2019年8月31日土曜日

パリの日本人コミュニティ

私の元同僚の日本人の女性に、パリ近郊に住みながら、日本にどっぷりと使ったような生活を送っている人がいました。彼女は、アラブ系の男性との国際結婚でフランスにやってきたのですが、在仏歴30年以上になります。  もうすでに、リタイアしていていますが、今でも付き合う人は、ほぼ、日本人で、彼女は、パリの日本人コミュニティーの中で暮しています。  そんな彼女は、パリの日本人コミュニティの中では、顔も広く、日本人エリアと言われているオペラ界隈を歩けば、数メートルごとに知り合いの日本人に出くわします。  彼女のバイブルは、日本の週刊誌。日本を行き来する知り合いから手に入れては、大事そうに...

2019年8月30日金曜日

フランスのシェアハウスでいつの間にか寮長のようになっていた娘

 娘は、昨年から、自宅から通学が不可能な場所にある学校に入学したために、生まれて初めての一人暮らしを始めました。  一人暮らしといっても、シェアハウスのようなところです。  大家さんが階下に住んで、一応の監督下にはあるものの、シェアしている上の階は、別になっています。  上の階には、部屋が5つあり、それぞれの部屋には鍵もかかり、個人のスペースはプライバシーが保たれるようになっていますが、キッチン、バスルーム、トイレ、テラス、洗濯物を干したり、アイロンをかけたりする部屋は、共有となっています。  娘以外の4つの部屋には、男性4人が住んでいて、  1) 31才のフランスの大手企業の経理の仕事をしている社会人。なぜか、冷蔵庫の彼のスペースには、大きなペットボトルに入った水だけ。  冷やした水だけで、水風呂に入るというこだわりを持つわりには体臭がきつく、毎朝、毎晩、壁越しにも聞こえるような大きな深呼吸を続ける健康法実践者。  2)23才の縫製の専門学校生、でも学校には、ほとんど行っていない。でも、将来は、スケボーのウェアのブランドを作りたいという人。ウーバーイーツのアルバイト中。でも、マリファナを使用していることが発覚し、大家さんから、お母さんにマリファナのことを注意されて、大家さんと大げんかして退去。  3)25才 当初はカーフールの夜中の在庫整理のアルバイト。でも、契約が切れて、契約延長されずに、うちでダラダラと無職。  4)32才 将来は、映画監督志望の映像関係のAD、シナリオライター。 ヴィーガン、オーガニック、出張が多く、あまり家にいない。  娘は、高校卒業後、一人暮らしを始める前の二年間は、クラス・プレパラトワール・オ・グランゼコール(グランドエコールのための準備機関のような学校)に行っており、とても授業の進み方が早く、かなり、根を詰めて勉強していたため、私自身もこの2年間だけはと娘に家のことはやらせずに過ごしてしまっていました。  そのため、一人暮らしで、まあ、なんとかなるだろうとは、思いつつ、内心では、一体どうなることやら?と思っていました。  最初の引越しの時だけは、私も引越しを手伝いがてら、大家さんにも挨拶をして、一応、どんな環境なのか、様子を見てきましたが、同居人たちは、その時は不在で会うことはできませんでした。  娘も新生活を始めて、しばらくは、お料理をするにも、ラインで、”肉じゃがってどうやって作るの?” とか、出来た料理の写真を送ってくれたりしていました。  そして、新しい学校に通い始め、自分の生活も動き始めた頃に、少しずつ、同居人の様子が見え始めたようでした。  周りは、全てフランス人のしかも、彼女より年上の男性ばかりです。  しかし、他人と生活したことのなかった彼女の中には、共同生活の不満がムクムクと湧き上がってきたようです。  ゴミをちゃんと捨てない。大きな音で音楽を聴く。食器、調理器具を洗わない。片付けない。一応、共同スペースの掃除は交代で週末にやることになっているのにやらない・・などなど・・。  そこで、黙っていないのが、フランスで育った彼女のたくましいところです。  年上の男性たちに向かっても、臆することなく、掃除をサボった人には、きっちりと注意し、当番制を徹底し、トイレットペーパーや共同で使うものの買い物のお金の徴収や分配をしたり、WIFI...

2019年8月29日木曜日

フランスのテロの報道と対応

 私は、日頃、あまりテレビを見ないので、フランスで、テロなどの事件がおこったりしても、日本にいる友人などからの、” 大丈夫?” というメッセージで、初めて事件を知り、慌ててテレビをつけたりして確認したりすることも少なくありません。  大概、日本の報道は大げさで、独特で不安を煽るような報道の仕方をするので、実際には、現地では、そんなに騒いでいないのに・・ということも多々あります。現地では、よほどでない限り、日本の報道のように過剰に反応することは、ありません。  でも、2015年に起きたパリ同時多発テロが起こった時には、さすがにフランス国内も震撼とし、少しのことでも過剰に反応し、ピ...

2019年8月28日水曜日

レイシスト 差別的な言動

 私の会社には、マルティニーク(以前、フランスの植民地だったところ)出身のファムドメナージュ(お掃除のおばさん)がいました。    普通、ファムドメナージュといえば、朝だけ、お掃除をして帰る場合が多いのですが、その他の雑用などもやってくれていたので、彼女は常勤で、一日の勤務でした。  当然、接する機会も多く、子供好きだったりして、娘の成長なども一緒に喜んでくれたりしていたので、写真を見せ合ったり、彼女の子育ての話を聞いたりと、顔を合わせれば、軽い世間話などをしたりもしていました。  彼女は、体格のいい、気のいいおばさんで、フランス人はもちろん、日本人とも長く仕事をしてきたためか、とても親日家で、日本人にも、好意的で優しく、陽気なおばさんでした。  でも、おしゃべり好きで、ついつい仕事を放りがちになってしまったりすることもあり、そんな時に、注意されたりすると、「あなたたちは、レイシスト(差別的な言動を行う人)だ!」と、烈火のごとく、怒り出すので、困ってしまいます。  それは、ただ、仕事の仕方を注意しただけであって、別に差別用語を使ったわけでもなく、彼女を差別しているわけでもありません。  しかし、「あなたは、レイシストだ!」と言われては、たとえ、こちらはそうではないにしても、”...

2019年8月27日火曜日

フランスの駅とトイレの先進国とは信じ難い臭さ

 ロンドンからユーロスターでパリ北駅に着くと、ロンドンのセント・パンクラス駅とのあまりの違いに、フランス人でない私でさえ、ガッカリしてしまいます。  人一倍プライドが高いはずのフランス人のトップである大統領や政治家は、ロンドン⇆パリ間のこの路線を利用して、ロンドンとのこの差を何とも思わないのだろうかと思ってしまいます。  駅舎自体がどうとかということよりも、その汚さ、臭さが、何より、信じ難いのです。  駅のトイレなどが少ないこともありますが、その少ないトイレでさえ、汚物が散らばっていたり、汚れたままになっていたり、便座がないことも少なくありません。  残念ながら、この便座のないトイレを見て、パリに来たと感じるという人もいるくらい、パリのトイレのみすぼらしさは、象徴的なひとつとなってしまっています。  日本人は、パリには、ウォシュレットがないのか?...

2019年8月26日月曜日

フランス人の夫の買い物

 娘が小さい時に、「けっこんするって、どういういみかしってるよ!!」と、得意そうに言ったので、「じゃあ、結婚するって、どういうことなの?」と、聞き返したら、「けっこんするって、いっしょにおかいものにいくことでしょ!」と可愛いことを言っていた時期がありました。  しかし、結婚が娘のいう通りとするならば、我が家はとっくに崩壊しています。  確かに、一緒に行くこともあるのですが、お買物に関しては、全く趣味が合わず、夫が立ち止まるところと私の立ち止まるところは、全く違い、そのうち、一緒にお買物に出かけても、特別な家具などを除いては、別行動を取るようになり、ある一定の時間をとって、待ち合わせの時間を決めて、私と娘は、別行動を取るようになっていきました。  もともと、私は、お買物というものが、あまり好きではなく、人と一緒に買い物をして歩くことも、あまり、好きではありません。自分のペースでさっさと見て歩き、即決、即買い、驚くほど、早く、時間をかけません。  夫は、私とは、違って、お買物が大好きなのです。  ひとつひとつ立ち止まっては、遠くから眺めてみたり、説明書きを丁寧に読んでみたりと、時間がかかる上、およそ、実用的なものには、興味がなく、必要なものを買ってきたためしがありません。  夫が好きなのは、アンティークといえば、聞こえは良いですが、古い置物や飾り物、 食器類などなど。蚤の市などを見て歩くのも大好きで、外地を転々としていた頃に買い集めたものなどは、どうしていいものやら・・・。  まったく、「家を博物館にでも、したいのかい!」という感じなのです。  日本にいた頃に買い集めたものだけでも、大きいものは、階段簞笥や屏風、日本画、掛け軸、大きな扇子、漆塗りの舟型などの和食器、刀、鎧兜、花瓶など、アフリカでは、そこそこの大きさの木像(象や人のものがいくつも)、銅像、マスク(お面)、ボンゴなどの楽器類、アフリカの村のメダルを集めた額、民族衣装から豹の皮まで・・。  大豪邸に住んでいるならいざ知らず、一般庶民の私たちのアパートは、物にあふれているのです。  シンプルな生活を心がけている私としては、夫が何か、買い物をしてくるたびに、”...

2019年8月25日日曜日

イギリスのホスピスにいた、ある青年とお母さんの話

 私は、二十歳になるまで、身近な人の死を経験したことがありませんでした。  私が初めて経験した身近な人の死は、祖父の死でした。 祖父は、最後をチューブに繋がれた状態で、家族も近づかせてもらえない、寂しい最期でした。  祖父の死に方に疑問を抱いたことをきっかけに、私は死生学の勉強を始め、何年かのちに、現在のホスピスムーブメントの牽引となっていたシシリー・ソンダースのオープンしたセントクリストファーホスピスをはじめとしたホスピス大国であるイギリスのホスピスにスタージュに行きました。  私がスタージュをさせていただいたのは、ロンドンの北部に位置するベルサイズパーク駅から5分ほど、道幅の広い、緑に囲まれた静かな住宅街の中にある...

2019年8月24日土曜日

旅の醍醐味はハプニング イタリアの旅

 以前、私がまだ、日本にいた頃、イタリア好きの日本人の女の子と二人でイタリアを旅行したことがありました。楽しかった旅行も今になっても思い出すのは、日汗もののハプニングばかりです。  東京から、ローマ経由でシシリー島へ飛び、パレルモで車を借りて、を途中、アグリジェント、シラクーサなどを周り、何泊かしながら、タオルミーナまで行き、その後、フィレンツェに寄って帰りました。  まず、最初のハプニングは、ローマに着く飛行機が遅れて、ローマからシシリー行きの飛行機に乗り遅れたことから始まりました。  ローマの空港に着くなり、空港の中を走って、次の飛行機に乗ろうとしたのですが、間に合わず、チケットを次の便に切り替えてもらい、まずは、一息。  次の飛行機は、翌日の早朝で、もうすでに夜遅くなっており、今の時間から、ローマの街に出て行くのは、危険だと判断した私たちは、女二人で、ローマの空港のベンチで夜を明かすことにしました。  夜も更けて行くにつれ、空港にいる人はどんどん減っていき、警備のための長い銃を持った憲兵隊が現れ始め、パスポートのチェックを受け、残っている人は、空港の中央に集まって座るように促されました。  お気楽な私たちは、”これは、安心だね!”...

2019年8月23日金曜日

子育てをして、改めてわかる親の有り難み

 私が幼い頃は、とても厳しい母でしたが、成長するに連れて、母は、” こうしなさい!” とか、” こうするべき!” とか、そういったことは、言わなくなりました。  ただ、母は、” やっぱり、子育ては、できたら、した方がいい " とだけは、常々、言っていました。  そして、そんな、母の言葉がどこかに染み付いていたのか、私の中にも漠然と、子育てをしてみたい・・という気持ちが、どこかに、いつも潜んでいたように思います。  そんな私は、主人と出会い、子供を授かり、なぜか、思ってもみなかった海外で子育てをすることになりました。  周りに、子育てを助けてくれる人もなく、その代わりにうるさく言われることもなく、自分の感じるように、思うように、子供を育ててきました。  でも、振り返って考えると、私が娘にしてきたことは、国や環境が違っても、基本的には、母が私にしてくれてきたことをなぞってきたことに気付かされます。  毎回、栄養のバランスを考えた食事から、あいさつ、人への思いやり、日本語の読み書き、英語、ピアノ、学校選び・・などなど、母が私に教えてくれていたことは、数え切れないほどです。  そして、そんな母が私にしてくれてきたことを私が自分の子供にするのは、当然のことのような、思い込みが、知らず知らずのうちに、私の中に埋め込まれていたのです。  私が子供に対して、当然するべきことと思っていた一つ一つのことは、母が私にしてくれていたことで、その子の個性もありますから、全く同じではないにしろ、いざ、自分がやってみると、そのひとつひとつがどんなに大変なことだったのかが、事あるごとに、改めて、しみじみと感じさせられます。  実際に子育てをしてみて、改めて、親のありがたみを感じている方も少なくないと思います。  親にしてもらってきたことは、感謝しつつも、どこか、当然のこと、あたりまえのことと思ってしまいがちです。  しかし、子育てに関することだけではありませんが、あたりまえだと思っていることは、実は、あたりまえではないのです。  あたりまえのことなど、本当は、一つもないのです。  何でも、”そんなのあたりまえだ!"...

2019年8月22日木曜日

フランスのモードの世界 

 パリは、モードの発信地として、世界的にも、誰もが認めるところとなっています。  他の色々なことが、なかなか、改善されず、古いままなのに、モードの世界だけは、なぜか、新しいものが、どんどん、遅れることなく、次々と出てくるのは、一見、とても不思議なことでもあります。  モードの世界では、毎年、春夏、秋冬、と、シーズン毎の新作のコレクションが発表され、店頭に並ぶ、およそ一年くらい前から、デザインは、出来上がっており、個々のお店が新作の注文をするのも、9ヶ月ほど前になります。  ですから、モードの世界を追っていると、ふと、なんだか生き急いでいるような気さえしてしまいます。  その年、その年の流行には、共通するものがありながら、それぞれのメゾンで独自のデザインを発表しています。  そしてまた、それぞれのメゾン、中でもグランメゾンといわれる、一流のメゾンのプライドたるや、相当なものです。  あたかも、それにふさわしい人以外には売らないと言わんばかりに、デザインを壊すサイズのものは、敢えて作らなかったりもするのです。    まあ、当然といえば、当然です。  デザインを壊してしまっては、ブランドのデザインは、崩れてしまいますから・・。  その毅然とした態度は、あっぱれとしか言いようがありません。  そんな風に、ファッション、化粧品、香水の類は、およそ、フランスの現実とは、かけ離れた速度で着々とシーズン毎に素晴らしい新作、新商品を発表していくのです。  また、新作の買い付けも、グランメゾンに関しては、華やかにパーティー形式を取っているものや、化粧品などの説明会などは、本社の美しくデザインされた研修センターや一流ホテルの大広間を貸し切っての朝食のビュッフェから、昼にはコース料理が振舞われ、1日がかりの華やかなプレゼンテーションの中で行われています。  しかし、そんな、モードの最先端を走ることが可能なのは、モードの世界も、フランス文化の古い歴史と基盤の上に成り立っているからなのです。  そして、それは、また、フランス人の美的感覚、色彩感覚の鋭さでもあり、フランス人のプライドでもあるのです。  いみじくも、あるフランスの歴史学者が、”...

2019年8月21日水曜日

美しく歳を重ねる同じアパートのフランス人のマダム

 彼女は、私と同じアパートの住人で、今の住まいに引っ越して来て以来の付き合いなので、もう、ずいぶんと長い付き合いになります。  彼女とは、付き合いといっても、顔を合わせた時に少し、話をする程度です。  もう多分、60も過ぎていると思いますが、小柄な彼女は、出勤の際にも、いつも、きっちりとお化粧をして、髪の毛もキレイにセットして、香水の香りを漂わせながら、ニッコリと笑顔で挨拶をしてくれます。  そして、アパートのエントランスを出ると、振り返って、ベランダから手を見送るご主人に手を振りながら、華やかな笑顔で投げキスを送っていきます。  その姿は、ただただ、華やかで、見事としか言...

2019年8月20日火曜日

フランス人は、意外と長生き

 言わずと知れた平均寿命が世界一の長寿国である日本ですが、フランス人も意外と長生きなのです。  最近のデータによると、フランス人の平均寿命は、男女を合わせた平均だと、82.9歳で世界4位、女性だけだと、85.7歳と日本に次いで、世界第2位の長寿国なのです。  フランスは、日本ほど、健康のためには、これを食べるといいとか、食生活などでも日本ほど、健康を心がけているような感もないのに、不思議です。  日本は、少子化、高齢者社会と問題になっているので、ひたすらに、長寿が目立つ感がありますが、フランスには、少子化の問題はないとはいえ、高齢の親の介護の苦労話はよく聞きます。  私の周りでも、夫婦揃って90代後半のご両親の様子を定期的に見に行っているとか、高齢のお母様がどうやら一人暮らしが危険になってしまったために介護施設を姉妹で、必死に探しているとか、その施設もやたらと高額なのだとかという話を耳にします。  私が住んでいる地域は、富裕層の老人が多く、老人用の介護施設などもいくつかあり、街中でもお年寄りをよく見かけます。  老夫婦が寄り添って、買い物をしている姿などは、とても微笑ましいものです。  シニア層の人々の外出の多さも目を惹きます。 もしかしたら、健康寿命は、日本よりも長いのではと思ってしまうほどです。  でも、平均寿命の数値の男女差が物語っているように、カップルではない老人は、圧倒的に女性が多いことにも、あらためて気付かされます。  また、その女性たちの強いことと言ったら、ありません。 フランス人は、男性よりも女性の方が圧倒的に強い感があります。  それが寿命の差にも表れていると思うのです。  近所を通るバスなどに乗って、うっかり座っていようものなら、堂々と年配の女性がやってきて、”...

2019年8月19日月曜日

アフリカは、アフリカでいい

 私が住んでいたのは、西アフリカのコートジボアールという国で、アフリカのパリと言われるアビジャンという都市でした。  そこは、どうしてアフリカのパリと呼ばれるのか、アフリカ初心者の私には、到底、理解できない世界でした。まあ、中心部には、ビルが立ち並んでいたりして、ある程度は、都会的で、フランス領だったことからパリと形容されているのかもしれません。  私にとっては、初めてのアフリカは、ほんとうにカルチャーショックを通り越して、現実のアフリカの世界が3Dで飛び込んでくるような迫力でした。  住まいは、フランス人の集まっているレジデンスで、現地の人々の世界とは、隔絶された世界でした...

2019年8月18日日曜日

フランスのドクターストップの制度

 主人の実家の近くのドクターのところに彼が行くと、第一声が、” Tu veux arreter ? " (ドクターストップにする?)なのだそうです。    ドクターストップは、お医者さんに、ほぼ全ての権限があり、このお医者様は、極端ではありますが、気軽に書いてくれる先生とそうでない先生がいて、ずいぶんと差があるようです。  あまり、ドクターストップの安売りをしている医者には、チェックが入るそうなので、それを恐れて、なかなか、出してくれないお医者さんもいます。  私の元同僚であった友人がガンで闘病中だった時に、逆に、手術後、しばらくすると、ドクターストップを解かれてしまい、まだ、体調も万全ではないにも関わらず、仕事に復帰せざるを得なくなってしまったというようなケースもありました。  フランスでは、厚生省が定めた、いわゆるどドクターストップのシステムの基準が大きく分けて、二つのものがあります。  一つは、一般的な怪我や病気の場合などは、いわゆるアレットドトラバイユ といって、ドクターストップがかかり、その間のお休みは本人の休暇として換算されることはありません。また、その間のお給料は、半分くらい、日割りの計算で支給されます。 (ただし、ガンなどの特別な疾病に関しては、100%保証されます。)  これに対して、アクシダンドトラバイユというのは、仕事中、もしくは、通勤・退社途中に起きた場合の疾病・事故に限定するドクターストップです。  これについては、2名の証人のサインが必要になり、セキュリテソーシャル(フランスの健康保険機構)に24時間以内に提出が義務つけられています。  また、この場合は、仕事場で起こった疾病・事故ということで、お給料も100バーセント支給されます。  ですから、フランスに在住の方は、もし、職場で何かあったら、早急に証人を誰かに頼んで、手続きをすることをお勧めします。  私は、一度、仕事中に会社の階段を踏み外して、転んで、足を怪我して、一ヶ月強、アクシダンドトラバイユで、休んだことがありました。  転んですぐには、恥ずかしさもあって、”...

2019年8月17日土曜日

日本にいる親の介護問題

 海外で生活していて、両親が歳をとってくれば、年々、気にかかるのは、親の介護問題です。  母は、心臓の病気を抱えていましたが、最後のギリギリまで、家での生活を何とか続けていくことができていましたので、看病らしい看病をする間もなく、亡くなってしまい、介護の問題といっても、私が帰国した際に訪問介護の手続きをしたり、家の内装を整えたりといったことは、できましたが、そこまで深刻な状況にはなりませんでした。  私は長いこと海外暮らしでしたし、弟もちょうど、母が倒れる直前に海外赴任になり、側にいることは、できませんでした。  母が亡くなって以来、父は、一軒家に一人で暮らしていましたが、同じ敷地内に父の兄家族が住んでいましたので、父、本人も、まるで、ひとりぼっちという気分ではなかったようです。  ところが、晩年になって、父が次第に弱ってきた頃に、問題は、勃発したのです。  弟は、それでも、日本から比較的、近い国、しかも、日本企業での勤務でしたので、出張で日本に来る機会もあったりしたので、その際には、顔を出して、宅配の食事の手配などをしてくれたりしていました。  私も、仕事も家庭も放り出して、日本に帰ることは、できませんでした。  父は、子供の頃から住んでいる場所に並々ならぬ執着があり、再三再四、説得しても、介護施設に入ることは、受け入れてはくれませんでした。”...

2019年8月16日金曜日

イギリスの不思議、ヨーロッパの不思議

 私が初めて海外生活を送ったのは、イギリス、ロンドンでした。  初めての海外生活に不安と期待でドキドキ、ワクワクしながらも生の英語での生活に慣れるのに必死でした。  英語なら、なんとかなるだろうと、タカをくくっていた私は、実際に思うことが思うように言葉にならず、また、同じ英語でもアメリカの単語だとわからないふりをされたり、いちいち直されたりで、ウンザリもしました。  街で見る景色も人々も新鮮で、不思議なことは、たくさんありました。  人々が寒さに異様に強いことも不思議でしたし、雨が降ってきても、誰も傘をささないことも不思議でした。  信号が赤でも、みんな平気でどんどん渡っていくし、地下鉄のシートは汚く、駅の時計などは、まともに動いている方が珍しい感じでした。  地下鉄では、何かあるたびに、”...

2019年8月15日木曜日

私がフランスで、未だに小切手を使う理由

 さすがに、最近は、スーパーマーケットなどで、小切手で支払いをしている人を見かけることは、(これをやられると、ただでさえ時間がかかるレジで、身分証明書を確認したり、サインしたりする作業などが加わるので、一層時間がかかり、行列を招きます。) 減りましたが、私は、時々、いくつかの支払いに未だに小切手を使っています。  それは、以前に edf(フランス電力会社)の支払いの際、自動引き落としにしていて、二桁も間違えられて、引き落とされた際の苦い思い出や、支払いの際の、払った、払っていないという問題が生じた場合に、小切手で支払えば、小切手のナンバーで、支払ったことを通知しやすいからです。  あくまでも、全て、ミスが起こることを前提として、考えているからです。 出来るだけ、ミスが起こらないように、そして、起こった場合に対処しやすい方法を考えるようになるのです。  edf...

2019年8月14日水曜日

フランスから日本へのお土産で喜ばれるもの

 フランス暮らしも長くなり、日本へ帰国するたびに持っていくお土産には、ほんとうに頭を悩ませています。もはや、お土産のことを考えるだけで、日本行きが億劫に感じられるくらいです。  しかし、手ぶらでは、帰れない! 毎回、山ほどのお土産を持って帰ります。  平均して、毎年、年に1〜2回の帰国で、今まで、考えうるものは、もう全て、持って行ったというくらい、持っていき尽くした感があるです。  洋服、バッグ、化粧品、香水、食料品、はっきり言って、かなりの出費も嵩みます。  化粧品などに関して言えば、日本には、日本人の肌質や気候に合った優れたものがたくさんあるし、シャネルやディオールなどのフランスの大手化粧品会社では、世界中、どこでも同じ価格で買えるような価格設定を目指していると言います。  その上、日本人の好きな、美白、日焼け止め効果のある化粧品に関しては、シャネルなどのブランドにおいても、アジア限定の商品を発売しているくらいです。(こちらの人は、美白よりも、日焼けして、リッチさをアピールしたがる傾向にあります。)  だいたい、日本のデパートに行けば、フランスのものだらけと言ってもいいくらいで、フランスのもので、日本で手に入らないものは、まずないと言っていいくらいです。  まあ、化粧品に関しては、価格の点から考えると、ビオコスメのメーカーの値段的にもお手頃なユリアージュのハンドクリームやリップクリームなど、無香料の上に質が良いので、おススメです。(男性でも、女性でも使えるし・・)  また、ビタミンCのタブレットや、アヴェンヌのシカルフェートクリーム(ニキビ、肌荒れ、虫刺されなどにも効く万能クリーム・これも無臭でサラッとしています。)なども便利です。  だいたい、日本のデパートに行けば、フランスのものだらけと言ってもいいくらいで、フランスのもので、日本で手に入らないものは、まずないと言っていいくらいです。  ですから、もう、こちらも思いつかないので、日本に行く前には、注文を聞くようにしています。  その結果、最近は、もっぱら、空輸の利点を活かした食料品に頼っています。  特に人気があるのは、バター、チーズなどの乳製品です。  日本でのフランスの乳製品の値段には、ビックリしてしまいます。いくら、美味しいとはいえ、この値段で、誰が買っているの? と思う程です。 (こちらでは、一番スタンダードでお手軽なプレジダンやリオンのカマンベールなども少なく見積もっても7〜8倍の値段です。一体、これは、どこが儲けているのか? 税金なのか? 仲介業者なのか?と、いつも、思います。)  エシレバターなどは、こちらでも、普通のバターに比べると、若干、高めで、バターを大量消費するフランス人の一般家庭では、あまり、消費されているわけではありません。  とは言え、この値段の違いを考えれば、お土産としては、かなり、ポイントが高いようです。  チーズに関しても、スタンダードに日本に輸出されているものは、少なく、チーズならば、あまり、日本では、手に入りにくいものがたくさんあります。  ここのところの、内輪での人気は、コンテですが、これも熟成期間、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月と色々です。できれば、その場で、大きく切ってもらったものを買って、日本に帰ってから切り分けることをおススメします。  日本で手に入りにくいと言えば、エシレの生クリームなども結構、喜ばれました。  あとは、コンコイヨットと言って、リキッド状になっているチーズなどもパンに塗って食べたりしやすいので、日本人には、人気があります。  また、トゥルトーフロマージュと言って、袋入りの黒いチーズケーキもあっさりとしていて、日本には、あまりないので、おススメです。スーパーのチーズコーナーのレイヨンに売っています。  チーズ以外には、野菜類、季節にもよりますが、エシャロット、アーティーチョーク、紫色のジャガイモなどなど。  他に、参考までに、今まで、喜んでもらったものは、ブーケガルニ、ブイヨンキューブ、パウダーのスープ類(日本にはない、アスパラやポアロやセップ茸のものなど)、ゲランドの塩、ドライのセップ茸、バルサミコ風味のマスタード...

2019年8月13日火曜日

フランスのホームパーティー

 日本にいる時は、友達と会うのも、圧倒的に外で、どこかに飲みに行くとか、食事に行くということがほとんどでしたが、海外に来てからは、めっきり、友人と会うのも自宅に人を招いたり、招かれたりということが多くなりました。  ある程度、仲のいい友人になると、「どこかにご飯、食べに行きましょう!」ではなく、「うちで一緒に食事しよう!」となることが圧倒的に多いのです。  もちろん、どこかに美味しいお店があって、それを食べに行こうということだって、あるには、あるのですが、圧倒的に家で・・ということの方が多いのです。  それは、基本的にフランス人は、倹約家(ケチ)だということもあると思います...

2019年8月12日月曜日

フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方

 フランス人は薬が好きです。  薬が好き・・というと、ちょっと語弊がありますが、薬に頼ろうとする傾向が高く、またそれは、保険制度の仕組みのおかげ? でもあり、お医者様が処方箋を書いてくれた薬に関しては、特別な薬以外は、ほぼ、保険でカバーされるので、余計に薬をたくさん使うようになっているのかもしれません。  実際に、薬屋さんと、メガネ屋さん(これも、保険でかなりカバーできます)は、繁栄の一途を辿っていて、あまり、潰れるのを見たことはありません。  私自身も定期的にお医者さんにかかっていますが、いつも、常備薬として必要な薬のリストを持って行って、まとめて、処方してもらっています。  これなら、お金がかからないので・・。w  日本のような、医食同源という観念は薄く、"...

2019年8月11日日曜日

妻に花束を贈り続けるフランス人の話

 ジャン・ピエールは、私の元、同僚?というか、同じ会社で働いていたフランス人のおじさん(いや、もう、おじいさんになってしまいました。)です。  社内の壊れ物をなおしてくれたり、外にお届けものをしてくれたり、買い物をして来てくれたり、運転をしてくれたりと、社内の雑用を一手に引き受けてくれるとても優しいおじさんでした。  彼は、もともとは、前の社長が自分の犬の散歩係として雇ったという人で、難しい仕事は嫌いです。ちょっと、厄介なことを頼まれそうになると、いつの間にかスーッと姿を消していて、ほとぼりが冷めた頃にちゃっかり何気ない顔をして帰って来ます。  でも、厄介なことが嫌いなだけで、とても気の優しい...

2019年8月10日土曜日

海外生活への順応と自分の価値観 日本では、あたりまえのこと

 私も海外に出たての頃は、” 日本だったらこうなのに・・” とか、" 日本だったら、こんなことは、ないのに・・” と、いちいち思っていました。  日曜日には、お店が閉まってしまうことや、バスやメトロなどが時間通りに来なかったり、郵便物、宅配品などが届かなかったり、客を客とも思わないようなお店の対応や、やたらと自己主張の激しい人々、ロクに働かないのに、バカンスはたっぷり取ること・・などなど。未だに、挙げればキリがないほどです。  でも、そんなことを言ってばかりでは、海外で暮らしては、いけませんし、何の解決にもなりません。  考えてみれば、あたりまえのことです。 違う国で、違う文化と歴史を持って生活している人々が、日本と同じような生活や考え方をしているはずは、ないのです。  慣れというのは、ありがたい?...

2019年8月9日金曜日

娘の寝相と寝言

 うちの娘は、小さい時から、寝るのが嫌いで、なかなか寝ない子どもでした。  昼寝もしたことがありません。  保育園から、” おたくのお嬢さんは、お昼寝の時間に寝ないで、もう一人の子供と二人で周りの子供を起こして回るので、これからは、お昼寝の時間は、別の部屋にいてもらいます。" と言われたこともありました。  それでも、夜は、寝室は、きっちり分けるというフランス人の夫のしつけ?で、寝る時間になると、” ボンニュイ " 、" おやすみなさい " と、ふた通りの挨拶をして、自分の部屋に行くことになっていました。  夏の間は、いつまでも明るいので、シャッターは下ろして、眠れるように、暗くしている自分の部屋に、娘は、後ろめたそうに、仕方なく、入っていくのでした。  パパは、甘いけど、とても厳しく、怖い存在でもあるのです。  娘が部屋に入った後は、私と主人が二人で話をしていると、しばらくして、少し時間がたった頃に、娘の部屋から、”...

2019年8月8日木曜日

チーズとバゲットが好き過ぎるフランス人の夫

 ” フランスには、何千、何万という種類のチーズがあるんだ!" という、夫のセリフはもう耳にタコができるくらい、聞かされていました。そして、毎週のように、違う種類のチーズをいくつか買ってきては、” フランスにいる限りは、少しでもたくさんの種類のチーズを知らなければ・・” と言っては、せっせと、私と娘に試食させるのでした。  もともと、乳製品が苦手だった娘は、そのせいで、ますますチーズが嫌いになり、主人に言われて、仕方なく、ほんのひとかけらは食べるのですが、結局、そのほとんどは、主人が食べていました。  私たちにチーズの知識を教えるという大義名分を得て、主人は、ここぞとばかりにチーズを食べていたのです。  そもそも、最初に主人と出会った頃、初めて、主人が私の家に来た時、カッコよく、ドンペリとバラの花束を持って現れたまでは良かったのですが、いざ、シャンパンを開けるとなって、何か、一緒につまめるものをと思って、冷蔵庫からカマンベールを出したところで、電話が鳴り、私は、ちょっと席を離れたのです。  電話が終わって、戻ると、なんと、主人はカマンベールをまるで、ハンバーガーを食べるように、丸ごと食いつこうとしていたのです。主人は、チーズを目の前にすると、我を忘れてしまうのです。  きっと、一人の時には、そうやって、食べていたのでしょう。私がビックリして、目を丸くしていると、主人は、我に返って、カマンベールを切り始めました。  この、カマンベール丸かじりで、せっかくのドンペリもバラの花束も台無しでした。  一緒に暮らすようになってからは、さすがに、主人はどんなチーズも切って食べていましたが、その一切れが大きいことといったら、驚きなのです。  正確にいえば、私は、フランス人というのは、これだけの量のチーズを食べるものだと思ってしまっていたので、彼の友人宅に行ったり、レストランに行って、最後のチーズのデザートを食べている他のフランス人のチーズの一切れとは、えらく違うことがわかり、大変驚いたのであります。  そして、バゲット。パン。  バゲットを主人が買ってくるときは、3人家族なのに、一度に2本買ってきます。主人のお好みは、”...

2019年8月7日水曜日

パリのねずみ

 パリの建物には、旧建と呼ばれる、古い建物が多く、また、地下も意外と昔のまま残されていたりするためか、パリには、ねずみがとても多いのです。  以前、会社のゴミ収集に来たおじさんが大きなゴミ箱をゴミ収集車に運ぼうとしているところに遭遇し、そのゴミ箱の中から、ねずみがピューッと飛び出してきたのを見て、悲鳴をあげてしまった私に、おじさんは、笑いながら、” ここをどこだと思っているの? ここは、パリなんだよ!” と言われたのには、返す言葉もありませんでした。  ですから、場所にもよるのでしょうが、パリには、ねずみ駆除という仕事が存在し、会社には、定期的に、ねずみ駆除用の薬を置きに来る業者が入っていました。  何やら、要所要所にスプレーみたいなものを撒いたり、ねずみが現れそうなところに、ピンクの毒薬のようなものを定期的に置きに来るのです。  ですから、それを夜中に食べてしまった死にかけたねずみに朝一で会社の鍵を開けて入る私は、瀕死のねずみに遭遇して、悲鳴をあげる私に、嘲るような顔をして、とても美人なロシア人の同僚が、あっさりとねずみのしっぽをつかんで、通りのゴミ箱に捨てに行ったのにもびっくりしました。  ある、お店の倉庫で、キャラメルをねずみにかじられ、キャラメル屋さんに、交換を頼んだところ、”...

2019年8月6日火曜日

フランス人のプライド

 フランス人といえば、プライドが高く、高慢なイメージを持つ人は、少なくないでしょう。実際に、フランス人は、愛国心が旺盛で、フランス語は世界一、美しい言語であり、パリは世界一、美しい街であり、フランス料理は世界一で、世界中の料理をリードしていると思っています。  これは、少し、オーバーな言い方ではありますが、あながち、冗談ともいえず、多くのフランス人は、少なからず、そのように思っていると思います。  そして、フランス人は、良くも悪くも、比較的、感情をストレートに表現する傾向にあり、好き嫌いをそのまま表現し、不快感を隠しません。  良い場合には、それが賞賛の嵐、また、ロマンティックな演出に繋がるのですが、逆の場合には、それこそ、感じの悪いこと、この上ありません。  運転をすると、その人の性格が出るなどと、よく言いますが、運転を始めた途端に、”...

2019年8月5日月曜日

長い独身生活の後の子育て・・ あなたは、少し、やり過ぎでした。

 私は、独身生活がけっこう長かったので、好き勝手に、ずいぶんと色々なことをしてきました。留学、海外旅行、本ばかり読んでいた時期もありましたし、友達との飲み歩き、おしゃれも楽しみ、テニス、ダイビング、モーターグライダー、ワインやカクテルの勉強などなど・・十分に独身生活を満喫していました。  父には、” おまえは、空を飛んだり、海に潜ったり、今度は宇宙にでも行くのか?” と、呆れられていたくらいです。  しかし、私は、独身生活を享受する中で、次第に、そこそこのことでは、満足しないようになり、無意識のうちに、自分のためだけに生きていることに、どこか虚しさを感じ始めていたのです。  そして、運良く、そんな頃に、私は、主人と知り合い、家庭を持つことができました。まもなく、娘も産まれて、私は、自分以外の人間のために生きることになりました。  それは、自分よりも大切な存在ができるということで、そのことが、まさに、自分にとっての画期的な変化を起こしていることに感動を覚えました。  ですから、家庭を持って、子供を持った時、とりあえずは、もう思い残すことはなく、 子供のために自分の時間を持てないとか、自分のやりたいことができないとか、そういった不満を感じたことは一度もありませんでした。  むしろ、子育ては、新鮮で、新しい喜びを私に与えてくれて、仕事以外の時間は、出来るだけ、娘と過ごせるようにと思っていました。  娘を出産したのは、アフリカでのことだっったので、それなりに大変なこともありましたし、その後、パリに来てからは、仕事をしながらの子育てだったので、それもまた、それなりに大変でしたが、私は、とても幸せを感じていました。  娘には、私は、あなたが産まれてきてくれたことで、私自身も産まれてきてよかったと思っているということ。そして、私にとって、あなたは、何よりも大切な存在だということをできるだけ、伝えるように心がけていました。  それは、私が心の底から思っていることでもありますが、そう娘に伝えるのは、私が、子育てで一番大切なことは、自我の安定であると思っているからです。  自分の存在が肯定されている、絶体的な安心感とでもいうのでしょうか? それを娘には、植え付けたかったのです。  私は、この根本的な自我の安定は、親が担うものだと思っています。  だから、娘には、”...

2019年8月4日日曜日

海外で暮らす才能

 私の実家は、東京にあり、親戚は全て東京、学校も勤め先も東京で、今から考えると、私は、本当に狭い世界に、似たような環境にいる人たちとの中で暮らしていました。  ところが、海外に出るようになってから、海外で知り合う日本人は、むしろ、東京の人は少なく、海外では、色々な所の出身の方に接し、日本の中でも世界が広がったような気がしています。  しかし、長く、海外にいると、日本人でも本当に色々な方がいらっしゃるもので、パリには、まあ、なかなか、個性的な日本人が多いのも事実です。  特に、団塊の世代の方は、数も多く、世代的なものもあるのか、なかなか強烈です。 外見からしても、恐らく、日本だ...

2019年8月3日土曜日

フランス人のおしゃれの仕方

 ” おしゃれ " という言葉は、もう死語だと聞いたことがありますが、ここは、ちょっと恥ずかしながら、他の言葉も見つからないので、敢えて、” おしゃれ " という言葉を使わせていただきます。  フランスでも、郊外や、地方の街に行って、パリに帰ってくると、” やっぱり、パリは、洗練されていて、おしゃれだな〜" と思います。まあ、パリのメトロなどに乗っていると、その路線によって、ある程度の違いはありますが・・一般的に言って・・の話です。  バッグと靴の色の合わせ方とか、ちょっとした小物の使い方など、とても上手に組み合わせて、着こなしています。そして、それもまた、必ずしも、高価なものばかりを身につけているわけでもありません。  街中でも、見知らぬ女性から、声をかけられることもあります。 ”...

2019年8月2日金曜日

隔世遺伝 不気味なほど父にそっくりな娘 

 私は、娘をアフリカで出産し、その3ヶ月後にパリに引っ越してきて、それ以来、ずっと、フランスに住んでいるので、彼女は、フランスで育ちました。  毎年、夏休みには、娘を日本語に触れさせたくて、そして、私の両親や親戚にも会わせたくて、日本へ行っていました。日本滞在時には、実家に寝泊まりはしていたものの、それも、せいぜい2〜3週間のことで、娘は、一度も日本に住んだことはなく、当然、私の両親とも一緒に暮らしたことは、ないのです。  しかし、娘は、驚くほど、父に似ているのです。顔かたちではありません。  まず、人並みはずれて、食い意地が張っていること。ケチなところ。そして、味覚がとても鋭いこと。食べ物の好み。辛辣な口の利き方。愛想のないところ。妙に手先が器用なところ。異様に耳がいいところ。  私の父は、どちらかというと、気むづかしいタイプで、私が子供の頃は、私は、どちらかというと、父を敬遠しており、あまり好きではありませんでした。  それが、まあ、孫は特別に可愛いと思うものなのでしょうか? それとも、同じ匂いがしたのでしょうか? 娘とは、すぐに打ち解け、父と娘は言いたいことを言い合い、娘の方も皆が敬遠する父を他の人と分け隔てなく?...

2019年8月1日木曜日

理系の人間がまともな日常生活を送れない話 娘が理系の道に進んで・・

 私は、以前、日本のある大手メーカーの本社に勤めていたことがありました。 私のいたセクションは、研究所の上のセクションで、今後、会社全体が、どういう研究をしていくか、その研究をどのように進めていくのか、またその進捗状況などを統括していく研究開発の企画をする部署でした。  当然!?その部署には、各部門から、社内でも有数の、その道の権威であるような優秀な人材が集められており、東大、京大、阪大の院卒、MITなどの博士たちが集結していました。  それは、いわゆる理系のトップの人たちの集まりで、なかなか、ユニークな人材の集まりでもありました。最初は、ちょっと浮世離れした感じの人が多いなと思ったくらいでした。  しかし、仕事を始めて、しばらくすると、彼らの言動に、ときに、おかしな点が見受けられることに気がつき始めました。彼らは、ごくごく普通のスーツを着て、ネクタイをして、メガネをかけたおじさんたちなのに、どうも普通ではないところがあるのです。  ある日、私は、目撃してしまったのです。  ファックスの前でファックスに付属した電話が鳴るのを、通りかかった博士の一人が、受話器を取っていいものかどうか迷って、前を行ったり来たりした挙句に、ファックスに向かって顔を近づけて、両手をあげて、”...