2021年9月11日土曜日

パリの成人のワクチン接種率98% フランス全土でトップ

    2021年9月7日の数値によると、パリの成人の予防接種率は98%で、フランス全体でトップのワクチン接種率に達しています。 これに未成年者を含めることにより、84.6%にまで低下しますが、それでも全国平均を上回る数字です。 12〜17歳の53.8%は、すでに2回のワクチン接種を受けていますが、残りのこの年齢層に関しては、新年度の開始以来、特定のプロトコルに従って学校で予防接種を受けることができることになっているので、これもじきに上昇すると思われます。 この数字はフランス公衆衛生機関により記録されたワクチン接種者の数を住民の数で割ることにより算出されている数字です。 正直、パリでここまでワクチン接種率が上昇していたということは、毎週のように反対デモがパリ市内でも起こっていることを考えると、少し意外な感じもしますが、パリは、人が多いとはいえ、小さい街で、デモが起こってはいるものの、首都ということで、注目されることから、他県からやってくる人がデモをする場所に選んでいるのであって、必ずしもパリで起こっているデモはパリ市民によるデモではないということかもしれません。 この数字から見れば、たとえパリ市民がデモに参加していても、彼らは既にワクチン接種済みで、ワクチン接種に反対しているというよりは、ヘルスパスの制度に反対しているか、政府のやり方に反対していると思われます。 とはいえ、ここまでこの数字(ワクチン接種率)が上昇したのは、PCR検査を提示しないワクチン未接種の人々が多くの場所にアクセスすることを禁止するヘルスパスの実施以来のことで、やはり、ヘルスパスの起用がワクチン接種率の上昇に大きく寄与したことは、もはや疑う余地がありません。 また、パリが全国トップとなったのは、パリは最もヘルスパスがない場合に日常生活が送りづらい場所であるのかもしれません。 先日、平日昼間に、パリ市内のPCR検査場を見て歩いた時に、未だ市内のあちこちにテントを張った仮設PCR検査場があるものの、想像以上に暇そうだったのは、やはり、パリ市内のワクチン接種率がここまで上昇していたことによるものだったのです。 なので、週末で多くの人がパリに遊びにくるタイミングならば、少し様子は違ったのかもしれません。 政府の統計によると、180万人のパリジャンがワクチン接種を済ませていますが、それは、パリ市民の話で、パリは東京と同じで、他府県から、また、海外からの観光客(今はまだ少ないとはいえ、他の地域よりも多い)も多い場所でもあり、パリ市民のワクチン接種率が上がったとはいえ、それ以外の人の流通も多い場所でもあるのです。 このワクチン接種率を反映するように、パリの病院では、デルタ変異種による影響が比較的、低く抑えられていたと言われています。 また、パリに続き、セーヌマリティム、マンシュ、オルヌ、カルヴァドス、シャラントマリティム、コートダモールでは、成人のワクチン接種率が90%以上にまで上昇し、パリに続いています。 フランスの全国統計によれば、成人のワクチン接種率は82.1%。どうやら、ワクチン接種率も地域により、かなりバラつきが多いようでもあります。 とはいえ、パリのこの驚異的な数字は、ちょっと、ホッとするところでもあるのです。パリの成人ワクチン接種率98%<関連記事>「フランスでのヘルスパスの浸透状況」「フランス政府の何があっても押し通すチカラ」「ヘルスパス反対デモ7週目 地域ごとのワクチン接種率・デモ動員数・感染率は連動している」「フランスは、ヘルスパスがないと身動きが取れなくなる! 義務化という言葉を使わない事実上の義務化」!function(e,i,n,s){var...

2021年9月10日金曜日

25歳以下の女性への避妊ピルの無料化に踏み切るフランスの事情

    オリヴィエ・ヴェラン保健相は、2022年から25歳以下の女性に対して、避妊ピル等の避妊に関する処方(パッチ、インプラント、膣リング、ホルモンIUD(またはIUD)、さらには筋肉内注射等)を無料化することを発表しました。 フランスでは、ピルなどの避妊薬に関連する費用は、既に2013年から、15歳から18歳の少女に対して、そして、また、2020年8月からは、15歳未満の子供に対しても国民健康保険で100%カバーされてきました。 この避妊薬の無料化により、その後5年間の期間を経て、この該当年齢の少女の人工中絶の割合を1,000人あたり9.5人から6人へと大幅に減少させることに成功しています。成功しているとはいえ、それでもそんなにいることが驚きではありますが、さらに驚くことには、毎年、12歳から14歳までの1,000人近くの若い女の子が妊娠し、これらの妊娠のうち770人が中絶手術を行なっているという事実です。 これには、私個人としては、あまりピンと来ないというのが正直なところで、1,000人が妊娠して、そのうち770人が中絶という厳しい現実に直面しているのも悲劇ですが、残りの220人は、どうしているのでしょうか? この統計が取られている年代が12歳から14歳ということもなかなかショッキングなことです。 今回のオリヴィエ・ヴェラン保健相の発表は、これらの無料化の措置を25歳までという年齢制限の引き上げをしたということですが、これは近年、浮上してきている若年層の貧窮化の問題が背景にあります。「妊娠の危険に晒される道を選んだ場合に、女性が自分自身を守ることができず、避妊をすることができないのは耐え難いことです。若い女性が経済的な理由から避妊を断念し、更なる悲劇を生んでいる状況を改善するために、国は2200万ユーロを投じて、これらの女性を守る」とオリヴィエ・ヴェラン保健相は語っています。La...

2021年9月9日木曜日

フランス人の子供の流行りの名前と名前の刷り込み

    子供の名前というものは、どこの国でも流行りがあるようで、日本でもキラキラネームなどと言われて、この子たち、おじいさん、おばあさんになっても、この名前??と思うような名前が流行った時期もありましたね。 名前の流行は、フランスでもあるようで、毎年、毎年、男の子・女の子別の人気の名前のランキングなるものが発表されたりしています。 ちなみに今年のフランス人の子供の名前のランキング(2021年)は、男の子で、1)Léo(レオ)、2)Gabriel(ガブリエル)、3)Raphaél(ラファエル)、4)Arthur(アーチュー)、5)Louis(ルイ)、6)Jules(ジュール)、7)A...

2021年9月8日水曜日

フランスでのヘルスパスの浸透状況

    フランスのヘルスパスについて取材してほしいというご依頼を頂いて、パリの街で、ヘルスパスがどんな風に使用されているのかを改めて、見て歩いてきました。 7月12日のマクロン大統領のヘルスパス起用の発表は、夏のバカンスを前に、ワクチン接種は義務化しないとしながらも、事実上、ワクチン接種に追い込む内容は、かなり衝撃的でもありましたが、一部の反感も買ってはいますが、結果的にこれをきっかけに多くの国民がワクチン接種を急ぎ始める大きな転換の機会となりました。 あえて、それをワクチンパスポートとはせずに、ヘルスパス(Pass Sanitaire)とすることで、ワクチン接種だけを強要する形ではなく、その許容範囲に72時間以内のPCR検査の陰性証明書や、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書でも、ヘルスパスとして通用するという猶予を設けたのも、いきなり「ワクチン接種を義務化」というよりは、若干ではありますが、ソフトにする役割を果たしたかもしれません。 実際にヘルスパスが起用され始めたのは、7月21日からで、それから、徐々にヘルスパスが必要となる場所を拡大していきましたが、バカンス期間中ということもあり、「バカンス先でもワクチン接種を!」などと呼びかけながら、ワクチン接種率は上昇してきました。 それでもヘルスパス反対のデモは、8週連続で続いていますが、これがもし、72時間以内のPCR検査などで代用できるという緩さが含まれていなければ、フランス国民の反発は、もっともっと大変なものになっていたのではないか?と思っています。 なんといっても、フランス人は大人しく、ハイ!と従う人ばかりではありませんから・・。 私自身、ヘルスパスのシステムが発表された時点で、すでにワクチン接種が2回終了していたので、PCR検査を受けたこともなく、今でも人の集まる場所には、ところどころ見られるPCR検査場(簡単なテントが張られて囲いがしてある場所)や薬局で、どの程度、検査をしている人がいるのかは、あまり気にも止めていませんでした。 しかし、昨日、「ワクチン接種をできない(していない)人がどんな風にPCR検査を受けているのでしょうか?」とのお問い合わせを頂いて、あらためて、検査場の様子を見て歩くと、意外にも?検査をしている人がおらず、既に、フランスでは、ヘルスパスをワクチン接種をする代わりにPCR検査で凌いでいる人が少なく、ある一定の通過点を過ぎたという印象を受けました。 一時は、パリで行列ができる場所といえば、検査場という感じの時もあったので、そんな時はもう過ぎたのだということを実感しました。 現在、街中にあるPCR検査場に行列はなく、行列どころか誰もいなく中で待機している人が暇そうに携帯をいじっていたり、下手をすると、既に待機しているはずの人も居なかったりして、検査キットが取り残されたまま、もぬけの殻のところもありました。 たまに検査に来ている人に「ワクチン接種をしていないのですか?」と聞いてみたら、「まだ、ワクチン接種が1回しか済んでいないので・・」という答えが帰ってきて、なるほど・・と思わされたり、1回の接種が終わって2回目の接種を行うまでのしばらくは、期間をあけなければならないわけで、この検査をしにきている人もじきに検査はいらなくなるわけで、これからますます検査場は、人が少なくなっていくものと思われます。 しかし、検査場に入って聞いてみると、ワクチン接種をしている人でも検査は同様にできるということでしたが、渡航の際などは必要な場合があるものの、日常生活を送る分には、ワクチン接種をしていれば、まずPCR検査は必要ないわけで、感染して症状が出ている場合を除いては、そうそう検査を受けに来る人はいないのです。 それでも、現在のところ、フランスでは、国民健康保険加入者は、全て無料で検査を受けることができ、検査場にあるQRコードを読み込んで、健康保険ナンバーを入力して登録すれば、検査結果が携帯に15分程度で送られてくるようになっています。(10月半ばからは医師の処方箋がない限り有料化することが決定しています) 逆に考えれば、たとえ、感染していても、ワクチン接種さえしていれば、どこへでも行くことができ、普通の日常生活が送れるわけで、その点に関しては、少々疑問も残るところではありますが、一般的にワクチン接種をしていれば、感染率も重症化率も低くなり、何よりも、ヘルスパス起用の一番の目的がワクチン接種の拡大であることを考えれば、そこまで窮屈にするのは不可能、むしろ反感を買って、逆効果になるかもしれません。 現在のフランスのワクチン接種率は、79.2...

2021年9月7日火曜日

アパート内の自転車置き場での自転車泥棒

   自転車を盗むために他の自転車が乱雑に積み上げられた形跡 先日、出かけようと、家の玄関を出て、エレベーターに乗ったら、エレベーターの中に目立つ貼り紙がしてあって、何事か?とギョッとしたのです。 同じアパートに住んでいる住民たちは、何か苦情があったりすると誰もが使用するエレベーター内は絶好の告知板になるわけで、例えば、「夜中に大騒ぎして迷惑だ!」とか、「うちのベランダはゴミ箱じゃない!窓からゴミを捨てるな!」「これが続くようなら、警察に通報する!」とか、なかなか穏やかではない文言が貼り紙してあるのです。 そういうわけで、この手のエレベーター内の貼り紙は、かなりの確率で悪いお知らせ...

2021年9月6日月曜日

パラリンピック閉会式に見る日本とフランスの温度差

   パラリンピックの閉会式が終わり、東京でのオリンピック・パラリンピックの日程が全て終了しました。 今回のオリンピックは、次回のオリンピックの開催地がパリということもあり、フランスでは、いつも以上の盛り上がりを見せ、オリンピックの開会式にはじまって、閉会式、パラリンピックの開会式、閉会式まで、エッフェル塔近くの巨大スクリーンが設けられた会場に多くの人が集まりました。 フランスでは、オリンピック開催の一週間前ほどからヘルスパス(2回のワクチン接種証明書・72時間以内のPCR検査陰性証明書・6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の起用により、レストラン、カフェ、デパート、コマーシャルセン...

2021年9月5日日曜日

8週目のヘルスパス反対デモ シャトレのコマーシャルセンターに乱入

   デモ隊が乱入したシャトレの巨大コマーシャルセンター もはや土曜日のヘルスパスのデモが近々に終わるとは誰も思っていませんが、このデモは7月17日から夏のバカンス中もずっと続き、とうとう8週連続のデモとなりました。 フランスは何かといえば、すぐにデモが起こるので、余程の暴徒化でもしない限り、かなりの人数でさえ、それほど大ニュースにはなりません。 このパンデミックのさなかでさえも、昨年3月の1回目の完全なロックダウン(生活必需品の買い物以外は外出禁止)の時以外は、デモ(その時々で目的は違っていたけど・・)は常に認められ続けてきました。 ただし、デモを行うには、予め、その日時や場所(出発地やデモ行進するコース、到達地点)などを申請する必要があり、概ねその通りに行われます。 デモ隊は、時に暴徒化して破壊行為や暴力行為に発展したりする危険もあるため、在仏日本大使館なども事前に土曜日のデモの予定を知らせてくれます。 当然、私は、大勢の人が集まる場所は避けたいし、巻き込まれるのもゴメンなので、できるだけ、その近辺には近寄らないようにしています。 とはいえ、狭いパリのこと、また、デモ隊は行進して場所を移動するため、例えば、今回のデモの予定は、パリ1区、2区、4区、5区、6区、11区、12区、15区、19区、20区とかなりの区域を網羅(パリは1区〜20区まであります)、もうほとんどの区がデモのコースにあたっており、あまり神経質に考えたら、外出不可能です。 しかも、デモは必ずしも届出どおりのコースを進むわけでもなく、今回は、デモ隊の一つから一部から派生して、予定していたコースとは別の道を進み、パリ1区にあるシャトレのコマーシャルセンター(フォーラム・デ・アール)になだれ込み、コマーシャルセンターでのヘルスパス提示義務反対を叫び始め、一時、大変な緊張状態に陥りました。 フォーラム・デ・アールは、パリの中心地(パリ1区)にある大型ショッピングセンターで、数多くのブティックを始めとして、書店、電化製品、映画館、レストランなど115軒の店舗が入っている、かつてはパリの胃袋と呼ばれていたランジス市場の跡地に建てられた巨大モールです。 本当に行ってみるとびっくりするほど、そこへ行けば、どんなお店もあり、「あ〜このお店もある!あ!これもある!」と思います。しかも、RER(国鉄)やメトロの駅からも直結しているために、非常にアクセスも便利にできています。 しかし、今回のデモ隊がこのコマーシャルセンターに流れ込んで、「リベルテ!リベルテ!(自由!自由!)」と騒ぎ出し、パリ警察はオーバーフローを恐れ、店舗の閉鎖を要請、CRS(Compagnies...