2025年5月2日金曜日

5月1日は労働者を働かせることが禁止されている

  


 5月1日は日本では、メーデーとされながらも、特に祭日でもないと思いますが、フランスの5月1日は、祭日であるだけでなく、法律上、労働者を働かせることを禁止しています。もちろん、病院や公共交通機関、ホテルなど、公共性、継続性?のある仕事に関しては、例外が認められていますが、この日に従業員を働かせる場合は、2倍あるいは、3倍の給与を支払わなければなりません。

 もっとも、基本的には、禁止されているわけですから、もしも、これに違反して、従業員を働かせた場合は、一人あたり750ユーロ(未成年は1,500ユーロ)の罰金を課せられることになります。

 今年は、やけにこの5月1日になる前に、パン屋は5月1日に営業するか?しないか?ということを扱っている報道が多いと思ったら、現行のこの5月1日に従業員を働かせてはならないという法律を改正してほしいという声をパン屋さん業界が求める声をあげ、国会でもこの5月1日の労働禁止措置緩和の法案が提出されたりもしています。

 もちろん、パン屋さんといえども、従業員は使わずに家族だけで営業することは可能ではあります。

 このパン屋さんに加えてお花屋さん業界もこの5月1日の労働禁止措置緩和を求めているようです。

 最近は、日曜日といえども、営業するお店は増えましたが、以前は日曜日というのは、ほぼほぼ全てのお店が閉まっていて、日曜日でも営業しているのはパン屋さんとお花屋さんくらいのものでした。

 そんな感じでパン屋さんとお花屋さんはセットというか、日常生活に欠かせないものとしての認識があるのだとは思います。

 一般的な日曜、祝祭日に関しては、場所によっても違いますが、営業許可をとっていれば、営業できる場所もあれば、それも叶わない場所もあります。しかし、5月1日は労働者の祭典だけあって、労働者ファーストの日とされているために、労働者を働かせてはいけないということになっており、また、働かせていることが見つかれば、罰金が課せられることもあり、さすがにだいたいのお店は閉店しています。

 お店の規模にもよるのでしょうが、従業員一人あたりの罰金を考えた場合、現在の法律によれば、せっかく働いても一人当たり750ユーロの赤字になるわけで、オープンするのは、かなりリスキーな話なのかもしれません。

 ただし、これは、嫌な言い方ですが、見つかってしまえば・・の話で、実際のところは、けっこうオープンしていたパン屋さんはあったようです。

 せめて、働きたい従業員には、働かせてほしい・・という声もあるそうですが、この「働きたい」というのが、本当に働きたいのか?それとも圧力をかけられているのか?判断しづらいところも出てくるとは思うので、年に1日くらいこのような日があっても良いではないか?とも思うのです。

 だいたい、夏のバカンスの際などは、パン屋さんといえども、平気で1ヶ月くらい休むのですから、この日、一日くらいは、1年の間に調整は効きそうな気がするのです。

 今や、フランス人といえども、毎日パン屋さんに通ってパンを買っている人が一体どのくらいいるのかわかりませんが、やはり病院や公共交通機関とは違うと思うのです。

 

5月1日 メーデー パン屋


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2025年5月1日木曜日

児童養護施設における子どもの売春 被害者家族が告訴

 


 児童養護施設に預けられている子どもが売春斡旋業者のターゲットになっており、正確な数字は把握されていないものの、全国規模では、児童養護施設に収容(保護)?されている子ども15,000人が売春に関与していると見られています。

 今回のこの騒動は、この被害者(売春に関与していた子ども)の親3人がこの保護責任のある児童養護施設の責任者を告訴したことから、児童保護施設と売春の現状についてが公にされたものです。

 そもそもの話は家庭環境に問題があり、子どもを養育できない親から保護している児童養護施設が現実には子どもを保護できていないということで、しかも、この児童養護施設の子どもは、その多くは親元から離れているために、苦情を申し立てる可能性が極めて低いうえに、児童養護施設に入っているという時点で、もう子どもたちは、保護されている状況であるとみなされてしまうために、被害申告や調査の対象にもなりにくいというところに落とし穴があります。

 児童養護施設でしっかり子どもを保護してくれていれば、良いのですが、これが杜撰なために、逆に児童養護施設は売春斡旋業者のターゲットにされているようです。

 この売春の罠に陥る子どものプロフィールは似通っており、そもそもが家庭内の暴力や性的暴力の被害者であり、そのような子どもたちが児童養護施設に保護されたかと思いきや、そこは、売春斡旋業者がターゲットとして狙う場所で、酷い場合は、Airbnbで監禁され、コカインなどを摂取させられ、売春を強要させられる地獄が待っています。

 今回の告訴の1人である母親は娘からのSOSの電話で事態を知り、警察に通報し、娘は緊急避難所に収容されたと言います。

 この売春斡旋業者の多くは麻薬密売グループと繋がっていて、麻薬を売るように少女たちを売っているのだそうで、少女一人で月1万5,000ユーロ程度の売上げになるのだとか。そもそもその生い立ちからして、辛い思いをしてきた子どもたちにとっては、まさに地獄です。

 この児童保護施設については、このようなDVや性暴力などで保護されている子どもが多いようではありますが、なにかと理由をつけて、子どもを連れていかれてしまうケースも聞いたことがあります。

 私は夫が急逝したあと、誰が通報したのか、家庭裁判所からの呼び出しを受けたことがあり、要は子どもを一人で育てていけるのかを審査される場だったのですが、私の場合は、仕事もしていたし、夫の同僚だった女性が裁判所での面談についていって、説明してくれたために、事なきを得ましたが、仕事の関係で付き合いのあった男性で、奥様が精神的な病気にかかってしまい子ども3人を抱えて、それでも彼は賢明に子育てをしていましたが、この児童保護担当に狙われ、弁護士と相談しながら、それを何とか回避するために、とりあえず、妻と子どもたちは、日本の両親のもとに避難させるしかなかった・・という話を聞いたことがあり、彼によれば、児童を保護することで一人あたり当時で2,000ユーロのプリム(報奨金のようなもの)がその保護担当者に出るのだとかで、躍起になる悪質な人もいるのだそう。

 とにかく子どもを保護するという大義名分と法律を振りかざしているのですから、立場は強く、こういう時には外国人であるということもハンディキャップになり、そうでなくとも苦労しながら、頑張って子育てしている人間にとったら、それこそ酷い仕打ちです。

 私もこの話を聞いて以来、彼から紹介してもらった児童保護問題に強いという弁護士さんの電話番号を握りしめながら、娘が成人になるまではドキドキで過ごしました。

 少々、話はズレてしまいましたが、この何かと問題のありそうな児童養護施設で児童を保護できていないという致命的な問題。これは本当に早急に改革してほしい問題です。

 そして、このような子どもの売春問題に関して、いつも思うのですが、これが商売として成り立つということは、それだけのお客がいるということで、そっちの方は何も手つかずというのも片手落ちだなと思うのです。


児童養護施設と子どもの売春


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2025年4月30日水曜日

SHEIN, TEMU, Ali Express 中国からの小包に課税 2026年からの予定

 


 エリック・ロンバール経済相は、中国からの荷物の流入の急増に直面し、「倫理、地球、公共財政」を尊重することを求め、中国からの小包(ネットショッピングによる買い物)に対して、これまで免税されていた150ユーロ以下の荷物に対して課税することを発表しました。

 これは、SHEIN, TEMU, Ali Expressなどのネット販売の大躍進によるもので、2024年、フランスには、年間8億個以上の150ユーロ以下のこのネットショッピングの荷物が到着しているそうで、これは、2023年の2倍になっています。

 欧州委員会もこの現実に注目し、2028年に同様の措置をとることを検討していますが、フランスは、これに先立ち、来年から実施する見込みと発表しています。

 この課税について、フランス環境移行機構(ADEME)などのデータを引用し、飛行機で輸送される荷物(中国からの荷物は特にこのケース)は、船で輸送される場合よりも100倍多くの二酸化炭素を排出していることなど、環境面からのアプローチも理由付けにされていますが、正直なところは、これらのSHEIN, TEMUなどのネットショッピングの低価格、幅広い選択肢、積極的なマーケティングにおされて、多くのフランス企業がその居場所を奪われていることが大きな理由でもあります。

 これまで、私は、これらのネットショッピングをしたことがなく、というよりも、できるだけ、買わない・・物はできるだけ減らしていくつもりでいるので、あまりこのようなサイトさえも覗かないのですが、今回、この話を見て、どれどれ??とサイトを覗いてみたところ、まあ、安いこと!10ユーロ以下のものがたくさん!しかも、見たところ、そんなに悪くなさそう・・これなら、使い捨てでもいい値段・・などと思ってしまいました。

 ちょっと日本で100均で買い物する感覚と似ているかもしれません。これが実際に買いものに行かずとも、クリックするだけで、家に届くのですから、これはショッピングが好きな人にとっては、ついついお買物をしてしまいそうです。

 ここ数年でフランスの中堅どころの服飾品メーカーが軒並み倒産に追い込まれていますが、これは、このネットショッピングが大きな原因のひとつになっているような気がします。(そんな中で大成功しているユニクロは凄いと思いますが・・)

 この価格帯ならば、150ユーロ以上の買い物をすることはむしろ大変で、そこに8億個分の小包に税金をかければ、税収が見込めるだけでなく、この荷物の流入に少しはストップをかけられ、フランスの企業を救うことに繋がるのでは・・という算段です。

 それならば、飛行機での荷物の配送は二酸化炭素を100倍排出するなどというきれいごと(そのこと自体は事実だとは思いますが、消費者には響かないと思う)を言っていないで、要はフランスにそのような魅力的な価格の商品やより魅力的な商品を提供できる商売を構築していけばよいのに、なんだか、あまりに中国が勝ちすぎているから、税金をかけるとは、ある程度はありと思わないではないですが、根本的なフランスの産業回復とは違うんじゃないか?これではトランプ大統領と同じではないか?と思うところもあります。

 実際にフランスで2026年から開始、欧州では2028年からとなれば、とりあえずは、欧州内の他の国に配達してから、フランスへ・・などといった税金回避の方法を考えるだろうし、この2年間の間にまた別の方法を考え出すに違いありません。


SHEIN,  TEMU,  Ali Express 中国からの小包に課税


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2025年4月29日火曜日

日本入国のためのオンライン事前申告渡航認証システム JESTA 前倒しで2028年度に導入

 


 ついこの間、イギリスでのETA(電子渡航認証)が始まって、すでにアメリカ、カナダ、オーストラリア、韓国などにも導入されているという事前申告渡航認証システムは、日本では、当初、2030年までに年間6,000万人の観光客を目指すとともに、このシステムを2030年までに導入すると発表していました。

 しかし、すでに続々と世界の国々がこのシステム導入に踏み切っており、欧州では、欧州30ヶ国への渡航システム「Etias」(欧州渡航情報・認証システム)を2026年にスタートすることを発表しています。

 この世界的な潮流に、日本は2030年導入の予定を2028年度に前倒しすることを決定したようです。

 この日本の新しいシステムを私はフランスのニュースで知ったのですが、「日本は外国人観光客の急増を受け、政府はJESTA制度の導入を前倒しすることを決定した」というもので、米国のESTAや英国のETAなどのモデルにヒントを得たこのシステムはビザが免除される旅行者を評価することを可能にする」のだそうで、約71ヵ国の外国人日本入国者はこの電子認証を取得するために、個人情報と滞在期間中の予定を申告しなければならないと説明されています。

 このアプローチは、何よりもまず、国境管理を強化しながら到着者の管理の改善することを目指しています。

 このJESTAシステムは、通常90日までの短期の観光または商用滞在のビザ免除旅行者を対象としており、旅行者は出発前に訪問理由や宿泊先の住所などをオンラインフォームに登録する必要があるそうです。

 日本政府は「管理を強化し、入国審査を円滑にするためにも、このシステムを早急に稼働する必要がある」としています。

 旅行者は出発前にJESTAを取得しておく必要があり、この申請が拒否された場合は、日本行きの飛行機に搭乗できなくなります。

 これにより、最初からリスクプロファイルを特定することができ、不正な滞在を防ぐことが可能になるそうです。とはいえ、不正に滞在しようとしている人々は、正面から、正規の方法では入国しないのでは?などと思ってしまいます。

 とりあえずは、このシステム導入は良いことだとは思いますが、その後のこの情報をどのように管理できるのかも疑問が残るところでもあります。

 もっとも、このJESTAに関しては、日本人には必要ないものなのですが、今後、多くの国では、同様のシステムが日本よりも早くに導入されるので、行く先々で、その国の渡航認証システムを取得する必要が出てくる・・そんな時代になりました。

 もうパスポートだけじゃ旅行できなくなるのね・・。


JESTA オンライン事前申告渡航認証システム


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2025年4月28日月曜日

家についている猫と家についている私

   


 「猫は家につく」と言いますが、最近、私も家についているな・・と思います。「ついている」というのは、ラッキーという意味ではなく、(住居に困っていないという意味ではラッキーですが・・)、家が好きという意味です。

 我が家の猫は、生まれて2ヶ月ほどで我が家にやってきて以来、ほぼほぼ外に出ることのない生活をしていることもあり、まさに内弁慶というか、外に出かけるのをとても嫌がります。

 最近は、もう無理に連れて出ることもやめてしまいましたが、娘が家にいた頃は、歩いて20分ほどの夫の眠る墓地に行く際に一緒にお散歩させたりもしましたが、家から出てしばらくは、ほっておくと、我が家に向けて一目散に駆け戻ってしまうので、近くまで抱きかかえて行って、その先はなんとかなだめすかして散歩させる・・それでも、途中、何度も抱っこしては、おろし・・を繰り返し、墓地の中だけでは、なぜかリラックスしているのですが、彼女にとって、お出かけは大変なストレスのようです。

 家の中は、すべて彼女の好きなように、時間帯によって、陽あたりのよい場所を移動して、勝手気ままにしていますが、食事の支度をはじめたりすると、どこにいてもすっ飛んでやってきます。

 日常的にはとても穏やかなのですが、嫌いな人がやってくると牙をむき、唸って威嚇します。そんなわけなので、とても外に預けることは無理そうで、私が旅行する時などは、知人に頼んで、家にご飯とトイレの世話に来てもらっています。

 人懐こいわけではないのに、微妙に側にいたがり、今もパソコンと私の間のちょうど私の腕に触れるか触れないかの微妙に邪魔な位置に寝ています。

 完全に家についている猫なのですが、最近、私もこの家、というかこの空間が一番好きで落ち着くな~としみじみ思います。旅行するのは楽しいし、温泉などもとても快適で気持ちよいのですが、生活空間としては、やっぱり我が家が一番、落ち着きます。決してきれいでも、近代的でも素敵でもないアパートですが、私の生活には、現時点ではとても快適です。

 もともと、今の家に引っ越してきた時には、夫と娘と3人で、今考えると、よくこのスペースに3人で住んでいたな~と思うのですが、夫が亡くなった当時はなんとなく、一人いなくなっただけで、なんとなくガランとした気がしたし、それから大分たって、娘が独立したときも、なんとなく、広くなった気がしたのですが、今では、これがちょうどいい感じになっています。

 夫と二人で使っていた寝室はもちろん、今は私一人で大き目のベッドに悠々と寝て、娘のいた部屋はすっかり倉庫状態(我が家にはフランスのアパートにはたいていあるカーヴ(倉庫蔵のようなもの)がない)。夫が亡くなってからは、ずいぶん、彼のものも処分したし、娘のものは、まだたくさん残っているものの、それでも少しずつ減らしています。

 にもかかわらず、現在の娘の部屋の倉庫としての変容ぶりには、ずいぶんと処分したはずなのに、なんでこんなにたくさんのものがあるんだろうとちょっと不思議な気もします。

 娘が帰ってきたときや、誰かが泊まりに来たときは、娘の部屋をなんとか俄かに片付けて使ってもらっているのですが、今度、誰かが来た時には、どうしよう?とちょっと不安になるくらい、とっちらかっています。

 私の部屋と倉庫になっている娘の部屋、そして、サロン(居間)と台所、台所はわりとスペースがあるため、テーブルに椅子、テレビもパソコンもあって、おそらく、私はそこにいる時間が最も長いです。

 サロンには、ソファや低いテーブル、ピアノなどが置いてありますが、他の部屋よりは少し広いために、もっぱら私の運動場というか、ヨガマットなどが備えてあります。

 その先には小さいスペースですが、ベランダがあるので、ベランダでは日本の野菜を少しずつ育てています。今は小松菜や水菜、春菊、わさび菜、小葱、山椒の葉などが採れています。

 私の育った東京にある実家は、2階建ての家で、私の部屋などは、2階にあったので、階段の上り下りのいらない(年寄りくさい気もする)今の家はずっと暮らしやすい気がしています。

 とにかく、全て家の中を自分の好きなように使い、好きな時に好きなようにできる今の家が何より心地よいのです。もしかしたら、私がいつまでもフランスにいる理由はこの空間を自由にしていられる・・周辺の環境や、だいたい30分以内でパリの好きなところには、どこにでも行ける・・そんなことを含めての環境だとも思うのですが・・。

 食べ物だけは、日本での食べ物には執着が断ち切れませんが、それも年に1~2回日本に行った際に山ほどの食料を持ち帰り、パリ市内で何がどこに行けば買えるかもだいたい承知しているので、日本のように簡単に手に入るわけではありませんが、困ることもありません。

 要は、自分の空間を自分の好きなように使えている今の家がとても心地よく、「猫が家につく」のと同じように、「私も家についているな・・」と思う所以です。


猫は家につく


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2025年4月27日日曜日

娘の手術と入院に心配したり・・ホッとしたり・・嬉しかったり?・・

 


 3月の初めにスキーで大ケガした娘ですが、しばらくは、本当に動けなかったようですが、その後、足にプロテクターのようなものをつけ、松葉杖を買って、どうにか、ゆっくりとなら、日常生活が送れるようになっていました。

 とはいえ、それは、一時的な処置なだけで、4月の半ば過ぎに入院して手術することが決まっていて、命にかかわるものではないとはいえ、やはり入院・手術・その後のリハビリとなると、離れていれば、勝手に心配するばかりの日々が続いていました。

 最初に怪我をしてから、いくつかの病院にかかって検査をしたり、その後の手術をしてもらう病院を選んだりと、日本で生まれ育ったわけではない娘にとっては、初めてのことばかりということもあり、どこまで日本語、大丈夫かな?と思ったりもしていたので、余計な心配もしていました。

 幸いなことに彼女はこれまでフランスでも入院や手術ということは経験がなかったので、どちらにしても一緒なのですが、やっぱり心配のひとつは、日本の医療システムというものがわからないだろうにな・・(という私も今は日本の医療システムについては、よくわからないのですが・・)と思っていたのです。

 しかし、初期に検査や診察をしてもらったお医者さんで、いくつかの大きな病院を紹介してもらった中から、彼女は、家からはあまり通いやすい場所ではないけど、特にリハビリがちゃんとしているといわれる病院を選んで入院しました。

 じん帯がたぶん切れているだろうとのことだったのですが、あけてみなければ、その状態ははっきりしたことはわからないということだったのですが、いざ手術してみると、やはりしっかり切れていたようです。

 手術は全身麻酔ということだったので、親としては、全身麻酔だけでも心配でした。手術は4時間ほどかかったようですが、麻酔からもしっかり目覚めたようです。

 2月に私自身は、検査のためにフランスの病院に一泊だけですが、入院したのですが、その際の食事が酷くて、日本の病院はどうなんだろうか?などとそんなことも心配していました。

 しかし、彼女曰く、薄味だけど、まあまあ大丈夫な食事なんだそうで、少々、量が少なめだけど、ほとんど動けないから、これくらいの方がいいかも?むしろ、きちんとカロリー計算もされているし、バランス良いお食事なんだそうで、フランスとは全然、違うようです。

 現在は、手術後のために、車椅子でしか動けないのだそうですが、それでも足を使わないリハビリというものがあるのだそうで、それを1日40分程度やるくらいで、あとは、病院でもカンファレンスルームを貸してもらって、仕事をしているのだそうです。

 そんな様子を時々、電話してくれたり、LINEしてくれたりして、知らせてくれるので、手術が無事に終わったと本人から電話をもらったときは、ホッとして思わず泣きそうになってしまいましたが、こうして、離れていても連絡を取れる時代になったということは、ありがたいことです。

 海外にいて、医者にかかることは、私も最初はとても不安なことのひとつだったので、娘についても診察等、しかも手術・・となると日本語という面でも大丈夫なのかな?とも、少し心配していたのですが、全く大丈夫だったようで、内心、私の日本語教育もここまでできれば、もうコンプリートかな?と思って、ちょっと嬉しかったりもしました。

 彼女が入院しているのは、大部屋?で他の患者さんたちとも同室なのだそうですが、他の患者さんたちは、けっこう、重病なのか?全然、ベッドから起き上がることがないので、全然、話すことはないのだそうです。

 個室じゃなかったら、冷蔵庫とかあるの?と聞いたら、冷蔵庫は有料だから、使ってないとかで、けっこう稼いでいるのに、相変わらずしまり屋です。もっとも、飲み物くらいは欲しいでしょ・・と言っても、彼女はふだんからとにかく水だけ・・しかも常温でしか飲まないので、冷蔵庫はいらないと頑として冷蔵庫も使っていないようです。

 この際、病院から出されているものだけで過ごして、身体を整えるとのことで、まあ、好きにしたら・・というか、しっかりしているというか・・。

 もしも、私が日本にいたら、せっせと何か食べ物を作って運んだりしそうなところですが、こんな機会はそれはそれとして、前向きに過ごそうとしている娘のたくましさを感じています。

 しかし、やっぱり病気になったり、怪我をしたり・・となると、離れているのはもどかしいところですが、ひとまず、無事に済んで、より一層、たくましく生活している娘を頼もしく感じたり・・まだ、最低でも一週間くらいは入院生活が続きそうですが、遠くから娘の回復を祈っている毎日なのです。


じん帯切断 入院 手術


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2025年4月26日土曜日

想像以上に酷かったナントの高校でのナイフ襲撃事件 被害者少女に57ヶ所の刺し傷

  


 先日のナントで起こったカトリックの私立高校でのナイフ襲撃事件について、当日の夜の予定だった検察の記者会見が延期され、翌日、行われ、詳細な事件の概要が明らかになってきました。

 検察官によれば、死亡した女子高生が一番のターゲットであったようで、彼女の遺体の検死が行われた結果、彼女が負った刺し傷は57ヶ所にも及んでおり、現場にいた生徒たちの証言から、その現場の一部始終を説明しています。

 この加害者の少年は予めトイレで犯行の準備を整え、変装(黒づくめの服装に顔と目を隠すためにサングラス)をし、額に傷をつけた後に、全生徒に向けての13ページにも及ぶマニフェスト(今回の犯行とは直接には関係ないと本人も述べているが、彼の思想や社会の問題点などについて詳細に書き綴った独特な論文のようなもの)を送信し、最初に襲撃する教室にナイフを持って入っていきます。

 その最初のターゲットになった少女というのが、非常に孤独であった彼が学校内で質の高い対話ができる唯一の人物だったという少女で、彼は全生徒が見ている前で、彼女を攻撃し、ナイフで主に上半身、特に頭部、喉などを刺し続け、彼女が床に倒れたのちもさし続けたと言います。クラス中の生徒が凍り付いてしまうであろう想像するだに恐ろしい光景です。

 単に彼女を殺害する目的ならば、こんなにさし続ける必要はないわけで、明らかに常軌を逸しています。

 教室では英語の授業中であったそうで、担当教員は、数人の生徒とともに、教室から逃げ、加害者の少年は、次の襲撃のために向かいの教室に移動。向かいの教室では、無差別に対象を選び、男子生徒2名、女生徒1名を狙って攻撃を続けていました。

 そこを、下の階にいたIT技術者が悲鳴を聞きつけ、現場に向かい、2つ目の教室で暴れている加害者の少年を椅子で殴りつけ、犯行を止めようとし、今度は、この助けに入ったIT技術者が彼に追いかけられますが、彼は、これ以上、被害が他の生徒に及ばないように廊下の先にあった扉を閉じ、犯人との対話を試み、その後、彼は持っていたナイフをさしだすことに同意したと言います。

 このIT技術者というのが、学校でのどんな立場の人なのかはわかりませんが、今回の惨劇における、まことに勇気のあるヒーロー的な存在です。

 検察官は、「彼は学校内で非常に孤独な存在ではあったが、いじめや嫌がらせの対象であったことは全くない」と断言していますが、非常に孤独であったということは、ほとんど多くの人々からは無視されたような状況ということで、このことが無関係であるとは考え難いことです。

 彼の両親は離婚しており、彼は母親と二人暮らしで、母子関係は良好であったと言われているものの、彼の言動、特にヒトラーへの異常な感心や自殺願望などを母親は大変心配しており、母親の要請により、ロワール・アトランティック青少年協会の教育者らとも6回にわたる面会を続けていました。

 この面会で、何が行われていたかは明らかにされていませんが、このような凶行が行われた後になってみれば、明らかに彼に必要だったのは、精神科の専門的な治療で、また、身柄拘束後、本人も、「自分の病気が無視されてきたことを残念に思っていた」と話しているそうです。

 彼の周囲にいたクラスメイトたちは、皆、彼は非常に静かで、控え目で、おとなしい人だったと語ってるようですが、実は、静かに見える彼の内側には、なにかのきっかけで爆発するようななにか、煮えたぎるようなものが潜んでいたようです。

 彼は逮捕、拘留後、ほぼほぼ、まともに話ができる状態ではないと伝えられていましたが、その日の夜には、拘留を解かれ、精神病院に入院させられたそうです。

 このような事件が起こった場合、もし娘が被害者だったら・・とか、もし、加害者だったら・・などと様々なことを考えさせられます。

 今回の被害者遺族は、被害者の苗字や写真を公表してほしくないと強く懇願しているそうです。

 フランスの場合、この種の事件があっても被害者の家族、加害者の家族などもがマスコミに登場する場合も見られるのには、驚かされますが、今回は、少なくとも被害者の写真や苗字が公表されることはなさそうです。

 彼が正常な精神状態でなかったことは明らかではありますが、この犯行に対する罪が精神障害のために軽減されるのかどうかは、同時に彼がとった非常に計画的な犯行の準備から、どのように判断されるのかは、殺人罪が適用される可能性もあると言われています。

 つい最近、15歳の誕生日を迎えたばかりという被害者の少女、と15歳の加害者の少年。

 私の勝手な印象ですが、未成年の犯罪には、この15歳という年齢が多すぎる気がしています。

 

 ナント カトリック高校ナイフ襲撃事件


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