2025年8月22日金曜日

食品のカドミウム汚染 チョコレートの過剰摂取に警告

  


 フランスの消費者保護団体 UFC-Que Choisirは、食品に含まれているカドミウムが健康に及ぼす被害について警告を発し、中でも、とりわけチョコレートやココア製品には、健康に有害(特に子ども)な重金属であるカドミウムが相当量含まれているとし、過度な摂取を控えるように呼び掛けています。

 これは、フランス人にとっては悲報といってもよい話で、フランス人はチョコレートが大好きな国民で、日常のお菓子類にしても、実にチョコレートを使ったものが多く、また、なにかといえば、「ショコラ」・・スーパーマーケットなどの売り場の大きさだけでも、その人気のほどがうかがえます。

 また、季節が変わっても、チョコレートは、手を変え品を変えといった感じで、ちょっとした贈答品や、例えば、なにか人にプレゼントとか、手土産などを探そうとするとき、「困ったときのチョコレート・・とりあえず、チョコレートにしておけば間違いない・・」と思ってしまうほど、「まあ、チョコレートでよいか・・」と、ちょっと良さげなチョコレートを探したりします。

 実際に、チョコレートが嫌いという人は、あまり聞いたことがなく、万人受けする間違いないものとして存在しています。

 そのチョコレートが、健康に有害とは・・困った話です。

 体内に蓄積し、心血管疾患、腎臓疾患やガンのリスクを高めるというこの「カドミウム」は、すでにフランス食品環境労働安全庁(ANSES)によって、「体重1㎏あたり1日0.35マイクログラムのカドミウム」に設定されています。

 そして、それぞれの食品は、概ねこの基準値を遵守していますが、消費者側が偏った摂取や過剰摂取をしている場合には、自ずとこの基準値を超えてしまっている場合が少なくないと言います。

 2021年にフランス公衆衛生局が発表したデータによれば、フランス人の平均カドミウム汚染率が倍増していることが示されており、医療専門家によれば、フランスの子どものこの汚染率は、アメリカやドイツの子どもの4倍になっており、アメリカやドイツは政府に向けて、国民を守るために必要な措置を講じるように書簡を送っています。

 また、カドミウムは、穀物や野菜の生産に使用されるリン酸肥料にも含まれており、私たちが消費する穀物や野菜は多かれ少なかれ、汚染されています。これらの野菜のための肥料を生産するためにフランスは、リン鉱石の90%をモロッコとチュニジアから輸入しており、悪いことに、この地域のリン鉱石は、世界の他の地域のリン鉱石と比較して、特にカドミウム含有量が高いのです。これがフランスが他の国よりもカドミウム汚染の影響を受けている理由のひとつと言われています。つまり、劣化するにつれてカドミウムを放出する岩石と畑に散布されるリン酸肥料の両方が存在するということになります。このカドミウムは植物の根を通して吸収され、最終的に食品を汚染することになっています。

 チョコレートに話を戻せば、さらに質の悪いことには、チョコレート(チョコレートバー、チョコレート菓子、シリアル、チョコレートパウダー、チョコレートスプレッドなど)の中でも、とりわけ、オーガニック製品の場合は南米産のカカオを使用していることが多いため、非常に高濃度のカドミウムが含まれている可能性が高いというのですから、健康のために、わざわざ選んでいるオーガニック食品が実はより身体に有害だった・・という事実は、始末の悪いことです。

 そのため、保健当局は、全てのカカオ愛好家、一般の人々に対し、食生活の多様性を推奨しています。特に子どもと妊婦に対しては、注意を促しています。

 つまり、幅広く、色々なものを食べていれば、なにか一定の有害物質が蓄積される危険性が低いということです。

 しかし、生きにくい世の中になりました。


チョコレートに含まれるカドミウム問題


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2025年8月21日木曜日

EUの空港における機内持ち込み手荷物の100ml 液体制限がまもなく撤廃へ まもなくっていつ?

  


 飛行機に乗るときの機内持ち込み手荷物の液体制限については、毎度のことながら、面倒なことで、大変、嫌な思いもしてきました。

 飛行機に乗る前の手荷物チェックでは、手荷物から100㎖以内に詰め替えた化粧水や香水などをジップロックのような袋に入れたものを出したり、パソコンや携帯などの電子機器を取り出したり、ただでさえ混んでいる中、バタバタと荷物チェックをされるのは、不快です。

 一度、もう少しで使い終わりそうな化粧水を旅行先で使いきってしまおうと持って行ったところ、明らかに残りわずかで4分の1も入っていないのは一目瞭然なのに(透明のボトルだった)「容器には、120㎖って書いてあるからダメです!」と没収されてしまったこともありました。まあ、あまり入っていなかったので、大した被害ではないとはいえ、こんなの、いちゃもんそのものです。

 それ以来、もう容器にも気を付けて、必ず20㎝×20㎝の袋に入る範囲内に詰め替えていくようにしています。飲み物なども持ち込めないので、セコい私は荷物検査の直前でガブのみするハメになったりもします。

 日本の空港は、まだ、それでも良心的で飲み物などは、手荷物検査を通った後でも、市内と同じ価格のものを自動販売機で売っていますが、フランスの空港などは、手荷物検査後のエリアでの飲み物は、市内でふつうに買える価格とは違って価格が跳ね上がっていて、「ドリンクを取りあげて置いて、高いものを売りつけるってひどくない?」と毎回思います。

 ドリンクについては、ちょっとまた別なのかもしれませんが、100㎖ルールについては、撤廃の方向で動いているようです。

 すでにヨーロッパでも一部の空港では導入されている新型3Dスキャナーの導入により、最大2リットルの液体持ち込みが可能になる模様で、エジンバラ、バーミンガム、ブリュッセル・ザベンテム空港、イタリアの7つの空港、そして、パリ・シャルルドゴール空港やオルリー空港を含む一部の空港では、このスキャナーが導入されているそうです。

 ヨーロッパでは、2006年の計画的液体爆発攻撃を受けて導入された100㎖ルールが依然として適用されています。複数の空港でこの機械が導入されているにもかかわらず、制限値は、変更されていません。

 実は今年の初めに欧州委員会は、この100㎖ルールの段階的撤廃を発表したものの、一部の加盟国とアメリカとイギリスから、「一定量を超えると非常に稀ではあるものの、スキャナーが爆発性液体を検知できない可能性がある」というフィードバックがあったため、これにストップがかかったと言われています。

 欧州委員会は、新たな試験結果を待っている状態とのことですが、最終決定がいつ下されるかは、不明です。

 しかし、少なくとも、この3Dの高性能スキャナーの導入について、フランスは2030年までには、完了する予定にしています。

 本当にどうにかならない?と思う、この手荷物検査、特に経由便だったりする場合、乗り換えの際にまた、手荷物検査が必用な場合が多いので、前の便が遅れていたりした場合は、もう次の便にギリギリだったりして、もう大変、焦ります。

 それも、その時によって、荷物だけではなく、靴まで脱ぐように言われたりするのには、本当に辟易します。

 とはいえ、残念ながら、安全のためには必要になってしまったこの一連の作業。できるだけ、簡単になってほしいのは、言うまでもありません。


手荷物の100ml 液体制限


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2025年8月20日水曜日

いい加減、学べよ!と自分に言い聞かせた、さんざんな1日

   



 天気も良いし、明日は雨かもという予報に、今日のうちに用事を済ませておかなければ・・と思って、いくつかの場所をまわるつもりで家を出ました。

 まず、バスに乗って、一か所で買い物を済ませたのち、次の目的地へメトロで移動。メトロに乗って、ヤレヤレと思っていたら、メトロは途中までしか行かずにここまで・・と。

 現在、8号線は一部区間が工事のために閉鎖していたのです。あまり頻繁に利用する線でもないために油断していました。そのまま乗っていれば、目的地に行けたのに、仕方なく、別の線に乗り換え。

 ところが、どうしたことか、なんと、乗り換えを間違えるという失態。

 そして、さんざん遠回りした挙句に思っていた時間を大幅にオーバーして、ようやく目的地に到着。これで、そのお店が閉まっていたりしたら、ホント、笑っちゃうよね・・と心の中で思いながら、お店の前まで行くと、何やら、ちょっと笑えない事態に・・今週いっぱいお休みでした。

 なんだか、勝手にこのお店は、夏休みの間も絶対閉めないよね・・と思い込んでいたため、確認もしなかったのです。

 本当にこの時期、公共交通機関を始め、何をするにも効率が悪すぎで、出かける前にちゃんと交通機関やお店がやっているかどうか確認しなければいけないのは、重々、承知していたつもりだったのに、さんざん、時間を費やして、全く、無駄足そのものでした。

 そのあと、ちょっと、食事に行きたいと思っていた場所の候補がいくつかあったのですが、昼食の時間は、たいてい14時くらいまでで、急いで行っても、ゆっくり食事する時間はないため、それは、イヤだ・・と泣く泣くそれまで諦めることに・・。

 こんなんだったら、家を出て、直接、食事に行けばよかったものの、まったくもう何十年もパリにいるのに、夏のこの期間のパリの事情をいいかげん、学べよ!と自分に言い聞かせた次第です。

 しかし、ここのところ、以前に比べて、メトロ等の工事が確実に増えたな・・と。昨年までは、パリ・オリンピックのための準備かと思っていたのですが、オリンピックが終わった今でも絶賛工事は続いているのです。

 パリの場合、まあ、人が少ないこの時期に工事が集中するのはわからないでもありませんが、それにしても、夜間に工事を行うとか、できるだけ利用者に迷惑のかからないようにしようとか、何も、日中に運行をまったく止めてしまう・・しかも長期間にわたって(8号線の工事は8月末まで続くそうです)

 こうなってくると、人が少なくて嬉しい・・なんて言ってたのに、もういい加減、8月が終わってくれないかな?ふつうに効率的に動けない・・などとまで思ってしまいます。

 しかし、心配するまでもなく、8月ももう残すところ、あと1週間と少し。あっという間に人がたくさんのパリが戻ってきます。


パリ バカンス期間


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2025年8月19日火曜日

パンテオン Le Panthéon 偉人たちの墓所

  


 パリ5区にあるパンテオンは、パリの中心にありながら、巨大なドームが青空にそびえる荘厳なパリの歴史的建造物のひとつでもあります。

 パリ5区市庁舎のすぐ前で、しかもリュクサンブール公園からも近いので、たまにお散歩がてらに付近を歩くことがあったのですが、今回、初めて中に入ってみました。





 その独特な建築は、内部は、ドームがあることもあるのか、ちょっとどこかの大聖堂みたいな感じもあり、どこかシンとした雰囲気と涼しさが漂っています。




 正面入り口から入場すると、地上階中央部分には、天井から吊るされた振り子時計が存在し、その奥には、ドーンと大きな像がまるで舞台に上がっているような感じにそびえ立っています。




 そして、ここに埋葬?祀られている偉人たちの墓所は、そのさらに奥にあります。石造りの建物には、荘厳さと歴史が刻まれており、途中、いくつも進入禁止の部分がありますが、その奥には、石の階段などが続いていて、方向音痴の私などは、迷い混んだら、間違いなく、容易には外に出られなくなりそうな感じです。


ルソー


 ここに埋葬されているのは、ヴォルテール(哲学者)、ジャン・ジャック・ルソー(思想家)、ヴィクトル・ユーゴー(小説家)、マルセラン・バルテロ(科学者)、ピエール・キュリー/ マリー・キュリー(物理学者)などなど、最近、ここに新しく仲間入りしたのは、ジョセフィン・ベイカー(歌手・女優)です。


ピエール・キュリー/ マリー・キュリー


 政治家、革命家、思想家、哲学者、画家、軍人、冒険家、小説家、学者などなど、そのジャンルは様々ですが、ひとつひとつの墓所を見て行くと、昔の政治家ほど、派手な棺で装飾も、どちらかといえば派手めです。

ヴィクトル・ユーゴー

 マリー・キュリーなどは、今回、ここで見るまでは、フランス人だったことは知らなかったくらいで、祖国のポーランド(彼女の国籍はポーランドとフランスの二重国籍)は、よく彼女の墓所をフランスに委ねたな・・と思いますが、けっこう、彼女のように、この人フランス人だったの?という人もいます。

 それにしてもフランスに長い歴史の中で選ばれた人々の墓所は、それなりに一見の価値があります。

 以前、この内部(地上階の石像の前の広場?)をテレビで見たことがあったな・・と思いだしてみたのですが、数年前に、マクロン大統領が死刑制度廃止などについてのシンポジウムかなにかを開いた時に会場として使われたのが、ここでした。

 パリには、著名人が眠っている墓地・ぺー・ラ・シェーズなどもありますが、あそこは、あくまでも墓地で一般人の墓所でもあります。また、このパリの真ん中にあり、この荘厳な建物の中にある墓所というのもすごいことです。

 中を見て歩くのも1時間ほどあれば、充分なので、またちょっと違うパリを見るには、ロケーション的にもアクセスがよく、便利でわりと簡単に立ち寄れる場所かもしれません。

 チケットはもちろんネットで事前予約できますが、当日、その場でも簡単に買うことができるし、そんなに待ち時間もありません。

 美術館にちょっと飽きた・・という方もちょっと目先が変わった感じで面白いかもしれません。


パンテオン Le Panthéon / Place du Panthéon 75005 Paris


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2025年8月18日月曜日

娘の有給休暇とフランスの有給休暇

  


 日本で就職して日本で仕事をしている娘。仕事も生活もまあまあ順調で、楽しく、忙しく生活しているようです。まさに独身貴族を謳歌している感じではあるのですが、今年の4月から正社員となり、役職にもついて、ますます忙しく、けっこうな収入を得ているのに、あまりに忙しすぎて、「これじゃ、もう少し貰わないと合わない・・」などとのたまっています。

 忙しすぎて、大変ならば、少しはお休みの日などは、ゆっくりしていたらいいのに、これがまた、休日も忙しく旅行して歩いているので、まあ仕方ありません。でもまあ、本人が楽しく生活できているようなので、何よりです。

 また、今はバカンス期間ということもあって、先月はスイスから1人、今月はフランスから1人、友人が来るとかで、楽しそうです。

 来月には、パリに来ることになっているので、その時に一緒に旅行しようと言っているので、今は、どこへ行くのか検討中。

 娘は基本的には、半分程度がリモートワークなので、リモートワークの場合は、どこにいてもいいわけで、パリに来ても、半分は仕事しているんじゃないかと思います。

 それにしても、「あなた、今の会社は有給休暇は何日あるの?」と聞いてみたら、「11日」とのこと。彼女の現在の生活を見ていると、とても11日とは思えないのですが、リモートワークを上手く利用しているようです。

 彼女が働いている会社はフランスの会社なのですが、その日本支社なので、休暇等は、日本の休日ベースなのだそうで、彼女曰く、「今時期、フランスの本社の人たちは悠々、1ヶ月バカンスをとれていて、すごく羨ましい!」とのこと。

 私は心の中で、「そうでしょ・・そうでしょ・・」と思いながら、フランスで育ってきて、長いバカンス期間に慣れきっていた彼女にとって、有給休暇11日とは、生まれて初めての厳しい経験かもしれません。

 私が日本で仕事していたのは、もう遥か昔のことなので、その時の有給休暇が何日だったのかは、もう覚えていませんが、その頃は、それがあたりまえだったので、特に有給休暇が少ないとか、そんな風に思ったこともありませんでした。

 しかし、私自身、フランスに慣れてしまったので、有給休暇が11日と聞いて、ちょっとビックリしたのも事実です。

 ホントにそうなの?と思って調べたら、だいたい勤続1年未満の場合は10日が平均的で、1年以上になると20日が平均的なのだそうです。

 フランスの場合は、法律で最低でも年間25日以上の有給休暇が認められており、私の場合は、30日でした。1ヶ月ごとに有給休暇が2.5日ずつ貯まっていく計算でした。

 そして、これは、大きな違いと思われるのですが、その有給休暇をしっかりまとめて取れるのがフランス。日本だと、続けて長く休むことは、難しい感じがします。

 しかし、独身で遊び歩いているうちは、まだ良いのですが、これが子どもがいたりした場合は、大変だろうな・・と思うのです。

 実際に途中からシングルマザーになった私は、30日の有給休暇をフルに使ったとしても、さらにその数倍はある子どもの学校のバカンス期間をどうやって凌ぐかということには、本当に苦労しました。

 日本の学校はフランスほど学校のお休みが長くないとはいえ、それにしても働きながら子育てをしている女性にとっては、大変なことだろうな・・と思うのでした。


日本とフランスの有給休暇


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2025年8月17日日曜日

ジェネリック医薬品の割引削減に薬局が激怒!

  


 薬局というものは、一般の商店とは少々異なり、ストライキをしたりすることは、珍しいことです。

 逆に、このバカンス期間で多くの商店がこの期間、お休みしていても、薬局は夏休みの間も変わらず営業していることが多いです。

 しかし、今回は、薬局がデモ・ストライキ。これも夏のバカンス期間には、一般的なストライキは、ちゃっかり行わずに夏休み明け早々にストライキ・・というのがふつうなのですが、このバカンス期間に多くの薬局が閉店・つまりストライキを行いました。

 これは、政府が発表した「ジェネリック医薬品割引削減」の発表を受けてのことで、政府は8月6日付官報に「ジェネリック医薬品の値引き上限を9月までに現在の40%から30%に引き下げる決定」を発表したためです。

 また、これは、長期的な計画の経過地点で2027年までには、20%に引き下げる予定としています。

 現在のジェネリック医薬品の値引き額は薬局の年間利益の約半分に相当するものです。

 フランスでは販売される医薬品の3分の2がジェネリック医薬品です。製薬会社が提供する値引きは薬剤師側の報酬の一部となっています。それを減額されてしまうのですから、怒るのもわからないでもありませんが、どこも不景気な風が吹いている薬局界隈では、これは、地域薬局の存続を脅かすものである!と怒り心頭なのです。

 しかし、超多額の負債を抱える政府としては、赤字を抱えている医療保険部門の費用を削減しようとするのは、これまた当然の話。

 正直、私などは、自慢じゃないが、薬局の大変なお得意様で、毎月、山ほどの薬を処方してもらっています。しかし、全て保険でカバーしてくれるので、実際に私が薬局でお金を支払うことはありません。

 しかし、たまに、処方された薬が品切れで注文して後から追加分を取りに行った利する場合には、自分で料金は支払わなくとも、受領証に値段が記載されていて、「この薬、こんなに高い薬だったんだ!!」と驚くこともあります。

 この製薬会社からの割引と薬局の利益の関係については、よくわかりませんが、逆に考えれば、薬局というものは、医者が処方したとおりの薬をまるで横流しのように売っていくのですから、ずいぶんとちょろい商売だな・・と思ったこともあります。

 実際にお店のレイアウトなどは、実に魅力に欠ける陳列の仕方だったり、同じ商品が横並びに場所をとっていて、「日本の薬局見て勉強してこいよ!」と言いたくなります。

 考えてみれば、薬局というのは、これだけ色々なものがどんどんその企業形態などを変えていく中、まことに前時代的なままフランスに存在しているもののひとつかもしれません。

 しかし、だからといって、一般的な商店とはまた、少々立ち位置が違うのも事実。この薬局のジェネリック医薬品割引問題。政府は9月までに・・と言っているから、この時期にもかかわらず薬局はストライキをしているのでしょうが、さて、9月までに折り合いがつくのでしょうか?


ジェネリック医薬品の割引削減


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2025年8月16日土曜日

ここ数年の大ヒット商品 水分補給タブレットの真の有効性

   


 ここのところ、猛暑日が続いていて、暑いと、「この暑さ!なんとかしてくれ!」と切に思い、一日、一体、何回、気温を確認しているか?わからないくらいですが、毎回、少しでも気温が下がっていますように・・と、祈るような気持ちで携帯の天気予報を開いてしまいます。

 こんな猛暑の中にも、しっかりとヒット商品を狙っている人というのもいるもので、この暑さに付け込んで?(というのも言い方が悪いですが・・)ここ数年、フランスでは、「水分補給タブレット」 なるものが大ヒットしているそうです。

 疲労回復、パーティー後の疲れ、猛暑への奇跡の解決策として売り出されたこのタブレットは、ミネラル塩とフルーティーな風味をベースにしており、発汗による電解質損失を補うものとされています。

 私はこのタブレットの存在を、つい最近、知ったばかりなのですが、だいたいタブレットで水分補給?とは、なんとなく胡散臭く感じるもので、水を飲まずに水分補給?水分補給なら、水飲めよ!とか思ってしまうタイプです。

 大ヒット商品だけあって、既に数社がこの商品に参画し、多くの薬局には、この商品が並べられており、フランスには、550万人以上の愛用者がいると言われています。

 この水分補給タブレットを発売している各社は、口を揃えたように「フランス人の成人の約80%がANSES(フランス国民保健サービス)が推奨する1日1.5~2リットルの水を飲んでいない」とフランス国民の水分補給が充分でないという衝撃的な主張を展開し、そのための最適な水分補給を促すタブレットとして宣伝をしています。

 このタブレットには、ミント、レモングラス、ワイルドベリーなど、様々なフレーバーがあり、より摂取しやすく魅力的にアレンジされていますが、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが含まれており、ふつうの水よりも水分補給効果があり、電解質を摂取することで水分補給効果を高めることができると謳っています。

 しかし、専門家によると、その有用性は、実際の健康効果というよりも、商業的なストーリーのうえにのっているものである・・つまり、「のせられるな!」と警告・・。

 これらのタブレットは、結局のところ、わずかな炭水化物の摂取量を抑えることであり、糖分が含まれているために、定期的に摂取すると、体重増加を促進すると語っています。

 これに対し、発売元は、「私たちは水分補給を補うソリューションを提供しており、製品に含まれるブドウ糖の量は非常に少なく、1錠あたり約2グラムで、食事から摂取する糖分過剰摂取とは程遠いもの。もちろん、これは体内の水分補給を改善する製品であり、水の代わりになるものではありません」と弁解しています。

 結局のところ、水分補給だけど、水ではない・・何なんだ!と思ってしまいますが、流行りものとなると、ひとまず、引きたくなる私は、やっぱりあまのじゃくなんでしょうか?


水分補給タブレット


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