2022年6月6日月曜日

パリ18区で検問を拒否した車に警察官が発砲 1名死亡、1名重症 原因はシートベルト未着用

   



 先週末、パリ18区で3人の警察官が発砲し、車に乗っていた4人のうち2人に重症を負わせ病院に搬送され、そのうち1名が死亡するという事件が起こっています。

 警察関係者の発表によると、土曜日の午前中、パリ18区で3人の警察官が1台の乗用車を検問しようとしました。車には4人が乗っていましたが、そのうちの1人がシートベルトをしていなかったためです。警察官は車をチェックするために近づきましたが、運転手は検問を拒否して逃走しました。

 しかし、車は渋滞に巻き込まれ、自転車に乗った警察官が車に追いつき、車を停車させるように再度、呼びかけると車は警察官を振り切り再び車を発進させ、自転車に乗った警察官を転倒させてしまいました。

 その後、3人の警察官は車に向けて10発も発砲。現場の目撃者によると、弾丸は車のタイヤにも命中し、車は他の車に衝突しました。



 警察官の撃った弾丸は車のタイヤだけではなく、運転手の胴体、同乗者の一人の頭部に命中し、二人とも救急搬送されましたが、頭部を撃たれた同乗者は翌日、死亡しました。

 この事件が起こったのは、モンマルトルの丘のふもと、クリニャンクール通りとカスティーヌ通りの交差点で、特別に危険な場所というわけでもありません。

 情報によると、乗客の何人かは警察に知られている人物で、事件当時、アルコールや薬物を使用していたとも言われていますが、もともと、シートベルト未着用での検問からの逃走に拳銃を発砲するなど、あり得ないことです。

 車を止めるために拳銃を発砲した警察官の身柄は拘束され、この事件は、国家警察総監部(IGPN)に委託され、「公権力を持つ者の自発的な故殺(故殺未遂)、武器による意図的な暴力」で捜査が開始されています。

 私はフランス国内をあまり旅行することはありませんが、たまに地方に行って帰ってくると、パリには、いかに警察官が多いのかと、あらためてびっくりさせられることがあります。

 それだけ人も多く、治安も悪いということなのでしょうが、パリの警察官はその職務にもよりますが、かなりイカつい重装備で練り歩いています。時に駅や人の多い場所などで見かける憲兵隊などは、ふつうの拳銃ではなく、ライフルのような長い拳銃を携帯していますが、それがけっこう、あどけない顔をしている若い子だったりするのをどこかアンバランスなような気がして、「それ・・本物なんだよね・・」と思って眺めたりすることもあります。

 今回の事件は、そもそもの理由がシートベルトの未着用という到底、拳銃を発砲してまで止めなければならないこととは思えないだけに、このような警察官の行動には、空恐ろしいものを感じずにはいられません。

 市民を守るためにいるはずの警察官が市民を殺してしまった事件です。

 先日、サッカーのヨーロッパリーグの決勝戦の観客入場の際の混乱で、パリ警察が観客に向けて催涙ガスを容赦なく発射したことも大きな問題として周囲のヨーロッパの国々からも非難の声があがっていましたが、今回は、催涙ガスどころか拳銃・・。

 公権力を持つ立場の一部の人の暴挙は、一般市民には止めようがありません。


パリ18区警察官発砲事件


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2022年6月5日日曜日

マクロン大統領の「ロシアに恥をかかせるな」発言と山積みのひまわりオイル

  


 マクロン大統領がフランス地方紙のインタビューで、「私は、ロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、プーチン大統領は、ロシア国民にとっても、自分自身にとっても、歴史的かつ根本的な間違いを犯したと思うし、本人にもそう伝えた」、さらに、「彼は孤立してしまったし、孤立も問題だが、そこから抜け出すことは、困難な道で、停戦に至り次第、外交的解決する道を残しておくために、ロシアに屈辱を与えてはいけない」と語りました。

 この発言は、「ロシアのウクライナ侵攻が歴史的な過ちである」というかなり明解な発言とともに、「侵略者に恥をかかせてはいけない」という現状況では、ともすると理解し難い発言が波紋を呼んでいます。

 マクロン大統領は、戦争開始前後から、おそらくどこの国の首脳よりもプーチン大統領と話をしてきたであろう人物で、これまで両者の会談の内容は、エリゼ宮や彼自身(マクロン大統領)、クレムリンからそれぞれに発表されてきましたが、それぞれの発表には、ところどころ食い違いがあり、また、具体的な詳細については報じられてきませんでした。

 マクロン大統領が彼を怒らせずに、自分自身も怒らずに会談を続けてきたのは、並々ならないストレスであったと思われますが、今回の「ロシアに屈辱を与えてはいけない」という発言は、プーチン大統領に対してのアピールだったような気がしています。

 しかしながら、このアピールは所詮はアピールでしかなく、プーチン大統領にとっては、この侵攻に失敗していることはとうにわかっていることにもかかわらず、落とし所が見つからず、中途半端に停戦することは、そのこと事態が屈辱で、両者の会談は、残念ながら、結局、噛み合っていないことがわかるような気がします。

 また、この発言に対して、ウクライナのドミトロー・クレバ外相は、「ロシアに恥をかかせないという声は、フランスや他の国に恥をかかせることにしかならない」「ロシアに恥をかかせることに集中したほうがいい」と猛反発しています。

 しかし、マクロン大統領は、このインタビューの中では、「ウクライナへの財政・軍事支援を強化する」、「ウクライナから穀物を輸出するためにあらゆることを行う」とも述べており、ウクライナへの支援は引き続き強化していくことを表明しているので、ウクライナとて、真っ向からフランスを否定することは不可能です。

 ウクライナからの輸出が滞っていることによる、この食糧危機問題は、私の身近なところでも目の当たりにしています。

 昨日、スーパーマーケットに買い物に行ったら、ここのところ、ガラガラだったオイル(特にひまわりオイル)と小麦粉が売り場の中央に「どうだ!」と言わんばかりに山積みにされていました。

 


 

 「えっ?」と思って、手に取ってみると、いつもは見かけないパッケージのひまわりオイルでウクライナ産のものでした。毎日のように戦場と化し、廃墟のようになっている「あのウクライナで作られたものなんだ・・」と思うだけで、なんとなく複雑な思いにかられたのですが、同時に驚いたのは、その値段、先週、申し訳程度に棚に並んでいた同じサイズのオイルが一週間で30セント値上がりしています。

 隣に山積みにされていた小麦粉は、これまた普段、見かけないパッケージのもので、こちらは、ルーマニア産でした。

 こんな勢いで物価が高騰していくのは堪りませんが、この戦争が続く限り、このインフレが止まらないのは、明白です。

 自らが蒔いた種とはいえ、ロシアも屈辱的な撤退は絶対しないであろうし、ウクライナ側もこれまで多くの犠牲者を出してきてしまったからこそ、「すべての武器を受け取っていない限り、陣地を強化していない限り、ロシア軍をウクライナの国境からできる限り押し戻していない限り、停戦交渉する理由はない」とますます強硬な態度です。

 残念ながら、現時点では停戦協議にさえ進まない状況、パンデミック以来、来年には・・と思い続けてきたのが、まだまだ続きそうで、コロナも戦争もなかった平和だった時期が遠い昔のような気がしてきました。


ロシアに屈辱を与えるな マクロン大統領発言 ひまわりオイル


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2022年6月4日土曜日

フランスのコロナウィルス感染者数 再びリバウンド 新しい波がやってきた

 


 フランスの1日のコロナウィルス感染者数は、ここ1ヶ月半ほどの間は、毎週20%程度ずつ着実に減少してきました。気温の上昇もあるでしょうが、やれやれ、どうにか、これで少し感染もおさまってきた・・と思っていました。

 ところが、ここ1週間、感染の減少傾向がストップどころか、一転して増加傾向に転じ始めてしまいました。この過去1週間は、前の週と比べて、月曜日は+6%、火曜日は+10%、水曜日は+19%、今週木曜日は+20%と増加のペースが加速してきています。

 フランス公衆衛生局の疫学者は、「どうやら我々には、新しい波が戻ってきているようだ。死亡や入院などの深刻な影響を心配するのは時期尚早だとしても、感染が再開され始めていることは確かなことである」と発表しました。

 この感染の増加の原因を「ソーシャルディスタンスがとれていないこと」や、「アフリカ南部で確認され、ここ数週間ポルトガルで大流行しているBA4およびBA5と呼ばれる変異種の拡大」としています。

 彼は、「懸念しているのは」フランスだけでなく、「イギリス、ドイツ、スイスも同じようなレベルのリバウンドがある」と指摘しています。

 考えてみれば、これまで、感染の原因と思われる出来事から、だいたい2週間後に感染の増加が始まるということを繰り返してきたことを思えば、公共交通機関でのマスク着用義務化が撤廃されたのが、5月16日のこと、それから約2週間後が先週にあたり、この感染の再拡大の原因の一つには、このマスク着用義務の撤廃も挙げられるかもしれません。

 それまでも、公共交通機関以外では、ほとんどマスクをしていなかったフランス人ですが、この公共交通機関でのマスク着用義務撤廃を機に、さらにマスク率は減り、おまけに、これまでレストランや一般の店舗などでも入口や各テーブルに備えられていたアルコールジェルもほとんどなくなってしまいました。

 人によっては、もう他人がマスクをし続けているのが気に入らなくて、「いつまでも、マスクしてるな」モード全開の人もいます。

 私は、今でもメトロなどに乗る時には、未だにマスク着用を続け、レストランなどでもアルコールジェルがないので、逆に除菌シートを持ち歩くようになりました。私は心臓疾患があるとされているので、やはり感染は怖いのです。

 BA4およびBA5と呼ばれる変異種が理由などとも言われていますが、今回の感染のリバウンドは、明らかに感染対策の緩みが原因だと私は思うのです。公共交通機関のマスク着用ぐらい、まだ残してもよかったのに・・とつくづく思います。せっかく彼らもかなり従順にそこのところは守っていたのですから・・。

 逆にマスクや手洗いなどの基本的なことで、かなり、感染を防ぐことができていたと考えることもできます。

 このリバウンドを前にして、フランス公衆衛生局は「ワクチンは重症型に効くことが分かっています。しかし、残念ながら、私たちは、感染から十分に保護されていないのです。このままでは秋から冬にかけて、再び感染が急激に拡大する可能性がある」と述べると同時に、「今ならまだ間に合う、3回目、あるいは、2回目のブースター接種を行えば、深刻な病院圧迫の事態は避けられる」と断言しています。

 感染者数が増えれば、自ずと感染する可能性も高まるわけで、たとえ重症化しなくとも、思わぬ後遺症に苦しめられることもあります。また、例えば入国に際して陰性証明書を求める国(日本など)に行きたい場合は、感染していたら行けなくなってしまうわけで、やはり、できる限りの注意は続けなくてはなりません。

 この感染状況のリバウンドの報告に、私も再び気を引き締めなおすつもりです。

 そうでなくとも、そろそろ夏のバカンスシーズンに入り、フランスは開放感に包まれ、感染拡大の要素は揃っています。感染が再び増加し続けて、気温の下がる秋〜冬を迎えれば、また、昨年までと同じ道を辿ります。

 私たちは、もう何度も繰り返しているこの感染の波に慣れすぎてしまっているのです。もう今度が第何波なのかさえも思い出せません。


フランス コロナウィルス感染リバウンド 


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2022年6月3日金曜日

まだまだハードルが高い日本行き JALは運行なのに、ANAは欠航のパリー羽田便

  


 在仏の友人が日本行きの飛行機が急にキャンセルになったと、慌てています。日本に行くとなったら、それなりの期間の休暇もとらなくてはならないし、平常時でさえ、航空券以外にもいろいろと準備することがあるのに、急なキャンセルには、本当に面食らいます。

 私も今年の3月に日本に一時帰国していたので、その際にも再三、予約していたチケットがキャンセルになったり、変更になったり、その上、サイトのアクセスができなくなったりしていて、電話するしかなく、電話が繋がるまでうんざりするほど、電話をし続けたことを思い出します。

 調べてみると、いつの間にか、ANAのパリからの直行便はとりあえず6月30日まで欠航となっていて、しかも、欧州路線の欠航はパリだけではなく、ミュンヘン、デュッセルドルフ、ウィーンが全て欠航になっています。その上、なぜか、デュッセルドルフ便は、なぜか欠航の予定が2022年10月29日までとなっています。

 しかし、欧州路線全てが欠航というわけではなく、ロンドン便は週3日、フランクフルト便は週5日、ブリュッセル便は週2日運行しているようです。

 ですから、パリからの直行便がキャンセルになったとしても、経由便に変更することは可能なのでしょうが、そこは黙っていれば、バッサリキャンセルのままになってしまいます。

 これだけの欧州路線が欠航になれば、欠航になった分の予約をその他の欧州路線と組み合わせて経由便の予約を入れていくのは、大変なことです。

 前回の私の一時帰国の際も行きに2回、帰りに1回キャンセルになり、特に日本からの帰りの便を取り直すのが本当に大変でした。電話を何回、かけ続けたかもわかりませんが、それでも私はまだ運が良かったようで、帰りの羽田→ロンドン→パリの経由便は、私は、ロンドンでの待ち時間が2時間程度で済みましたが、偶然、隣に乗り合わせた日本人の女性は、同じパリまで行くのに、ロンドンでの待ち時間が8時間近くだということで、仰天してしまいました。

 日本の水際対策が少し緩和されて、日本到着後の空港でのPCR検査はなくなりましたが、依然として、出発前72時間前の検査の陰性証明書は義務付けられたままで、飛行機がとれていても、もし、この検査で陽性になれば、問答無用に日本行きは不可能になってしまいます。

 その場合は、自らチケットはキャンセル、または変更しなければなりません。

 今回のANAの欧州路線の欠航はウクライナの戦争の影響のようですが、同じところに行くのに、JAL(パリ⇄羽田便)は6月中は週5日、今のところ、7月からは毎日運行の予定になっています。同じ場所に行くのにANAは欠航、JALは運行なのは、どうしてなのでしょうか?

 どちらにしても、現在の状況を考えると、予約したチケットがキャンセル・変更になることは、十分に考えられるので、旅行会社のサイトなどを通さずに直接、航空会社からチケットを購入した方が無難です。

 変更、返金などの場合は、旅行会社などを通すと返金にも時間がかかり、余計に話がややこしくなります。

 これらの変更・返金などの手続きは、本来ならば、サイトでも可能なはずなのですが、私の場合は、変更された便にロンドン→パリの分が抜けており、結局、電話をするハメになりました。前回の私のチケットは、JALでしたが、延々と電話をかけ続け(延々とお話中になる)、ようやく繋がって、ロンドンからの便を探してもらい、待ち時間があまり長くないものを探してくださいと粘りに粘り、ようやく、なんとか納得できる経由便に変更してもらいました。

 先方からすれば、忙しいところ、さぞかし、しつこくて嫌な客だと思われたかもしれませんが、ここで引き下がらないのは、フランスでの暮らしから培った「言うことは言う」「簡単には引き下がらない」精神。ただでさえ、迂回ルートで長距離フライトでキツいのに、これ以上、異常な待ち時間を過ごすのは、耐え難い苦痛です。

 しかし、まあ、無事に変更できたところで、私はひと安心したのですが、娘に直行便が経由便になったのに、料金は一緒なの?(普通なら経由便の方が安い)と言われて、あ〜そうだった・・さすが、フランスで育っただけのことはある娘には、まだまだ敵わないことを思い知らされたのでした。

 いずれにせよ、チケットがキャンセルになったり、変更になったりするリスクもなかなか高く、そのうえ、72時間前の検査で陽性になるリスク・・まだまだ、日本行きはハードルが高いのです。


航空券キャンセル 変更 パリー羽田便欠航


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2022年6月2日木曜日

ルーブル美術館 モナリザ襲撃 モナリザは結構災難に遭っている

  


 世界で最も有名な絵画の一つと言われるパリのルーブル美術館にあるレオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザは、恐らく、ルーブル美術館を訪れる人なら、誰でも見る絵画だと思います。

 正直、私が初めてモナリザを見たのは、ずいぶんと昔だったと思いますが、「えっ?こんなに小さいの?」というのが第一印象でした。しかも、モナリザの絵はガラスケースに入れられ、さらに、絵の周辺には、ロープが貼られ、絵に近づくことはできません。

 そして、そのうえ、なんといってもモナリザのある部屋はいつも凄い人で大混雑。これでは、絵を見にいくのか、人を見にいくのかわからない感じがしたものです。

 しかし、昨年、パンデミックのために美術館なども長い間閉鎖されていて、観光客もまだほとんどパリに戻っていない時期に、今なら!そう今しかない!と思い立って、ガラガラのルーブル美術館を堪能してきました。

 あれから、1年近く経って、パリに観光客も少しずつ戻り始めたと思ったら、なんとモナリザが襲撃されたというニュースが流れ、その場に居合わせた観光客が一斉にSNSで発信し、あっという間に世界中に拡散されました。

 犯人は、きれい?にメイクをほどこし、ウィッグをつけて老婦人に扮装して車椅子に乗って絵に近づき犯行に及びましたが、これは、ルーブル美術館が障害者に対してとっている、移動に支障のある人々が収蔵品の主要作品をはっきりと見ることができるように車椅子などが絵画に近付けるシステムを利用したもので、この男は、車椅子でモナリザに近づいたところで、急に立ち上がってモナリザが覆われているガラスを壊そうとしましたが、これには失敗(モナリザは防弾ガラスで守られている)。

 壊せなかったガラスにケーキを投げつけ、ガラスはクリームでグチャグチャ、最後に赤いバラを散らすという奇行に走りました。

 すぐに男は取り押さえられましたが、それでもかなりの興奮状態のまま、周囲に「地球を破壊している人々よ!全ての芸術家たちよ!地球について考えよ!」と叫びながら、連行されていきました。

 地球環境保護について訴えるにしてもかなりの奇行、この男は文化財損壊未遂の疑いで逮捕され、警察の精神科施設に収容されました。

 その時の模様は、その場にいた来場者の映像を見ると、そのクリームで汚された(ガラスケースが)モナリザはもとより、そのクリームに汚されたモナリザの写真、映像を撮るために、周囲は一斉に携帯を掲げているのもなかなか妙な光景で、その場の美術館員が「撮影やめてください!」と叫んでいます。


 それはそれでなかなかカオスな光景ですが、モナリザは無事でした。

 しかし、これだけの有名な絵画ともなると、モナリザは、これまでにも結構、災難に遭ってきており、1911年には盗難に遭い、1956年には銃撃されて絵の一部が破損(それ以来、防弾ガラス入り)、1974年には赤いペンキのスプレーで襲撃され、2009年にはマグカップを投げつけられています。

 フランスにとって、この国宝級の絵画は、1518年にレオナルド・ダ・ヴィンチがフランチェスコ1世に贈って以来、この絵画はフランス国家の所有物となっていますが、意外なことに、このモナリザの絵画は、「国家が保険である・・国が所有する作品については国が保険者となる・・」というわかるようなわからないような理由で、厳密には保険に加入していないのだそうです。

 「モナリザ(フランス語では、Joconde(ジョコンド)と呼ばれています」は1797年からルーヴル美術館に所蔵されており、これまでほとんど貸し出されることはありませんでした。モナリザの最後の旅は1974年東京です。

 そういえば、モナリザが日本に来た!と騒いでいたことがあったのを記憶していますが、日本に来たモナリザは、これまたすごい人で、私は見にいきませんでした。

 現在では、ほとんど貸し出されることがないと言われるモナリザの最後の旅が日本であったことがなんか、ちょっと嬉しい気もしています。

 しかし、逆に考えてみれば、モナリザが貸出中には、ルーブルに来た人がモナリザを見られないことになるわけで、やはり、モナリザはルーブルというあの美術館の建物自体が芸術品のような空間にあってこそでもあり、モナリザには、安全にルーブルに居続けてもらいたいと思うのです。


モナリザ襲撃時件


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2022年6月1日水曜日

フランス人ジャーナリストの死亡に関するロシア・タス通信の嘘の報道に遺族が公に出したメッセージに感動

  


 週明けにウクライナの戦場を取材中に撃たれて死亡したフランス人ジャーナリストをロシアのタス通信社(ロシア公式通信社)は、記者死亡発表のわずか数分後に、ルガンスク人民共和国の分離主義者の指導者の発言として、「フレデリック・ルクレール・イムホフ(死亡したフランス人ジャーナリスト)はウクライナ軍への武器搬入に従事する傭兵(雇兵)だった」と断言した放送を流しました。

 これは、ロシア国内向けの彼の殺害を正当化しようとする全く根拠のない嘘ですが、これに対して、亡くなったジャーナリストの母親はこれを黙殺せずに、この嘘の報道をしたロシア・タス通信社とLPR(ルガンスク人民共和国)関係者に向けて、公にメッセージを発表しました。

 「私は、あなたが昨日殺した若いジャーナリストの母親です。あなた方の発言、報道を聞いていると、言いようのない不快感を感じます。あなた方は卑怯にも自分の疑い、過ちを晴らそうとしていますが、彼の記憶・記録を汚すことは決してできません。民主主義、人間尊重、そして何よりも自由、公平、正直な情報という、あなたを突き動かすものとはかけ離れた概念に、彼がプロとして、また個人として取り組んできたことは、誰もが知っています」

 「今、私は自分の子供のために泣いているすべてのウクライナの母親、両親のために泣いているすべてのウクライナの子供、そして、あまりにも早く逝ってしまったロシアの若い兵士たちの母親と思いを共にしています。二度と彼らに会うことができず、なぜ、死ななければならなかったのか? 何のために死ななければならなかったのか?皆、その理由を考えています」

 「私は、苦しみながらも、少なくとも、息子がなぜ死んだかを知っています。いつか、この犯罪の本当の責任者が責任を取らされる日が来るでしょう」

 自分の息子を殺されたばかりで、悲しみに打ちひしがれているはずの母親が、このような毅然としたメッセージを発表できる毅然とした強さには、感服させられるばかりですが、同時に、このお粗末な嘘に対する怒りが息子を亡くした彼女自身を奮い立たせているとも思います。

 このメッセージの中では、同時に、ウクライナの人々にも、ロシアの人々にも心を寄せて、この戦争全体を非難しています。

 彼女のメッセージでは、自分自身の悲しみはもちろんのこと、むしろ、意味がわからないままに戦争に駆り出されて命を落としている人々、そして、その母親たちの無念さまで訴えている懐深いメッセージとなっていることは、さすがにジャーナリストだった彼の母、息子の仕事を引き継いで行っているようにも思えます。

 それにしても、これに始まったことではありませんが、ロシアのつく嘘の本当にお粗末なこと。彼がジャーナリストであったことは、彼のジャーナリストとしての取材時の映像が彼の死の直前まで収録され、放送されているのですから、あまりにもナンセンスな嘘。

 しかし、報道規制が行われているロシアでは、そんなお粗末な嘘にも騙される国民も少なくないのでしょう。

 彼が命を落としたことは、本当に悲劇ではありますが、彼の母親の言うように、意味もわからず戦場に行かされて命を落としているロシア兵やその家族の悲痛はさらに収拾のつかないものかもしれません。

 プーチン大統領にとって、人の命は、自国の国民の命でさえ、軽すぎる気がしてなりません。



フランス人ジャーナリスト死亡 ウクライナ ロシア タス通信


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2022年5月31日火曜日

フランス人ジャーナリスト ウクライナの戦地で取材中に撃たれて死亡

  


 週明けの月曜日、フランスBFMTV(フランスのニュース専門チャンネル)のジャーナリストがウクライナ東部のセベロドネツクでBFMTVの取材中に榴散弾に当たって死亡しました。彼はBFMTVに入社して6年目の32歳のフランス人フォトジャーナリスト、ウクライナ戦争勃発以来、ロシアの侵攻を取材するためウクライナに赴き、2回目の任務で走行中の車両がロシアの爆撃の標的になり、首を撃たれて致命的な傷を負って死亡したということです。

 彼はパートナーのマキシム・ブランドシュテッターとともに、できるだけ前線に近い東部での紛争を取材していました。当日も彼は民間人の避難を記録中にロシアの榴散弾で首を撃たれたとのこと。

 BFMTVの局長によると、「彼は熱血漢ではなく、冷静着実に勤務を遂行してきた人で、この戦場という危険な取材において、彼は任務の一分一秒を秤にかけて行ってきた」と彼の行動が決して無謀な行動ではなかったことを語っています。

 彼に同行していた同僚も脚を負傷して、すぐにフランスに送還されることになっています。



 このフランス人ジャーナリストの死亡の報せに、マクロン大統領は、自身のツイッターを通じて、「人道的救助のバスに乗り、ロシアの爆撃から逃れるために逃げざるを得なかった市民と並んで、彼は致命的な傷を負った」と説明。「フレデリック・ルクレール・イムホフ氏は、戦争の現実を伝えるためにウクライナに滞在していた」「戦地で情報提供という困難な任務を遂行する人々に対して、フランスの無条件の支援を改めて表明したい」と記し、「ルクレール・イムホフの家族、友人、同僚の悲しみを共有する」と追悼の意を表明しました。 

 他の報道には、載っていませんでしたが、マクロン大統領のツイートによると、彼が取材していたのは、ウクライナ民間人の人道的救助のバスでの出来事。民間人の人道的救助に使用されているバスがなぜ、標的になっているのか?

 献身的に真摯に仕事に取り組んでいた若者の死は衝撃的で、この悲劇は、3ヶ月以上前からこの紛争を命がけで報道しているすべてのジャーナリストが直面している危険をあらためて再確認させられます。

 彼が2014年にボルドー・アキテーヌ・ジャーナリズム学院(IJBA)を卒業したのは、そんなに昔の話ではありません。同時に卒業したジャーナリスト仲間からも悲しみの声があがっています。


 添付したツイートの写真は、5月21日、ミコライフの町で周囲で「大爆発」が起こっている中、廊下でレポートを編集している姿です。彼の仕事に向きあう真摯な姿勢がみえる貴重な写真です。

 彼の親の立場からしたら、なぜ、そんなに危険な仕事に就く学校に進ませてしまったのか?と後悔の念にかられそうなところですが、彼の母親は、BFMTVに対して、「彼は確かにとても献身的で、私は彼の選択を誇りに思います」と短いメッセージを送っています。

 BFMTV報道局長は、記者が2回目のウクライナ訪問をしたのは「本人の希望によるもの」、「これは、私たちの汚名を晴らすためではなく、彼の決意を表明するために発表したのです」と述べ、フレデリック・ルクレール・イムホフの母親と電話で話をした模様を「彼女は明らかに涙を流していた。彼女は明らかに、私たちBFMTVと同じようにプライドを持って、息子の仕事が何であるかを知っていたのです」と静かに語っています。

 この戦争は、報道戦などとも言われていますが、私たちは、彼らのような使命感をもったジャーナリストのおかげで、この悲惨で卑劣な戦争という状況を知り、考えることができるのです。

 ウクライナ戦争開始以来、ジャーナリストの死亡はこれで8人目です。NGOが発表した数字によると、他に9人のジャーナリストが負傷し、13人が拉致または恣意的に拘束され、そのうち4人が拷問や虐待の犠牲になっています。

 キエフに滞在しているフランスの外務大臣は、彼の死は「深く、衝撃的であり、透明性のある調査を要求する」と述べました。

 今日は、彼の取材した映像がBFMTVで流れ続けています。


フランス人ジャーナリスト死亡


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