2023年1月3日火曜日

クロアチアがユーロ圏になった 自国で通貨がかわる体験

  


 2023年1月1日からクロアチアが自国通貨としてユーロを採用し、ユーロ圏20番目の加盟国となりました。固定換算レートとして1ユーロ=7.53450kn(クーナ)に設定されています。

 フランスがフランスフランからユーロになってから、もうかなりの時間が経ちましたが、今でも、その時の混乱と動揺とインフレの様子を覚えています。

 海外旅行でもしない限り、通貨が変わるということは、滅多にないことで、海外旅行をしたときに、なんとなく金銭感覚が麻痺してしまうような感じで、自国?にいながら(同じ国にいながら)、通貨が変わることは、なかなか混乱することでもあり、今でも、その時の換算に使った 6.55957という数字は私の中に刻みこまれています。

 フランスフランからユーロになった時は、1FRF=0.152449 ユーロと設定されていたので、当然、それまでのフラン表示の数字よりもかなり少ない数字の金額になったため、なんとなく、高くなっても高くなっていないような感じがして、そのうえ、便乗値上げされるものもけっこうあり、そのたびに 6.55957をかけて計算していたので、今でもその妙な数字が記憶に残されているのです。

 わりと私がフランスに来て、そんなに経っていなかった頃なので、ようやくフランスフランになれたばかり、また通貨が変わるとなって、なんか、ここのところ、私は2年ごとに通貨が変わっている気がするな(その前はCFAセーファーフラン、その前は日本円、その前はポンド)・・などと思ったものでした。

 新しいユーロの通貨が出回ると、その新しいお札やコインも物珍しくて、新しいお札は何となく安っぽく感じられると同時にちょっとワクワクする感じもあったりで、今から思うと不思議な感覚でした。通貨が変わるタイミングには、偽札もずいぶん出回っていたような記憶があります。

 しばらくは、価格表示もフランスフランとユーロの両方を表示されるようになっていましたが、金銭感覚がつかめない、つかみにくいというのは、なかなか煩わしいことです。

 それでもユーロ通貨はしばらくして慣れましたが、結果的にユーロになったことで、後から考えるとあの時にずいぶん物価が上昇した気がします。

 しかし、旅行をするにも私などは、たいていヨーロッパ内か日本にしか行かないので、特に両替の必要がなく、直近(といってもずいぶん前になりますが)に旅行のために両替したのは、奇しくも、クロアチアに行った際のクローネで、旅行をするのに両替が必要な国はめんどくさいものだ・・と思った記憶があります。

 今となっては、フランスにいても、あまりユーロの現金は使わないので、今ならユーロ圏以外に旅行するにしても、きっとほぼ両替はしないと思いますが、やはりカードが使えない場合を考えて多少はしなければなりません。

 クロアチアがEUに加盟したのは2013年ですが、それ以来、できるだけ早く通貨をユーロに切り替えたいと言っていたにもかかわらず、結局10年が経過しています。

 しかし、フランスがフランスフランからユーロに変わるのとは、少々事情が違ったようで、クロアチアの多くの中小企業はEU加盟前にユーロ建ての負債を抱えており、クロアチア人はすでにほとんどの貯蓄と多くの日呼応式な取引にユーロを使用していたと言われており、不動産、自動車、宿泊施設の価格のほとんどがユーロ建てで表示されていたというので、すでにクロアチア人はすでにユーロでの金銭感覚を身につけているのかもしれません。

 通貨の感覚というのも不思議なもので、フランスにいれば、ユーロ建ての金額で同じ商品でも、なんとなく、これは安いとか、高いとか感じるし、日本に行けば行ったで、日本の商品を日本円建ての金額でこれは安いとか、高いとか感じてなんとか金銭感覚を保っているのですが、日本に行ったときは、特に外食をしたりするときは、ユーロに換算すると、恐ろしく安くて嬉しくなるのですが、逆にパリでラーメン屋さんに行ったりするのに日本円に換算するのはご法度です。

 ユーロ通貨は昨年20周年を迎え、紙幣を改革する意向で2024年には、新紙幣が発行される予定になっています。最初のユーロ通貨が導入されたときには、創設者たちは、国同士の争いやエゴを避けるために、架空の橋や存在しないゴシック様式の窓などの理論的なシンボルを使うことを選び、既存のモニュメントや著名人を避けたと言われています。

 来年には、新紙幣が発行されるのは、ちょっと楽しみでもありますが、実際には、現金自体をほとんど使わなくなっている今、そんなことやる必要あるのかな?とも思ってしまいます。

 

クロアチア ユーロ


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2023年1月2日月曜日

大晦日のシャンゼリゼの年越し花火に100万人

 


 シャンゼリゼのカウントダウンの花火は、2年ぶりということで、当初のパリ市の見込み50万人を大きく上回るどころか、倍の人出で公式発表100万人の人出となりました。

 おととしのシャンゼリゼは、イルミネーションはあったものの、後にも先にもこんなことはないくらいの静けさで、観光客というものがほぼいないパリで、しかもシャンゼリゼの沿道の飲食店などは、すべて営業停止状態で、これほど人のないシャンゼリゼのクリスマスはないだろうと思うとそれはそれで貴重な気分でシャンゼリゼを歩いた記憶があります。もちろん花火もなし。

 そして昨年は、少しずつパリに観光客が戻り始め、飲食店なども営業を始めたものの、オミクロン株による感染拡大で、クリスマスと大晦日の日を除いて、夜間外出の時間制限などもあったりで、感染防止のために花火は中止されていました。

 そんなわけで、今年のシャンゼリゼのカウントダウンの花火は2年ぶりということもあり、花火そのものよりも、その人出のすごさに驚かされるほどで、100万人と聞いて、私などは、シャンゼリゼは100万人収容?可能なのだろうか?などと思ったほどでした。

 多分、初めて凱旋門やシャンゼリゼを訪れた人は、想像以上の大きさに驚かれることと思いますが、その凱旋門の大きさとバランスのとれたシャンゼリゼの大通りも、歩道を含めてなかなかなダイナミックな道幅の広さで、凱旋門からコンコルド広場までの距離もけっこうあるので、100万人と言われれば、それも可能なのかな?とへんなところでひっかかったりしています。

 常日頃から、パリでのメトロやバスなどを見ていると、フランス人は、人と人との間隔を詰めるということが非常に下手で、特にバスなどは、外から見ていると、もうちょっと詰めてくれれば、まだ乗れるのに・・などと思ったりしますが、早々に「あ~ムリムリ!」と言って、後から乗る人のために詰めてくれるということはありません。

 今回のシャンゼリゼの人混みを見ていると、そんな日常を送っているフランス人からしたら、信じられないくらいのギューギュー詰めで、セキュリティーも相当厳しかったようですが、かなり、ギチギチの詰まり具合で、人が将棋倒しになったりする事故が起こらなかったことが不思議なくらいです。

 花火自体は、2023年を迎える10秒前のカウントダウン、つまり午前0時10秒前から始まりますが、早い人は、夕方17時頃から並んでいたという人もいて、6時間以上も待っていたことになります。そのガッツもすごいです。

 幸いにも、大晦日の夜のパリの気温は11℃という温かさ、真冬にしたら、かなり温かいこの気温も花火の人出をいっそう増やしたような気もします。

 シャンゼリゼのカウントダウンの花火には、海外からの観光客や地方から訪れる人も少なくなく、テレビのインタビューなどにもかなり興奮気味に答えていて、誰もが「世界一美しいシャンゼリゼ!」を臆面もなくというか、何のためらいもなく口にするのには、別に異論があるわけではありませんが、これだけ「世界一!」を皆が連発しているあたりもフランスらしいな・・とも思ったりするのでした。




 しかし、凱旋門を中心としたシャンゼリゼは美しくデザインされた街で、正直、花火自体は、日本などには、おそらくもっと素晴らしい花火がありそうだと思いながらも、その街全体の絵としたら、ちょっと反則的に美しさを引き立てています。

 ライトアップされた凱旋門にレーザー光線まで使い、街路樹のイルミネーションにシャンゼリゼを埋め尽くす人が携帯を掲げて撮影している光がまるでペンライトのように輝いて、彩りを添えています。




 「年忘れ」という言葉がありますが、この100万人に埋め尽くされたシャンゼリゼの光景を見ていると、パンデミックも戦争などという問題を抱えている現状を忘れそうになる感じもあります。

 しかし、こういう瞬間に皆で喜びを分かち合うということも、おそらく大切なことで、少なくとも、とりあえずは、不安要素が残りつつも、コロナウィルスに関してはある程度、落ち着きを見せている今、2年間の花火中止期間を経て、やっと花火を楽しめるときを迎えたということで、喜びもひとしおだったのではないか?と思っています。

 それにしても、この100万人、マスクは持ち込み禁止であったのでは?と思ってしまうくらいマスク率、限りなくゼロに近いです。

 

シャンゼリゼ年越し花火


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2023年1月1日日曜日

年末恒例の大統領の演説に2023年もデモ激化の予感

  


 もう今となっては、はるか昔の話になりますが、日本の大晦日の夜には家族で紅白歌合戦を見ながら、年越しそばを食べたりしていましたが、フランスでは、特にここ数年、私にとっては、大統領の演説を聞くのが大晦日の恒例行事?となりました。

 特にパンデミック以来、大統領が出てきて、うやうやしく、時にはやたらとエネルギッシュに演説を行う機会は増えた気がしますが、一年を振り返りながら、来年あるいは、それ以降への展望を語る大統領の演説は、他の機会とはまた趣を異にする感じもあります。

 今年のマクロン大統領の年末の演説は、なにかギラギラした感じがなく、執務室を背景にしているあたりも、演出感がありますが、落ち着いた雰囲気で比較的、淡々と語っている感じがしたあたり、その内容とのバランスを考えているのかもしれません。

 この撮影場所ひとつをとっても、通り一辺同ではなく、いつも演出が感じられるところは、フランスらしさを感じます。

 「この年末の演説をするのは、今回で6回目になります・・」と挨拶を始めた彼は、その後、「世界の様々な出来事から、わたしたちはいくつもの危機に脅かされていますが、私たち国家の団結と連帯によって、これらに立ち向かってきたと同時に、今後もこの団結と連帯、集団的能力をさらに強固にしていきたい」と話を始めました。

 また、行く年を振り返り、「このような状況の中でも、フランスは、2つのノーベル賞を受賞し、また、文化、スポーツにおいても素晴らしい場面をいくつも分かち合い、我が国にとって芸術、文化、スポーツに影響を与えた年であり、このフランスの自信と誇りを保ち続けましょう」と語るあたりは、少し前のサッカーのワールドカップでのマクロン大統領自身の熱狂ぶりや、また惜しくも決勝戦に敗れたチームを国民全体で讃えるようなコンコルド広場で選手を歓迎するために集まった驚異的な場面を思い浮かべます。

 そして、話題は、少しずつ具体的な課題に突入していきますが、エネルギー危機により叫ばれている電力供給の問題については、節電を続け、原子力発電所を再稼働させれば、停電は避けられると断言したのです。

 そもそものエネルギー危機もありますが、原子力発電所が充分に稼働していなかったことも今回の大きな問題のひとつで、原子力発電所の恒久的な整備は重大な課題でもあります。

 また、歴史的な水準に達しているエネルギー価格については、わが国では価格の上限を維持すると付け加え、明日から、エネルギー価格の高騰の影響をもろに受けている企業に対する追加の適応援助を約束しました。

 コロナウィルスに関しては、わが国の対応は概ね成功してきているとし、ワクチンの有効性が顕著に証明されてきており、必要な人々の追加接種への呼びかけを行いました。

 現在、問題視されている中国の感染急拡大についても、1月から中国からくる飛行機で来仏する人々に対して、検査や分析を行いながら、国境管理をしていくことを述べました。

 そして、最も物議を醸しそうな年金問題について、「今年はまさに、今後数年、数十年にわたって制度のバランスを確保することを目的とした年金改革の年になる」と述べました。

「キャリア延長は10年近くかけて段階的に、かつ公平に行う」とし、個別のケースを考慮することを約束しました。これによって、我が国の老後の資金調達のバランスを取り、最低年金を改善し、子供たちに公正で堅実な社会モデルを引き継ぐことができるとし、「困難な時代の新たな章」に立ち向かうのは、国の柱の多くを再建するという重荷を背負った私たち次第であると説明しています。

 国の財政問題の詳細はわかりませんが、マクロン大統領のいうことは、つくづく、ごもっともなことばかり、とはいえ年金問題に関しては、かなり強烈に反応するフランス人のこと。

 この年末のマクロン大統領の演説は、ともすると、他の部分はすっとばして、年金改革強行宣言ともとられかねない感じもあり、また、2023年もデモが絶え間なく続きそうな予感がしています。


マクロン大統領演説


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2022年12月31日土曜日

すべてを吹き飛ばしてやる! パリ・モンパルナス駅で爆破騒ぎ

  


 年末も押し迫ってきて、今年も残りわずか1日と迫った日、パリ・モンパルナス駅で、よもや爆破騒ぎ?と思われた騒動が起こりました。

 30日金曜日の朝、モンパルナス駅で2人のガスボンベを持った男たちが「すべてを吹き飛ばしてやる!」と騒ぎを起こし、駅構内を警備にあたっていた警察官により逮捕されました。

 この年末のモンパルナス駅は、新年を家族とともに過ごす人々やバカンスに出たり入ったりするパリの大きな窓口の一つになっている駅で、新年のストライキがどうにかおさまったと安堵していたパリジャンを震撼とさせるで事件でした。

 パリ警察によると、一人は51歳のフランス人、もう一人は29歳のリビア人のホームレスだということで、彼らはキャンプ用の9本のガスボンベを持っていたということでしたが、当然、身柄を拘束するまでは、何を所持しているかを確認することは不可能で、年末のモンパルナス駅には、パリ市警の中央研究所から地雷除去隊が派遣されるほどの大騒動になりました。

 パリでは、つい先日、クルド人文化センターを銃撃される事件が起こったばかりで、「すべてを破壊してやる!」と二人の男が駅で騒げば、よもや凶悪テロ?と緊迫状態になるのは、必須のこと。

 実際には、点火装置もなく、ガスボンベだけを持っていたということは、まるで無計画でと言えないところもありますが、点火装置もないのでは、計画的犯行としては、あまりにお粗末で、事件当時、彼らは酒に酔った状態で、精神的に脆弱している状態であったということで、組織的かつ計画的な犯行ではないものと見られていますが、身柄拘束後もこの年配の男は自爆の意思があったことをあらためて表明しているということです。

 この二人の男は警察もノーマークだった人物で、グループなどの組織的な犯行とは考え難いものの、この人の往来の激しいお祭り騒ぎの季節に楽しく浮かれている人が多いと同時にそんな雰囲気に反発を感じている人も一定数いることも事実。

 毎年のように年末のカウントダウンとともにフランスでは、必ず車が燃やされる事件が勃発しますが、その前によもや駅を爆破しようと考える人がいても不思議なことではありません。

 しかし、今回は、キャンプ用ガスボンベ9本という駅を爆破するにしては、お粗末な装備で、事なきを得ましたが、内務相は、このバカンス期間、パリ市内の大きな駅では、警備を強化するよう要請しています。 

 無事に年が越せますように。

 

モンパルナス駅


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2022年12月30日金曜日

師走のパリは観光客が意外と多い

 


 私としたことが、クリスマスあたりから、熱を出したり、おなかをこわしたりと、そんなに重症ではないものの、体調を崩して、比較的、おとなしく暮らしていました。

 とはいえ、体調を崩す前まではクリスマスマーケットをのぞいてみたり、ノエルのデコレーションを見に行ったりとパリのクリスマスの華やかな街並みは、ひととおり見て回って,クリスマスを一応楽しみました。

 クリスマス前のパリはイルミネーションだけでなく、人々の雰囲気もなんとなく華やいでいて、どことなくウキウキした様子が伝わってくる感じで盛り上がりを感じられましたが、しばらく、おとなしくしていて、久しぶりに街中に出たら、なんとなく、師走とか、年の瀬という感じはイマイチで、やはりパリはクリスマスの方がメインなのだな・・と感じました。

 しかし、なんとなく、街中にいる人がいつのまにか、けっこう入れ替わっているというか、パリの住人はけっこうバカンスに出ているのか、なんとなく、いつもはいない人々がけっこういる雰囲気で、この時期は、フランス国内からも海外からも観光客が多い時期なのだと、今さらのように思わせられました。

 思えば、昨年のクリスマスの前後は、オミクロン株が登場したばかりの頃で、感染者数もうなぎ上りだった時期なので、少しでも外出すれば、とたんに感染者追跡アプリからアラートが入り、「あなたは感染者と接触しているので検査をしてください」というメッセージが来るので、もうちょっと外出するのもウンザリするほどで、すでに観光客は少しずつ入ってきてはいたものの、例年のようには、戻っていませんでした。

 昨年の年末年始にかけては、本当にフランスはものすごい勢いの感染者数をたたき出していたので、体感的な感覚では、2人に1人は感染している・・そんな感じでした。

 そんな感じだったので、冬のこの時期のパリの観光客というものを久しぶりに目の当たりにして、この時期もこんなに観光客がくるものだったんだな・・とこの2~3年のブランクを経て、あらためて思い出した気がしたのです。

 観光客には、比較的、敏感に対応するのか? いつもは、こんなところに焼き栗を売っている人はいないのに・・と思ったり、平日の昼間なのに、こんなに人がいるの?と思ったり、また、メトロの中などは、比較的マスクをしている人がいるのに、観光客らしき人々に限って、マスクをしていない人が多かったり、けっこうマナーが悪かったり、観光客ってこんなだったっけ?とちょっとビックリするやら、がっかりするやら・・。

 パリの住民は自由でハッチャケているようでいて、それなりの秩序を保っているんだな(そうではない場所もあるけど・・)と思ったり、なんとなく、いつもと違う街の様子にすっかり人あたりしたのか、再び体調が悪くなり、なんか再び熱が上がってきた感じて、寒気までし始めたので、ちょっとギョッとして、今、お医者さん、ストライキやってるのに、ヤバい・・とちょっと買い物をしただけで、早々に帰宅したのでした。

 帰り道のバスの中で、まさか・・いやいや一応、確かめておいた方がよいと思い、とりあえずコロナウィルスの検査をしようと薬局に寄ったら、医者のストライキの影響かどうかはわかりませんが、薬局はえらい混雑していて、早く帰って横になりたいところ、行列にならぶハメになりました。




 幸い、コロナウィルスは陰性でしたが、しばらくはおとなしくしていようと思います。

 しかし、忘れていたパリの観光客、パリの観光収入は決して侮れないものであることには違いなく、今回、中国での感染爆発に際して、日本をはじめ、イタリアやインドなど、中国人の入国者には、検査を義務付けるなどの対策をいち早くとっているにもかかわらず、フランスは「今回の中国の感染急増は今のところ新しい変異種によるものではない」という理由から、特段の措置には踏み切っていないようで、少しでも観光客を逃したくない様子が透けて見える気がしています。

 しかし、欧州内での検討会ののちに、結局は、フランスも1月1日以降、中国からの入国に関しては、機内でのマスク着用や検査を求めることを決定しています。


パリの観光客


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2022年12月29日木曜日

日本人のパスポート保有率の低下に思うこと

 


 つい最近の外務省の発表によると、日本人のパスポート保有率が大幅に減少して20%を割り、19.1%にまで減少したというニュースを聞いて、かなり驚いています。

 前年比58.4%減・19年比88.2%減という大幅な減少は、間違いなくパンデミックでの渡航制限で、世界的にもかなり最近まで日本の水際対策が厳しく、気軽に海外旅行ができない状況であったことによるとは思いますが、そうこうしている間に今度は、航空運賃が爆上がりして、とても海外旅行などしていられなくなってしまったことがさらに追い打ちをかけたようで、海外旅行はますます、遠のいてしまったのかと思います。

 わざわざ海外に行かなくても、日本国内でもたくさん美しい場所はあるし、国内旅行(日本)もいいじゃんいいじゃん!とも思いますが・・。

 私は、長いこと海外生活なので、パスポートなしの生活は考えられず、海外で生まれた娘にいたっては、出生届を出すのとほぼ同時にパスポートの申請をしたので、生まれてこの方パスポートを持っていなかった期間がほとんどないくらいで、我が家にとっては、パスポートはかなり身近な存在です。

 特に子供の場合は、パスポートの期限が5年間と短いので、二十歳になるまでに4冊のパスポート、成人してようやく10年のパスポートになりました。

 最近、世界の情勢は不安定で、いつどこで、どんなことが起こるかわからない状況で、海外に住んでいると、少なくとも私の場合は、フランスにいた方がいいのか、日本にいた方がいいのかと考えることも増えました。

 少し前にロシアで部分的動員令が発令された時に、動員を逃れて国外に脱出しようとした人々の中で、パスポートがなくて断念した人も多かったという話を聞いて、今やパスポートは単に旅行だけでなく、もはや緊急時に国外に避難しなければならない時のためということもあり得ないことではない時代なのだとも思いました。

 日本はロシアとは違いますが、いつ何が起こるかわからないという意味では、日本とて、100%安心な国であるわけでもありません。そんなときのためにもパスポートは常に用意しておくことは、必要なことなのではないか?とも思っています。

 かなり昔に母がどこかにセカンドハウスを探していた頃に、祖父まで動員して、土地探しをしていた時に、戦争体験のあった祖父が、「まさかの時の疎開場所としてもいいかもしれない・・」などと言っていたことがあり、その時は、「なに言ってるの?そんなこと・・おじいちゃまは変なこと言うんだから・・」と笑っていた私ですが、今の時代に置き換えてみると、「そういう場所があったらいいかもしれない・・いや、彼の言っていたことは、ぜんぜん、おかしくなかった・・」とぼんやりとでも思うのは、今の時代が実に不安定で何が起こってもおかしくないようなそんな時代に突入しているということだと思います。

 フランスは、パスポートはなくてもIDカードがあればEU圏内の移動ができるので、必ずしも日本とは同じではありませんが、少なくとも日本は島国で、外国に出るには、パスポートなしということはあり得ません。(ヨーロッパなどの場合は知らないうちに国境を越えていたなんていうこともある)

 現実的には、命からがら海外にまで避難するということは、あまり想像がつきませんが、とりあえず、すぐに使う予定はなくとも、とりあえずパスポートを持っていた方がいいような気がするのです。備えあれば憂いなし・・です。

 日本のパスポートは世界最強のパスポートとも言われている優良パスポートですが、こんなに持っている人が少ないなんて、残念なことです。日本は何かと内向きな国と言われますが、とりあえず旅行でもいいから、実際に自分の身を海外に置いてみるということも、少なからず、違った目で日本を眺めるうえでも貴重な体験です。

 聞いている話と実際に自分の目で見るというのは、大違いです。

 海外も行きなれていないと、いざというときに、一時的にでも、海外に避難するのも難しいかもしれません。

 実際には、日本からフランスへは避難するにしては遠すぎるかもしれませんが、日本にいる家族が私の今のフランスの住まいをまさかの時の避難場所にしうることがあるかもしれないなどとまで、最近の私は考えてしまうこともあるのです。

 海外にいるときは、「パスポートは命の次に大事」などと言われ、実際に海外で生活しつづけている私にとって、パスポートがない状態というのは想像もつかなくなっていますが、日本に住む日本人は、大多数の人がパスポートを持っていないということが逆に不思議な気もしてしまうのです。

 もっとも、高齢者の割合が多い日本だと、もう海外旅行は無理・・という人も多いだろうし、高齢化もこのパスポート保有率の低下の一因なのかもしれません。


日本人のパスポート保有率


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2022年12月28日水曜日

中国での感染拡大の一因と見られているオミクロンBF.7 中国をどこまで警戒すべきか?

  


 パンデミック開始以来、「ゼロコロナ対策」として厳しい規制措置をとっていた中国では、12月初旬に強い反発のデモなどが起こったことから、規制措置を緩和し始めていました。ところが、この緩和措置とともに、中国では、再び感染が急激に増加しており、この感染急増の原因の一つとして、オミクロンの新しい変異種 BF.7が感染の大半を占めていることを挙げています。

 オミクロン BF.7は、5月中旬にベルギーで発見されたことを皮切りに、その後、インド、フランス、米国、英国、ドイツ、デンマークでの感染が確認されており、今月初めに北京での感染の主流になったことがわかっています。

 BF.7の症状は他のオミクロン変異種と似ており、主に上気道を侵し、発熱、咳、喉の痛み、鼻水、疲労感に加えて、嘔吐や下痢などの症状も報告されています。

 このオミクロン BF.7ゲノムのスパイクタンパク質変異は、中和抗体を回避する能力を備えているために感染力が強く、懸念されるところではありますが、重症化に対しては、ワクチンは有効であると言われています。

 しかし、この中国の感染急増は、なにせ人数が多いだけに、世界的にも少なからず影響を及ぼすであろうとも見られており、また、このタイミングで中国政府は規制緩和を機に感染者数や死亡者数の発表を停止してしまったことが、またこの感染拡大の状況把握を複雑にしています。

 もともと中国政府の感染者数の発表などは、フランスでは信憑性に欠けるものとして、あまりあてにはしていない感じもありますが、ファイナンシャル・タイムズ紙などによると、12月に入ってからの20日間で中国では2億5000万人がコロナウィルスに感染した(1日あたり1240万人)と報道しています。

 このような具体的な数字を中国政府が公表しないこと決めたのも疑問なうえに、中国当局は12月26日に、1月8日から中国到着時の強制検疫を終了することを発表しています。つまり、中国人の海外渡航が本格的に再開されることになります。

 しかし、フランスでは、中国では感染が急拡大して、死亡者も多く出ていて、遺体の処理が間に合わずに、霊柩車が長い列を作っていたり、棺が山積みにされているような映像が流されていて、中国の感染拡大がかなり深刻なものとして扱われているので、このオミクロン BF.7の危険性を感じずには、いられません。

 また、実際に感染力は強くても、重症化はワクチンで回避できる可能性が高く、また同じ変異種がすでにヨーロッパにも到達しているにもかかわらず、現在のところ、ヨーロッパでは、さほど重症化の数字が跳ね上がっていないのは、中国で行っているワクチン接種の種類が異なることや、回数も十分ないことが原因ではないかという見方もあるようです。

 しかし、ゼロコロナ対策はともかくのこと、この感染症が世界規模のパンデミックとなっている以上、その現状を公表せずに鎖国の扉を開けようとしているのは、納得がいかないことです。この感染症が世界的に広がってしまったパンデミックになってしまった以上、諸外国とも情報を共有しながら対策をとっていかなければならないことは、これまでの経緯を見ても明らかなことです。

 そもそも、最初の感染拡大を隠蔽したために、世界規模に拡大してしまったパンデミックです。同じ過ちを繰り返してほしくないと切に思うところです。


オミクロン BF.7  中国感染急増


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