2025年10月7日火曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相 辞任 史上最短の在任期間 フランス政府の危機

 

         


 こんなに政局が急速にガタガタと崩れていくものかと、フランス人ではない私でさえも、驚愕する事態がフランスでは起こっています。

 前首相のフランソワ・バイルー氏が辞任して、24時間も経たないうちに任命されたセバスチャン・ルコルニュ首相は、首相任命から、なんと組閣人事発表まで26日もかけて、ようやく10月5日(日)の夜に内閣人事が発表されました。

 私は、そのニュースをなんとなく、サラッと眺めて、明日、じっくり見てみよう・・と思っていました。

 ところが、その14時間後の月曜日の朝、今度は、突如、首相が辞表を提出して、マクロン大統領がそれを受け入れたというビックリニュースが飛び込んできて、「なんなの?これは?どうなってるの?」とビックリした次第です。

 この1ヶ月未満という記録的なスピードでの首相辞任は、当然、国全体を揺るがす大騒動になっており、朝早くに発表された首相辞任のニュースで株価は急落。SNS上だけでなく世論が大炎上しています。

 この首相のスピード辞任、特に組閣人事発表からの速攻辞任には、組閣人事に対する各政党や世論からの大反発によるものと見られており、この組閣人事の構成が前政権からの引継ぎ、つまり大統領陣営がかなりの割合で含まれていること、特にブルーノ・ル・メール氏(長年、マクロン政権で財務相を務めてきた人物で国防・軍事に関しての経験はないらしい)の国防相という人事への反発であるという声も大きいと言われています。

 ブルーノ・ル・メール氏に関しては、マクロン政権がかなり崩れ始めた頃に、自ら財務相を辞任し、どこかの大学の教授として、若者と意見をかわしつつ、フランスの将来について考える・・というようなことを言っており、私としては、まことに清々しい引き方だ・・と感心していたのですが、さらに混乱した状況において、なぜ、政界に復帰することを了承したのでしょうか? 彼は、今回の人事を受け入れるにあたって、「政府に参加するという私の決断は専ら使命感から下したものでした。私の決断が一部の人々から、理解不能で虚偽で不相応な反応を引き起こしていることを承知しています」と述べていました。

 とにかく、この組閣人事発表から、首相退任による組閣取り消しにより、前日の夜に任命された大臣たちは、公式に任命が交付されているために、何もしない14時間のおかげで、各自(大臣たち)が3ヶ月間の給与28,000ユーロの給与が支払われることになり、この任命の総費用だけでも、約50万ユーロかかることなども、報道されています。

 あまりの世間の怒りに慌てているマクロン大統領は、辞表を受け取ったものの、セバスチャン・ルコルニュ首相に対して、2日後の夜までに最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を委任したと大統領府は発表しています。

 ここまでグダグダになって、今さら解決策などあるのだろうか?と思ってしまいますが、今後、しばらくは、離せなくなりそうです。

 今回の首相に関しては、「来年度の予算を通すまでに何人の首相が必用か?」などと嫌みな見出しの報道などがされていましたが、冗談ではなくなってきました。

 1ヶ月未満で職を放棄してしまった新(前)首相に対して、国民の反発もさぞかし強かろう・・と思いきや、世論調査によると4人のうち3人のフランス人は、セバスチャン・ルコルニュ首相の辞任は正しかったと答えているそうです。


仏首相 1ヶ月未満のスピード辞任


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2025年10月6日月曜日

バスの検札がやっぱり物々しくて・・

  


 パリ市内では、バスやメトロなどの公共交通機関のコントロール(いわゆる検札)に遭遇する機会は珍しくありません。先日、バスに乗ったら、まず、チケットをチン!とチェック?する機械が壊れていて、何回かやってみても、赤いランプがついて、ブーッという音が鳴って、一瞬、「どうしよう?」と思って、運転手さんの方を見たのですが、運転手さんは、知らん顔をしているし、次に乗った人もまた、チケットを機械にかざすと、ブーッとなっていて、「あ~これは、機械自体が壊れているんだから、しょうがないよね・・」と思って、そのままバスの中に進もうとしました。

 それにしても、運転手さん、機械が壊れているのは、彼はもうわかっているんだったら、なんか、説明してくれればいいのに・・と思っていたら、そのあとにすぐにバスの入口と出口から検札軍団(5人くらいのいかつい男の人たち)が乗ってきて、チケットのチェックが始まりました。

 あいかわらずの物々しさ・・すごい威圧感だな・・「ただでさえ、ちょっとバス待たされたのに、これで、また時間がかかる・・こんなのやってたから、バスがなかなか来なかったんだな・・」と思いつつ、それでも、自分はチケットをチェックしてもらって、そうそうに、奥の方の空いていた席に座って、「早く、検察なんて終えて、さっさと出発してくれ・・」と思いながら、なんとなく、様子を伺いながら、待っていました。

 いつものことながら、検察軍団は、5~6人が1組になって、動いているのですが、メトロの駅などならば、スペースが広いので、さほど威圧感もないのですが、狭いバスの中だと威圧感がハンパありません。

 それでも、ふつうにチケットをもっていれば、正当に乗車しているわけですから、文句のつけられようもなく(実はチケットは持っていても、チン!と機械に通していなければ、罰金対象になります)、怖いこともないのですが、小心者の私は、チケットを持っていなくて、詰問されているのを見るだけでも、ちょっとビビってしまいます。

 その時は、中学生くらいの男の子と女の子ひとりずつ(一緒にいたわけではなく、別々に乗っていた)がチケット不携帯で違反切符を切られていました。

 男の子のほうは、わりと素直に身分証明書を出して、おとなしく?従っていたのですが、女の子の方が、少々抵抗したらしく、そのままバスの中で尋問が開始。

 少し離れたところにいたので、詳しい内容は聞こえてこなかったのですが、フランス語で話していたので、地域の学生なのだと思いますが、検察官の方が女の子に向かって、「バスに乗るのは、初めてじゃないだろう?」というフレーズだけでしたが、彼女は一体、ナント言い訳をしたのでしょうか?

 しかし、大男たちに囲まれて、責められ続け、しばらくすると、彼女は、半べそをかき始めました。その間、バスは停車したまま、10分経ち、15分経ち・・と時間が経つにつれて、今度は、乗客の方が怒り出して、「自分たちは、仕事中なんだ、こんなに待っちゃいられない!その子と一緒におりて、続けろ!」とバスの中から怒号が湧き始めましたが、検察官の方は、「この先でランデブー(アポ)が入ってる!それに彼女は未成年なんだ!」とよくわからない説明。しかし、ついに乗客の怒号に負けて、検察官とその女の子は、一緒にバスを降りて、ようやくバスは発車しました。

 そもそも、キセルをしたその子が悪いのは、当然なのですが、その検察官たちも、臨機応変に対応ということがすんなりできないものなのか?そんなにすったもんだしてバスを20分以上も停めてしまうことに何の呵責も感じないのか?と、ちょっと、そっちの方に疑問を感じてしまったのでした。


バスの検札


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2025年10月5日日曜日

SNCFを装った「ストライキ後の払い戻し」請求の詐欺メール

  


 まったく、ぼんやりしていられない世の中・・度重なるストライキの挙句に、そのストライキによる払い戻しを装った詐欺メールが横行しているらしいのです。

 ここのところ、新年度になってから(9月から)の度重なるストライキには、皆が少なからずうんざりしているところだと思いますが、今回はSNCF(フランス国鉄)のサイトを装ったホンモノのサイトにそっくりなビジュアルに作られており、詐欺サイトの指示どおりに画面を進めていくと、個人情報、特に銀行の情報がごっそり盗まれる仕組みになっています。

 今回は特にサイトがほぼほぼ、SNCFのホンモノのサイトとそっくりに出来上がっているため、非常に巧妙にできていますが、一部の列車が運休となった9月18日のストライキに関して、ユーザーに29.99ユーロの補償を提示するメールのようです。

 「9月18日の混乱により、29.99ユーロの払い戻しが可能です」とこんな感じです。

 詐欺メールの送信者は、SNCFを装い、標的のユーザーに個人アカウントで払い戻しの詳細を確認するように促してきます。

 その後、ユーザーはリンクをクリックするように促され、SNCF Connectのオンラインチケット購入プラットフォームを巧妙に模倣したサイトへと誘導されます。

 一見すると、このメッセージは、まるで疑いようのないSNCFからのメッセージに見えてしまいます。SNCF Connect(詐欺メール)のデザインは、ホンモノのSNCFと同じデザインで出来ているのです。

 送信元「nrp@sncf.fr」は確かに信憑性があり、内容もユーザーの名前も綴りも間違いなく伝えてきます。

 メッセージには、約束された払い戻しの詳細は個人アカウントで直接確認できると書かれており、「手続きは迅速かつ安全です」と豪語し、リンクをクリックするように促してきます。

 リンクをクリックするとSNCF Connect のウェブサイト(模倣して作られた偽物)にリダイレクトされ、ご丁寧にロボットではないことを確認するためのキャプチャーコードの入力が求められます。

 そして、払い戻し確認のため、個人情報とクレジットカード番号の入力を求められます。詐欺師は、データに直接アクセスし、データが盗まれてしまいます。

 ホンモノのSNCF Connectは、これらの詐欺メールが横行していることに対して警告を発しています。

 偽物を見分ける方法として、送信者のアドレスを注意深く確認するように呼び掛けています。通常ホンモノのメッセージには、@mail.sncfconnect.com、@mail.sncf-connect.com、@info.sncf.com、@connect.sncf、@info.sncf-voyageurs.comといった識別子が含まれています。これらの識別子で終わらないアドレスの場合は、警戒が必用だと言っています。

 私の場合は、「ん??なに?このメール?」と思った際には、そのままそのリンクをGoogleなどで検索してみます。すると、だいたい、詐欺の警告が出ているので、それですぐに削除してしまいます。

 一番簡単な方法です。

 しかし、さんざん、ストライキで迷惑していて、イラついているときなど、「払い戻し!」などというメッセージがきたら、ついうっかり「そりゃそうよ!返してもらわなきゃね!」などと乗っかってしまいかねない気もします。

 まったく、ストライキで足止めを食って痛めつけられ、その後にそれを補償してもらうための詐欺にひっかかるなんて、まったく二重に痛めつけられることになります。

 ほんとに皮肉なことですが、この種の詐欺師などは、ほんとよく気が付くし、よく働くな・・と感心してしまいます。


SNCFストライキ後の払い戻し詐欺


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2025年10月4日土曜日

超ファストファッションSHEIN 今度は百貨店へ進出

  


 超ファストファッションの象徴的な存在であるSHEIN(中国)が仏婦人服ブランドPimkie と業務提携したことで、業界に大激震が走り、Pimkieはフランス衣料品業界から除名処分を受け、業界からは、「悪魔との共謀!」とまで言われて、大バッシングを受けていますが、今度は、そのSHEIN・・ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)との独占提携を発表し、フランス国内の百貨店(最初は、6店舗)に店舗をオープンすることを発表しています。

 ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)・SGMグループはギャラリー・ラファイエット7店舗やBHVを保有およびフランチャイズしています。

 今回のSHEINの店舗がオープンするのは、SGMの傘下?にあるギャラリーラファイエット(リモージュ、アンジェ、ディジョン、ランス、グルノーブル)とパリのBHVです。

 この物理的な店舗の出店(元来は、オンラインによる販売のブランドのため)は、とりあえずは、試験的に6ヶ月間ということになっているようですが、一時的なポップアップではなく恒久的なものになる予定です。

 実際の店舗のオープンは11月ということになっているらしく、どのような価格帯の商品が陳列されるのかはわかりませんが、これまでの、いわゆる百貨店のどちらかといえば、高級品を扱っている店舗構成を見ても、その中にどのように同化させるのかはわかりませんし、品質が多少悪かろうと、低価格であるからこそ売れに売れ、フランス国内では2,300万人の消費者を抱えているSHEINがどのように?この百貨店の中に入っていくのか?いけるのか?は、大いに見ものであると思われます。

 しかし、一方では、その百貨店自体も、業績は不調続きで、ここ数年でフランス国内のギャラリーラファイエットが何軒、クローズしたか覚えていられないほどで、パリのギャラリーラファイエットこそ、観光客の動員でそこそこ、生きながらえていますが、この百貨店側からしても起死回生のチャンスを狙っているともいえます。

 こうなってくると、もうこれは、繊維業界、衣料品業界だけに留まる話ではなくなってきます。

 しかし、パリのBHVなどを例にとってみれば、あれだけの一等地に店舗を構え、テナント料を払い、またスタッフも雇って、あれだけの低価格の商品を売ることでお店を存続させていくのは、並大抵のことではないとも思われ、ただ、パリのBHVにも出店しているという、そのブランド自体のイメージの格付けを上げるような目的のためで採算度外視してもよいのなら、あり得ることかもしれません。

 このSHEINのフランスでの物理的な店舗の展開については、やはり、同業他社の小売業からは、すでに悲鳴も上がっており、フランス全国衣料連盟(FNH)も同様に憤慨し、「1860年創業の老舗でパリを代表する百貨店でもあるBHVのような店が、ファッションの最悪な商品に頼ることに同意していることは、とても残念なことで、想像力とプロ意識の欠如を露呈している」とまたシビアな意見を発表しています。

 また、この件に関しては、パリ市長も「パリは略奪的な多国籍企業の安易なショーケースになるつもりはない!」全面的に反対の意見を公表しています。

 今回SHEINがオープンする店舗のひとつでもあるリモージュ市は、プレスリリースでこの店舗のオープンに対しては、強く反発し、反対の署名運動まで開始されています。

 今後、ますます大論争が盛り上がりそうなフランス国内でのSHEINの店舗展開は、まだまだフランスのファッション業界に激震を起こし続けそうな気配・・11月にBHV内の店舗がオープンしたら、見に行って来ようと思います。


SHEIN フランス国内の百貨店に進出


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2025年10月3日金曜日

子どもを性的虐待から守る新システム正式稼働開始 子どもに関わる仕事に携わる人が提示しなければならない証明書

  


 すでに政府により、2024年9月から6つの県で試験運用され、2025年3月からは他の23県でも運用が開始されている「児童との就労に危険とみなされるプロファイルの特定」により、子どもを性犯罪者から守るシステムが10月1日から正式にスタートしました。

 これにより、幼児・児童に関わる仕事に就労する(ボランティア等も含む)ためには、採用時および、その後、定期的にこの「優良証明書(Attestations d'honorabilité)」の提示が義務付けられます。

 具体的には、この証明書は、当該者に犯罪歴がなく、性暴力犯罪加害者自動登録簿(FIJAIS)に登録されていないことを証明するもので故意に就労を妨げるものではなく、子どもを犯罪・特に性加害、性暴力から守ることを目的としています。

 フランスでの求人に応募する場合、児童に関わる仕事ではなく、一般の企業であっても、犯罪歴がないことを証明する証明書の提出を求められる(これもオンラインで簡単に取得できるようになっています)ことがありますが、今回のシステムでは、児童施設等の子どもと関わりのある仕事に就労する場合には、この証明書(子どもと共に過ごすことが不適切と考えられるような犯罪歴等がないこと)の提示が義務付けられるようになるということです。

 この証明書発行のためのオンラインプラットフォームが既に稼働を始めており、試験運用も含めて、これまでに34万2000件の証明書を発行しているということで、このうち、1,700人以上の申請者が証明書の発行を拒否されており、そのうちの80%が児童保護の仕事に従事していたという恐ろしい事実も明らかになっています。

 DGSC(児童社会サービス総局)は、この証明書の発行が拒否された就労者に関しては、雇用主は、「個人的な理由による解雇手続き」を行わなければならないとしています。

 このシステムは、児童保護サービス(ホームスタッフ・ファミリーアシスタント)および幼児ケアサービス(保育士・チャイルドマインダー)に勤務する専門家とボランティアもスクリーニングを受けることになります。

 この制度は教育者、家族介護者、保育士だけを対象としているわけではなく、性暴力のかなりの割合が未成年者によって行われることもあるため、家族介護者の家庭で暮らす13歳以上の青少年もスクリーニングの対象になっています。

 また、児童性的虐待画像を所持していたことにより、有罪判決を受けた者も多く、これは、特にこの類の画像を所持している者が実際の虐待行為に及ぶ確率が高いためと説明されています。

 このシステムで全ての性暴力から子どもを守り切れるものではないとは思いますが、特に再犯率が高いと言われる性暴力に関する犯罪から子どもを守るには、必用なスクリーニングではないかと思われます。

 また、児童養護施設などに関しては、家庭環境に恵まれない子どもが集まっているために、擁護施設であると同時に、悪質な人物からターゲットにされやすい場所にもなりやすい場所でもあるため、そのような場所での就労者のスクリーニングは慎重に慎重を期すべきであるのではないかとも思われます。

 国立児童保護庁もこの制度は、とても有意義であると説明しています。

 

児童に関わる仕事に携わるための証明書

 

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2025年10月2日木曜日

自分への判決に対して司法を批判したサルコジ元大統領を約20人の弁護士が告訴

  


 「2007年の大統領選挙運動資金をリビアから調達することに関する共謀罪」で懲役5年の実刑判決を受けた二コラ・サルコジ元大統領は、この判決直後から、この判決に対する批判意見を表明してきました。

 元大統領という立場の者が懲役5年の実刑判決という衝撃に世間は大いに注目し、また、彼の発言に同調する者も多く存在し、彼の発言がフランスの司法制度への反発の動きを盛り上げてしまうことに繋がってもいるようです。

 サルコジ氏としては、自分は無実だ!こんな判決は承服しかねると、反論を表明するのは、ある意味、理解できることではあるものの、実際には、この一部の世論の盛り上がりが、この裁判における裁判長への殺害予告などの脅迫などに繋がっていることも見逃せない事実でもあります。彼の発言は裁判官に対する憎悪を増長させているところがあるのです。

 この殺害予告に関しては、すでにパリ検察庁が2件の捜査を開始しています。

 今回の約20人の弁護士によるサルコジ氏に対する告訴状は、特に先週の日曜日のJDD誌に掲載された彼の発言に対してのもので、主には、「自身の有罪判決が法の支配のあらゆる限界を侵害している」と述べている部分、また、「自身に対する訴訟を法の支配に著しく反する行為」としている部分、そして、「嘘、陰謀、侮辱(判事からの侮辱)に屈しない」としている部分について問題にしています。

 原告側は、「これらの発言は、二コラ・サルコジ氏が控訴を表明している裁判所の判決に対する単なる批判と見なすことはできない。司法制度の信用を故意に失墜させる行為であり、司法の公平性と独立性に対する国民の信頼を弱める可能性が高い」とし、サルコジ氏を法廷侮辱罪と司法の権威を毀損した罪で告訴しています。

 誰もが裁判所の判決を批判する権利を持っており、サルコジ氏にも自己弁護の権利があります。しかし、限界がある。彼の司法制度に対する露骨な攻撃を放置することはできないと告訴した弁護士は語っています。

 訴状には、「二コラ・サルコジ氏の言語道断かつ危険な発言は、私たちの業務とイメージに物質的にも精神的にもダメージを与えている」とあります。

 また、サルコジ氏は元大統領という立場であるとともに弁護士でもあり、自身の発言の重大性とそれが世論に及ぼす直接的な影響がいかばかりであるかということは、自身が承知していることは、言うまでもありません。

 すでに懲役5年の実刑判決を受け、その他にも複数の裁判を抱えているサルコジ氏、またひとつ裁判が増えたところで・・というところなのかもしれませんが、現在70歳の彼の残りの人生は、裁判に明け暮れることになるのかもしれません。


20人の弁護士がサルコジ氏を告訴


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2025年10月1日水曜日

フランスでは医師に対する暴力が急増している・・

  


 全国医師会協議会(CNOM)の報告書によると、2024年には、約2,000件の医師に対する暴力事件が報告されており、これは、1年で26%増加という数字、特に2021年以降の3年間を見ると、95%増となっており、確実に懸念されるべき増加の傾向を顕著に示しています。

 これらの暴力事件の影響を最も受けているのは、一般開業医で事件報告数の約4分の3(63%)を占めています。しかし、実際に被害を訴える医師は少ないのが現状となっているようです。ということは、実際の暴力事件の数は、これを遥かに上回る数字であるということで、これは深刻な状況であると言えます。

 暴力は現在、都市部、地方都市にかかわらず、多くの専門分野とあらゆる診療現場にも影響を及ぼしています。

 この患者(あるいはその家族などの同伴者)の暴力行為の原因は、「治療に関する非難(32%)」、「処方箋の拒否(17%)」、「待ち時間や予約時間の長さについて(8%)」などが挙げられていますが、近年は特に処方箋や証明書などの偽造が著しく増加しており、事例の4分の1を占める結果となっています。

 また、医師に対する暴力には、様々な形態があり、最も多く見られるのは個人的な暴行であり、暴言や脅迫(61%)、窃盗または、窃盗未遂(8%)、身体的暴行(5%)などが挙げられています。

 医師に対する暴力が急増している背景には、特にパンデミック後に急増している背景から考えるに、このパンデミックという時期を境に、社会的にも経済的にも精神的にも鬱屈したものが沸々と湧き出している感があり、医師が不満の受け皿になっていると見ることもできます。

 ただでさえ、医師不足が叫ばれている世の中で、こんな暴力事件に巻き込まれるとなれば、さらに医師は不足し、医師が不足する事態は、さらに事件を増加させる原因になりかねない負のループを辿ることに繋がっていきます。

 私個人の立場から考えると、かかりつけのお医者さんはもちろんのこと、ここ数年で、今まで行ったこともなかった専門医にも診てもらう機会が増え、なかば自分の命を預けているような存在の人々で、このような人々に対して、暴力行為など思いも拠らぬことで、また、私がお世話になっているお医者さんたちがこのような目に少しでもあっているとしたら、絶対に許せない思いでいっぱいです。

 しかし、世の中におきている事件や現象などを見るにつけ、明らかに、不安定で奥底には怒りが潜んでいるようなことが多い気がするのは、辛いことです。

 また、この全国医師会協議会(CNOM)の報告書では、「この医師に対する暴力事件の増加は一時的なものではなく、永続的な現象になりつつあり、このような現象は、医師業界全体にとって構造的な問題となっている」と指摘しています。


医師への暴力事件急増


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