルスの危機に直面して、現実を見ないわけにはいかない局面に立たされています。



<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html


 


 


2020年5月15日金曜日

フランス国内の7〜8月のバカンス予約解禁 政府のアクセル加速・コロナウィルス・ロックダウン解除


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 フランス政府のロックダウン解除モードには、国民が戸惑うほどに、アクセルがかかっている感があります。もともと、ロックダウンの解除は、地域ごとに段階的に行うはずだったのが、まさかのレッドゾーンまで含めた全面解除。

 しかし、ロックダウン解除の際は、レッドゾーンには、いくつかの条件がつけられ、レストラン、劇場、映画館、ホテル等の営業は、解禁されず、それ以上の解禁は、6月2日の段階で、感染状況を検討しつつ、追って発表するとしていたはずが、まだ、ロックダウン解除から一週間もたたないうちに、ここ数日、堰を切ったように新たな解禁が発表されています。

 一昨日は、ビーチの解禁が始まったと思ったら、昨日は、7〜8月のバカンス予約(フランス国内のみ・・とはいえ、フランスは、海外にも領土があり、それも含まれています)が解禁され、国民に向けて「7〜8月には、バカンスに行ける!」と発表したのです。

 バカンスのために生きていると言っても過言ではないフランス人にとって、これは、朗報には違いありませんが、感染の不安の残るこの状況でのバカンス解禁に国民は、どう反応するのでしょうか?

 今年の4月に旅行代理店Locatourが実施した調査によると、ロックダウンが解除されたら、フランス人の21%がバカンスに出ると答えており、ほぼ半数が30日以内にバカンスの予約をする予定と発表しています。

 今回のバカンス解禁の際には、「Plan Marshall(マーシャルプラン)」が同時に発表され、これにより、コロナウィルスの影響を大きく受けた観光業部門に180億ユーロが充てられることになりました。この連帯基金は、ホテル、レストラン、観光業の補填に年末まで続けて援助が行われ、ローンのメカニズムも強化されます。

 同時に、グリーンゾーンに関しては、カフェ、レストランが6月2日に再開されることになりました。

 これだけ、バカンスの解禁、観光業の援助に政府が力を入れるのも、単にフランス人がバカンス好きだからだけではありません。フランスは、世界でも有数の観光大国で、観光旅行者数が世界一多い国であり、観光収入は、国の収入の10%以上を占めています。

 それだけの観光収入があるということは、レストラン、ホテルなども含めて、それだけ観光業に携わる人が膨大な数に上るということです。

 現在の状況では、海外からの観光客を望むことはできませんが、観光業を再開することは、国の経済を大きく動かすことでもあるのです。

 とはいえ、こう毎日のように、たたみかけるように、解除モード満開で煽られれば、ただでさえ、2ヶ月間の監禁生活でストレス満載の国民が浮き足立つのは、目に見えています。

 現在、ICUの重症患者が減少傾向にあるのは、ロックダウンの成果であり、ロックダウン解除の結果が出るのは、少なくとも2週間後です。これが杞憂に終われば良いのですが、治療薬もワクチンもない今の段階では、不安は、拭えません。

 それにしても、ここのところ、学校の視察の様子の報道や戦勝記念日のセレモニーなどには、現れたものの、ロックダウンの解除の発表には、マクロン大統領が出てこなかったことを私は、少し疑問に感じています。

 ロックダウンの宣言は、国民に向けて、直接、大統領が発表したのに、なぜ、ロックダウン解除の発表は、彼が行わなかったのか? 日を追う毎の、リスクの高い、かなり大胆な急激な政府の決断に、マクロン大統領が表に出てこないことを、私は、訝しく、不可解に感じているのです。












 

 

 















 

2020年5月14日木曜日

楽観的な政府と悲観的な国民のチグハグな関係 コロナウィルス・フランスのロックダウン解除


Accès à la plage à Soulac sur le littoral Atlantique


 フランスのロックダウンが解除になって、まだ、数日しか経っていないのに、解除が、どんどん進んでいく様子が、伝わってきます。私の携帯にも、いくつものお店から、「再開しました!」とメッセージも来ているし、家の外では、工事が始まったらしく、機械を動かす、ドドドドド〜ッという音が聞こえてきます。

 しかし、工事の音とともに、反対側の窓からは、相変わらず救急車のサイレンが一日に何度も聞こえてくる、微妙な状況なのです。

 街が解放されるにしたがって、ロワールアトランティックのラボールとポルニシェのビーチ、およびヴァンデのサブルドロンヌとイルデューのビーチなどが、条件付きで営業が始まりました。後に続けと、その他の多くのビーチも営業解禁を求める動きが始まっています。

 これから気候が良くなっていき、バカンスシーズンに突入するに当たって、それぞれの地元も必死なのは、わかりますが、2ヶ月間の監禁生活が開けた、数日後にもう、ビーチの解禁とは、少々、面食らいます。

 また、クロロキン(本来は、マラリアの治療薬)を使ってのコロナウィルスの治療に成果をあげて、一躍、ヒーローのような存在になった、マルセイユの大学病院で、感染症専門医として研究を続ける Prof.DIDIER RAOULT(ディディエ・ラウルト教授)が、ロックダウン解除の翌日に、「ウィルスの感染は、じき、収まる」と再度、発表したり、政府も、ますます、楽観的な体制に入り、解除になる前の週から、明るい見通しのアピールのつもりか、マクロン大統領も一切、マスクをしなくなり、7月14日の革命記念日(パリ祭の行われる日)には、コロナウィルスと現場で戦った人に、メダルを捧げて、その貢献に感謝を捧げる、革命記念日は、その労いの場にもしたいと発表しています。

 そんな政府の対応とは裏腹に、13日に行われた世論調査では、国民の68%は、感染拡大の第二波が来ると答えており、もっぱら悲観的な意見が多くを占めています。

 政府がそこまで強気の姿勢でいるのは、ある程度のデータからの科学的な分析に基づいているものであるに違いないと思いつつも、サンマルタン運河での人出に続いて、マスクもせずに、サクレクール寺院の前の階段広場に多くの人が集まったりしているニュースを見ると、どうにも心配な気持ちは、拭いきれないのです。

 この政府の強気な姿勢と国民の悲観的な世論、それでも外に出て、人と集まることをやめないパリジャンのチグハグさが現在のフランスの微妙な状況を物語っています。

 












2020年5月13日水曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 フランスの学校再開とSNCF(フランス国鉄)のストライキ




 ロックダウン解除から一日後、フランスの学校の86%が再開されました。10歳以下の子供には、マスクは、義務付けられてはいませんが、やはり、親心でしょうか、マスクをつけている子供も少なくありません。厳しく、親にマスクの付け方、外し方を教えられているようで、それを得意げに話す子供の様子の背後には、心配しながら、子供を学校に行かせている親御さんたちの気持ちが垣間見えます。

 学校中が消毒され、街中のお店や駅のように、床には、子供たちが、人と人との距離を取りやすいように、テープが貼られています。教室の机も一つおき、もしくは、離れた席に座り、キャンティーン(給食)の時間も対面しないように斜めに席につくようにされていたり、時間ごとに手を洗うように指導されていたり、学校側の警戒も労力も相当なものです。

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 それでも、2ヶ月ぶりに学校に来れることを喜ぶ子供たちは、新しい環境に頑張って順応しようとしています。大らかな子供は、その変化をむしろ、楽しむようなところもありますが、ナイーブな子供は、すでに、その新しい異常な環境に馴染むことに難しさを訴えている子供もいます。

 休み時間に校庭で遊ぶ際にも、校庭には、一人一人が離れて遊ぶように四角い枠が書かれて子供同士が固まることができないように指導されていたりする学校もあるようです。


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 学校再開の初日は、概ね順調なスタートを切ったようですが、現在のところ、学校に登校している子供は、全体の22%のみで、少人数だからできる対応であるのかもしれません。これから人数が増えていった時の対応が案じられます。

 しかし、とりあえず、「ハイ!」と言うことを聞かないフランス人の大人と比べて、子供は、従順で、先生の言うことをよく聞いているので、小さい子供は、問題も少ないのかもしれません。www

 そんな中、公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)には、ストライキに向けた不穏な空気が流れています。SNCFのパリ東部地域にある組合は、5人の活動家を対象とする懲戒手続きに抗議し、組合抑圧を訴えるために、5月18日(月)に鉄道労働者にストライキを呼びかけています。このストライキには、パリの東駅、RER E, 首都東部郊外の列車が含まれます。

 ロックダウン解除から間もない特別な状況下でのストライキは、想像するにも恐ろしいような事態ですが、経営陣と労働者との間の軋轢は、深刻な状態です。

 というのも、あくまでも、私見ではありますが、ロックダウン解除の2日前までは、現時点でのロックダウン解除は、安全の保証ができないと公表していた公共交通機関が、ロックダウン解除に踏み切った途端に、急な方向転換をしたのには、経済活動を再開したい政府の相当な圧力があったと思っています。

 組合は、前例のない非常事態にも関わらず、リスクを追いながら働き続けている労働者に対して、経営陣は、話し合いの機会も持たずに、物申す労働者を一方的に懲戒処分を実施しようとしていると主張しています。まずは、交通機関の安全の確保に必死であるはずの経営陣は、安全確保以上にこの組合の反抗を沈めることに必死になっているとさえ言われています。

 公共交通機関の経営陣は、政府の圧力と組合の圧力に挟まれて、窮地の状況にあります。

 このコロナウィルスの蔓延し続ける状況の中、ストライキ大国のフランスがこの状況をどう切り抜けられるでしょうか?









 

 









2020年5月12日火曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除・初日のフランス パリ・サンマルタン運河は早くもアルコール禁止の措置


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 緊張と不安と、ほんの少しの喜びと共に、フランスは、55日間のロックダウンの解除の初日を迎えました。心配された公共交通機関での混雑は、メトロ13号線や郊外線の一部で、一時、人と人との間隔を取れないほどの混雑に見舞われましたが、想像以上に多くの人が、リモートワークに留まっていることや、自転車やトロチネット、車を利用し、公共交通機関を避けたことで、とりあえず、初日は、大きな問題は、起こりませんでした。

 我が家の近くのVelib(パリの貸自転車)置き場には、先週末には、自転車が満杯に用意されていましたが、気がつけば、ガラガラ・・多くの人が、公共交通機関を利用する代わりに自転車を利用していることがわかります。

 会社によっては、自転車やトロチネット、車で通勤する人には、年間400ユーロの補助を出す会社もあると言います。

 私は、郵便局に用事があったので、近所のコマーシャルセンターに行ってきました。今となっては、外出証明書がいらない外出は、なんか、忘れ物をしているような気さえしてしまう自分に驚きました。

 コマーシャルセンターの入り口には、アルコールジェルが新たに設置されていました。

コマーシャルセンター入り口のアルコールジェル

 薬局とスーパーマーケット以外は、全てシャッターが下りている光景を見慣れてしまっていた私には、入ってすぐの美容院が開店して、すでにお客さんも入っている状態に、なんとなく、ニッコリしましたが、同時にいつもとは、明らかに様子が違い、ドアは閉まり、マスク着用と、完全予約制と書かれた張り紙に、今までと違う世界になったことを思わずには、要られませんでした。

ドアを閉じ、張り紙された美容院

 しかし、中に進んでいくと、Mariono(マリオノ)やKIKOなどの化粧品屋さん、いくつかの洋服屋さん、DARTY(電化製品のお店)などがオープンしていて、不安ではあったロックダウンの解除も、なんだか、とても、感慨深くて、急に一人で、うるうるしてしまいました。

 やはり、まだまだ、怖い、危険だ・・と思いながらも、見慣れていた日常生活の一部が戻ってきたことが、想像以上に嬉しかったのです。どこのお店の入り口にもアルコールジェルが置かれ、お客さんが、すれ違うことがないように、店内を一方通行で移動する誘導のテープが床に貼られ、お店の入り口には、人がいっぱいになった時のための店外で並ぶための配置のテープまでが貼られていました。
 
床に貼られた人と人との間隔の注意喚起のテープ

 そんな、細心の注意を払って、通勤したり、開店したりしている人々がいる一方、パリ・リパブリック広場では、黄色いベストの団体が暴走族のようにバイクで現れたり、(警察がすぐに現れて解散しましたが・・)夕刻になると、サンマルタン運河やセーヌ川岸には、大勢の若者が5〜6名の友人同士で、ワインやビールを持ち寄り、祝杯を上げ始め、結果的には、かなりの人数になり、これまた、警察が出動し、解散させられる事態が起きました。

 サンマルタン運河の騒ぎは、あっという間に広まり、また、あっという間(数時間後)に、パリは、翌日(12日)からのサンマルタン、セーヌ川岸での飲酒を禁止する通達を出しました。このパリの対応の早さは、凄いです。

 55日間のロックダウンの間、ブローニュの森やヴァンセンヌの森でのジョギングが禁止になったり、19区での路上でのパーティー状態に警察が出動したりしたこともありましたが、ロックダウンが解除になって、外出許可証なしに、友達と会ったり、話したり、飲んだり、食べたりしたいのも、気持ちは痛いほどわかるのです。

 人と話すことが好きで、人が集まって食事をするのが大好きなフランス人がこれまで2ヶ月近くもおとなしくしてきたのです。ロックダウン生活から解放されて、友達とひと息つきたいのもわかります。
 
 でも、パリは、未だ、レッドゾーンで危険な状態で、そんなことができる状態ではないのです。それでも、彼らは、もしかしたら、またロックダウンすることを予想して、ほんの少しの間だけでも、辛かった時間を忘れて、楽しいひと時を過ごしたいという刹那的な思いでいるのかもしれません。















2020年5月11日月曜日

自己責任に委ねられたフランスのコロナウィルス・ロックダウン解除


Des voyageurs munis d\'un masque en gare de Lyon, à Paris, le 7 mai 2020.


 5月11日のロックダウン解除が発表されたのが、5月7日(木)。地域による段階的な解除とのことだったのに、条件付きとはいえ、レッドゾーンまでの解除に、この三日間は、とにかく決まってしまったことゆえ、皆、必死の準備に追われていますが、特に公共交通機関の現場は、混乱状態のまま、ロックダウン解除に突入します。

 ここのところ、一日の死者数も70人(5月10日現在)までに下がっていますが、ICUにいる重症患者は、減少しているものの、未だ、2812人もおり、その半分以上がイル・ド・フランスに固まっている状態です。つまり、パリ近郊の病院は、未だ、満床状態です。

 そんな、現状を踏まえてか、フランス人の72%は、ロックダウンが解除になっても、再び感染が拡大して、また、ロックダウンになると思っていると言います。

 一番、心配されているのは、パリ、パリ近郊の公共交通機関は、5月11日の段階では、パリの大部分のメトロ、バスは、通常の75%の運行状態で、(1、14号線は、通常どおり、13号線85%、2〜12号線は75%)、郊外線は、60%だといいます。

 依然として、リモートワークが続けられる人が公共交通機関を利用しないことを差し引いても、人と人との距離を取らなければならないことを考えれば、充分な運行状態とは言えません。バスに関しては、乗客は、最大20人までとなっています。

 これまでのストライキの際などの公共交通機関の混乱ぶりを見ていると、今回の交通機関での混乱が起きた場合は、ことさら恐ろしいことになることが考えられます。(だいたい、平常時でも、ストライキでなくとも、パリの交通機関は何かと問題が多いのです。)

 このような規則や、外堀は、どんどん埋められえていますが、実際の労働者のリスクは、守られきれていないのが現状です。国や会社の経営者側は、これまでのロックダウンでのマイナスを少しでも埋めようとロックダウン解除には、前向きですが、実際の労働者たちには、不安が大きいようです。

 労働環境の安全の確保ができていないということで、組合からの物言いがつき、ルノーの工場などは、閉鎖されたままですし、大勢の人が不安に思っている公共交通機関(RATP)の職員(運転手)などからも、今のところ、安全確認への回答を得ていないと訴えています。

 ロックダウンが解除されるということは、保証もなくなるということで、リスクを侵してでも働かなければならないのですから、あとは、自分を守るための自分の保護は、各々が自分でしろ!と、そのリスクは、国民のモラルに大きく委ねられた感が否めません。

 学校の再開にも反対して、子供を行かせないと言っている人が、多いです。

 ここへ来て、ヌーベルアキテーヌ地方では、葬儀の参列を機に、また、オードセーヌでは、学校再開の準備に取り組んでいた人々からの感染の拡大が発表されています。

 しかし、ロックダウン解除になった午前0時、窓の外からは、歓声が聞こえ、まるで12月31日の年明けの瞬間を楽しむように、マルセイユでは、0時を待って、街に繰り出す若者まで・・。やはり、開放感を喜んでいる人も多いことに、あらためて、驚かされます。

 再び、ロックダウンになることを覚悟しつつも、とりあえずは、ひと息つきたいというのが、正直なところなのかもしれません。中には、今回のロックダウン解除は、次のロックダウンへの準備期間と言っている人までいます。

 通勤でなくとも、これからは、どんどん、人が街に溢れ出します。

 パリのジョルジュポンピドゥ病院の緊急責任者は、「今後5週間で感染拡大が再び始まる可能性がある」と警告を鳴らしています。

 しばらくの間、フランスは、ロックダウン中以上の混乱が続くでしょう。










2020年5月10日日曜日

コロナウィルス・ロックダウン中のインターネットのない世界




 ロックダウンから、50日ほど経って、突然、インターネットが使えなくなりました。
 
 ロックダウンで、外出できなくなっても、ネットが通じるおかげで、情報は、入るし、周りの人とも繋がることができたので、インターネットがある時代で、本当に良かった・・と思っていたら、突然、サーバーがダウンしてしまいました。

 ここのところ、ネットが遅くて、利用者が多いのだなぁと思っていたのですが、まさかのダウンとは・・。

 慌てて、サーバー会社に電話すると、現在、対応しきれないので、しばらくお待ちくださいとのこと。こんな時にもさすがのフランス・・ちっとも、対応を急いではくれません。外に出たところで、サーバー会社のお店もやっていないので、仕方なく、修復可能になるまで、インターネットのない生活を送ることになりました。

 インターネットのない生活は、何年ぶりだったでしょうか? 長いこと、ネットに頼った生活をしてきた私ではありますが、考えてみれば、私は、デジタル世代ではなく、人生の半分以上は、自宅では、ネットを使わない生活をしてきたのです。

 すっかりネットに頼る生活に浸かって慣れきって、習慣になってしまって、わからないことがあれば、ネットで検索して調べ、テレビを見ることよりも、YouTubeを見ることの方が多くなっていた生活(今は、非常時でもあるので、テレビでニュースを見るようにしていますが、普段は、ほとんどテレビは、見ません。)、そのYouTubeで、運動不足解消のためにやっていたダンスやヨガなどもできなくなってしまいました。

 毎日、書いていたブログも出せなくなり、一日のルーティーンも崩れそうになってしまいました。自宅の中での狭い生活の中でも、一日のスケジュールを決め、規則正しく生活を送ることで、何とか、自分を保ってきたのです。

 しかし、無理なものを恨んで、イライラしても、始まりません。

 ネットは、あれば、あったで、やたらと使ってしまうので、ネットのない世界を味わってみるのも良いかと腹を据えることにしました。

 実際に、なくなってみると、いつも、どれだけネットに費やしている時間が多いかと思わされるほど、最初は、なんとなく、手持ち無沙汰な感じもありましたが、慣れてくれば、ニュートラルな自分に戻れるような気さえしてきます。

 しかし、一方、自分で色々な情報を収集できないことは、自分での判断が下しづらいことなのだということも痛感しました。

 でも、以前は、こんな風に時間を過ごしていたんだな・・と、ネットのなかった、以前の生活を少しずつ思い出していきました。電気や水道が止まってしまったら、それこそ命に関わる大変なことですが、溢れかえる情報から絶たれた状況も、時には、あっても良いような気さえしてきます。

 考えてみれば、私にとっては、アフリカにいた頃の生活は、今と少し似ているところがありました。あの頃、家には、ネットは通じておらず、電話とて、国際電話などは、そうそうできるものでもなく、外出とて、そう気安くできる状況でもありませんでした。

 大学へ通ったりもしていましたが、それ以外は、家で、ひたすら勉強し、持って行った本を読み、日本語が聞きたくなれば、主人が持っていた日本語学習用のNHKのビデオ(その時は、それしかなかったので・・)などを何度となく、見ていました。

 アパートには、住民共有のプールもありましたが、マラリアの感染が怖くて、早朝か、夜、日が落ちてからしか行けないので、結局は、そんなにプールには、行けませんでした。マラリアの感染に関しては、街中は、普通に生活していれば、問題はありませんでしたが、ラグーンの近くや、貧窮地帯へ行く時などは、注意が必要でした。

 実際に、主人は、仕事関係の視察で、ラグーンの近くにある工場などに出かける機会もあり、何度かマラリアに感染していました。高熱を出して苦しみ、家にお医者様が来てくれたりしていましたが、その時に主人が飲んでいたのが、今、フランスでは、コロナウィルスの治療に希望をもたらしているクロロキンです。

 マラリアは、蚊に刺されることで感染するので、コロナウィルスよりは、わかりやすい病気なうえ、人から感染する病気でもなかったので、その点は、少し違いますが、外に出れば、病気に感染する危険があり、家の中は、毎日、ジャベルで消毒していましたし、感染を恐れるという意味で、今と少し似ているような気がするのかもしれません。

 アフリカに行く際にも、黄熱病の予防注射が義務付けられていて、私などは、その予防注射をしただけで、あまりにだるくて、体調が悪くなり、もう二度とごめんだと思ったものです。

 そういえば、私のベランダでの家庭菜園も、アフリカが初めてで、あの頃は、まだ、初心者で、一生懸命に育てた、わずかばかりの枝豆を、あっという間に一瞬で食べてしまったことも覚えています。

 今も静かな生活の中で、狭いベランダで、あれやこれやと野菜を育てる生活です。アフリカでは、日本語学習用のビデオを見たりしていましたが、今は、日本のドラマや映画などを録画してもらったDVDのストックがたくさんあるので、そんな昔懐かしいドラマを見たりしながら、あの頃(アフリカにいた頃)よりは、快適に家で過ごせるようになったと、ネットのない世界もたまには、いいかなと思い始めていました。

 そして、2日経って、朝、目覚めたら、ネットが繋がっていました。到底、しばらくは無理・・と居直っていただけに、肩透かしを食ったような・・嬉しいけど、ちょっと残念な気さえする妙な気分でした。


 




















2020年5月9日土曜日

フランスのコロナウィルス・ロックダウン中の戦勝記念日のセレモニーとロックダウン解除への混乱


     https://s.france24.com/media/display/10f43ffa-9111-11ea-affe-005056a98db9/w:1240/p:16x9/2020-05-08T094643Z_1721060431_RC29KG9BJHQU_RTRMADP_3_WW2-ANNIVERSARY-FRANCE-MACRON.webp


 フランスは、5月8日は、戦勝記念日で祝日で、毎年、凱旋門でセレモニーが行われています。今年は、75周年にあたる年でしたが、セレモニーは、コロナウィルスのロックダウンの中、ある意味、歴史的な、特別な状況で、行われました。

 セレモニーは、最小限に縮小され、例年は、凱旋門にある世界大戦での犠牲になった戦士のためのモニュメントに大きな花を捧げて慰霊をし、華やかにパレードが行われ、シャンゼリゼの沿道には、多くの見物客が押し寄せます。

 今年は、パリの街は、からっぽで、人の気配が全くない中、マクロン大統領、フィリップ首相、前任者であるニコラサルコジとフランソワオランド、パリのアン・イダルゴ市長、軍関係者等の最小限の出席者のみで、行われました。

 出席者は、敢えて?誰もマスクはせず、人との距離を置く形で行われました。伴奏の楽隊なしで歌われるマルセイエーズ(フランス国歌)が、からっぽの街に響いていました。

 奇しくも今は、戦時中のような状態で、戦争の勝利を記念するセレモニーは、ロックダウン解除を目前にしているフランスには、コロナウィルスに勝利したわけではないにしろ、一つの節目を迎えるタイミングで、ある意味、象徴的な意味合いも感じられました。敢えて、マスクをせずにこのセレモニーに臨んだマクロン大統領のコロナウィルスとの戦いへの勝利、あるいは、勝利への道へのアピールであった気がしています。

 しかしながら、ロックダウン解除に向けて、世間は、その準備に大わらわで、特に、パリ、イル・ド・フランスの交通機関は、必死に安全対策を行なっています。

 SNCF(フランス国鉄)は、50%、RATP(パリ交通公団)は、75%の運転を保証し、パリの60ヶ所の駅は、閉鎖状態のまま留められます。公共交通機関でのマスク着用の義務化(マスクをしていない場合は、罰金135ユーロ)、通勤時間帯とされる 6:30~9:30、16:00~19:00 は、雇用主発行の通勤証明書が求められます。

 駅には、人の間隔の目安になるためのテープやステッカーが床に貼られ、一日に最低でも2回、駅や電車の車両の消毒を行うとしています。

 それをコントロールする人の配置の都合や、準備などで、閉鎖状態の駅が60もあるのでしょうが、その分の人は、他の駅に流れるわけで、開けられた駅での人の密集が心配されます。

 ロックダウン解除となれば、これまでは、ほとんど無くなっていた交通事故などの発生も予想されることから、特に現在も満床状態のパリ、イル・ド・フランスの病院が耐えられるのかも心配されます。

 昨年から長いこと続いた交通機関のストライキの際などは、ほとほと国民も疲れ果て、RATPを文字って、(Rentre Avec Tes Pied)(自分の足で帰れ!)などと言われたほどです。今回も、安全を考えれば、自分の足で通勤しろ!ということになるかもしれません。

 また、昨年のストライキは、年金問題でのストライキでしたが、RATPでは、すでに職員が8名もコロナウィルスで亡くなっており、感染してしまった人も大勢で、この火事場騒ぎのような準備と、危険な状況下での仕事に、再び、ストライキが起こっても、何の不思議もありません。

 フランスのロックダウン解除は、まさに前途多難です。



















2020年5月8日金曜日

フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?

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 フランスは、3月17日以来の約2ヶ月間のロックダウンを5月11日に解除することを発表しました。

 前回のロックダウンの延長と解除の発表以来、地域ごとの段階的な解除ということで、フランスの地図を感染状況、病院の空き状況などによって、赤、黄色、緑の三色に色分けしてきましたが、今日の発表では、赤と緑の2色になりました。

 色分けをし始めてから、赤から黄色、緑へと変わった地域もありましたが、結局のところ、イル・ド・フランス、オー・ド・フランス、グランエスト、ブルゴーニュフランシュコンテの4つの地域、およびマヨット県は、赤のまま、残りました。

 ところが、赤の地域は、解除は、延期と思いきや、厳しい条件付きということで、他の地方と同じ段階で、「ロックダウン解除」という決断を下したのです。

 数日前に、マクロン大統領が小学校(イル・ド・フランス地域にある学校)を訪問し、マスクをして、子供たち(親が医療従事者だったりする家庭の子供が通学している生徒が数人だけの教室)と接したりしている様子を報道したりして、すっかり、解除モードをアピールして、子供たちにも、「来週からは、クラスメートも少しずつ学校に来るようになるよ!」などと、話したりしていたので、まさか・・と思っていたのです。

 わざわざ、色分けしておきながら、同時に解除するのは、解せませんが、それだけ、経済的にも逼迫した状況なのだと思います。ここのところ、一日の死者数も減少してきているし、ICUにいる重症患者数も減ってきています。しかし、レッドゾーン(赤の地域)は、未だ、ICUも満床状態で、余裕がありません。私は、そのための、色分け、段階的な解除と受け取っていましたが、この状態が長引くことは、明白で、リスクを冒してでも、ウィルスとともに生きていくことを模索し始めなければならないと判断したのでしょう。

 検査数を週70万に拡大し、陽性者は、隔離し、感染者の感染源の追跡も開始します。

 特に、イル・ド・フランスは、症例の多さは、予想以上としながらも、ロックダウンを解除することは、人口も多く、依然としてリモートワークが推奨されるものの、公共交通機関の混雑は避けられないイル・ド・フランスは、特にリスクは高いと思われます。

 公共交通機関の利用は、11才以上の乗客には、マスク着用が義務付けられ、マスクをしていない場合は、罰金135ユーロが課されます。また、ラッシュアワー(6:30~10:30, 15:30~19:30)には、職業証明書や外出証明書(通勤以外の止む終えない理由の場合)の携帯が必要となります。
中学は、閉校のまま、公園や庭園なども解放されません。自宅から100キロ以上の移動には、新たな証明書が必要となります。(原則的に禁止)

 とはいえ、カフェやレストラン、映画館などは、営業は、開始できないものの、40万の企業が再開され、87万5千人の人が仕事を再開します。全国の学校の80〜85%が再開するとしており、幼稚園、小学校の一部の学年の授業が段階的に再開されますが、実際に登校する生徒は、せいぜい6人に1人だと予想されています。

 こうした決断には、経済的な逼迫と同時に、近隣のヨーロッパ諸国が、少しずつロックダウン解除を始めていること、特にドイツのロックダウンが順調なことにも影響されているのだと思います。

 しかし、最初から、ドイツは、全く違う対応をしてきているのです。死者数も重症化する患者もフランスとは、桁違いです。当初から、検査・陽性者の隔離を繰り返し、現在も、検査数は、桁違いです。国民性も違います。2ヶ月間の監禁生活でのフランス人のストレスは、相当なものです。

 ドイツが順調だからと言って、フランスが同じように行くと考えるのは、危険です。フランスのロックダウン解除の鍵は、検査と隔離がどれだけ徹底して行うことができるかにかかっていると思います。

 公共機関だけでなく、マスクの着用が推奨されるとの発表以来、各市町村からの住民へのマスクの配布が始まっています。我が家にも昨日、紺色のマスクが届きました。各市町村は、住民からの突き上げを食って、マスクの配布の有無は各市長の政治生命がかかっていると言っても過言ではありません。

 しかし、マスクをすると、マスクをしていることで安心して、フランス人が再び、手を洗わなくなるかもしれない・・などと心配する人がいるような状態でのロックダウンの解除は、本当に心配です。実際に、この解除に猛烈に反対している赤い地域の市長さんもいます。

 今日も、何度、救急車のサイレンを聞いたか、わかりません。

 6月2日には、5月11日以降の感染状況の変化により、解除が広範囲の業種に広まるか、それとも再び、逆戻りするかの発表があるそうです。

 ロックダウン時には、他に選択の余地がない状況でしたが、今回は、他の選択もあったはず。兎にも角にも、国の将来に関わる重大な決断が下されたのです。

 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?
 



















 

2020年5月7日木曜日

ロックダウン後、2回目の買い物 生まれて初めてフランスでマスクを買いました!




 トイレットペーパーの買い置きは、してあったつもりで、まだまだ、あるある・・大丈夫・・と思っていたのに、いつもと勝手が違う状況で買い物をしたせいか、(単なるドジなのですが・・)買い置きしてあったのが、トイレットペーパーではなく、まさかのキッチンペーパーで、・・ロックダウンが解除になる前、ギリギリの今週末にでも買い物に行こうと思っていたのが、急遽、前倒しで、買い物に行くハメになりました。

 今週から、一般大衆向けにマスクの販売が解禁になったため、人出が多くなっているかと思い、開店と同時に行ったのですが、すでに、少しですが、並んで入場を待つ状態。ロックダウン以来、一度、買い物をしたきりだった私は、トイレットペーパーの他にも買い物が色々とあり、みるみるカートは、いっぱいになりました。

開店前からおとなしく並ぶ人々

 販売されているはずのマスクは、混乱と人だかりを避けるため、店内に陳列されてはおらず、レジで会計の際に頼めば、買えるということでした。

 1ヶ月ぶりのスーパーマーケットは、店内もすっかり、コロナモードが整えられて、透明なプラスチックのバリアや、人と人との距離を取る目安となりやすいために、床のあちこちに、物々しい色のテープが貼られていましたが、店員さんも、お客さんも、この状態に少し慣れたようで、先月、感じられたような、異様な緊迫感は、薄れていました。とはいえ、誰もが話をすることもなく、黙々と買い物をする様子は、いつもとは、全く違う光景です。

店内いたるところにこの表示

街中では、マスクをしていない人が増えているようで、心配していましたが、スーパーマーケットの中は、思ったよりも多くの人がマスクをしていたのには、少し、ホッとしました。欠品が多かった棚にも日常どおりとは、言わないまでも、先月、見たような、まるっきりガランとした棚は、見当たりませんでした。

 前回、意外にもガランとしていたチョコレートの棚も満杯になっていましたが、よく見てみると、いつものラインナップとは、少々、違いました。

 もちろん、トイレットペーパーも補充されていましたが、皆が家にいるために消費量も多いためか? 買い物の回数を減らすことを目的としているのか、あるいは、この際、大量に売ることを目的としているのかは、わかりませんが、大きなパックのものが多く、少々、戸惑いました。

 なかなか買えないと言われていた小麦粉も、どうやら、ポルトガルから輸入したらしい見慣れないパッケージのものが売っており、元々は、輸出用に生産されているものではないらしく、ポルトガル語のみの表記なので、それが、一体、小麦粉なのかどうか、少し迷ってしまいました。
 
 近くにいた男性も、「これ、小麦粉かな?」と迷いながら、手にしていました。いつもなら、ここで、話が始まるはずだ・・と思いつつ、ちょっと寂しい気持ちになっていました。フランス人は、知らない人にでも、わりと気さくに話しかけ、買い物に出ても、結構、知らない人と話をしたりするのですが、そんなことがまるでないのは、やはり、緊張感からなのでしょう。売られている商品の名前や値段の表示もないのも、日本では、あり得ないことだと思いながらも、この状況では、致し方ないのかもしれないな・・と思いながら、2袋の小麦粉を手にしたのでした。

 とりあえず、欲しかった食料品を夢中で、カートに詰め込んでいると、見慣れない新しい商品が登場しているのにも気がつきます。消毒用のアルコールジェルなどが、手に入りにくいためか、お酢を使った除菌スプレーなるものなども見つけました。(私は、買いませんでしたが・・)
 
お酢の除菌スプレー

 買いたい物をたくさん詰め込んで、レジに並ぶ段になって、マスクのことを思い出しました。お客さんの一人が「マスクはないのか?」と叫び出したからです。「マスクはレジにあります!」「マスクは、もうありません!」という声・・。私は、誘導されたレジが運の悪いことに、この期に及んで、小切手で買い物をしようとしているお客さんの後になってしまい、小切手がなかなか通らずに、延々と待たされるハメになりました。

 しかし、ようやく私の支払いの番になって、最後に、一応、「マスクは、ありますか?」と聞いてみたら、意外にも、「あるわよ!」というので、「じゃあ、下さい。」と言ったところで、まさかの割り込み客が登場。残り2パックのみだというので、割り込み客と、「じゃあ、一つずつ・・」と分け合うことにして、マスクを1パック買ってみました。

カーフールで販売しているマスク5枚セット2.9ユーロ

 フランスで、マスクを買ったのは、初めてでした。5枚入りで、2.9ユーロ(約350円)、政府が指定した上限の値段、1枚95セントよりは、安いものの、それでも、やっぱり、高いような気がします。

 想像以上に時間がかかり、帰ってくると、慣れないマスクをしているせいもあり、うっすら汗ばんで、すぐに、買ってきたものを消毒したり、自分も着替えたりして、ガックリ疲れました。

 ロックダウン50日目、2回目の買い物でした。















2020年5月6日水曜日

深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療


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 これまでの、フランスのコロナウィルスの感染者数は、約17万人(169462名・5月4日現在)、死亡者は、25201人に上っています。単純に計算すれば、死亡率は、15%近くなります。

 そんな状況の中、5万人近くの人が回復しています。

 しかし、回復したとはいえ、その後遺症に苦しみ続けている人も少なくありません。特に、集中治療室での治療を受けていた人には、後遺症が残るケースが多いのです。

 集中治療室での治療の際に行われる人工呼吸器を長い期間、装着することが合併症を引き起こします。挿管され、換気され、鎮静されるという事実は、体の代謝亢進を引き起こします。これは、私たちが過剰なカロリーを消費するため、筋肉が溶けることを意味します。したがって、歩行に戻ることが困難になる可能性があります。

 また、動かないことによる腎不全や血管血栓症のリスクもあります。

 病気によって引き起こされる後遺症のほとんどはウイルス自体によるものではなく、肺だけでなく心臓、腎臓、肝臓、または脳にも損傷を与える可能性のある過度に強い免疫反応によって引き起こされる炎症によるものです。

 ですから、コロナウィルスから回復したとはいえ、その他の臓器等の損傷による後遺症が残る可能性が高いのです。

 回復したと言われている人の多くは、脚部の血栓、筋萎縮、疼痛、倦怠感、心臓疾患、呼吸の苦しさの継続に苦しんでいるのです。また、長期にわたる鎮静状態による影響から、認知障害を引き起こすケースも多いと言います。

 コロナウィルスの最も深刻な症状の一つは、急性呼吸窮迫症候群と呼ばれるもので、これが、肺線維症を引き起こし、肺の結合組織の治療不良を引き起こし、呼吸困難に陥ります。

 呼吸困難を起こして、フランスで入院し、その後、人工呼吸器を装着されてからは、意識がなく、目が覚めたら、ドイツの病院で寝ていたという男性は、今は、回復して(コロナウィルスは陰性になり)、フランスに戻り、自宅に戻っていますが、現在も、歩行困難が残り、会話をしているとすぐに息苦しくなってしまう、倦怠感、頭痛などの症状が残っていると言います。彼は、これから長い期間をかけての日常生活へのリハビリ(長時間の歩行と呼吸の訓練)に取り組むことになっています。

 後遺症の残るケースは、重症化してしまった場合に、より、リスクが高くなることから見ても、早期の段階での治療が必要なのであり、つまりは、広範囲にわたる検査の拡大が必要なのです。

 前回のマクロン大統領の演説では、症状のある人のみの検査を週70万人を目標に行うとしていましたが、症状を感じないまま、回復する人も多いとはいえ、コロナウィルスの特徴からも、自覚なしに感染を撒き散らす危険を考えれば、症状の有無に関わらず、検査をするようにしてほしいと思うのです。





2020年5月4日月曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 安全は、保障されるか?


Des passagers dans le métro, le 16 mars.


 フランスの5月11日のロックダウン解除まで、一週間となりました。フランスでは、ウィルスの感染が収まっていない状況でのロックダウン解除に際しての安全の確保について、盛んに語られています。

 テレビでは、正しいマスクの付け方、はずし方を解説したりしていますが、同時に、そのマスクが、手に入りにくい状況も報じています。今週から、一般大衆に向けて発売されるマスクも、まずは、医療機関に廻すべきではないか?との声も上がっています。

 また、人の往来に不可欠な公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)は、「今の状況では、5月11日の段階での安全を保障できない」ことを発表しています。「リスクがあることを伝えるのは、とても、大切なこと」としています。

 昨年の12月から長期間、続いた公共交通機関のストライキの際などは、間引き運転で、混雑する電車に乗り込もうとする人々で、我れ先に電車に乗り込もうと争う様子に地獄絵図を見るようだと思いましたが、今回は、それに感染の恐怖が加わるのですから、交通機関の混乱は、安易に予想できます。

 そのため、自転車や車で通勤する人が増えましたが、それが可能な人も限られており、交通機関の安全の問題は、ロックダウン解除の際の大きな課題となります。

 また、「防護」「検査」「隔離」と軸としたロックダウン解除の「検査」に関しても、一週間に70万件という目標を掲げていますが、準備も難航しており、すでに、ミッション・インポッシブルなどと揶揄されています。

 ただ、PCR検査の費用の負担に関しては、国民健康保険でカバーされることも同時に発表されていますので、アメリカのように、生活貧窮者が検査費用の負担を案じて、検査を拒否するようなことには、ならないと思います。

 また、「隔離」に関しては、ここ数日間に、海外にいるフランス人の帰国に際して、空港でのチェックが甘いことが指摘されています。現在、飛行機の便数も極端に減っているため、出発地の空港では、人との距離を取るように、うるさく呼びかけられていたのに、実際に、いざ、飛行機に乗ると、満席状態、入国の際の健康チェックも、あまり厳しいものではなく、入国後は、2週間は、行動を控えるようにとは言われるものの、その後の追跡もなく、大勢の人が、そのまま、野に放たれている状態です。

 もともと、衛生観念の低い、モラルに欠ける人々が2ヶ月間のストレス状態から、ある日、解き放たれたら、どうなるか?

 「今回、ロックダウン解除ができなかった地域に関しては、さらに規制が厳しくなる。」としていますが、あと一週間となった今も、課題は、山積みのようです。



 

2020年5月3日日曜日

フランスのコロナウィルスとの戦いーこれまでの軌跡のルポルタージュを見て


https://static.lexpress.fr/medias_12214/w_640,c_fill,g_north/la-tour-eiffel-le-mardi-17-mars-a-paris-alors-qu-un-confinement-generalise-a-ete-mis-en-place-des-mardi-midi_6253956.jpg


  ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。

 もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。

 マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m の距離を取れ!」と、怒鳴り散らす警官たち。

 きっと、叫んでいる警官たちも、まだ、今ひとつ、理解していなかったのでしょう。マスクもせずに、人々の前で大声で怒鳴り散らしていました。

 次第に、フランス人も(人との距離をとって)並ぶということをするようになります。

 しかし、時すでに遅く、医療崩壊を起こして、病院内、ICUで奔走する医療従事者の様子。増加し続ける死者。3月31日の夜から、4月1日にかけて、救急車で運ばれてきた患者が病院に入れない状態になったと証言するパリの医療統括責任者。

 それから始まったドイツ・ルクセンブルクなどへのたくさんの機械やスタッフが同伴してのヘリコプターでの重症患者の搬送、TGVでの国内の他地域への搬送。

 16歳で亡くなった少女をはじめ、すでにテレビで報道された犠牲者の面々。家に閉じ込められた人々の生活の様子。家族との面会ができずに、個室に閉じ込められた高齢者施設の老人が感情を失っていく様子。

 空っぽになった世界中の街、人のいなくなった街に現れ始めた動物、大気汚染の解消された美しい街。

 これらの映像の記録は、きっと、後世までも残されて、語り続けられる貴重な映像となるでしょう。そして、今を生き続ける人のためにも、この現実を受けとめ、色々なことを感じて、深く考えるテキストとなるでしょう。

 私たちが、これまで、あたりまえのように送っていた日常生活の中で、何が大切なことだったのか、否応なしに考えさせられます。私は、ロックダウンの生活を、残りの私の人生をどうやって生きていくかを考える機会だと思っています。

 リモートワークをしてみて、無駄だと思われていた通勤の時間が、気持ちの切り替えには、必要な時間だったり、UberEatsなどで、宅配をしてみて、外食というものは、単に美味しいものを食べるというだけではなかったこと・・そして、人を避けなければならず、人に近寄れないことが、どんなに不自然で、人をギスギスさせることだったのか? 

 それでも、パリでは、40年ぶりの大気汚染が解消されたと聞かされると、これは、人間が痛めつけた地球を救うためのコロナウィルスという荒療治だったのかもしれないと思ったりもするのです。

 まだまだ、この危機は、当分、収まりそうもありませんが、このルポルタージュを見て、映像の記録というものは、大切なものだな・・と思った次第です。



 このルポルタージュは、全編フランス語なので、わかりづらいところもあるかもしれませんが、映像ゆえ、言語がわからない方にも、ある程度、伝わると思います。
https://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/ces-55-jours-qui-ont-change-la-france-revoir-le-grand-reportage-de-bfmtv-1244010.html


2020年5月2日土曜日

ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス


Image de masques FFP2, ici vendus à Amsterdam.


 昨日から始まった、ロックダウン解除予報から、解除が見込める地域を始めとして、今、それぞれの地域で頭を抱えているのがマスクの確保です。

 感染が広がり始めた当初は、政府も、「一般人のマスク着用は、意味がない。」と言っていたのに、さすがに、「マスクは、した方が良い。」に変わり、フランスでも、3週間前くらいまでは、ほとんどの人がマスクをしていました。

 ここへ来て、すっかりロックダウン解除気分で、気が緩んでいる人が増え、驚くほどマスクをしている人が減りましたが、実際に解除になった場合は、どうなるのでしょうか?

 ロックダウン以来、主に医療機関などのために、大量に中国等から輸入されたマスクが空港に到着すると、警察や軍の警備の車に先導されて、大仰に運ばれています。マスクの盗難事件が相次いだためです、

 そして、現在は、ルイヴィトン、ディオール、サンローランなどのフランスの大手のブランドを始め、多くの繊維業者がマスクを製造しています。

 それでも、圧倒的に足りないマスク。
 まずは、どこよりも医療機関を優先とされるマスクの分配は、ロックダウンの解除が見込まれる地域でも、全国民に充分に行き渡るほどは、ないのです。どこの市町村も、「これだけの注文をしています。」というばかりで、実際にストックがどれほどあるのか、マスクが到着しても、まずは、医療機関を優先とすると、全ての人にマスクが行き渡るかどうか、明言できない状態です。

 現在のところは、薬局でも、一般人へのマスクの販売は、禁止されています。

 ロックダウン解除後の公共交通機関でのマスクの着用は義務付けられていますが、一般人の外出の際は、「マスク着用を推奨する」ことに留めているのは、マスクの確保ができていないからです。

 市町村によっては、洗って再利用することができるマスクを配布しているところもありますが、(私の住んでいる地域では、11日以降に発送するという通達が届いています。)いくら洗うことができるとはいえ、毎日、通勤するとなると、消耗品ゆえ、充分ではありません。

 ロックダウン解除を一週間後に控えた来週からは、一般人向けのマスクの販売が解禁になり、全国の薬局、タバ(Tabac)(タバコや雑誌などを売っているお店)、スーパーマーケット等でマスクの販売が解禁になります。

 大手スーパーマーケットは、カーフール 225百万枚、ルクレール 170百万枚、インターマルシェ 90百万枚と、それぞれに、すでに販売用に確保しているマスクの数を発表しています。マスクの価格の高騰を恐れて、政府は、サージカルマスクの価格の上限を95セント(約110円)に設定しています。

 しかし、ボジョレーヌーボーの解禁ならぬ、マスク売り出しの解禁とは・・。

 というわけで、来週は、マスクの争奪戦が予想されます。ロックダウン解除になったら、皆の気が緩んで、しばらくは、これまで以上に危険になるだろうと、食料品や薬の買い物は、解除の前の週にしようと思っていた私は、とんだ、見込み違いをしていたようです。

 これまで、マスクを毛嫌いしていたフランス人の間で、まさか、マスク争奪戦が始まるとは・・。

2020年5月1日金曜日

5月11日のパリのロックダウン解除は延期になる? ロックダウン解除予報マップ


Coronavirus : carte des départements, masques, Ligue1… l’essentiel de l’actualité du 30 avril

 フランスのロックダウン解除の判断の指標とされる、ウィルスの循環状況や、コロナウィルス対応の病床の占拠状況などを地域ごとに、色分けされたロックダウン解除予報マップのようなものが、発表されました。

 この発表が、今日から、天気予報のように、毎日、発表されると聞いて、私は、成績表を待つような気持ちで、見ていました。

 ロックダウン解除される地域は、緑、そうでない場合は、赤とされていたのに加えて、オレンジ(オレンジと呼んでいるけど、私には、黄色に見える)=どちらに転ぶかわからない地域の3色に分けられています。

 これは、今後、5月7日までの感染状況や病床状態の変化によって、各地域の色は、変わっていくことがあり得ます。

 日頃のニュースからも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)や、フランスのオーバーシュートの震源地となったグラン・エスト(フランスの北東部の地域)などは、被害も大きく、ロックダウンになって以来、医療崩壊を起こして、病院に患者が収容しきれずに、廊下に溢れていたり、必死に、重症患者を他の地方に搬送していたりしたので、充分に無理なことは、明白であったのですが、地図を見て、「あ〜〜やっぱり、ダメだった・・」と思った自分に驚いたくらいです。

 実際のところは、今の状況では、私は、ロックダウンの解除はして欲しくないし、怖くてたまらないし、考えてみれば、地域ごとにロックダウンを解除すると言った時点で、パリのロックダウン解除は、あり得ない話だったのです。

 逆に、被害者も医療崩壊の度合いも激しいパリをロックダウン解除するなら、何も段階的にロックダウン解除などという必要はないわけです。

 もしも、パリがロックダウン解除になるとしたら、かなり厳しい制約付きの解除になるだろうし、そのようにしてもらわないと困ります。

 これから、長い間、きっと、毎日、天気予報を見るように、この地図を見るのが習慣化するのかもしれません。これが、この先、将来、ロックダウンが解除された時に、地域ごとに、日本の花粉情報のように、より細かい状況がわかれば、少し、危険な地域を避けられたりすることがあるかもしれません。

 天気予報に加えて、ウィルス予報・・今まで、考えもしなかったことが現実になっています。

 この地図を前もって発表することで、国民の意識が上向きに向かう効果が現れてくれればと思いますが、不安材料が、もう一つあります。

 マラリアの治療薬(予防薬)であるクロロキンを使ったコロナウィルスの治療でフランスでは、一躍、英雄扱いされている、マルセイユ医大の感染症の研究の権威、ラウルト教授がテレビのニュース番組のインタビューで、「コロナウィルスの感染は、落ち着いてきているし、第二波が来ることは、SFのように、信じ難いことだ。」と発言したのです。

 このような影響力が絶大な人の発言が、国民を一気に油断させる一旦にならないかと心配しています。

 彼は、インタビューに対して、感染症研究の視点から言えば、コロナウィルスの致死率は、大したことはないもので、季節的なものも影響しているので春から夏にかけてウィルスは減少するであろうと答えています。

 しかし、感染が少しずつ減少してきたのは、一ヶ月半にわたるロックダウンの効果であるに違いないのです。

 彼の話を聞いていると、彼は、あくまで研究者であることをひしひしと感じます。「治療薬が開発されて認証されるまでに一年かかったとして、その時に、治験対象者がいるかどうか?」などという、ちょっと信じ難いことまで語っています。

 クロロキンの投与に関しては、賛否両論あり、投与のタイミングの難しさ、副作用などもあることから異論も出ていますが、とかく、影響力のある人物の楽天的とも受け取れる発言が、今、綱渡りの状態であるフランス国民の気を緩ませるきっかけとならないことを祈るばかりです。