2021年6月18日金曜日

ディズニーランドパリ・ユーロディズニー8ヶ月ぶりに再開 一般社会よりも厳しい衛生管理

  


 2020年10月30日以来、閉鎖されていたディズニーランドパリ・ユーロディズニーが約8ヶ月ぶりに再開しました。コロナ前までは、パリ(フランス)の観光地の一つでもあったディズニーランドパリは、1日の入場者数は約5万人であったところ、現在の再開に関しては、入場者数は2万8000人に制限されています。

 しかし、再開当日は、熱狂的なディズニーランドファンは、夜明け前から開場の瞬間を待ち構え、8ヶ月ぶりのディズニーキャラクターがメインストリートをダンスをしながらやってくる様子を楽しみました。

 ディズニーランド内は、たとえ屋外であってもマスク着用が義務付けられており、公園内には、2000ヶ所にアルコールジェル配布のポイントが設けられ、来場者全員がアルコールジェルを頻繁に利用できるように配慮されています。

 現在のところは、ディズニーリゾート内のホテルは、ニューポート・ベイ・クラブのみが営業しており、その他の6つのホテルは、6月21日に営業を再開します。

 現在のところは、観光客もほとんどいないために、通常ならば、セキュリティーチェックのために長い時間を費やされるところ、ほとんど待ち時間もないようです。美術館も今なら、ガラガラだ・・という話を聞きつけて、私は、とりあえず、手近なルーブルにすっ飛んで行きましたが、観光客がいなくて、空いているのは、ディズニーランドも同じなようです。

 (正直、フランスに来て、なぜ?わざわざディズニーランド?と思わないでもないのですが、ディズニーランドがあるのは、アメリカ、日本、香港、中国で、ヨーロッパでは、フランスのみで、ヨーロッパ近隣国からの観光客には、意外とディズニーランドに行きたがる人も少なくないのです。特にロシア人なども多いと聞いています。)

 再開初日は、熱狂的なディズニーファンが多く、いつもは週に2〜3回通っていたという人までいて、「ディズニーのホームを守ってくれてありがとう!」などとプリントされたTシャツを着ている人など、もうファンと人気スターのような関係が垣間見れます。

 かつては、ファンに熱烈な抱擁を受けていたミッキーマウスやドナルドダック、グーフィーなどのキャラクターたちも、すっかり衛生対策モードになっており、張り巡らされているセキュリティーコードの向こうから挨拶しています。

 また、ミッキーマウスに会えるというポイントでも、ミッキーマウスやミニーマウスは、プレシキガラスの壁の向こうで踊っています。

 ディズニーランド内のレストランでは、TousAntiCovid(フランスの感染者追跡アプリ)にリンクしているQRコードを読み込むことを求められます。このQRコードにより、メニューが表示され、注文することができます。

 レストラン内でも、従業員が感染を防ぐために、訪問者間のソーシャルディスタンスを綿密にチェックしています。現在のところ、安全な衛生対策が取られていない場合は、営業停止に逆戻りですから、ディズニーランド側も感染対策には、ことのほか、気を使っているようです。

 ディズニーランドを一周できる電車は、グループ毎に、他のグループから隔離されるために、透明なプラスチックのシートを受け取り、独自のコンパートメントの空間で楽しめるようになっています。他のアトラクションに比べて、滞在時間が長くなるための特別な措置だと思われます。

 再開初日は、途中、停電のために、一部のアトラクションがストップするというアクシデントはあったようですが、この程度のことは、フランスでは、普通のこと、ましてやコロナウィルスとは関係ありません。

 ディズニーランドパリの衛生対策を見ると、一般社会(フランスの街中や、レストラン・カフェなど)よりも、数段、厳しく強化された衛生対策をとっているように見えますが、ディズニーランドが、これから先、フランスでのこの種のアトラクションパークの衛生対策の基準になっていくかもしれません。

 これから海外からの観光客も増え、とかく興奮しがちなアトラクションを抱えるリゾートパークは、かなり厳しめな衛生対策をとって、お客様を迎えようとしています。

 それにしても、普段なら、混雑する場所が、行列なしで楽しめる、今は、夏休みに入る前のもう少しの猶予期間なようです。


ディズニーランド・パリ Disneyland Paris

Disneyland Parisサイト


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2021年6月17日木曜日

当初の予定を前倒しで、屋外でのマスク義務化と夜間外出禁止の撤廃


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 カステックス首相は、16日、かねてからの予定だった6月30日の「屋外でのマスク着用義務化撤廃」を17日(木)からに前倒しにすること、そして、これまで夜間23時以降は禁止されていた夜間外出禁止に関しても、予定よりも10日早い6月20日(日)に解除することを発表しました。

 フランス政府は、このロックダウン解除の第4段階の日程を前倒しにすることについて、フランス国内の感染状況が予想よりも早いスピードで改善していることを示し、ここ一週間ほどの感染者数の平均が1日あたり3,200人となり、昨年の8月以来、最も低い数値となったことで感染状況が終息に向かっていると判断しているとし、現在、国内で憂慮すべき感染状況悪化が見られる地域はなく、集中治療室の患者数も2,000人を下回り、これまで深刻な状況に置かれていた医療機関が通常モードに戻りつつあるためと説明しています。

 4月末に発表されたロックダウン解除の段階的なカレンダー(予定していた日程)は、現状を踏まえて軌道修正する必要があると述べました。

 屋外でのマスク着用義務に関しては、集会の場、人混み、マルシェ、スタジアムの観覧席等に関しては、マスク着用義務は継続、また、商業施設、公共交通機関、職場等の屋内では、全面的にマスク着用義務が続きます。

 23時以降の夜間外出禁止についても、継続する必要はないと判断。しかし、飲食店やスポーツ施設、文化施設における収容人数制限は継続され、ソーシャルディスタンスを充分に取ることなどの衛生措置は、今後も引き続き必要であるとしています。

 つまり、屋外でのマスク着用義務や夜間外出禁止は、撤廃されても、今後も感染対策を講じられていないパーティー、や集会は禁止されたままではあります。

 しかし、これでフランス国民がさらに解除モードに突入し、浮かれまくる様子が目に浮かぶようで、せっかく感染が減少してきたところに危険因子がまた増加し、不安でもあります。

 ここ数日間、6月というのに30℃超えの暑さが続くフランスで、マスクはかなり厳しいものではありましたが、皮肉にも屋外でのマスク着用義務化が撤廃されるその日から、気温は、一気に下がっていく予報になっています。

 6月は、これからも、フェット・ド・ラ・ミュージック(音楽の日)や、サッカーのヨーロッパリーグの試合日程などが続き、血の気の多いフランス国民が興奮状態になる予定が目白押しです。

 中には、「イギリスを見ろ!早くに感染状態が改善したからといって、早くに色々な規制を解除した結果、感染の悪化が見られて、最終的な規制解除を延期しているではないか! イギリスの二の舞を踏みたいのか!」と不安をあからさまにしている人もいます。

 また、「このマスク着用義務化の撤廃や夜間外出禁止の撤廃の前倒しは、統一地方選挙を目前に控えた国民に迎合する人気取りの政治的な判断だ!」と批判する人もいます。

 たしかに、ロックダウン解除が進むに連れ、マスクをしていない人も増え、「23時以降の夜間外出禁止に何の意味があるのか?」などの声が上がっていたことは事実ではありますが、段階的な解除で予定していたとおりに進めていくことに、それほどの困難があったとも思えません。

 そして、この規制を早めた10日ほどの間にだけでも、どれだけワクチン接種ができて、その分の人が少しでも守られた状況でマスクの義務化や夜間外出禁止の撤廃の日を迎えた方がどれだけ、被害が少なくて済んだか?とも思います。

 イギリスで問題になっているデルタ株(インド変異種)に関しては、現在フランスでは、感染者の4%程度であると言われており、現段階ではさほど問題にはなっていません。しかし、この変異株自体は充分危険なものであり、今後、さらにこの変異株の選別のための措置を強化し、空港や港、国境における出入国時のコントロールを強化するとしています。

 また、これらの緩和の措置は、感染状況が急激に悪化した場合は、必要な規制を再び講じるとしています。

 しかし、規制はどうあれ、人のいない屋外はともかく、個人的には、まだ、到底、マスクを外す気にはなれそうもありません。

 ただ、多くのフランス国民は、これでさらに日常モードに近づき、これまでの鬱憤も合間って、一気にハメを外すのは、目に見えています。

 お祭り気分に拍車がかかり、フランスでは、「日本でのオリンピックなんて、全然、OKじゃん!」という流れになるかもしれません。


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2021年6月16日水曜日

6月15日から12歳から17歳の未成年もワクチン接種開始 未成年のワクチン接種の条件

 



 フランスは、現在までに3037万人へのワクチン接種が進み、全国民の45.34%が少なくとも1回のワクチン接種を受けています。(2回終了は、23.37%)

 フランスがとりあえずの目標としている全国民の60%へのワクチン接種まであと14.66%となりました。

 ここへ来て、ワクチン接種は、1回目のワクチン接種をする人と2回目のワクチン接種をする人とが、ほぼ同数になり、このままでは、2回目のワクチン接種をする人が上回り、後回しになっていた年少者へのワクチン接種がずっと先に取り残されることになります。

 このタイミングで、フランスは、12歳から17歳へのワクチン接種への門戸を開きました。もちろん、未成年ですから、両親の承諾書(webサイトでダウンロード可能)が必須で、ワクチンの種類は、現在のところ、ファイザー・ビオンテックのワクチンに限定され、薬局やかかりつけの医者ではなく、ワクチンセンターに出向かなければなりません。

 また、承諾書を書いた両親のどちらかは、ワクチン接種に立ち会うことが義務付けられています。

 また、これまでにコロナウィルスに感染後、小児多系統炎症性症候群(PIMS)を発症した子供は、重度の炎症反応のリスクを回避するために、ワクチン接種を受けることができません。

 これは、夏のバカンス後の学校再開時にの9月・10月に学校がクラスターとなる第4波を懸念しての対応でもあります。

 また、6月も半ば過ぎになってくると、2回目のワクチンがバカンス中に重なってしまうために、1回目のワクチンをしなくなる人が出ないように、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「7月にバカンスに行くために、今、一回目のワクチン接種をするのを躊躇ってはいませんか?」「1回目ののワクチン接種から21日から49日(3週間から7週間)の間に2回目のワクチン接種をスケジュールできるように、予約システムを変更しています。」とバカンス最優先のフランス国民の動向を慮る対応と説明を前もって発信しています。

 フランス人の夏のバカンスがいくら長いとはいえ、普通は、せいぜい1ヶ月のことです。3週間から7週間の間隔をあけられることがわかれば、バカンス前に1回目のワクチン接種をして、バカンスから戻って、2回目のワクチン接種をすることができます。

 また、フランスでは、ワクチンを少しでも無駄にしないために、1回でもコロナウィルスに感染して抗体を持っている人は、1回のみの接種で済ませられるため、ワクチンセンターにおける接種においては、ワクチン接種前の問診とともに、簡易の抗体検査を実施し始めました。

 この検査の実施により、すでに自分でも気づかないうちに感染して、抗体ができている人に対しては1回のワクチン接種で済ませることができ、ワクチンの節約と副作用の回避への対策にもなります。

 現在のところ、カナダ、イスラエル、イギリスなどの国々では、全国民の60%以上のワクチン接種率に到達しており、アメリカは、52%、イタリア、ドイツ、フランスが45%〜50%の間でスペインがそれを追う感じです。

 ワクチン接種開始当初は、大きく遅れをとったフランスですが、ワクチン接種に関しては、その後の追い上げでフランスは珍しく頑張りました。いつも、何をやってもグズグズと時間がかかるイメージなのに、こんなに遅れを取り戻せるなんて、やればできるんじゃないか!という上から目線で、その頑張りを讃えたくなります。

 当初は予約の電話が繋がらなくて、大変だったワクチン予約は、今では、高齢者でリスクの高い人から、ワクチン未接種者に保健所からワクチンの予約を促すために、一軒一軒、電話をしているというのですから、驚きです。

 ここで、「バカンスに出る前にできるだけワクチン接種をしてバカンスを安心して楽しもう!」キャンペーンをすれば、フランス人にとってはバカンスが鼻先にぶら下げられた人参になってさらにワクチン接種も進むかとも思いますが、ワクチンをしてもしなくともフランス人は、楽しくバカンスを過ごすに違いありません。


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2021年6月15日火曜日

フランス政府が若者に発行したカルチャーパスがMANGAパスになった!

 


 新型コロナウィルスにより停滞した文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために、マクロン大統領は、5月半ば過ぎに、現在、18歳(2003年生まれ)の若者、約80万人に対して、300ユーロのカルチャーパスを付与することを発表しました。

 マクロン大統領は、同時に、彼のTikTokアカウントでも、申請書のアカウントに名前を登録するだけで使うことができるカルチャーパスは、「映画、小説、マンガ、ビデオゲーム、劇場、ラップ、メタルなどなど・・あらゆる文化的な目的に使用することができます」と若者向けに拡散しています。

 若い世代には、若者の通信手段に向けて、自らのアカウントから直に発信するあたり、しっかりと時代を把握している感があります。

 このカルチャーパスの実現には2年以上の月日が費やされており、劇場、映画館、美術館、音楽、ショーのチケット、映画のサブスクリプション、芸術・美術材料、楽器のコースまでも提供しています。

 しかし、それには、ある程度の制限がかかっており、書籍は、書店からの購入に限られ、Amazonから配送することはできません。また、音楽の面では、SpotifyではなくDeezer、映画等の配信サービスは、Netflix、Amazon Prime、DisneyではなくCanal +、Madelenなど、フランスの産業を盛り立て、活性化するように意図されています。

 また、2022年1月には、このカルチャーパスは、中学生に年間25ユーロ、高校生にそれそれ50ユーロが割り当てられます。これは、一人当たり合計200ユーロで、若者が18歳になった時の300ユーロを加えると、500ユーロになります。

 この時点で、カルチャーパスは、中学生以上、400万人が該当する特大案件に膨れ上がります。18歳のカルチャーパスに関しては年間1億6000万から1億8000万ユーロが見積もられています。

 しかし、もともとフランスでは、ルーブルなどの主要国立美術館などに関しては、26歳以下は無料で、このカルチャーパスを使うまでもありません。 

 そして、いざ、蓋が開いてみると、これは、意外な?方向に偏り始めたのです。

 このカルチャーパスでは、本を購入することができるのですが、このうち、4分の3はMANGA(マンガ)で、日本の漫画コミックが爆発的に売れているのです。若者たちが、10 冊、20 冊、さらには 50 冊のマンガを抱えて店を出てきます。

 マンガを扱う書店におけるコミックの売上高トップ 40は、ほぼすべて日本語のタイトルで構成されています。書店においては、今や、「カルチャーパス=マンガパス」と呼ばれているほどです。

 「大多数は、普段は購入する余裕のない大規模なシリーズものを購入する」のだそうで、一人で10冊、20冊、50冊のマンガを抱えて店から出てくるのも頷けます。

 カルチャーパス運用のベストセラーマンガは、すでにトップセラーとなっているマンガです。フランスで2年間で200万部以上を売り上げた「鬼滅の刃」は、記録を塗り替え続けています。これは、先日、映画館の再開とともに、封切りになった映画「鬼滅の刃」の大ヒットも後押ししています。

 また、「進撃の巨人」の最終巻は10月13日に発売予定になっていますが、すでに、シリーズのすべての巻で在庫が落ちしています。

 フランスのカルチャーパスがまさかのマンガパスになるとは、フランスの文化継承に貢献することを見積もっていた政府の意向をよそに日本のマンガという文化がこれほど、フランスの若者に根付いていたことに驚きを隠せません。

 数年前から、フランスでは、普通の書店に行っても、当たり前のようにマンガが置いてあるようになり、メトロの中でもマンガを読んでいる若者を見かけたりすることに意外な驚きを持って眺めていましたが、このカルチャーパスにより、そのフランスの若者文化のほとんどをマンガが占めているということがさらにはっきりと浮き彫りになった形です。

 フランスで広まった日本食ブームの一旦は、マンガが担っていたとも言われており、日本のマンガの中に登場する日本のラーメン・餃子などの食べ物を食べてみたい・・と思って、最初は、パリにある日本食屋を訪れた・・という人も少なくありません。

 以前、家に遊びに来た女の子が「日本のラーメンを食べてみたい・・」というので、パリのラーメン屋さんに連れて行ったことがありましたが、「なぜ?ラーメン?」と聞くと、その子も日本のマンガが好きで、「マンガに出てきたラーメンを食べてみたかったから・・」とのことで、とても満足そうにしていました。

 日本のマンガを読んで、日本に行ってみたい!と、思う若者も少なくありません。コロナ前までは、日本行きの飛行機は、いつ乗っても、フランス人でいっぱいでした。

 残念ながら、現在は、日本へは簡単には、行ける状態ではありませんが、このカルチャーパス=マンガパスで、さらに日本を知る人が増え、パンデミックが終息したら、また多くのフランス人に日本を訪れて欲しいものです。

 それにしても、フランス文化の継承を目論んでいた政府が目の当たりにしたのは、「フランスの若者の文化=日本のマンガ」というフランスにしたら、ちょっと残念、でも日本人の私としては、フランスの若者から日本が愛されているような、ちょっと嬉しい現実でした。



カルチャーパス

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2021年6月14日月曜日

モンブランってフランスではマイナーな存在  アンジェリーナのモンブラン

 


 先日、数年ぶりにルーブル美術館へ行って、帰り道、あまりに閑散としているリヴォリ通り沿いのお店を気の毒だなぁと思いながら、それでも、久々に通るこのあたりの風景に、そういえば、ここには、こんなお店があったとか、もうちょっと行くとサン・ロック教会だな・・とか、サン・トノーレ通りだな・・とか、少しずつ思い出し、「あぁ・・そう言えば、もうちょっと行くと、アンジェリーナがある!」と思い出して、「久しぶりにアンジェリーナに寄って、モンブランを買って帰ろう!」と名案を思いついたのでした。

 本当は、ルーブルの中をさんざん歩いて、本当は、もう歩きたくはなかったけれど、モンブランのためだと思うと、元気に歩けるから現金なものです。

 私は、特にモンブランが好きで堪らないというわけでもないのですが、アンジェリーナのモンブランは、別です。というか、私は、アンジェリーナのモンブランを食べて以来、モンブランが大好きになりました。

 アンジェリーナは、1903年以来、パリのリヴォリ通りにある、今年で創立118年を誇る老舗の洋菓子のサロンです。店内は、ベル・エポックの有名な建築家、エドワード・ジャン・ニールマンスによってデザインされたもので、その装飾は、優雅さ、魅力、洗練を兼ね備えています。

                         
    


 歴史あるこのお店は、パリの貴族にとって欠かせない有名なお店で、プルースト、ココ シャネルなども通った場所として知られており、ことに「モンブラン」と「ホット・チョコレート」で有名なお店です。

 モンブランは、メレンゲの上にのった濃厚な生クリームがマロンクリームに包まれているだけのシンプルなものですが、小細工してない分だけ、生クリーム・マロンクリームそのものの味が引き立つ絶品です。

 一見、しつこいような感じもしますが、しっかり固まっているのにふわっとしているクセのない生クリームとマロンクリームは、素晴らしく相性がよく、上品な口どけに、後味もよく、あっという間に食べてしまいます。

 しかし、不思議なことに、フランスでは、モンブランを置いている洋菓子店は、そんなに多くありません。一般的なフランスの洋菓子店は、どこへ行っても、まるで決められているかのようにミルフィーユとかエクレアとか、タルトとか、同じものばかり・・モンブランを知らないフランス人も少なくないのではないかと思われます。

 意外なことですが、もしかしたら、モンブランという洋菓子自体の認知度は、日本よりフランスの方が低いかもしれません。

 我が家の近くの洋菓子店でも、まずモンブランを見かけることはなく、ようやく見つけても、どうしてもアンジェリーナに及ぶものではありません。

 一度、冷凍食品のお店PICARD(ピカール)でモンブランを見つけて、喜び勇んで買って帰りましたが、まあ、この値段なら、これで仕方ないか・・と思う程度のもので、また買おうとまでは思いません。(ゴメンねピカール!)

 ネットで調べてみたら、アンジェリーナのお店は、フランスで、10店舗。日本に7店舗、シンガポール、上海、ニューヨークにそれぞれ1店舗ずつ。日本にいかに美味しいものが入っているかが伺われます。

 フランスの洋菓子店などが海外進出をする場合、まずは、日本に出店して、様子を見る・・フランスにとって、日本は海外進出における大きなマーケットなのがわかります。

 しかし、日本に進出するような高級店舗や高級食料品は、フランスの一般庶民には、意外と知られていないのも皮肉なことです。
 
 以前、日本であれだけ高価な値段にも関わらず人気なエシレバターをフランス人は意外と知らないことにびっくりしたことがありましたが、とうとうとフランスの食べ物を語るわりには、意外と美味しいものを知らないフランス人は、食べ物に関しても意外と保守的で、質素です。

 灯台下暗しで、フランスにある本当に美味しいものを意外とフランス人は、知らないのです。

 お値段もなかなかで、モンブランは1個7ユーロ(現在のレートで約930円)、そうそう気軽に買える値段ではありませんが、モンブラン1個だけ買っていくという人も少なくないらしく、全然、気兼ねすることなく、「モンブラン1つ下さい」と言えるし、モンブラン1個用の箱や紙袋も用意されています。

 ここ数年、近くに寄ることがなくて、食べたいと思いつつも食べ損ねていたモンブランは、変わることなく、美味しくて、大満足。以前と全く変わることなく、変わったことといえば、「一緒にスプーン、つけますか?」と言われて、つけてもらったスプーンがプラスチックではなく、木のスプーンになっていたことぐらいでした。

 久しぶりのモンブランに寝た子を起こされた気分の私。

 また近いうちに、買いに行くつもりです。


アンジェリーナ本店 226 rue de Rivoli 75001 PARIS  10:00~19:00 無休
東京では、日本橋三越に入っているようです。



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2021年6月13日日曜日

パリ1区マドレーヌにオープンしたIKEA(イケア) IKEA City Paris


メトロ・マドレーヌ駅上がってすぐの抜群のアクセスにできたIKEA City Paris


 IKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具量販店で、これまでIKEAといえば、パリ近辺でもちょっと郊外の車なしには、行きづらいような場所にある広大な敷地の中に建つ倉庫のようなお店が普通で、まだフランスに来たばかりの頃に数回、行ったことがありましたが、そのIKEAがパリ・マドレーヌにできたと聞いて、「あんな場所にIKEA?」とちょっと意外な気がしていました。

 IKEAといえば、その倉庫のようなお店のイメージからも、あまり高級品のイメージではなく、(中には、高級品もあるけど・・)車で行って、倉庫のようなお店で組み立て式の家具や、大量生産品の食器やカーテン、クッションなどが比較的安く買え、ショッピングの合間に簡単でお手軽な値段の食事もできるスペースなどもあったりして、今で言う、コストコの家具バージョンのお店のようなイメージだったからです。

 パリ・マドレーヌといえば、パリ1区と8区の境界線あたりで立地条件も良く、家賃だけでも高そうで、IKEAのような広いスペースが必要なお店ができるなんて、思ってもみないことでした。

 マドレーヌ近辺は、マドレーヌ広場を中心として、今は閉店してしまったFAUCHON(フォション)の本店やエディアール(総合高級食料品店)の本店やトリュフの専門店やキャビアの専門店、有名なショコラティエなど、高級食料品店がたくさんある場所で、個人的には、他についでの用事がなくても、時々は、なぜかわりと行く機会も多い場所です。

 先日、どうしても美味しいチョコレートが食べたくて、その近辺に行った際に、IKEAを見かけて、ちょっと様子を見によってみたのでした。

 平日の昼間にも関わらず、結構なお客さんが入っていて、思わぬ人気ぶりに興味津々にお店を覗いてみたのでした。


 店内は、あのIKEA(家具の量販店)でありながら、地上階(日本でいう1階)には、調理器具や食器や、どちらかというと家の中のデコレーションや植物、照明器具、テーブルアートなどがメインで、比較的、値段もお手頃でなかなか可愛いものもあったりして、楽しいスペースになっていました。



こんな和食器っぽい湯呑みも・・


 あってもなくてもいいけど、あったら、ちょっと便利、ちょっと可愛いもの・・下手をすると爆買いしてしまいそうな・・そんな感じです。

 2階、3階は、キッチンやベッドルーム、子供部屋、サロンなどのショールームのようなスペースもあり、クッションやテーブルクロス、ベッドカバーやシーツなどの持ち帰れるものとともに、インテリアデザイナーに相談してキッチンや部屋をアドバイスを受けながら、コーディネートして作り上げることもできるサービス(要予約、有料)も行っています。

 この近辺は、数年前のテロ事件から、一昨年の黄色いベスト運動の暴徒化(黄色いベスト運動のデモの通り道になった)による被害を大きく受けてしまったこともあり、フォションを始めとして、多くの店舗が閉店に追い込まれてしまった場所でもあります。

  

キッチンのショールームのスペース




 
  
ちょっとしたスペースのデコレーションの展示


 実際に、現在、IKEAができた場所が以前、何の店舗であったかは思い出せないのですが、比較的、高級品を扱うお店が多いイメージだった場所にIKEAという量販店がデコレーションをコンセプトにした新しい趣きのお店をオープンしたことには、パリも少しずつ変化していることを感じさせられます。

 とはいえ、IKEAのすぐ隣には、すでにDECATHLON(デカトロン)という、大型スポーツ品店もあったりするので、その延長線の流れと考えられないでもありません。

 なにしろ、これまでアクセスが悪く、IKEAは、実際に行くよりも、カタログを見て、注文して・・ということが多かったのですが、この場所にできてくれることは、なんかグッと身近になった気がします。

 何よりも、家具ではなくて、ちょっと可愛くて安いキッチン用品やデコレーションなどは、パリ市民だけでなく、観光客にも、もしかしたら意外とウケるかもしれません。

 簡単な食事ができるスペースもあって、またそれが安く、1ユーロのソフトクリームや、50セントのベジタリアン用ホットドッグなど、テイクアウトでもその場で食べることもできます。

 6月23日には、このIKEA City の2号店がパリの中心地・サマリテーヌの向かい(144 rue de Rivoli 75001)にオープンします。

 パリにいらした際には、ちょっとIKEA City を覗いてみるのも楽しいかもしれません。


⭐️IKEA City Paris Madeleine(イケア・シティ・パリ・マドレーヌ)

 23 Boulevard de la Madeleine 75001PARIS

    メトロ 8・12・14番線 マドレーヌ駅 出口Rue Duphot

  月〜土 9:00~19:00,  日11:00~19:00



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2021年6月12日土曜日

ネット上で広まる偽のワクチン接種証明書・QRコード販売に、パリの病院の看護師が加担していた!

  



 以前、偽のPCR検査の陰性の証明書が出回っていたことがあったので、偽のワクチン接種証明書なるものも、きっと出てくるだろうと思っていたら、やっぱり出てきました。

 パリのサンタンヌ病院で1月から臨時職員として働いていた看護師が、ネット上で販売されていた偽ワクチン証明書の発行に加担していたことが発覚し、衝撃を呼んでいます。

 これは、偽のPCR検査の証明書と同じようにネット上で販売されています。

 例えば、スナップチャットでは、「ワクチン接種を希望せず、ワクチン接種済みとみなされたい人は、私に連絡してください。もちろん、無料ではありません。生理食塩水は 400 €です。」と、こんな文言が流されています。

 これからのバカンスシーズンに向けて、ワクチン接種証明書がなければ、色々と行動が制限されることが必須である現在、ワクチンを受けたくないアンチワクチン派の人にとっては、買ってでも欲しいものであるかもしれませんが、感染拡大回避のために広げているワクチン接種に偽のワクチン接種証明書なるものが横行すれば、何の意味も持たなくなります。

 この疑惑は、予防接種センター内での「1日10人以上の患者さんに対して、この患者さんは、自分の担当だ!」と固執する彼女の不自然な行動の変化を不審に思った同僚の密告から、彼女の行動が数週間にわたって観察され、発覚したものです。

 まさか、医療従事者の中から、このような不正が起こるとは、許し難い気持ちです。

 本来、フランスで、ワクチン接種を予約した場合、ワクチンの種類や接種場所は、指定できますが、それを誰が接種するかまでは、予約はできません。それを私の担当だなどと言い張ることが、どれだけ不自然なことか? 現在、次から次へとワクチン接種に訪れる人がいる中、ワクチン接種をする側とて、患者を選んでいる場合ではありません。

 同僚の密告を受けて、彼女の行動を追跡した医師は、彼女が自分の患者だと抱え込んだ患者は、同様に一度は、コロナウィルスに感染したと主張し、1回だけの接種でワクチン証明書を受け取っていることに気がつきます。

 しかも、その1回の接種さえ、行われておらず、通常、そのワクチンセンターでは、予防接種を受ける人々の皮膚はオレンジ色の消毒剤を使っていますが、彼女が担当した患者には、消毒剤の痕跡はなく、ワクチン接種が行われなかったことを示しています。

 彼女は、少なくとも1日あたり、10名に対して、実際にワクチンをせずにワクチン接種証明書を渡していたことがわかっています。彼女がいつからワクチンをせずに証明書を渡す闇の仕事に関わっていたのかはわかっていませんが、すでに相当数の実際はワクチン接種を受けていない証明書が出回ってしまっていると思われます。

 病院は直ちに看護師の契約を打ち切り、国家看護師団、検察官、地域保健局にもこの事実を通知しました。

 偽のワクチン接種証明書とQRコードを偽造するのではなく、実際には、ワクチン接種はせずに本物のワクチン接種証明書が配布されていたわけです。

 この看護師からワクチン接種証明書を買い取った人が追跡され、それが剥奪されるかどうかは、現在のところ、不明です。

 実際には、ワクチン接種を受けるのは、無料なのに、400ユーロ払って、不正をしてまで受け取りたいワクチン接種のQRコードと証明書。感染する危険と感染させる危険を軽減させるはずのワクチンをそこまでして、受けたくない、しかし、自由に行動するパスポートは欲しい。

 これは、「義務を果たさずに権利だけを主張しようとする」ダメなフランス人の傾向にも通ずるところがあります。

 ワクチンがそこまで嫌なら、せめて、感染しないように、自分自身で行動を規制すべきところです。

 そして、それを利用し、闇で商売をしようとする人々とそれに加担する医療従事者。

 また、驚くことに、この看護師を非難するよりも、病院スタッフの一部のメンバーは、ワクチン接種体制の機能不全を非難しているという、「それは私のせいではない」という責任回避のをする、いかにもフランスには、ありそうな、その後の騒動の発展の仕方なのでした。


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