2024年3月7日木曜日

フランスの飛び級と留年

  


 娘が小学生の頃、夫はやたらと娘を飛び級させたがっていたのを私は、反対していました。子供の能力に応じての飛び級や留年というものが、小学校という低年齢層でも、わりと珍しくなく行われていることに日本育ちの私は、今一つ理解できませんでした。

 実際に、娘の同じクラスにも下から飛び級して上がってきていた子がいたし(その子は娘と結構、仲良しで、小学校から高校まで同じクラスだったうえ、高校を卒業してその後の進路がバラバラになっていくタイミングでも、示し合わせたわけでもないのに、なぜかプレパー(グランゼコールの準備学校)まで同じ学校でした。

 彼女は小さい頃からとても小柄で、一つ年下だから、小さいのかな?などと思っていましたが、大人になっても小柄なままなので、年齢は関係なかったようです。

 彼女の親がなぜ?彼女を飛び級させたのかはわかりませんが、飛び級しても、何の支障もなく、その後の学校生活を優秀な成績で過ごしていたようなので、彼女の飛び級は成功だったのかな?とも思います。

 たしかに、あまりに優秀な生徒の場合、子どもの年齢に一般的に定められている学年のままだと、物足りなくて、つまらない・・その子の学力を充分にのばせないということもあるのかもしれませんが、私としては、学校で学ぶということは、学業だけではなく、様々なことを体験していく時間ということでもあると思っているので、その1年間をスキップしてしまうことが必ずしも、よいことばかりではないだろうし、そんなに急ぐことないじゃない!、その年齢に体験できる事柄を奪う必要はないだろうに・・という気持ちでもありました。

 しかも、夫に娘を飛び級させたい理由を聞くと、「あとで、留年してしまったときのために・・」というよくわからないことを言っていたので、「そもそも、留年した時のために・・とか、留年するかもしれないと思うような人が飛び級にふさわしいのか?」という話で、結局、夫は、娘の飛び級は断念してくれました。

 実際に、実年齢どおりの学年での教育を物足りないと感じる子供は、かなり珍しい存在ではあるとはいえ、そういう場合に、飛び級ができるのは、たしかに良いシステムなのかな?とも思います。

 娘が通っていたのは、小学校から高校まである私立のカトリック系の学校で、あまり一般的な公立の学校とは異なることも多かったと思いますが、多くの子どもがそのまま同じ学校にいるので、小さい頃は、学校の行事で親が学校に行く機会もあったり、お誕生日会やお稽古事などで、娘の友人の親子と顔を合わすことも多かったので、小さい頃からの知り合いが多く、中学、高校と進むうちは、子供の方はもう外で会ってもすぐには、誰だかわからなくても、親の方はたいして変わらないので、「ああ~あの人○○ちゃんのママだ・・」と思うくらいで、あとは、娘からの話をたまに聞くくらいでした。

 そんな、娘から漏れ伝わってくる話の中には、「○○ちゃん、留年したらしい・・」とかいう話も混ざっていて、「え~~?あんなに明朗快活な感じだったのに!」と驚いたりすることもありました。

 留年については、そんな話がポツポツとあり、内心、本人は心穏やかではないところもあるのでしょうが、けっこう朗らかに学校に来ているとのことだったので、飛び級とは逆に、必要ならば、2年かけて追いつくことがあってもいいような気がします。

 ただし、娘の学校はかなり厳しい学校でもあったので、留年は1年だけで、その後の結果が思わしくないと、やんわりと転校を促されるらしいということで、そういえば、いつのまにかいなくなっていた子もいました。

 ただし、いなくなっていた子どもの中には、「さらに良い学校に転校した・・」というのもあって(こちらの方はかなり珍しいケースでしたが・・)、飛び級ではなく、学校を変えるという方法をとる人もいました。

 いずれにせよ、子供の教育環境を子供に適したものにするということは、とても大切なことでもあり、とりあえず、私が娘のためにしたことは、私立の学校に入れ、あとは、日本語の学習を続け、できるだけ色々な体験をさせてあげることを心がけたくらいで、我が家には飛び級も留年もありませんでした。

 私の数少ない日本人の友人には、子供の学校のために引っ越しまでして頑張っている人がいましたが、我が家には、そんな経済的な余裕はなく、そこまではできませんでした。

 とりあえずは、健康で横道に逸れることもなく育ってくれただけで、私は充分に満足しています。

 

飛び級と留年


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2024年3月6日水曜日

日本大使館に行くたびのモヤモヤ・・

  


 日本に住んでいれば、あまり縁がない日本大使館ですが、海外生活を続ける人にとっては、度々と言わないまでも、お世話にならずにはいられない、海外にありながら、日本である不思議な空間です。

 イギリスにいた頃の日本大使館は、期間もそんなに長くもなく、留学だったので、正直、日本大使館に行ったことがあったかどうかも記憶にないくらいなのですが(大昔の話だし・・)、コートジボアールにいた頃の日本大使館の記憶は最悪で、娘が生まれた時の出生届の提出の際の手続きがスムーズに行かず、後々、娘が国籍を失うようなことになっては大変と、こちらもかなり神経質になっていたし、なんといっても、ものすごく閉鎖的な感じで、ビルの一画にある薄暗いスペースで、窓口は、曇りガラスになっていて、対応して下さる相手の顔も見えないような感じだったのを覚えています。(20年以上も前のことなので、現在の状況はわかりませんが・・)

 なにしろ、コートジボアールの日本大使館としても、出生届の受付など、おそらく、滅多にある話でもないために、慣れていないのは、わかりますが、おっしゃることが二転三転するのには、こちらとしては、余計に不安になるところでもあり、加えて出生届は、出生後○○日までという提出期限もあるうえに、夫が外国人であったことから、ご本人(私)が直接来てくださいと言われて、産後まもないのに、参上しているにもかかわらず、不明瞭な点があるたびに、「日本の外務省に問い合わせますので・・」と何回も行くハメになりました。

 最終的に、「では、これで・・」という段になって、「本当にこれで大丈夫なんでしょうね!」と、念をおして、当時の在コートジボワール日本大使館の書記官?の方に一筆入れていただきました。先方からしたら、「おっかない、めんどくさい奴だ!」と思われたことと思いますが、しかし、こう二転三転した挙句のこと、まさかの時のためにと私も必死だったのです。

 それからまもなく、私たちは、フランスに転居することになり、転居早々に、パリにある日本大使館に在留届を提出しに行った時には、明るくて、大使館の方も感じよくて、さすがにアフリカとは全然違う!と感動したのを覚えています。

 あれから、もうフランスでの生活も長くなって、パスポートの更新手続き(私の分と娘の分)や、娘の日本の教科書の引き取り、在外選挙登録と選挙の投票、日本での相続手続きなどに必要な書類の申請や発行などのたびに日本大使館にはお世話になってきました。

 今回、また、日本の家の手続きのことで、また急遽、日本に行かなければならなくなったのですが、そのために必要な書類を申請に行ったのですが、とにかく急に決まったことなので、書類も急いでいました。

 うちの場合は、弟も海外(シンガポール)におり、弟も大使館に取りに行ってくるから・・と話を進めたのですが、彼の報告によれば、シンガポールにある日本大使館はその場で20分ほどで発行してくれたとのこと。パリの場合は、同じ書類を木曜日に頼むと、出来上がるのは、翌週の火曜日とのこと。どうして、同じ日本大使館なのに、パリはこうなの?と少々、憤懣とする思いでした。

 そして、日本の公的機関は、やたらと印鑑を求められるため、以前、印鑑をフランスに持ってきていなかったために、不都合があったため、それ以来は、印鑑を持ってきてあったので、印鑑持参で行ったところ、今度は、捺印のスペースに、「待ってました!持ってますよ!持ってますよ!印鑑!」とばかりに印鑑を押そうとしたら、「拇印でお願いします」と。「えっ?印鑑持ってますけど・・」というと、「いえ、印鑑でも大丈夫かもしれませんが、一応、拇印でお願いします」と。得意気に出した印鑑は引っ込めることに・・。

 こちらとしては、何とか間に合うようにギリギリのタイミングなので、出したはいいけど、やっぱりダメだった・・などというわけにも行かず、「帰国の日が迫っているので、書類に不備がないか確認してください」とお願いすると、「ちょっとお待ちください」と言って、書類を持って、奥に入っていかれました。

 これで、ちゃんと確認できれば、安心・・と思っていたのですが、結局、戻ってこられた方がおっしゃるのは、「なにか不備があれば、SNSでご連絡しますので・・」と。「今、ここに来ているのに、なぜ?SNSでご連絡?」、言葉遣いはとても丁寧なのですが、おっしゃられることは、ものすごく高飛車。

 しかし、ここで押し問答しても仕方ないし、ごくごく単純な書類なので、大丈夫だろうと思いつつ、こちらとしては、シンガポールの日本大使館ではその場で20分でできてしまうものなのに・・という頭もあり、モヤモヤするのでした。

 相変わらず、支払いは現金オンリーで、カードは受け付けてくれません。

 そして、ついでに言わせてもらえれば、大使館の領事部というものは、どうして昼休みを閉めてしまうのか?ということです。だいたい土日祝日はお休みで閉館も17時、昼休みの13時から14時半までは、クローズです。

 普通に働いている人にとったら、もう大使館に行くということは、お休みをとるとかしなければならない話であり、しかも1日では済まずに申請して、その数日後には、引き取りに行かなければならないのです。申請だけは、オンラインが可能になっているものもありますが、今どき、昼休みに閉めてしまう機関など、そんなにあるものではありません。

 カード払いにしたって、今どき、カードが使えないところも珍しいことです。少しでも利用者側の立場にたって・・という姿勢が全くないところは、大使館に行くたびにモヤモヤするところでもあります。

 つまりは、利用する人が少しでも利用しやすいようにということは、一切おかまいなしなところがモヤモヤするのです。

 私の場合、そんなに遠くもないので、まだマシといえばマシですが、これが遠くから来られている方々だったら、もっと大変なんだろうな・・と思うのです。


日本大使館


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2024年3月5日火曜日

急停車に警察官の駆け込み突入・・騒動が絶えないパリのメトロ

  


 今日、買い物に行くのにいつもはあまり乗らない線のメトロに乗って出かけたら、行きの電車ではなんだか知らないけど、出発時にドン~ガッチャン!というにぶい音がして、急停車して、そのまま止まってしまい、なにやら嫌な予感・・。

 にもかかわらず、しばらく何のアナウンスもないために、周囲の人と顔を見合わせて、まさか、だれかがホームに落ちたのかも・・などと言いだす人もいて、私も「あのにぶい音は人身事故だったのかも??」という気もしていました。少しすると、またお得意の「プロブレム・テクニックのためにしばらく停車します・・」とアナウンスがありましたが、それ以上は何も説明しません。

 こうなると、周囲の人たちは、もう慣れたもので、特に騒ぎ出すこともなく、すんなり諦め、待機モードに入ってしまうところも妙なものです。

 結局、電車は5~10分くらい停まっていたでしょうか? なんの前触れもなく、突然、「発車します」というアナウンスが流れて、あっけなく、何もなかったかのように出発しました。

 一体、何のための停車だったのかは、わかりません。

 咄嗟に、「まさか?飛び込み??」などと思ってしまったのも、考えてみれば、電車が出発して、まだそれほどスピードを出す前ですから、やはりそういう行為もあまり考えづらく、しかし、以前に死亡事故があったコートがドアに挟まったまま出発して引きずられて・・などというほど電車は動いていませんでした。

 とにかく、何ごともなく、とりあえずは、よかった・・と思っていると、今度は、帰りのメトロで、どこの駅でだったか、出発直前に、ドアが閉まりそうになっているところに私服警察官が警察手帳のようなものをかざしながらドタドタと入ってきて、「前の車両でスリの一団を捕まえました! お財布を盗られていないかどうか?バッグの中を確認してください! スリの一団は、小さな女の子の集団でした! 狙われませんでしたか?」と大声をあげて、呼びかけました。

 長年、パリでメトロを利用していますが、こんなことは初めてでした。周囲の人々は、やはり、こんな時にも、それほど騒ぎもしなければ、動揺する様子もなく、一応、自分のバッグの中やポケットの中を確認し、被害がないことを確認していましたが、その反応は至って、冷静というか、興味なさそうというか、無反応で、私としては、絶対に狙われないように、お財布は、バッグの中にまた別のポーチを入れて、その中に入れて、バッグの奥底にひそめているので、大丈夫・・と思いつつも、そう言われたら、それはそれで不安になって、ごそごそとバッグの中を確認して、ドキドキしてしまったのですが、周囲の人々の反応の薄さ、平常運転モードに逆にビックリさせられたのでした。

 その警察官が、一応、私の乗っていた車両には被害がなかったことを確認して降りていくと、すぐにメトロは出発し、走り去る駅のホームを車内から振り返ると、連行されていく少女たちの後ろ姿が見えました。

 パリの交通機関内のスリ対策には、このように私服警察官が乗っているのか・・と後になってから、気が付きましたが、先日、家に押し入る偽警察官の話を聞いていたばかりだったので、一瞬、「この人、本当に警察官なの?」と疑心暗鬼になってしまいました。

 そして、多分、ジプシーの子供たちなのだと思いますが、あんな小さい女の子たちがスリをしなければならないとは、気の毒な子供たちだ・・とも思いました。

 しかし、パリオリンピックに向けて、メトロは時間通りに運行できるように、できるだけメトロを潤滑に運行させようと、「病人が出てもメトロは停車しない!」などとまで言っているのに、現実問題は、病人云々以前に、メトロを止める理由はいくらでもあることを身をもって体験し、「ヤレヤレ・・やっぱりオリンピックは無事に済むはずはないな・・」と思っていたら、RATP(パリ交通公団)は、オリンピック開催期間中には、シャンゼリゼ・クレマンソー、コンコルドなど6ヶ所の駅は閉鎖すると発表。

 また、非常に混雑する駅、かなり混雑する駅などを色分けして発表していますが、どちらにしても大混乱は必須のような気がしています。


パリのメトロ スリ集団


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2024年3月4日月曜日

偽配管工と偽警察官がタッグを組んだ盗難事件 急増中

 


 

 家に入り込む詐欺師や強盗事件は、以前からよく聞く話ではありましたが、最近は、偽配管工と偽警察官がタッグを組んでやってくるという事件が増加しているそうです。

 我が家にも定期的に「アパートの配管のチェック」なる人がやってきます。我が家の場合は、配管だけでなく、空調だったり、害虫駆除など色々な種類のものがありますが、賃貸であることもあり、それらのことは、全て管理人さんを通して行われるので、前もって、アパートのエントランス内側のドアに張り紙がされていて、「○○日の午前中、あるいは午後に○○のチェックの人が来ます」などと前もって予告されるので、それ以外の人が来るということはないし、来たとしても家には入れません。

 その日時指定は一方的になされるので、必ずしもその時に在宅していられるとも限らないのですが、チェックしてもらえるならば、してもらっておいた方が安心でもあるので、できるだけその時には、家にいるようにしています。

 問題なのは、待っていたのにすっぽかされることもあるのですが、それは、もう慣れたので(慣れたくもなかったけど・・)、指定どおりに来てくれたらラッキーくらいに思うようにしています。これはやたらと腹をたてることに疲れた結果の自己防衛本能です。

 それでさえ、やはり見ず知らずの人(しかもたいていは男性)を家に入れるわけですから、一応、用心して、何気なく、ついて歩いて、それとなく色々と質問したり、やたらと話しかけたりして見張っています。

 我が家など、別に高価なものがあるわけでも、大金を持っているわけではないのですが、ひょんな勘違いから目をつけられたりすることも怖いのです。

 最近、急増している手口は、まず、偽配管工が配管の状態を確認するといって、家にやってきて、一応、家中の水回りの配管をチェックする風を装って帰ります。しばらくすると、偽警察官がやってきて、「最近、偽配管工が続出しているので、配管工が何も盗んでいなかったかを確認する」と言い、この少し前に訪れた配管工が実は偽配管工であったことを暴いて見せるのです。そうすれば、彼ら(訪問を受けている人)は動揺し、ちょっとしたパニック状態になります。

 しかし、実際には、この配管工がやってきた時点で、家の中の貴重品のターゲットの場所を下見して、偽警察官に伝えたうえで、実際に貴重品を盗んでいくのは、この偽警察官なのです。さすがにプロというのもおかしな話ですが、彼らは見事に数分で家の中の宝石類や現金、貴重品を見事に盗んでいくのです。

 これは、偽配管工に限ったことではなく、電気工事業者、ネズミ駆除、害虫駆除業者など家に容易に受け入れてしまいがちな職業を選んで、偽警察官と手を組んでいます。

 工事業者はともかくも、警察官を装われて、少し前に家にやってきた工事業者の人が詐欺で泥棒であったなどと言われれば、慌てて偽警察官を家に入れてしまいがちです。

 これらの犯罪は、特に高齢者宅を狙って起こっており、警察官でさえも家にやってきたら、必ず身分証明書の提示を求めるように呼び掛けています。しかし、この警察官の証明書でさえも偽物を携帯している場合も多いので、それがホンモノであるかどうかは、日常的には、見慣れたものではないため、識別するのは難しいかもしれません。

 警察官でさえも、本物かどうか信じられなくなるとなるとは、もう救いがたいことです。

 しかし、実際に起こった事件の報道を見たりすると、棚に隠していた10万ユーロ(約1,600万円)が盗まれた・・などとあるので、事件自体もさることながら、そんな現金、家に隠してあるの?とそのこと自体に驚いたりもします。

 日本は、タンス預金が多い国でやはり高齢者には、特にそれが多いなどという話を聞いたことがありますが、フランスの高齢者にも、けっこうタンス預金があるらしいです。


偽配管工と偽警察官


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2024年3月3日日曜日

なんだかんだ言っても、日本はやっぱり治安がいいんだな・・と思った話

  


 フランスで育った娘が日本で生活を始めてから、そろそろ2年が経とうとしています。生まれた時から、日本語を一生懸命教えてきた私としては、彼女の日本での生活が、たとえ、彼女の長い人生の中では、ほんの一時期であったとしても、ちゃんと仕事もしながら、それなりに日本でも生活できていることは、苦労のかいがあったし、彼女の可能性を広げているので、とても喜ばしいこととして、受け止めています。

 この短い間に彼女は日本で転職まで経験し、現在は、日本にあるフランスの企業で働いています。彼女は、本当に忙しく働き、忙しく旅行したりして生活を楽しみながらも、私の親戚(彼女にとっても親戚)ともうまく付き合っているようで、これまで日本で生活しなければ知り得なかった日本ならではの習慣などを学びながら、生活しているようです。

 本人ともたまには、電話で話したりもしますが、それ以外の親戚などと話したりすると、親の私に向けては、悪口を言い辛いこともあるのでしょうが、親のひいき目にみれば、概ね、「おたくの娘、本当にしっかりしている!」と言われることが多いです。

 しかし、彼女は、本当にしっかりしているし、そうも見える反面、とても抜けているところもあって、忘れ物、失くしものがボケかけている私以上に多いのは、正直なところなのです。

 昨日も電話で話していたら、友人とお花見ハイキングへ行く約束をしていて、1日、日付を間違えていたのを出かけて、ある駅に着いた頃に気が付いた・・と。そして、その際に、一緒にでかける約束をしていた友人に旅先でお金を借りた借金を返さなければと、出かける前に家でお財布を探したところが、見つからない・・約束の時間が迫っていたために(本当は1日後なのに・・)、お財布からではなく、他に非常用にしまっておいたお金を持って出かけたのです。

 お財布を探していたりしていたために、電車に乗り遅れ、約束をしていた友人に「少し遅れるかも・・」とメッセージを送ったのですが、返事なし・・そりゃそうです。約束は翌日なのですから、その友人だって、少し遅れるかも・・などとメッセージを受け取っても、翌日の約束の時間に前日から少し遅れるとか言われても、返事のしようもありません。

 彼女は、途中で約束は翌日だったことに気が付いて、結局、別の場所に一人ででかけて、買い物をして(携帯で)、家に戻って、再び、お財布を探したのだそうです。

 しかし、やはり家の中には、お財布は見つからず、「はて?最後にお財布を使ったのは、いつだったか?」と記憶を辿ると、なんと4日前に近所で買い物をした時であったような気がする・・と。

 もはや絶望的な気分で、お財布の中に入っていたクレジットカードや運転免許証、マイナンバーカードを全て作り直すことを考え始めていたようです。

 その時点では、彼女も失くしたお財布がよもや出てくるとは全く思っていなかったようで、念のために最後に買い物をした場所に行って、お店の人に聞いてみると、ちゃんとお店の人が保管していてくれて、全く中身も無事だった・・とのこと。

 そもそも、普段はお財布を使わないために、彼女がお財布を失くしたことにも4日間も気付かずにいたことさえも、あっけにとられますが、それが4日経っても見つかるということが、フランスで育ってきた彼女にとっては信じられないことであり、ハタで聞いている私にとっても、「なんだかんだいっても、日本はやっぱり治安がいいんだな・・」とびっくりさせられたのでした。

 あらためて、言うまでもありませんが、フランスではあり得ない話です。


日本の治安


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2024年3月2日土曜日

続々と浮かび上がる有名人の性加害への告発 今度は、フランスのトップ精神分析医ジェラール・ミラー

  



 つい、この間もラジオ番組の人気司会者へのいくつもの性加害告発報道があったばかり、今回、告発されているのは、精神分析医というのだから、さらに始末が悪く、悪質な印象を受けてしまいます。

 この男性は、精神分析医であり、元パリ第8大学の精神分析の教授として約10年間教鞭をとり、約20冊の本を出版し、数々のドキュメンタリーフィルム等を制作し、コラムニストや司会者として数多くのメディアに登場している人物です。

 今回は、フランステレビジョンの報道によって、彼がすでに性的暴行または強姦行為の複数の告訴の対象となっていることが公になりました。

 この騒動は、1月末に「ELLE」エル誌に掲載された彼から受けた性被害の暴露記事が発端となり、彼に関わる被害者の間で#MeToo運動が爆発している感じで、今回のテレビ放送で証言した被害者は3人ですが、すでに、少なくとも約50人の女性が不適切なわいせつ行為から強姦に至るまでの行為で告発しています。

 彼は現在75歳ですが、被害を訴えている女性らが告発しているのは、20年以上も前の話から存在し、その後、長期にわたって、同じような加害行為が多数の女性に向けて行われていたことは、彼女らの証言の一致から、彼が利用していた手法にある程度の一貫性も見られることから、明らかになりつつあります。

 前回、騒動になったラジオパーソナリティーの場合もその有名人という立場を利用したものでしたが、今回のジェラール・ミラーの場合もテレビの公開番組などの場で獲物を物色しており、彼の場合は、また精神分析家という特別な立場が加わり、治療やテストなどと称して、催眠セッションなどを利用していたと被害者は証言をしています。

 これには、もう救いがたい悪質さを感じずにはいられません。

 この彼の加害スタイルは、2000年代初頭に放送されていた進行役でもあった彼が観客の中から女の子を選んで番組を進行するスタイルの番組がきっかけで、多くの被害が発生しており、被害者の女性たちは、被害当時14~15歳、あるいは、非常に若い年齢であったこともあり、彼が公人でもあり、精神分析医という立場であることから、ある程度の信頼を抱いていたと証言しており、中には、きっかけは、トークショーの後に、家族に自慢するために彼にサインをもらいに行ったことがきっかけだった・・と話している女性もいます。

 この性加害報道のフランステレビジョンの番組はこの性加害調査において、彼にかかわった一緒に仕事をしたことのある人物80人以上の証言をとり、これを報道しています。

 日本でいう文春砲のようなものですが、こちらはテレビでの報道ですので、インパクトもかなり強力です。

 ジェラール・ミラー本人は、「いつも単純な会話と楽しい瞬間だった。 プレイに同意した人は催眠術にまったくかかっておらず、意識は完全に保たれており、いつでもゲームを中断することができたはずなので、これらの出来事は全て同意のうえでのことである」と、この告発内容を否定しています。

 現在、複数の告訴状を受け、パリ検察庁は捜査を開始しています。

 これだけの被害者が同時に同様のウソの証言をする理由も必要もなく、彼の性加害行為に疑いはないと思いますが、今、必要なのは、精神分析医であったはずの彼自身の精神分析をする優秀な精神分析医かもしれません。


精神分析医の性加害告発 #MeToo


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2024年3月1日金曜日

フランス2030 フランスとカタールの戦略的投資パートナーシップ100億ユーロ

  


 マクロン大統領は、今週、フランスを訪問中のカタール国首長を国賓としてエリゼ宮に招き、「フランス2030」戦略と2030年に向けたカタール国家ビジョンの一環として、フランスとカタールは戦略的投資パートナーシップを締結し、フランスの若い革新的企業と投資ファンドに100億ユーロを投資するカタールとの協定にサインしたことを発表しました。

 両国の相互利益のために、特にエネルギー転換、半導体、航空宇宙、人工知能、デジタル、健康、ホスピタリティ、文化・芸術などの主要分野への投資を増やす意図で、フランス経済と密接に関係している分野にも投資されます。

 両国首脳は、ガザ地区における大規模な人道援助の提供と民間人の保護をはじめ、レバノンに影響を及ぼす政治的・経済的問題の解決、国際法と国連憲章に違反するロシアのウクライナ侵略戦争に対する強い非難を表明しています。

 カタール首長の15年ぶりのフランス訪問、両国首脳会談は、何よりも二国間関係の強化に焦点を当てたものであり、「これはフランスに対する栄誉であり、両国を結ぶ絆の深さを示すものである」とマクロン大統領は、強調しています。

 「両国間の強い絆」という言葉は、マクロン大統領が外交の際にやたらと口に出す(まあ外交なのであたりまえといえばあたりまえなのに、なんか、どうもしっくりこない感じも多い)少々ひっかかるところではありますが、すでにフランスはカタールに対するヨーロッパの主要投資国であり、エネルギー、航空、インフラ、観光に90億ドルを投資しており、 また、カタールからの主要な投資対象国 5 か国の 1 つでもあります。

 また、フランスとカタールは安全保障と防衛における協力、特に両国空軍間の協力の重要性を再確認しており、両国が共通の脅威に対抗するために不可欠なラファール戦闘機を保有しているという事実も確認しています。 また両首脳は、特に歩兵戦闘と両軍の相互運用性の分野において、カタールの軍事能力を強化し近代化するために協力したいという共通の願望を表明しています。

 この政治的な話し合いの後には、フランスサッカーチームPSGのスターストライカーであるキリアン・ムバッペと、パリのクラブ会長である実業家のナセル・アル・ケライフィなど関係者?を招待した晩餐会が行われました。

 ウクライナ支援に関する国際会議でマクロン大統領が欧米諸国の地上部隊をウクライナに派遣する可能性も排除しないという過激な考えを述べたことで、ドイツ、イギリス、イタリア、スペイン、ポーランド、チェコなどの欧州諸国からの大バッシングを受けて、国内でも大論争が起こり、さすがのマクロン大統領もへこんだかと思ったら、全く、そんな様子はなかったのは、これだったのか・・このカタールとの強力なタッグがその背景にはあったのか・・と、思わされたのでした。

 それにしても、先週末には、国際農業見本市で農民たちの大反発を受け、一人で農民たちとの話し合いに臨み、早朝から夜までの一日を見本市会場で過ごし、週明けには、原子力政策審議会、ウクライナ支援の国際会議から、このカタールとの首脳会談と、どこまでも強気でエネルギッシュなマクロン大統領。

 今日は、パリオリンピックのためにセーヌ川を視察し、記者に囲まれた際には、セーヌ川の安全性を保障することを豪語し、、「オリンピックの前には、セーヌ川に泳ぎに行く」と約束。

 テンション上がりっぱなしのマクロン大統領、エネルギッシュで元気だな・・と思うと同時に、ここのところ、ちょっと行き過ぎの発言も多い気がして、少々、心配でもあります。

 おかげさまでフランス、ロシアに超、睨まれてるんですけどね・・オリンピック前だというのに・・。


フランスとカタールのパートナーシップ


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