2022年9月29日木曜日

パリでお気に入りの生ハム屋さん ヴィアンダス デ サラマンカ VIANDAS de SALAMANCA

 


 私は子供の頃から、断然、和食党だったので、特にフランスに来て、食事に期待はしていませんでした。むしろ、パリは日本食材を扱うお店が他の海外都市よりも多いので、そういう面ではありがたいな・・くらいに思っていました。

 しかし、それとて、どこででも簡単に手に入るわけでもなく、最近こそ、普通のスーパーマーケットでも日本食材は少しずつ置かれるようになり、お寿司などはどこのスーパーでも置いてあるようになったものの、そのクォリティーと値段のバランスはどうにも悪すぎて、とても食指がうごくものではありません。

 となると、日ごろ簡単に手に入るものの中で美味しいものを探し出すわけで、フランスで美味しいと再確認したのは、パンとバター・チーズ、チョコレート、ケーキ・・、そしてもう一つが生ハムです。

 生ハムは、日本でも食べたことはありましたが、私にとっては、あまり身近な食品でもなく、それほど価値を見出してもいませんでした。

 しかし、フランスに来て以来、目醒めてしまったのが生ハムで、シャルキュトリー(Charcuterie)と呼ばれるソーセージ、ハム、サラミ、パテ、テリーヌなどが食文化の大きな位置を占めるフランスで、このシャルキュトリーの中で私が最も魅せられたのは生ハムだったのです。

 普通のスーパーマーケットにも生ハムはたくさん置いてありますが、一旦、深みに入り出すとより美味しい生ハムを求め始めるのです。

 そして、その結果、現在のところ、私のお気に入りの生ハム屋さんは、サンジェルマンデプレにあるヴィアンダス デ サラマンカ VIANDAS de SALAMANCAというお店で、正確に言えば、これはフランスのお店ではなく、スペインの生ハム屋さんなのですが、ここは生ハム好きにとっては至福のスペース。



 お店の外からも見えるショーケースには、生ハムをふんだんに使ったサンドイッチに興奮させられ、店内に入ると、生ハムの原木が壁一面に広がる絶景が・・。

 


 もちろん、その場で切ってもらって買ってくることもできますが、あらかじめ切ってあって、真空パックになったものもたくさん並んでいます。

 嬉しいのはお店のお兄さんがとても親切で、いろいろ質問すれば、なんでも教えてくれることで、これは、普通生ハム用の豚ちゃんは、2歳の豚ちゃんで、それからの熟成期間が2年から2年半、3年ものがあるそうで、また豚の種類もイベリコ豚とイベリコ豚と他品種とのハーフ?もの・・なんていうのもあるそうで、また餌もベジョータ(どんぐり)を食べて育った豚ちゃんとそうでないもの、機械でスライスしたもの、手でスライスしたもの・・それぞれに全て値段も違います。

 


 午前中の比較的早い時間に行くと、準備中で食べ比べをさせてくれることもあります。色々あるグレードの中で、一体、どの程度違うものなのか? 一つ一つの生ハムについて、聞きながら、美味しいとはいえ、なかなかなお値段の生ハムに少しでも安くても美味しいものがいい!と思って、一番安いパックに「これは?」と聞いたら、「あぁ〜それは、サンドイッチ用だから・・」と軽くいなされ、「その言い方は、まるでサンドイッチ用は正規要員?として認められていないみたいじゃない!サンドイッチも十分に美味しいのに・・」と思ったのですが、試食させてもらってみると、幸か不幸か、明らかに味わいは格段に違い、これだけ違えば、やっぱり美味しいのが欲しい・・と納得させられてしまうのでした。

 高級食材にもかかわらず、このお店で他にお客さんがいなかったことはなく、何やら興奮気味にやってきたマダムが「もう、ここに来ると、全部欲しくなっちゃうわね〜」と言いながら、私のようにウダウダ悩むこともなく、「これとこれと、あれね・・」と言いながら、ポンポン買い物をしていくのも、場所柄かな?と思ったりもします。

 


 私もそんなに頻繁にここで買い物をしているわけではありませんが、しかし、近くに行けば、やっぱり覗きたくなってしまうお店なのです。

 ここの生ハムを買って来たときには、十分に味わうために、あらかじめ冷蔵庫から出して常温にしてお皿にならべ、集中して味わいます。風味、味わい、なめらかな舌触りともに最高で、あぶら身の部分でさえも決して捨てられない(むしろ、脂がおいしくて感動する)感動に包まれます。思わず目を瞑って、うっとりと味わってしまいます。

 ちなみにこの間、このお店に行った時もいろいろ生ハム話を聞いたあと、ちなみにここで一番高級な生ハムの原木は?と聞いてみたら、36ヶ月もののイベリコ豚(ベジョータ)で、1本1,000ユーロだそうです。

 1,000ユーロ・・と聞くと、まずは日本行きのチケット料金を思い浮かべる私ですが、「なるほど、今だったら、日本に1回行くよりずっと安いな・・」と思ってしまったのでした。

 

店頭にいる目印の豚ちゃん

⭐️VIANDAS de SALAMANCA   150 Blvd. Saint Germain 75006 Paris            


ヴィアンダス デ サラマンカ VIANDAS de SALAMANCA


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2022年9月28日水曜日

体調不良で一気にダウン・・インフルエンザかコロナか? まずはコロナの検査から・・

 

薬局内の一角にある小部屋の検査用スペース


 先週は、日本にいる娘がコロナウィルスに感染して、高熱が出たり、咳が止まらなかったすると聞いて、心配な1週間を過ごし、いざという時には、日本にかけつけようか?などと、私にしては珍しく、毎日、娘に電話をして、安否?の確認をしたりしていました。

 しかし、まあ、幸いにも彼女は順調に回復し、その間、東京都からの食糧支援物資などを送ってもらったり、何より、隣に住んでいる私の従姉妹が食事をピンポンダッシュのように届けてくれたりしてくれたようで、まだ全快とはいかないまでも、無事に隔離期間を終了し、ヤレヤレ・・どうやら、私が日本に出向くまでもないな・・と安心したところでした。

 それが、今朝、起きたらどうにも具合が悪い私、明らかに熱があり、頭も痛くて、全身がだるく、身体のふしぶしが痛くて、一気に病人になっていました。 我が家には、娘が料理用体温計・・などというわけのわからない温度計すらなく、ただひたすら横になっていたのです。

 具合が悪い時は、たとえ、横になっていたとしても、どうにも身の置き場のない感じがするもので、朦朧としながら、うとうとしていたのです。

 え〜〜??と思いましたが、仕方がない・・とりあえず、ドリプラン(フランスで最も一般的な解熱・鎮痛剤)を飲み、ビタミンCのタブレットを口に放り込んで、ひとまず。もう一寝入りすることに・・。

 数時間後に再び目覚めて、それでも、全く良くなった感じはなく、しかし、ふと、もしかしたら、これはコロナかもしれないと思い至りました。まさか日本にいる娘から感染するはずもありませんが、このところ、フランスも感染者数は上昇傾向・・まさか・・と思いましたが、体調が悪いのに出かけるのも辛いのですが、もし感染していたら、私がここ数日会った人に連絡しなければいけない・・と思い、重い身体を引きずって、隣の薬局へ。

 せめて、薬局が家のすぐ近くにあり、検査をすぐにしてくれることは救いです。

 フランスでは、現在もワクチン接種の証明書と国民健康保険のカードがあれば、予約なしに無料で検査をしてくれます。パンデミック以来、コロナの検査を受けるのは、4〜5回目くらいでしょうか?これまで陽性になったことは一度もありません。

 私は7月の段階で2回目のブースター接種をしているとはいえ、感染する可能性もありえるので、検査をしてもらいました。

 検査は数分で済み、15分後には、うやうやしく検査結果の証明書が携帯に送られて来ます。かなり正式な書面で、こんなのいちいち必要?と思いましたが、まあ良いです。

 検査をしてくれた薬剤師の人に「症状はあるの?いつから具合悪いの?」などと聞かれて、「今朝から・・」と答えると、もしかしたら、検査するのは、タイミング的にちょっと早いかもしれないから、数日経ってもまだ具合が悪いようだったら、もう一回検査をした方がいいかもしれないですよ!」と言われて、とりあえず、家に戻って結果を待つことに・・。

 以前に検査を受けた時には、感染者追跡アプリに「あなたは感染者と接触しています。すぐに検査してください」というメッセージがきて、検査をしたので、別に自分が具合が悪かったわけではありません。

 結果が送られて来て、その結果を見るのもけっこうセキュリティが頑丈で、別途送られてくるパスワードを入力しなければ、見れずに慌てている私にはもどかしい気持ちでした。

 結果は陰性で、ひとまず、ホッとしたものの、これが続けばまた検査か・・とちょっとウンザリしました。

 コロナではなく、インフルエンザなのかもしれませんが、もう少し時間が経たないとわかりません。

 先月に、インフルエンザのワクチン接種の招待状が来ていて、去年、ワクチンを打って、結構そのあとにしんどい思いをしたので、ちょっと躊躇っていた矢先のことです。

 年々、体力には自信がなくなっていますが、ここで、ガンと釘をさされた気分です。

 それにしても、今後も体調を崩すたびに、「えっ?もしかしたら、コロナかも?」と疑わなければならない時がまだまだ続くのかと思うとちょっとウンザリします。


コロナウィルス感染 インフルエンザ


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2022年9月27日火曜日

ドクターストップの制度にメスが入る リモート診療でズル休みが増えた

   


 フランスの病欠には、医師のドクターストップの書類があれば、3日間の待機期間を経て(何のための待機期間なのかは不明)4日目からは、病欠の間の日当が国民健康保険から補償されます。

 そのため、有給休暇を無闇にやたらに消化してしまいたくない人は、ズル休みのために、このドクターストップの制度を利用する人もけっこういるようです。

 もちろん、本当に深刻な病気で長期間病欠しなければならない時、また子供が病気の場合などにも子供の看病のためにこのドクターストップの書類を書いてもらうこともできます。特に病欠が長期間に及ぶ時などは、経済的にも生活が脅かされることになるし、無理して子供を置き去りにして仕事に行かなくても済むために、とても優しい人道的な制度でもあります。また、このあたりは、きっちりしていて、この病気のために休んだ日数は年金換算の際の日数からマイナスされないことに規定されています。

 しかし、やたらとこのドクターストップを安売りしている医者もいたりして、このズル休みの常習犯は、この書類を書いてもらうための医者をマークしていたりもします。基本的に雇用者は病名を問いただしてはいけないことになっているので、これはますます増長されてしまいます。

 そして、これが、さらにパンデミック以来、医者にわざわざ出向かなくても済むリモート診療(遠隔診療)が浸透し、また政府も感染対策の一環として、このリモート診療に関しても健康保険で全面的にカバーすることを決定し、このリモート診療が拡大するとともに、このズル休みのためのドクターストップをカバーするための保険申請が爆発的に増加し、昨年には、この金額はほぼ1億ユーロにまで達しています。

 わざわざ出向かなくてもよくなったために、ズル休みのための病欠のための書類を与えてくれる医者を見つけるまで、何度もオンラインで相談する人が増え、主治医(かかりつけの医者)以外が与える病欠申請が爆発的に増加しているのです。

 この現状を受け、政府は、「主治医(かかりつけの医者)以外のリモート診療による病欠申請には、健康保険は適用外になり、補償金は支払われない」ことになり、また、医者のサイドに対しても、「リモート診療が全体の診療の20%を超えてはならない」と規定されることになりました。

 このような弱い立場の人を援助するための社会補償金のような制度には、逆にそれを利用して利益を得ようとする人が登場するのは、ついて回ることではありますが、せっかくのこの社会補償制度、このような詐欺まがいのことをする人のために、制度自体がなくなってしまうことになっては、本末転倒です。

 医者が発行するこの病欠のためのドクターストップの書類だけでなく、医者の書く処方箋の場合は、広範囲で薬が保険適用でカバーされるため、先日は偽の医者の処方箋を作って大量に薬を手に入れて国外に輸出して儲けていたというグループが摘発されています。

 私の場合、もう現在の住まいに引っ越して来て以来、家族ともども歩いて1分のところにいる女医さんのところにかかっていて、リモートよりも気軽に診てもらっていて、もう色々と説明しなくとも、ほぼ自分の体質や既往症や家族構成、仕事などについてもよく知っていてくれるので、絶体の信頼を寄せているので、安心しています。

 専門医にかかるにしても、一度、彼女に診てもらって相談してから行くようにしているくらいです。

 ずいぶん前に、職場で転んで怪我をして足に血栓ができた時など、「そんなに仕事を休めない・・」と焦っていた私に彼女に、「あなた、死にたいの?」と怒られて、1ヶ月間の病欠の書類を書いてもらったことがありました。

 それにしても、もともと1ヶ月は優にバカンスをとるフランス人、それでも足りずにズル休み・・みんながみんなやっていることではありませんが、それにしても、そのための補償の金額が1億ユーロを突破するとは、やっぱり、そんなに少なくはないのかもしれません。


ズル休み ドクターストップ リモート診療 アレットマラディ


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2022年9月26日月曜日

パリのクラック(ドラッグ)常用者の溜まり場からの立ち退き要求デモ

  


 週末はいつも、なんらかのデモが行われていることが多いパリで、今回のデモは、クラック(コカインを含んだ違法薬物)の常用者の野営地の立ち退きを要求するデモが行われていました。約500人のデモ隊が、パンタンとオーベルヴィリエ(セーヌ・サン・ドニ県・パリ近郊)の通りを行進し、警察当局にクラック使用者の避難と保護を求めて、1年以上も放置されたまま泥沼化している事態を非難しました。

 クラックは特にここ数年で、爆発的にフランス国内で拡大しているコカインの一種(中毒性が高く、喫煙可能なコカインの派生物)で、比較的安価に出回っていることから、貧乏人のドラッグなどとも呼ばれています。

 パリ北部(19区近辺)のスターリングラードの広場は、いつの間にか、このクラックの聖地?のような状態に陥り、このクラックの売買や常習者の溜まり場のようになり、スターリンクラックなど皮肉な呼び名をつけられたりしていました。

 このスターリンクラックを解体させるかに見えた、この19区の溜まり場から、このクラック常用者が強制的に移動させられた先は、さほど遠くない、歩いて移動できるほどの距離のところ。

 結局のところ、問題になる場所を移動させただけで、根本的な解決には、全くなっておらず、移動先のこの近郊地域では、300人から400人の薬物中毒者が暴力を振るい、売春を行い、治安を乱し、地域の商店が衰退し、公道は荒廃し、治安は悪化し、住民が不安な状態に陥っている状態を招いています。

 このクラック常用者の野営地の強制移動に関しては、一時、我が家の近所が彼らの移転先に選ばれそうになったことがあり、突然のパリ警視庁からの一方的な決定の発表に地域の住民が猛烈に怒って、反発しはじめ、市議会も大騒ぎで署名運動などが始まり、私も「え〜〜どうなっちゃうの??」と不安になりましたが、どういうわけだか、案外、あっさりと市議会とパリ警視庁の話し合いで解決し、我が家の近所への移転の話はあっという間に立ち消えになりました。

 そんなわけで、私にとっても、なんだか今ひとつ、人ごとのような気がしなくなった、このクラック問題ですが、結局、あちこちの候補地をたらい回しになった結果、結局、すでに多くの社会的困難を抱える労働者階級の貧しい人々の居住区におしつけられることになっていたのです。

 今回のデモは前回、移転先をおしつけられた地域の人々がおこしているデモで、まことに最もな訴えで、パリ警察庁も「これまで取られてきた措置は十分ではなかった」ことを認め、このクラック常用者の溜まり場を決定的に解体することを目的に、クラック・コカインの売買と消費に対抗するための行動計画をすすめることを確約しました。

 「人権の国フランスが、どうしてヨーロッパ最大の麻薬現場を放置しているのか?」とデモ参加者が訴えているとおり、このフランスのドラッグ問題は長く続いている深刻な問題です。

 単にドラッグ中毒患者を退去させるだけでなく、彼らには治療が必要ですが、彼らを食い物にしている売人のグループは彼らを逃すことを許さないのです。売人と警察のいたちごっこです。またこの密売人はドラッグだけでなく、銃などの密売にも手を広げているということで、思わぬ発砲事件にまで発展したりもします。

 パリ警察は8月に入ってから24人の密売人を逮捕し、5つのクラック「キッチン」(製造所)が解体され、警視庁の計画はすでに成果を上げ始めていると発表していますが、この警視庁と麻薬の密売人のいたちごっこは、とりあえず、溜まり場の中毒患者を専門施設等に保護して、隔離するなどしなければ、永遠に場所を変えて続くことになります。

 よく、フランスのクズは限りなくクズだ・・などと言われますが、まさに、このドラッグにハマって野営地で生活する人々などは、まさに最底辺の人々。フランスは弱い人に優しい国だと思いますが、このドラッグ中毒の人に対しては、現状では、救いの手を差し伸べてはくれていないようです。

 違法薬物に関しては、販売人に対しては厳しいものの、常用者に対しては、緩いというか冷たいフランスの対応・・しかし、たまごが先かにわとりが先か?のような問答にもなりそうですが、売る人だけでなく、買って使う人も絶たなければ、解決はしないのです。


パリ クラック デモ


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2022年9月25日日曜日

日本の外国人観光客入国制限解除について

   


 日本の岸田文雄首相はニューヨーク証券取引所で、「10月11日から日本は国境管理を緩和し、再びビザなし渡航と個人旅行を可能にする」と発表しました。たしか、今年の5月の日本への入国制限緩和を発表したのも海外でのことで、G7のためにヨーロッパを訪問中、ロンドンのシティでの講演でのことでした。

 わざわざ、海外訪問中にこれを発表するというのは、世界に向けての発信力を意識してのことなのでしょうか? しかし、前回の発表はほんとうに肩透かしをくった感じの内容でした。

 というのも、5月の段階では、「G7(主要7カ国)並みに円滑な入国がとなるようにさらに緩和していく」「日本は今後とも世界に対してオープンだ」「みなさん日本にお越しください。最大限のおもてなしをします。」と宣言したにもかかわらず、実際には、全くG7並みの円滑な入国どころではなく、外国人に対しては、グループ(団体)での旅行のみという外国人からしたら、意味のわからない制限付き、個人旅行の場合は、ビザの申請が必要という状態で、日本へ行くという人の話は、ほとんど耳にすることはなくなっていました。

 フランス人からしたら、バカンスに行きながら、旅行会社の見張り付きなどということは、考えられないことで、この規制緩和を楽しみにしていた人も、「グループ旅行なんて、ありえない・・だったら、日本へは行かない・・」というフランス人の話も聞こえてきていました。

 パンデミック前の2019年には、日本は約3,190万人という過去最高の外国人観光客の受け入れと、それに匹敵する経済効果(同年は4兆8000億円)を記録し、フランス人にとってもアジアで最も人気のある旅行先の一つになりました。

 世界第3位の基軸通貨である日本円は、悪い方向に進み、1年間でドルに対して30%以上価値が下がり、日本は、停滞している景気回復のためにも、この円安がメリットになる外国人観光客の入国制限解除によって、財政的な恩恵に預かることができるかもしれません。

 しかし、フランスの業界専門家は、日本の観光業界が復活するには、まだまだ時間がかかるという見方をしています。日本でのパンデミック前の国際観光客による経済的スピンオフのほとんどは、大量の中国人観光客が、日本の電気製品や化粧品を持ち帰るために多額のお金を落としたためで、中国国内ではコロナウィルス対策の大幅な規制が続いているため、当面は日本への大量渡航は見込めません。

 フランス(欧州)からの観光客に関しても、30%円安になろうとも、それ以上に航空運賃が大幅に値上がりしているうえに、バカンスシーズンはすでに終わっているという間の抜けたタイミングです。

 それに加えて、一応、フランスからの入国は、ブースター接種をしていれば(3回のワクチン接種の証明書があれば)検査は免除ということになっていますが、フランスで最も多くの人がブースター接種を受けたのは、昨年の12月から1月にかけてのことで、ほとんどの人がワクチン接種の有効期間が下がっている状態に加えて、フランスでは、気温の低下とともに第8波が始まろうとしている感染者が再び拡大しているタイミングです。

 それでも、気にせずバカンスにはでかけるフランス人ではありますが、これまで、ひたすら厳しいことを言って、外国人の入国制限をしてきた日本にとって、なんとも微妙なタイミングでの観光客の入国制限解除です。

 とはいえ、フランスをはじめとして、ヨーロッパのほとんどの国では、とっくに入国制限など、ほとんどないも同然の状態なので、日本もこれで5月の段階で岸田首相が宣言していたG7並みの円滑な入国を受け入れてくれることになりますが、どうにもやっていることに一貫性が感じられずに、今まで、何をしたかったのか?と、首を傾げたくなります。

 しかも燃料サーチャージがさらに値上げされた10月というタイミング。感染が持ち込まれることを過剰に心配しなくても、ヨーロッパからの観光客が簡単に復活することはないでしょう。


外国人観光客入国制限解除 


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2022年9月24日土曜日

娘がコロナウィルスに感染しました

  


 朝、起きると、とりあえず、携帯をチェックするのが朝一番の日課です。まあ、そんなに急用はないのですが、なんとなく一応、チェックしてからおもむろに、少しずつ目が覚めていくのを待っている感じです。

 娘が日本で就職してから、日本にいる娘とは、時々、連絡はとっていますが、そんなに毎日のようにではないので、朝、携帯のメッセージに娘から連絡が入っているのを見て、「へっ?なんだろう?朝から・・」(朝からと言っても、日本時間では朝ではないけど・・)と思ってメッセージをあけると、なんだか携帯のスクショ画面が送られて来ていて、すぐには読めずに、「ん??」となりました。

 メガネを手探りで探して、ふむふむ・・と見ると、その画面は、「検査結果通知書」と書いてあって、すぐ下には、娘の名前が書いてあって、実は、漢字で書かかれた娘の名前をこうして客観的に見るのは、初めてのことで、最初はなんだかピンとこない気がしたのも妙なものだ・・などと呑気に思いながら、マジマジとその書面を見ると、「検査結果・陽性」とありました。

 朝、寝起きということはあるものの、日本のこういう書類を久しぶりに見たこともあって、なんだかすぐには、ピンとこなかったものの、ようやく、「えっ??コロナに感染したの??」と気づくまでに、少し時間がかかったのもお恥ずかしいことです。

 しかし、おそらく、彼女が検査を受けたからには、なんらかの症状があったからに違いなく、感染してるけど、無症状・・というわけではないはず・・と思いいたり、すぐに電話しました。

 これまで、2年半以上、私も娘も一度も感染したことはなく、先日、彼女がパリに来いていたときには、友人の結婚式に参加したりして、かなり大勢の人にも会っていたし、日本に比べたら、マスクをしている人などほとんどいないフランスで、一応、気をつけてはいたにせよ、日本に帰国の際に検査を受けて、「これでも感染しないんだ・・」などと、本人もちょっとびっくりしていたくらいでした。

 それが、まさか、フランスよりもたくさんの人がマスクをしていて、みんなが気をつけている日本で感染するとは、彼女も思ってもみないことのようでした。

 「感染するなら、絶対にフランスで感染すると思っていた・・」と。

 数日前に、急に熱が出て、だるくなり、咳が出始めて、これはちょっとヤバいかも??と思って、検査を受けにいったところ、なんと結果は陽性で、現在、私の実家に一人暮らしの娘、とりあえず同居人はいないものの、過去数日間に会った人には、自分が感染したことを連絡し、今のところ、みんな大丈夫みたい・・と話していました。

 特に心配だったのは、隣に住んでいる高齢の私の叔母で、ちょうど、敬老の日に会ったばかり・・というので、「敬老の日」に会いに行って、感染させてしまっていたら、申し訳がたたない・・と、彼女も自分のこと以上に叔母のことを心配していました。

 かなり熱があがって、ドリプラン(フランスから持って行った鎮痛・解熱剤)を飲んでひたすら寝たら、少し楽になった・・と言っていましたが、若いからといって安心とはいえないんだから、この際、大人しく寝ていなさい・・と言って、もしも、すごく悪くなるようだったら、行くからね・・と話しました。

 遠く離れていると、やたらと心配ばかりが募ります。娘と離れて暮らすようになって、いつか、健康面で心配をかけるのは、私の方だろうと思っていたので、とてもびっくりしました。

 しかし、検査結果は検査施設から、直接、保健所には連絡がいかないようで、「日本って、おかしいよね・・」と言っていました。しかし、保健所に連絡して、サポートを申し込むと食糧などを送ってくれるらしいと、そのサイトを調べて送ったら、これまた、具合が悪いというのに、いろいろ証明書や保険証のコピーなどを添付したりしなければならなくて、年配の人はどうしているんだろう?」と素朴な疑問。

 ワクチン接種をしていてもオミクロンには感染すると言われてはいますが、考えてみれば、彼女がブースター接種をしたのは、昨年の12月、それから約9ヶ月くらい経っているので、これまで感染しなかったのは、やっぱりワクチン接種のおかげだったのかな?とも言っていました。

 私自身は、既往症もあったりして、不安だったので、今年の7月に2度目のブースター接種をしましたが、彼女は、「オミクロンは重症化しないなら、もうワクチンはいい・・」と言って、さらなるワクチン接種はしていなかったし、年齢的に該当していませんでした。

 熱が39℃近くあるということだったので、「体温計あるの?」と聞いたら、「大丈夫、料理用の体温計があるから・・」という回答。それって体温計じゃないし、「料理用の体温計」という言葉に大笑いしてしまいました。

 そもそも、我が家の体温計も電池切れのまま、ずっと放置状態・・私自身も熱があるかな?と思うことがあっても、「体温計ったところで、熱が下がるわけでもないし・・薬を飲んでひたすら寝るしかない・・」と熱を計るということを蔑ろにしてきたので、あまり偉そうなことも言えません。

 料理用の温度計をくわえて、熱を計りながら、コロナと一人戦っている娘・・やっぱり、離れていて、何もしてあげられないのは、悲しいことです。

 どうか、無事に回復してくれますように・・。

  

東京都が送ってくれたという自宅隔離用食糧


コロナウィルス感染


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2022年9月23日金曜日

フランスには王室がないのだと実感したマクロン大統領夫妻のロンドン散歩

  


 先日のエリザベス女王の国葬に参加したマクロン大統領の服装がちょっとした話題を呼んでいます。正確に言えば、国葬に参加した際の服装ではなくて、前日に前乗りでロンドンに到着したマクロン大統領夫妻がお忍びでロンドンの街を歩いていた際の服装についてです。

 これは、一瞬、デマ情報まで流れ出し、あたかもマクロン大統領夫妻がこの様相で国葬に参列したかのごとく、ネットを駆け巡りました。

 実際には、前日、ロンドン到着後にエリザベス女王の棺とウェストミンスターで対面するまでの短時間にロンドンの街をお忍びで歩いていた時の映像です。お忍びとはいえ、SPを従えて、全世界に顔を知られているマクロン大統領は、サングラスをしているとはいえ、一目瞭然のうえ、記者にマイクを向けられて、彼はイギリス国民が行列している横で、「イギリス国民の悼みを分かち合う」と答えています。


 

 しかし、フランス大統領という立場である彼のその姿は、とても悼みを分かち合っているようには映らず、このことはむしろ、黒いサングラスに流行りのスニーカーを履き、たくさんのボディーガードをお付きに歩き回る映画スターを連想させ、イギリス人の不評を買うことになりました。そして、しまいには、フランス人からもフランス人のエレガンスがまるで感じられないとフランス国民からも否定的な声があがりました。

 お忍びとはいえ、これだけ目立つ存在であるマクロン大統領は、イギリス人からは、「白熊専用のゴルフクラブに入ろうとする黒眼鏡のキリンと同じくらい、気づかれないようにする才能がある」などと皮肉を書かれています。

 口が上手くて、エリザベス女王のご逝去後にすぐに最大限の弔意を発表していたマクロン大統領でしたが、この映像には、やっぱり口だけか・・というよりも王室に対する礼節を理解していない・・と多いにがっかりさせられるものでした。

 フランスがどれだけエリザベス女王の国葬騒ぎに熱狂し、「イギリスの女王でもあり、私たちの女王でもあった」などと言いながら、やはり王室に対してのリスペクトの仕方は、この程度のもので、やはりフランスには王室がないゆえ、王室というものの品格やマナーが理解できていないんだろうな・・大統領でさえも・・と感じてしまったのです。

 国葬のための訪英をしているフランス大統領は、イギリス到着時からイギリスを発つ瞬間まで、フランスを代表している存在であるべきなのです。普段はスーツにネクタイ姿しか見せない彼が濃紺のジャケットにチャコールのパンツ、黒のトレーナーにマフラーを短く首に巻くというカジュアルな装いで街に出るというわきまえのなさ。


 これは、フランス国民には、思わぬ別の反感をも買うことにもなり、この時マクロン大統領が履いていたスニーカーは、フランスの「ウェストン」というメーカーのもので、「ウェストンのプロモーションのつもりか?」とか、「マクロンのスニーカーは570ユーロ!豊かさの終焉とは貧乏人への言葉だったのか?」などと炎上しています。

 いずれにせよ、古臭いことを言うおばちゃんみたいではありますが、前日のこととはいえ、国葬のために訪れたロンドンでのマクロン大統領の様子は、日本語で言えば、不謹慎?礼儀をわきまえない、作法を知らない・・とでもいうのでしょうか?

 やはり、日本を発たれる時には、白マスクだった日本の天皇皇后両陛下がロンドン到着時には、黒マスクに交換されているような心遣いが日本人としては、非常に好ましく、英国王室に対してのリスペクトが感じられ、それこそが王室へのリスペクト、マナーだと思うのです。


マクロン大統領夫妻トレーナーとスニーカー


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