2021年11月27日土曜日

南アフリカで新たな変異株(オミクロン)検出の波紋 すでにヨーロッパでも検出

   


 南アフリカで新型コロナウィルスの新たな変異株が検出されたという衝撃的なニュースがヨーロッパにも届いています。そして、届いたのはニュースだけではなく、すでにベルギーでこの新しい変異種が検出され、ウィルス自体も届いていることが確認されています。

 この新たな変異株には、これまでで最も激しい変異が見られ、ある科学者は「これまでに見た中で最悪の変異株(B.1.1.529)には信じられないほどの激しい変異が見られ、これまでに流行した他の変異株とは非常に異なり、予想以上の大きな進化を遂げている」と述べています。

 この変異株にはさっそく、「オミクロン」という名前がつけられたようです。

 しかし、必ずしも悪い状況かどうかはまだ確認できていませんが、従来株を想定して開発されているワクチンが新たな変異株に有効かどうかの懸念を消すことはできません。

 現在の段階では、この新しい変異種が強い伝染性を持っており、急速に広がる可能性があると言われています。

 このベルギーで検出された新しい変異種の感染者は海外から入国したワクチン未接種者(エジプト→トルコからベルギーへ入国した30代の女性)であったことが発表されたため、フランスでは、急遽、南アフリカの7カ国からの到着便を直ちに停止することを発表しました。

 また、イスラエルでも、このオミクロン変異株の最初の症例が検出されたことを発表。マラウイから帰国した旅行者で、他にも海外から帰国した2人が現在監禁中になっていると述べ、これらの3人はワクチン接種済みであるという事も恐ろしい事実です。

 この即急な措置は「最低48時間」適用され、レソト、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク、ナミビア、エスワティニからの旅行者にも該当します。また、フランス政府は、これらの国に過去14日間の間に旅行した人は、できるだけ早い時点でPCR検査を実施することを呼びかけています。

 WHOは、緊急委員会の一時的な勧告に従って、旅行対策を実施する際に、各国が科学的かつリスクベースのアプローチを引き続き適用することを推奨し、旅行者の制限に対しては積極的な対応を求めることを控えてはいますが、懸念事項として分類はしています。

 万が一、この判断が遅れ、ただでさえ、すでに感染が急拡大しているヨーロッパが致命的な更なる打撃を受けることを考えれば、後になってから、「なんだ・・そんなに大騒ぎするほどのことでもなかったじゃない・・」と思える方が賢明である気がしてなりません。

 この南アフリカからのフライトを禁止したのは、フランスだけではなく、イギリス、オランダ、ドイツなど、また、アジアの数カ国もこれと同様の措置を取り始めています。

 ワクチンを開発したファイザー・ビオンテック社は、このオミクロン変異株の出現に際し、この変異株がワクチン保護を逃れるものかどうかを判断するための研究の最初の結果を「遅くとも2週間以内」に期待していると発表しています。

 また、モデルナ社もほぼ同時にこのオミクロン変異株に対処するための戦略を発表しています。


 現在、ヨーロッパで再び猛威を振るっている状況に2回のワクチン接種、ならびにブースター接種を急拡大する方針に乗り出したフランスですが、もしもこの新しい変異種にワクチンの有効性が認められない場合は、また振り出しに戻ることになってしまいます。

 また、現在、ユナイテッドラグビー選手権(URC)のために南アフリカ滞在中のウェールズ、イタリア、アイルランドなどの選手団は、この新しい変異種の発表から、パニック状態になり、南アフリカをできるだけ早くに離れることを要求しています。

 この他、ゴルフ、クリケットなどの選手らもフライトが閉鎖される前に本国へ帰国するため、途中で試合を撤退しています。

 南アフリカでは、アフリカ大陸でウイルスの影響を最も受けている国の一つであり、これまでに290万人の症例、89,600人の死者が出ています。

 ヨーロッパ全体が大きな第5波に飲み込まれようとしている真っ最中に、さらに強力かもしれない新しい変異種の出現には、まったくもって、「また???」とうんざりするばかりです。


南アフリカ変異株 オミクロン


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2021年11月26日金曜日

2022年1月15日以降、2回目のワクチン接種7ヶ月後までに追加接種なしのヘルスパスは無効になる

 


 

 ドイツ、オーストリア、ベルギーなどの感染拡大をよそに、どうにか持ち堪えてきた感があったフランスでもここ数週間での新規感染者数が急増、毎週、1万人ずつ増えている感じで、とうとう3万人超え(11月24日の時点で32,591人)を記録する日が続いていています。

 いくらワクチン接種の効果で、ある程度の重症化を防いでいたとしても、これだけ感染者が増加すれば、地域によっては医療対応が逼迫し始めているところも生じ始めています。

 フランス政府(オリヴィエ・ヴェラン保健相)はこの感染が急増している第5波を、夏に発生した第4波よりも強く、長くなっていることに言及し、新たな対策を講じることを発表しました。

 まず、国民のショックを鑑みて、ロックダウン、夜間外出禁止、店舗営業の時間短縮、旅行等の移動制限はしないとした上で、「自由と責任を調和させる」方法を選択したと述べました。

 9月からはすでに65歳以上の人に対して開始されているブースター接種(3回目のワクチン接種)は、18歳以上のすべての国民に対して行われます。また、これまで2回目の接種から6ヶ月以上経過した場合に限られていたブースター接種は5ヶ月以降に短縮されます。

 これは2500万人のフランス人に該当するもので、そのうち600万人はすでにブースター接種が終了しています。

 また、一定の期間が経過した場合に確実にワクチン接種の有効性が減少するために、2022年1月15日の時点で、2回目のワクチン接種から7ヶ月以内にブースター接種が行われなかった場合、ヘルスパスは無効となります。

 この日はワクチン接種予約のためにDoctolib(病院や医者などの医療関係施設予約サイト)は、1日中、長時間待ちの状態に・・。政府からの発表はやはり効果絶大、みなヘルスパスで日常生活を普通に送れることに味をしめているため、それが取り上げられるとなれば、必死になるのです。

 これは、時間の経過とともにワクチン接種の有効性が薄れることが明白になってきている以上、ヘルスパスで安全なスペースを保つことを考えれば、至極、当然のことです。

 また、11月29日(月)からは、ヘルスパスの一部であった検査の陰性証明書はこれまで72時間以内の証明書で有効であったものが24時間以内の証明書に短縮されます。

 従って、2回のワクチン接種および、2回のワクチン接種から7ヶ月以上の時間が経過した場合は、24時間以内の陰性証明書を提示する必要があります。

 これらの検査の費用は、現行どおり、症状があり医師の処方箋を提示するか、接触症例として指定されていない限り、検査を受ける本人負担です。

 また、ヘルスパスの対象となる場所も含め、閉鎖された全ての公共の場所でのマスク着用が再び義務化されます。

 そして、ノエルに向けて、始まったクリスマスマーケット(Marché de Noel)についても、ヘルスパスの提示が求められます。

 学校に関しては、これまでの感染者が出た場合の自動的な学級閉鎖を終了し、感染者が出た場合には、クラスの生徒全員に検査を行い、陽性であった生徒のみが自宅隔離となります。この措置は、11月29日(月)から開始されます。

 これは、これまでのクラス内感染者が発生した場合には即、学級閉鎖という措置のために、すでに、かなりのクラスが学級閉鎖になり(現在、8500のクラスが閉鎖されている)、多くの子どもたちが隔離状態で学校に行けていない状況からあくまでもクラスは閉鎖せずに安全に授業を行い続けるという目的から措置を変更したものです。

 従って、学校での感染者の症例に対して、体系的な学級閉鎖は廃止され、閉鎖する代わりにすべての生徒に対して検査を行い、陽性者だけが家で隔離状態になります。(子どもの検査は無料)

 また、子どものワクチン接種に関しては、現在、フランスでは12歳からのワクチン接種が認可されていますが、25日(木)、欧州医薬品庁は5歳から11歳のファイザーワクチンの使用を承認しています。

 しかし、依然として子ども(5歳〜11歳)のワクチン接種に対しては慎重な態度をとっており、少なくとも2022年のはじめまでは、開始されないとされています。

 時間の経過とともにワクチン接種の有効性が薄れるとともにヘルスパスで守られていた状況が脅かされている現在、ブースター接種を拡大させる方針を軸に感染対策を強化する方針です。

 時間の経過とともに薄れているのはワクチン接種の効果だけではなく、人々の感染予防に対する意識でもあり、街に出るとマスクをしていない人も多く、していたとしても此の期に及んで鼻マスクだったり・・路上に捨てられたマスクを見かけることも多くなりました。

 夜の飲食店街などの様子を見る限り、まるでコロナ前の光景となんら変わりはないくらいで、みんなコロナのことなど忘れているかのように人生を謳歌しています。

 現在のフランスでの感染拡大は、これまである程度、ヘルスパスにより守られてきたとはいえ、原因は一つではなく、中でも、やはり、「ワクチン打っているから、ヘルスパスをもっているから大丈夫でしょ!」というきの緩みが大きな原因ではないかと思われます。

 最悪の場合は、ヘルスパスのチェックもしっかり行われていない場合すら(先日、TGVに乗った際、帰りのTGVではヘルスパスのチェックはありませんでした)あるのです。

 現段階では、ロックダウンや夜間外出禁止、店舗の時短営業、旅行などの移動禁止などはしないとしていますが、これがさらに悪化すれば、そういった措置をとるのも致し方ない状況になる可能性もあるのです。

 こんな状況で、どうして、平気でいられるのか?日本人の感覚?である私には、全く理解できないところではありますが、現在の全世界での新規感染症例の約70%は欧州で起こっているという衝撃的な発表もあり、11月初旬に、「ヨーロッパが再び感染の震源地になる」とWHOが発表したとおりになっていることに、なぜヨーロッパばかりが・・と恨めしく思いながら、ブースター接種(予約済み)の日を待っているのです。


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2021年11月25日木曜日

ボルドーのおススメフレンチレストラン メロディー Melodie

  


  

 娘の卒業式のために約3年ぶりに訪れたボルドーで、おそらく、今後、そうそう来る機会はないであろうボルドーでなんとか美味しいものを食べて帰りたいとボルドーへ行く前から、卒業式の準備以上にレストラン探しをしていました。

 日頃、半分はフランス人のくせに、フレンチが苦手な娘も「美味しいフレンチならば・・」と珍しくフレンチのお店探し・・。

 そして、滞在期間(といっても一泊二日なので、せいぜい3食)のお店を探した結果、まず一つ目で行ったお店が大当たりでした。

 今は、サイトで探して、お店のメニューやお料理や店内の写真や評価などで、だいたい見当がつけられるので、美味しいお店も探しやすくなりました。

 この際、ミシュランの星付きとか、超高級なお店は排除しました。すると、わりとどこのレストランもメニューが似ていて、フォアグラや鴨がかなりの確率でメニューに含まれており、値段も似たり寄ったりで、あとはお店の雰囲気などで、なんとなくの感で「ここへ行ってみたい!」となったのです。

 当日、昼、少し前にボルドーに着いた私たちは、レストランの開店時間まで、少し街を歩き、開店時間直後に入店。どこにしようか?ギリギリまで迷っていたために、予約はしていませんでした。

 石がはめ込まれた壁に覆われた趣ある店内はそれほど大きなスペースではないものの、そこそこの席数。私たちが入ってすぐにほぼ満席になりました。

  



 アントレにはフォアグラとクルージュのオーブン焼きをチョイス。

  


 フォアグラなど滅多に食べないのですが、火の入り具合が絶妙で、添えられたオニオンのジャムがフォアグラをまろやかに引き立ててくれます。

 クルージュのオーブン焼きにはフェタチーズが散りばめられ、バルサミコベースのソースがよいアクセントになっています。



 後から入ってきたお客さんの中には外国人のお客さんもいて、しっかりメニューを英語で説明している声が聞こえてきました・・ので、英語でもOKのようです。

 そうそう・・お料理とは関係のない話ですが、ここに着いた時点で携帯のバッテリー切れだった私は、「携帯の充電をしてもらえませんか?」と図々しいお願いをしたところ、快諾、「帰りに忘れないようにちゃんと言ってね!」とすこぶる感じよく親切でした。

 メインには、サーロインステーキとサーモンのパルメザンリゾット、ホワイトバターソース。

  



 お肉の焼き具合もピッタリで、添えられた赤ワインソースが絶妙のマッチング(ソースはいくつかの種類から選ぶことができます。リゾットのホワイトバターソースも比較的さっぱりめで、サーモンの皮はカリッと、身はふっくらとしたメリハリの効いた食感です。

  


 最後のデザートには、いちごのシロップ漬けとクレームシャンティ、コーヒーのティラミス。

 いちごの方は正直、全然、期待していなかったのですが、シロップが最高に爽やかで絶品、シロップ漬けなのに甘すぎないのに、いちごの酸味も和らいでいて、お皿に添えられたナッツもトッピングすると最強。

 ティラミスもたっぷり目なのに、フワッと軽く、あっという間に楽勝で平らげてしまいました。

 隣の席にいた女の子がいつまでも名残惜しそうにティラミスのお皿をスプーンですくい続けていたのには、思わず笑ってしまいました。

  


 日によって、多少、メニューは変わるようですが、アントレ、メイン、デザートとだいたい4種類の中から選ぶことができます。

 このコース(アントレ・メイン・デザート)で一人20ユーロには、大変満足です。

 パリだったら、どれか一品の値段です。

 難を言えば、グラスワインのワインが少なかったことで(といっても普通の一杯・・私がいつも、なみなみとついで飲む習慣から少ないと感じただけだと思います)、早起きしたうえに、午後まだ動き回るためには、一杯だけと決めていたので、ちょっと物足りなかっただけです。

 これだけ食べたのだから、歩かなければ・・と午後中、ボルドーの街を歩き回り、ホテルにチェックインしてからしばらくして、また夕食に・・夕食はここぞと目をつけていたお店がまさかの満員。もう一つのお店に行って、またフレンチ。

 このお店も十分に満足するお味でしたが、2食連続フレンチに、さすがに二人揃って、ノックダウン。「すごく美味しかったのに、もう当分、フレンチいいわ・・」となり、翌日はアジア系のお料理屋さんに行きました。

 しかし、パリに戻って、おうちごはんで一息ついて、あの日の食事を思い出すに、あの値段、あの味、あのサービスはやっぱり凄かった・・と思うのでした。

 ボルドーへいらっしゃる機会があれば、「Melodie」はおススメです!

「Melodieサイト」


ボルドーのおススメのレストラン(フレンチ) Melodie


○Restaurant Melodie   6 Rue des Faussets 33000 Bordeaux  

  12:00~14:30, 19:00~22:30



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2021年11月24日水曜日

娘の卒業式

   


 これまでずっと入学式も卒業式もなかったフランスの学校で、最後の最後のグランゼコールには、卒業式がありました。卒業式といっても日本のような式典とは違い、ディプロムの贈呈式のようなものです。

 娘が10歳の時に主人が亡くなり、その直後は、「到底、フランスで一人で子育てなど無理・・もう日本へ帰ろう!」と思ったのですが、周囲の方々の支えもあり、結局、娘の教育を考えてフランスに残ることにしてから13年間、娘は当時、通っていた、こちら(フランス)の私立の学校に高校まで通い、その後、プレパー(グランゼコール進学のための準備学校)、グランゼコールへと進み、晴れて卒業致しました。

 娘が通っていたグランゼコールは、ボルドーにあり、ボルドーで2年間生活した後の一年間は、イギリス、日本へと留学予定にしておりましたが、パンデミックの煽りをもろに受け、それでもイギリス留学はリモートで授業を受けることができましたが、日本の国立大学への留学は延期された挙句に結局、キャンセルになり、その間、フランス国内の会社や研究所でのスタージュに切り替えた過程を終了し、ついに卒業式の日を迎えました。

 卒業式が11月という話を聞いて、フランスの学校事情に疎い私は、「なぜ?11月?」と思いましたが、家族も参加する場合は予め人数を申告する必要があったため、「ママ、行く? 私、自分自身も行っても、行かなくてもどっちでもいいと思ってるんだけど、どうしようかな??」などと言うので、「卒業式に行かないなんて、そんな・・ママも絶対行くよ!」と出席予定にしていたのでした。

 卒業式の日程が決まったのは数ヶ月前で、娘もそんな具合で、えらく冷めた感じだったので、なんとなく、今ひとつ、気持ちが盛り上がることもないまま参加した卒業式でした。

 日本の卒業式のようなセレモニーとは違いましたが、40人前後の卒業生が一人一人、呼び上げられながら、一人一人壇上でディプロムと卒業記念の四角いフサのついた帽子をもらい、サインしていく様子には、派手な演出がない分、余計にじんとくるものでした。

 娘のスライドが流され、ディプロムを受け取っている様子を見ながら、娘が生まれてからこれまでのこと、特に主人が亡くなってからの様々な出来事が走馬灯のように蘇り、「よくぞ、ここまで頑張ってくれた。本当によく頑張ったね。えらかったね・・。」とこれほど感慨深いこともなかなかなく、座席から見ていた私は、感極まって、溢れてくる涙を止めるばかりか、号泣しそうになるのをこらえるのが大変なくらいでした。

 ごくごく普通のフランス人の家庭で育った人でさえ、そう簡単には取得できないエンジニアのディプロムです。我が家のように、フランス人の父親を亡くし、私のような頼りない日本人(外国人)の母親のもとで育った娘にとっては、どれだけのハンディがあったかと思うと、感慨も一入(ひとしお)でした。

 グランゼコールを卒業し、この大層なディプロムを取得するこの卒業式には、卒業生以上にその家族総動員で参加している人も少なくなく、卒業生以上にその家族の人数の方が多く、おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、兄弟姉妹たちまで来ていて、しかも、他の家族同士が他の生徒でさえも、暖かく見守って、讃えあうような暖かい卒業式でした。

 娘の晴れ姿を誰よりも見たかったであろう彼女の父親も、娘の成長を何よりも楽しみにしていた私の両親も全てもうこの世にはおらず、誰一人、この卒業式には参加することができなかったのは、返す返すも残念で、その一人一人が遠くから、彼女を見ていてくれたのではないかと遠い空を見上げる私の目からは涙が止まらなかったのです。

 こちらの大学・グランゼコールならではの、四角い帽子を被った卒業生、そして、映画で見るような、みんなで一斉に帽子を投げるシーンなどは、まことに晴れやかな光景でした。

 その後、校内の一角での簡単なカクテルパーティーでは、ふんだんに用意されたシャンパンやプティフール(一口サイズのスイーツやおつまみ)、ボルドーならではのカヌレなどが用意され、卒業生やその家族との会話は永遠に続くのではないかと思われるほどの盛り上がりぶりでした。 


 最後の日になって、校内がその家族にも公開され、おそらく値段を聞いたら驚愕するであろう研究設備など(娘の専攻は生命工学)が揃っているいくつもの部屋を見学し、フランスがどれだけ国費を投じて学生を教育しているのかを目の当たりにし、あらためてフランス恐るべし・・と実感させられました。

 娘にとっては、卒業式は、これまでの学生生活の締めくくりであるとともに、あらたな人生のスタート地点でもあります。

 ここまで私たちが無事にフランスで生活してこれたのは、周囲の方々の支えがあってのことで、私たちだけでは、とてもここまでくることはできませんでした。

 特に主人が亡くなった時点での周囲のフランス人のママ友やパパ友たちは、それまで漠然と勝手にこっそり抱いていた「フランス人は冷たい・・」という印象を私から見事に拭い去り、想像以上に結束して私たちを暖かく支えてくれました。

 今はいない私の両親も日本にいる叔父、叔母たち、従姉妹たち、友人たちも遠くからいつも応援してくれていました。

 この場をお借りして、これまでお世話になってきた方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞ娘を暖かく見守ってやってください。

 このブログを読んでくださっている、私たちを直接、ご存じない方々にも、いつも、私のつたない文章をお読みくださり、ありがとうございます。


グランゼコール 卒業式 ディプロム


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2021年11月23日火曜日

ヨーロッパ感染再拡大による締め付けへの反発

   

抗議運動から発展した暴動で荒れているグアドループ


 ヨーロッパでのコロナウィルス感染が急速に再拡大している中、各国が続々とロックダウンや制限の強化を急ぎ出した中、拡大しているのはウィルスだけではありません。

 特にオーストリアでは、急激な感染拡大のために、先週、発表したワクチン未接種者のみのロックダウンから、さらに大々的なロックダウンの措置(一般の店舗、レストラン、クリスマスマーケット、コンサート、美容院などの営業停止)を取ることに加え、2022年2月には、全国民(成人)へのワクチン接種義務化を発表しました。

 ほんの数週間前までは、現在のようなシナリオなど想像もつかなかった状況で、元保守党首相のセバスティアン・クルツは、「少なくともワクチン接種を受けた人々にとって、パンデミックは終わった」と宣言していました。

 この急激な状況の変化に伴う制限の強化は国民感情からすれば、余計に反発を感じるのも無理からぬことに違いありません。クリスマスシーズンに向け、スタートを切ったばかりのクリスマスマーケットなども全て閉鎖になりました。

 オーストリアをはじめとするオランダ、ベルギーなどの国々では、この急激な行動制限等に敵対するデモや集会が激化し、暴力行為が拡大しています。フランスでもグアドループでは、ヘルスパスや医療従事者へのワクチン接種の義務化に敵対する集団が、暴力行為に走り、店舗を襲ったり、車を燃やしたりする大騒ぎになっています。

 もっとも、グアドループでの暴動に関しては、全ての抗議運動は、パンデミック対応に関する理由だけではなく、暴動を起こす口実に過ぎないとも言われており、これはより深刻な社会的危機の表れであり、政府の決定に対する疑念と高い失業率(17%)が社会的な不安を起こしているとも考えられます。

 オランダでは、3夜連続で暴力行為により、警察の銃撃により、4名が負傷、週末の暴動に介入した145人が逮捕、サッカーの試合場での過激な暴力行為、小学校放火、その他、物的損害を引き起こす花火まで、次々と暴力的な破壊行為が続きました。

 オーストリア・ウィーンでは、抗議のデモに40,000人が集結し、ブリュッセルでは、35,000人のデモ参加者と警察が衝突しています。

 これらの抗議運動は、明らかにワクチン接種により、取り戻し始めていた日常を再び奪われること、政府の急な感染対策の変更が原因であることは明白です。
 
 フランスは、すでに7月の段階でヘルスパスが適用され、当初はその反発により、大規模なデモが起こったりしていましたが、ヘルスパスのおかげで現在のところは周囲のヨーロッパ諸国よりは感染拡大の波は比較的低い状態です。

 とはいえ、フランスでの感染拡大も確実に速度を早めており、もしも、現在以上の規制を敷かなくてはならなくなった場合は、フランスでも同じような抗議運動が拡大する可能性は大です。

 ヨーロッパは感染の拡大だけでなく、その急激な感染対策に抗議するデモやその暴徒化の拡大も心配される困った状況です。

 フランスでは、グアドループでの暴力的な行為に、カステックス首相が国民に向けて緊急演説、落ち着きと責任を訴えかけ、暴力・破壊行為は決して許されないことであるとし、秩序を回復するためのあらゆる手段をとることを発表しました。

 ところが、そのカステックス首相がなんとコロナ陽性であったことが、その直後に発表され、首相自身が感染したニュースのインパクトが大きく、演説が霞んでしまいました。
 しかし、現在のタイミングで、首相までも陽性とは・・感染拡大がどんどん広まっていることを感じずにはいられないのでした。

ヨーロッパ感染再拡大 抗議運動暴徒化


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2021年11月22日月曜日

久しぶりにボルドーに行って驚いたこと

 


 私はパンデミック以来、全く旅行というものをせずに過ごしてきました。もともと国内(フランス)を旅行することも滅多になく、海外(といってもヨーロッパの中か日本)に行くことの方が多かった私は、何も今、行かなくてもいいか・・と、もうちょっとスッキリとした気持ちで出かけられるようになったら・・もういい加減、コロナもおさまるだろう・・と思いつつ、気がつけば、もう2年近くなるというのに、ずっと長距離の移動は避けてきました。

 といっても、普段、パリ市内では普通に(ヘルスパスのもとにですが・・)買い物に行ったり、食事に出かけたり、友人に会ったりはしていたので、まるっきり自粛していたわけでもありません。

 しかし、今回は、娘の卒業式がボルドーであり、これが最後であろうし、これが娘の学生生活の締めくくり、これまで小・中・高校・プレパーと、どれも卒業式というものはなかったので、最初で最後の卒業式、これは見届けねば・・せっかく行くなら、一泊ぐらいしてボルドーの街を歩いて来ようと久しぶりにTGV(新幹線)に乗って、久しぶりにボルドーへ行ってきました。

 実にボルドーへ行くのは、娘が入学時に引っ越しの際に大荷物を抱えて、彼女が初めての一人暮らしをする場所の様子を見に行った時以来、モンパルナスの駅に行くのも久しぶりのことで、いつの間にか駅がすっかりきれいになっていることにもビックリ!

  

すっかりきれいになっていたパリ・モンパルナス駅

 TGVの駅の改札では、ヘルスパスのチェックが行われ、チェック済みの人は、ブルーの紙のブレスレットをつけるようになっています。

 

TGV乗車の際のヘルスパスチェック後の紙のブレスレット

 現在、ヨーロッパは感染再拡大の震源地とされ、周囲の国々が再びロックダウン⁉︎騒ぎのタイミング、フランスはヨーロッパの中ではマシな方とはいえ、感染は確実に増加しており、1日の新規感染者数は余裕で2万人超えの状態。

 パンデミック以来、全く長距離移動をしてこなかった私にとっては、どの程度の人々が国内を移動しているのか想像することもありませんでしたが、平日の朝というのに、TGVは満席で、あらためて、こんなたくさんの人が国内を移動しているのかとびっくりしました。

  

一応、ソーシャルディスタンスをとるマークがつけられている


 ボルドーの街の中心部は、外でもマスク着用が義務付けられて、罰金135ユーロと書かれた看板が掲げられていましたが、取り締まりをしている様子もなく、マスクをしていない人もけっこういました。

 概してパリに比べると、警察官を見かける機会が少なく、それだけパリよりも治安がよいのだろうか?と思いましたが、やはり、罰金付きの規則があっても取り締まりがなければ、守らない・・これがフランスなのだ・・とあらためて思いました。

  

 この地域ではマスク義務化の表示 

 日頃、パリでは食事に出かけるといっても大抵は、昼間のことで、夜に出かけることは滅多にないので、夜に人で賑わう様子を見ることもないのですが、夜は夜で結構な人出。(これは多分パリも同じかそれ以上だと思いますが・・)

 一般の商店は夜には閉店するために、テラスを含め、飲食のために外出している人が中心のためにマスク率は一層下がります。気温が下がり始めた現在ではテラス席には、暖房の灯りがともり、まるでコロナなどなかったかのような光景です。

 テラス席の暖房は禁止(環境問題対策のため)になったのではなかったか?と思って調べたら、テラス席の暖房禁止は2022年に延期されていました。

 こうなると、現在の状況でテラス席の暖房が継続され、店内に入らなければならないはずのお客さんたちがテラス席に留まれることは感染対策には、幸いなことです。そして、何より、一応、テラス席とはいえ、来客にはヘルスパスのチェックがなされていることは、救いです。

 そういう私たちも旅行中ゆえ、ボルドー滞在中は外食オンリーでしたが、レストランでは、お客さんに英語で対応している店員さんを見かけたりもしたので、観光客も結構いる模様。

 外食も旅行も悪いわけではありませんが、いい加減、パンデミックが始まって以来、そろそろ2年。いい加減、いちいち政府に禁止されたり、監視されたりしなくとも、自分でどうすべきかを学んでもよさそうに・・と思います。

 ロックダウンやヘルスパス、限りなくワクチン接種義務化に近いような対策など、政府があらゆる手段をとっても、どうしても感染の拡大は抑えることはできないのは、自分で考えて感染対策をできない人が多いからなのです。(もちろんきちんとしている人もいますが・・)

 はっきり言って、規則を守るのは感染回避というよりも、罰金回避のためです。

 翌日、ボルドーからパリに帰るTGVは、まさかのヘルスパスのチェックもノーチェック。当然、チェックがあるものと、改札の際に携帯のヘルスパスを開けていた私は肩透かしを食いました。

 電車が発車してすぐに、乗務員の人が「ボンソワール・ボンソワール」と車内を挨拶して歩いていましたが、これは、どうやら、マスクをしているかのチェックをしていた模様・・。

 ヘルスパスにより、かなり守られていると思っていたヘルスパスのチェックもどうやらゆるゆるの状況に不安を覚えたのでした。

 パリ・モンパルナスの駅に着いて、乗り換えのためのメトロのホームに行くと、いきなり4〜5人の犬を連れたイカつい警察官がぞろぞろ練り歩く光景に、「あ〜パリに帰ってきた・・」と感じるこれはこれで微妙な気分なのでした。


ボルドー


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2021年11月21日日曜日

古き良きパリを体感できる庶民派フレンチレストラン シャルティエ

   


 パリの外食は高いです。パリにいる時は、外食の値段を日本円に換算しようものなら、バカバカしくて、本当に嫌になるので、しないようにしていますが、逆に日本に行って、外食の値段をユーロに換算して考えると、たちまち目が輝いてしまいます。

 日本でもそれなりに高級なレストランならば、これまたなかなかなお値段ではありますが、一般的に言って、日本での外食は、恐ろしく安くて、嬉しくはあるものの、これでどうやってやっていけるの?とそれはそれで、このしわ寄せが必ずどこかに行っている(正当な対価が支払われていない部分がある)ところが、現代の日本の別の問題の一面であるような気もします。

 例えば、パリでランチを食べようと思えば、安くて15ユーロ程度(約2,000円程度)は、余裕でかかります。パリでまずまずのフレンチを食べようと思ったら、なかなかな値段なわけです。

 そんな中、パリのこのシャルティエ(Chartier)というレストランは、なかなか庶民的なお値段で、凝ったメニューではありませんが、ごくごく一般的なフレンチを楽しめるお店で、前菜、メイン、サイドメニュー、デザートなどが細かく注文でき、ちょい飲みしようと思ったら、サイドメニューを数品頼んで後は飲む(飲むことばかり考えている)ようなこともできます。

  

この日、前菜に頼んだロゼットとセルリレムーラード

 お値段もとてもお手頃で、テリーヌ3.5€、キャロットラペ(人参サラダ)1€、セルリレムーラード(セロリアック・セルリラブ根セロリのサラダ)2.7€、フライドポテト2.5€、ニシンのフィレのオイル漬け3.8€、エスカルゴ(12個)14.8€、などなど、ごくごく一般的にどこの家庭でも食べているようなものでありながら、本格的な味を楽しめます。

 ビール・カクテル類も3.5€前後、ワインもハーフボトルで6〜10€程度です。

 メインはお魚のメニューは少ないですが、お肉料理はステーキからローストチキン、鴨のコンフィ、シュークルート(アルザスの名物料理でキャベツなどの野菜と肉類を煮合わせたもの)、豚足料理、ビーフブルギニヨン(牛肉の煮込み料理)などなど、ガッツリと食べることができます。(こちらも6.5€から11€程度)

シャルティエのメニューのサイト


             スズキのグリルとビーフブルギニヨン



 そして、何よりもこのお店が楽しいのは、1896年創業という歴史ある店内の作りで、入り口の回転扉から一歩、足を踏み入れると、当時にタイムスリップしたような、まるで映画のセットかと思ってしまうような当時と同じ雰囲気の空間が楽しめることです。
  


お店の入り口は回転扉 もちろん手動

 白いシャツと黒いベストに身を包んだウェイター(女性も少数ですがいます)がお出迎え、席に案内してくれます。テーブルには、白い紙のテーブルクロスが敷かれ、席に着くと、メニューとグラスとパンが運ばれてきます。

 メニューは一応、日替わりとなっていて、日によって多少、違いますが、レギュラーの人気メニューはほぼ不動です。このお店の面白いところは、オーダーをその紙のテーブルクロスにボールペンで書いていくことで、自分が何を注文しているのか、確認することができます。(もっとも、字が汚いので、解読不能な場合も多い)合理的といえば、合理的なこのシステム、パリでは他のお店では見たことがありません。

  

オーダーは紙のテーブルクロスに手書き

 フランスのレストランでは、パンは水のような扱いなので、頼めばもっと持ってきてくれますが、まあほぼ充分過ぎる量なので、パンのおかわりをしたことはありません。

 天井の高い広いお店で一部、一階席を見渡せる2階席部分もありますが、大変な人気店のため、食事時には、お店の前に行列ができ、常時、行列用の赤い太いロープが用意されています。

   

行列前提で、並ぶためのロープが常設されている

 大混雑していて、かなりざわざわした感じながら、閉塞感がないのは、この広いホールのような高い天井のせいかもしれません。

 地元のパリジャン・パリジェンヌはもちろんのこと、ヨーロッパからの観光客にも人気のお店のようで、先日、行った時はドイツ人のご夫婦と相席でした。

 気取らずに、どこか大衆食堂のようでありながら、しかし、どこか格調高い雰囲気もある古き良きパリの空間がそこだけ現代に残っているようなそんな気分を料理と共に味わうことができます。

トイレの前の駅のような看板

 パリにいらした際には、星付きの高級レストランも良いですが、こんな感じのレトロな雰囲気を味わえる庶民派レストランも地元の民の雰囲気が味わえて楽しいです。


レストラン シャルティエ パリ


⭐️BOUILLON CHARTIER Grands Boulvards

   7 Rue du Faubourg Montmartre 75009 Paris 

   11:00~23:00(月〜金)、11:00~00:00(土・日)

 メトロ8・9号線 Grandes Boulvardsから徒歩1分



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