2026年1月11日日曜日

一般開業医が行っている「開業の自由を求めて権威主義的傾向に反発する」大規模なデモ・ストライキ

  


 フランスで現在、一般開業医が行っている大規模なデモ・ストライキは、現在の医療制度・社会保障予算法案が彼らの「自由な診療・開業の権利」を損なうとして強い反発を示しているもので、具体的にはフランス政府が2026年の社会保障予算法で新たな規制や権限を導入しようとしていることに医師側が反発しているものです。

 具体的には、保険当局が医療行為の報酬(診察料等)を一方的に調整できるようにする規定、初回の病気休暇に対する管理・制限の強化、デジタル記録義務など、業務負担を増やす管理強化などの政策を「医師の診療の自由や独立性を損なうもの」と受け止めており、自由な判断・開業の自主性を守れないものであると主張しています。

 フランスの独立開業医の多くは国民保健からの償還額と自身の収入のバランスを自ら調整しながら診療を行っていますが、今回の改革では医療費抑制の一環として報酬の伸びを厳しく制限する方針であることや、特定の医療行為の報酬を強制的に減額できる権限の付与などが含まれており、開業医側は、「経済的に自立した診療ができなくなる・過度な管理が入る」と反発しています。これが「自由」の重要な側面です。

 また、この法案により、医師が自分で選んだ場所や方法で開業・診療する権利が制限される可能性(医療過疎地域への配置義務や診療エリア・報酬制限の強化)なども示唆されています。

 医師たちは、これを「自由に開業し、独立した医療提供者として患者に質の高いケアをする権利への侵害」と受け止めているのです。

 彼らが「自由」を求める背景には、単に自分の裁量で働きたいというだけでなく、行政主導のコストカットが患者への影響につながるのではないか?過度な管理が日常診療・患者との信頼関係に悪影響を及ぼすという懸念も強くあります。

 医師側の要求は「患者への裁量のケアを提供できる独立した専門職としての立場を守りたい」という側面も含んでいます。

 フランスの医療制度は国民皆保険を基本にしつつ、自由開業性(自由に開業できる仕組み)を長年維持してきました。これは医師が国家の指示に縛られず、患者のニーズに応じて診療所を開く権利を持つという考え方です。

 しかし、今回の予算法案をきっかけに、政府側の財政・医療費抑制政策が医師の裁量・自由と衝突し、それがデモ・ストライキに繋がっているのです。

 大規模な赤字を抱えているために、あちこちで予算をどうにか削減していきたいのはわかりますが、国民の健康に関わる事象については、深刻な話でもあります。今後、さらなる医師不足が懸念されている中、多くの若者がただでさえなるのが大変な医者という職につくことに「バカバカしい・・医者なんてやってらんね~」と思うようになりそうでもあります。

 病気休暇など、違法に利用している件数が激増しているようではありますが、これは違法な申請をできないようにすればよいだけで、本当に必要な人までもが使えなくなることは、本末転倒です。

 予算を削るなら、もっと別にしたら・・? 今だって、医者の予約がとれなくて、何ヶ月も待たなくちゃならないことが多いのに・・勘弁してほしいです。


フランス一般開業医 大規模デモ


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2026年1月10日土曜日

パリ 国立工芸博物館 Musée des Arts et Métiers パリオリンピックのメタルホース

  


 パリオリンピックの開会式に登場したメタルホースが展示されていると聞いて、パリ国立工芸博物館 Musée des Arts et Métiersに行ってきました。

 これまで、パリにある国立工芸博物館 Musée des Arts et Métiersというものの存在は、なんとなく知っていた・・というか聞いたことはあるけど・・くらいの感じで、特に、行ってみようと思ったことはありませんでした。

 しかし、今回、期間限定でパリオリンピックの開会式に登場したメタルホースが展示されている(2026年3月29日まで)と聞いて、それなら、ちょっと行ってみようかな?と思って行ったら、想像以上に面白かったのです。









 メタルホースは、まず、屋外にひとつ、博物館の入り口すぐの場所にあり、5分に1回動くようになっています。「なんだ・・中に入らなくても見れるんだ・・じゃあ、これでいいかな?」とも思ったのですが、せっかく来たんだから、中も見て行こうと博物館の中に入ったら、しっかり「ZEUS」と銘打ったメタルホース本体と、オリンピックの時の美しい写真等が展示されているスペースがありました。

 この博物館はパリにある工業デザイン博物館で、科学機器やエネルギー関連、機械力学、建設、通信、輸送機器等の発明品8万点以上の収蔵品のうち、約2,500点が展示されています。





 現在のこの博物館は、かつてのサン・マルタン・デ・シャン修道院の教会とそれに隣接していた建物を併せて増改築して作られたもので、博物館の中に、教会部分が残されている不思議な建物で、立体的なつくりになっていて、それだけでも面白いです。

 教会部分のスペースはどこか神秘的でもあり、そこには、フーコーの振り子のオリジナル版、フレデリック・オーギュスト・バルトルディの「世界を照らす自由」(通称 自由の女神像)のオリジナルモデル、初期の飛行機、古すぎてかえって新しく思えるような自動車などなどが展示されています。


 なかには、これ?もう博物館に展示されるようなもの?とびっくりしてしまうような見覚えのあるSONYの初期のビデオデッキなどもあったりして、考えてみれば、ずいぶんと時が経って、過去の遺物となっていることに衝撃を受けたりもしました。

 お目当てだった「メタルホース」は、思っていたほど、大きくもなく、(実物の馬と同じくらい)、しかし、あの時、セーヌ川を走っていたのか・・と思うと、ちょっと感慨深くもありました。

 近くで見ていたフランス人が、これ、音楽も欲しかったわね・・と自分たちでオリンピックのテーマ曲を歌い出したりしていたのも、フランス人・・やっぱり根はラテン系・・などと、一人ウケていました。

 また、そういえば、ニュースで見たような気もする、オリンピック期間中、メタルホースがフランス国内を横断し、ベルサイユ宮殿やモンサンミッシェルにまで行っていた様子などのビデオも大画面で見られるようになっています。

 平日の昼間だったためか、それほど混雑はしていませんでしたが、それでも、思ったよりも、ずっと人は入っていたし、何より面白かったです。

 もしも、メタルホースが展示されていなかったら、ここに来ることはなかったと思うと、馬が私を引き寄せてくれた気もして、少しお馬さんに感謝です。

 しかし、この馬、3月29日までらしいので、メタルホースを見たい方はお早目にお越しください。


パリ 国立工芸博物館 Musée des Arts et Métiers

60 Rue Réaumur 75003 Paris 月休

パリ オリンピック メタルホース


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2026年1月9日金曜日

フランス大手スーパーマーケットチェーン「オーシャン Auchan」グループ リストラ計画控訴で無効

  


 フランスの大手スーパーマーケットチェーン「オーシャン Auchan」グループが大規模な人員削減を含むリストラ計画が発表したのは、2024年11月のことでした。経営陣のこの発表に対して、組合側がこれを不服として控訴しており、この度、行政控訴裁判所は、オーシャングループの雇用保護計画(リストラ計画)の無効を支持しました。

 これは昨年9月の段階の一審ですでに却下されていたのですが、オーシャンの経営陣は、引き続き、この人員削減計画(一部配置転換を含む)を要求していたようです。

 ここ数年?大手スーパーマーケットチェーンはどこも業績悪化やセルフレジの普及などで人員削減しているところが多いのです。

 細かな経営状況はわかりませんが、なにも経営陣とはいえ、好き好んで人員削減したいわけでもなかろうに・・、このままの状態が続いたら、より窮地に陥ることを見込んで人員削減計画を実行しているであろうに・・、それを裁判所が却下するってどういうこと?だったらどうすればいいの?と思ってしまいます。

 組合側は「従業員にとっての大きな勝利!」と言っているようですが、だからといって、これは必ずしも、リストラが全面的に不可能というわけではないようです。

 フランスは従業員、雇用されている側の権利というものは、かなり厳しく守られており、リストラというものが簡単ではないことでは有名な国です。

 以前、最も衝撃的だったのは、日本企業のブリヂストンが工場を閉鎖する際の大変な反発は、ちょっと恐ろしいほどで、終いには政府の大臣級の人まで出てきて、マスコミまで巻き込んでの大騒動となりました。

 今回は、ブリヂストンほどの騒ぎにはならないとは思いますが、裁判沙汰になるということはやはりなかなかです。

 これは、業績悪化にもかかわらず、リストラができないというわけではなく、今回の話は、簡単にいえば、「手続きの問題で無効になった」ということで、地方裁判所が「従業員代表組織との協議手続きに重大な手続き上の瑕疵(かし)(法律上において意図された効果欠けている状態)がある」として無効にしたもの(つまり、リストラ計画の「承認・協議」プロセスが適切ではなかったということ)のようです。

 とはいえ、フランスにおいては、従業員を解雇するということは、非常にハードルが高く、従業員の勤続年数や契約形態によっても違いますが、最低ラインでも、法律で定められた金額を支払わなければ、解雇することはできません。

 また、この条件についての話し合いが難航すれば、今回のような裁判にもなるわけですが、解雇が不当と判断されれば補償が発生するという厳しいルールになっています。

 なので、業績が悪くても、社員を解雇できないわけではありませんが、フランスの解雇は法的条件・手続きを満たさないと無効になるということの一例でもあります。

 このような解雇のニュースが出るたびに、フランスで人を雇うということは、つくづく大変だな・・と、むしろ、なぜか経営者側が気の毒に感じることが多く、雇用するにあたって、社会保障や税金等、従業員に対してかかる税金も非常に高く、そのうえ、なにかと言えば、すぐストライキ、バカンスはガッツリ1ヶ月、業績悪化しても、簡単には首も切れずに、辞めさせるためにまた、莫大な支払いが待っているのです。

 こんな様子では、なにか、事業を起こしたい人は、やっぱり余程の覚悟がなければ、フランスで・・とはならないのでは??と思ってしまいます。


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2026年1月8日木曜日

2度あることは3度ある・・パリの公共交通機関でまたナイフ刺傷事件

  


 年末から立て続けにメトロ3号線でナイフ刺傷事件とハンマーによる襲撃事件が起こり、2度目のハンマーでの事件が起こったときに、「2度あることは3度ある・・」なんて冗談みたいにチラッと思ったのですが、同時に「まさかね・・」とその良からぬ発想を取り消していました。

 しかし、その3度目がまた起こってしまったのです。1ヶ月以内に3度もこんな異常事態が起こるとは、どう考えてもふつうではありません。

 3度目の事件は、RER A線の車内で起こりました。RER A線はパリ市内からパリ近郊の都市を結ぶ路線で、事件が起こったのは、イヴリーヌ県のル・ヴェジネ=ル・ペック駅ということです。

 事件発生時、53歳の被害者の男性は車内で寝ていたところをこの事件の容疑者によって腕を掴まれ目を覚ましたということで、被害者、加害者が揉みあいになったところで、これを目撃した人が介入し、容疑者は逃走したということです。

 緊急通報を受けて、消防隊員、警察、RATP(パリ交通公団)の警備員GPSRが現場に出動しています。被害者の男性は顔と手を切られて、軽傷を負っており、救急隊員が救急搬送を試みたのですが、被害者の男性はこれを拒否したため、RATPの被害者支援部隊が、被害者への全面的な支援を行うことになりました。

 パリでは電車の中で寝ている人をあまり見かけませんが、午前8時の通勤時間帯、しかも郊外線(パリ市内のメトロよりは比較的長距離)であることもあり、寝ている人もいるのかもしれません。

 現時点では、犯人が逮捕されていないので、犯行動機等詳しいことはわかっていませんが、顔見知りであったのか?また、強盗目的で脅迫のためにナイフを持っていたのか?など、わかっていません。

 しかし、いずれにせよ、ナイフを持った人がパリ市内、パリ近郊の公共交通機関の中には、たしかにいるということだけは、もう紛れもない事実。

 捜査はサンジェルマン・アン・レー警察署に委託され、当局は加重暴行罪に分類されるこの襲撃事件の状況解明に取り組んでいるということです。

 一刻も早く、犯人を確保してほしいのはもちろんのことですが、パリは、もうそれだけ、それくらいでは、どうにもならない状況に陥っているのではないか?とそんな風にも思うのです。


RER A線 ナイフ刺傷事件


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2026年1月7日水曜日

廃止されてしまうロワシーバスとCDGエクスプレス  

 


 数十年にわたり、パリ中心部とロワシーCDG(シャルルドゴール)空港を結んできたシャトルバス(通称ロワシーバス)が2026年3月から廃止になるということは、私にとっても、なかなかショッキングな話でもありました。

 想像すらしていなかった・・というのも大げさではありますし、そこまで利用していたわけではないのですが、何回か利用したことはあり、いざというときには・・という想いは常にあり、心丈夫にしていました。

 イル・ド・フランス・モビリティ(IDFM)の発表によれば、これは、A1高速道路(ロワシーバスが利用)の頻繁な交通渋滞のため、旅行者に支障をきたし、速度が遅く信頼性が低いためとして、これからは、メトロ14号線でサン・ド二・プレイエル駅まで行き、同駅からの空港直通バスに乗るように提案しています。

 IDFMによれば、空港までの移動時間は、10分から30分短縮され、ロワシーバスの平均1時間、あるいは1時間20分~50分から、1時間10分程度になると豪語しています。

 この交通手段を取ることにより、「定時制と信頼性が向上する」としていますが、空港へ行く場合、多くの人はスーツケースなどの大荷物を持っているわけで、乗り換え・・という手段がいかに難しいか?利用者の利便性を考えているのか?と思います。

 さもなければ、CDG空港へ行くには、RER B線を利用することになるのですが、このB線こそ、不通、遅延が多いうえに、治安もあまりよいとはいえない線で、選択肢が減ることは、非常に痛手です。

 ついこの間も空港からB線に乗ろうとして、不通になっていて、途方に暮れたばかりです。

 これまでロワシーバスは、オペラ座近辺から20分おきくらいに出ていたので、一度乗ってしまえば、荷物ともども空港まで行けるのは大変、便利な交通手段で、渋滞のために時間が読めない・・ということならば、少し余裕を持って出かければ良いだけの話で、だからといって、RER B線などが時間的にも信頼のおける交通手段かというと、それも全く当てにならないわけです。

 なんというか、こじつけというか、机上の議論で決められた話な感じで、どうにも納得するのが難しい気がします。

 一方、こっちが本当の理由なのでは?と思うのは、2027年3月開通予定のCDGエクスプレスの開通でCDGエクスプレスはパリ東駅から空港までを20分で行けるそうです。

 また文句を言わせてもらえれば、なぜ?東駅?またあまり治安のよくなさそうな場所になぜ??と思ってしまうのですが・・。

 このCDGエクスプレスは午前5時から深夜0時まで15分間隔で運行する予定です。

 このCDGエクスプレスは2027年3月28日運行予定ということなので、なんなら、それまででもいいから、ロワシーバスは残してくれればよいのに・・と思うのですが・・。

 ロワシーバスがなくなるまで、もう2ヶ月を切ってしまいました。

 長年あったものがなくなるということは寂しいことです。


ロワシーバス廃止 CDGエクスプレス シャルルドゴールエクスプレス



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2026年1月6日火曜日

パリで大雪のため、被害が続々・・

  


 今週の予定は、ざっくりと決めていたのですが、ここ数日、お天気が悪いのと、あまりの寒さにどうしても、用事が滞りがちになっています。

 週明けの月曜日も、とりあえず、ちょっと近所に買物に行ったものの、その後、天気予報を見たら、雪の予報になっていたので、その日の予定は中止してしまいました。

 我ながら、甘々だな~と思いつつ、これで無理すると、また寝込んだりしかねないので、無理しない無理しない・・と自分に言い聞かせながら、家でできる仕事を片付けていました。

 今の季節はもうベランダは冷蔵庫に入りきらない食糧の貯蔵庫になっているのですが、その第二の貯蔵庫に食糧調達に行ったところ、一面の大雪・・。

 もう大粒の雪が風に舞っている感じで、さっき、帰ってきたときには、いつもと変わらない景色だったのに、ちょっとの間に雪が舞う一面の銀世界になっていました。

 家から見る雪景色は綺麗なのですが、こんな日は外出していたら、えらい目に遭いそうだ・・と思っていたら、案の定、パリ市内はもちろんのこと、イル・ド・フランス地域全体は、雪のために大混乱となっているようで、累積交通渋滞1,000km超え、RATP(パリ交通公団)は、バス網の完全運休を発表。

 オルリーバスも運行休止。全てのバスは車庫に戻ってしまいました。

 オルリー空港、シャルルドゴール空港では15%の航空便が欠航。


 多くの駅で足止め。または、メトロの中に乗客が乗ったまま、動かなくなったために、乗客は、雪の中へ脱出。

 まさに地獄絵図です。

 パリの公共交通機関は、ストライキを始めとして、プロブレム・テクニックとやらで、度々、問題に遭遇することは珍しいことではありませんが、この寒空、雪の中を外に脱出したり、長時間、待たされたり、挙句の果てに歩くハメになったり、大変なことです。


 パリで雪というのも、ないことではありませんが、こんなに大雪が降って、みるみる雪が積もって、雪景色になるのは珍しいことです。

 雪景色のパリも綺麗ではありますが、この交通網が混乱している状態ではとても雪景色が綺麗!なんて景色を楽しんでいる場合ではありません。

 今週は、まだ雪が降る予報になっている日がありますが、もうこんなのを見てしまったら、雪の日は外出はしない・・と強く思うのでした。


パリの大雪


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2026年1月5日月曜日

ヨーロッパにおける中国医薬品ブーム

  


 私は、いつのまにか、日常的にかなりの量の薬を飲むようになっていて、薬は私にとって、とても身近なものでもあります。

 フランス人は比較的、すぐに薬に頼りがちなところがあり、また、薬を処方してくれるお医者さんも、大盤振る舞いな気来があります。

 しかも、ひとつひとつの薬が箱入りなので、非常にかさばって、毎月もらう薬は本当に山のようになるので、文字通り山盛りの薬になります。

 そんなフランス(ヨーロッパ)で売られている薬は、いつの間にか中国の薬が侵食していて、今では中国の医薬品がヨーロッパに溢れる事態になっているといいます。

 別の言い方をすれば、中国は製薬大国になりつつあるということで、わずか10年足らずで革新的な医薬品や治療法の開発において、ヨーロッパや米国と肩を並べるに至っています。いやいや、肩を並べるどころか追い越されています。

 現在、臨床試験の約40%は中国で行われています。10年前は4%だったものが10倍になっており、これは世界の医薬品業界のパワーバランスに変化をもたらしています。

 現在、ヨーロッパは多くの医薬品を中国から輸入するようになっています。

 特にアメリカが法外な関税を課して以来、特に中国からのヨーロッパへの輸出が激増しているのです。

 特にこの問題が顕著なのはドイツであると言われており、ドイツでは抗生物質の4分の3以上が中国から輸入されており、他国で製造されたドイツの医薬品にも中国製の成分が含まれています。

 中国は世界で既に使用されている有効成分の大部分を生産しており、また、これらの製品は、以前に比べると、遥かに高品質になっており、中国から輸出される医薬品は非常に厳格に管理されており、欧州規準を満たしています。

 そのうえ、価格が安いために、多くの国が輸入しているのです。

 パンデミックの際に世界中の人の流れとともに物通がとまり、特効薬がないままに、とりあえずの医薬品として使用されていたパラセタモールが不足し、フランスでは大問題となりました。

 あの時点でも、フランス人が「とりあえずは飲んどけ!」と誰もが言う「ドリプラン」(パラセタモール)でさえも、皆がフランスの製薬会社の薬だと思っていたのに、その多くは中国で生産されているということがわかり、非常時に備えて、このようなベーシックな薬の製造拠点をフランスに置き続けなければならない!などとマクロン大統領が熱く語っていたのが印象的でしたが、結局は、そのための対策を講じてこなかったことになります。

 少し前に、(今でも続いていますが・・)中国の服飾業界、特にEコマースのSHEINがあまりにフランスの服飾業界を脅かしており、問題が発覚するたびに、なんとか、これを排除しようとフランスが躍起になっているあらゆる騒動を見るに、医薬品だけではなく中国があらゆる分野において、革新的にシェアを伸ばしていることは、明白です。

 しかし、こと、医薬品が既に、ここまで侵食している状態で、人々の健康問題にかかわる医薬品ともなると、簡単に排除というわけにもいきません。

 今、私がフランスで飲んでいる薬のパッケージを見る限り、フランス語表記だし、すっかりフランスの薬なんだと思い込んでいましたが、実は良く見てみれば、中国で作られている薬なのかもしれません。薬ひとつひとつが何の薬なのかは理解していますが、その薬がどこで作られている薬なのかまでは、確認していないのです。

 とはいえ、国にとっては、やはり、ある程度のベーシックな薬は自国内で薬は賄えるくらいにしておくということは、やっぱり必要なことなんじゃないかと思うのです。


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