2024年1月24日水曜日

ブーランジュリー ワールドカップ 16年ぶりのフランス優勝

 


 今年、行われた「クープ・デュ・モンド・ブーランジュリー」でフランスが優勝したそうで、しかも、優勝は16年ぶりということで、「あらら・・パンの国 フランスがそんなに優勝していなかったの?」と、そっちの方にちょっと驚いた次第です。

 その書かれ方が今年は、「フランスチームが日本、韓国を押さえて堂々、優勝!」とあったので、日本も入っていたのか・・と思ったら、今年、日本チームは3位だったようです。

 このいわゆるパンのワールドカップのような催し物は、ヨーロッパ見本市の一環として、2年に一度、開催されているそうです。

 そうでなくとも、バゲットコンクールとか、クロワッサンコンクールなど、毎年、行われているコンクールもけっこうあって(多分、パリ市がやっているものだと思いますが・・)、正直、このワールドカップの方は、これまで見逃していました。

 というのも、おそらく、フランスが優勝しなかったために大々的に取り扱われなかったため、なんとなく見逃してしまったのかもしれません。

 この職人技を競うような大会には、どの分野でもめっぽう強いイメージのある日本ですが、やはりパンの世界でも、その力量をふるっているのは、間違いないようです。

 この大会は、2日間にわたるもので、各チームがパン、ヴィエノワズリー(ペストリー系?)、芸術作品の3つの項目を披露するもので、今回優勝したのは、フランスのリヨン出身のパン職人だったようです。

 しかし、美食の国フランス、その中でもパンはある種、象徴的な存在でもある国としては、こんなにも長い間、優勝できなかったことは、フランス人のプライドが傷つけられる不快なものであったことは、想像に難くないところでもあります。

 ある記事には、パンは私たちの一部であり、キリアン・ムバッペやエッフェル塔と並ぶ国家の誇り! その最も美しい象徴であるバゲットは、2022 年にユネスコによって無形文化遺産に登録されている!

 にもかかわらず、この30年間で、フランスがカップを持ち帰ったのはわずか3回だけ、しかも、2008 年以来、フランスのチームがこのタイトルを獲得できなかったこの不快感をどう説明すればいいでしょうか? 」と書かれています。

 その原因として、この間に躍進してきた日本や韓国などのアジア勢のパン職人に対して、「彼らは私たちが想像もしないようなことをするのです」とフランス人にとっては伝統があるがゆえに思いつかない創造性に長けていると説明しています。

 また、物価の上昇や困難な労働条件などから、パン職人を志す人が減少しており、優れた職人が育ちにくくなっていることも原因の一つに挙げています。

 たしかに最近、日本に行くたびにパン屋さんが増えていることに驚かされますが、日本で売っているパンとフランスで売っているパンは、タイプが違うように思いますが、個人的には、フランスは、やっぱりパンはかなり美味しいお店が多いので、充分、満足しているために、日本に行った時に、他に食べたいものが山積みのキツキツのスケジュールのなか、わざわざパンを食べることがほとんどないので、日本のパンがどれほど美味しいのかは、正直、わかりませんがパン職人が減少していると言われるフランスに比べて日本はパン職人は増えているのではないか?と思うのです。

 しかし、フランスのブーランジュリー協会にとっては、「このフランスチームの優勝により、パン屋のノウハウを強調し、エネルギーや原材料の価格高騰、持続可能な開発、人材採用など、多くの課題に直面している業界全体を勇気付けることができます」と前向きに述べています。

 同時にフランスパン・ベーカリー・パティスリー全国連盟会長は、日本、韓国、台湾などには、非常に良い際立っている職人がいることも認めています。

 もともとあるものを真似して、それに新しい創意工夫を凝らして改良するのは、日本人の得意とするところでもあり、小麦粉と水という基本的な材料に地元のシリアルやオリジナルの食材を使って無限の創造性の息吹を吹き込み独創的なものを創り出す。

 彼らには想像力が豊かで異なる食文化を持つからこそ生み出す力があり、それこそが、フランスチームに欠けているもので、それがこれまで優勝から遠ざかっていた原因でもあると指摘しています。

 しかし、一方では、「フランスでは、依然として並外れたレベルの店舗が存在する」と豪語もしており、それには、私もやっぱり大きく同意するところでもあります。

 

ブーランジュリー ワールドカップ フランス優勝 


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2024年1月23日火曜日

パリのメトロ・RER (郊外線)の大気汚染問題

 


 これまで、大気汚染といえば、車の排気ガスや工場から排出されるものとばかり思っており、メトロなどの車内やプラットフォームで大気汚染の問題があるなどとは微塵も思ったことがなかったのですが、どうやら、パリのメトロや郊外線における大気汚染に警報が鳴らされているようです。

 この調査は、フランスのテレビ番組「Vert de rage」のために、交通組織当局であるイル・ド・フランス・モビリテス (IDFM) と、この地域の大気の質の監視を担当する協会であるエアパリフがこの番組に回答するために示したパリの地下鉄とRERの汚染マップを初めて公開したことから明らかにされました。

 現在の発表は、イル・ド・フランスのネットワーク(地下鉄、RER、トランシリアン)の397駅のうち44駅に関するものに限られていますが、このマップでは、国家保健安全局 (ANSES) が推奨する最大閾値を超える PM10 微粒子の濃度が示されています。

 このマップによると、最も大気汚染が酷い状態であるのは、 ベルヴィル駅と、パリの東に位置するジョレス駅とオベルカンフ駅であることが明らかになっています。
 
 メトロの駅の大気汚染ってどういうこと? 電車なのに大気汚染ってなに?と思ったのですが、これは、どうやら、電車がブレーキをかけた際に発生する微粒子の問題のようで、 車輪、レール、ブレーキ、電車線が磨耗していくと、より細かい粉塵が発生すると説明されています。

 IDFM(イル・ド・フランス・モビリテス)は、この影響を抑えるため、列車のブレーキ時に発生する微粒子の排出を減らすシステム(電磁ブレーキ)を、特にRER A線と1、2、3、4号線にできるだけ早く導入するよう求めています。

 現段階でこの電磁ブレーキが導入されているのは、4号線、11号線、14号線のみだということで、同じRATPで、どうして、こんなに差があるのかは、少々疑問でもあるし、あんなに、しょっちゅう工事している気がするのに、まだ、こんな問題があるの?と思ってしまいます。

 IDFMは「ベルヴィルは2024年から新しい扇風機に切り替え、 ジョレス駅では扇風機が強化され、オベルカンフ駅では2023年末から、すでに新しい扇風機が稼動している」と発表していますが、思わず、「そこ?」とか、「そっち?」と思ってしまうところでもあります。

 この微粒子は、その細かさによって有害度が異なるそうで、細かくなるほど、体内に吸収されやすくなり、危険になるということらしいです。車内は換気されているために危険度も下がるということではありますが、最も危険な場所として挙げられている場所では、健康体の人には、特に問題はないようですが、特に喘息患者などの人々における気道の炎症、あるいは、自律神経機能へのリスクは否定できないとしています。

 この問題は、これまで公にはなっていなかったけれども、水面下では対策をとられていたということは、ありがたいと言えばありがたいのですが、こんなメトロの大気汚染などという問題があることすら知らなかったので、これを公表に導いてくれたテレビ番組・マスコミの存在もやはり、ありがたかったな・・と思うのです。

 しかし、メトロまで大気汚染とは、少々ウンザリです。


パリのメトロ大気汚染問題


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2024年1月22日月曜日

海外から見る日本に足りない教育

  


 フランスでは、新しく教育相に就任した大臣が子供を名門と呼ばれる私立校に転校させたとかで大バッシングを受けていますが、私としては、むしろ、大臣だって、やっぱり子供の教育を考えるなら、フランスだったら私立に入れるよね・・とこっそり思っています。子供の教育については、個人的なこと、教育相とて、選択の自由はあるはずです。

 我が家の場合は、子供の就学前から、周囲にいた先輩方から、「子供は絶対、私立に行かせた方がいい・・特に小・中学校はマストだ!公立の学校は地域にもよるけど、大方、ヤバい子供たちもいて、ロクなことにならないから、絶対!私立に入れた方がいいよ!」と強い助言があり、また、公立校のあまりの学校のストライキの多さにウンザリもしていたので、「子供の教育は、後からでは取り返しがつかない・・」と近所の私立の学校になんとか入れるように、夫に奔走してもらい、なんとか小学校から私立の学校に入れたのです。

 なので、実際にフランスの公立の学校の現状は、外から見ているだけで、やはりストライキが多いな~くらいしかわからないのですが、娘がその後、高校まで通った学校は、良い学校であったことだけは、確かにわかります。だいたい、たまに行く、保護者会のようなものでも、親の教育に対する姿勢から、真剣身が全然、違い、それは来ている子供たちも違うわけだよな・・と思わされた記憶があります。

 また、やっぱり娘が学校に通っている様子から、日本の学校とは教育の仕方が違うんだな・・と感じることも多々ありました。

 なによりも、よく言えば、理論立てて考えて語る訓練というか、テストなども論文形式のものが多いことです。それも高校くらいになると、その論文の長いこと・・。

 当時は、だから、フランス人は口が達者で、良い意味でも悪い意味でも、理屈をこねくり回してモノ申す人が多いのだな・・と思ったりもしました。

 その理論をどう構築していくかは別として、だから、デモなども頻繁に起こるし、フランス人は黙って受け入れることがない・・やることやってから言えよ!などと思うことも多かったのですが、逆に今の日本を見ていれば、自分の頭で理論立てて考えて、それを話す、話し合うということは、とても大事なことだと思うのです。

 つい先日、日本のニュースを見ていて、ある政治家が「派閥を解散する」というほんの短い案件を発表する際のほんの1分ほどの内容に、なにやら、メモを読み上げている様子を見て、「それくらい、自分の口で言えないのかよ!」と本当に情けない気持ちになりました。

 日本の教育は、どちらかといえば、おとなしく従うことが基本で、議論を戦わせたり、自分の言葉で意見を言ったりする教育が足りないように思います。特に多くの政治家の話の説得力のなさには、言葉がありません。

 また、日本では、政治や宗教の話題はタブーといった印象がありますが、この政治や宗教の教育こそが日本に足りない教育のようにも感じます。フランス人は政治の話題を好み、家庭内でも政治の話をしたり、子供をデモに連れて行ったりすることも珍しくはありません。

 宗教についても、娘の行っていた学校はカトリックの学校ではありましたが、カトリックに偏ることなく、宗教全般に関する授業があり、宗教というものについて、様々な宗教の成り立ちや概要、そして、カルトの危険性などについての授業までありました。

 今では、他のことで、立ち消えになってしまったかに見える旧統一教会の問題なども、宗教とはどういうものであるか?がわかっていれば、予備知識として、「これは、おかしいのではないか?」とストッパーになり得たかもしれません。

 一般的に見て、日本人のポテンシャルは高いと思われるので、足りないところを補う教育を取り入れていけば、もっと力を発揮できるだろうし、何より、今は政治が最悪・・政治に対して、国民は、もっともっと、モノ申さなければ、このままでは日本は潰れてしまいます。

 日本には、もっと議論する、反対意見を臆することなく発表し、話し合う、討論する教育が必用なのでは・・と思います。フランスに来たばかりの頃は、やたら議論をたたかわせて、話し続けるフランス人をどうか?と思うこともあったのですが、この議論するということは、実はとても大切なことなのに、日本に足りない教育なのでは?と最近は思うようになりました。黙ってガマンするだけではなく、日本人はもっともっと、モノ申し、意見を述べなければなりません。

 最近は、失われた30年などと言われる日本ですが、日本は戦後復興から30年で高度経済成長を遂げた国でもあります。今後30年で、教育も含めて日本は新たな復活の可能性だってあるとも思うのです。


日本に足りない教育


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2024年1月21日日曜日

日本から持ってきた食料品の一部をちょっとだけご紹介

 

 

 まあ、自分でも呆れるほど、私は、食べることばかり考えているので、パリにいても、どこかに何か美味しそうなものがあるとすっ飛んで行くのですが、やはり、生まれも育ちも日本人の私は、やっぱり日本の食べ物が好きで、一時帰国した際に持ってくる日本の食材や調味料を使って、現地の食材を使って、なんとか満足のいく食生活が送れるように、日本から持って帰ってくる食材選びには、並々ならぬ情熱を注いでいます。

 夫は自分でも料理ができないわけではなく、私が休日出勤をする際などは、「朝、用意していくのは大変だから、自分がやるからムリしなくてもいいよ!」とやさしいことを言ってくれていたのですが、夫の料理は娘の口にはあわないようで、「お願いだから、ママが作って!」と嘆願され、また、私も娘を置いて、仕事に行くことに、なんとなく引け目というか、「ママ、お仕事行かなきゃいけないけど、あなたのことを忘れてないからね・・」というメッセージのつもりもあって、必ず私が食事の支度はしていました。

 夫には、私が日本に行く度に買い集めてくる日本の食料品、特に調味料関係はわけがわからないようで、「なんで、冷蔵庫の中、こんなに瓶がいっぱいになるの?」と不満気に言われたこともあったりしたのですが、私にとっては、フランスでは手に入りにくい宝物のようなもの・・そこは一歩たりとも譲ことができませんでした。

 あれから、夫は亡くなってしまい、今では自分の好きなものしか冷蔵庫に入っていないのですが、あの頃から比べると、私が日本から運んでくる食材もずいぶんと種類が増えてきたように思います。

 今回は、このたび私が日本から持ってきた(頂いてきた)食材でよかったな・・と思うものをご紹介します。

 まずは、だしの類、茅乃舎のだし、野菜だしは、定番で、前回は、白だしなども追加して、今回、持ってきたのは、こちらの2つ、「のどぐろだし」と「白エビだし」。これらは頂き物ですが、すごく期待しています。


 そして、糀みつと、友人宅で出してくれて、すっごく美味しいと感激したら、友人がくれたお醤油。「糀みつ」は、パリのサロンドショコラに行ったときにみつけて、味見させてもらったら、これが奥行のある深みのあるまろやかな甘さ・・この甘さはパリには絶対ないもの!と感激して買おうと思ったら、1本30ユーロもするというので目が丸くなり、なら、日本に行った時に買おうと思っていたもの・・(日本だと半額以下でした!)これと一緒に乾燥した糀も買ってきました。




 
 そして、前回、買ってきてとても重宝した明太子パウダーとあさりパウダー、貝柱パウダー。明太子パウダーは、そのままふりかけのようにご飯にかけて食べてもいいし、マヨネーズや生クリーム、クリームチーズやバターなどと混ぜてディップのようにしてもよし、簡単な明太子パスタにしてもよし・・また、あさりパウダー、貝柱パウダーは、お味噌汁に入れてもいいし、海鮮類のパスタなどにちょっと加えるのもよしで、と~っても便利です。



 そして、日本人の神髄・お味噌類と今回、従姉妹がくれた、ぬかチューブ、ぬか漬けもどきは、普段、パンとビールに昆布などを加えて代用していましたが、これはすっごく楽しみで、きゅうりの季節になったら、やってみます・・たのしみ~~。
 お味噌は、ふつうに使うお味噌とつけて食べる分のお味噌、これも頂き物です。



 それからそば好きの私としては色々なお蕎麦が食べてみたくて、数種類のおそばと友人がくれた揚げ玉。この揚げ玉がけっこう優れもので、ワサビ風味でそのまま食べてもおいしいし、冷ややっこにかけたりても美味しいです。
 


 そして、海藻類と海鮮系の乾物類、特に乾燥あさりと乾燥しじみは、レギュラーメンバーで、なんといっても軽いので嬉しいです。パリにもあさりは全くないわけではないけれど、どこにでもあるわけではないし、しじみに至ってはお目にかかったことがありません。
 



 それからけっこう便利なこれ!


 最近、お豆腐はパリでも買いやすくなったので、お豆腐と、私は、冷凍のほうれん草(味つけなしの素材だけのもの)を解凍したものを混ぜたりしています。混ぜるだけでできるので、簡単です。

 それから、私にとって、今や必需品に近く、最も重さを押さえられる食品はこちら!
 

 種で持ってきて、あとは、パリで育てるという日本の野菜たち。
 きゅうり、にら、しそ、三つ葉、小松菜、春菊、オクラ、ししとう、スナップえんどう、ナスなどは、育てたことがあるので、今回、わさびリーフ、からし菜、ごぼうに挑戦してみるつもりです。
 このベランダ菜園は、植物が育っていくのも楽しく、また、買い物に行かずに少しずつ収穫して楽しめて、時には、友人にもお裾分けしてあげたりもできるので、すごく楽しいです。
 急にロックダウンになった時などには、この野菜の種に気持ち的にもずいぶん救われた思い出があります。
 今回は、日本に行ったのが冬だったので、種を探すのに苦労しましたが、幸いにも宮古島や九州に行ったりもしたので、無事ゲットできました。

 結局、スーツケース2個分、23kg×2・・約50kg近い荷物のほとんどが食料で、これ以外にも、お米、玄米、お餅、缶詰めや明太子、干物やしらす、ウニ、鰻やお漬物類、佃煮、梅干し、ワサビ漬けなどなど、た~くさんの食材があって、今はとても満たされている気持ちです。
 日本に住んでいれば、いつでもどこでもたいてい手に入るものばかりだと思いますが、これが宝物みたいに感じられることも私の幸せの一つなのです。


日本食材

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2024年1月20日土曜日

フランス政府 電気自動車リース 月額100ユーロのオファー

 


 マクロン大統領が3週間で90,000人月から額100ユーロの電気自動車リースの申し込みがあったことを報告したことから、そういうサービスがあったことを知りました。

 欧州議会は、昨年の段階で、2035年には、内燃機関搭載の新車販売を禁止し、EU圏内のガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を事実上停止し、欧州全体で、本格的に電気自動車に切り替えていく方針を決定しています。

 そんなこと言ったって、そもそもフランス人は、リッチな人は別として、一般的には車を探すのは、中古車から探すのがふつうで、 こんなこと決めても、そんなに簡単に変わらないだろうな・・と私は思っていたのです。

 そもそも、パリに住んでいれば、メトロもバスもあるし、車で出かければ、かえって駐車スペースを探すのに苦労するくらいだし、また駐車した車がいつどんな目に遭うとも限らないので、車の必要性を感じません。

 それでも、夫は、車が好きだったので、ほんの短距離にもかかわらず、車で移動したがる人だったので、車を持っていましたが、夫が亡くなってからは、車は手放してしまいました。

 大荷物で旅行する日本へ行く時などに頼む車の運転手さんなどは、車を持つのは、ほんとうにお金がかかりすぎるので、絶対、必要ないよ!などと力説する人だったりもしたし、実際、日常的に車は全く必要性を感じないので、私は車は持っていません。たまに旅行したりした時にレンタカーを借りるくらいです。

 しかし、郊外や地方に住んでいる人にとっては、車なしには、通勤できない場合もけっこうあり、娘が一時、日本の大学への留学をパンデミックのためにドタキャンされたために、ブルターニュのド田舎にある研究所でスタージュをしていたことがあって、本当に通勤に大変な思いをして通っていたことがあり、その研究所に併設された工場などでは、ほぼ全員が車で通勤しているとかで、そういう地域では、車は必需品なのです。

 これまでも電気自動車を購入する場合は補助金が出るということも行われてきたのですが、今回のリースはさらにお手軽感があり、そういった車が不可欠な地域などの人々にとっては、月額100ユーロの電気自動車リース(ファミリータイプの車の場合は150ユーロ)は、なかなかメリットがありそうな制度です。

 しかし、現在のところは、低額所得者を対象としているようで、このリースを利用できるのは、収入が15,400ユーロ未満であり、通勤に必要な場合は、自宅から15km以上離れたところに住んでいることなどの雇用主からの証明書が必用であり、そうでない場合はセキュリテソーシャル(社会保障制度)の証明書が必用になります。

 この契約期間は少なくとも3年間以上、契約終了時には、車を返却するか、残金を支払えば、その車を購入することもできます。

 現在、フランス政府は、いくつかの車のレンタル会社と車のメーカーとの契約を締結しているそうで、車は、シトロエン、フィアット、ジープ、日産、オペル、プジョー、ルノーが揃っているそうです。

 ここで、気付いたのは、トヨタが入っていないこと・・トヨタが電気自動車に遅れをとっている話は、聞いていましたが、こんなところにも表れているとは、ちょっと愕然とします。

 ともかくも、最も車が必用な人々で、しかも低所得者層で電気自動車に手を出しにくそうな人々をこのように電気自動車に誘導していくことで、フランスでの電気自動車の割合は、増加していきそうな気がします。

 2035年という目標を絵にかいた餅にしないように、色々な取り組みを行っていて、未来に向けて、どんどん変わっていくんだな・・ということを実感しています。 


電気自動車リース 月額100ユーロ


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「フランス人と車」












2024年1月19日金曜日

フランスの出生率低下が浮き彫りにする中流階級が苦しい現状

  


 年が明け、昨年のデータが続々とあがってくるようで、2023年のフランスの出生率は、戦後最低を記録したことが話題になっています。

 INSEE(国立統計経済研究所)が明らかにした最新データによると、2023年にフランスで誕生した子供の数は、67万8千人だったということで、ここ数年、下がり続けていたにもかかわらず、さらに減少を続け、1年で6.6%減少しているようで、現在フランスの女性1人が持つ子供の数の平均は、 1.68人なのだそうです。

 週明けに行われたマクロン大統領の記者会見でもこの問題について、触れていましたが、現在の育児休暇に代わる両親のための6ヶ月間の出産休暇を創設し(月額429ユーロ相当の補償)、またこの出生率低下には、不妊症の増加も影響しているとし、不妊治療への取り組みを進めることを発表しています。

 たしかに、これまでフランスは、避妊薬の援助などの話はたまに聞くことはあっても、不妊治療の援助の話は、あまり浮上してきてはいませんでした。

 私が子育てをしていた頃は、娘の周囲には、3人兄弟(姉妹)という家庭が多いような印象で、子どもが3人以上になると税制的にずっとメリットがあるという話を聞いていたのですが、どうやら、フランスもそれだけでは、子供が増やせなくなったということなのかもしれません。

 そもそも、女性の就学期間が長くなり、就業し始めて、生活が安定してからとなると、第一子を出産する年齢も上昇し、必然的に子供を出産して育てることを考えると年齢的な幅も狭まっていくことになります。

 そのうえ、パンデミック、戦争、インフレと世界情勢も波乱続きで、不安定な世の中で子供を持ちたくない、持つことへのリスクを考えたりもするのかもしれません。

 それでも、この出生率の低下はヨーロッパ全土に共通する現象でもあり、フランスはイタリアやスペインなどと比べてみても、出産により女性が仕事を辞めなければならないケースはかなり少ないし、決して悪い方ではないという意見もあります。どんな状況にあっても、この中では、フランスはトップ!とか、向こうの国はもっと酷い・・とかいう意見が出るのもフランスらしいなとも思います。

 また、フランスは2023年になっても出生数が死亡数を上回っているため、人口全体の比率としては、バランスを保っているという人もいます。しかし、これが20年後となると、話はまた、別の次元になるわけで、この世代の人口が極端に減っていくということになり、バランスを保てなくなる時が訪れるということです。

 この問題は、年金改革問題とも関わりのある話で、現在、退職者1人当たり現役労働者は約1.7人ですが、2070年にはおそらく1.2人になると言われています。フランスの平均寿命は女性が85.7歳、男性が80歳とけっこうな長寿国でもあるのです。

 また、バランスの話になれば、もっとも子供の数が少ないのは、中流階級の世帯であり、多くの子供を持つのは、最も貧しい世帯と最も裕福な世帯というのもフランス社会の縮図のような気もするのです。

 フランスでは、以前からよく聞く話ですが、フランスでの税金は決して安くはなく、しかし、最低レベルの人には、援助が手厚く、極端に言えば、払う人ともらう人に分けられるわけですが、実際には、援助を受けられるほどには、貧しくなく、高い税金を払わなければならないギリギリの中流世帯が一番苦しいことになるということで、その狭間にたった人々にとっては、この不安定な世の中で、子供を持つのを躊躇うという選択肢をとるのも、なんか頷ける話です。

 これまで、出生率低下の話になると、たいていは、日本の少子高齢化の話が例にあげられることも多いのですが、今回は、あまり日本の話はあがってきてはおらず、もはや、比較するには、及ばないといったところなのでしょうか?


フランス出生率低下


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2024年1月18日木曜日

ゼロユーロ紙幣発売 ゼロユーロはいくら?

  


 2月にゼロユーロ紙幣が限定発売されるという話を聞いて、「へっ?ゼロユーロっていくらなんだろう?」とへんな感想を持ちました。

 今回は、ノルマンディー上陸作戦80周年を記念したものということで、3,000枚が発行されるそうで、従来の紙幣と同じ品質を維持し、透かし、セキュリティスレッド、特殊インク、さらには、固有のシリアル番号などのセキュリティ機能が供えられているゼロユーロながら、ホンモノの紙幣?なのだそうです。

 2月販売開始で7月発行予定ということですが、当然、ゼロユーロということで、法定通貨ではありますが、金銭的な価値はなく、使用することはできませんが、コレクターの間では、人気を呼んでいるもののようで、希少性があるために、後に、コレクターの間で、高値をつけることがあるかもしれません。

 私は全く知らなかったのですが、このゼロユーロ紙幣は2015年から存在しているそうで、これまで2,500を超える異なるデザインのゼロユーロ紙幣が30ヵ国で発行されているようです。

 現在のところ、ゼロユーロ紙幣の価格は発表されていないようですが、これまでの前例からすると、1枚5~10ユーロ程度のようです。

 これまで記念切手や記念コインなどの類は見たことがあり、現在は、パリオリンピック記念コインなどがオリンピックオフィシャルショップやネット上などでも販売されていますが、どれも実際に使用できる値段がついているもので、この「ゼロユーロ紙幣」という発想は、ホンモノなのに使えないという、紙幣であって紙幣ではないような妙な存在です。

 フランス向けのこのゼロユーロ紙幣の見本には、「我が国を解放するために団結したすべての国の男女に敬意を表します」というマクロン大統領の口から出てきそうな一文が書かれています。

 フランスやヨーロッパはこういった過去の歴史を讃えるようなものを造ることが好きなんだな~と思いますが、フランスとヨーロッパの歴史におけるこの出来事の重要性を非常に詳しく説明しており、ド ゴール将軍、ナポレオン、ヴェルサンジェトリクスからパンテオンなどに特に敬意を表するデザインなのだそうです。

 販売は先着順ということで、3,000枚限定なので、あっという間に売り切れるものだと思いますが、個人的には、せめて20ユーロ紙幣とか50ユーロ紙幣にすれば、もっと高く売れるし、使用することもできるのに・・(パリオリンピックの2ユーロの記念コインは5ユーロで売っていた・・)とい、の歴史的遺産を使うことなく、過去の遺産の断片として、この遺産を保存することなのだそうで、なんだか独特な美学というか、ヨーロッパらしい気もするのです。

 しかし、ここ数年、両親亡きあと、実家の片付けをしている私は、「へ?なんでこんなものがあるの?」というものに紛れて、記念切手や記念コインなどの部類のものを見つけても、そのうち、どっかで売れるかな?などと思って持ってきてはいても、結局は、また、どこにしまったかわからなくなってしまっているという・・この連鎖は私がいなくなった後も続くような気がしているのです。


ゼロユーロ紙幣


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